プラズマジェット点火プラグ
【課題】プラズマがキャビティ部から噴出するまでの絶縁碍子に対するプラズマの反射回数を効果的に低減させ、着火性の向上を図る。
【解決手段】点火プラグ1は、絶縁碍子2と、中心電極5と、自身の少なくとも一部が絶縁碍子2の先端よりも軸線CL1方向先端側に配置される接地電極27とを備え、絶縁碍子2の先端に形成される凹部であって、軸線CL1方向先端側に向けて開口するキャビティ部28を有する。中心電極5の一部は、キャビティ部28内に配置され、接地電極27の一部は、キャビティ部28の開口よりも軸線CL1側に位置するとともに、中心電極5との間で間隙29を形成する。中心電極5及び接地電極27間を最短距離で結ぶ線分LSを含み、軸線CL1と平行な断面において、キャビティ部28の外形線のうちの少なくとも一部は、線分LS上の2点を焦点とする楕円EL上に位置する湾曲線とされる。
【解決手段】点火プラグ1は、絶縁碍子2と、中心電極5と、自身の少なくとも一部が絶縁碍子2の先端よりも軸線CL1方向先端側に配置される接地電極27とを備え、絶縁碍子2の先端に形成される凹部であって、軸線CL1方向先端側に向けて開口するキャビティ部28を有する。中心電極5の一部は、キャビティ部28内に配置され、接地電極27の一部は、キャビティ部28の開口よりも軸線CL1側に位置するとともに、中心電極5との間で間隙29を形成する。中心電極5及び接地電極27間を最短距離で結ぶ線分LSを含み、軸線CL1と平行な断面において、キャビティ部28の外形線のうちの少なくとも一部は、線分LS上の2点を焦点とする楕円EL上に位置する湾曲線とされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマを生成して混合気への着火を行うプラズマジェット点火プラグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関等の燃焼装置においては、火花放電により混合気へと着火する点火プラグが使用されている。また近年では、燃焼装置の高出力化や低燃費化の要求に応えるべく、燃焼の広がりが速く、着火限界空燃比のより高い希薄混合気に対してもより確実に着火可能な点火プラグとして、プラズマジェット点火プラグが提案されている。
【0003】
一般にプラズマジェット点火プラグは、軸孔を有する筒状の絶縁体と、先端面が絶縁体の先端面よりも没入した状態で前記軸孔内に挿設される中心電極と、絶縁体の外周に配置される主体金具と、前記主体金具の先端部に接合される円環状の接地電極とを備える。また、プラズマジェット点火プラグは、中心電極の先端面及び絶縁体の内周面によって形成された円柱状の空間(キャビティ部)を有しており、当該キャビティ部は接地電極に形成された貫通孔を介して外部に連通されるようになっている(例えば、特許文献1等参照)。
【0004】
このようなプラズマジェット点火プラグにおいては、次のようにして混合気への着火が行われる。まず、中心電極と接地電極との間に形成された間隙に電圧を印加して、当該間隙に火花放電を生じさせる。その上で、前記間隙に電力を投入することによってキャビティ部内の気体をプラズマ化させて、キャビティ部の内部にプラズマを生成する。そして、生成されたプラズマがキャビティ部の開口から外部に噴出することで、混合気への着火が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−287666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、生成されたプラズマの大部分は、キャビティ部を形成する絶縁体の内周面に対して幾度も反射した上で、キャビティ部から噴出する。従って、反射に伴いプラズマの熱的及び運動的なエネルギーに損失が生じてしまい、着火性の面で、プラズマのエネルギーが有効的に利用されないおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、プラズマがキャビティ部から噴出するまでの絶縁体に対するプラズマの反射回数を効果的に低減させ、着火性の向上を図ることができるプラズマジェット点火プラグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を解決するのに適した各構成につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する構成に特有の作用効果を付記する。
【0009】
構成1.本構成のプラズマジェット点火プラグは、軸線方向に延びる軸孔を有する絶縁体と、
前記軸孔に挿設される中心電極と、
前記絶縁体の外周に配置される主体金具と、
前記主体金具の先端部に固定され、自身の少なくとも一部が前記絶縁体の先端よりも前記軸線方向先端側に配置される接地電極とを備え、
前記絶縁体の先端に形成される凹部であって、前記軸線方向先端側に向けて開口するキャビティ部を有するプラズマジェット点火プラグであって、
前記中心電極の一部は、前記キャビティ部内に配置され、
前記接地電極の一部は、前記キャビティ部の開口よりも前記軸線側に位置するとともに、前記中心電極との間で間隙を形成し、
前記中心電極及び前記接地電極間を最短距離で結ぶ線分を含み、前記軸線と平行な断面において、
前記キャビティ部の外形線のうちの少なくとも一部は、前記線分上の2点を焦点とする楕円上に位置する湾曲線であることを特徴とする。
【0010】
上記構成1によれば、中心電極の一部がキャビティ部内に配置され、かつ、接地電極の一部がキャビティ部の開口よりも軸線側に位置している。そのため、中心電極及び接地電極間において、絶縁体の表面を這った放電ではなく、気中における放電をより確実に生じさせることができる。従って、周囲に十分な気体が存在する位置において、周囲に広がりを抑制するものがない状態でプラズマを生成することができる。その結果、より大きなプラズマを生成することができ、着火性の向上を図ることができる。
【0011】
加えて、上記構成1によれば、中心電極の一部がキャビティ部内に配置されており、接地電極の一部が、絶縁体の先端よりも軸線方向先端側に配置されている。そのため、中心電極及び接地電極間に形成される間隙が、キャビティ部の開口側(プラズマの噴出口側)に形成されることとなる。そして、上記構成1によれば、中心電極及び接地電極間を最短距離で結ぶ線分(すなわち、両電極間に形成された間隙を通過する線分)を含み、軸線と平行な断面において、キャビティ部の外形線(絶縁体の表面)のうちの少なくとも一部が、前記線分上の2点を焦点とする楕円上に位置する湾曲線とされている。従って、気中放電に伴い間隙にて生成されたプラズマのうちキャビティ部側に広がったものは、湾曲状の絶縁体表面に当たった際に、前記線分と交差する方向、すなわち、キャビティ部の開口側(プラズマの噴出口側)に形成された前記間隙を通過する方向へと反射し、外部に噴出することとなる。これにより、プラズマがキャビティ部から噴出するまでの絶縁体に対するプラズマの反射回数を効果的に低減させることができ、プラズマのエネルギー損失をより確実に少なくすることができる。その結果、着火性の向上を図ることができる。
【0012】
構成2.本構成のプラズマジェット点火プラグは、上記構成1において、前記断面において、
前記キャビティ部の外形線上に位置し前記中心電極に最も接近する点と、前記線分の前記接地電極側の端点とを結んだ仮想線を含む、当該仮想線よりも前記軸線方向後端側の範囲内に、前記接地電極が位置することを特徴とする。
【0013】
上記構成2によれば、絶縁体表面で反射し間隙を通過したプラズマの外部への噴出が、接地電極により阻害されてしまうという事態をより確実に防止することができる。その結果、着火性の一層の向上を図ることができる。
