説明

プラズマディスプレイパネルの検査装置、接続装置、及びプラズマディスプレイ装置の製造方法

【課題】プラズマディスプレイパネルにフレキシブル配線基板を接続した後、プラズマディスプレイパネルを点灯することなく、導通検査を直ちにおこない、良品のみを後工程に流す。
【解決手段】プラズマディスプレイパネル7の電極端子とフレキシブル配線基板3の一方の端子をACF23を介して接続した後、プラズマディスプレイパネル7の電極端子にプローブ26を当接し、フレキシブル配線基板3の他の端子にプローブ27を当接して導通検査装置5によって接続状態を直接検査する。したがって、プラズマディスプレイパネル7を点灯することなく接続状態をチェックすることが出来る。これによって不良品が後工程に流れることを防止することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネルへのフレキシブル配線基板の接続装置、およびプラズマディスプレイ装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フラットディスプレイパネルでは、ディスプレイパネルと駆動電源、駆動回路等との接続のためにフレキシブル配線基板(FPC)が多用される。ディスプレイパネルの電極端子およびFPCの端子のピッチは小さく、かつ、端子数は多い。したがって、ディスプレイパネルの電極端子とFPCとの接続の検査は非常に重要である。
【0003】
「特許文献1」には、液晶表示装置におけるFPCの接続とその検査方法が記載されている。「特許文献1」に記載の技術は次のようなものである。すなわち、「特許文献1」には、図11に示すように、液晶表示パネルにおいて、微細ピッチの接続端子同士であっても少ない工数で正確に導通接続できる電気回路間の導通接合方法が記載されている。これは、作業台31上の規定位置に液晶表示パネル32が保持され、この液晶表示パネルのチップ搭載エリアに異方性導電接着材42が配置され、この上に駆動回路素子としてのLSIチップ37が位置合わせを行いつつ正確に載置され、このLSIチップ37に熱圧着ユニット39を当接させ、これを加熱しつつ加圧して熱圧着させる。
【0004】
これにより、LSIチップ37の突起電極37aと引き出し配線36の接続端子38や図示されていない入力配線の接続端子とが導電性粒子42aを挟圧した状態で導通接続される。この導通接続状態を、作業台31に液晶表示パネル32を規定位置に保持したまま接続端子(以下、プローブ)36を下降させて各プローブ36aを対応する入力配線に導通接触させて検査するというものである。
【0005】
LSIチップ37の搭載が完了したら、直ちにケーブル40から各プローブ36a を介して各入力配線に検査信号電圧を印加し、液晶表示パネル32を点灯させ、テストパターンを表示させる。作業者はこのテストパターンを目視し、LSIチップ37の導通接続状態の良否を判定する。この検査において「良」と判定された時点で、LSI チップ37の液晶表示パネル32への導通接合が完了する。
【0006】
これに対して、プラズマディスプレイでは、熱圧着工程において、正常な圧着確認を行う手法として、プラズマディスプレイパネル面上にあるアライメント(位置合わせ)マークと呼ばれるマークと、フレキシブル配線基板面にあるアライメントマークとで、位置合わせを行い、圧着後、圧着の完了したパネルを作業者の視認による電極端子のズレの確認を抜き取りで検査している。
【0007】
「特許文献2」に記載の技術は、フレキシブルな基板に形成された回路基板と外部配線基板を接続する場合に、端子部の接続のチェックをするために、端子部の最外部に導通チェック用の接続端子を形成する構成が記載されている。この方法は、全ての端子の接続状態を直接検査するものではない。
【0008】
「特許文献3」には、回路基板に接続部材が熱圧着等によって接続される場合に、測定用端子を設けておくことによって、接続部の抵抗をモニターし、熱圧着条件等が適切か否をチェックする構成が記載されている。この技術も全ての端子の接続状態を直接検査するものではない。
【0009】
プラズマディスプレイパネルでは、前面基板および背面基板の各々に電極端子部が形成されている。そして、前面基板には電極端子部が例えば、下面に、背面基板には電極端子部が例えば、上面に形成されている。「特許文献4」および「特許文献5」には、プラズマディスプレイパネルを接続のために、反転させることなく、電極端子部が上向きの場合も下向きの場合も接続可能な接続方法が記載されている。しかし、「特許文献4」および「特許文献5」のいずれにも、全ての電極端子の接続状況を直接検査する構成については記載されていない。
