説明

プラスター又はモルタル用ひび割れ防止剤

【課題】プラスター又はモルタルを厚塗り(4〜50mm程度)した場合においても、優れたひび割れ防止性を発揮するひび割れ防止剤を提供することである。
【解決手段】アルコール(A1)及びエステル(A2)を含有してなる疎水性物質(A)と多孔質粉体(B)とからなることを特徴とするプラスター又はモルタル用ひび割れ防止剤を用いる。さらに水を含んでなり、疎水性物質(A)が水中油型エマルションの形態であることが好ましい。さらに−50〜2℃の流動点を有する炭化水素油(C)を含んでなることが好ましい。水中エマルション中の疎水性物質からなる油滴の体積平均粒子径は0.5〜30μmが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラスター又はモルタル用ひび割れ防止剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高級アルコールを粉末に担持させたプラスター又はモルタル用ひび割れ防止剤が知られている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,277,190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のひび割れ防止剤は、プラスター又はモルタルを厚塗り(4〜50mm程度)した場合、凝結時の急速な収縮により発生する表面のひび割れを十分に防止しきれないという問題がある。
本発明の目的は、プラスター又はモルタルを厚塗りした場合においても、優れたひび割れ防止性を発揮するひび割れ防止剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のプラスター又はモルタル用ひび割れ防止剤の特徴は、アルコール(A1)及びエステル(A2)を含有してなる疎水性物質(A)と多孔質粉体(B)とを含有してなる点を要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のプラスター又はモルタル用ひび割れ防止剤は、プラスター又はモルタルを厚塗り(4〜50mm程度)した場合においても、凝結時の急速な収縮等による表面のひび割れを起こすことなく、優れたひび割れ防止性を発揮する。また、本発明のひび割れ防止剤を用いると、コテ作業性を低下させることもない(容易に平滑に塗布できる)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
アルコール(A1)としては、ひび割れ防止剤として従来使用されているアルコール(たとえば、特許文献1)等が含まれ、脂肪族アルコール、芳香脂肪族アルコール及び脂環式アルコールからなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましく用いられる。
【0008】
脂肪族アルコールとしては、炭素数12〜30の脂肪族アルコール等が使用でき、直鎖飽和アルコール、直鎖不飽和アルコール、分岐飽和アルコール及び分岐不飽和アルコール等が含まれる。
直鎖飽和アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イコシルアルコール、ドコシルアルコール、テトラコシルアルコール、ヘキサコシルアルコール、オクタコシルアルコール及びトリアコンチルアルコール等が挙げられる。
【0009】
直鎖不飽和アルコールとしては、ドデセニルアルコール、テトラデセニルアルコール、ヘキサデセニルアルコール、オレイルアルコール、イコセニルアルコール、ドコセニルアルコール、テトラコセニルアルコール、ヘキサコセニルアルコール、オクタコセニルアルコール及びトリアコンテニルアルコール等が挙げられる。
【0010】
分岐飽和アルコールとしては、イソラウリルアルコール、イソミリスチルアルコール、イソセチルアルコール、イソステアリルアルコール、イソイコシルアルコール、イソドコシルアルコール、イソテトラコシルアルコール、イソヘキサコシルアルコール、イソオクタコシルアルコール、イソトリアコンチルアルコール、ドデカン−2−オール、テトラデカン−2−オール、ヘキサデカン−2−オール、オクタデカン−2−オール、イコサン−2−オール、ドコサン−2−オール、テトラコサン−2−オール、ヘキサコサン−2−オール、オクタコサン−2−オール、トリアコンタン−2−オール及び2、4、6、8−テトラメチルオクチルアルコール等が挙げられる。
【0011】
分岐不飽和アルコールとしては、ゲラニオール及びフィトール等が挙げられる。これらの他に、コレステリルアルコール等も使用できる。
【0012】
芳香脂肪族アルコールとしては、炭素数7〜19の単環芳香脂肪族アルコール及び炭素数11〜19の多環芳香脂肪族アルコール等が使用できる。
単環芳香脂肪族アルコールとしては、ベンジルアルコール、2,3−ジメチルベンジルアルコール、2,4−ジメチルベンジルアルコール、2,5−ジメチルベンジルアルコール、2,6−ジメチルベンジルアルコール、3,4−ジメチルベンジルアルコール、3,5−ジメチルベンジルアルコール、2−エチルベンジルアルコール、3−エチルベンジルアルコール、4−エチルベンジルアルコール、2,3,4−トリメチルベンジルアルコール、2,3,5−トリメチルベンジルアルコール、2,3,6−トリメチルベンジルアルコール、2,4,5−トリメチルベンジルアルコール、3,4,5−トリメチルベンジルアルコール、2−n−ブチルベンジルアルコール、3−n−ブチルベンジルアルコール、4−n−ブチルベンジルアルコール、2−t−ブチルベンジルアルコール、3−n−ブチルベンジルアルコール、4−n−ブチルベンジルアルコール、2−フェニルエタノール、1−フェニルエタノール、2−フェニルプロパノール、1−フェニルプロパノール、4−フェニルブタノール、3−フェニルブタノール、2−フェニルブタノール、1−フェニルブタノール、5−フェニルペンタノール、4−フェニルペンタノール、3−フェニルペンタノール、2−フェニルペンタノール、1−フェニルペンタノール、2−フェニル−2−プロパノール、ジフェニルメタノール及びトリフェニルメタノール等が挙げられる。
【0013】
多環芳香脂肪族アルコールとしては、(1−ナフチル)メタノール、(2−ナフチル)メタノール、2−(1−ナフチル)エタノール、2−(2−ナフチル)エタノール、3−(1−ナフチル)プロパノール、3−(2−ナフチル)プロパノール、2−(1−ナフチル)プロパノール、2−(2−ナフチル)プロパノール、(1−アントリル)メタノール、(2−アントリル)メタノール、(9−アントリル)メタノール、2−(1−アントリル)エタノール、2−(2−アントリル)エタノール及び2−(9−アントリル)エタノール等が挙げられる。
【0014】
脂環式アルコールとしては、炭素数6〜12の単環脂環式アルコール及び炭素数10〜15の多環脂環式アルコール等が使用できる。
単環脂環式アルコールとしては、シクロヘキサノール、1−メチル−シクロヘキサノール、2−メチル−シクロヘキサノール、3−メチル−シクロヘキサノール、4−メチル−シクロヘキサノール、シクロペンタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1−メチルシクロペンタノール、1−エチルシクロペンタノール、1−プロピルシクロペンタノール及びシクロドデカノール等が挙げられる。
【0015】
多環脂環式アルコールとしては、1−ヒドロキシデカヒドロナフタレン、2−ヒドロキシデカヒドロナフタレン、1−(2−ヒドロキシエチル)デカヒドロナフタレン、2−(2−ヒドロキシエチル)デカヒドロナフタレン、1−(3−ヒドロキシプロピル)デカヒドロナフタレン、2−(3−ヒドロキシプロピル)デカヒドロナフタレン、1−アダマンタノール及び9−シクロヘキシルビシクロ[3.3.1]ノナン−9−オール等が挙げられる。
【0016】
