プリンタ及びプリント方法
【課題】レンチキュラシートの斜行を修正して画像を記録する。
【解決手段】レンチキュラシートは、その先端がクランパに挟持され、クランパが副走査方向に移動することで搬送される。レンチキュラシート3の背面に受像層を形成するための搬送中に、センサ部36を主走査方向に移動することで、レンチキュラシート3に対して相対的に、主走査方向に所定の測定用走査角度の方向にセンサ部36を移動する。センサ部36は、レンチキュラシート3に照射されて透過した検出光を受光し、その検出光に応じた検出信号を出力する。検出光の変化に基づいてレンチキュラシート3の斜行角を求め、これを打ち消す方向にクランパを回転する。
【解決手段】レンチキュラシートは、その先端がクランパに挟持され、クランパが副走査方向に移動することで搬送される。レンチキュラシート3の背面に受像層を形成するための搬送中に、センサ部36を主走査方向に移動することで、レンチキュラシート3に対して相対的に、主走査方向に所定の測定用走査角度の方向にセンサ部36を移動する。センサ部36は、レンチキュラシート3に照射されて透過した検出光を受光し、その検出光に応じた検出信号を出力する。検出光の変化に基づいてレンチキュラシート3の斜行角を求め、これを打ち消す方向にクランパを回転する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンチキュラシートに画像を記録するプリンタ及びプリント方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
かまぼこ形状(半円柱形状)のレンチキュラレンズを左右方向に多数並べたレンチキュラシートを用いて、立体画像を観察できるようにした技術が知られている。立体画像を観察するには、レンチキュラシートの背面側に、例えば左右の2視点から撮影した各画像をそれぞれ線状(ストライプ状)に分割した線状画像をレンチキュラレンズごとに配置する。これにより、左眼と右眼とが各レンチキュラレンズを介して、視差のある線状画像をそれぞれ観察することで、立体画像を観察することができる。また、3視点以上のN視点からN個の画像を撮影して線状に分割して、N視点分の線状画像をレンチキュラレンズごとに配置することによって、より良好な立体感がある立体画像を観察できるようにした技術も知られている。
【0003】
レンチキュラシートの背面側に線状画像を配置する手法としては、予め全ての線状画像を配列して記録したプリント(ハードコピー)をレンチキュラシートの背面に貼り付けるものもあるが、プリンタによってレンチキュラシートの背面に直接に記録する手法もある(例えば特許文献1参照)。
【0004】
レンチキュラシートの背面に直接に画像を記録する場合には、レンチキュラレンズの位置と画像の位置とを正確に調節して記録しなければならず、この調節の1つとして線状画像をレンチキュラレンズの長手方向に沿って記録しなければならない。
【0005】
このため、上記特許文献1の印刷装置では、キャリッジのレンチキュラシートに対向する面にインクを吐出して画像を記録ヘッドと、光学センサとを設けておき、キャリッジが主走査方向に移動して画像を記録するときに、光学センサでレンチキュラレンズの位置を検出して、記録ヘッドでのインクの吐出タイミングを制御している。また、特許文献2では、レンチキュラシートの搬送方向の両側にレンチキュラレンズの検出するフォトインタラプタをそれぞれ設けてレンチキュラシートの斜行を検出し、両側の給送量に差を持たせることで斜行を修正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−76084号公報
【特許文献2】特許第3471930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記の特許文献1のように、光学センサでレンチキュラレンズの位置を検出して記録ヘッドでのインクの吐出タイミングを制御する場合には、レンチキュラシートの斜行の程度が大きくなると、レンチキュラシートに記録される画像の歪みが大きくなり、記録品質を低下させるという問題があった。また、特許文献2のように両側の給送量に差を持たせることでレンチキュラシートの斜行を修正する場合には、画像の歪みは生じないが、両側に設けたフォトインタラプタ間に1ピッチ以上の斜行が生じている場合には、斜行を正しく修正することができないという問題があった。さらに、斜行する場合に両側の給送量に差を持たせるためには、例えば左右2系統の搬送機構が必要になるが、通常ではこれらを正確に同期して給送量が同じになるように駆動し、斜行を修正するときにのみ両側の給送量に差を持たせる必要があり、そのための機構や制御が複雑化・大型化するという問題もある。
【0008】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、画像の歪みを発生させることなく、また簡単かつ小型化に有利にしながら、レンチキュラシートの斜行を修正して画像を記録することができるプリンタ及びプリント方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載のプリンタでは、複数のレンチキュラレンズが配されたレンチキュラシートの先端を挟持するクランパと、クランパを副走査方向に移動させることによりレンチキュラシートを搬送する搬送手段と、レンチキュラシートの背面にインクフィルムを重ね、そのインクフィルムの背面をサーマルヘッドで加熱することにより、インクフィルムのインクを昇華させてレンチキュラシートの背面に付着させ、搬送手段の搬送に同期して主走査方向に伸びたラインを順次に記録する記録手段と、クランパをレンチキュラシートの搬送面上で回転させる回転機構と、クランパに狭持されているレンチキュラシートのレンチキュラレンズの長手方向の主走査方向または副走査方向に対する傾きを光学的に検知し、レンチキュラレンズの長手方向が主走査方向または副走査方向に平行となるように回転機構を制御する回転制御手段とを備えたものである。
【0010】
請求項2記載のプリンタでは、回転制御部が、検出光をレンチキュラシートに向かって照射する投光手段と、レンチキュラシートを透過した検出光を受光し、受光した検出光の大きさに応じた検出信号を出力する受光手段とからなるセンサ部と、このセンサ部をレンチキュラシートに対して相対的に移動させるセンサ移動手段とを有し、レンチキュラシートに対して相対的に移動している間にセンサ部から得られる検出信号に基づいて、主走査方向または副走査方向に対するレンチキュラレンズの長手方向の角度を求め、この角度を打ち消すように回転機構でクランパを回転させるようにしたものである。
【0011】
請求項3記載のプリンタでは、センサ移動手段を、レンチキュラシートに対して相対的にセンサ部を主走査方向に所定の測定走査角度をなす方向に移動させるようにしたものである。
【0012】
請求項4記載のプリンタでは、測定走査角度が45度以下となるようにしたものである。
【0013】
請求項5記載のプリンタでは、センサ移動手段を、レンチキュラシートに対して相対的にセンサ部を副走査方向に移動させるようにしたものである。
【0014】
請求項6記載のプリンタでは、センサ移動手段を、レンチキュラシートの搬送停止中にセンサ部を主走査方向に移動させるようにしたものである。
【0015】
請求項7記載のプリンタでは、センサ移動手段を、サーマルヘッドとクランパとの間でセンサ部を移動するようにしたものである。
【0016】
請求項8記載のプリンタでは、記録手段が、インクフィルムによって画像を記録する前に、レンチキュラシートの背面にインクを付着させるための透明な受像層を形成するようにされ、搬送手段が、受像層を形成するために、サーマルヘッドに対してレンチキュラシートを上流から下流に向けて搬送してから、インクフィルムによって画像を記録するために、再度サーマルヘッドに対してレンチキュラシートを上流から下流に向けて搬送するようにされ、回転制御部を、受像層を形成するための搬送中にレンチキュラシートに対してセンサ部を相対的に移動して検出信号を得るようにしたものである。
【0017】
請求項9記載のプリンタでは、検出光をレンチキュラシートに向かって照射する投光手段と、レンチキュラシートを透過した検出光を受光し、受光した検出光の大きさに応じた検出信号を出力する受光手段とからなるセンサ部と、このセンサ部をレンチキュラシートに対して相対的に移動させるセンサ移動手段と、搬送手段によってクランパでクランプした透明な記録シートを搬送している間に、サーマルヘッドで主走査方向に伸び、副走査方向に所定のピッチで並んだ複数のストライプからなるテスト画像を記録シートに記録するとともに、センサ移動手段によってセンサ部をテスト画像に対して相対的に移動したときの検出信号から得られる基準値を記憶する記憶手段を備え、回転制御手段を、記憶手段に記憶されている基準値と、センサ部がレンチキュラシートに対して相対的に移動している間に得られる検出信号に基づいて、クランパの回転を制御するようにしたものである。
【0018】
請求項10記載のプリント方法では、主走査方向または副走査方向に対するレンチキュラレンズの長手方向の傾きを光学的に検知し、そのレンチキュラレンズの長手方向が主走査方向または副走査方向に平行となるように、レンチキュラシートの先端を挟持し、副走査方向に移動することでレンチキュラシートを搬送するクランパを回転するようにしたものである。
【0019】
請求項11記載のプリント方法では、レンチキュラシートに向かって照射されレンチキュラシートを透過した検出光を受光するセンサ部をレンチキュラシートに対して相対的に移動させ、レンチキュラシートに対して相対的に移動している間にセンサ部から得られる検出信号に基づいて、主走査方向または副走査方向に対するレンチキュラレンズの長手方向の角度を求めるようにしたものである。
【0020】
請求項12記載のプリント方法では、レンチキュラシートに対して相対的にセンサ部が主走査方向に所定の測定走査角度をなす方向に移動されるようにしたものである。
【0021】
請求項13記載のプリント方法では、測定走査角度が45度以下であるようにしたものである。
【0022】
請求項14記載のプリント方法では、レンチキュラシートに対して相対的にセンサ部が副走査方向に移動されるようにしたものである。
【0023】
請求項15記載のプリント方法では、レンチキュラシートの搬送停止中にセンサ部が主走査方向に移動されるようにしたものである。
【0024】
請求項16記載のプリント方法では、サーマルヘッドとクランパとの間でセンサ部が移動されるようにしたものである。
【0025】
請求項17記載のプリント方法では、インクフィルムによって画像を記録する前に、レンチキュラシートの背面にインクを付着させるための透明な受像層を形成するためにレンチキュラシートを上流から下流に向けて搬送している間にセンサ部を相対的に移動して検出信号を得るようにしたものである。
【0026】
請求項18記載のプリント方法では、クランパでクランプした透明な記録シートを搬送している間に、サーマルヘッドで、主走査方向に伸び副走査方向に所定のピッチで並んだ複数のストライプからなるテスト画像を記録シートに記録するとともに、記録シートにセンサ部を相対的に移動させて、記録シートに向かって照射されて透過した検出光の大きさに応じた検出信号に基づいて予め取得される基準値と、センサ部をレンチキュラシートに対して相対的に移動している間に得られる検出信号に基づいて、クランパの回転を制御するようにしたものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、主走査方向あるいは副走査方向に対するレンチキュラレンズの長手方向の傾きを光学的に検知して、そのレンチキュラレンズの長手方向が主走査方向または副走査方向に平行となるように、レンチキュラシートの先端を挟んで搬送するクランパを回転するようにしたから、簡単かつ小型化に有利な機構でレンチキュラレンズの斜行を修正して画像を記録することができる。