【0010】
【特許文献1】特開2006−86328号公報
【特許文献2】特開2005−69945号公報
【特許文献3】特開平6−350247号公報
【特許文献4】特開2006−106802号公報
【特許文献5】特開平11−65473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
「特許文献1」に記載の検査技術は、液晶表示パネルを点灯することによって端子部の接続を検査するものである。しかし、液晶表示パネルの特定画素に不良が生じても、それが、液晶表示パネルの端子とフレキシブル配線基板との接続によるものか否かはただちに確定できない場合がある。
【0012】
また、「特許文献1」に記載の技術は、液晶パネルに対しては有効であるが、プラズマディスプレイパネルへの適用についてはかならずしも能率的ではない場合もある。例えば液晶パネルでは、対向基板に形成されている基準電極に基準電位を与えることにより、圧着完了後1本のプローブからの印加電圧によりパネルを点灯させることが出来る。しかし、プラズマディスプレイパネルでは、単に電圧を印加しても点灯表示されず、所定の駆動動作を必要とするために、途中工程における点灯表示による圧着の良否確認は困難である。
【0013】
また、「特許文献2」〜「特許文献5」に記載の技術も、電極端子部の接続状態を全数の電極端子について直接行うものではない。
【0014】
プラズマディスプレイパネルでは、前面基板、背面基板に多数のフレキシブル配線基板が接続される。各フレキシブル配線基板の接続毎にプラズマディスプレイパネルを点灯して検査したのでは能率が悪い。一方、全部のフレキシブル配線基板を接続後、後工程において点灯検査する場合は問題箇所を有するフレキシブル配線基板を特定する必要がある。また、この場合は、接続不良品を後工程に流してしまうことになる。
【0015】
本発明の課題は、プラズマディスプレイパネルにフレキシブル配線基板を接続後、プラズマディスプレイパネルを点灯することなく、ただちに、全ての電極端子の接続の良否を、全ての電極端子について直接判定することである。このようにして、接続不良品が後工程に流れるのを防ぐとともに、必要なリペア処理をただちにとれるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題に対して、本発明では、圧着検査装置を設置する事で、実際に製品を流しながら、かつ、プラズマディスプレイパネルを点灯することなく、スクリーニングを行う。圧着検査装置には、プラズマディスプレイパネルの電極端子、フレキシブル配線基板の電極端子それぞれを押さえる事の出来るプローブを2組採用する。2組のプローブはそれぞれの端子を押さえ、圧着装置内で導通試験を行う。具体的な手段は次の通りである。
【0017】
(1)表示領域の電極群の各電極に対応する複数の電極端子が基板の端部に形成されたプラズマディスプレイパネルと、当該プラズマディスプレイパネルを駆動回路に接続するためのフレキシブル配線基板を有するプラズマディスプレイ装置において、前記プラズマディスプレイパネルの電極端子と前記フレキシブル配線基板の第1の端子との接続状態を検査する検査装置であって、前記検査装置は、前記電極端子の、前記フレキシブル配線基板の第1の端子が接続された部分よりも表示領域側の部分において第1のプローブを接触させ、前記フレキシブル配線基板の前記駆動回路を接続するための第2の端子において、第2のプローブを接触させて導通を検査することを特徴とする検査装置。
【0018】
(2)前記第1のプローブはインラインに配置されていることを特徴とする(1)に記載の検査装置。
【0019】
(3)前記第1のプローブは千鳥配置となっていることを特徴とする(1)に記載の検査装置。
【0020】
(4)表示領域の電極群の各電極に対応する複数の電極端子が基板の端部に形成されたプラズマディスプレイパネルと、当該プラズマディスプレイパネルを駆動するドライバを搭載したフレキシブル配線基板を有するプラズマディスプレイ装置において、前記プラズマディスプレイパネルの電極端子と前記フレキシブル配線基板の第1の端子との接続を検査する検査装置であって、前記検査装置は、前記電極端子の、前記フレキシブル配線基板の第1の端子が接続された部分よりも前記表示領域側の部分において第1のプローブを接触させ、前記フレキシブル配線基板の前記ドライバを搭載する側の第2の端子において、第2のプローブを接触させ、所定の信号を入力して導通を検査することを特徴とする検査装置。
