説明

ブローバック玩具銃

【課題】1丁の玩具銃でカートリッジ仕様のマガジンとケースレス仕様のマガジンとを交換可能な構造とすることにより、1丁の玩具銃でカートリッジ仕様とケースレス仕様の双方を楽しむことができるブローバック玩具銃を提供する。
【解決手段】銃本体1に設けられたマガジン室7に着脱自在に装填するマガジンをカートリッジ仕様とケースレス仕様とに構成し、カートリッジ仕様のマガジンCMは弾丸BをカートリッジCに装填した状態で収納する弾倉8を備え、ケースレス仕様のマガジンBMは弾丸Bをそのままの状態で収納する弾倉8を備え、夫々のマガジンのガス蓄圧室4に通じるガス流出口9がシリンダ5のガス流入口6に連通する同一の位置に設けられたことにより、いずれのマガジンを銃本体1のマガジン室7に装着した場合でも、各マガジンのガス蓄圧室4に収容した圧縮ガスをガス流出口9からガス流入口6を経て薬室3へ送給可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドが前後動することによって弾丸を自動的に薬室に送り込むことができるブローバック玩具銃に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プラスチック製弾丸(いわゆる「BB弾」)をガス圧によって発射するガス式玩具銃が知られている。このような玩具銃は、スライドが前後動することによって弾丸を自動的に薬室に送り込むことができるブローバック式の玩具銃として改良が加えられている。
【0003】
さらに、このようなブローバック玩具銃には、弾丸をそのまま薬室に装填した状態で発射するケースレス仕様と云われるものと、弾丸を装填したカートリッジを薬室に送り込んだ状態で弾丸を発射するようにしたカートリッジ仕様と云われるものが存在する。
【0004】
ケースレス仕様の玩具銃の従来例としては、特許文献1に記載されたものがある。この文献のブローバック玩具銃は、銃本体に設けられた蓄圧部に並列して弾丸を一列縦方向に装填する弾丸装填部が設けられ、蓄圧部から噴出したガスによりスライドを銃身の後方へ移動するブローバック構造を有するものである。
【0005】
また、カートリッジ仕様の玩具銃の従来例としては、特許文献2に記載されたものがある。この文献には、実弾に似せた外観を有する筒状のカートリッジの先端部に弾丸を分離可能に保持し、カートリッジの後端部から先端部に到る圧縮空気の通路を備えた構成を有し、銃本体のグリップ部内にはマガジンが装備され、弾丸を装填したカートリッジをマガジンにセットするようにした構成が記載されている。
【特許文献1】特開2004−205053号公報
【特許文献2】特開2005−265348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記の2タイプのブローバック玩具銃には、夫々長所と短所が存在する。具体的に述べると、ケースレス仕様の玩具銃の場合、その長所は、マガジン内にBB弾を収納するスペースが充分あるため、装弾数を増やすことが可能である。また、カートリッジを使用しないため、ランニングコストにすぐれ、気楽に遊べるという利点がある。短所としては、カートリッジが排莢しないため、本物らしさに欠け、スライドが単に前後動するだけであって、動作が単純であり、玩具銃としての魅力に乏しいという点を有する。
【0007】
一方、カートリッジ仕様の場合、弾を発射した後、擬似カートリッジを排莢するため、実銃に近い使用感があり、そこにユーザーが魅力を感じるものである。その反面、設計においては、個々の弾丸をカートリッジに装填するため、スペース的な面からも制約され、マガジン1個あたりの装弾数が少なくなり、カートリッジにもコストを要するという不都合があった。
【0008】
ところで、ユーザーの側から言えば、上記のカートリッジ仕様の利点と、ケースレス仕様の利点とを兼ね備えた玩具銃があれば望ましいが、従来からそのような玩具銃は存在しないため、ユーザーがカートリッジ仕様の玩具銃とケースレス仕様の玩具銃との双方を楽しみたい場合、夫々の玩具銃を購入せざるを得ないというのが実情であった。