【0028】
レンチキュラシートに向かって照射されてレンチキュラシートを透過した検出光を受光するセンサ部をレンチキュラシートに対して相対的に移動させるときに得られる検出信号に基づいて、斜行を検知するようにしたから、僅かな斜行から大きな斜行までを精度良く検知して修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明を実施したプリンタの概略を示す説明図である。
【図2】レンチキュラシートを示す斜視図である。
【図3】クランパユニットと搬送機構を示す斜視図である。
【図4】可動板を解除位置としたクランパの状態を示す説明図である。
【図5】可動板をクランプ位置としたクランパの状態を示す説明図である。
【図6】センサ部を移動させるセンサ移動機構を示す斜視図である。
【図7】センサ部のレンチキュラシートに対する位置と検出信号の関係を示す説明図である。
【図8】主走査方向に相対移動するセンサ部のレンチキュラシートに対する位置と検出信号の関係を示す説明図である。
【図9】副走査方向に相対移動するセンサ部のレンチキュラシートに対する位置と検出信号の関係を示す説明図である。
【図10】基準値を求めてプリンタに登録する手順を示すフローチャートである。
【図11】プリンタで記録するテスト画像とセンサ部の測定走査方向との関係を示す説明図である。
【図12】基準値を用いてクランパの回転角を補正する手順を示すフローチャートである。
【図13】センサ部を主走査方向に移動する場合の基準値として補正角を用求める例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[第1実施形態]
本発明を実施した第1実施形態のプリンタの概略を図1に示す。プリンタ2は、立体画像を観察するための視差画像を昇華方式でレンチキュラシート3の背面に記録する。このプリンタ2は、2視点の視差画像を6視点の視差画像に変換して、その6視点の視差画像をレンチキュラシート3に記録する。
【0031】
レンチキュラシート3は、図2に示すように、周知のように、表面側に多数の半円柱状のレンチキュラレンズ(以下、単にレンズという)4を配列してあり、背面が平面になっている。このレンチキュラシート3は、矢線A方向に長いレンズ4を、例えば100LPI(Line Per Inch)で矢線B方向(以下、配列方向という)に並べて配してある。したがって、レンズ4の配列方向の長さは約254μmであり、レンズピッチも254μmとなっている。レンズ4は、長手方向(矢印A方向)が観察時の上下方向となり、配列方向が観察時の左右方向となる。
【0032】
レンチキュラシート3の背面は、レンズ4ごとに画像領域5が仮想的に区画され、1個のレンズ4に対して1個の画像領域5が対応する。各画像領域5は、立体画像を表示するための視点数に対応して配列方向に6個の微小領域5aに分割され、それぞれに視差画像を線状に分割した線状画像を記録する。
【0033】
図1に示すように、レンチキュラシート3は、搬送口11から搬送路12に送り込まれる。搬送路12内では、レンチキュラシート3は、レンズ4を下側にし、またレンズ4の配列方向に沿って搬送する。レンチキュラシート3の搬送路12への給送は、レンチキュラシート3を積層したカセットから給送機構によって自動で行うようにしてもよく、手動でレンチキュラシート3を搬送口11に差し込むようにしてもよい。
【0034】
搬送口11の近傍の搬送路12内には、給送ローラ対15を配してある。給送ローラ対15は、一方がモータ16で駆動されるキャプスタンローラ15aであり、他方がレンチキュラシート3の搬送に伴って従動回転するピンチローラ15bである。ピンチローラ15bは、キャプスタンローラ15aとの間にレンチキュラシート3をニップしたニップ位置と、レンチキュラシート3から離れた解除位置との間で移動する。
【0035】
上記給送ローラ対15は、搬送路12に送り込まれたレンチキュラシート3をニップし、キャプスタンローラ15aがモータ16で回転されることによって、レンチキュラシート3を搬送路12の下流(図中左方向)に向けて搬送する。この搬送によって、レンチキュラシート3の先端がクランプユニット17に達してクランプ(狭持)されると、ピンチローラ15bが解除位置に移動してニップを解除する。
【0036】
クランプユニット17は、レンチキュラシート3の搬送のためにその先端をクランプするクランパ18(図3参照)、このクランパ18の開閉機構、レンチキュラシート3の斜行を修正するためにクランパ18を回転する回転機構19(図3参照)などからなる。
【0037】
搬送機構20は、クランパ18を搬送路12に沿って水平に往復動する。これにより、クランパ18によって先端がクランプされているレンチキュラシート3が搬送路12内を搬送される。この搬送機構20によるクランパ18の移動方向が副走査方向となる。
【0038】
クランパ18を搬送路12の上流に向けて移動した際には、後述するサーマルヘッド22の上流側から斜め下方に伸びる戻し搬送路12aにレンチキュラシート3が案内される。また、記録終了後には、レンチキュラシート3を戻し搬送路12aに送り込んでから、クランパ18によるクランプを解除することでレンチキュラシート3を排出口(図示せず)から排出する。したがって、記録時には、厳密には、サーマルヘッド22よりも下流側でレンチキュラシート3が水平に搬送される。
【0039】
クランプユニット17よりも上流側で、搬送路12の上側にサーマルヘッド22を配してある。また、搬送路12を挟んで、サーマルヘッド22に対向する位置に回動自在なプラテンローラ23を配してある。
【0040】
サーマルヘッド22の下部には、主走査方向(副走査方向と直交する方向)に多数の発熱素子を2列でライン状に配列した発熱素子アレイ22aを形成してある。発熱素子アレイ22aを2列に並べることで、主走査方向に伸びる2ラインを同時に記録し、レンチキュラシート3の搬送によって副走査方向にラインを並べて記録する。
【0041】
各発熱素子アレイ22aは、その長さをレンチキュラシート3の記録エリアの主走査方向の長さとほぼ同じにしてある。また、1個の発熱素子によって記録される1画素の副走査方向の長さが約20μmとしてあり、2列の発熱素子アレイ22aの1回の発熱で1つの微小領域5aに線状画像を記録する。もちろん、サーマルヘッド22に1本の発熱素子アレイ22aを設け、1ラインずつ記録してもよい。
【0042】
サーマルヘッド22は、プラテンローラ23上のレンチキュラシート3の背面に記録用フィルムを重ねた状態で記録用フィルムの背後から圧接した圧接位置と、この圧接位置から上方に移動した退避位置との間で移動する。
【0043】
記録用フィルムとしては、受像層フィルム25,インクフィルム26,バック層フィルム27がある。各フィルム25〜27は、サーマルヘッド22を退避位置としているときに、それらを取り付けてあるフィルム交換機構28を回転させることによって使用する記録用フィルムをサーマルヘッド22の直下に移動させる。記録時には、サーマルヘッド22が圧接位置に移動することによって、サーマルヘッド22の直下移動された記録用フィルムがレンチキュラシート3の背面に重ねられる。
【0044】
記録用フィルムは、いずれも発熱素子アレイ22aの主走査方向の長さとほぼ同じにしてあり、また複数枚のレンチキュラシート3に対して記録ができるように長尺のものがスプールに巻き付けてある。レンチキュラシート3の搬送に同期して、記録用フィルムは、一方のスプールから他方のスプールに送られて巻き取られる。
【0045】
受像層フィルム25は、レンチキュラシート3の背面に、インクフィルム26からのカラーインクを付着させる受像層を形成するためのものである。この受像層フィルム25をレンチキュラシート3の背面に重ねた状態で、その背後からサーマルヘッド22で加熱することにより、透明な受像層をレンチキュラシート3の背面に転写して形成する。
【0046】
インクフィルム26は、周知の昇華型のインクフィルムであり、その長手方向にイエローインク領域,マゼンタインク領域,シアンインク領域を順番に多数設けたものである。各インク領域の大きさは、レンチキュラシート3のサイズとほぼ等しい。受像層の形成後にサーマルヘッド22で、インクフィルム26を加熱することによって、イエロー,マゼンタ,シアンのインクを昇華させて、受像層に付着させる。サーマルヘッド22の各発熱素子の発熱量を増減することにより、インクの付着量を制御して記録される各画素の濃度を制御する。
【0047】
バック層フィルム27は、それをインクフィルム26で画像を記録したレンチキュラシート3の背面に重ねた状態で、その背後からサーマルヘッドで加熱することにより、白色のバック層がレンチキュラシート3の背面に転写して形成される。
【0048】
データ変換部31には、2視点の視差画像データが入力される。このデータ変換部31は、画像処理によって2視点の視差画像データを6視点の画像データに変換してヘッド駆動部32に送る。
【0049】
ヘッド駆動部32は、サーマルヘッド22を駆動する。ヘッド駆動部32は、受像層、バック層を形成するときには、それらを転写するために必要な発熱量を各発熱素子が同時に発生するようにサーマルヘッド22を駆動する。また、インクフィルム26を用いて画像を記録する際には、6視点の視差画像データに基づいてサーマルヘッド22を駆動し、3色を面順次で記録する。
【0050】
サーマルヘッド22とクランプユニット17との間に、測定ユニット34を配してある。この測定ユニット34は、レンチキュラシート3の斜行角を光学的に検出するためのものである。測定ユニット34は、センサ部36と、このセンサ部36を主走査方向に移動するセンサ移動機構37(図6参照)からなる。
【0051】
センサ部36は、発光ダイオードなどで構成されて検出光をレンチキュラシート3に向けて照射する投光器36aと、レンチキュラシート3を透過した検出光を受光し、受光した検出光の強さに応じた検出信号を出力する受光器36bとからなる。センサ部36は、受像層を形成している間のレンチキュラシート3の搬送に同期してセンサ移動機構37によって移動されることで、レンチキュラシート3に対して所定の測定走査方向に移動されて測定用走査を行う。
【0052】
また、センサ部36は、視差画像の記録時には、画像領域5と発熱素子アレイ22aの位置関係を特定するためのセンサとして用い、その検出結果に基づいて1つの画像領域5内に同一の画像領域5内に記録すべき各線状画像が記録されるように、レンチキュラシート3の搬送と、サーマルヘッド22の駆動タイミングとを制御する。
【0053】
制御部35は、プリンタ2の各部を制御する。この制御部35は、測定用走査でセンサ部36から得られる検出信号に基づいて、主走査方向とレンズ4の長手方向とのずれ角度である斜行角を求めて、レンズ4の長手方向が主走査方向に平行となるように回転機構19を制御してクランパ18を回転する。
【0054】
クランプユニット17と搬送機構20とを図3に示す。クランプユニット17は、前述のクランパ18,回転機構19の他、カム軸38,クランプ解除モータ39,先端検出センサ40などからなる。また、搬送機構20は、移動部41,リードスクリュー42,ガイド軸43,搬送モータ44などからなる。
【0055】
移動部41は、主走査方向に長い板状のベース板41aと、その各端部の下面に一体に設けた送り台41bとガイド台41cとからなる。リードスクリュー42とガイド軸43とは、副走査方向に沿って水平に伸びており、搬送路12を挟んで、その両側に平行に配してある。リードスクリュー42は、送り台41bに設けたネジ孔に、ガイド軸43は、ガイド台41cに設けた溝にそれぞれ通してあり、副走査方向に移動自在としてある。
【0056】
搬送モータ44は、制御部35から供給される駆動パルスによって回転し、移動部41は、搬送モータ44の正転によって搬送路12の下流に向けて移動し、逆転によって搬送路12の上流に向けて移動する。制御部35は、受像層、バック層の形成時、画像の記録時には、移動部41を下流に向けて移動する。