【0021】
(5)前記第1のプローブはインラインに配置されていることを特徴とする(4)に記載の検査装置。
【0022】
(6)前記第1のプローブは千鳥配置となっていることを特徴とする(4)に記載の検査装置。
【0023】
(7)表示領域の電極群の各電極に対応する複数の電極端子が基板の端部に形成されたプラズマディスプレイパネルと、前記プラズマディスプレイパネルを駆動回路に接続するためのフレキシブル配線基板の第1の端子とを接続する接続装置であって、前記プラズマディスプレイパネルの前記電極端子と前記フレキシブル配線基板の第1の端子とを異方性導電膜を介して熱圧着によって接続する熱圧着ヘッドを有し、前記電極端子と前記フレキシブル配線基板を接続後、前記プラズマディスプレイパネルを同じ位置に保持したまま、前記電極端子に当接したプローブと前記フレキシブル配線基板の第2の端子に当接したプローブを用いて前記フレキシブル配線基板と電極端子の接続を検査する接続装置。
【0024】
(8)表示領域の電極群の各電極に対応する複数の電極端子が基板の端部に形成されたプラズマディスプレイパネルと、前記プラズマディスプレイパネルを駆動回路に接続するためのフレキシブル配線基板とが接続されたプラズマディスプレイ装置の製造方法であって、前記プラズマディスプレイパネルの前記電極端子と前記フレキシブル配線基板の第1の端子とを異方性導電膜を介して熱圧着ヘッドを用いて熱圧着によって接続し、前記プラズマディスプレイパネルの前記電極端子と前記フレキシブル配線基板とを接続後、前記プラズマディスプレイパネルを同じ位置に保持したまま、前記プラズマディスプレイパネルの前記電極端子に当接したプローブと前記フレキシブル配線基板の第2の端子に当接したプローブを用いて前記フレキシブル配線基板と前記プラズマディスプレイパネルの前記電極端子の接続を検査するプラズマディスプレイ装置の製造方法。
【発明の効果】
【0025】
本発明により、プラズマディスプレイパネルを点灯することなく、プラズマディスプレイパネルの電極端子とフレキシブル配線基板の接続状態を端子毎に直接検査することが出来る。したがって、不良品が後工程に流れることを防止することが出来る。また、必要なリペア処理等を迅速にとることが出来る。
【0026】
さらに、従来は点灯チェックが必要だったために、接続の検査は抜き取りでおこなっていた。本発明を用いることによって、プラズマディスプレイパネルの電極端子とフレキシブル配線基板とを接続後、直ちに、全数検査をすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の具体的な実施例を説明するまえに、本発明が適用されるプラズマディスプレイ装置の構成について説明する。なお、本明細書では、前面基板と背面基板が組み合わされた状態のパネルをプラズマディスプレイパネル7と称し、プラズマディスプレイパネルにフレキシブル配線基板3あるいは、駆動回路等が接続されたものをプラズマディスプレイ装置、あるいはプラズマディスプレイモジュールと称する。
【0028】
図2はプラズマディスプレイパネル(PDP)7の表示領域を示す分解斜視図である。PDP7は、大きく分けて前面基板1と背面基板2から構成されている。前面基板1には表示期間に繰り返し放電を行なうX電極8、Y電極9が並行に交互に配置されている。
【0029】
X電極8は、ITOによって形成された放電電極となる広い幅の透明電極81と、Cr−Cu−Crによって形成されたバス電極となる幅の狭い金属電極とから形成されている。Y電極9も同じように透明電極91と金属電極とから形成されている。この電極群は誘電体層10に覆われており、さらにその表面はMgO等の保護層11に覆われている。
【0030】
前面基板1と同様にガラスで構成される背面基板2にはX電極8、Y電極9とほぼ垂直方向にアドレス電極12が配置されており、アドレス電極12は誘電体層10に覆われている。アドレス電極12の両側には隔壁13が配置され、列方向のセルを区分けしている。さらにアドレス電極12上の誘電体層10及び隔壁13の側面には紫外線により励起されて可視光を発生する蛍光体14が塗布されている。この前面基板1と背面基板2を保護層11と隔壁13が接するように貼り合わせて、前面基板1と背面基板2の表示領域周囲については封着部材4にて封着され、ガスを注入して封着し、PDP7を形成する。