【0014】
構成3.本構成のプラズマジェット点火プラグは、上記構成1又は2において、前記中心電極の先端は、前記線分の前記接地電極側の端点を含む、当該端点よりも前記軸線方向後端側の範囲内に位置することを特徴とする。
【0015】
上記構成3によれば、絶縁体表面で反射し間隙を通過したプラズマの外部への噴出が、中心電極により阻害されてしまうという事態をより確実に防止することができる。その結果、着火性の更なる向上を図ることができる。
【0016】
構成4.本構成のプラズマジェット点火プラグは、上記構成1乃至3のいずれかにおいて、前記絶縁体の先端面と前記接地電極の前記絶縁体側の面との間には、隙間が設けられることを特徴とする。
【0017】
上記構成4によれば、絶縁体の先端面と接地電極の絶縁体側の面との間に、隙間が設けられている。従って、中心電極及び接地電極間において、気中での放電をより一層確実に発生させることができる。その結果、一層大きなプラズマをより確実に生成することができ、着火性をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】点火プラグの構成を示す一部破断正面図である。
【図2】点火プラグの先端部の構成を示す底面図である。
【図3】点火プラグの先端部の構成を示す拡大断面図である。
【図4】キャビティ部の形状を説明するための点火プラグ先端部の拡大断面図である。
【図5】接地電極の位置を説明するための点火プラグ先端部の拡大断面図である。
【図6】比較例に相当する点火プラグ1の構成を示す拡大断面図である。
【図7】実施例に相当する点火プラグ2の構成を示す拡大断面図である。
【図8】別の実施形態における接地電極の構成を示す拡大断面図である。
【図9】別の実施形態における中心電極の構成を示す拡大断面図である。
【図10】別の実施形態におけるキャビティ部の構成を示す拡大断面図である。
【図11】別の実施形態におけるキャビティ部の構成を示す拡大断面図である。
【図12】別の実施形態における接地電極やキャビティ部の構成を示す図であり、(a)は点火プラグ先端部の底面図であり、(b)は点火プラグ先端部の拡大断面図である。
【図13】別の実施形態における接地電極やキャビティ部の構成を示す図であり、(a)は点火プラグ先端部の底面図であり、(b)は点火プラグ先端部の拡大断面図である。
【図14】別の実施形態における接地電極の構成を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、プラズマジェット点火プラグ(以下、「点火プラグ」と称す)1を示す一部破断正面図である。尚、図1では、点火プラグ1の軸線CL1方向を図面における上下方向とし、下側を点火プラグ1の先端側、上側を後端側として説明する。
【0020】
点火プラグ1は、筒状をなす絶縁体としての絶縁碍子2、これを保持する筒状の主体金具3などから構成されるものである。
【0021】
絶縁碍子2は、周知のようにアルミナ等を焼成して形成されており、その外形部において、後端側に形成された後端側胴部10と、当該後端側胴部10よりも先端側において径方向外向きに突出形成された大径部11と、当該大径部11よりも先端側においてこれよりも細径に形成された中胴部12と、当該中胴部12よりも先端側においてこれよりも細径に形成された脚長部13とを備えている。加えて、絶縁碍子2のうち、大径部11、中胴部12、及び、脚長部13は、主体金具3の内部に収容されている。そして、中胴部12と脚長部13との連接部にはテーパ状の段部14が形成されており、当該段部14にて絶縁碍子2が主体金具3に係止されている。
【0022】
さらに、絶縁碍子2には、軸線CL1に沿って延びる軸孔4が形成されており、当該軸孔4の先端側には中心電極5が挿入、固定されている。当該中心電極5は、熱伝導性に優れる銅や銅合金等からなる内層5A、及び、ニッケル(Ni)を主成分とするNi合金〔例えば、インコネル(商標名)600や601等〕からなる外層5Bを備えている。
【0023】
また、軸孔4の後端側には、絶縁碍子2の後端から突出した状態で端子電極6が挿入、固定されている。
【0024】
さらに、中心電極5と端子電極6との間には、円柱状のガラスシール部9が配設されている。当該ガラスシール部9により、中心電極5と端子電極6とがそれぞれ電気的に接続されるとともに、中心電極5及び端子電極6が絶縁碍子2に固定されている。
【0025】
加えて、前記主体金具3は、低炭素鋼等の金属により筒状に形成されており、その外周面には点火プラグ1を燃焼装置(例えば、内燃機関や燃料電池改質器等)の取付孔に取付けるためのねじ部(雄ねじ部)15が形成されている。また、ねじ部15の後端側の外周面には座部16が形成され、ねじ部15後端のねじ首17にはリング状のガスケット18が嵌め込まれている。さらに、主体金具3の後端側には、主体金具3を前記燃焼装置に取付ける際にレンチ等の工具を係合させるための断面六角形状の工具係合部19が設けられるとともに、後端部において絶縁碍子2を保持するための加締め部20が設けられている。併せて、主体金具3の先端部外周には、軸線CL1方向先端側に向けて突出するように形成された環状の係合部21が形成されており、当該係合部21に対して後述する接地電極27が接合されている。
【0026】
また、主体金具3の内周面には、絶縁碍子2を係止するためのテーパ状の段部22が設けられている。そして、絶縁碍子2は、主体金具3に対してその後端側から先端側に向かって挿入され、自身の段部14が主体金具3の段部22に係止された状態で、主体金具3の後端側の開口部を径方向内側に加締めること、つまり上記加締め部20を形成することによって主体金具3に固定されている。尚、絶縁碍子2及び主体金具3双方の段部14,22間には、円環状の板パッキン23が介在されている。これにより、燃焼室内の気密性を保持し、絶縁碍子2の脚長部13と主体金具3の内周面との隙間に入り込む燃料ガスが外部に漏れないようになっている。
【0027】
さらに、加締めによる密閉をより完全なものとするため、主体金具3の後端側においては、主体金具3と絶縁碍子2との間に環状のリング部材24,25が介在され、リング部材24,25間にはタルク(滑石)26の粉末が充填されている。すなわち、主体金具3は、板パッキン23、リング部材24,25及びタルク26を介して絶縁碍子2を保持している。
【0028】
また、主体金具3の先端部には、自身の少なくとも一部(本実施形態では、全体)が絶縁碍子2の先端よりも軸線CL1方向先端側に位置し、円板状をなす接地電極27が接合されている。当該接地電極27は、前記主体金具3の係合部21に係合された状態で、自身の外周部分が前記係合部21に対して溶接されることで主体金具3に接合されている。尚、本実施形態において、接地電極27は、タングステン(W)、イリジウム(Ir)、白金(Pt),Ni、又は、これらの金属のうち少なくとも一種を主成分とする合金により構成されている。
【0029】
加えて、接地電極27は、図2に示すように、自身の中央に板厚方向に貫通する貫通孔27Hを有している。そして、図3に示すように、絶縁碍子2の先端部には、軸孔4に連通する凹部であり、軸線CL1方向先端側に向けて開口するキャビティ部28が形成されており、当該キャビティ部28は、前記貫通孔27Hを介して外部へと連通されている。
【0030】
