説明

プラズマ表示装置

【課題】 プラズマ表示板と透明保護板との間に空気層を介在させずにそれらの界面での光反射損を抑制して高視認性を達成し、表示板の大型化にも有利に対処できるプラズマ表示装置の開発。
【解決手段】 プラズマ表示板(3)の視認側に、緩衝性と密着性を有する耐熱性の透明樹脂シート(2)を介し透明保護板(1)を密着配置してなるプラズマ表示装置。
【効果】 透明樹脂シートが耐候性に優れて良視認性を長期に維持し、接着剤や加熱接着による場合の歪等による視認性の低下や熱による表示板の機能低下等を回避でき、耐熱性の透明樹脂シートが断熱層や透明保護板の支持層や緩衝層として機能して透明保護板の板厚を増大させる必要なく表示板の大型化を達成でき、装置の落下時等に加わる衝撃力を緩和してプラズマ表示板の破損も防止できる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、視認性に優れるプラズマ表示装置に関する。
【0002】
【発明の背景】従来、プラズマ表示装置としては、図2の如くプラズマ表示板3の視認側にスペーサ5による間隙51を設けて、ガラスや樹脂からなる透明保護板1を配置し、それをケース4内に収容したものが知られていた。当該間隙51を介し透明保護板1を配置したことで、プラズマ表示板に衝撃力が直接作用することが防止され、プラズマ表示板の発生熱が透明保護板に伝導することが抑制されている。
【0003】しかしながら、当該間隙51によって形成される空気層とプラズマ表示板及び透明保護板との界面における光の反射損が大きくて、表示板の視認性を低下させる問題点があった。また表示板の大型化に伴い、透明保護板の厚板化が必要となりガラス板の場合には重量増加やコストアップの問題が発生し、かつ耐衝撃性の低下問題等も発生する問題点があったし、樹脂板の場合には熱による変形防止のため、より板厚を増大させるか当該間隙51(空気層)の層厚を増大させる必要が生じて視認性がさらに低下しやすい問題点があった。
【0004】前記に鑑みて、当該間隙51に硬化型シリコーンゲルを注入充填する対策が考えられるが、その場合には当該ゲルが耐候性に乏しくて経時的な透明性の低下や気泡発生等で視認性が低下し、持続性に乏しい問題がある。また接着剤にて透明保護板をプラズマ表示板に接着する対策も考えられるが、その場合には接着剤の塗工ムラや乾燥収縮による歪等で視認性の低下問題を誘発し、エチレン・酢酸ビニル系接着剤等による加熱接着では表示板の機能低下などの問題を誘発する。さらに空気層に比べて衝撃力が伝達しやすく表示板の破損問題なども惹起する。
【0005】
【発明の技術的課題】本発明は、プラズマ表示板と透明保護板との間に空気層を介在させずにそれらの界面での光反射損を抑制して高視認性を達成し、表示板の大型化にも有利に対処できるプラズマ表示装置の開発を課題とする。
【0006】
【課題の解決手段】本発明は、プラズマ表示板の視認側に、緩衝性と密着性を有する耐熱性の透明樹脂シートを介し透明保護板を密着配置してなることを特徴とするプラズマ表示装置を提供するものである。
【0007】
【発明の効果】本発明によれば、緩衝性で密着性の透明樹脂シートを介してプラズマ表示板と透明保護板を密着配置でき、それら界面での空気層の介在を防止して光の反射損を大幅に低減でき、視認性に優れるプラズマ表示装置を得ることができる。また透明樹脂シートを用いることで、耐候性にも優れシリコーンゲルの充填による場合の経時的な視認性の低下、及び接着剤や加熱接着による場合の歪等による視認性の低下や熱による表示板の機能低下などの問題発生を回避することができる。さらに耐熱性の透明樹脂シートが断熱層や透明保護板の支持層や緩衝層として機能し、透明保護板の板厚を増大させる必要なく表示板の大型化を達成でき、装置の落下時等に加わる衝撃力を緩和してプラズマ表示板の破損も防止することができる。
【0008】
【発明の実施形態】本発明のプラズマ表示装置は、プラズマ表示板の視認側に、緩衝性と密着性を有する耐熱性の透明樹脂シートを介し透明保護板を密着配置したものである。その例を図1に示した。1が透明保護板、2が透明樹脂シート、3がプラズマ表示板である。また4はケースである。
【0009】透明樹脂シートとしては、緩衝性と密着性を有する耐熱性のものが用いられる。緩衝性は、落下時の衝撃等よりプラズマ表示板を保護することなどを目的とする。衝撃力の吸収性や良好な表示視認性、断熱性等の点より好ましいシート厚は、0.1〜5mm、就中0.2〜3mmである。
【0010】密着性は、透明保護板とプラズマ表示板の密着配置を達成して、空気層の混入を長期に防止し良視認性の長期確保などを目的とする。かかる点よりプラズマ表示板と透明保護板に対する接着力が、JIS C 2107に準拠して2g/20mm以上、就中10g/20mm以上、特に100g/20mm以上の透明樹脂シートであることが好ましい。
【0011】耐熱性は、プラズマ表示板による発熱に耐えることなどを目的とする。透明樹脂シートの透明度は、良好な表示視認性等の点よりその光透過率がJIS K6714に準拠したヘイズ値に基づいて5以下、就中2以下が好ましい。また、全光線透過率が85%以上、就中90%以上が好ましい。なお密着界面での反射損を低減した良好な表示視認性等の点より、プラズマ表示板及び透明保護板の各表面層に対する屈折率差が0.2以下の透明樹脂シートであることが好ましい。
【0012】透明樹脂シートの形成には、例えばポリオレフィン系やポリアミド系、ポリスチレン系やポリ塩化ビニル系、アクリル系などの適宜な透明樹脂を用いうる。好ましく用いうる樹脂は、アクリル酸やメタクリル酸やそのエステル等からなるアクリル系モノマーを成分とするアクリル系ポリマーなどである。