【0031】
図3は、一般的なPDP7のモジュールの構造、すなわち、プラズマディスプレイ装置を示す平面図である。PDP7の背面基板2の背面に設けられたシャーシ15にはX電極8にサステイン電圧を印加するX駆動回路16、Y電極9にサステイン電圧及びスキャン電圧のいずれかを選択的に印加するY駆動回路17、アドレスドライバICを搭載したドライバモジュール(ADM29)、アドレス電圧を印加するアドレス駆動回路18、駆動回路の電源回路20、これらを制御する制御回路21で構成される。
【0032】
図4は、PDPモジュールを横から見た図である。前面基板1と背面基板2の間には、両基板の周辺を封着する封着部材4が設けられている。また、背面基板2は粘着材22により、シャーシ15に貼り付けられている。前面基板1のX電極8、Y電極9からX駆動回路16、Y駆動回路17への接続は、FPC(フレキシブル配線基板)3に図示しないACF(異方性導電膜)23を貼り付け、前面基板1に圧着し、導通接続している。
【0033】
また図3に示すADM29は、FPC3と同様に、ACF(異方性導電膜)23を介して背面基板2のアドレス電極12に圧着され、ADM29の他端はアドレス駆動回路18を経由し、制御回路21に導通している。
【0034】
前面基板1のX電極8とY電極9にFPC3を熱圧着する工程と、背面基板2のアドレス電極12にADM29を圧着する工程は同様であるため、本発明はどちらの圧着工程においても検査する事が可能である。
【実施例1】
【0035】
図1は、本発明の第1の実施例を示す模式図である。通常の熱圧着装置によって、FPC3が圧着されたプラズマディスプレイパネル7に、本発明による導通検査装置5をFPC3の圧着確認用に取り付け、導通検査を行う。導通検査装置5にはPDP7の電極端子(X電極8あるいはY電極9)に対して1本ずつ押さえることが可能な接続端子(以下プローブ)26、FPC3の前記パネルと接触している側に対する他方の電極端子に対して1本ずつを押さえる事が可能なプローブ27が設置されている。
【0036】
図5は、プローブ26と電極端子との配置を示す断面模式図である。プローブはプローブ支持部261から、電極端子8,9に対応してインラインで配列している。つまり、プローブ26は、針電極が直線状に配列され、アライメントマークによる位置決めをした後、電極端子をまとめて押さえる事が可能な構造となっている。図5におけるプローブ26のピッチpは図6に示す電極端子間ピッチpと同じである。図5は前面基板1の側のプローブ26の状態を示すものであるが、FPC3の他の端部におけるプローブ17の形態も同様である。図5において、プローブ27の先端は細くなっており、隣の端子に接触しないような構成となっている。
【0037】
図6は電極端子の平面図である。図6はPDP7を裏側から見た平面図である。前面基板1の端部には、表示領域から延在してきたX電極8あるいはY電極9の各電極端子が配列している。各電極端子の先端部には、点線で示すFPC3が接続している。
【0038】
FPC3には図示しない配線が前面基板1のX電極8あるいはY電極9の電極端子に対応して、同じピッチで形成されている。FPC3の配線は、一般には銅配線で形成されている。FPC3と前面基板1に形成されたX電極8あるいはY電極9の電極端子とは、図示しないACF(異方性導電膜)23を介して接続している。
【0039】
図6において、FPC3と背面基板2との間の前面基板1に形成されたX電極8あるいはY電極9の電極端子が露出した部分において、プローブ26が接触して導通を検査する。図6において、X電極8またはY電極9の電極端子の幅wは例えば100μmで、電極端子間のピッチpは200μmである。なお、表示領域におけるX電極8とY電極9のピッチは200μmよりも大きい。
【0040】
プローブ26の径は前面基板1のX電極8またはY電極9の電極端子に接触した時に、隣りの電極端子に接触しないように細く形成されている。プローブ26の径φは例えば30μm程度である。プローブの材質は例えばステンレスで形成されている。
【0041】