これらのアルコールのうち、ひび割れ防止性の観点等から、脂肪族アルコール及び脂環式アルコールが好ましく、さらに好ましくは脂肪族アルコール、特に好ましくは直鎖飽和アルコール、最も好ましくはラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イコシルアルコール、ドコシルアルコール、テトラコシルアルコール、ヘキサコシルアルコール、オクタコシルアルコール及びトリアコンチルアルコールである。
【0017】
エステル(A2)としては、カルボン酸エステル、リン酸エステル及びスルホン酸エステル等が含まれ、脂肪族カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、芳香脂肪族カルボン酸エステル及び脂環式カルボン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましく用いられる。
脂肪族カルボン酸エステルとしては、炭素数3〜48の脂肪族モノカルボン酸モノエステル及び炭素数4〜70の脂肪族ジカルボン酸ジエステル等が含まれる。
脂肪族モノカルボン酸モノエステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ヘキシル、酢酸ラウリル、酢酸ステアリル、酢酸テトラコシル、酢酸トリアコンチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸ブチル、酪酸ヘキシル、酪酸ラウリル、酪酸ステアリル、酪酸テトラコシル、酪酸トリアコンチル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸プロピル、イソ酪酸ブチル、イソ酪酸ヘキシル、イソ酪酸ラウリル、イソ酪酸ステアリル、イソ酪酸テトラコシル、イソ酪酸トリアコンチル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、吉草酸ブチル、吉草酸ヘキシル、吉草酸ラウリル、吉草酸ステアリル、吉草酸テトラコシル、吉草酸トリアコンチル、イソ吉草酸メチル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸プロピル、イソ吉草酸ブチル、イソ吉草酸ヘキシル、イソ吉草酸ラウリル、イソ吉草酸ステアリル、イソ吉草酸テトラコシル、イソ吉草酸トリアコンチル、ピバル酸メチル、ピバル酸エチル、ピバル酸プロピル、ピバル酸ブチル、ピバル酸ヘキシル、ピバル酸ラウリル、ピバル酸ステアリル、ピバル酸テトラコシル、ピバル酸トリアコンチル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸プロピル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸ラウリル、ラウリン酸ステアリル、ラウリン酸テトラコシル、ラウリン酸トリアコンチル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸プロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸ヘキシル、ミリスチン酸ラウリル、ミリスチン酸ステアリル、ミリスチン酸テトラコシル、ミリスチン酸トリアコンチル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸プロピル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸ヘキシル、パルミチン酸ラウリル、パルミチン酸ステアリル、パルミチン酸テトラコシル、パルミチン酸トリアコンチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸プロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸ラウリル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸テトラコシル、ステアリン酸トリアコンチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸プロピル、オレイン酸ブチル、オレイン酸ヘキシル、オレイン酸ラウリル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸テトラコシル及びオレイン酸トリアコンチル等が挙げられる。
【0018】
脂肪族ジカルボン酸ジエステルとしては、シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジプロピル、シュウ酸ジブチル、シュウ酸ジヘキシル、シュウ酸ジラウリル、シュウ酸ジステアリル、シュウ酸ジテトラコシル、シュウ酸ジトリアコンチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、マロン酸ジブチル、マロン酸ジヘキシル、マロン酸ジラウリル、マロン酸ジステアリル、マロン酸ジテトラコシル、マロン酸ジトリアコンチル、こはく酸ジメチル、こはく酸ジエチル、こはく酸ジプロピル、こはく酸ジブチル、こはく酸ジヘキシル、こはく酸ジラウリル、こはく酸ジステアリル、こはく酸ジテトラコシル、こはく酸ジトリアコンチル、グルタル酸ジメチル、グルタル酸ジエチル、グルタル酸ジプロピル、グルタル酸ジブチル、グルタル酸ジヘキシル、グルタル酸ジラウリル、グルタル酸ジステアリル、グルタル酸ジテトラコシル、グルタル酸ジトリアコンチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジステアリル、アジピン酸ジテトラコシル、アジピン酸ジトリアコンチル、ピメリン酸ジメチル、ピメリン酸ジエチル、ピメリン酸ジプロピル、ピメリン酸ジブチル、ピメリン酸ジヘキシル、ピメリン酸ジラウリル、ピメリン酸ジステアリル、ピメリン酸ジテトラコシル、ピメリン酸ジトリアコンチル、スベリン酸ジメチル、スベリン酸ジエチル、スベリン酸ジプロピル、スベリン酸ジブチル、スベリン酸ジヘキシル、スベリン酸ジラウリル、スベリン酸ジステアリル、スベリン酸ジテトラコシル、スベリン酸ジトリアコンチル、アゼライン酸ジメチル、アゼライン酸ジエチル、アゼライン酸ジプロピル、アゼライン酸ジブチル、アゼライン酸ジヘキシル、アゼライン酸ジラウリル、アゼライン酸ジステアリル、アゼライン酸ジテトラコシル、アゼライン酸ジトリアコンチル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジプロピル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジヘキシル、セバシン酸ジラウリル、セバシン酸ジステアリル、セバシン酸ジテトラコシル及びセバシン酸ジトリアコンチル等が挙げられる。
【0019】
芳香族カルボン酸エステルとしては、炭素数8〜41の芳香族モノカルボン酸モノエステル、炭素数10〜68の芳香族ジカルボン酸ジエステル及び炭素数12〜99の芳香族トリカルボン酸トリエステル等が含まれる。
芳香族モノカルボン酸モノエステルとしては、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸ヘキシル、安息香酸ラウリル、安息香酸ステアリル、安息香酸テトラコシル、安息香酸トリアコンチル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、トルイル酸プロピル、トルイル酸ブチル、トルイル酸ヘキシル、トルイル酸ラウリル、トルイル酸ステアリル、トルイル酸テトラコシル、トルイル酸トリアコンチル、m−メチル安息香酸メチル、m−メチル安息香酸エチル、m−メチル安息香酸プロピル、m−メチル安息香酸ブチル、m−メチル安息香酸ヘキシル、m−メチル安息香酸ラウリル、m−メチル安息香酸ステアリル、m−メチル安息香酸テトラコシル、m−メチル安息香酸トリアコンチル、p−メチル安息香酸メチル、p−メチル安息香酸エチル、p−メチル安息香酸プロピル、p−メチル安息香酸ブチル、p−メチル安息香酸ヘキシル、p−メチル安息香酸ラウリル、p−メチル安息香酸ステアリル、p−メチル安息香酸テトラコシル、p−メチル安息香酸トリアコンチル、1−ナフトエ酸メチル、1−ナフトエ酸エチル、1−ナフトエ酸プロピル、1−ナフトエ酸ブチル、1−ナフトエ酸ヘキシル、1−ナフトエ酸ラウリル、1−ナフトエ酸ステアリル、1−ナフトエ酸テトラコシル、1−ナフトエ酸トリアコンチル、2−ナフトエ酸メチル、2−ナフトエ酸エチル、2−ナフトエ酸プロピル、2−ナフトエ酸ブチル、2−ナフトエ酸ヘキシル、2−ナフトエ酸ラウリル、2−ナフトエ酸ステアリル、2−ナフトエ酸テトラコシル及び2−ナフトエ酸トリアコンチル等が挙げられる。