【0013】前記アクリル系ポリマーの具体例としては、メチル基やエチル基、プロピル基やイソプロピル基、n−ブチル基やt−ブチル基、イソブチル基やペンチル基、イソペンチル基やヘキシル基、ヘプチル基やシクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基やオクチル基、イソオクチル基やノニル基、イソノニル基やデシル基、ウンデシル基やラウリル基、トリデシル基やテトラデシル基、ステアリル基やオクタデシル基、デカニル基やイソデカニル基の如き直鎖又は分岐のアルキル基、就中、炭素数が30以下のアルキル基を有するアクリル酸又はメタクリル酸のエステル、あるいはそのアルキル基の一部をヒドロキシル基で置換した例えば(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルや(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルや(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチルや(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリルや(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレートの如きヒドロキシル基含有モノマーの1種又は2種以上を主成分に用いて重合処理したものなどがあげられる。
【0014】前記アクリル系ポリマーの重合に際しては、光学特性や耐熱性等の物性の改質などを目的に共重合可能な適宜なモノマーを必要に応じて併用することができる。そのモノマー例としては、アクリル酸やメタクリル酸、カルボキシエチルアクリレートやカルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸やマレイン酸、フマール酸やクロトン酸の如きカルボキシル基含有モノマー、あるいは無水マレイン酸や無水イタコン酸の如き酸無水物モノマー、スチレンスルホン酸やアリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸や(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレートや(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸の如きスルホン酸基含有モノマー、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートの如き燐酸基含有モノマーなどがあげられる。
【0015】また、(メタ)アクリルアミドやN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミドやN−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドの如き(N−置換)アミド系モノマー、(メタ)アクリル酸アミノエチルや(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルの如き(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキル系モノマー、(メタ)アクリル酸メトキシエチルや(メタ)アクリル酸エトキシエチルの如き(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー、N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミドやN−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドの如きスクシンイミド系モノマーなども改質目的のモノマー例としてあげられる。
【0016】さらに、酢酸ビニルやプロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドンやメチルビニルピロリドン、ビニルピリジンやビニルピペリドン、ビニルピリミジンやビニルピペラジン、ビニルピラジンやビニルピロール、ビニルイミダゾールやビニルオキサゾール、ビニルモルホリンやN−ビニルカルボン酸アミド類、スチレンやα−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムの如きビニル系モノマー、アクリロニトリルやメタクリロニトリルの如きシアノアクリレート系モノマー、(メタ)アクリル酸グリシジルの如きエポキシ基含有アクリル系モノマー、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールや(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコールや(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールの如きグリコール系アクリルエステルモノマー、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルやフッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートや2−メトキシエチルアクリレートの如きアクリル酸エステル系モノマーなども改質目的のモノマー例としてあげられる。
【0017】加えて、架橋処理等を目的に多官能系モノマーなども用いうる。その例としては、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートや(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートやネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートやトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートやジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレートやポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどがあげられる。