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、1丁の玩具銃でカートリッジ仕様のマガジンとケースレス仕様のマガジンとを交換可能な構造とすることにより、1丁の玩具銃でカートリッジ仕様とケースレス仕様の双方を楽しむことができるブローバック玩具銃を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の問題を解決するために、本発明における請求項1のブローバック玩具銃は、銃本体に設けられたスライドを前後動することによって薬室に送り込まれた弾丸を銃本体に装着されたマガジンのガス蓄圧室からシリンダのガス流入口を経て薬室に送給された圧縮ガスにより発射するブローバック玩具銃において、銃本体に設けられたマガジン室に着脱自在に装填するマガジンをカートリッジ仕様とケースレス仕様とに構成し、カートリッジ仕様のマガジンは弾丸をカートリッジに装填した状態で収納する弾倉を備え、ケースレス仕様のマガジンは弾丸をそのままの状態で収納する弾倉を備え、夫々のマガジンのガス蓄圧室に通じるガス流出口がシリンダのガス流入口に連通する同一の位置に設けられたことにより、いずれのマガジンを銃本体のマガジン室に装填した場合でも、各マガジンのガス蓄圧室に収容した圧縮ガスをガス流出口からシリンダのガス流入口を経て薬室へ送給可能としたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明における請求項2のブローバック玩具銃は、請求項1において、シリンダのガス通路先端部にノズルを着脱自在に取付けることによって、該ノズルの先端に当接させた弾丸を薬室に送り込むようにしたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明における請求項3のブローバック玩具銃は、請求項1又は2において、インナーバレルの後端外周に発射前の弾丸を保持するゴム管を接続したことを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明における請求項4のブローバック玩具銃は、請求項1、2又は3において、シリンダ及びシリンダのガス通路先端部に取付けるノズルは、ナイロン樹脂で形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によるブローバック玩具銃によれば、カートリッジ仕様のマガジンとケースレス仕様のマガジンの双方において、夫々のマガジンのガス蓄圧室に通じるガス流出口がシリンダのガス流入口に連通する同一の位置に設けられているため、カートリッジ仕様のマガジンか又はケースレス仕様のマガジンのどちらかをユーザーが選択して、銃本体のマガジン室に着脱自在に装着することが可能となる。
【0015】
従って、ユーザーは、1丁の玩具銃でカートリッジ仕様とケースレス仕様の双方を楽しむことが可能となり、カートリッジ仕様のマガジンを装着した場合、実銃に近い使用感を得ることができる。また、ケースレス仕様のマガジンを装着した場合、マガジン内にBB弾を収納するスペースを十分確保することができるため、装弾数を増やすことが可能となり、安価且つ気楽に遊ぶことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0017】
本発明によるブローバック玩具銃は、図1に示すように、銃本体1に設けられたスライド2を前後動することによって薬室3に送り込まれた弾丸Bを銃本体1に装着されたマガジンのガス蓄圧室4からシリンダ5のガス流入口6を経て薬室3に送給された圧縮ガスにより発射するブローバック玩具銃において、銃本体1に設けられたマガジン室7に着脱自在に装填するマガジンをカートリッジ仕様とケースレス仕様とに構成し、カートリッジ仕様のマガジンCMは弾丸BをカートリッジCに装填した状態で収納する弾倉8を備え、ケースレス仕様のマガジンBMは弾丸Bをそのままの状態で収納する弾倉8を備え、夫々のマガジンのガス蓄圧室4に通じるガス流出口9がシリンダ5のガス流入口6に連通する同一の位置に設けられたことにより、いずれのマガジンCM、BMを銃本体1のマガジン室7に装着した場合でも、各マガジンCM、BMのガス蓄圧室4に収容した圧縮ガスをガス流出口9からシリンダ5のガス流入口6を経て薬室3へ送給可能としたものである。
【0018】
このようなブローバック玩具銃について詳細に述べると、図1に示すように銃本体1の把手部10に設けられたマガジン室7に、図1(b)に示すカートリッジ仕様のマガジンCMか、又は図1(c)に示すケースレス仕様のマガジンBMかをユーザーが選択して、着脱自在に装着することが可能とされている。
【0019】
これらのマガジンCM又はBMのうち、図1(b)に示すように、カートリッジ仕様のマガジンCMは、弾丸BをカートリッジCに装填した状態で該カートリッジCを弾倉8に収容するようにしたものである。このカートリッジ仕様のマガジンCMに設けられた弾倉8はマガジン本体11の前側部に沿って高さ方向に設けられている。弾倉8の内部はフォロアスプリング12aで支持されたフォロア12が弾性的に上方へ付勢された構成とされている。このような弾倉8にカートリッジCを寝かした状態でフォロア12の上部に順次収容し、その最上段のカートリッジCを弾倉8の上端に設けられたキャッチ部8aで係止することにより、弾倉8内に収納されたカートリッジCの全部を保持することが可能とされている。