さらに、本実施形態では、中心電極5の一部(本実施形態では、先端部)がキャビティ部28内に配置されている。また、接地電極27は、その内周部分がキャビティ部28の開口の外周側を覆うように配置されており、その一部(本実施形態では、内周部分)が、キャビティ部28の開口よりも軸線CL1側に位置している。加えて、中心電極5の先端部と、接地電極27の内周部分との間には、軸線CL1方向先端側から見たときにおいて、軸線CL1を中心とする環状をなす間隙29が形成されている。尚、中心電極5の一部がキャビティ部28内に配置されており、接地電極27の一部が、絶縁碍子2の先端よりも軸線CL1方向先端側に配置されているため、間隙29は、キャビティ部28の開口側(プラズマの噴出口側)に形成されることとなる。また、間隙29の大きさGは、中心電極5及び接地電極27間の最短距離と等しくされている。
【0031】
さらに、本実施形態では、上述の通り、中心電極5の一部がキャビティ部28内に配置され、かつ、接地電極27の一部が、キャビティ部28の開口よりも軸線CL1側に位置していることで、間隙29に電力を投入した際には、両電極5,27間における絶縁碍子2の表面を這った放電(沿面放電)ではなく、間隙29(気中)において火花放電やプラズマをより確実に生じさせることができるようになっている。
【0032】
尚、本実施形態において、絶縁碍子2の先端面と接地電極27の絶縁碍子2側の面との間には、所定(例えば、0.1mm以上)の幅Wを有する隙間30が設けられており、さらには、前記間隙29の大きさGが、絶縁碍子2の表面を這った中心電極5及び接地電極27間の最短距離L(図3中、太線で示す部位)よりも十分に小さなもの(例えば、最短距離Lの75%以下)とされている。そのため、間隙29において、より一層確実に気中放電等を生じさせることができるようになっている。尚、隙間30に対するプラズマの入り込みを抑制し、着火性の低下を防止するという点から、隙間30の幅Wを0.5mm以下とすることが好ましい。
【0033】
ところで、間隙29において生成されたプラズマの一部は、キャビティ部28内へと広がり、キャビティ部28を形成する絶縁碍子2の表面で反射して、キャビティ部28から外部へと噴出する。ここで、反射に伴いプラズマのエネルギーに損失が生じるため、プラズマがキャビティ部28の外部へと噴出するまでの間において、絶縁碍子2の表面に対するプラズマの反射回数をより少なくすることが好ましい。
【0034】
この点を鑑みて、本実施形態では、図4に示すように、中心電極5及び接地電極27間を最短距離で結ぶ線分LS(図4中、太線で示す部位)を含み、軸線CL1と平行な断面において、キャビティ部28の外形線のうちの少なくとも一部(本実施形態では、全部)が、前記線分LS上の2点F1,F2を焦点とする楕円EL上に位置する湾曲線となるように構成されている。尚、本実施形態では、前記断面において、キャビティ部28の外形線が、線分LSの接地電極27側の端点、及び、線分LSの中心電極5側の端点を焦点とする楕円EL上に位置する湾曲線となるように構成されている。そのため、間隙29のどの位置でプラズマが生成された場合であっても、キャビティ部28内に広がったプラズマは、絶縁碍子2の表面に一度反射することで、間隙29側に戻り、間隙29を通過するようになっている。
【0035】
加えて、本実施形態では、間隙29を通過したプラズマの噴出が、中心電極5や接地電極27により阻害されてしまうことを防止すべく、接地電極27の形状や中心電極5の位置が次のように規定されている。
【0036】
すなわち、図5に示すように、接地電極27は、線分LSを含み軸線CL1と平行な断面において、キャビティ部28の外形線上に位置し中心電極5に最も接近する点Xと線分LSの接地電極27側の端点(点F2)とを結んだ仮想線VL1を含む、当該仮想線VL1よりも軸線CL1方向後端側の範囲内に位置するように構成されている。尚、本実施形態では、接地電極27を前記範囲内に配置すべく、貫通孔27Hの内周面が、軸線CL1方向先端側に向けて徐々に内径の大きくなるテーパ状とされている。
【0037】
また、中心電極5は、その先端が、線分LSの接地電極27側の端点(点F2)を含む、当該端点(点F2)よりも軸線CL1方向後端側の範囲内に位置するように構成されている。尚、本実施形態では、中心電極5の先端と、線分LSの接地電極27側の端点とが軸線CL1方向において同位置に配置されている。
【0038】
以上詳述したように、本実施形態によれば、間隙29において気中放電をより確実に生じさせることができ、ひいては周囲に十分な気体が存在する位置において、周囲に広がりを抑制するものがない状態でプラズマを生成することができる。その結果、より大きなプラズマを生成することができ、着火性の向上を図ることができる。
【0039】
加えて、本実施形態によれば、線分LSを含み軸線CL1と平行な断面において、キャビティ部28の外形線(絶縁碍子2の表面)のうちの少なくとも一部が、前記線分LS上の2点F1,F2を焦点とする楕円上に位置する湾曲線とされている。従って、気中放電に伴い間隙29にて生成されたプラズマのうちキャビティ部28側に広がったものは、湾曲状の絶縁碍子2表面に当たった際に、線分LSと交差する方向、すなわち、キャビティ部28の開口側(プラズマの噴出口側)に形成された間隙29を通過する方向へと反射し、外部に噴出することとなる。これにより、プラズマがキャビティ部28から噴出するまでの絶縁碍子2に対するプラズマの反射回数を効果的に低減させることができ、プラズマのエネルギー損失をより確実に少なくすることができる。その結果、着火性の向上を図ることができる。
【0040】
さらに、本実施形態においては、線分LSを含み軸線CL1と平行な断面において、前記点Xと線分LSの接地電極27側の端点(点F2)とを結んだ仮想線VL1を含む、当該仮想線VL1よりも軸線CL1方向後端側の範囲内に、接地電極27が位置している。従って、絶縁碍子2表面で反射し間隙29を通過したプラズマの外部への噴出が、接地電極27により阻害されてしまうという事態をより確実に防止することができる。その結果、着火性の一層の向上を図ることができる。
【0041】
また、中心電極5の先端が、線分LSの接地電極27側の端点(点F2)を含む、当該端点(点F2)よりも軸線CL1方向後端側の範囲内に位置するように構成されている。従って、中心電極5による、プラズマの噴出阻害を防止することができ、着火性の更なる向上を図ることができる。
【0042】
次いで、上記実施形態によって奏される作用効果を確認すべく、図6に示すように、軸線方向に延びる円筒状の曲面と軸線に直交する平面とにより形成され、前記線分を含み軸線と平行な断面における外形線の全てが直線とされたキャビティ部を有する点火プラグ1(比較例に相当する)と、図7に示すように、前記断面において、前記線分の両端点を焦点とする楕円上にキャビティ部の外形線が位置するように構成した点火プラグ2(実施例に相当する)とにおいて、キャビティ部側へと広がったプラズマが、絶縁碍子の表面に対する一度の反射でキャビティ部の外部へと噴出する割合(一反射噴出割合)を算出した。尚、一反射噴出割合は、前記間隙の接地電極側の端点Aでプラズマが生成された場合、間隙の中心点Bでプラズマが生成された場合、及び、前記間隙の中心電極側の端点Cでプラズマが生成された場合のそれぞれにおいて求めた。
【0043】
また、一反射噴出割合は、次のように算出した。すなわち、キャビティ部側(軸線方向後端側)に向けてプラズマの広がる範囲を180°とした上で、当該180°の範囲内において、絶縁碍子の表面に対する一度の反射でキャビティ部の外部へとプラズマが噴出する角度範囲α°を点A,B,Cのそれぞれで求めた。そして、180°に対する角度範囲α°の割合(α/180)を一反射噴出割合として算出した。