【0020】
芳香族ジカルボン酸ジエステルとしては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジラウリル、フタル酸ジステアリル、フタル酸ジテトラコシル、フタル酸ジトリアコンチル、イソフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジプロピル、イソフタル酸ジブチル、イソフタル酸ジヘキシル、イソフタル酸ジラウリル、イソフタル酸ジステアリル、イソフタル酸ジテトラコシル、イソフタル酸ジトリアコンチル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸ジプロピル、テレフタル酸ジブチル、テレフタル酸ジヘキシル、テレフタル酸ジラウリル、テレフタル酸ジステアリル、テレフタル酸ジテトラコシル及びテレフタル酸ジトリアコンチル等が挙げられる。
【0021】
芳香族トリカルボン酸トリエステルとしては、トリメリット酸トリメチル、トリメリット酸トリエチル、トリメリット酸トリプロピル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリヘキシル、トリメリット酸トリラウリル、トリメリット酸トリステアリル、トリメリット酸トリテトラコシル及びトリメリット酸トリトリアコンチル等が挙げられる。
【0022】
芳香脂肪族カルボン酸エステルとしては、炭素数8〜39の単環芳香脂肪族カルボン酸エステル及び炭素数13〜42の多環芳香脂肪族カルボン酸エステル等が含まれる。
単環芳香脂肪族カルボン酸エステルとしては、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸プロピル、フェニル酢酸ブチル、フェニル酢酸ヘキシル、フェニル酢酸ラウリル、フェニル酢酸ステアリル、フェニル酢酸テトラコシル、フェニル酢酸トリアコンチル、ベンジル酢酸メチル、ベンジル酢酸エチル、ベンジル酢酸プロピル、ベンジル酢酸ブチル、ベンジル酢酸ヘキシル、ベンジル酢酸ラウリル、ベンジル酢酸ステアリル、ベンジル酢酸テトラコシル、ベンジル酢酸トリアコンチル、フェネチル酢酸メチル、フェネチル酢酸エチル、フェネチル酢酸プロピル、フェネチル酢酸ブチル、フェネチル酢酸ヘキシル、フェネチル酢酸ラウリル、フェネチル酢酸ステアリル、フェネチル酢酸テトラコシル及びフェネチル酢酸トリアコンチル等が挙げられる。
【0023】
多環芳香脂肪族カルボン酸エステルとしては、1−ナフチル酢酸メチル、1−ナフチル酢酸エチル、1−ナフチル酢酸プロピル、1−ナフチル酢酸ブチル、1−ナフチル酢酸ヘキシル、1−ナフチル酢酸ラウリル、1−ナフチル酢酸ステアリル、1−ナフチル酢酸テトラコシル、1−ナフチル酢酸トリアコンチル、2−ナフチル酢酸メチル、2−ナフチル酢酸エチル、2−ナフチル酢酸プロピル、2−ナフチル酢酸ブチル、2−ナフチル酢酸ヘキシル、2−ナフチル酢酸ラウリル、2−ナフチル酢酸ステアリル、2−ナフチル酢酸テトラコシル及び2−ナフチル酢酸トリアコンチル等が挙げられる。
【0024】
脂環式カルボン酸エステルとしては、炭素数8〜37の脂環式モノカルボン酸モノエステル等が使用でき、シクロヘキサンカルボン酸メチル、シクロヘキサンカルボン酸エチル、シクロヘキサンカルボン酸プロピル、シクロヘキサンカルボン酸ブチル、シクロヘキサンカルボン酸ヘキシル、シクロヘキサンカルボン酸ラウリル、シクロヘキサンカルボン酸ステアリル、シクロヘキサンカルボン酸テトラコシル及びシクロヘキサンカルボン酸トリアコンチル等が挙げられる。
【0025】
これらのエステルのうち、脂肪族エステル及び芳香脂肪族カルボン酸エステルが好ましく、さらに好ましくは脂肪族エステル、特に好ましくは脂肪族モノカルボン酸モノエステル、最も好ましくはラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル及びオレイン酸メチルである。
【0026】
アルコール(A1)の含有量(重量%)は、アルコール(A1)及びエステル(A2)の合計重量に基づいて、2〜99が好ましく、さらに好ましくは50〜95、特に好ましくは60〜90、最も好ましくは70〜85である。この範囲であると、ひび割れ防止性がさらに良好となる。
エステル(A2)の含有量(重量%)は、アルコール(A1)及びエステル(A2)の合計重量に基づいて、1〜98が好ましく、さらに好ましくは5〜50、特に好ましくは10〜40、最も好ましくは15〜30である。この範囲であると、ひび割れ防止性がさらに良好となる。
【0027】
疎水性物質(A)には、アルコール(A1)及びエステル(A2)以外に、他の構成成分を含んでもよい。他の構成成分としては、炭化水素油、ワックス、脂肪酸アミド、シリコーン油、界面活性剤、増粘剤、消泡剤、潤滑剤、減水剤、収縮低減剤、防腐剤、防錆剤、溶剤及び水等が挙げられ、これらは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
他の構成成分を含有する場合、これらの合計含有量(重量%)は、本発明のひび割れ防止剤の重量に基づいて、0.01〜20が好ましく、さらに好ましくは0.05〜10、特に好ましくは0.1〜1である。この範囲であるとひび割れ防止性がさらに良好となる。
【0028】
炭化水素油としては、鉱物油、動植物油及び合成潤滑油が使用できる。
鉱物油としては、スピンドル油、マシン油及び冷凍機油などが挙げられる。
動植物油としては、牛脂、豚脂、鯨油、魚油、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、トウモロコシ油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油及びパーム核油等が挙げられる。
合成潤滑油としては、ポリオレフィン油(α―オレフィン油)、ポリグリコール油、ポリブテン油、アルキルベンゼン油(アルキレート油)及びイソパラフィン油等が挙げられる。
【0029】
ワックスとしては、天然ワックス及び合成ワックスが使用できる。
天然ワックスとしては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、みつろう及びラノリン等が挙げられる。
合成ワックスとしては、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、ポリエチレンワックス及びフィッシャー・トロプシュワックス等が挙げられる。
【0030】
脂肪酸アミドとしては、炭素数26〜40のアルキレンビスアミド等が使用でき、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスパルミチルアミド、エチレンビスラウリルアミド、ブチレンビスステアリルアミド及びブチレンビスパルミチルアミド等が挙げられる。
【0031】
シリコーン油としては、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等が使用できる。
【0032】
界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が使用できる。
