説明

プリザーブドフラワーと水引のコラボレーション装飾体

【課題】
プリザーブドフラワーに日本伝統細工の水引を組み合わせて、華やかさと優しさの表現に加えて煌びやかさと華やかさを付加した新たな造形物である装飾体を提供する。
【解決手段】
プリザーブドフラワーを内包するように、その後背位又は中間部に複数個の造形した水引を重ね合わせ、ステム形成のため該プリザーブドフラワーの茎部と該造形した水引の端部を一体化せしめるため固着し、ブーケ又はコザージュ或いはアレンジメントとする構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
生花に準ずる華やかさ優しさを有するプリザーブドフラワーに、造形した水引を重ね合わせ煌びやかさと輝かしさを付加した新しい形態・感覚を持たせたブーケ、コサージュ、アレンジメントに関する。
【背景技術】
【0002】
慶事などの際に用いられるブーケやコサージュ、また贈答などに用いられるアレンジメントは主に生花が用いられるが、長期間の耐久性を兼ね備えるためドライフラワーとすることや、織布や樹脂等で構成する造花が用いられている。
生花は本物としての華やかさや色彩のほか香りに優れ最も心を癒される自然の造形物であるが、保存性に欠ける最大の欠点がある。また、ドライフラワーは保存性には優れるが所詮色彩は時間経過と共に退色し目視的にも乾いた感触は否めない。
造花に至っては、人工での限界があるため生花特有の色彩や自然の造形に遠く及ばない装飾体にしかならない。
【0003】
一方、慶事用として人工造形物として水引を用いて折りあげ又は編み合わせなる編み細工によるブーケ、コサージュ等の装身飾り(特許文献1参照)が提案されているが、水引の煌びやかさと輝かしさを表現できるものとしてその価値は求められるものの、生花のもつ特有の表現には到底及ばないものである。
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2515509号 公開公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、生花の非耐久性や着衣への色写りなどの問題点などを解決するため、最近開発された生花を特殊加工してより生花に近い華やかさと優しさの表現と高い保存性を合わせ持つプリザーブドフラワーを用いてブーケ、コサージュ、アレンジメント等を創作する技術に着目し、日本固有の伝統工芸品技術として慶弔に用いられる水引を造形してコラボレーションさせる装飾体の創作を行った。
本発明の装飾体では、生花に近い華やかさと優しさの表現に加え、より煌びやかさと輝かしさを持つ、新しい感覚を表現できる装飾体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の本発明は、プリザーブドフラワーをメインとし、該プリザーブドフラワーを内包するようにその後背位又は中間部に造形した水引を適宜な数量を重ね配し、ステム形成のため該プリザーブドフラワー茎部と該造形した水引の端部を結束一体化させることで生花に近いブーケ、コサージュ、アレンジメントを創作するものである。
【0007】
請求項2の本発明は、プリザーブドフラワーをメインとし、該プリザーブドフラワーの花弁と造形した水引を規則的又は非規則的に自在に重ね合わせて配し、ステム形成のため該プリザーブドフラワー茎部と該造形した水引の端部を結束し一体化させることで生花に近いブーケ、コサージュ、アレンジメントを創作するものである。
【0008】
請求項3の本発明は、プリザーブドフラワーと造形した水引を重ね合わせる随意の位置に、アクセントとしてプラスチック成型品等を配することで、特に慶事などの煌びやかさをより強調できるブーケ、コサージュ、アレンジメントを創作するものである。
【0009】
請求項4の本発明は、周囲環境の消臭や汚損性の埃の付着を防止するため、プリザーブドフラワーと造形した水引の双方又はどちらか一方の表面に光触媒を担持させ、よりその保存性を高めたブーケ、コサージュ、アレンジメントを創作するものである。
【0010】
請求項5の本発明は、特に慶事などを目的とする場合、芳香性を持たせるためプリザーブドフラワーと造形した水引の双方又はどちらか一方に芳香性機能を担持させ、より高貴な雰囲気を醸し出せるブーケ、コサージュ、アレンジメントを創作するものである。
【0011】
請求項6の本発明は、メインに用いる花卉材料としてプリザーブドフラワーに限定することなく、その用いる用向きにより生花、ドライフラワー又は造花を用いてそれぞれの表現を行うことができるブーケ、コサージュ、アレンジメントを創作するものである。
【発明の効果】
【0012】
生花に次ぐレベルにあるプリザーブドフラワーは華やかさとしなやかさ、優しさに加え保存性に優れているが、その周囲にプリザーブドフラワーと造形した水引をコラボレーションすることにより、煌びやかさ、輝かしさと高貴さを合わせ持つブーケ、コサージュ又はアレンジメントを創出できる。また、その用いるプリザーブドフラワーと造形した水引の色彩の選定や工夫をこらすことにより慶事のほか、葬儀、告別式の葬祭にも用いることができるなどその利・活用範囲は広く、和心の再認識にも繋がる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