【0057】
なお、移動部41の移動量は、細かく制御することができ、1つの微小領域5a内に2ラインからなる1つの線状画像が正しく記録されるように、レンチキュラシート3の搬送位置の微調整を行うことができる。
【0058】
回転機構19は、回動軸45、モータ46、ウォームギア47から構成してある。回動軸45は、ベース板41aの中央に、垂直な軸を中心に回動自在に設けてある。この回動軸45の上部には、ウォームギア47のウォームホィール47aを固定してあり、このウォームホィール47aには、モータ46の出力軸に固定したウォーム47bを螺合してある。
【0059】
回動軸45は、ベース板41aを貫通しており、その下端にクランパ18を取り付けてある。これにより、クランパ18は、水平なレンチキュラシート3の搬送面で回動自在となっている。制御部35の制御の下で、モータ46を駆動することにより、クランパ18とともに、このクランパ18にクランプされているレンチキュラシート3を搬送面上で回転し、その斜行を修正する。このように、クランパ18を回転させるという簡単な機構でレンチキュラシート3の斜行を修正している。
【0060】
なお、回転機構19の構成は、クランパ18を回転させることでレンチキュラシート3を回転させることができるものであれば、他の構成を採用することができる。
【0061】
クランパ18は、固定板51と、可動板52と、バネ53とからなる。固定板51は、主走査方向の長さがレンチキュラシート3の幅とほぼ同じ平板であり、その上面中央に回動軸45を取り付けてある。この固定板51は、搬送面と平行にしてある。
【0062】
可動板52は、主走査方向の長さが固定板51と同じであり、断面「へ」字状に折り曲げた板状となっている。この可動板52は、その折り曲げた頂点部分に沿った軸54(図4参照)を介して固定板51の下面に回動自在に取り付けてあり、上流側端部52aを固定板51から下げた解除位置と、その上流側端部52aを固定板51まで上げたクランプ位置との間で回動する。固定板51と下流側端部52bの間には、バネ53を配してあり、このバネ53によって可動板52をクランプ位置に向けて付勢してある。
【0063】
クランパ18は、可動板52をクランプ位置と解除位置とに回動させる作動位置と、この作動位置よりも下流側の終端位置との間で、移動部41と一体に移動する。この移動によってクランパ18にクランプしているレンチキュラシート3を搬送する。
【0064】
作動位置には、可動板52を回動するためのカム軸38を配置してある。カム軸38は、クランパ18が作動位置にあるときに、それに設けたカム38aが下流側端部52bの下面に接するように配してある。クランパ18を作動位置に移動させた状態で、クランプ解除モータ39によってカム軸38を回転させることによって、図4に示すように、下流側端部52bをバネ53の付勢に抗して押し上げて可動板52を解除位置とし、また図5に示すように、バネ53の付勢によって可動板52を回動させてクランプ位置とすることができる。
【0065】
なお、図4,図5に符号55で示す部材は、レンチキュラシート3を滑ることなくクランプするための滑り止め部材である。
【0066】
上記バネ53、カム軸38、クランプ解除モータ39によって、可動板52をクランプ位置と解除位置とに開閉動作させるクランパ18の開閉機構を構成するが、クランパ18及びその開閉機構の構成は上記のものに限られない。例えば、クランパ18が作動位置にまで移動したときに可動板52に固定部材を当接してバネ53の付勢に抗して押し上げて解除位置とし、作動位置から僅かに下流側に僅かに移動したときに固定部材との当接が解除されてクランプ位置となるようにして開閉動作を行わせたり、モータ等で開閉動作させるようにしてもよい。
【0067】
先端検出センサ40は、クランパ18のクランプのタイミングを制御するために設けてある。制御部35は、給送時には、クランパ18を作動位置とし、先端検出センサ40がレンチキュラシート3の先端を検出した時点から、レンチキュラシート3の搬送長が所定長になったときにカム軸38を回転させて可動板52を解除位置からクランプ位置として、レンチキュラシート3の先端をクランパ18でクランプする。
【0068】
なお、レンチキュラシート3の搬送長は、例えば給送時には給送ローラ対15を駆動するモータ16に供給する駆動パルス数から知ることができ、搬送機構20による搬送時では搬送モータ44に供給する駆動パルス数から知ることができる。
【0069】
図6に測定ユニット34を示す。センサ移動機構37は、センサ部36を主走査方向に移動するものであり、投光側ユニット61,受光側ユニット62,モータ63などから構成してある。
【0070】
投光側ユニット61は、投光器36aを側面に組み付けた送り台61a、リードスクリュー61b、ガイド軸61cからなる。リードスクリュー61bとガイド軸61cとは、
搬送路12の上方に、主走査方向に沿って水平に配してある。送り台61aは、それに設けたネジ孔にリードスクリュー61bが通され、ガイド溝にガイド軸61cを通してあり、リードスクリュー61bの回転で主走査方向に移動する。投光器36aは、その下面に設けた照射口64から検出光を下方に向けて照射する。
【0071】
受光側ユニット62は、投光側ユニット61と同様な構成であり、送り台62a,この送り台62aを主走査方向に沿って水平に移動させるリードスクリュー62b,ガイド軸62cとからなる。リードスクリュー62b,ガイド軸62cは、搬送路12の下方に配してある。送り台62aの側面には、受光器36bを取り付けてあり、受光器36bは、その上面に設けた受光口65からレンチキュラシート3を透過した検出光を受光する。
【0072】
各リードスクリュー61b,62bの端部には、ギア66,67をそれぞれ固定してあり、これら各ギア66,67がモータ63の出力軸に取り付けたギア68と噛合している。これにより、モータ63の回転によって、投光器36aと受光器36bとが同じ方向、同じ移動量で移動する。投光器36aと受光器36bとは、レンチキュラシート3を挟んで互いに対向位置となるように調整してあり、センサ部36は、常にこの位置関係を維持して移動する。
【0073】
センサ部36は、搬送機構20によるレンチキュラシートの搬送に同期して移動するように制御される。具体的には、搬送機構20がレンチキュラシートを2ライン分だけ副走査方向に搬送している間に、センサ部36が一定長だけ主走査方向に移動するようにして、レンチキュラシート3の搬送長と、センサ部36の移動長とが比例するように制御する。これにより、センサ部36は、レンチキュラシート3に対して、主走査方向に対して一定の測定走査角度をもつ測定走査方向に移動する。測定走査角度は、想定される斜行角に対して十分に大きくしてある。
【0074】
なお、センサ部36の構成は、レンズ4によるレンチキュラシート3の凹凸に応じた検出信号が得られるものであれば、上記のものに限られない。例えば、搬送路12の上側に投光器36aと受光器36bを、下側に反射板を配しておき、投光器36aからの検出光をレンチキュラシート3を通して反射板で反射させ、その反射光をレンチキュラシート3を通して受光器36bで受光する構成でもよい。また、投光器36aと受光器36bは、必ずしも対向する位置関係にする必要はなく、一方を他方に対して主走査方向、副走査方向にずらして配してもよい。
【0075】
センサ部36とレンズ4との位置関係に応じて、受光器36bによって受光される検出光の大きさが変わり、それに応じて検出信号も変化する。図7に示すように、センサ部36が測定走査方向に移動して、レンズ4を横切るように移動するときには、検出信号は、例えばセンサ部36がレンズ4とレンズ4の境界部分4aに対面している位置からレンズ4の頂点4bに対面する位置に向かって移動するときに検出信号が漸増し、センサ部36が頂点4bに対面している位置のときに検出信号がピークとなり、その後に漸減して境界部分4aを通過することで再び漸増に転じるように周期的に変化する。
【0076】
このようにセンサ部36で走査してレンズ4の凹凸に応じた検出信号を得ており、複数個の固定されたセンサを用いる場合に比べて、センサの個数が少なく小型化、軽量化を図る上で有利である。また、複数個の固定されたセンサを用いる場合では、間欠的な検出しかできず、また各センサの間隔が検出精度に影響を与えるので誤差が高くなるといった問題が生じるが、この例のように走査する構成ではそのような問題がない。
【0077】
制御部35は、上記のように変化する検出信号から、レンチキュラシート3の斜行角θ1を求める。制御部35は、回転機構19を作動する際には、求めた斜行角θ1が「0」となる方向に、すなわち「−θ1」だけクランパ18を回転するように回転機構19を作動する。このように、レンチキュラシート3の斜行の修正のための制御は、「−θ1」だけクランパ18を回転するという簡単なものとなっている。
【0078】
図7に示される検出信号の1周期分、例えばピークを検出してから次のピークを検出するまでにセンサ部36が移動したレンチキュラシート3に対する相対的な移動長をL、測定走査角度をθ0、レンチキュラシート3のレンズピッチをPとしたときに、斜行角θ1は次の算出式(1)のように求めることができる。
θ1=Sin−1(P/L)−θ0 ・・・(1)
【0079】
なお、測定走査角度θ0は、レンチキュラシート3の副走査方向の搬送長に対するセンサ部36の主走査方向の移動長との比率から決まる既知の値である。また、移動長Lは、搬送モータ44、モータ63に供給するパルス数をカウントすることで求めることができる。なお、1周期分の移動長Lとしては、複数のピーク間の平均の移動長を用いてもよく、多数のピーク間の平均を用いることで精度良く斜行角θ1を求めることができる。
【0080】
この例のように測定走査角度θ0を持たせることによりセンサ部36の走査幅を大きくすることができ、複数のピーク間から求められる平均の移動長を用いた場合、斜行角の検出精度を向上させる上で有利である。この測定走査角度θ0は、レンチキュラシート3の1つのレンズ4に対する相対的な移動長を長くすることができ検出精度を向上する観点から45度以下とするのがよい。
【0081】
さらに、移動長Lを求める検出信号の1周期はピーク間に限るものではなく、例えばレンズ4の境界部分4aに対応した検出信号のボトムを用いてもよい。また、検出信号を適当な閾値で二値化し、その信号の立ち上がりから立ち上がり、あるいは立ち下がりから立ち下がりまでを1周期とするのも簡便である。
【0082】
次に、上記構成の作用について説明する。記録すべき画像の2視点の視差画像データを入力する。この入力された2視点の視差画像データは、6視点の視差画像データに変換されヘッド駆動部32に順次に送られる。
【0083】
記録開始の指示を与えると、サーマルヘッド22が退避位置となっていることが確認される。また、図示しないエンコーダの検出結果などに基づいてクランパ18が主走査方向とほぼ平行となるように調節されてから、搬送機構20が作動されてクランパ18が作動位置に移動される。作動位置に移動した後、クランプ解除モータ39によりカム軸38が回転される。これにより、カム38aによって下流側端部52bがバネ53の付勢に抗して押し上げられ、可動板52が解除位置とされる。
【0084】
可動板52を解除位置としてから、1枚のレンチキュラシート3が搬送口11より搬送路12内に給送される。この給送されたレンチキュラシート3が給送ローラ対15によって搬送路12内を下流に向けて搬送される。この搬送によって、レンチキュラシート3は、退避位置のサーマルヘッド22とプラテンローラ23との間を通り、さらに投光器36aと投光器36aとの間を通って、その先端がクランプユニット17に達する。
【0085】