ノニオン性界面活性剤としては、多価(2〜10価)アルコール脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[グリセリンモノオクタデカン酸エステル、エチレングリコールモノオクタデカン酸エステル及びソルビタンオクタデセン酸モノ−又はジ−エステル等]、脂肪族アルカノールアミド[ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ドデカン酸ジエタノールアミド等]及びアルキル(炭素数8〜24)ジアルキル(炭素数1〜6)アミンオキシド[ドデシルジメチルアミンオキシド等]等が挙げられる。
【0033】
アニオン性界面活性剤としては、アルキル(炭素数8〜24)ポリオキシアルキレン(炭素数2〜3、重合度1〜100)カルボン酸又はその塩(アルカリ金属塩及びアンモニウム塩等)[ドデシルポリオキシエチレン(重合度20)エタン酸ナトリウム等]、炭素数8〜24の硫酸エステル塩[ドデシル硫酸エステルナトリウム、ドデシルポリオキシエチレン(重合度30)硫酸エステルナトリウム等]、炭素数8〜24のスルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルエステルナトリウム等]、炭素数4〜12のリン酸エステル塩[ドデシルリン酸ナトリウム、ドデシルポリオキシエチレン(重合度30)リン酸ナトリウム等]、カルボン酸アルカリ金属塩、アンモニウム塩又はアミン塩[ドデカン酸ナトリウム、ドデカン酸トリエタノールアミン及びウンデカン酸アンモニウム等]、アシル化アミノ酸ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム[ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン等]が挙げられる。
【0034】
カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩型界面活性剤[塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム等]、及びアミン塩型界面活性剤[オクタデカン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩等]等が挙げられる。
【0035】
両性界面活性剤としては、ベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等]、及びアミノ酸型両性界面活性剤[β−ドデシルアミノプロパン酸ナトリウム等]が挙げられる。
【0036】
増粘剤としては、有機変成モンモリロナイト、有機変成サポナイト、有機変成ヘクトライト、有機変成ナトリウムシリシックマイカナトリウム、有機変成リチウムテニオライト、有機変成ベントナイト、ヒドロキシステアリン酸、ポリイソブチレン(重量平均分子量3万〜10万)、ポリアルキルメタクリレート(重量平均分子量50万〜200万)及び金属石鹸[高級脂肪酸アルミニウム(ステアリン酸アルミニウム及びオクタン酸アルミニウム等)及び高級脂肪酸亜鉛(ステアリン酸亜鉛等)等]等が挙げられる。
【0037】
消泡剤としては、アルコール系消泡剤、脂肪酸系消泡剤、鉱物油系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤及びシリコーン系消泡剤等が使用できる。
【0038】
潤滑剤としては、高級脂肪酸塩及びワックスエマルション等が使用できる。
高級脂肪酸塩としては、炭素数13〜24の高級脂肪酸塩[ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸マグネシウム]等が挙げられる。
ワックスエマルションとしては、ポリエチレンエマルション、パラフィンワックスエマルション及びマイクロクリスタリンワックスエマルション等が挙げられる。
【0039】
減水剤としては、リグニンスルホン酸系減水剤、ナフタレンスルホン酸系減水剤、メラミンスルホン酸系減水剤及びポリカルボン酸系減水剤等が用いられる
【0040】
収縮低減剤としては、アルコール系収縮低減剤及びポリエーテル系収縮低減剤等が用いられる。
【0041】
防腐剤としては、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール(BNP)、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(MIT)、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−エチル)−s−トリアジン、o−フェニル−フェノール、3−メチル−4−クロロ−フェノール、ソジウム ピリジンチオールオキシド、ジチオカルバメート、4−(2−ニトロブチル)モルホリン及び1−(3−クロルアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニアダマンタンクロリド等が挙げられる。
【0042】
防錆剤としては、亜硝酸塩及びアミノアルコール等が挙げられる。
【0043】
溶剤としては、脂肪族アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール及びイソプロピルアルコール等)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロルエタン、1,2−ジクロルエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロルエタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン及びトリクロルエチレン等)、ケトン(アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサノン及びメチルブチルケトン等)、エーテル(エチルエーテル、1,4−ジオキサン及びテトラヒドロフラン等)、アルキレングリコールモノアルキルエーテル(エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル及びプロピレングリコールモノブチルエーテル等)、ポリアルキレングリコールジアルキルエーテル(ポリエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコールジブチルエーテル、ポリプロピレングリコールジプロピルエーテル及びポリプロピレングリコールジブチルエーテル等)、炭化水素(キシレン、シクロヘキサン、スチレン、トルエン及びn−ヘキサン)及び他の極性溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド及び二硫化炭素)等が使用できる。
【0044】
疎水性物質(A)は、アルコール(A1)、エステル(A2)及び必要により他の構成成分を均一に混合することにより得られる。
均一に混合する装置としては、均一混合できる装置であれば制限なく、プロペラ型攪拌機、ディゾルバー、ホモミキサー、ボールミル、サンドミル、超音波分散機、ニーダー及びラインミキサー等が使用できる。なお、これらの装置は任意に組み合わせて使用できる。
【0045】
疎水性物質(A)としては、固体状及び液体状のいずれの形態でもよいが、液体状(25℃)が好ましく、さらに好ましくは水中油型エマルションである。すなわち、本発明のひび割れ防止剤には、さらに水を含んでなり、疎水性物質(A)が水中油型エマルションの形態であることが好ましい。
水中油型エマルションは、(1)アルコール(A1)、エステル(A2)及び必要により他の構成成分を攪拌混合した後、水と乳化剤とを添加してエマルション化する方法、(2)水と乳化剤とを攪拌混合した後、アルコール(A1)、エステル(A2)及び他の構成成分を加えてエマルション化する方法、(3)上記の(1)又は(2)の方法で作成したエマルション(高濃度品)に、0〜30℃の水を加える方法、(4)上記の(1)又は(2)の方法で作成したエマルション(高濃度品)を、0〜30℃の水の中に添加する方法、(5)アルコール(A1)、エステル(A2)、必要により他の構成成分及び水を一度に攪拌混合してエマルション化する方法等により得ることができる。