【0018】アクリル系ポリマーの調製は、例えば1種又は2種以上の各モノマーの混合物に、溶液重合方式や乳化重合方式、塊状重合方式や懸濁重合方式等の適宜な方式を適用して行うことができる。塊状重合方式では、紫外線や電子線等の放射線の照射による重合方式なども適用でき、溶液重合方式等と放射線重合方式を併用した付加重合方式なども適用することができる。また架橋処理では、内部架橋方式や外部架橋方式等の適宜な方式を適用することができる。内部架橋したアクリル系ポリマーの調製は、例えば上記した多官能系モノマーを用いて熱重合開始剤によるラジカル重合方式や、光重合開始剤による放射線重合方式などを適用して行うことができる。一方、外部架橋は、アクリル系ポリマーの溶液等に分子間架橋剤を配合してシートに成形したのち加熱処理する方式や放射線を照射する方式などにより行うことができる。
【0019】ちなみに前記の熱重合開始剤の例としては、過酸化ベンゾイルやt-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシドやジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートやジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエートやt-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシドやジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシドの如き有機過酸化物、2,2'−アゾビスイソブチロニトリルや2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)や2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)やジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)や2,2'−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]の如きアゾ系化合物などがあげられる。
【0020】また光重合開始剤の例としては、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトンやα−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノンや2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノンや1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1の如きアセトフェノン系化合物、ベンゾインエチルエーテルやベンゾインイソプロピルエーテル、アニゾインメチルエーテルの如きベンゾインエーテル系化合物、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノンの如きα−ケトール系化合物、ベンジルジメチルケタールの如きケタール系化合物、2−ナフタレンスルホニルクロリドの如き芳香族スルホニルクロリド系化合物、1−フェノン−1,1−プロパンジオン−2−(ο−エトキシカルボニル)オキシムの如き光活性オキシム系化合物、ベンゾフェノンやベンゾイル安息香酸、3,3'−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンの如きベンゾフェノン系化合物などがあげられる。
【0021】なお重合開始剤には、過硫酸カリウムや過硫酸アンモニウムや過酸化水素等、あるいはそれらと還元剤を併用したレドックス系開始剤なども用いうる。
【0022】一方、分子間架橋剤の例としては、トリレンジイソシアネートやトリメチロールプロパントリレンジイソシアネート、ジフェニルメタントリイソシアネートの如き多官能イソシアネート系架橋剤、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルやジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルの如きエポキシ系架橋剤、メラミン樹脂系架橋剤や金属塩系架橋剤、金属キレート系架橋剤やアミノ樹脂系架橋剤、過酸化物系架橋剤などがあげられる。
【0023】透明樹脂シートの形成は、例えば透明樹脂を必要に応じ溶剤等による溶液としてセパレータ上に展開し、その展開層の上にさらにセパレータを配置してシート化する方式などの適宜な方式で行うことができる。なおセパレータは、フィルム等の薄葉体を剥離剤で表面処理する方式などにより得ることができる。透明樹脂シートにおける緩衝性や密着性等の調節は、モノマー成分の選択や添加剤の配合などの適宜な方式で行うことができる。ちなみに緩衝性や密着性等の向上には可塑剤の配合が有効である。
【0024】可塑剤としては、適宜なものを用いることができ、沸点が200℃以上で室温で液体の透明性に優れるものが好ましい。その可塑剤の例としては、フタル酸ジメチルやフタル酸ジエチル、フタル酸ジブチルやフタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシルやフタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシルやフタル酸ジブチルベンジル、フタル酸ジオクチルやブチルフタリルブチルグリコレートの如きフタル酸系化合物、アジピン酸ジイソブチルやアジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシルやアジピン酸ジブトキシエチルの如きアジピン酸系化合物、セバシン酸ジブチルやセバシン酸ジ−2−エチルヘキシルの如きセバシン酸系化合物、リン酸トリエチルやリン酸トリフェニル、リン酸トリクレジルやリン酸トリキシレニル、リン酸クレジルフェニルの如きリン酸系化合物、ジオクチルセバケートやメチルアセチルリシノレートの如き脂肪酸系化合物、ジイソデシル−4,5−エポキシテトラヒドロフタレートの如きエポキシ系化合物、トリメリット酸トリブチルやトリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリn−オクチルやトリメリット酸トリイソデシルの如きトリメリット酸系化合物、その他、オレイン酸ブチルや塩素化パラフィン、ポリブテンやポリイソブチレンなどもあげられる。