請求項1に記載した本発明の装飾体に関し、図1〜4を用いて説明する。
図1〜図3に示す装飾体1はバラをメインにモチーフしたコサージュであり、本発明の基本となる形態である。
プリザーブドフラワー2を内包するように、その後背位又はその中間部にプリザーブドフラワー2に相応するように折り曲げ又は円弧状にデザイン化して造形した水引3を同形状又は異形状を1〜10個を組み合わせ配し、該プリザーブドフラワー2の茎部及び該造形された水引3の端部に相当する部位を結束して、接着剤もしくは緊縛材を用いて一体化させて固着し、コサージュとしての装飾体1を創製するものである。
この場合、ステム4の基部に適宜リボン7等を配することも本発明に含めるものとする。
【0014】
図4に示す装飾体1はダリアをメインにモチーフした髪飾りであり、本発明の他の実施例である。
プリザーブドフラワー2を内包するように、その後背位又はその中間部にプリザーブドフラワー2に相応するように折り曲げ又は円弧状にデザイン化して造形した水引3を同形状又は異形状を1〜10個組み合わせて配し、該プリザーブドフラワー2の茎部及び該造形された水引3の端部に相当する部位を結束して、接着剤もしくは緊縛材を用いて一体化させて留め具に固着し、髪飾りとしての装飾体1を創製するものである。
【0015】
プリザーブドフラワー2及び造形した水引3の数量の組み合わせは本発明ではその数量を1〜10個としたが、本発明の装飾体は本記載例に限定されることはなく、また、本発明の基本形を応用してブーケやアレンジメントとすることも容易であり、本発明の目的の範囲で自由に設計変更しうるものであり本発明はそれらを全て包摂するものである。
【0016】
請求項2に記載した本発明の装飾体に関し、図5〜8を用いて説明する。
図5〜図7に示す装飾体1は大輪のバラをメインにモチーフした装飾体であり、本発明の基本となる他の形態である。
大輪のバラは大型の花弁を有することから、花弁の形状を自在に造形して表現することが可能であり、該プリザーブドフラワー2の花弁の間に該プリザーブドフラワー2に相応するように折り曲げ又は円弧状にデザイン化して造形した水引3を同形状又は異形状を1〜10個を組み合わせ配し規則的又は不規則的に配し、該プリザーブドフラワー2の茎部及び該造形された水引3の端部に相当する部位を結束して、接着剤もしくは緊縛材を用いて一体化させて固着し、装飾体1を創製するものである。
【0017】
図8に示す装飾体は、請求項2の基本形の応用装飾体であり、大輪のバラをモチーフにした装飾体の応用例である。
プリザーブドフラワー2と造形した水引3との組み合わせにおいて、該プリザーブドフラワー2の花弁6と該造形した水引3を規則的又は不規則的に重ね合わせて構成したシンプルな形状の装飾体1を創製するものである。
【0018】
プリザーブドフラワー2と組み合わせるための造形した水引3は本発明においてその数量を1〜10個としたが、本発明の装飾体は本記載例に限定されることはなく、また、本発明の基本形を応用してブーケやアレンジメントとすることも容易であり、本発明の目的の範囲で自由に設計変更しうるものであり本発明はそれらを全て包摂するものである。
【0019】
請求項3に記載した本発明の装飾体に関し、図9を用いて詳細に説明する。
図9に示す装飾体1はプリザーブドフラワー2と造形した水引3に加え、新たにプラスチック成型品を組み合わせ配したバラをモチーフしたコサージュであり、本発明の他の実施例である。
【0020】
プリザーブドフラワー2を内包するように、その後背位又はその中間部にプリザーブドフラワー2に相応するように折り曲げ又は円弧状にデザイン化して造形した水引3を同形状又は異形状を1〜10個組み合わせて配し、それに加え、該プリザーブドフラワー2と該造形された水引3の中間部又は後背位に先端が球形状のプラスチック成型品5を1〜10個配し、ステム形成のため該プリザーブドフラワー2の茎部及び該造形した水引3の端部に相当する部位に併せて結束し、接着剤もしくは緊縛材を用いて一体化させてコサージュとしての装飾体1を創製するものである。
【0021】
プリザーブドフラワー2と造形した水引3の組み合わせに追加して配するプラスチック成型品は本発明においてその数量を1〜10個としたが、本発明の装飾体は本記載例に限定されることはなく、材質もプラスチックに限定することなく真珠やダイヤモンドをちりばめても良く、本発明の基本形を応用してブーケやアレンジメントとすることも容易であり、本発明の目的の範囲で自由に設計変更しうるものであり本発明はそれらを全て包摂するものである。
【0022】
請求項4に記載した本発明の装飾体1は、装飾体1に用いるプリザーブドフラワー2と造形された水引3の双方又はその一方に水溶性の光触媒(図示せず)などを用いて該プリザーブドフラワー2又は該造形した水引3の表面に光触媒を担持させ、消臭効果と長期保存性に寄与する防汚性を付加するものである。
なお、本発明では水溶性の光触媒としたが、本発明の装飾体1は本記載例に限定されることはなく、本発明の目的の範囲で自由に設計変更しうるものであり本発明はそれらを全て包摂するものである。