レンチキュラシート3の先端が先端検出センサ40で検出されると、制御部35は、さらに給送ローラ対15によって一定の長さだけ搬送を行い、固定板51と可動板52との間にレンチキュラシート3の先端が入り込んだ状態にしてから、その搬送を停止する。
【0086】
搬送の停止後には、クランプ解除モータ39によりカム軸38が再び回転されることにより、下流側端部52bがバネ53の付勢によって押し下げられ、可動板52がクランプ位置とされる。これにより、レンチキュラシート3の先端が固定板51と可動板52との間にクランプされた状態となる。このクランプ後には、給送ローラ対15によるレンチキュラシート3のニップが解除される。
【0087】
次に、フィルム交換機構28が作動されて受像層フィルム25がサーマルヘッド22の直下とされてから、サーマルヘッド22が圧接位置に移動される。これにより、受像層フィルム25を挟んでレンチキュラシート3の背面にサーマルヘッド22を圧接した状態になる。
【0088】
この後に、搬送モータ44が回転される。この搬送モータ44の回転によって、移動部41と一体にクランパ18が下流に向けて移動する。これにより、レンチキュラシート3が、副走査方向に搬送される。また、これにあわせて受像層フィルム25が送られる。
【0089】
上記の搬送でレンチキュラシート3の、例えば記録エリアの数ライン前の部分がサーマルヘッド22の位置に達すると、ヘッド駆動部32によって発熱素子アレイ22aが駆動されて発熱し、受像層フィルム25を加熱する。これにより、それぞれが主走査方向に長く伸びた2ライン分の透明な受像層がレンチキュラシート3の背面に転写されて形成される。
【0090】
2ライン分の受像層を形成した後、搬送モータ44の回転で、移動部41と一体にクランパ18が下流に向けて2ライン分移動される。再び発熱素子アレイ22aが発熱されて、受像層フィルム25を加熱する。これにより、先に形成した2ライン分の受像層と副走査方向に並ぶ新たな2ライン分の受像層が形成される。以降、同様にして、レンチキュラシート3を副走査方向に搬送しながら2ラインずつ受像層を形成する。
【0091】
上記のようにして受像層を形成している間には、制御部35の制御の下で測定用走査が行われる。制御部35によって、搬送モータ44とともにモータ63も駆動され、レンチキュラシート3が副走査方向に2ライン分搬送されている間に、センサ部36も主走査方向に一定の長さだけ移動される。そして、レンチキュラシート3の搬送ごとにセンサ部36も順次に移動される。
【0092】
これにより、レンチキュラシート3に対してセンサ部36が測定走査方向に移動しながら、投光器36aから検出光をレンチキュラシート3に向けて照射し、そのレンチキュラシート3を透過した検出光の強さに応じた検出信号を受光器36bが出力する。なお、センサ部36が受像層を形成した部分を検出しても、受像層が透明であるためセンサ部36による検出に影響はない。
【0093】
測定用走査を開始すると、制御部35によって受光器36bからの検出信号が参照され、それに基づいてセンサ部36の測定走査方向の移動長をカウントする。例えば、適当な時点で検出される検出信号の1個目のピークの検出時点から、センサ部36の測定走査角度θ0方向の移動長のカウントを開始し、M+1個目のピークが検出された時点で移動長のカウントを終了し、そのカウントしたM区間分の移動長から1区間分の平均の移動長を求め、それを移動長Lとする。
【0094】
クランパ18とサーマルヘッド22との間で適当な引っ張りが生じてレンチキュラシート3にたわみがないので、またレンチキュラシート3の伸びを考慮して、正確に移動長Lが測定される。また、1個の受光器36bからの連続的な検出信号の変化を検出して移動長Lを測定しているため、誤差が小さい移動長Lが測定される。
【0095】
そして、制御部35が算出式(1)に、上記のように求めた移動長Lと、既知の測定走査角度θ0とレンズピッチPと適用して、斜行角θ1を算出する。斜行角θ1が算出されると、制御部35からモータ46に駆動パルスが送られ、角度「−θ1」だけクランパ18が回転される。クランパ18が回転されると、このクランパ18に先端がクランプされているレンチキュラシート3が搬送面で角度「−θ1」だけ回転する。このときに、レンチキュラシート3は、サーマルヘッド22とプラテンローラ23との間に狭持されているが、それらとは微小な滑りを生じながら搬送されるため搬送面で回転することができる。
【0096】
結果として、受像層の形成中にレンチキュラシート3が搬送面で角度「−θ1」だけ回転し、レンズ4の長手方向が主走査方向と一致するようになる。なお、このようにセンサ部36の測定用走査、クランパ18の回転による斜行の修正を受像層を形成している間に行うことによって、プリント時間の短縮を図っているが、受像層の形成とは別にこれらを行うこともできる。例えば、受像層の形成完了後、レンチキュラシート3を上流に戻しているときに斜行の修正を行ってもよい。
【0097】
記録エリアに対して受像層の形成が完了すると、搬送機構20によるレンチキュラシート3の搬送が停止されてから、サーマルヘッド22が退避位置に移動される。この後に、搬送モータ44が逆転されて、クランパ18が移動部41とともに上流に向かって移動し、これにともないレンチキュラシート3が搬送路12を上流に向かって搬送される。なお、このときに、レンチキュラシート3の後端が戻し搬送路12aを通るように案内される。そして、レンチキュラシート3の記録エリアの先端がサーマルヘッド22の位置を通過すると、搬送モータ44の逆転が停止される。
【0098】
フィルム交換機構28によりインクフィルム26がサーマルヘッド22の直下に移動されてから、サーマルヘッド22が圧接位置に移動される。このときには、イエローインク領域がレンチキュラシート3の背面に重ねられる。
【0099】
また、センサ部36がセンサ移動機構37によって特定位置、例えば記録エリアの主走査方向のほぼ中央の位置に移動され、その位置に固定される。そして、この後に搬送モータ44を回転させることにより、クランパ18でクランプしているレンチキュラシート3が下流に向けて搬送される。
【0100】
上記搬送中では、センサ部36は、やはり検出光に照射と受光を行っており、制御部35がその検出信号を参照している。検出信号のピークを検出すると、予め設定されているセンサ部36の特定位置から発熱素子アレイ22aまでの距離とレンズピッチPとに基づいて、発熱素子アレイ22aと微小領域5aのズレが求められる。そして、このズレがなくなるように搬送モータ44の回転量を調節してから、2ライン分ずつレンチキュラシート3が搬送されるように搬送モータ44が駆動される。
【0101】
そして、上記の2ライン分ずつの搬送で、記録エリアの最初の画像領域5内の1番目の微小領域5aに発熱素子アレイ22aが位置した状態となると、イエロー画像の記録が開始される。イエロー画像は、ヘッド駆動部32に入力される画像データのうちのイエロー画像データでサーマルヘッド22を駆動することによって、インクフィルム26から昇華させたイエローインクを受像層に付着させて記録する。そして、レンチキュラシート3が2ライン分搬送されるごとに、2ライン分のイエロー画像データで2本の発熱素子アレイ22aを駆動することで、それぞれ主走査方向に伸びる2ラインを同時に記録して線状画像を各微小領域5aに順次に記録する。
【0102】
イエロー画像の最終ラインが記録されると、レンチキュラシート3の搬送が停止されてから、サーマルヘッド22が退避位置に移動される。この後に、クランパ18が移動部41とともに上流に向かって移動され、レンチキュラシート3が搬送路12を上流に向かって搬送され、記録エリアの先端がサーマルヘッド22の位置を通過すると、搬送が停止される。
【0103】
インクフィルム26を送ってマゼンタインク領域がレンチキュラシート3の背面に重ねられるようにしてから、サーマルヘッド22が圧接位置に移動される。この後に、イエロー画像と同様にして、レンチキュラシート3を副走査方向に移動し、発熱素子アレイ22aと微小領域5aのズレをなくしてから2ラインずつ搬送する。そして、この搬送中に、マゼンタ画像データでサーマルヘッド22を駆動し、レンチキュラシート3の記録エリアにマゼンタ画像を記録する。
【0104】
マゼンタ画像の記録完了後には、上記と同様な手順で、レンチキュラシート3をいったん上流に向けて搬送してから、再び下流に向けて搬送する。また、インクフィルム26を送ってシアンインク領域がレンチキュラシート3の背面に重ねられるようにしてから、サーマルヘッド22が圧接位置に移動される。そして、レンチキュラシート3の下流に向けた搬送中に、シアン画像データに基づいてサーマルヘッド22を駆動し、シアン画像を2ラインずつ記録する。
【0105】
上記のようにして各色の画像を2ラインずつ記録するが、搬送されているレンチキュラシート3の各レンズ4の長手方向が主走査方向と一致しているため、サーマルヘッド22で記録される各ラインは、微小領域5aからはみ出すことなく記録されている。
【0106】
3色の画像を記録エリアに記録した後には、上記と同様な手順で、レンチキュラシート3がいったん上流に向けて搬送されてから、再び下流に向けて搬送される。また、フィルム交換機構28によりバック層フィルム27がサーマルヘッド22の直下に移動されてから、サーマルヘッド22が圧接位置に移動される。そして、レンチキュラシート3の下流に向けた搬送中に、サーマルヘッド22を駆動し、3色の画像を記録した記録エリアにバック層を形成する。
【0107】
バック層の形成後、サーマルヘッド22を退避位置としてから、レンチキュラシート3を戻し搬送路12aに案内しながら、作動位置にまでクランパ18を搬送機構20で移動する。この後に、カム軸38が回転され、カム38aによって下流側端部52bがバネ53の付勢に抗して押し上げられて可動板52が解除位置とされる。これにより、レンチキュラシート3の先端のクランプが解除され、そのレンチキュラシート3が排出口から排出される。
【0108】
上記実施形態では、センサ移動機構37によるセンサ部36の主走査方向への移動と、搬送機構20によるレンチキュラシート3の副走査方向への搬送とを同時に行うことにより、レンチキュラシート3に対しては、主走査方向に対して測定走査角度θ0の測定走査方向にセンサ部36を移動させているが、センサ移動機構37によるセンサ部36の移動方向そのものを主走査方向に対して傾けることにより、レンチキュラシート3に対して、測定走査角度θ0の測定走査方向にセンサ部36を移動させることもできる。なお、この場合には、レンチキュラシート3を停止している状態で、センサ部36を移動させる。
【0109】
[第2実施形態]
図8に示す第2実施形態のように、レンチキュラシート3に対して、センサ部36を副走査方向(レンズ4の長手方向に交差する方向)に移動させ、この移動時に得られる検出信号からレンチキュラシート3の斜行角θ1を算出してもよい。この場合には、検出信号のピークを検出してから次のピークを検出するまでにセンサ部36が移動した副走査方向の移動長をL、レンチキュラシート3のレンズピッチをPとしたときに、斜行角θ1は次の算出式(2)のように求めることができる。
θ1=Cos−1(P/L) ・・・(2)
【0110】
レンチキュラシート3に対して、センサ部36を副走査方向に移動させるには、センサ部36を副走査方向に移動させるセンサ移動機構を設け、レンチキュラシート3を停止した状態でセンサ部36を移動させてもよく、センサ部36を固定しておきレンチキュラシート3を搬送機構20によって副走査方向に搬送してもよい。もちろん、レンチキュラシート3を副走査方向に搬送しながら、それとは逆向きにセンサ部36を移動させてもよい。
【0111】
レンチキュラシート3に対して、センサ部36を副走査方向に移動させた場合、算出される斜行角θ1からは、いずれの回転方向にレンチキュラシート3が斜行しているのかはわからない。そこで、この場合には、クランパ18の回転でレンチキュラシート3を適当な角度(例えば斜行角θ1)で一方向に回転させ、その状態で再度斜行角の検出を行い、得られる斜行角が増加した場合には、反対方向に当初の状態から斜行角θ1だけ回転するようにすればよい。