【0044】
尚、点火プラグ1,2は、間隙の大きさ、キャビティ部の開口の大きさ、絶縁碍子の先端面に対するキャビティ部の深さ、及び、接地電極や中心電極の形状を同一とした。
【0045】
表1に、点火プラグ1,2における、各点A,B,Cでの一反射噴出割合を示す。
【0046】
【表1】
【0047】
表1に示すように、前記線分を含み軸線と平行な断面において、前記線分の両端点を焦点とする楕円上にキャビティ部の外形線が位置するように構成した点火プラグ2は、キャビティ部の外形線を直線とした点火プラグ1と比して、各点A,B,Cにおいて一反射噴出割合が飛躍的に増大し、キャビティ部側に広がったプラズマの大部分を絶縁碍子に対する一度の反射でキャビティ部の外部へと噴出できることが確認された。
【0048】
上記の結果より、キャビティ部側へと広がったプラズマを、絶縁碍子に対する反射によるエネルギーロスを極力抑制した上で、キャビティ部の外部へと噴出させるためには、中心電極及び接地電極間を最短距離で結ぶ線分を含み軸線と平行な断面において、キャビティ部の外形線のうちの少なくとも一部を、前記線分上の2点を焦点とする楕円上に位置する湾曲線とすることが好ましいといえる。
【0049】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0050】
(a)上記実施形態において、楕円ELは、線分LSの接地電極27側の端点、及び、線分LSの中心電極5側の端点を焦点とするものとされているが、楕円の焦点となる2点は、線分LS上の任意の2点であればよい。但し、焦点間距離を小さくすると、間隙29におけるプラズマの生成位置によっては、プラズマを少ない反射回数で外部へと噴出させることが難しくなってしまうおそれがある。従って、少ない反射回数で外部へと噴出可能となるプラズマの生成位置が間隙29の広範囲に存在するように、焦点間距離を線分LSの長さの半分以上とすることが好ましく、焦点間距離を線分LSの長さと同一とすることが最も好ましい。
【0051】
(b)上記実施形態では、貫通孔27Hの内周面がテーパ状とされることで、線分LSを含み軸線CL1と平行な断面において、前記仮想線VL1を含む、当該仮想線VL1よりも軸線CL1方向後端側の範囲内に、接地電極27が位置するように構成されている。これに対して、図8に示すように、接地電極37が軸線CL1側に向かうにつれて軸線CL1方向先端側に傾斜するように構成することで、キャビティ部28の外形線上に位置し中心電極5に最も接近する点Xと、線分LS(図8中、太線で示す部位)の接地電極27側の端点とを結んだ仮想線VL2を含む、当該仮想線VL2よりも軸線CL1方向後端側の範囲内に、接地電極37が位置するように構成してもよい。この場合においても、接地電極37によるプラズマの噴出阻害を抑制することができ、着火性の一層の向上を図ることができる。また、接地電極37の内周部分を比較的厚肉とすることができるため、耐久性の向上を図ることができる。
【0052】
(c)上記実施形態では、中心電極5の先端と線分LSの接地電極27側の端点とが、軸線CL1方向において同位置に形成されている。これに対して、図9に示すように、中心電極5の先端が、線分LSの接地電極27側の端点よりも軸線CL1方向後端側の範囲内に位置するように構成することとしてもよい。この場合には、中心電極5によるプラズマの噴出阻害がより生じにくくなり、着火性をより高めることができる。
【0053】
(d)上記実施形態では、線分LSを含み軸線CL1と平行な断面において、キャビティ部28の外形線の全部が、前記線分LS上の2点F1,F2を焦点とする楕円EL上に位置する湾曲線となるように構成されている。これに対して、図10及び図11に示すように、前記断面において、キャビティ部38,39の外形線の一部が、前記楕円EL上に位置する湾曲線となるように構成してもよい。尚、着火性の向上をより確実に実現すべく、前記断面において、キャビティ部の外形線の25%以上を前記楕円EL上に位置する湾曲線とすることが好ましい。
【0054】
(e)上記実施形態において、接地電極27は、貫通孔27Hを有する円板状とされているが、接地電極27の形状はこれに限定されるものではない。従って、例えば、図12(a),(b)に示すように、主体金具3の先端部に、軸線CL1と直交する方向に沿って軸線CL1側へと延びる1本の棒状の接地電極47を設けることとしてもよい。また、図13(a),(b)に示すように、棒状の接地電極57を主体金具3の周方向に沿って間欠的に複数設けることとしてもよい。尚、キャビティ部は、中心電極及び接地電極間に形成される間隙に対応して設ければよい。従って、図12(a),(b)に示すように、1本の接地電極47を設ける場合には、中心電極5及び接地電極47間に形成される間隙49に対応して、キャビティ部48を設ければよい。また、図13(a),(b)に示すように、複数の接地電極57を設け、中心電極5及び各接地電極57間に周方向に沿って間欠的に複数の間隙59が設けられる場合には、各間隙59に対応してキャビティ部58を設ければよい。
【0055】
(f)上記実施形態において、貫通孔27Hの内周面はテーパ状とされているが、図14に示すように、貫通孔27Hの内周面が軸線CL1と平行に延びるように構成してもよい。
【0056】
(g)上記実施形態では、絶縁碍子2の先端面と接地電極27の絶縁碍子2側の面との間に隙間30が形成されているが、絶縁碍子2の先端面と接地電極27の絶縁碍子2側の面とを接触させることとしてもよい。この場合には、絶縁碍子2を介して、接地電極27の熱を効率よく主体金具3側へと伝導させることができ、接地電極27の耐熱性を向上させることができる。
【0057】
(g)上記実施形態では、工具係合部19は断面六角形状とされているが、工具係合部19の形状に関しては、このような形状に限定されるものではない。例えば、Bi−HEX(変形12角)形状〔ISO22977:2005(E)〕等とされていてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…点火プラグ(プラズマジェット点火プラグ)、2…絶縁碍子(絶縁体)、3…主体金具、4…軸孔、5…中心電極、27…接地電極、28…キャビティ部、29…間隙、30…隙間、CL1…軸線、EL…楕円、LS…線分、VL1…仮想線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマを生成して混合気への着火を行うプラズマジェット点火プラグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関等の燃焼装置においては、火花放電により混合気へと着火する点火プラグが使用されている。また近年では、燃焼装置の高出力化や低燃費化の要求に応えるべく、燃焼の広がりが速く、着火限界空燃比のより高い希薄混合気に対してもより確実に着火可能な点火プラグとして、プラズマジェット点火プラグが提案されている。
【0003】
一般にプラズマジェット点火プラグは、軸孔を有する筒状の絶縁体と、先端面が絶縁体の先端面よりも没入した状態で前記軸孔内に挿設される中心電極と、絶縁体の外周に配置される主体金具と、前記主体金具の先端部に接合される円環状の接地電極とを備える。また、プラズマジェット点火プラグは、中心電極の先端面及び絶縁体の内周面によって形成された円柱状の空間(キャビティ部)を有しており、当該キャビティ部は接地電極に形成された貫通孔を介して外部に連通されるようになっている(例えば、特許文献1等参照)。
【0004】