本発明において、乳化剤としては上記の界面活性剤等が使用できる。
【0046】
乳化分散装置としては、プロペラ型撹拌機、ピストン型高圧乳化機、ホモミキサー、超音波式乳化分散機、加圧ノズル式乳化機、高速回転高せん断型撹拌分散機、コロイドミル、メディア型分散機(例えばサンドグラインダー、アジテーターミル、ボールミル及びアトライター等)が使用できる。なお、これらの装置は任意に組み合わせて使用できる。
【0047】
水中油型エマルション中の疎水性物質からなる油滴の体積平均粒子径(μm)は、0.5〜30が好ましく、さらに好ましくは1〜15、特に好ましくは2〜10である。この範囲であると、ひび割れ防止性がさらに良好となる。
【0048】
なお、本発明において、体積平均粒子径は、JIS Z8825−1:2001に準拠したレーザー回折式粒度分析計{例えば、Leeds&Northrup Co.製Microtrac Model No.9320-X100(レーザー光波長:780nm}を用い、電気伝導度(25℃)0.1mS/m以下の脱イオン水1000重量部と重量平均分子量50万〜200万のポリアクリルアミド(サンフロックNOP;三洋化成工業株式会社製等)0.2重量部との水溶液に、測定試料濃度0.1重量%となるように測定試料を添加して測定分散液を調製して、測定温度25±5℃で測定した後、ポリアクリルアミド水溶液の屈折率として1.33を、測定試料の屈折率として文献値(Microtrac Model No.9320-X100に付属の「測定時の入力条件に関するガイドライン」、14〜25頁、日機装株式会社作成)を用いて、50%積算体積平均粒子径として求められる。
【0049】
多孔質粉体(B)としては、多孔質無機粉体等が使用でき、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、カーボンブラック、タルク、シリカゲル、ケイ酸アルミニウム、カオリン、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、ゼオライト、セメント、フライアッシュ、クレー、石膏及び珪藻土等が挙げられる。これらのうち、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カーボンブラック及びタルクからなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましく、さらに好ましくは炭酸カルシウム及びシリカ、特に好ましくはシリカである。
なお、流動性改質や固結防止が必要な場合、シリカは、炭素数1〜12のアルキル基を有するシランカップリング剤等により疎水化処理してから使用することが好ましい。
【0050】
多孔質粉体(B)のBET比表面積(m2/g)は、0.5〜1000が好ましく、さらに好ましくは50〜800、特に好ましくは100〜500である。この範囲であると、ひび割れ防止性がさらに良好となる。
なお、BET比表面積は、JIS R1626−1996(一点法)に準拠して測定される値である{測定試料:50mg(200℃で15分間加熱処理したサンプル)、吸着量の測定方法:定溶法、吸着質:混合ガス(N270体積%、He30体積%)、測定平衡相対圧:0.3、装置:たとえば、大倉理研社製、全自動粉体表面測定装置 AMS−8000}。
【0051】
多孔質粉体(B)のフタル酸ジ-n-ブチル(DBP)吸油量(ml/100g)は、10〜500が好ましく、さらに好ましくは50〜400、特に好ましくは100〜300である。この範囲であると、ひび割れ防止性がさらに良好となる。
なお、DBP吸油量は、JIS K5101−1991に準拠して測定される値である[多孔質粉体にDBPを滴下しつつ練り合わせ、全体がかたい1つの塊となる点を終点とする]。
【0052】
多孔質粉体(B)の体積平均粒子径(μm)は、0.1〜1000が好ましく、さらに好ましくは3〜500、特に好ましくは5〜300である。この範囲であると、ひび割れ防止性がさらに良好となる。
【0053】
アルコール(A1)の含有量(重量%)は、アルコール(A1)、エステル(A2)及び多孔質粉体(B)の重量に基づいて、1〜75が好ましく、さらに好ましくは5〜70、特に好ましくは10〜65である。この範囲であると、ひび割れ防止性がさらに良好となる。
エステル(A2)の含有量(重量%)は、アルコール(A1)、エステル(A2)及び多孔質粉体(B)の重量に基づいて、1〜60が好ましく、さらに好ましくは5〜55、特に好ましくは10〜50である。この範囲であると、ひび割れ防止性がさらに良好となる。
多孔質粉体(B)の含有量(重量%)は、アルコール(A1)、エステル(A2)及び多孔質粉体(B)の重量に基づいて、24〜98が好ましく、さらに好ましくは27〜74、特に好ましくは30〜59である。この範囲であると、ひび割れ防止性がさらに良好となる。
【0054】
本発明のひび割れ防止剤には、疎水性物質(A)及び多孔質粉体(B)以外に、−50〜2℃の流動点を有する炭化水素油(C)及び/又は他の構成成分を含んでもよい。
−50〜2℃の流動点を有する炭化水素油(C)としては、上記の炭化水素油のうち、魚油、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、トウモロコシ油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油、、ポリオレフィン油(α―オレフィン油)、ポリグリコール油、ポリブテン油、アルキルベンゼン油(アルキレート油)及びイソパラフィン油等が好ましく用いられる。
なお、流動点は、JIS K 2269−1987(3.流動点試験法)に準拠して測定される。
炭化水素油(C)を含む場合、炭化水素油(C)の含有量(重量%)は、アルコール(A1)、エステル(A2)及び多孔質粉体(B)の合計重量に基づいて、1〜50が好ましく、さらに好ましくは2〜45、特に好ましくは3〜40である。この範囲であると、ひび割れ防止性及びコテ作業性が良好となる。
【0055】
他の構成成分としては、疎水性物質(A)に含んでもよい他の構成成分と同様である。
他の構成成分を含有する場合、これらの合計含有量(重量%)は、本発明のひび割れ防止剤の重量に基づいて、0.01〜20が好ましく、さらに好ましくは0.05〜10、特に好ましくは0.1〜1である。この範囲であるとひび割れ防止性がさらに良好となる。
【0056】
本発明のプラスター又はモルタル用ひび割れ防止剤の形態としては、疎水性物質(A)と多孔質粉体(B)とからなるものであれば特に限定されることなく、塊状(体積平均粒子径:10mm以上)、粒状(体積平均粒子径:50μm以上10mm未満)、粉末状(体積平均粒子径:50μm未満)等が挙げられるが、作業性等の観点から、粉末状または粒状が好ましく、特に好ましくは粉末状である。
【0057】
本発明のひび割れ防止剤の製造方法としては特に制限は無いが、攪拌混合装置に疎水性物質(A)、多孔質粉体(B)、並びに必要により炭化水素油(C)及び/又は他の構成成分を仕込み、攪拌混合する方法が好ましい。攪拌混合装置に(A)、(B)、並びに必要により(C)及び/又は他の構成成分を仕込む方法としては、(A)、(B)、並びに必要により(C)及び/又は他の構成成分の全量を一括して投入する方法、(A)、並びに必要により(C)及び/又は他の構成成分の全量に(B)を少量ずつ連続又は分割して投入する方法、(B)の全量に(A)、並びに必要により(C)及び/又は他の構成成分を少量ずつ連続又は分割して投入する方法、(A)と(B)と必要により(C)及び/又は他の構成成分とを同時に少量ずつ連続又は分割して投入する方法等が適用できる。
疎水性物質(A)は、固体状(粒状又は粉末状等)及び液体状(25℃)のいずれの形態でもよいが、固体状のものは溶融液体、エマルション又は溶液にして使用することが好ましい。
【0058】