【0112】
[第3実施形態]
さらに、図9に示す第3実施形態のように、レンチキュラシート3に対して、センサ部36を主走査方向(レンズ4の長手方向に平行となる方向)に移動させ、この移動時に得られる検出信号からレンチキュラシート3の斜行角を算出し、それを打ち消すようにクランパ18を回転させてもよい。この場合には、検出信号のピークを検出してから次のピークを検出するまでにセンサ部36が移動した主走査方向の移動長をL、レンチキュラシート3のレンズピッチをPとしたときに、斜行角θ1は次の算出式(3)のように求めることができる。
θ1=Tan−1(P/L) ・・・(3)
【0113】
なお、レンチキュラシート3に対して、センサ部36を主走査方向に移動させるには、センサ部36を主走査方向に移動させるセンサ移動機構を設け、レンチキュラシート3を停止した状態でセンサ部36を移動させればよい。レンチキュラシート3に対して、センサ部36を主走査方向に移動させる場合にも、垂直方向に移動させる場合と同様に、レンチキュラシート3を例えば斜行角θ1で一方向に回転させ、その状態で再度斜行角の検出を行って斜行角が増加した場合には、反対方向に当初の状態から斜行角θ1だけ回転するようにすればよい。
【0114】
また、レンチキュラレンズ3に対して、センサ部36を主走査方向に移動させる場合には、2個以上のレンズ4の頂点4b、あるいは境界部分4aを通過しない場合もある。このような場合には、センサ部36からの検出信号の傾きに基づいて、センサ部36の主走査方向の移動距離(以下、走査距離という)に対するレンズ4の配列方向の移動距離を推定して、この推定した移動距離と、そのときの走査距離とから斜行角θ1を求めることができる。検出信号の傾きと配列方向の移動距離との関係は、レンズ4の形状から決まるので、例えば検出信号の傾きと配列方向の移動距離との関係を示すデータテーブルを予め用意しておき、センサ部36から検出信号の傾きを、データテーブルを用いて配列方向の移動距離の推定値に変換することができる。
【0115】
なお、クランパ18を回転させてレンチキュラシート3を適当な角度で回転させてから、再度検出して斜行角θ1を算出するようにしてもよい。また、クランパ18の微小な回転とセンサ部36の測定用走査とを交互に繰り返し行い、測定用走査で得られる検出信号の信号レベルが変化しなくなるクランパ18の回転位置を特定し、その位置とするように制御してもよい。
【0116】
[第4実施形態]
第4実施形態は、サーマルヘッドで記録したテスト画像をセンサ部で検出することによって取得する基準値を用いて、レンズの長手方向をサーマルヘッドの主走査方向に精度良く一致させるようにしたものである。なお、以下に説明する他は、第1実施形態と同じであり、同一の構成部材には同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0117】
この例では、プリンタ2の製造時などに、図10に示すように、基準値となるピッチPsの測定を行う。ピッチPsの測定では、まずクランパ18で透明な記録用シート71(図11参照)をクランプする。そして、搬送機構20によってクランパ18を下流に移動させる。これによる記録用シート71の搬送の間に、その記録用シート71にサーマルヘッド22でテスト画像を記録する。
【0118】
テスト画像は、図11に示すように、走査方向に長い複数のストライプSを記録したものである。各ストライプSは、副走査方向にレンズピッチPのN倍のピッチ(=N・P)で配列したものであって、記録用シート71の搬送に同期してサーマルヘッド22を駆動して記録する。各ストライプSは、サーマルヘッド22で記録するラインの伸びる実際の主走査方向に沿ったものとなる。
【0119】
上記ストライプSの記録には、インクフィルム26を用いてイエローやマゼンタ,シアン等あるいは、それらからを併用する各種の色で記録してもよいが、この例では、テスト画像の記録する際のコストを低減するため、バック層フィルム27を用いて白色に記録している。
【0120】
テスト画像が記録された記録用シート71の部分に対して、センサ部36を測定走査方向に相対的に移動させて測定用走査を行う。そして、このときに得られる検出信号と、センサ部36の測定走査方向の移動長とから、ストライプSの測定走査方向についてのピッチPsを求める。測定されたピッチPsは、プリンタ2の不揮発性のメモリ(図示省略)に書き込まれて記憶される。
【0121】
なお、サーマルヘッド22よりも、センサ部36を上流側に配した場合には、テスト画像を記録した後、クランパ18を回転させずに、記録用シート71をいったん上流に戻してから、再び下流に向けて搬送し、その間に測定用走査を行えばよい。
【0122】
画像を記録する際に、レンチキュラシート3の斜行を修正する場合には、図12に示すように、クランパ18でクランプしたレンチキュラシート3を搬送しながら、測定用走査を行う。そして、このときに得られる検出信号から、レンズN個分のセンサ部36の測定走査方向の移動長Lsを求め、これをピッチPsと比較する。
【0123】
上記のように求められる移動長Lsは、レンズ4の長手方向が発熱素子アレイ22aの伸びる主走査方向に一致していればピッチPsと同じになる。また、ピッチPsに対する移動長Lsの大小によって、主走査方向に対して、レンズ4の長手方向がずれる向きを判断できる。
【0124】
そこで、移動長LsがピッチPsよりも大きいときには、レンズ4の長手方向と測定走査方向との角度が大きくなる方向に微小角度でクランパ18を回転する。また、移動長LsがピッチPsよりも小さいときには、レンズ4の長手方向と測定走査方向との角度が小さくなる方向に微小角度でクランパ18を回転する。いずれの場合にも、この回転の後に、搬送中のレンチキュラシート3に対してセンサ部36による検出再びレンズN個分の移動長Lsを求め、これをピッチPsと比較する。
【0125】
上記のような検出と回転とを、ピッチPsと移動長Lsとが一致するまで行う。これにより、レンチキュラシート3がレンズ4の長手方向が主走査方向に一致するように、その斜行が修正される。
【0126】
この例によれば、サーマルヘッド22の主走査方向とセンサ部36の測定走査方向との関係に不一致があっても、精度良く斜行が修正される。また、このことはサーマルヘッド22やセンサ部36等の組み付けの際に高い精度を不要とし、製造やメンテナンス時の調整が容易にすることができる。さらに、各部品にあまり高い精度が要求されないので、製造コストの低減をはかることができる。
【0127】
上記では、主走査方向に対して所定の測定走査角度θ0を持たせた測定走査方向にセンサ部36を移動させる場合について説明したが、副走査方向に対してセンサ部36を移動させる場合にも同様にすることができる。この場合には、ピッチPsに対する移動長Lsの大小からは主走査方向に対するレンズ4の長手方向のずれる向きを判断できないので、レンチキュラシート3をクランパ18で微小角度だけ回転させて移動長Lsを再測定し、それによる移動長Lsの変化の大きさと、移動長の増加または減少のいずれかと、クランパ18の微小角度の回転方向とから、斜行を修正するためにクランパ18を回転すべき方向を判断すればよい。
【0128】
また、相対的に主走査方向にセンサ部36を移動する場合では、図13に示すように、実際の主走査方向(発熱素子アレイ22aの伸びる方向)に対するセンサ部36の移動方向の補正角Δθを基準値として求めて、これによりクランパ18の回転を補正してもよい。この場合には、主走査方向について実際にプリントされるストライプ長Lgと、センサ部36を移動させることにより測定される移動方向についての検出長Lg1とから補正角Δθを求め、これをプリンタ2のメモリに記憶しておく。そして、第3実施形態のようにレンチキュラシート3の斜行を修正したのち、補正角Δθだけクランパ18の回転位置を補正する。これにより、レンズ4の長手方向が実際の主走査方向に平行となるようにする。
【0129】
上記各実施形態では、レンズ4の長手方向が主走査方向に平行となる姿勢で搬送する例について説明したが、レンズ4の長手方向が副走査方向となるように構成することもできる。また、上記各実施形態では、ラインプリンタについて説明したが、本発明は、シリアルプリンタなどの他の方式のプリンタにも利用できる。さらに、立体画像を記録するための視差画像を記録する場合に限らず、観察位置をずらすことで観察できる画像が変化する、いわゆるチェンジングの記録にも利用できる。昇華型に限らず、熱溶融型のサーマルプリンタ、インクジェットプリンタ等にも本発明を利用することができる。
【符号の説明】
【0130】
2 プリンタ
3 レンチキュラシート
4 レンチキュラレンズ
18 クランパ
19 回転機構
20 搬送機構
22 サーマルヘッド
35 制御部
36 センサ部
37 センサ移動機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンチキュラシートに画像を記録するプリンタ及びプリント方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
かまぼこ形状(半円柱形状)のレンチキュラレンズを左右方向に多数並べたレンチキュラシートを用いて、立体画像を観察できるようにした技術が知られている。立体画像を観察するには、レンチキュラシートの背面側に、例えば左右の2視点から撮影した各画像をそれぞれ線状(ストライプ状)に分割した線状画像をレンチキュラレンズごとに配置する。これにより、左眼と右眼とが各レンチキュラレンズを介して、視差のある線状画像をそれぞれ観察することで、立体画像を観察することができる。また、3視点以上のN視点からN個の画像を撮影して線状に分割して、N視点分の線状画像をレンチキュラレンズごとに配置することによって、より良好な立体感がある立体画像を観察できるようにした技術も知られている。
【0003】
レンチキュラシートの背面側に線状画像を配置する手法としては、予め全ての線状画像を配列して記録したプリント(ハードコピー)をレンチキュラシートの背面に貼り付けるものもあるが、プリンタによってレンチキュラシートの背面に直接に記録する手法もある(例えば特許文献1参照)。
【0004】
レンチキュラシートの背面に直接に画像を記録する場合には、レンチキュラレンズの位置と画像の位置とを正確に調節して記録しなければならず、この調節の1つとして線状画像をレンチキュラレンズの長手方向に沿って記録しなければならない。
【0005】
このため、上記特許文献1の印刷装置では、キャリッジのレンチキュラシートに対向する面にインクを吐出して画像を記録ヘッドと、光学センサとを設けておき、キャリッジが主走査方向に移動して画像を記録するときに、光学センサでレンチキュラレンズの位置を検出して、記録ヘッドでのインクの吐出タイミングを制御している。また、特許文献2では、レンチキュラシートの搬送方向の両側にレンチキュラレンズの検出するフォトインタラプタをそれぞれ設けてレンチキュラシートの斜行を検出し、両側の給送量に差を持たせることで斜行を修正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−76084号公報
【特許文献2】特許第3471930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記の特許文献1のように、光学センサでレンチキュラレンズの位置を検出して記録ヘッドでのインクの吐出タイミングを制御する場合には、レンチキュラシートの斜行の程度が大きくなると、レンチキュラシートに記録される画像の歪みが大きくなり、記録品質を低下させるという問題があった。また、特許文献2のように両側の給送量に差を持たせることでレンチキュラシートの斜行を修正する場合には、画像の歪みは生じないが、両側に設けたフォトインタラプタ間に1ピッチ以上の斜行が生じている場合には、斜行を正しく修正することができないという問題があった。さらに、斜行する場合に両側の給送量に差を持たせるためには、例えば左右2系統の搬送機構が必要になるが、通常ではこれらを正確に同期して給送量が同じになるように駆動し、斜行を修正するときにのみ両側の給送量に差を持たせる必要があり、そのための機構や制御が複雑化・大型化するという問題もある。