図7は前面基板1の端部(電極端子部)におけるX電極8の電極端子を示す断面図である。X電極8の電極端子は表示領域におけるX電極の金属電極82が基板端部に導出されて形成されている。図7に示すように、X電極8の電極端子は前述したように下地金属51、銅52、保護金属53の3層構造となっている。下地金属51には、ガラスとの接着力の強いCrが使用され、その上にCuが形成されCuの上にはCuを保護するためにCrが形成される。下地金属51としてのCrの膜厚は200nmで、銅52は3μm、保護金属53としてのCrは100nmである。このように、導通としての役割はCu52が担っている。保護金属53としてのCrはCuが酸化されることを防止する役割を有する。下地金属51としてのCrは黒色に近いので、表示領域においては非表示ラインを暗色にするブラックマトリクスとしての役割も有している。なお、下地金属51は、CrOとCrの積層構造となっている場合もある。CrOは黒色であり、ブラックマトリクスとしての役割はCrOが優れているからである。X電極8あるいはY電極9はCr、Cu、あるいは、CrO等をスパッタリングによって被着し、フォトリソグラフィ工程によってパターニングする。
【0042】
図7に示すように、PDPにおいては、X電極8、Y電極9の電極端子いずれも封着部材4の外側にあっても、SiO、SiN等の無機保護膜、あるいは、有機膜等による保護膜によって覆われているわけではない。銅配線52の保護はCr膜53のみである。銅配線52は3μmと厚いために、環境に対して強いからである。このように基板端部(電極端子部)において金属電極が露出しているため、本発明のように、背面基板2の電極端子を利用して背面基板のX電極8とFPC3との接続を検査するにあたり、PDP7の端子構造を特に変化させる必要は無い。以上はX電極8について説明したが、Y電極9についても同様である。
【0043】
図1に戻り、この状態で導通検査装置5を動作させて、プローブ26が接触したX電極8側の電極端子と、その電極端子に対応したFPC3側の配線に接触したプローブ27間の導通を確認することで、ACF23を介したX電極8とFPC3との圧着が正しく行われたことを確認することができる。
【0044】
また、プローブ26が接触したX電極8側の電極端子と、その電極端子に対応しないFPC3側の配線に接触したプローブ27間の導通を確認することで異物による電極端子間ショートによる不良を検出することができる。このようにして、PDP7とFPC3との圧着状態の良否確認を行うことができる。以上の説明では、上記はX電極8とFPC3との圧着を確認する例を示したが、Y電極9とFPC3との圧着の確認も同様に行うことができる。
【0045】
さらにX電極8とFPC3の代わりに、背面基板2のアドレス電極12とADM29を、ACF(異方性導電膜)23を介して圧着する場合も同様である。ADM29はフレキシブル配線基板にアドレスドライバが搭載されたものである。したがって、この場合には導通検査装置5からはプローブ26、27間に予め設定されたADM動作検査用の信号パターンや電源電圧を印加し、ADM29の実際の動作出力が所定の出力と正しく一致することをチェックすることで、ACF23を介してアドレス電極12とADM29の圧着が正しく行われたことを確認する。この場合の検査もPDP7を動作させる必要が無いことは、X電極8、Y電極9の場合と同様である。
【0046】
図1において、導通検査装置5からはプローブ26の線のみが示されているがこれは模式図である。プローブは細いので、長い距離の引き回しは出来ないので、実際はプローブ支持部261等からプローブが出ている。また、図1において、プローブ支持部271は、フレキシブル配線基板3の押さえの役割も果たし、パネル面から垂れ下がる事のないようフレキシブル配線基板を支持し、エアー吸引によって保持、接続できる構造とすることも可能である。
【0047】
図1の例では、FPC3の接続のチェックは前面基板1に形成されたX電極8あるいはY電極9との接続のチェックであるとして説明したが、本実施例は背面基板2に形成されたアドレス電極12とアドレスドライバモジュール(ADM29)の接続にも適用することが出来る。背面基板2に形成されたアドレス電極12のピッチは、前面基板に形成されたX電極8とY電極9の電極間ピッチに比較して小さい。基板端部に導出されたアドレス電極の端子部においても同様な傾向である。したがって、前面基板1におけるX電極8またはY電極9の電極端子とFPC3の接続よりも難しく、本発明の効果をより発揮することが出来る。