攪拌混合装置としては、公知の攪拌混合装置が使用でき、プロペラ型攪拌機、ディゾルバー、ホモミキサー、ボールミル、サンドミル、ニーダー、ラインミキサー、リボンミキサー、傾胴ミキサー、オムニミキサー及びヘンシェルミキサー等が例示される。
【0059】
本発明のプラスター又はモルタル用ひび割れ防止剤は、プラスター又はモルタルとして使用されるものであれば限定されることなく適用できる。
これらのプラスター又はモルタルとしては、石膏(α石膏及びβ石膏等)、ドロマイト又はセメント(ケイ酸石灰質セメント及びアルミン酸石灰質セメント等)等の水硬化性物質を主成分とし、水、水溶性高分子、珪砂等の細骨材、高炉スラグ、フライアッシュ及びシリカヒューム等の混和材料、並びにナイロン、ポリプロピレン、ガラス、スチール及びカーボン等の繊維補強材等を適宜含むもの等が挙げられる。
【0060】
本発明のプラスター又はモルタル用ひび割れ防止剤の使用量(重量%)は、水以外のプラスター配合物又はモルタル配合物の重量に基づいて、0.01〜20が好ましく、さらに好ましくは0.03〜15、特に好ましくは0.05〜10である。この範囲であると、ひび割れ防止性がさらに良好となる。
【0061】
本発明のプラスター又はモルタル用ひび割れ防止剤は、公知の添加剤(材)を併用することができる。併用できる添加剤としては、消泡剤、増粘剤、防水剤、遅延剤、早強剤、促進剤、減水剤、高性能減水剤、起泡剤、発泡剤、AE剤、高性能AE剤、急結剤、凝結剤、水和熱低減剤、防凍剤、ポンプ圧送向上剤、アルカリ骨材反応抑制剤、エフロレッセンス防止剤、ポリマー混和剤、防錆剤及び他の界面活性剤等が挙げられる。
【実施例】
【0062】
次に、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下、特記しない限り部は重量部を、%は重量%を意味する。
<実施例1>
リボンミキサー機(RMA−0045T、アルファ社製)にシリカ(b1)[ニップシールKQ、体積平均粒子径20μm、BET比表面積220m2/g、DBP吸油量220ml/100g、東ソー・シリカ(株)製]30部を仕込んだ。このシリカ(b1)に、ステアリルアルコール(a11)[カルコール8099、融点59℃、純度99%以上、花王(株)製]60部とステアリン酸メチル(a21)[融点41℃、純度98%以上、和光純薬工業(株)製]10部とを溶融・混合(20〜87℃)して得た溶融混合物を、攪拌しながら一定速度で10分間かけて滴下した。引き続き0.5時間攪拌して均一化して、本発明のひび割れ防止剤1を得た。
【0063】
<実施例2>
シリカ(b1)30部、ステアリルアルコール(a11)60部及びステアリン酸メチル(a21)10部を、シリカ(b2)[ニップシールNA、体積平均粒子径12μm、BET比表面積160m2/g、DBP吸油量250ml/100g、東ソー・シリカ(株)製]50部、ステアリルアルコール(a11)30部及びステアリン酸メチル(a21)20部に変更した以外実施例1と同様にして、本発明のひび割れ防止剤2を得た。
【0064】
<実施例3>
シリカ(b1)30部、ステアリルアルコール(a11)60部及びステアリン酸メチル(a21)10部を、アルミナ(b3)[UA−5035、体積平均粒子径15μm、BET比表面積0.5m2/g、DBP吸油量15ml/100g、昭和電工(株)製]98部、ステアリルアルコール(a11)1部及びステアリン酸メチル(a21)1部に変更した以外実施例1と同様にして、本発明のひび割れ防止剤3を得た。
【0065】
<実施例4>
ステアリルアルコール(a11)及びステアリン酸メチル(a21)を、トリアコンチルアルコール(a12)[融点87℃、純度98%以上、和光純薬工業(株)製]及びステアリン酸ステアリル(a22)[融点61℃、純度98%以上、和光純薬工業(株)製]に変更した以外実施例1と同様にして、本発明のひび割れ防止剤4を得た。
【0066】
<実施例5>
シリカ(b1)30部、ステアリルアルコール(a11)60部及びステアリン酸メチル(a21)10部を、シリカ(b2)50部、トリアコンチルアルコール(a12)30部及びステアリン酸ステアリル(a22)20部に変更した以外実施例1と同様にして、本発明のひび割れ防止剤5を得た。
【0067】
<実施例6>
シリカ(b1)30部、ステアリルアルコール(a11)60部及びステアリン酸メチル(a21)10部を、酸化チタン(b4)[EC−100、体積平均粒子径0.4μm、BET比表面積27m2/g、DBP吸油量30ml/100g、チタン工業(株)製]98部、トリアコンチルアルコール(a12)1部及びステアリン酸ステアリル(a22)1部に変更した以外実施例1と同様にして、本発明のひび割れ防止剤6を得た。
【0068】
<実施例7>
ステアリルアルコール(a11)及びステアリン酸メチル(a21)を、シクロヘキサノール(a13)[融点:21℃、純度98%以上、和光純薬工業(株)製]及び酢酸メチル(a23)[純度98%以上、融点−98℃、和光純薬工業(株)製]に変更した以外実施例1と同様にして、本発明のひび割れ防止剤7を得た。
【0069】
<実施例8>
シリカ(b1)30部、ステアリルアルコール(a11)60部及びステアリン酸メチル(a21)10部を、シリカ(b2)50部、シクロヘキサノール(a13)30部及び酢酸メチル(a23)20部に変更した以外実施例1と同様にして、本発明のひび割れ防止剤8を得た。
【0070】
<実施例9>
シリカ(b1)30部、ステアリルアルコール(a11)60部及びステアリン酸メチル(a21)10部を、炭酸カルシウム(b5)[エスカロン♯2200、体積平均粒子径2μm、BET比表面積2.2m2/g、DBP吸油量35ml/100g、三共精粉(株)製]98部、シクロヘキサノール(a13)1部及び酢酸メチル(a23)1部に変更した以外実施例1と同様にして、本発明のひび割れ防止剤9を得た。
【0071】
<実施例10>
ステアリルアルコール(a11)60部及びステアリン酸メチル(a21)10部を、ベンジルアルコール(a14)[融点−15℃、純度98%以上、和光純薬工業(株)製]75部及びフェニル酢酸メチル(a24)[融点:25℃で液体、純度98%以上、Aldrich製]1部に変更した以外実施例1と同様にして、本発明のひび割れ防止剤10を得た。
【0072】
<実施例11>
シリカ(b1)30部、ステアリルアルコール(a11)60部及びステアリン酸メチル(a21)10部を、シリカ(b2)50部、ベンジルアルコール(a14)30部及びフェニル酢酸メチル(a24)20部に変更した以外実施例1と同様にして、本発明のひび割れ防止剤11を得た。
【0073】
<実施例12>
シリカ(b1)30部、ステアリルアルコール(a11)60部及びステアリン酸メチル(a21)10部を、炭酸マグネシウム(b6)[商品名:金星、体積平均粒子径6μm、BET比表面積130m2/g、DBP吸油量130ml/100g、林化成(株)製]98部、ベンジルアルコール(a14)1部及びフェニル酢酸メチル(a24)1部に変更した以外実施例1と同様にして、本発明のひび割れ防止剤12を得た。
【0074】
<比較例1>
リボンミキサー機(RMA−0045T アルファ社製)にシリカ(b1)30部を仕込み、90℃で加熱溶融したステアリルアルコール(a11)70部を、攪拌しながら一定速度で10分間で滴下をした後、0.5時間攪拌して均一化して、比較用のひび割れ防止剤13を得た。
【0075】
<比較例2>
ステアリルアルコール(a11)をトリアコンチルアルコール(a12)に変更した以外比較例1と同様にして、比較用のひび割れ防止剤14を得た。
【0076】
<比較例3>
ステアリルアルコール(a11)をシクロヘキサノール(a13)に変更した以外比較例1と同様にして、比較用のひび割れ防止剤15を得た。
【0077】
<比較例4>
ステアリルアルコール(a11)をベンジルアルコール(a14)に変更した以外比較例1と同様にして、比較用のひび割れ防止剤16を得た。
【0078】
<実施例13>