【0020】
ここで、本実施例のカートリッジCについて説明すると、図4(a)に示すように、通常「空薬莢」と呼ばれる円筒形状のカートリッジ本体13の内部に前後を貫く貫通孔13aが形成され、その後端外周に周状の周底部14が形成されている。また、貫通孔13aの先端付近の内周にゴム製のOリング15aが固定され、このOリング15aから後方に離間して弾性リング15bが固着されている。このような構成により、例えば球形のプラスチック製弾丸(所謂「BB弾」)Bを貫通孔13aの先端側からOリング15aの弾性に抗して押し入れることにより、Oリング15aと弾性リング15bとの間に弾丸Bを保持することができる。
【0021】
一方、図1(c)に示すように、ケースレス仕様のマガジンBMに設けられた弾倉8は、弾丸Bをそのままの状態、即ち上記のカートリッジCに装填せず、ケースレスの状態で収納するようにしたものである。その弾倉8はマガジン本体11の前側部に沿って弾丸Bを高さ方向に一個ずつ積み上げて収容するスペースを有する。従って、ケースレス仕様のマガジンBMの弾倉8は、上記のカートリッジ仕様のマガジンCMの弾倉8と比べて小スペースに構成することができ、この弾倉8の余りのスペースを利用して、ガス蓄圧室4を広くとることが可能となる。
【0022】
また、ケースレス仕様のマガジンBMにおいても、弾倉8の内部はフォロアスプリング12aで支持されたフォロア12が弾性的に上方へ付勢され、フォロア12の上部に弾丸Bを順次収容し、その最上段の弾丸Bを弾倉8の上端に設けられたキャッチ部8aによって係止することにより、弾倉8内に収納された弾丸Bの全部を保持することが可能とされている。
【0023】
以上、カートリッジ仕様のマガジンCMとケースレス仕様のマガジンBMとの構成について述べたが、その他の構成について、双方のマガジンにおいては略共通した構成を有する。即ち、双方のマガジンCM、BMにおいて、マガジン本体11の内部の前後に弾倉8とガス蓄圧室4とが構成されている。ただし、上記のように、ケースレス仕様のマガジンBMの弾倉8が小スペースである分、ガス蓄圧室4を広くとることが可能である。
【0024】
さらに、カートリッジ仕様のマガジンCMとケースレス仕様のマガジンBMにおいて共通する構成について説明すると、ガス蓄圧室4の下方開放側はマガジンベース26によって閉塞され、マガジンベース26に設けられたガス注入口26aから気化状の圧縮ガスをガス蓄圧室4内に注入することが可能とされている。
【0025】
さらに、マガジン本体11のガス蓄圧室4の上方には後側部に沿ってリンク室17が設けられ、リンク室17に沿ってその内側にガス放出路16が設けられている。また、ガス蓄圧室4の上部に設けられた境壁にガス放出孔18が形成され、このガス放出孔18を開閉する放出バルブ19の上端部がリンク室17に回動自在に軸支されたバルブリンク20に係止され、銃本体1に設けられたバルブハンマー21の作動によってバルブリンク20が回動し、これによって放出バルブ19が下方に作動してガス放出孔18が開放される。
【0026】
また、放出バルブ19はバルブスプリング22を介して棒状のバルブベース23に支持されると共に、バルブスプリング22によって常時上方に付勢されることによってガス放出孔18を閉ざしているが、バルブハンマー21の作動によってバルブリンク20が回動すると、放出バルブ19を下方に作動してガス放出孔18が開放される。また、ガス放出路16の上端部にはガス流出口9が形成され、このガス流出口9にはノズルラバー9aが設けられている。
【0027】
このように、カートリッジ仕様のマガジンCMにおいても、ケースレス仕様のマガジンBMにおいても、ガス流入口6が同一の位置に形成されたことにより、図2(a)又は(b)に示すように、いずれのマガジンCM、BMを銃本体1のマガジン室7に装着した場合でも、ガス流出口9がノズルラバー9aを介して銃本体1に設けられたシリンダ5のガス流入口6に密着することにより気密性を保つことができ、各マガジンCM、BMのガス蓄圧室4に収容した圧縮ガスをガス流出口9からシリンダ5のガス流入口6を経て薬室3へ送給することが可能となる。
【0028】