【0025】可塑剤は、必要に応じて1種又は2種以上を配合でき、配合量は、その種類や透明樹脂の種類などに応じて適宜に決定することができる。一般には、透明樹脂100重量部あたり、5〜300重量部、就中10〜200重量部の可塑剤が用いられる。
【0026】透明樹脂シートを介したプラズマ表示板と透明保護板の密着配置は、例えばプラズマ表示板又は透明保護板の一方に、透明樹脂シートをその一方のセパレータを剥がしてロールラミネーター等により密着せたのち残るセパレータを剥がして、プラズマ表示板又は透明保護板の他方を圧着方式等により密着させる方式などの適宜な方式で行うことができる。密着界面に気泡が混入した場合には、オートクレーブや真空脱泡装置などによる適宜な方法で脱気処理して混入気泡を除去することが好ましい。
【0027】本発明においては、図1の如くプラズマ表示板3の視認側に当該透明樹脂シート2を介して透明保護板1を密着配置する点を除いて特に限定はなく、適宜な構造を有するプラズマ表示装置を適宜な組立順序等の製造工程で形成することができる。従ってプラズマ表示板や透明保護板については適宜なものを用いてよく、従来に準じることも可能である。
【0028】ちなみにプラズマ表示板としては、例えば線状又は面状の電極群を設けたガラス板等の透明基板の2枚を電極が交差するように対向配置したものなどがあげられる。プラズマ発生の駆動方式は任意である。また透明保護板としては、例えばガラス板や種々の樹脂板などにより形成したものなどがあげられる。
【0029】
【実施例】
実施例1厚さ1.1mmのガラス製の透明保護板(180mm×250mm)に、厚さ0.2mmの透明樹脂シートを一方のセパレータを剥がしてロールラミネーターを介し圧着して密着させたのち、残るセパレータを剥がしてその透明樹脂シートを介しプラズマ表示板形成用の厚さ1.1mmの透明ガラス板の上に圧着して密着させ、透明樹脂シートを介してプラズマ表示板形成用のガラス板と透明保護板を密着配置した構造体を得た。
【0030】なお前記において、透明樹脂シートは、アクリル酸ブチル97部(重量部、以下同じ)、アクリル酸3部、アゾビスイソブチロニトリル0.4部を酢酸エチル100部に溶解させて撹拌下に約60℃で反応させて得たアクリル系ポリマーの溶液に、イソシアネート系架橋剤3部を配合して厚さ25μmのポリエステル系セパレータ上に塗布し、加熱乾燥して形成したものである。
【0031】実施例2冷却管、窒素導入管、温度計、紫外線照射装置及び撹拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸イソノニル99部、アクリル酸1部、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(開始剤)0.1部を入れて紫外線照射により重合処理して得た重合率10重量%のアクリル系ポリマー・モノマー混合液100部に、ジオクチルフタレート70部とトリメチルプロパントリアクリレート(架橋剤)0.1部を配合して厚さ25μmのポリエステル系セパレータ上に塗布し、窒素雰囲気下に紫外線ランプにて2000mj/cm2の紫外線を照射し光重合させて得た、厚さ0.4mmの透明樹脂シートを用いたほかは実施例1に準じて構造体を得た。
【0032】比較例1透明樹脂シートの厚さを0.05mmとしたほかは実施例1に準じて構造体を得た。
【0033】比較例2アクリル酸ブチル95部とアクリル酸5部とイソシアネート系架橋剤3部を用いて実施例1に準じて得た透明樹脂からなる厚さ0.4mmのシートを用いて枠幅2mmの枠スペーサを形成し、それを介してプラズマ表示板形成用のガラス板とガラス製透明保護板を空気層が介在する状態に配置した構造体を得た。
【0034】評価試験実施例、比較例で得た構造体について下記の特性を調べた。
光透過率プラズマ表示板形成用のガラス板2枚を実施例、比較例で得た透明樹脂シートを介して接着し、透過する全光線の透過率を調べた。なお比較例2では透明樹脂シートに代わる空気層が介在した状態について調べた。
【0035】ヘイズ値前記の光透過率に準じて表面でのヘイズ値を調べた。
【0036】接着力JIS C 2107に準拠して、プラズマ表示板形成用のガラス板に対する透明樹脂シートの接着力(180度ピール)を調べた。
【0037】耐衝撃性鋼板上に置いた構造体の透明保護板に対し、高さ1mの位置より直径8mm、重さ3gの鋼球を自然落下させた後の状態を目視観察し、次の基準で評価した。
優良:落下前後で構造体に何の変化も認められない場合可 :透明保護板に割れが発生したが飛散は生じず、プラズマ表示板形成用のガラス板には割れが生じなかった場合不可:透明保護板が割れて飛散し、プラズマ表示板形成用のガラス板にも割れが発生した場合
【0038】前記の結果を次表に示した。


【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の断面図
【図2】従来例の断面図
【符号の説明】
1:透明保護板
2:透明樹脂シート
3:プラズマ表示板
4:ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】 プラズマ表示板の視認側に、緩衝性と密着性を有する耐熱性の透明樹脂シートを介し透明保護板を密着配置してなることを特徴とするプラズマ表示装置。
【請求項2】 請求項1において、透明樹脂シートが厚さ0.1〜5mm、全光線透過率85%以上、ヘイズ値5以下のものであるプラズマ表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開平9−259770
【公開日】平成9年(1997)10月3日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−93096
【出願日】平成8年(1996)3月21日
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)