ステンレスビーカーにスアリルアルコール(a11)16.5部とステアリン酸メチル(a21)2.8部、キサンタンガム水溶液{キサンタンガム[ケルザン、井上香料(株)製]0.4部を水道水5部で溶解した水溶液、以下同じ。}5.4部、及びポリオキシエチレン(5モル付加物)オクチルフェニルエーテル・コハク酸半エステルナトリウム塩[ソフタノールMES−9、(株)日本触媒製]1.3部をプロペラ攪拌機で300rpmに攪拌しながら、90℃に加熱して混合液とした。
一方、別途ステンレスビーカーに水道水44部を2℃に調整し、ホモミキサー(T.K.HOMO MIXER MARKII、特殊機化工業(株)製)で3000rpmに攪拌しながら、上記の混合液を一定速度で10分かけて25℃以下に保ちつつ添加した。その後、エマルション中の液滴の体積平均粒子径が0.5〜30μmになるまでさらに25℃で攪拌を続けて、水中油型エマルション(1)を得た。
次にリボンミキサー機(RMA−0045T、アルファ社製)にシリカ(b1)30部を仕込み、攪拌しながら水中油型エマルション(1)70部を一定速度で10分かけて滴下をした後、さらに0.5時間攪拌して均一化して、本発明のひび割れ防止剤17を得た。
【0079】
<実施例14>
シリカ(b1)30部及び水中油型エマルション(1)70部を、シリカ(b2)40部及び水中油型エマルション(1)60部に変更した以外実施例13と同様にして、本発明のひび割れ防止剤18を得た。
【0080】
<実施例15>
シリカ(b1)30部及び水中油型エマルション(1)70部を、シリカ(b7)[ニップシールNS−T、体積平均粒子径11μm、BET比表面積180m2/g、DBP吸油量250ml/100g、東ソー・シリカ(株)製]50部及び水中油型エマルション(1)50部に変更した以外実施例13と同様にして、本発明のひび割れ防止剤19を得た。
【0081】
<実施例16>
ステアリルアルコール(a11)及びステアリン酸メチル(a21)を、トリアコンチルアルコール(a12)及びステアリン酸ステアリル(a22)に変更した以外実施例13と同様にして、本発明のひび割れ防止剤20を得た。
【0082】
<実施例17>
ステアリルアルコール(a11)及びステアリン酸メチル(a21)を、トリアコンチルアルコール(a12)及びステアリン酸ステアリル(a22)に変更した以外実施例13と同様にして水中油型エマルション(2)を得た。ついで、シリカ(b1)30部及び水中油型エマルション(1)70部を、シリカ(b12)40部及び水中油型エマルション(2)60部に変更した以外実施例13と同様にして、本発明のひび割れ防止剤21を得た。
【0083】
<実施例18>
ステアリルアルコール(a11)及びステアリン酸メチル(a21)を、トリアコンチルアルコール(a12)及びステアリン酸ステアリル(a22)に変更した以外実施例13と同様にして水中エマルション(2)を得た。ついで、シリカ(b1)30部及び水中油型エマルション(1)70部を、カーボンブラック(b8)[ケッチェンブラックEC、体積平均粒子径40μm、BET比表面積800m2/g、DBP吸油量360ml/100g、ライオン(株)製]50部及び水中油型エマルション(2)50部に変更した以外実施例13と同様にして、本発明のひび割れ防止剤22を得た。
【0084】
<実施例19>
ステアリルアルコール(a11)及びステアリン酸メチル(a21)を、シクロヘキサノール(a13)及び酢酸メチル(a23)に変更した以外実施例13と同様にして、本発明のひび割れ防止剤23を得た。
【0085】
<実施例20>
ステアリルアルコール(a11)及びステアリン酸メチル(a21)を、シクロヘキサノール(a13)及び酢酸メチル(a23)に変更した以外実施例13と同様にして、水中エマルション(3)を得た。ついで、シリカ(b1)30部及び水中油型エマルション(1)70部を、シリカ(b2)60部及び水中油型エマルション(3)40部に変更した以外実施例13と同様にして、本発明のひび割れ防止剤24を得た。
【0086】
<実施例21>
ステアリルアルコール(a11)及びステアリン酸メチル(a21)を、シクロヘキサノール(a13)及び酢酸メチル(a23)に変更した以外実施例13と同様にして、水中エマルション(3)を得た。ついで、シリカ(b1)30部及び水中油型エマルション(1)70部を、タルク(b9)[商品名:MS、体積平均粒子径13μm、BET比表面積4.5m2/g、DBP吸油量32ml/100g、日本タルク(株)製]50部及び水中油型エマルション(3)50部に変更した以外実施例13と同様にして、本発明のひび割れ防止剤25を得た。
【0087】
<実施例22>
ステアリルアルコール(a11)及びステアリン酸メチル(a21)を、ベンジルアルコール(a14)及びフェニル酢酸メチル(a24)に変更した以外実施例13と同様にして、本発明のひび割れ防止剤26を得た。
【0088】
<実施例23>
ステアリルアルコール(a11)及びステアリン酸メチル(a21)を、ベンジルアルコール(a14)及びフェニル酢酸メチル(a24)に変更した以外実施例13と同様にして水中エマルション(4)を得た。ついで、シリカ(b1)30部及び水中油型エマルション(1)70部を、シリカ(b12)40部及び水中油型エマルション(4)60部に変更した以外実施例13と同様にして、本発明のひび割れ防止剤27を得た。
【0089】
<実施例24>
ステアリルアルコール(a11)及びステアリン酸メチル(a21)を、ベンジルアルコール(a14)及びフェニル酢酸メチル(a24)に変更した以外実施例13と同様にして水中エマルション(4)を得た。ついで、シリカ(b1)30部及び水中油型エマルション(1)70部を、シリカC(b7)50部及び水中油型エマルション(4)50部に変更した以外実施例13と同様にして、本発明のひび割れ防止剤28を得た。
【0090】
<比較例5>
ステンレスビーカーにステアリルアルコール(a11)19.3部、キサンタンガム水溶液5.4部、及びポリオキシエチレン(5モル付加物)オクチルフェニルエーテル・コハク酸半エステルナトリウム塩1.3部をプロペラ攪拌機で300rpmに攪拌しながら、90℃に加熱して混合液とした。
一方、別途ステンレスビーカーに水道水44部を2℃に調整し、ホモミキサーで3000rpmに攪拌しながら、上記の混合液を一定速度で10分かけて25℃以下に保ちつつ添加した。その後、エマルション中の液滴の体積平均粒子径が0.5〜30μmになるまでさらに25℃で攪拌を続けて、比較用の水中油型エマルション(5)を得た。
次にリボンミキサー機(RMA−0045T アルファ社製)にシリカ(b1)30部を仕込み、攪拌しながら水中油型エマルション(5)70部を一定速度で10分かけて滴下をした後、さらに0.5時間攪拌して均一化して、比較用のひび割れ防止剤29を得た。
【0091】
<比較例6>
ステアリルアルコール(a11)を、トリアコンチルアルコール(a12)に変更した以外比較例5と同様にして、比較用のひび割れ防止剤30を得た。
【0092】
<比較例7>
ステアリルアルコール(a11)を、シクロヘキサノール(a13)に変更した以外比較例5と同様にして、比較用のひび割れ防止剤31を得た。
【0093】
<比較例8>
ステアリルアルコール(a11)を、ベンジルアルコール(a14)に変更した以外比較例5と同様にして、比較用のひび割れ防止剤32を得た。
【0094】
<実施例25>
リボンミキサー機(RMA−0045T、アルファ社製)にシリカ(b1)29.7部を仕込んだ。このシリカ(b1)に、ステアリルアルコール(a11)59.4部とステアリン酸メチル(a21)9.9部とを溶融・混合(20〜87℃)して得た溶融混合物を、攪拌しながら一定速度で10分間かけて滴下した。引き続き、大豆油(c1)[JAS規格品、日清オイリオグループ(株)製]1部を攪拌しながら一定速度で10分間かけて滴下した。続いて0.5時間攪拌して均一化して、本発明のひび割れ防止剤33を得た。
【0095】
<実施例26>