従って、上記の構成により、図2(a)又は(b)に示すように、同一構成の銃本体1に設けられたマガジン室7にカートリッジ仕様のマガジンCMか、又はケースレス仕様のマガジンBMかを、ユーザーの選択によって装着することが可能となる。
【0029】
なお、上記の構成において、図3(a)、(b)、(c)に示すように、シリンダ5内の前部には貫通状のガス通路24が形成され、このガス通路24の後端には開閉プラグ25がプラグスプリング25aを介して設けられている。また、開閉プラグ25とピストン27とはピストンスプリング27aで連結されているが、通常はプラグスプリング25aの弾性力によってプラグ25はガス通路24を開放した状態としてあり、ガス蓄圧室4から送られてきた圧縮ガスによってプラグ25が前方へ押圧されたときにガス通路24が閉塞される。
【0030】
ここで、本実施例における銃本体1のその他の構成について説明する。図2(a)又は(b)に示すように、銃本体1の把手部10には下方が解放されたマガジン室7が設けられ、マガジン室7の途中に設けられたマガジンキャッチ28はマガジン本体11の側部に設けられたキャッチ受け29に係止されることにより、マガジン室7に差し込んだマガジンCM又はBMを定位置で固定するストッパとして機能する。また、マガジンキャッチ28を外方から押圧することによってそのストッパ機能を解除することができ、これによってマガジンCM又はBMをマガジン室7から抜き取ることができる。
【0031】
また、銃本体1の上方の銃身30には細筒状のインナーバレル31が固定され、このインナーバレル31とその後方に設けられたシリンダ5との間には薬室3が設けられ、この薬室3に弾倉8から送られてきたカートリッジC又は弾丸Bを装填することができる。
【0032】
図2(a)に示すように、マガジン室7にカートリッジ仕様のマガジンCMを装着した場合、薬室3にはカートリッジCが装填されることとなる。この場合、図3(a)に示すように、ブローバック動作によってスライド2が後退すると、シリンダ5の前方に空間が生じ、弾倉8から上方に付勢されたカートリッジCが薬室3の後方に押し上げられる。次いでスライド2が前進すると、シリンダ5がカートリッジCの後端を前方へ押込むことにより、カートリッジCはインナーバレル31の後端とシリンダ5の前端とに挟まれた状態で発射前の待機状態となる。このとき、カートリッジCの後端の周底部14がシリンダ5の前側に設けられた包底面5aに係合した状態となり、またカートリッジCの前端はインナーバレル31の後端に密接して、カートリッジCの前後端の気密性を保つこととなる。
【0033】
また、銃本体1のマガジン室7にカートリッジ仕様のマガジンCMを装着した場合における銃本体1の構成を述べると、図2(a)に示すように、トリガー35を最後部まで引き切ることによって、トリガバー35a(図1(a)参照)の作動によってシアー36が回動し、シアー36の爪部36aに係止されていたハンマー37のシアー係止部38が外され、ハンマースプリング39の弾性力によってハンマー37が図示の反時計方向へ回転すると、バルブハンマー21が前方に移動し、これによってバルブリンク20が回転することで放出バルブ19が下方へ押される。これによって、ガス放出孔18が開放状態になると、マガジンCM又はBMのガス流出口9に連通するシリンダ5のガス流入口6を経て、開閉プラグ25の後退によって解放されたガス通路24を通過して薬室3に至り、カートリッジC内の弾丸Bを押圧して前方へ発射させることとなる。
【0034】
ところで、上記と同一構成の銃本体1を使用して、マガジン室7にケースレス仕様のマガジンBMを装着した場合、薬室3に装填されるのはカートリッジCのない弾丸Bであるため、弾丸Bの前後に空間ができてガス漏れを生じ、また弾丸Bを薬室3の定位置まで押込むことができなくなる。
【0035】
そのため、本実施例では、図3(b)に示すように、シリンダ5のガス通路24の先端部にノズル32を着脱自在に取付けることによって、該ノズル32の先端に当接させた弾丸Bを薬室3に送り込むようにしている。
【0036】
そのような構成を具体例に述べると、本実施例では、シリンダ5のガス通路24の先端部内周に雌ネジ24aを形成し、この雌ネジ24aに螺合する雄ネジ32aをノズル32の後端外周に形成することによって、ノズル32の雄ネジ32aをシリンダ5のガス通路24の雌ネジ24aに着脱自在に螺合する構成としている。なお、シリンダ5のガス通路24の先端部内周にノズル32を取付ける方法としては、上記のようにネジ構造ではなく、圧入等の手段によって着脱自在に固定することも可能である。
【0037】