【0008】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、画像の歪みを発生させることなく、また簡単かつ小型化に有利にしながら、レンチキュラシートの斜行を修正して画像を記録することができるプリンタ及びプリント方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載のプリンタでは、複数のレンチキュラレンズが配されたレンチキュラシートの先端を挟持するクランパと、クランパを副走査方向に移動させることによりレンチキュラシートを搬送する搬送手段と、レンチキュラシートの背面にインクフィルムを重ね、そのインクフィルムの背面をサーマルヘッドで加熱することにより、インクフィルムのインクを昇華させてレンチキュラシートの背面に付着させ、搬送手段の搬送に同期して主走査方向に伸びたラインを順次に記録する記録手段と、クランパをレンチキュラシートの搬送面上で回転させる回転機構と、クランパに狭持されているレンチキュラシートのレンチキュラレンズの長手方向の主走査方向または副走査方向に対する傾きを光学的に検知し、レンチキュラレンズの長手方向が主走査方向または副走査方向に平行となるように回転機構を制御する回転制御手段とを備えたものである。
【0010】
請求項2記載のプリンタでは、回転制御部が、検出光をレンチキュラシートに向かって照射する投光手段と、レンチキュラシートを透過した検出光を受光し、受光した検出光の大きさに応じた検出信号を出力する受光手段とからなるセンサ部と、このセンサ部をレンチキュラシートに対して相対的に移動させるセンサ移動手段とを有し、レンチキュラシートに対して相対的に移動している間にセンサ部から得られる検出信号に基づいて、主走査方向または副走査方向に対するレンチキュラレンズの長手方向の角度を求め、この角度を打ち消すように回転機構でクランパを回転させるようにしたものである。
【0011】
請求項3記載のプリンタでは、センサ移動手段を、レンチキュラシートに対して相対的にセンサ部を主走査方向に所定の測定走査角度をなす方向に移動させるようにしたものである。
【0012】
請求項4記載のプリンタでは、測定走査角度が45度以下となるようにしたものである。
【0013】
請求項5記載のプリンタでは、センサ移動手段を、レンチキュラシートに対して相対的にセンサ部を副走査方向に移動させるようにしたものである。
【0014】
請求項6記載のプリンタでは、センサ移動手段を、レンチキュラシートの搬送停止中にセンサ部を主走査方向に移動させるようにしたものである。
【0015】
請求項7記載のプリンタでは、センサ移動手段を、サーマルヘッドとクランパとの間でセンサ部を移動するようにしたものである。
【0016】
請求項8記載のプリンタでは、記録手段が、インクフィルムによって画像を記録する前に、レンチキュラシートの背面にインクを付着させるための透明な受像層を形成するようにされ、搬送手段が、受像層を形成するために、サーマルヘッドに対してレンチキュラシートを上流から下流に向けて搬送してから、インクフィルムによって画像を記録するために、再度サーマルヘッドに対してレンチキュラシートを上流から下流に向けて搬送するようにされ、回転制御部を、受像層を形成するための搬送中にレンチキュラシートに対してセンサ部を相対的に移動して検出信号を得るようにしたものである。
【0017】
請求項9記載のプリンタでは、検出光をレンチキュラシートに向かって照射する投光手段と、レンチキュラシートを透過した検出光を受光し、受光した検出光の大きさに応じた検出信号を出力する受光手段とからなるセンサ部と、このセンサ部をレンチキュラシートに対して相対的に移動させるセンサ移動手段と、搬送手段によってクランパでクランプした透明な記録シートを搬送している間に、サーマルヘッドで主走査方向に伸び、副走査方向に所定のピッチで並んだ複数のストライプからなるテスト画像を記録シートに記録するとともに、センサ移動手段によってセンサ部をテスト画像に対して相対的に移動したときの検出信号から得られる基準値を記憶する記憶手段を備え、回転制御手段を、記憶手段に記憶されている基準値と、センサ部がレンチキュラシートに対して相対的に移動している間に得られる検出信号に基づいて、クランパの回転を制御するようにしたものである。
【0018】
請求項10記載のプリント方法では、主走査方向または副走査方向に対するレンチキュラレンズの長手方向の傾きを光学的に検知し、そのレンチキュラレンズの長手方向が主走査方向または副走査方向に平行となるように、レンチキュラシートの先端を挟持し、副走査方向に移動することでレンチキュラシートを搬送するクランパを回転するようにしたものである。
【0019】
請求項11記載のプリント方法では、レンチキュラシートに向かって照射されレンチキュラシートを透過した検出光を受光するセンサ部をレンチキュラシートに対して相対的に移動させ、レンチキュラシートに対して相対的に移動している間にセンサ部から得られる検出信号に基づいて、主走査方向または副走査方向に対するレンチキュラレンズの長手方向の角度を求めるようにしたものである。
【0020】
請求項12記載のプリント方法では、レンチキュラシートに対して相対的にセンサ部が主走査方向に所定の測定走査角度をなす方向に移動されるようにしたものである。
【0021】
請求項13記載のプリント方法では、測定走査角度が45度以下であるようにしたものである。
【0022】
請求項14記載のプリント方法では、レンチキュラシートに対して相対的にセンサ部が副走査方向に移動されるようにしたものである。
【0023】
請求項15記載のプリント方法では、レンチキュラシートの搬送停止中にセンサ部が主走査方向に移動されるようにしたものである。
【0024】
請求項16記載のプリント方法では、サーマルヘッドとクランパとの間でセンサ部が移動されるようにしたものである。
【0025】
請求項17記載のプリント方法では、インクフィルムによって画像を記録する前に、レンチキュラシートの背面にインクを付着させるための透明な受像層を形成するためにレンチキュラシートを上流から下流に向けて搬送している間にセンサ部を相対的に移動して検出信号を得るようにしたものである。
【0026】
請求項18記載のプリント方法では、クランパでクランプした透明な記録シートを搬送している間に、サーマルヘッドで、主走査方向に伸び副走査方向に所定のピッチで並んだ複数のストライプからなるテスト画像を記録シートに記録するとともに、記録シートにセンサ部を相対的に移動させて、記録シートに向かって照射されて透過した検出光の大きさに応じた検出信号に基づいて予め取得される基準値と、センサ部をレンチキュラシートに対して相対的に移動している間に得られる検出信号に基づいて、クランパの回転を制御するようにしたものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、主走査方向あるいは副走査方向に対するレンチキュラレンズの長手方向の傾きを光学的に検知して、そのレンチキュラレンズの長手方向が主走査方向または副走査方向に平行となるように、レンチキュラシートの先端を挟んで搬送するクランパを回転するようにしたから、簡単かつ小型化に有利な機構でレンチキュラレンズの斜行を修正して画像を記録することができる。
【0028】
レンチキュラシートに向かって照射されてレンチキュラシートを透過した検出光を受光するセンサ部をレンチキュラシートに対して相対的に移動させるときに得られる検出信号に基づいて、斜行を検知するようにしたから、僅かな斜行から大きな斜行までを精度良く検知して修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明を実施したプリンタの概略を示す説明図である。
【図2】レンチキュラシートを示す斜視図である。
【図3】クランパユニットと搬送機構を示す斜視図である。
【図4】可動板を解除位置としたクランパの状態を示す説明図である。
【図5】可動板をクランプ位置としたクランパの状態を示す説明図である。
【図6】センサ部を移動させるセンサ移動機構を示す斜視図である。
【図7】センサ部のレンチキュラシートに対する位置と検出信号の関係を示す説明図である。
【図8】主走査方向に相対移動するセンサ部のレンチキュラシートに対する位置と検出信号の関係を示す説明図である。
【図9】副走査方向に相対移動するセンサ部のレンチキュラシートに対する位置と検出信号の関係を示す説明図である。
【図10】基準値を求めてプリンタに登録する手順を示すフローチャートである。
【図11】プリンタで記録するテスト画像とセンサ部の測定走査方向との関係を示す説明図である。
【図12】基準値を用いてクランパの回転角を補正する手順を示すフローチャートである。
【図13】センサ部を主走査方向に移動する場合の基準値として補正角を用求める例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[第1実施形態]
本発明を実施した第1実施形態のプリンタの概略を図1に示す。プリンタ2は、立体画像を観察するための視差画像を昇華方式でレンチキュラシート3の背面に記録する。このプリンタ2は、2視点の視差画像を6視点の視差画像に変換して、その6視点の視差画像をレンチキュラシート3に記録する。
【0031】
レンチキュラシート3は、図2に示すように、周知のように、表面側に多数の半円柱状のレンチキュラレンズ(以下、単にレンズという)4を配列してあり、背面が平面になっている。このレンチキュラシート3は、矢線A方向に長いレンズ4を、例えば100LPI(Line Per Inch)で矢線B方向(以下、配列方向という)に並べて配してある。したがって、レンズ4の配列方向の長さは約254μmであり、レンズピッチも254μmとなっている。レンズ4は、長手方向(矢印A方向)が観察時の上下方向となり、配列方向が観察時の左右方向となる。
【0032】
レンチキュラシート3の背面は、レンズ4ごとに画像領域5が仮想的に区画され、1個のレンズ4に対して1個の画像領域5が対応する。各画像領域5は、立体画像を表示するための視点数に対応して配列方向に6個の微小領域5aに分割され、それぞれに視差画像を線状に分割した線状画像を記録する。
【0033】
図1に示すように、レンチキュラシート3は、搬送口11から搬送路12に送り込まれる。搬送路12内では、レンチキュラシート3は、レンズ4を下側にし、またレンズ4の配列方向に沿って搬送する。レンチキュラシート3の搬送路12への給送は、レンチキュラシート3を積層したカセットから給送機構によって自動で行うようにしてもよく、手動でレンチキュラシート3を搬送口11に差し込むようにしてもよい。
【0034】
搬送口11の近傍の搬送路12内には、給送ローラ対15を配してある。給送ローラ対15は、一方がモータ16で駆動されるキャプスタンローラ15aであり、他方がレンチキュラシート3の搬送に伴って従動回転するピンチローラ15bである。ピンチローラ15bは、キャプスタンローラ15aとの間にレンチキュラシート3をニップしたニップ位置と、レンチキュラシート3から離れた解除位置との間で移動する。
【0035】
上記給送ローラ対15は、搬送路12に送り込まれたレンチキュラシート3をニップし、キャプスタンローラ15aがモータ16で回転されることによって、レンチキュラシート3を搬送路12の下流(図中左方向)に向けて搬送する。この搬送によって、レンチキュラシート3の先端がクランプユニット17に達してクランプ(狭持)されると、ピンチローラ15bが解除位置に移動してニップを解除する。