このようなプラズマジェット点火プラグにおいては、次のようにして混合気への着火が行われる。まず、中心電極と接地電極との間に形成された間隙に電圧を印加して、当該間隙に火花放電を生じさせる。その上で、前記間隙に電力を投入することによってキャビティ部内の気体をプラズマ化させて、キャビティ部の内部にプラズマを生成する。そして、生成されたプラズマがキャビティ部の開口から外部に噴出することで、混合気への着火が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−287666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、生成されたプラズマの大部分は、キャビティ部を形成する絶縁体の内周面に対して幾度も反射した上で、キャビティ部から噴出する。従って、反射に伴いプラズマの熱的及び運動的なエネルギーに損失が生じてしまい、着火性の面で、プラズマのエネルギーが有効的に利用されないおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、プラズマがキャビティ部から噴出するまでの絶縁体に対するプラズマの反射回数を効果的に低減させ、着火性の向上を図ることができるプラズマジェット点火プラグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を解決するのに適した各構成につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する構成に特有の作用効果を付記する。
【0009】
構成1.本構成のプラズマジェット点火プラグは、軸線方向に延びる軸孔を有する絶縁体と、
前記軸孔に挿設される中心電極と、
前記絶縁体の外周に配置される主体金具と、
前記主体金具の先端部に固定され、自身の少なくとも一部が前記絶縁体の先端よりも前記軸線方向先端側に配置される接地電極とを備え、
前記絶縁体の先端に形成される凹部であって、前記軸線方向先端側に向けて開口するキャビティ部を有するプラズマジェット点火プラグであって、
前記中心電極の一部は、前記キャビティ部内に配置され、
前記接地電極の一部は、前記キャビティ部の開口よりも前記軸線側に位置するとともに、前記中心電極との間で間隙を形成し、
前記中心電極及び前記接地電極間を最短距離で結ぶ線分を含み、前記軸線と平行な断面において、
前記キャビティ部の外形線のうちの少なくとも一部は、前記線分上の2点を焦点とする楕円上に位置する湾曲線であることを特徴とする。
【0010】
上記構成1によれば、中心電極の一部がキャビティ部内に配置され、かつ、接地電極の一部がキャビティ部の開口よりも軸線側に位置している。そのため、中心電極及び接地電極間において、絶縁体の表面を這った放電ではなく、気中における放電をより確実に生じさせることができる。従って、周囲に十分な気体が存在する位置において、周囲に広がりを抑制するものがない状態でプラズマを生成することができる。その結果、より大きなプラズマを生成することができ、着火性の向上を図ることができる。
【0011】
加えて、上記構成1によれば、中心電極の一部がキャビティ部内に配置されており、接地電極の一部が、絶縁体の先端よりも軸線方向先端側に配置されている。そのため、中心電極及び接地電極間に形成される間隙が、キャビティ部の開口側(プラズマの噴出口側)に形成されることとなる。そして、上記構成1によれば、中心電極及び接地電極間を最短距離で結ぶ線分(すなわち、両電極間に形成された間隙を通過する線分)を含み、軸線と平行な断面において、キャビティ部の外形線(絶縁体の表面)のうちの少なくとも一部が、前記線分上の2点を焦点とする楕円上に位置する湾曲線とされている。従って、気中放電に伴い間隙にて生成されたプラズマのうちキャビティ部側に広がったものは、湾曲状の絶縁体表面に当たった際に、前記線分と交差する方向、すなわち、キャビティ部の開口側(プラズマの噴出口側)に形成された前記間隙を通過する方向へと反射し、外部に噴出することとなる。これにより、プラズマがキャビティ部から噴出するまでの絶縁体に対するプラズマの反射回数を効果的に低減させることができ、プラズマのエネルギー損失をより確実に少なくすることができる。その結果、着火性の向上を図ることができる。
【0012】
構成2.本構成のプラズマジェット点火プラグは、上記構成1において、前記断面において、
前記キャビティ部の外形線上に位置し前記中心電極に最も接近する点と、前記線分の前記接地電極側の端点とを結んだ仮想線を含む、当該仮想線よりも前記軸線方向後端側の範囲内に、前記接地電極が位置することを特徴とする。
【0013】
上記構成2によれば、絶縁体表面で反射し間隙を通過したプラズマの外部への噴出が、接地電極により阻害されてしまうという事態をより確実に防止することができる。その結果、着火性の一層の向上を図ることができる。
【0014】
構成3.本構成のプラズマジェット点火プラグは、上記構成1又は2において、前記中心電極の先端は、前記線分の前記接地電極側の端点を含む、当該端点よりも前記軸線方向後端側の範囲内に位置することを特徴とする。
【0015】
上記構成3によれば、絶縁体表面で反射し間隙を通過したプラズマの外部への噴出が、中心電極により阻害されてしまうという事態をより確実に防止することができる。その結果、着火性の更なる向上を図ることができる。
【0016】
構成4.本構成のプラズマジェット点火プラグは、上記構成1乃至3のいずれかにおいて、前記絶縁体の先端面と前記接地電極の前記絶縁体側の面との間には、隙間が設けられることを特徴とする。
【0017】
上記構成4によれば、絶縁体の先端面と接地電極の絶縁体側の面との間に、隙間が設けられている。従って、中心電極及び接地電極間において、気中での放電をより一層確実に発生させることができる。その結果、一層大きなプラズマをより確実に生成することができ、着火性をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】点火プラグの構成を示す一部破断正面図である。
【図2】点火プラグの先端部の構成を示す底面図である。
【図3】点火プラグの先端部の構成を示す拡大断面図である。
【図4】キャビティ部の形状を説明するための点火プラグ先端部の拡大断面図である。
【図5】接地電極の位置を説明するための点火プラグ先端部の拡大断面図である。
【図6】比較例に相当する点火プラグ1の構成を示す拡大断面図である。
【図7】実施例に相当する点火プラグ2の構成を示す拡大断面図である。
【図8】別の実施形態における接地電極の構成を示す拡大断面図である。
【図9】別の実施形態における中心電極の構成を示す拡大断面図である。
【図10】別の実施形態におけるキャビティ部の構成を示す拡大断面図である。
【図11】別の実施形態におけるキャビティ部の構成を示す拡大断面図である。
【図12】別の実施形態における接地電極やキャビティ部の構成を示す図であり、(a)は点火プラグ先端部の底面図であり、(b)は点火プラグ先端部の拡大断面図である。
【図13】別の実施形態における接地電極やキャビティ部の構成を示す図であり、(a)は点火プラグ先端部の底面図であり、(b)は点火プラグ先端部の拡大断面図である。
【図14】別の実施形態における接地電極の構成を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、プラズマジェット点火プラグ(以下、「点火プラグ」と称す)1を示す一部破断正面図である。尚、図1では、点火プラグ1の軸線CL1方向を図面における上下方向とし、下側を点火プラグ1の先端側、上側を後端側として説明する。
【0020】