【0048】
なお、背面基板2に形成されたアドレス電極12は、前面基板1に形成されたX電極8あるいはY電極9とは異なり、例えば、銀ペーストを印刷によって塗布し、これを焼結させて導体としたものが使用される。アドレス電極12は封着部材4の外側においても保護膜によって覆われていることなく、露出している。したがって、ADM29とアドレス電極12の接続は、前面基板1に形成されたX電極8の電極端子とFPC3との接続と同様に行うことが出来る。プローブ26によるADM29との導通のチェックは所定の信号を入力する必要があるが、プローブ26およびプローブ27を使用して必要な検査を行うという基本動作はX電極等の場合に説明したのと同様である。
【実施例2】
【0049】
実施例1においては、プローブ26、27は、針電極が直線状に配列され、アライメントマークによる位置決めをした後、電極端子をまとめて押さえる事が可能な構造となっている。実施例1の図5に示すように、プローブ26のピッチpは電極端子間のピッチpと同じであり、例えば、0.2mmである。このようなピッチで、プローブを配置することは機械的に難しい場合がある。
【0050】
本実施例2は図8に示すように、プローブ26を2列に配列し、プローブ26がX電極8またはY電極9の電極端子に接触する位置を千鳥配置とする。そうすると、プローブ26間のピッチが大きくなり、プローブ26の設計裕度を大幅に上げることが出来る。図9は、プローブ26とX電極またはY電極の電極端子の接続の様子を示す断面模式図である。図9において、ハッチングをしたプローブが例えば、X電極群の奇数の電極端子と接触するプローブ26であり、白抜きのプローブ26がX電極群の奇数の電極端子と接触するプローブである。各プローブの横方向のピッチは実施例1の場合の2倍となり、例えば、0.4mmとなる。
【0051】
図8に戻り、前面基板1において、X電極8とY電極9の電極端子が表示領域から延在し基板端部に導出されていることは図6と同様である。図8において、X電極群8の奇数の電極端子には表示領域側のプローブ26が接触し、偶数の電極端子には、FPC3側のプローブ26が接触している。千鳥配置となっている端子の、電極が延在している方向の距離pを例えば、0.346mmとすると、斜め方向のプローブの距離qは0.4mmとなる。
【0052】
以上の例では、FPC3の接続のチェックは前面基板に形成されたX電極8あるいはY電極9との接続のチェックであるとして説明したが、本実施例は背面基板2に形成されたアドレス電極12とアドレスドライバモジュール(ADM29)の接続にも適用することが出来る。背面基板2に形成されたアドレス電極12のピッチは、前面基板1に形成されたX電極8とY電極9の電極間ピッチに比較して小さい。したがって、前面基板1における電極とFPC3の接続よりも難しく、本発明の効果をより発揮することが出来る。
【0053】
以上のように、本実施例によれば、プローブ26間の距離を大きくすることが出来るので、装置の裕度を大きくし、測定のミスを低減することが出来る。
【実施例3】
【0054】
図10は、本発明の第3の実施例を示す模式図である。図10において、熱圧着装置28は導通検査装置5、プローブ26、27等を含むものである。本実施例においては、熱圧着によってFPC3と前面基板1を接続した後、続けて導通のチェックを行うことが出来る。
【0055】
図10において、PDP7は裏返して圧着装置に設置されている。すなわち、前面基板1が下になり、背面基板2が上になってパネル支持治具25に載置されている。つまり、図10は、前面基板1のX電極8およびY電極9にFPC3を接続している図である。プローブ支持部271は同時にFPC3を載置する機能も有している。
【0056】
図10において、前面基板の電極端子に、ACF23を介してFPC3を接続する。この接続は圧着ヘッド24を用いて行う。圧着ヘッド24は水平、上下方向に自由に移動することが出来る。熱圧着ヘッド24には、内部にヒータ(不図示)が内蔵されており、これにより圧着面を所望の温度に加熱し圧着する。
【0057】
圧着ヘッド24は、実際にACF23を加圧して加熱する上側のヘッドと、上側のヘッドからの加圧力を下から受ける下側のヘッドとから構成されている。圧着ヘッド24の先端と背面基板2の端部との間にはスペースが存在しており、プローブ26による導通のチェックを行うことが可能となっている。