【0023】
請求項5に記載した本発明の装飾体1は、該装飾体1に用いるプリザーブドフラワー2と造形した水引3の双方又その一方に、水溶性又は付着性の芳香剤(図示せず)等を用い芳香性機能を担持させ、本発明の装飾体1を用いる際に和やかさを増長する機能を付加させるようにしたものである。
なお、本発明では芳香性のための材質を水溶性又は付着性としたが、本発明の装飾体1は本記載例に限定されることはなく、本発明の目的の範囲で自由に設計変更しうるものであり本発明はそれらを全て包摂するものである。
【0024】
請求項6に記載した本発明の装飾体1は、本発明の主体をプリザーブドフラワー2と造形した水引3の組み合わせを主眼としているが、これに限定されることなく目的とするブーケ、コサージュ、アレンジメントのメインとなる花卉部には、その利用目的に応じてプリザーブドフラワー2に代わり最も上品な生花は勿論、長期の保存にも対応することができるドライフラワーであったり、また市販の造花との組み合わせ又はそれら同士の組み合わせも可能である。
なお、本発明では代替品を生花、ドライフラワー又は造花としたが、本発明の装飾体1は本記載例に限定されることはなく、本発明の目的の範囲で自由に設計変更しうるものであり本発明はそれらを全て包摂するものである。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の装飾体は、プリザーブドフラワー特有の華やかしさを表現することにあり、主に慶事に用いられることが主目的となっているが、例えば菊や蘭をプリザーブドフラワーとして用い、造形した水引を組み合わせすることによって葬祭における葬儀主宰者や遺族である親族が着用することにより、その荘厳さをより醸し出すこと装飾体として展開が可能である。
【0026】
また、ブートニア、花束、リストレット(腕輪)、ウェディングドレスのショルダー飾り、チョーカー、イヤリング(ピアス)、指輪、ブライダルシーンのテーブル装花、和装の帯飾り、帯留め、半襟の装飾、帯揚げの装飾、ネイル、キーホルダー、携帯電話のストラップ、ラッピングの飾り、お正月飾り、熨斗袋などへの応用製品としても本発明の技術展開が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】請求項1に示す装飾体の正面図
【図2】請求項1に示す装飾体の側面図
【図3】請求項1に示す装飾体の背面図
【図4】請求項1の他の装飾体の斜視図
【図5】請求項2に示す装飾体の正面図
【図6】請求項2に示す装飾体の側面図
【図7】請求項2に示す装飾体の背面図
【図8】請求項2の他の装飾体の斜視図
【図9】請求項3に示す装飾体の斜視図
【符号の説明】
【0028】
1 本発明の装飾体
2 プリザーブドフラワー
3 水引
4 ステム
5 プラスチック成型品
6 花弁
7 リボン



【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリザーブドフラワーを内包するように、その後背位又は中間部に造形した水引を重ね合わせて構成し、ステム形成のため該プリザーブドフラワー茎部と該造形した水引の端部を結束一体化せしめるため固着し、ブーケ又はコサージュ或いはアレンジメントとすることを特徴とする装飾体。
【請求項2】
プリザーブドフラワーの花弁と造形した水引を前後左右に規則的又は不規則的に重ね配し、ステム形成のため該プリザーブドフラワー茎部と該造形した水引の端部を結束一体化せしめるため固着し、ブーケ又はコサージュ或いはアレンジメントとすることを特徴とする装飾体。
【請求項3】
プリザーブドフラワーと造形した水引を重ね合わせする随意の位置に1〜10個のプラスチック成形品等を付加したことを特徴とする請求項1又は請求項2の何れかに記載の装飾体。
【請求項4】
プリザーブドフラワーと造形した水引の双方又は何れか一方に光触媒を担持させたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の装飾体。
【請求項5】
プリザーブドフラワーと造形した水引の双方又は何れか一方に芳香性機能を担持させたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の装飾体。
【請求項6】
プリザーブドフラワーに代替して生花、ドライフラワー、造花であることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の装飾体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−101623(P2009−101623A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276162(P2007−276162)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 四国新聞、第40737号(平成19年10月3日)株式会社四国新聞社発行第6頁に発表
【出願人】(307011174)
【Fターム(参考)】