点火プラグ1は、筒状をなす絶縁体としての絶縁碍子2、これを保持する筒状の主体金具3などから構成されるものである。
【0021】
絶縁碍子2は、周知のようにアルミナ等を焼成して形成されており、その外形部において、後端側に形成された後端側胴部10と、当該後端側胴部10よりも先端側において径方向外向きに突出形成された大径部11と、当該大径部11よりも先端側においてこれよりも細径に形成された中胴部12と、当該中胴部12よりも先端側においてこれよりも細径に形成された脚長部13とを備えている。加えて、絶縁碍子2のうち、大径部11、中胴部12、及び、脚長部13は、主体金具3の内部に収容されている。そして、中胴部12と脚長部13との連接部にはテーパ状の段部14が形成されており、当該段部14にて絶縁碍子2が主体金具3に係止されている。
【0022】
さらに、絶縁碍子2には、軸線CL1に沿って延びる軸孔4が形成されており、当該軸孔4の先端側には中心電極5が挿入、固定されている。当該中心電極5は、熱伝導性に優れる銅や銅合金等からなる内層5A、及び、ニッケル(Ni)を主成分とするNi合金〔例えば、インコネル(商標名)600や601等〕からなる外層5Bを備えている。
【0023】
また、軸孔4の後端側には、絶縁碍子2の後端から突出した状態で端子電極6が挿入、固定されている。
【0024】
さらに、中心電極5と端子電極6との間には、円柱状のガラスシール部9が配設されている。当該ガラスシール部9により、中心電極5と端子電極6とがそれぞれ電気的に接続されるとともに、中心電極5及び端子電極6が絶縁碍子2に固定されている。
【0025】
加えて、前記主体金具3は、低炭素鋼等の金属により筒状に形成されており、その外周面には点火プラグ1を燃焼装置(例えば、内燃機関や燃料電池改質器等)の取付孔に取付けるためのねじ部(雄ねじ部)15が形成されている。また、ねじ部15の後端側の外周面には座部16が形成され、ねじ部15後端のねじ首17にはリング状のガスケット18が嵌め込まれている。さらに、主体金具3の後端側には、主体金具3を前記燃焼装置に取付ける際にレンチ等の工具を係合させるための断面六角形状の工具係合部19が設けられるとともに、後端部において絶縁碍子2を保持するための加締め部20が設けられている。併せて、主体金具3の先端部外周には、軸線CL1方向先端側に向けて突出するように形成された環状の係合部21が形成されており、当該係合部21に対して後述する接地電極27が接合されている。
【0026】
また、主体金具3の内周面には、絶縁碍子2を係止するためのテーパ状の段部22が設けられている。そして、絶縁碍子2は、主体金具3に対してその後端側から先端側に向かって挿入され、自身の段部14が主体金具3の段部22に係止された状態で、主体金具3の後端側の開口部を径方向内側に加締めること、つまり上記加締め部20を形成することによって主体金具3に固定されている。尚、絶縁碍子2及び主体金具3双方の段部14,22間には、円環状の板パッキン23が介在されている。これにより、燃焼室内の気密性を保持し、絶縁碍子2の脚長部13と主体金具3の内周面との隙間に入り込む燃料ガスが外部に漏れないようになっている。
【0027】
さらに、加締めによる密閉をより完全なものとするため、主体金具3の後端側においては、主体金具3と絶縁碍子2との間に環状のリング部材24,25が介在され、リング部材24,25間にはタルク(滑石)26の粉末が充填されている。すなわち、主体金具3は、板パッキン23、リング部材24,25及びタルク26を介して絶縁碍子2を保持している。
【0028】
また、主体金具3の先端部には、自身の少なくとも一部(本実施形態では、全体)が絶縁碍子2の先端よりも軸線CL1方向先端側に位置し、円板状をなす接地電極27が接合されている。当該接地電極27は、前記主体金具3の係合部21に係合された状態で、自身の外周部分が前記係合部21に対して溶接されることで主体金具3に接合されている。尚、本実施形態において、接地電極27は、タングステン(W)、イリジウム(Ir)、白金(Pt),Ni、又は、これらの金属のうち少なくとも一種を主成分とする合金により構成されている。
【0029】
加えて、接地電極27は、図2に示すように、自身の中央に板厚方向に貫通する貫通孔27Hを有している。そして、図3に示すように、絶縁碍子2の先端部には、軸孔4に連通する凹部であり、軸線CL1方向先端側に向けて開口するキャビティ部28が形成されており、当該キャビティ部28は、前記貫通孔27Hを介して外部へと連通されている。
【0030】
さらに、本実施形態では、中心電極5の一部(本実施形態では、先端部)がキャビティ部28内に配置されている。また、接地電極27は、その内周部分がキャビティ部28の開口の外周側を覆うように配置されており、その一部(本実施形態では、内周部分)が、キャビティ部28の開口よりも軸線CL1側に位置している。加えて、中心電極5の先端部と、接地電極27の内周部分との間には、軸線CL1方向先端側から見たときにおいて、軸線CL1を中心とする環状をなす間隙29が形成されている。尚、中心電極5の一部がキャビティ部28内に配置されており、接地電極27の一部が、絶縁碍子2の先端よりも軸線CL1方向先端側に配置されているため、間隙29は、キャビティ部28の開口側(プラズマの噴出口側)に形成されることとなる。また、間隙29の大きさGは、中心電極5及び接地電極27間の最短距離と等しくされている。
【0031】
さらに、本実施形態では、上述の通り、中心電極5の一部がキャビティ部28内に配置され、かつ、接地電極27の一部が、キャビティ部28の開口よりも軸線CL1側に位置していることで、間隙29に電力を投入した際には、両電極5,27間における絶縁碍子2の表面を這った放電(沿面放電)ではなく、間隙29(気中)において火花放電やプラズマをより確実に生じさせることができるようになっている。
【0032】
尚、本実施形態において、絶縁碍子2の先端面と接地電極27の絶縁碍子2側の面との間には、所定(例えば、0.1mm以上)の幅Wを有する隙間30が設けられており、さらには、前記間隙29の大きさGが、絶縁碍子2の表面を這った中心電極5及び接地電極27間の最短距離L(図3中、太線で示す部位)よりも十分に小さなもの(例えば、最短距離Lの75%以下)とされている。そのため、間隙29において、より一層確実に気中放電等を生じさせることができるようになっている。尚、隙間30に対するプラズマの入り込みを抑制し、着火性の低下を防止するという点から、隙間30の幅Wを0.5mm以下とすることが好ましい。
【0033】
ところで、間隙29において生成されたプラズマの一部は、キャビティ部28内へと広がり、キャビティ部28を形成する絶縁碍子2の表面で反射して、キャビティ部28から外部へと噴出する。ここで、反射に伴いプラズマのエネルギーに損失が生じるため、プラズマがキャビティ部28の外部へと噴出するまでの間において、絶縁碍子2の表面に対するプラズマの反射回数をより少なくすることが好ましい。
【0034】
この点を鑑みて、本実施形態では、図4に示すように、中心電極5及び接地電極27間を最短距離で結ぶ線分LS(図4中、太線で示す部位)を含み、軸線CL1と平行な断面において、キャビティ部28の外形線のうちの少なくとも一部(本実施形態では、全部)が、前記線分LS上の2点F1,F2を焦点とする楕円EL上に位置する湾曲線となるように構成されている。尚、本実施形態では、前記断面において、キャビティ部28の外形線が、線分LSの接地電極27側の端点、及び、線分LSの中心電極5側の端点を焦点とする楕円EL上に位置する湾曲線となるように構成されている。そのため、間隙29のどの位置でプラズマが生成された場合であっても、キャビティ部28内に広がったプラズマは、絶縁碍子2の表面に一度反射することで、間隙29側に戻り、間隙29を通過するようになっている。