上記の構成により、ユーザーは、ケースレス仕様のマガジンBMを使用する場合、図3(b)に示すように、ブローバック動作によってスライド2を後退させることにより、シリンダ5の前方に空間を作り、この空間を利用してノズル32の雄ネジ32aをシリンダ5のガス通路24の雌ネジ24aに手動で捩じ込んで取り付けることができる。また、その後、カートリッジ仕様のマガジンCMを使用する場合、ユーザーは上記と同様にスライド2を後退させることにより、シリンダ5の前方に空間を作り、この空間を利用して、手動でノズル32を回転して取り外すことができる。
【0038】
ところで、マガジン室7にカートリッジ仕様のマガジンCMを装着した場合、図4(a)に示すように、インナーバレル31の後端に接続されたゴム管40の後端にカートリッジCの先端が密接する。ところが、上記のようにケースレス仕様のマガジンBMを使用する場合、図3(c)に示すように、弾倉8から送られてきた弾丸Bをノズル32に前進したとき、ノズル32の前端が弾丸Bを薬室3の方向に押出すものであるが、この弾丸Bがインナーバレル31の後端に密接するには至らない。
【0039】
このため、本実施例では、図4(b)に示すように、インナーバレル31の後端外周に、発射前の弾丸Bを保持するためのゴム管33を接続し、このゴム管33の内部をホップラバー兼薬室として用いる。このゴム管33は、下部を後方へ延長した形状33bを有することよって、図4(c)に示すように、シリンダ5のノズル32で前方に押出された弾丸Bをゴム管33の延長形状33bで受け止めた状態にして薬室3に送り込むことが可能となる。なお、ゴム管33の後端外周がテーパ形状に形成されることによって、シリンダ5のノズル32をゴム管33内に挿入可能とされている。
【0040】
このゴム管33の装着作業もまた、上記と同様にスライド2を後退させることにより、シリンダ5の前方に空間を作った状態にして、ユーザーが手動でゴム管33を接続するものである。なお、このゴム管33の接続作業は、困難であるように見えるが、ユーザーは弾丸Bに逆回転を掛けるホップラバーの調整作業を行う際にも、インナーバレル31の分解等を余議なくされるものである。従って、ユーザーがインナーバレル31の着脱作業を行なうことが可能であれば、予め、インナーバレル31の後端に上記のゴム管33を接続したものを用意しておき、元のインナーバレル31と交換する等の作業によって容易に行うことが可能となる。
【0041】
また、本実施例においては、上記の構成において、シリンダ5及びシリンダ5のガス通路24の先端部に取付けるノズル32は、従来から常用されている亜鉛ダイキャスト等を使用してもよいが、ナイロン樹脂で形成することにより、不正な改造等ができないようにして安全対策を図ることが可能となる。
【0042】
なお、ノズル32をナイロン樹脂で製作するのは、ナイロンは接着等が困難であり、またハンダゴテで溶着することも困難であるため、加工が困難であるという理由からである。また、インナーバレル31の後端外周に接続するゴム管33にはゴムのほかにABS樹脂を使用することも可能であり、これらの材料は通常改造が困難なものであって、不正な改造を防止することが可能となる。
【0043】
さらに、本実施例では、図4(b)、(c)に示すゴム管32の代わりに、図5(a)〜(c)に示す連結ゴム管34を用いるようにしてもよい。この連結ゴム管34は前後を貫く貫通孔34bを有すると共に、連結ゴム管34の途中下部には底部穴34aが形成され、この底部穴34aからケースレス仕様のマガジンCMの弾倉8の最上部の弾丸Bを連結ゴム管34内に送り込むことが可能とされている。さらに、貫通孔34bの前端を拡大径34dとすることによってこの拡大径34dの部分でインナーバレル31の後端に接続し、さらに後端外周がテーパ形状34cに形成されることによって、シリンダ5のノズル32(図4(c)参照)をゴム管33内に挿入可能とされている。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明のエアーガンは、1丁の玩具銃でカートリッジ仕様のマガジンとケースレス仕様のマガジンとを交換可能な構造とすることにより、1丁の玩具銃でカートリッジ仕様とケースレス仕様の双方の利点を楽しむことができるようにしたブローバック玩具銃として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】(a)は本発明に係るブローバック玩具銃の断面図であり、(b)はカートリッジ仕様のマガジンの断面図であり、(c)はケースレス仕様のマガジンの断面図である。