【0058】
圧着した後の前面基板1の電極端子部の平面形状は、実施例1における図6、あるいは、実施例2における図8と同様である。すなわち、圧着ヘッドは、例えば図6におけるFPC3の部分のみを加圧し加熱する。FPC3と背面基板の間には圧着ヘッドは存在しておらず、この部分にはプローブ26が接触することになる。圧着ヘッドによる圧着が終了すると、インライン状あるいは千鳥状に配列したプローブ26が下降してX電極8あるいはY電極9の電極端子に接触する。
【0059】
同時に、FPC3の他の端子にもプローブ27が接触して、X電極8あるいはY電極9の電極端子とFPC3の他の端子の導通をチェックする。熱圧着ヘッド24の付近にはカメラが設置され、熱圧着による接続の動作と、プローブ26がX電極8あるいはY電極9の電極端子に接触する状態をモニター6によって監視することが出来る。
【0060】
ところで、PDP7に接続するFPC3はPDPの一つの辺に多数接続されるが、一枚一枚のPFC3の接続毎にこの動作を繰り返す。このために、熱圧着ヘッド24は水平方向に移動可能となっている。
【0061】
このように、本実施例によれば、熱圧着によってFPC3を前面基板1に接続した後、直ちに接続の不良をチェックすることが出来る。したがって、不良品を後工程に流すことは無い。また、接続不良品が発生した場合は、必要に応じて、再生工程を行うことも出来る。
【0062】
さらに本発明では、プラズマディスプレイパネルを点灯することなく、電極端子部の接続を直接検査できる。点灯させて検査する場合、特定画素に異常が見つかっても、前面基板あるいは背面基板の電極端子部とフレキシブル配線基板の導通のせいか否かは必ずしも明確ではない。これに対して本発明は、電極端子部の導通を直接検査することが出来るという特徴を有する。
【0063】
以上の例では、前面基板1のX電極8あるいはY電極9の電極端子にFPC3を接続し、FPC3と電極端子の接続をチェックするものとして説明したが、背面基板2に形成されたアドレス電極12の電極端子とFPC3との接続についても適用することが出来る。なお、アドレス電極12は前面基板1に形成されたX電極8あるいはY電極9と異なり、銀ペーストを印刷によって塗布し、焼結したものが使用されるが、ACF23を介してFPC3を熱圧着で接続することは同様である。また、アドレス電極12は本数もX電極8あるいはY電極9に比べて多いので、本実施例によるFPC3の接続と検査の効率化の効果は特に大きい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】実施例1の圧着検査装置を示す模式図である。
【図2】PDPの構造を示す分解斜視図である。
【図3】PDPのモジュールの構造を示す背面図である。
【図4】PDPのモジュールの構造を示す側面図である。
【図5】実施例1のプローブの配置を示す模式図である。
【図6】実施例1のプローブとX電極、Y電極の関係を示す平面図である。
【図7】X電極の端子部における断面図である。
【図8】実施例2のプローブとX電極、Y電極の関係を示す平面図である。
【図9】実施例2のプローブの配置を示す模式図である。
【図10】実施例3の圧着検査装置を示す模式図である。
【図11】液晶表示装置の接続検査の従来例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0065】
1・・・前面基板
2・・・背面基板
3・・・FPC(フレキシブル配線基板)
4・・・封着部材
5・・・導通検査装置
6・・・モニター
7・・・PDP
8・・・X電極
9・・・Y電極
10・・・誘電体層
11・・・保護層
12・・・アドレス電極
13・・・隔壁
14・・・蛍光体層
15・・・シャーシ
16・・・X駆動回路、
17・・・Y駆動回路、
18・・・アドレス駆動回路、
20・・・電源回路、
21・・・制御回路
22・・・粘着材
23・・・ACF(異方性導電膜)
24・・・熱圧着ヘッド、
25・・・パネル支持治具
26・・・プローブ(パネル電極用)
27・・・プローブ(フレキシブル配線基板電極用)
28・・・熱圧着装置
29・・・アドレスドライバモジュール(ADM)
31・・・作業台
32・・・液晶表示パネル
33・・・ガラス基板
34・・・ガラス基板2
35・・・駆動部
36・・・プローブユニット