【0035】
加えて、本実施形態では、間隙29を通過したプラズマの噴出が、中心電極5や接地電極27により阻害されてしまうことを防止すべく、接地電極27の形状や中心電極5の位置が次のように規定されている。
【0036】
すなわち、図5に示すように、接地電極27は、線分LSを含み軸線CL1と平行な断面において、キャビティ部28の外形線上に位置し中心電極5に最も接近する点Xと線分LSの接地電極27側の端点(点F2)とを結んだ仮想線VL1を含む、当該仮想線VL1よりも軸線CL1方向後端側の範囲内に位置するように構成されている。尚、本実施形態では、接地電極27を前記範囲内に配置すべく、貫通孔27Hの内周面が、軸線CL1方向先端側に向けて徐々に内径の大きくなるテーパ状とされている。
【0037】
また、中心電極5は、その先端が、線分LSの接地電極27側の端点(点F2)を含む、当該端点(点F2)よりも軸線CL1方向後端側の範囲内に位置するように構成されている。尚、本実施形態では、中心電極5の先端と、線分LSの接地電極27側の端点とが軸線CL1方向において同位置に配置されている。
【0038】
以上詳述したように、本実施形態によれば、間隙29において気中放電をより確実に生じさせることができ、ひいては周囲に十分な気体が存在する位置において、周囲に広がりを抑制するものがない状態でプラズマを生成することができる。その結果、より大きなプラズマを生成することができ、着火性の向上を図ることができる。
【0039】
加えて、本実施形態によれば、線分LSを含み軸線CL1と平行な断面において、キャビティ部28の外形線(絶縁碍子2の表面)のうちの少なくとも一部が、前記線分LS上の2点F1,F2を焦点とする楕円上に位置する湾曲線とされている。従って、気中放電に伴い間隙29にて生成されたプラズマのうちキャビティ部28側に広がったものは、湾曲状の絶縁碍子2表面に当たった際に、線分LSと交差する方向、すなわち、キャビティ部28の開口側(プラズマの噴出口側)に形成された間隙29を通過する方向へと反射し、外部に噴出することとなる。これにより、プラズマがキャビティ部28から噴出するまでの絶縁碍子2に対するプラズマの反射回数を効果的に低減させることができ、プラズマのエネルギー損失をより確実に少なくすることができる。その結果、着火性の向上を図ることができる。
【0040】
さらに、本実施形態においては、線分LSを含み軸線CL1と平行な断面において、前記点Xと線分LSの接地電極27側の端点(点F2)とを結んだ仮想線VL1を含む、当該仮想線VL1よりも軸線CL1方向後端側の範囲内に、接地電極27が位置している。従って、絶縁碍子2表面で反射し間隙29を通過したプラズマの外部への噴出が、接地電極27により阻害されてしまうという事態をより確実に防止することができる。その結果、着火性の一層の向上を図ることができる。
【0041】
また、中心電極5の先端が、線分LSの接地電極27側の端点(点F2)を含む、当該端点(点F2)よりも軸線CL1方向後端側の範囲内に位置するように構成されている。従って、中心電極5による、プラズマの噴出阻害を防止することができ、着火性の更なる向上を図ることができる。
【0042】
次いで、上記実施形態によって奏される作用効果を確認すべく、図6に示すように、軸線方向に延びる円筒状の曲面と軸線に直交する平面とにより形成され、前記線分を含み軸線と平行な断面における外形線の全てが直線とされたキャビティ部を有する点火プラグ1(比較例に相当する)と、図7に示すように、前記断面において、前記線分の両端点を焦点とする楕円上にキャビティ部の外形線が位置するように構成した点火プラグ2(実施例に相当する)とにおいて、キャビティ部側へと広がったプラズマが、絶縁碍子の表面に対する一度の反射でキャビティ部の外部へと噴出する割合(一反射噴出割合)を算出した。尚、一反射噴出割合は、前記間隙の接地電極側の端点Aでプラズマが生成された場合、間隙の中心点Bでプラズマが生成された場合、及び、前記間隙の中心電極側の端点Cでプラズマが生成された場合のそれぞれにおいて求めた。
【0043】
また、一反射噴出割合は、次のように算出した。すなわち、キャビティ部側(軸線方向後端側)に向けてプラズマの広がる範囲を180°とした上で、当該180°の範囲内において、絶縁碍子の表面に対する一度の反射でキャビティ部の外部へとプラズマが噴出する角度範囲α°を点A,B,Cのそれぞれで求めた。そして、180°に対する角度範囲α°の割合(α/180)を一反射噴出割合として算出した。
【0044】
尚、点火プラグ1,2は、間隙の大きさ、キャビティ部の開口の大きさ、絶縁碍子の先端面に対するキャビティ部の深さ、及び、接地電極や中心電極の形状を同一とした。
【0045】
表1に、点火プラグ1,2における、各点A,B,Cでの一反射噴出割合を示す。
【0046】
【表1】
【0047】
表1に示すように、前記線分を含み軸線と平行な断面において、前記線分の両端点を焦点とする楕円上にキャビティ部の外形線が位置するように構成した点火プラグ2は、キャビティ部の外形線を直線とした点火プラグ1と比して、各点A,B,Cにおいて一反射噴出割合が飛躍的に増大し、キャビティ部側に広がったプラズマの大部分を絶縁碍子に対する一度の反射でキャビティ部の外部へと噴出できることが確認された。
【0048】
上記の結果より、キャビティ部側へと広がったプラズマを、絶縁碍子に対する反射によるエネルギーロスを極力抑制した上で、キャビティ部の外部へと噴出させるためには、中心電極及び接地電極間を最短距離で結ぶ線分を含み軸線と平行な断面において、キャビティ部の外形線のうちの少なくとも一部を、前記線分上の2点を焦点とする楕円上に位置する湾曲線とすることが好ましいといえる。
【0049】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0050】
(a)上記実施形態において、楕円ELは、線分LSの接地電極27側の端点、及び、線分LSの中心電極5側の端点を焦点とするものとされているが、楕円の焦点となる2点は、線分LS上の任意の2点であればよい。但し、焦点間距離を小さくすると、間隙29におけるプラズマの生成位置によっては、プラズマを少ない反射回数で外部へと噴出させることが難しくなってしまうおそれがある。従って、少ない反射回数で外部へと噴出可能となるプラズマの生成位置が間隙29の広範囲に存在するように、焦点間距離を線分LSの長さの半分以上とすることが好ましく、焦点間距離を線分LSの長さと同一とすることが最も好ましい。
【0051】
(b)上記実施形態では、貫通孔27Hの内周面がテーパ状とされることで、線分LSを含み軸線CL1と平行な断面において、前記仮想線VL1を含む、当該仮想線VL1よりも軸線CL1方向後端側の範囲内に、接地電極27が位置するように構成されている。これに対して、図8に示すように、接地電極37が軸線CL1側に向かうにつれて軸線CL1方向先端側に傾斜するように構成することで、キャビティ部28の外形線上に位置し中心電極5に最も接近する点Xと、線分LS(図8中、太線で示す部位)の接地電極27側の端点とを結んだ仮想線VL2を含む、当該仮想線VL2よりも軸線CL1方向後端側の範囲内に、接地電極37が位置するように構成してもよい。この場合においても、接地電極37によるプラズマの噴出阻害を抑制することができ、着火性の一層の向上を図ることができる。また、接地電極37の内周部分を比較的厚肉とすることができるため、耐久性の向上を図ることができる。