【0036】
クランプユニット17は、レンチキュラシート3の搬送のためにその先端をクランプするクランパ18(図3参照)、このクランパ18の開閉機構、レンチキュラシート3の斜行を修正するためにクランパ18を回転する回転機構19(図3参照)などからなる。
【0037】
搬送機構20は、クランパ18を搬送路12に沿って水平に往復動する。これにより、クランパ18によって先端がクランプされているレンチキュラシート3が搬送路12内を搬送される。この搬送機構20によるクランパ18の移動方向が副走査方向となる。
【0038】
クランパ18を搬送路12の上流に向けて移動した際には、後述するサーマルヘッド22の上流側から斜め下方に伸びる戻し搬送路12aにレンチキュラシート3が案内される。また、記録終了後には、レンチキュラシート3を戻し搬送路12aに送り込んでから、クランパ18によるクランプを解除することでレンチキュラシート3を排出口(図示せず)から排出する。したがって、記録時には、厳密には、サーマルヘッド22よりも下流側でレンチキュラシート3が水平に搬送される。
【0039】
クランプユニット17よりも上流側で、搬送路12の上側にサーマルヘッド22を配してある。また、搬送路12を挟んで、サーマルヘッド22に対向する位置に回動自在なプラテンローラ23を配してある。
【0040】
サーマルヘッド22の下部には、主走査方向(副走査方向と直交する方向)に多数の発熱素子を2列でライン状に配列した発熱素子アレイ22aを形成してある。発熱素子アレイ22aを2列に並べることで、主走査方向に伸びる2ラインを同時に記録し、レンチキュラシート3の搬送によって副走査方向にラインを並べて記録する。
【0041】
各発熱素子アレイ22aは、その長さをレンチキュラシート3の記録エリアの主走査方向の長さとほぼ同じにしてある。また、1個の発熱素子によって記録される1画素の副走査方向の長さが約20μmとしてあり、2列の発熱素子アレイ22aの1回の発熱で1つの微小領域5aに線状画像を記録する。もちろん、サーマルヘッド22に1本の発熱素子アレイ22aを設け、1ラインずつ記録してもよい。
【0042】
サーマルヘッド22は、プラテンローラ23上のレンチキュラシート3の背面に記録用フィルムを重ねた状態で記録用フィルムの背後から圧接した圧接位置と、この圧接位置から上方に移動した退避位置との間で移動する。
【0043】
記録用フィルムとしては、受像層フィルム25,インクフィルム26,バック層フィルム27がある。各フィルム25〜27は、サーマルヘッド22を退避位置としているときに、それらを取り付けてあるフィルム交換機構28を回転させることによって使用する記録用フィルムをサーマルヘッド22の直下に移動させる。記録時には、サーマルヘッド22が圧接位置に移動することによって、サーマルヘッド22の直下移動された記録用フィルムがレンチキュラシート3の背面に重ねられる。
【0044】
記録用フィルムは、いずれも発熱素子アレイ22aの主走査方向の長さとほぼ同じにしてあり、また複数枚のレンチキュラシート3に対して記録ができるように長尺のものがスプールに巻き付けてある。レンチキュラシート3の搬送に同期して、記録用フィルムは、一方のスプールから他方のスプールに送られて巻き取られる。
【0045】
受像層フィルム25は、レンチキュラシート3の背面に、インクフィルム26からのカラーインクを付着させる受像層を形成するためのものである。この受像層フィルム25をレンチキュラシート3の背面に重ねた状態で、その背後からサーマルヘッド22で加熱することにより、透明な受像層をレンチキュラシート3の背面に転写して形成する。
【0046】
インクフィルム26は、周知の昇華型のインクフィルムであり、その長手方向にイエローインク領域,マゼンタインク領域,シアンインク領域を順番に多数設けたものである。各インク領域の大きさは、レンチキュラシート3のサイズとほぼ等しい。受像層の形成後にサーマルヘッド22で、インクフィルム26を加熱することによって、イエロー,マゼンタ,シアンのインクを昇華させて、受像層に付着させる。サーマルヘッド22の各発熱素子の発熱量を増減することにより、インクの付着量を制御して記録される各画素の濃度を制御する。
【0047】
バック層フィルム27は、それをインクフィルム26で画像を記録したレンチキュラシート3の背面に重ねた状態で、その背後からサーマルヘッドで加熱することにより、白色のバック層がレンチキュラシート3の背面に転写して形成される。
【0048】
データ変換部31には、2視点の視差画像データが入力される。このデータ変換部31は、画像処理によって2視点の視差画像データを6視点の画像データに変換してヘッド駆動部32に送る。
【0049】
ヘッド駆動部32は、サーマルヘッド22を駆動する。ヘッド駆動部32は、受像層、バック層を形成するときには、それらを転写するために必要な発熱量を各発熱素子が同時に発生するようにサーマルヘッド22を駆動する。また、インクフィルム26を用いて画像を記録する際には、6視点の視差画像データに基づいてサーマルヘッド22を駆動し、3色を面順次で記録する。
【0050】
サーマルヘッド22とクランプユニット17との間に、測定ユニット34を配してある。この測定ユニット34は、レンチキュラシート3の斜行角を光学的に検出するためのものである。測定ユニット34は、センサ部36と、このセンサ部36を主走査方向に移動するセンサ移動機構37(図6参照)からなる。
【0051】
センサ部36は、発光ダイオードなどで構成されて検出光をレンチキュラシート3に向けて照射する投光器36aと、レンチキュラシート3を透過した検出光を受光し、受光した検出光の強さに応じた検出信号を出力する受光器36bとからなる。センサ部36は、受像層を形成している間のレンチキュラシート3の搬送に同期してセンサ移動機構37によって移動されることで、レンチキュラシート3に対して所定の測定走査方向に移動されて測定用走査を行う。
【0052】
また、センサ部36は、視差画像の記録時には、画像領域5と発熱素子アレイ22aの位置関係を特定するためのセンサとして用い、その検出結果に基づいて1つの画像領域5内に同一の画像領域5内に記録すべき各線状画像が記録されるように、レンチキュラシート3の搬送と、サーマルヘッド22の駆動タイミングとを制御する。
【0053】
制御部35は、プリンタ2の各部を制御する。この制御部35は、測定用走査でセンサ部36から得られる検出信号に基づいて、主走査方向とレンズ4の長手方向とのずれ角度である斜行角を求めて、レンズ4の長手方向が主走査方向に平行となるように回転機構19を制御してクランパ18を回転する。
【0054】
クランプユニット17と搬送機構20とを図3に示す。クランプユニット17は、前述のクランパ18,回転機構19の他、カム軸38,クランプ解除モータ39,先端検出センサ40などからなる。また、搬送機構20は、移動部41,リードスクリュー42,ガイド軸43,搬送モータ44などからなる。
【0055】
移動部41は、主走査方向に長い板状のベース板41aと、その各端部の下面に一体に設けた送り台41bとガイド台41cとからなる。リードスクリュー42とガイド軸43とは、副走査方向に沿って水平に伸びており、搬送路12を挟んで、その両側に平行に配してある。リードスクリュー42は、送り台41bに設けたネジ孔に、ガイド軸43は、ガイド台41cに設けた溝にそれぞれ通してあり、副走査方向に移動自在としてある。
【0056】
搬送モータ44は、制御部35から供給される駆動パルスによって回転し、移動部41は、搬送モータ44の正転によって搬送路12の下流に向けて移動し、逆転によって搬送路12の上流に向けて移動する。制御部35は、受像層、バック層の形成時、画像の記録時には、移動部41を下流に向けて移動する。
【0057】
なお、移動部41の移動量は、細かく制御することができ、1つの微小領域5a内に2ラインからなる1つの線状画像が正しく記録されるように、レンチキュラシート3の搬送位置の微調整を行うことができる。
【0058】
回転機構19は、回動軸45、モータ46、ウォームギア47から構成してある。回動軸45は、ベース板41aの中央に、垂直な軸を中心に回動自在に設けてある。この回動軸45の上部には、ウォームギア47のウォームホィール47aを固定してあり、このウォームホィール47aには、モータ46の出力軸に固定したウォーム47bを螺合してある。
【0059】
回動軸45は、ベース板41aを貫通しており、その下端にクランパ18を取り付けてある。これにより、クランパ18は、水平なレンチキュラシート3の搬送面で回動自在となっている。制御部35の制御の下で、モータ46を駆動することにより、クランパ18とともに、このクランパ18にクランプされているレンチキュラシート3を搬送面上で回転し、その斜行を修正する。このように、クランパ18を回転させるという簡単な機構でレンチキュラシート3の斜行を修正している。
【0060】
なお、回転機構19の構成は、クランパ18を回転させることでレンチキュラシート3を回転させることができるものであれば、他の構成を採用することができる。
【0061】
クランパ18は、固定板51と、可動板52と、バネ53とからなる。固定板51は、主走査方向の長さがレンチキュラシート3の幅とほぼ同じ平板であり、その上面中央に回動軸45を取り付けてある。この固定板51は、搬送面と平行にしてある。
【0062】
可動板52は、主走査方向の長さが固定板51と同じであり、断面「へ」字状に折り曲げた板状となっている。この可動板52は、その折り曲げた頂点部分に沿った軸54(図4参照)を介して固定板51の下面に回動自在に取り付けてあり、上流側端部52aを固定板51から下げた解除位置と、その上流側端部52aを固定板51まで上げたクランプ位置との間で回動する。固定板51と下流側端部52bの間には、バネ53を配してあり、このバネ53によって可動板52をクランプ位置に向けて付勢してある。
【0063】
クランパ18は、可動板52をクランプ位置と解除位置とに回動させる作動位置と、この作動位置よりも下流側の終端位置との間で、移動部41と一体に移動する。この移動によってクランパ18にクランプしているレンチキュラシート3を搬送する。
【0064】
作動位置には、可動板52を回動するためのカム軸38を配置してある。カム軸38は、クランパ18が作動位置にあるときに、それに設けたカム38aが下流側端部52bの下面に接するように配してある。クランパ18を作動位置に移動させた状態で、クランプ解除モータ39によってカム軸38を回転させることによって、図4に示すように、下流側端部52bをバネ53の付勢に抗して押し上げて可動板52を解除位置とし、また図5に示すように、バネ53の付勢によって可動板52を回動させてクランプ位置とすることができる。
【0065】
なお、図4,図5に符号55で示す部材は、レンチキュラシート3を滑ることなくクランプするための滑り止め部材である。
【0066】
上記バネ53、カム軸38、クランプ解除モータ39によって、可動板52をクランプ位置と解除位置とに開閉動作させるクランパ18の開閉機構を構成するが、クランパ18及びその開閉機構の構成は上記のものに限られない。例えば、クランパ18が作動位置にまで移動したときに可動板52に固定部材を当接してバネ53の付勢に抗して押し上げて解除位置とし、作動位置から僅かに下流側に僅かに移動したときに固定部材との当接が解除されてクランプ位置となるようにして開閉動作を行わせたり、モータ等で開閉動作させるようにしてもよい。
【0067】
先端検出センサ40は、クランパ18のクランプのタイミングを制御するために設けてある。制御部35は、給送時には、クランパ18を作動位置とし、先端検出センサ40がレンチキュラシート3の先端を検出した時点から、レンチキュラシート3の搬送長が所定長になったときにカム軸38を回転させて可動板52を解除位置からクランプ位置として、レンチキュラシート3の先端をクランパ18でクランプする。