【図2】本発明に係るブローバック玩具銃の断面図であり、(a)はカートリッジ仕様のマガジンを装着した断面図であり、(b)はケースレス仕様のマガジンを装着した断面図である。
【図3】(a)は本発明におけるカートリッジをインナーバレルとシリンダの間に装填した状態を示す断面図であり、(b)は本発明のシリンダにノズルを取付けている状況を示す断面図であり、(c)は本発明のシリンダにノズルを取付けた状況を示す断面図である。
【図4】(a)は本発明におけるカートリッジをインナーバレルの後端に接合した状態を示す断面図であり、(b)は本発明のインナーバレルの後端にゴム管を接続した状態を示す断面図であり、(c)は本発明におけるシリンダのノズルによって弾丸をインナーバレルの後端に接続したゴム管の内部に押し入れている状況を示す断面図である。
【図5】(a)は本発明における連結ゴム管の斜視図であり、(b)は本発明における連結ゴム管の断面図であり、(c)は本発明の連結ゴム管をインナーバレルの後端に接続した状態示す断面図である。
【符号の説明】
【0046】
B 弾丸
C カートリッジ
CM カートリッジ仕様のマガジン
BM ケースレス仕様のマガジン
1 銃本体
2 スライド
3 薬室
4 ガス蓄圧室
5 シリンダ
5a 包底面
6 ガス流入口
7 マガジン室
8 弾倉
8a キャッチ部
9 ガス流出口
9a ノズルラバー
10 把手部
11 マガジン本体
12 フォロア
12a フォロアスプリング
13 カートリッジ本体
13a 貫通孔
14 周底部
15a Oリング
15b 弾性リング
16 ガス放出路
17 リンク室
18 ガス放出孔
19 放出バルブ
20 バルブリンク
21 バルブハンマー
22 バルブスプリング
23 バルブベース
24 ガス通路
24a 雌ネジ
25 開閉プラグ
25a プラグスプリング
26 マガジンベース
26a ガス注入口
27 ピストン
27a ピストンスプリング
28 マガジンキャッチ
29 キャッチ受け
30 銃身
31 インナーバレル
32 ノズル
32a 雄ネジ
33 ゴム管
34 連結ゴム管
34a 底部穴
34b 貫通孔
34c テーパ形状
34d 拡大径
35 トリガー
35a トリガバー
36 シアー
36a 爪部
37 ハンマー
38 シアー係止部
39 ハンマースプリング
40 ゴム管


【特許請求の範囲】
【請求項1】
銃本体に設けられたスライドを前後動することによって薬室に送り込まれた弾丸を銃本体に装着されたマガジンのガス蓄圧室からシリンダのガス流入口を経て薬室に送給された圧縮ガスにより発射するブローバック玩具銃において、
銃本体に設けられたマガジン室に着脱自在に装填するマガジンをカートリッジ仕様とケースレス仕様とに構成し、
カートリッジ仕様のマガジンは弾丸をカートリッジに装填した状態で収納する弾倉を備え、
ケースレス仕様のマガジンは弾丸をそのままの状態で収納する弾倉を備え、
夫々のマガジンのガス蓄圧室に通じるガス流出口がシリンダのガス流入口に連通する同一の位置に設けられたことにより、
いずれのマガジンを銃本体のマガジン室に装填した場合でも、各マガジンのガス蓄圧室に収容した圧縮ガスをガス流出口からシリンダのガス流入口を経て薬室へ送給可能としたことを特徴とするブローバック玩具銃。
【請求項2】
シリンダのガス通路先端部にノズルを着脱自在に取付けることによって、該ノズルの先端に当接させた弾丸を薬室に送り込むようにしたことを特徴とする請求項1記載のブローバック玩具銃。
【請求項3】
インナーバレルの後端外周に発射前の弾丸を保持するゴム管を接続したことを特徴とする請求項1又は2記載のブローバック玩具銃。
【請求項4】
シリンダ及びシリンダのガス通路先端部に取付けるノズルは、ナイロン樹脂で形成したことを特徴とする請求項1、2又は3記載のブローバック玩具銃。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−133654(P2010−133654A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−310745(P2008−310745)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【特許番号】特許第4356037号(P4356037)
【特許公報発行日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(391037870)マルシン工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】