【0052】
(c)上記実施形態では、中心電極5の先端と線分LSの接地電極27側の端点とが、軸線CL1方向において同位置に形成されている。これに対して、図9に示すように、中心電極5の先端が、線分LSの接地電極27側の端点よりも軸線CL1方向後端側の範囲内に位置するように構成することとしてもよい。この場合には、中心電極5によるプラズマの噴出阻害がより生じにくくなり、着火性をより高めることができる。
【0053】
(d)上記実施形態では、線分LSを含み軸線CL1と平行な断面において、キャビティ部28の外形線の全部が、前記線分LS上の2点F1,F2を焦点とする楕円EL上に位置する湾曲線となるように構成されている。これに対して、図10及び図11に示すように、前記断面において、キャビティ部38,39の外形線の一部が、前記楕円EL上に位置する湾曲線となるように構成してもよい。尚、着火性の向上をより確実に実現すべく、前記断面において、キャビティ部の外形線の25%以上を前記楕円EL上に位置する湾曲線とすることが好ましい。
【0054】
(e)上記実施形態において、接地電極27は、貫通孔27Hを有する円板状とされているが、接地電極27の形状はこれに限定されるものではない。従って、例えば、図12(a),(b)に示すように、主体金具3の先端部に、軸線CL1と直交する方向に沿って軸線CL1側へと延びる1本の棒状の接地電極47を設けることとしてもよい。また、図13(a),(b)に示すように、棒状の接地電極57を主体金具3の周方向に沿って間欠的に複数設けることとしてもよい。尚、キャビティ部は、中心電極及び接地電極間に形成される間隙に対応して設ければよい。従って、図12(a),(b)に示すように、1本の接地電極47を設ける場合には、中心電極5及び接地電極47間に形成される間隙49に対応して、キャビティ部48を設ければよい。また、図13(a),(b)に示すように、複数の接地電極57を設け、中心電極5及び各接地電極57間に周方向に沿って間欠的に複数の間隙59が設けられる場合には、各間隙59に対応してキャビティ部58を設ければよい。
【0055】
(f)上記実施形態において、貫通孔27Hの内周面はテーパ状とされているが、図14に示すように、貫通孔27Hの内周面が軸線CL1と平行に延びるように構成してもよい。
【0056】
(g)上記実施形態では、絶縁碍子2の先端面と接地電極27の絶縁碍子2側の面との間に隙間30が形成されているが、絶縁碍子2の先端面と接地電極27の絶縁碍子2側の面とを接触させることとしてもよい。この場合には、絶縁碍子2を介して、接地電極27の熱を効率よく主体金具3側へと伝導させることができ、接地電極27の耐熱性を向上させることができる。
【0057】
(g)上記実施形態では、工具係合部19は断面六角形状とされているが、工具係合部19の形状に関しては、このような形状に限定されるものではない。例えば、Bi−HEX(変形12角)形状〔ISO22977:2005(E)〕等とされていてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…点火プラグ(プラズマジェット点火プラグ)、2…絶縁碍子(絶縁体)、3…主体金具、4…軸孔、5…中心電極、27…接地電極、28…キャビティ部、29…間隙、30…隙間、CL1…軸線、EL…楕円、LS…線分、VL1…仮想線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延びる軸孔を有する絶縁体と、
前記軸孔に挿設される中心電極と、
前記絶縁体の外周に配置される主体金具と、
前記主体金具の先端部に固定され、自身の少なくとも一部が前記絶縁体の先端よりも前記軸線方向先端側に配置される接地電極とを備え、
前記絶縁体の先端に形成される凹部であって、前記軸線方向先端側に向けて開口するキャビティ部を有するプラズマジェット点火プラグであって、
前記中心電極の一部は、前記キャビティ部内に配置され、
前記接地電極の一部は、前記キャビティ部の開口よりも前記軸線側に位置するとともに、前記中心電極との間で間隙を形成し、
前記中心電極及び前記接地電極間を最短距離で結ぶ線分を含み、前記軸線と平行な断面において、
前記キャビティ部の外形線のうちの少なくとも一部は、前記線分上の2点を焦点とする楕円上に位置する湾曲線であることを特徴とするプラズマジェット点火プラグ。
【請求項2】
前記断面において、
前記キャビティ部の外形線上に位置し前記中心電極に最も接近する点と、前記線分の前記接地電極側の端点とを結んだ仮想線を含む、当該仮想線よりも前記軸線方向後端側の範囲内に、前記接地電極が位置することを特徴とする請求項1に記載のプラズマジェット点火プラグ。
【請求項3】
前記中心電極の先端は、前記線分の前記接地電極側の端点を含む、当該端点よりも前記軸線方向後端側の範囲内に位置することを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマジェット点火プラグ。
【請求項4】
前記絶縁体の先端面と前記接地電極の前記絶縁体側の面との間には、隙間が設けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプラズマジェット点火プラグ。
【請求項1】
軸線方向に延びる軸孔を有する絶縁体と、
前記軸孔に挿設される中心電極と、
前記絶縁体の外周に配置される主体金具と、
前記主体金具の先端部に固定され、自身の少なくとも一部が前記絶縁体の先端よりも前記軸線方向先端側に配置される接地電極とを備え、
前記絶縁体の先端に形成される凹部であって、前記軸線方向先端側に向けて開口するキャビティ部を有するプラズマジェット点火プラグであって、
前記中心電極の一部は、前記キャビティ部内に配置され、
前記接地電極の一部は、前記キャビティ部の開口よりも前記軸線側に位置するとともに、前記中心電極との間で間隙を形成し、
前記中心電極及び前記接地電極間を最短距離で結ぶ線分を含み、前記軸線と平行な断面において、
前記キャビティ部の外形線のうちの少なくとも一部は、前記線分上の2点を焦点とする楕円上に位置する湾曲線であることを特徴とするプラズマジェット点火プラグ。
【請求項2】
前記断面において、
前記キャビティ部の外形線上に位置し前記中心電極に最も接近する点と、前記線分の前記接地電極側の端点とを結んだ仮想線を含む、当該仮想線よりも前記軸線方向後端側の範囲内に、前記接地電極が位置することを特徴とする請求項1に記載のプラズマジェット点火プラグ。
【請求項3】
前記中心電極の先端は、前記線分の前記接地電極側の端点を含む、当該端点よりも前記軸線方向後端側の範囲内に位置することを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマジェット点火プラグ。
【請求項4】
前記絶縁体の先端面と前記接地電極の前記絶縁体側の面との間には、隙間が設けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプラズマジェット点火プラグ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−98112(P2013−98112A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242022(P2011−242022)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
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