37・・・LSIチップ
38・・・接続端子
39・・・熱圧着ユニット
40・・・ケーブル
41・・・アーム
42・・・異方性導電接着材
51・・・下地金属
52・・・銅配線
53・・・保護金属
81・・・X透明電極
82・・・Y透明電極
261、271・・・プローブ支持部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域の電極群の各電極に対応する複数の電極端子が基板の端部に形成されたプラズマディスプレイパネルと、当該プラズマディスプレイパネルを駆動回路に接続するためのフレキシブル配線基板を有するプラズマディスプレイ装置において、前記プラズマディスプレイパネルの電極端子と前記フレキシブル配線基板の第1の端子との接続状態を検査する検査装置であって、
前記検査装置は、前記電極端子の、前記フレキシブル配線基板の第1の端子が接続された部分よりも表示領域側の部分において第1のプローブを接触させ、前記フレキシブル配線基板の前記駆動回路を接続するための第2の端子において、第2のプローブを接触させて導通を検査することを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記第1のプローブはインラインに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記第1のプローブは千鳥配置となっていることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項4】
表示領域の電極群の各電極に対応する複数の電極端子が基板の端部に形成されたプラズマディスプレイパネルと、当該プラズマディスプレイパネルを駆動するドライバを搭載したフレキシブル配線基板を有するプラズマディスプレイ装置において、前記プラズマディスプレイパネルの電極端子と前記フレキシブル配線基板の第1の端子との接続を検査する検査装置であって、
前記検査装置は、前記電極端子の、前記フレキシブル配線基板の第1の端子が接続された部分よりも前記表示領域側の部分において第1のプローブを接触させ、前記フレキシブル配線基板の前記ドライバを搭載する側の第2の端子において、第2のプローブを接触させ、所定の信号を入力して導通を検査することを特徴とする検査装置。
【請求項5】
前記第1のプローブはインラインに配置されていることを特徴とする請求項4に記載の検査装置。
【請求項6】
前記第1のプローブは千鳥配置となっていることを特徴とする請求項4に記載の検査装置。
【請求項7】
表示領域の電極群の各電極に対応する複数の電極端子が基板の端部に形成されたプラズマディスプレイパネルと、
前記プラズマディスプレイパネルを駆動回路に接続するためのフレキシブル配線基板の第1の端子とを接続する接続装置であって、
前記プラズマディスプレイパネルの前記電極端子と前記フレキシブル配線基板の第1の端子とを異方性導電膜を介して熱圧着によって接続する熱圧着ヘッドを有し、
前記電極端子と前記フレキシブル配線基板を接続後、前記プラズマディスプレイパネルを同じ位置に保持したまま、前記電極端子に当接したプローブと前記フレキシブル配線基板の第2の端子に当接したプローブを用いて前記フレキシブル配線基板と電極端子の接続を検査する接続装置。
【請求項8】
表示領域の電極群の各電極に対応する複数の電極端子が基板の端部に形成されたプラズマディスプレイパネルと、
前記プラズマディスプレイパネルを駆動回路に接続するためのフレキシブル配線基板とが接続されたプラズマディスプレイ装置の製造方法であって、
前記プラズマディスプレイパネルの前記電極端子と前記フレキシブル配線基板の第1の端子とを異方性導電膜を介して熱圧着ヘッドを用いて熱圧着によって接続し、
前記プラズマディスプレイパネルの前記電極端子と前記フレキシブル配線基板とを接続後、前記プラズマディスプレイパネルを同じ位置に保持したまま、前記プラズマディスプレイパネルの前記電極端子に当接したプローブと前記フレキシブル配線基板の第2の端子に当接したプローブを用いて前記フレキシブル配線基板と前記プラズマディスプレイパネルの前記電極端子の接続を検査するプラズマディスプレイ装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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