シリカ(b1)29.7部、ステアリルアルコール(a11)59.4部、ステアリン酸メチル(a21)9.9部及び大豆油1部を、シリカ(b2)47.5部、ステアリルアルコール(a11)28.5部及びステアリン酸メチル(a21)19部、菜種油(c2)[JAS規格品、日清オイリオグループ(株)製]5部に変更した以外実施例25と同様にして、本発明のひび割れ防止剤34を得た。
【0096】
<実施例27>
シリカ(b1)29.7部、ステアリルアルコール(a11)59.4部、ステアリン酸メチル(a21)9.9部及び大豆油1部を、アルミナ(b3)49部、ステアリルアルコール(a11)0.5部、ステアリン酸メチル(a21)0.5部及びヒマワリ種子油(c3)[JAS規格品、日清オイリオグループ(株)製]50部に変更した以外実施例25と同様にして、本発明のひび割れ防止剤35を得た。
【0097】
<実施例28>
ステンレスビーカーにスアリルアルコール(a11)16.5部とステアリン酸メチル(a21)2.8部、キサンタンガム水溶液5.4部、及びポリオキシエチレン(5モル付加物)オクチルフェニルエーテル・コハク酸半エステルナトリウム塩1.3部をプロペラ攪拌機で300rpmに攪拌しながら、90℃に加熱して混合液とした。
一方、別途ステンレスビーカーに水道水44部を2℃に調整し、ホモミキサー(T.K.HOMO MIXER MARKII、特殊機化工業(株)製)で3000rpmに攪拌しながら、上記の混合液を一定速度で10分かけて25℃以下に保ちつつ添加した。その後、エマルション中の液滴の体積平均粒子径が0.5〜30μmになるまでさらに25℃で攪拌を続けて、水中油型エマルション(1)を得た。
次にリボンミキサー機(RMA−0045T、アルファ社製)にシリカ(b1)29.7部を仕込み、攪拌しながら水中油型エマルション(1)69.3部を一定速度で10分かけて滴下をした後、大豆油(c1)1部を攪拌しながら一定速度で10分間かけて滴下した。さらに0.5時間攪拌して均一化して、本発明のひび割れ防止剤36を得た。
【0098】
<実施例29>
シリカ(b1)29.7部、水中油型エマルション(1)69.3部及び大豆油(c1)1部を、シリカ(b2)38部、水中油型エマルション(1)57部及び菜種油(c2)に変更した以外実施例28と同様にして、本発明のひび割れ防止剤37を得た。
【0099】
<実施例30>
シリカ(b1)29.7部、水中油型エマルション(1)69.3部及び大豆油(c1)1部を、シリカ(b2)25部、水中油型エマルション(1)25部及びヒマワリ種子油(c2)に変更した以外実施例28と同様にして、本発明のひび割れ防止剤38を得た。
【0100】
<ひび割れ性評価方法>
実施例及び比較例で得たひび割れ防止剤1〜38を用いて、以下のようにしてプラスター又はモルタルを調製し、ひび割れ性及びコテ作業性の評価を行い、その結果を表3〜5に示した。
(1)表1に示した配合成分のうち減水剤及び水以外の成分を表1の配合量で、モルタルミキサー((株)丸東製作所製)を用いて10秒間空練りした後、減水剤及び水を表1の配合量で加えて、3分間混練してプラスターを得た。次いで直ちに縦110mm、横215mm、深さ60mmのポリエチレン製型枠に4mm及び50mmの厚さでそれぞれ充填した後、温度25±2℃、相対湿度60±5%の恒温恒湿室内で養生し、1時間後、2時間後、3時間後にカッターナイフで30mm毎に縦方向に100mmの切れ目を入れ、ひび割れの状態(カッターナイフの切れ目の戻り具合と周囲のひびの状態)を観察し、次の3段階(○、△、×)でひび割れ性を評価した。
○−ひび割れの発生なし。
(切れ目の戻り具合が良好で、切れ目の周囲にひびの発生がない。)
△−ひび割れの発生少しあり。
(切れ目の戻り具合がやや悪く、切れ目の周囲にややひびの発生がある。)
×−ひび割れの発生あり。
(切れ目の戻り具合が非常に悪く、切れ目の周囲にひびの発生がある。)
【0101】
【表1】

【0102】
(2)表1に記載した配合成分を表2に記載した配合成分に変更した以外、上記(1)と同様にしてモルタルを調製し、同様に評価した。
【表2】

【0103】
表1及び2において、配合成分は、以下のものを使用した。
セメント :普通ポルトランドセメント、太平洋セメント(株)製
α型半水石膏:YGK、吉野石膏(株)製
珪砂6号 :愛知八草地区乾燥珪砂
減水剤 :シーカメント1100NT、日本シーカ(株)製
増粘剤 :メチルセルロース(90SH−4000)、信越化学(株)製
消泡剤 :SNデフォーマー148−P、サンノプコ(株)製
【0104】
<コテ作業性評価方法>
上記と同様にして得たプラスター又はモルタル2.5kgを、コンクリート板{300mm×300mm×60mm、コンクリート平板(普通フラット)、(株)セイコン製}上に、50mm厚になるようにコテ塗りを{コテはフローラインステン仕上鏝(板厚0.3mm、サイズ210mm)、(株)アローライン工業を用いた}行い、次の基準によりコテ作業性を評価した。
◎−コテ作業性に優れている(極めて容易に平滑に塗布できた)
○−コテ作業性が良い(容易に平滑に塗布できた)
△−コテ作業性が普通(平滑に塗布できた)
×−コテ作業性に劣る(平滑に塗布できなかった)
【0105】
【表3】

【0106】
【表4】

【0107】
【表5】

【0108】
表3、4及び5から、比較例1〜8のひび割れ防止剤を使用したプラスター又はモルタルは、凝結による急速な収縮を起こすため、養生時間の経過とともに表面にひび割れが生じ、とくにプラスター又はモルタルの厚みが増すほどひび割れの発生が多いのに対して、本発明のひび割れ防止剤を使用したプラスター又はモルタルは、厚塗りした場合においても、表面のひび割れを完全に防止できた。また、比較例1〜8のひび割れ防止剤を使用したプラスター又はモルタルは、コテ作業性が悪かったのに対して、本発明のひび割れ防止剤を使用したプラスター又はモルタルは、コテ作業性が良好であった。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコール(A1)及びエステル(A2)を含有してなる疎水性物質(A)と多孔質粉体(B)とからなることを特徴とするプラスター又はモルタル用ひび割れ防止剤。
【請求項2】
さらに水を含んでなり、疎水性物質(A)が水中油型エマルションの形態である請求項1に記載のひび割れ防止剤。
【請求項3】
さらに−50〜2℃の流動点を有する炭化水素油(C)を含んでなる請求項1又は2に記載のひび割れ防止剤。
【請求項4】
疎水性物質からなる油滴の体積平均粒子径が0.5〜30μmである請求項2又は3に記載のひび割れ防止剤。
【請求項5】
アルコール(A1)が脂肪族アルコール、芳香脂肪族アルコール及び脂環式アルコールからなる群より選ばれる少なくとも一種であり、エステル(A2)が脂肪族カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、芳香脂肪族カルボン酸エステル及び脂環式カルボン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1〜4のいずれかに記載のひび割れ防止剤。
【請求項6】
多孔質粉体(B)が、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カーボンブラック及びタルクからなる群より選ばれる少なくとも1種であって、0.5〜1000m2/gのBET比表面積と10〜500ml/100gのDBP吸油量とを有する請求項1〜5のいずれかに記載のひび割れ防止剤。
【請求項7】
アルコール(A1)、エステル(A2)及び多孔質粉体(B)の合計重量に基づいて、(A1)の含有量が1〜75重量%、(A2)の含有量が1〜60重量%、(B)の含有量が24〜98重量%である請求項1〜6のいずれかに記載のひび割れ防止剤。
【請求項8】
アルコール(A1)、エステル(A2)及び多孔質粉体(B)の合計重量に基づいて、(A1)、(A2)及び(B)の合計含有量が50〜99重量%、(C)の含有量が1〜50重量%である請求項1〜7のいずれかに記載のひび割れ防止剤。