【0068】
なお、レンチキュラシート3の搬送長は、例えば給送時には給送ローラ対15を駆動するモータ16に供給する駆動パルス数から知ることができ、搬送機構20による搬送時では搬送モータ44に供給する駆動パルス数から知ることができる。
【0069】
図6に測定ユニット34を示す。センサ移動機構37は、センサ部36を主走査方向に移動するものであり、投光側ユニット61,受光側ユニット62,モータ63などから構成してある。
【0070】
投光側ユニット61は、投光器36aを側面に組み付けた送り台61a、リードスクリュー61b、ガイド軸61cからなる。リードスクリュー61bとガイド軸61cとは、
搬送路12の上方に、主走査方向に沿って水平に配してある。送り台61aは、それに設けたネジ孔にリードスクリュー61bが通され、ガイド溝にガイド軸61cを通してあり、リードスクリュー61bの回転で主走査方向に移動する。投光器36aは、その下面に設けた照射口64から検出光を下方に向けて照射する。
【0071】
受光側ユニット62は、投光側ユニット61と同様な構成であり、送り台62a,この送り台62aを主走査方向に沿って水平に移動させるリードスクリュー62b,ガイド軸62cとからなる。リードスクリュー62b,ガイド軸62cは、搬送路12の下方に配してある。送り台62aの側面には、受光器36bを取り付けてあり、受光器36bは、その上面に設けた受光口65からレンチキュラシート3を透過した検出光を受光する。
【0072】
各リードスクリュー61b,62bの端部には、ギア66,67をそれぞれ固定してあり、これら各ギア66,67がモータ63の出力軸に取り付けたギア68と噛合している。これにより、モータ63の回転によって、投光器36aと受光器36bとが同じ方向、同じ移動量で移動する。投光器36aと受光器36bとは、レンチキュラシート3を挟んで互いに対向位置となるように調整してあり、センサ部36は、常にこの位置関係を維持して移動する。
【0073】
センサ部36は、搬送機構20によるレンチキュラシートの搬送に同期して移動するように制御される。具体的には、搬送機構20がレンチキュラシートを2ライン分だけ副走査方向に搬送している間に、センサ部36が一定長だけ主走査方向に移動するようにして、レンチキュラシート3の搬送長と、センサ部36の移動長とが比例するように制御する。これにより、センサ部36は、レンチキュラシート3に対して、主走査方向に対して一定の測定走査角度をもつ測定走査方向に移動する。測定走査角度は、想定される斜行角に対して十分に大きくしてある。
【0074】
なお、センサ部36の構成は、レンズ4によるレンチキュラシート3の凹凸に応じた検出信号が得られるものであれば、上記のものに限られない。例えば、搬送路12の上側に投光器36aと受光器36bを、下側に反射板を配しておき、投光器36aからの検出光をレンチキュラシート3を通して反射板で反射させ、その反射光をレンチキュラシート3を通して受光器36bで受光する構成でもよい。また、投光器36aと受光器36bは、必ずしも対向する位置関係にする必要はなく、一方を他方に対して主走査方向、副走査方向にずらして配してもよい。
【0075】
センサ部36とレンズ4との位置関係に応じて、受光器36bによって受光される検出光の大きさが変わり、それに応じて検出信号も変化する。図7に示すように、センサ部36が測定走査方向に移動して、レンズ4を横切るように移動するときには、検出信号は、例えばセンサ部36がレンズ4とレンズ4の境界部分4aに対面している位置からレンズ4の頂点4bに対面する位置に向かって移動するときに検出信号が漸増し、センサ部36が頂点4bに対面している位置のときに検出信号がピークとなり、その後に漸減して境界部分4aを通過することで再び漸増に転じるように周期的に変化する。
【0076】
このようにセンサ部36で走査してレンズ4の凹凸に応じた検出信号を得ており、複数個の固定されたセンサを用いる場合に比べて、センサの個数が少なく小型化、軽量化を図る上で有利である。また、複数個の固定されたセンサを用いる場合では、間欠的な検出しかできず、また各センサの間隔が検出精度に影響を与えるので誤差が高くなるといった問題が生じるが、この例のように走査する構成ではそのような問題がない。
【0077】
制御部35は、上記のように変化する検出信号から、レンチキュラシート3の斜行角θ1を求める。制御部35は、回転機構19を作動する際には、求めた斜行角θ1が「0」となる方向に、すなわち「−θ1」だけクランパ18を回転するように回転機構19を作動する。このように、レンチキュラシート3の斜行の修正のための制御は、「−θ1」だけクランパ18を回転するという簡単なものとなっている。
【0078】
図7に示される検出信号の1周期分、例えばピークを検出してから次のピークを検出するまでにセンサ部36が移動したレンチキュラシート3に対する相対的な移動長をL、測定走査角度をθ0、レンチキュラシート3のレンズピッチをPとしたときに、斜行角θ1は次の算出式(1)のように求めることができる。
θ1=Sin−1(P/L)−θ0 ・・・(1)
【0079】
なお、測定走査角度θ0は、レンチキュラシート3の副走査方向の搬送長に対するセンサ部36の主走査方向の移動長との比率から決まる既知の値である。また、移動長Lは、搬送モータ44、モータ63に供給するパルス数をカウントすることで求めることができる。なお、1周期分の移動長Lとしては、複数のピーク間の平均の移動長を用いてもよく、多数のピーク間の平均を用いることで精度良く斜行角θ1を求めることができる。
【0080】
この例のように測定走査角度θ0を持たせることによりセンサ部36の走査幅を大きくすることができ、複数のピーク間から求められる平均の移動長を用いた場合、斜行角の検出精度を向上させる上で有利である。この測定走査角度θ0は、レンチキュラシート3の1つのレンズ4に対する相対的な移動長を長くすることができ検出精度を向上する観点から45度以下とするのがよい。
【0081】
さらに、移動長Lを求める検出信号の1周期はピーク間に限るものではなく、例えばレンズ4の境界部分4aに対応した検出信号のボトムを用いてもよい。また、検出信号を適当な閾値で二値化し、その信号の立ち上がりから立ち上がり、あるいは立ち下がりから立ち下がりまでを1周期とするのも簡便である。
【0082】
次に、上記構成の作用について説明する。記録すべき画像の2視点の視差画像データを入力する。この入力された2視点の視差画像データは、6視点の視差画像データに変換されヘッド駆動部32に順次に送られる。
【0083】
記録開始の指示を与えると、サーマルヘッド22が退避位置となっていることが確認される。また、図示しないエンコーダの検出結果などに基づいてクランパ18が主走査方向とほぼ平行となるように調節されてから、搬送機構20が作動されてクランパ18が作動位置に移動される。作動位置に移動した後、クランプ解除モータ39によりカム軸38が回転される。これにより、カム38aによって下流側端部52bがバネ53の付勢に抗して押し上げられ、可動板52が解除位置とされる。
【0084】
可動板52を解除位置としてから、1枚のレンチキュラシート3が搬送口11より搬送路12内に給送される。この給送されたレンチキュラシート3が給送ローラ対15によって搬送路12内を下流に向けて搬送される。この搬送によって、レンチキュラシート3は、退避位置のサーマルヘッド22とプラテンローラ23との間を通り、さらに投光器36aと投光器36aとの間を通って、その先端がクランプユニット17に達する。
【0085】
レンチキュラシート3の先端が先端検出センサ40で検出されると、制御部35は、さらに給送ローラ対15によって一定の長さだけ搬送を行い、固定板51と可動板52との間にレンチキュラシート3の先端が入り込んだ状態にしてから、その搬送を停止する。
【0086】
搬送の停止後には、クランプ解除モータ39によりカム軸38が再び回転されることにより、下流側端部52bがバネ53の付勢によって押し下げられ、可動板52がクランプ位置とされる。これにより、レンチキュラシート3の先端が固定板51と可動板52との間にクランプされた状態となる。このクランプ後には、給送ローラ対15によるレンチキュラシート3のニップが解除される。
【0087】
次に、フィルム交換機構28が作動されて受像層フィルム25がサーマルヘッド22の直下とされてから、サーマルヘッド22が圧接位置に移動される。これにより、受像層フィルム25を挟んでレンチキュラシート3の背面にサーマルヘッド22を圧接した状態になる。
【0088】
この後に、搬送モータ44が回転される。この搬送モータ44の回転によって、移動部41と一体にクランパ18が下流に向けて移動する。これにより、レンチキュラシート3が、副走査方向に搬送される。また、これにあわせて受像層フィルム25が送られる。
【0089】
上記の搬送でレンチキュラシート3の、例えば記録エリアの数ライン前の部分がサーマルヘッド22の位置に達すると、ヘッド駆動部32によって発熱素子アレイ22aが駆動されて発熱し、受像層フィルム25を加熱する。これにより、それぞれが主走査方向に長く伸びた2ライン分の透明な受像層がレンチキュラシート3の背面に転写されて形成される。
【0090】
2ライン分の受像層を形成した後、搬送モータ44の回転で、移動部41と一体にクランパ18が下流に向けて2ライン分移動される。再び発熱素子アレイ22aが発熱されて、受像層フィルム25を加熱する。これにより、先に形成した2ライン分の受像層と副走査方向に並ぶ新たな2ライン分の受像層が形成される。以降、同様にして、レンチキュラシート3を副走査方向に搬送しながら2ラインずつ受像層を形成する。
【0091】
上記のようにして受像層を形成している間には、制御部35の制御の下で測定用走査が行われる。制御部35によって、搬送モータ44とともにモータ63も駆動され、レンチキュラシート3が副走査方向に2ライン分搬送されている間に、センサ部36も主走査方向に一定の長さだけ移動される。そして、レンチキュラシート3の搬送ごとにセンサ部36も順次に移動される。
【0092】
これにより、レンチキュラシート3に対してセンサ部36が測定走査方向に移動しながら、投光器36aから検出光をレンチキュラシート3に向けて照射し、そのレンチキュラシート3を透過した検出光の強さに応じた検出信号を受光器36bが出力する。なお、センサ部36が受像層を形成した部分を検出しても、受像層が透明であるためセンサ部36による検出に影響はない。
【0093】
測定用走査を開始すると、制御部35によって受光器36bからの検出信号が参照され、それに基づいてセンサ部36の測定走査方向の移動長をカウントする。例えば、適当な時点で検出される検出信号の1個目のピークの検出時点から、センサ部36の測定走査角度θ0方向の移動長のカウントを開始し、M+1個目のピークが検出された時点で移動長のカウントを終了し、そのカウントしたM区間分の移動長から1区間分の平均の移動長を求め、それを移動長Lとする。
【0094】
クランパ18とサーマルヘッド22との間で適当な引っ張りが生じてレンチキュラシート3にたわみがないので、またレンチキュラシート3の伸びを考慮して、正確に移動長Lが測定される。また、1個の受光器36bからの連続的な検出信号の変化を検出して移動長Lを測定しているため、誤差が小さい移動長Lが測定される。
【0095】
そして、制御部35が算出式(1)に、上記のように求めた移動長Lと、既知の測定走査角度θ0とレンズピッチPと適用して、斜行角θ1を算出する。斜行角θ1が算出されると、制御部35からモータ46に駆動パルスが送られ、角度「−θ1」だけクランパ18が回転される。クランパ18が回転されると、このクランパ18に先端がクランプされているレンチキュラシート3が搬送面で角度「−θ1」だけ回転する。このときに、レンチキュラシート3は、サーマルヘッド22とプラテンローラ23との間に狭持されているが、それらとは微小な滑りを生じながら搬送されるため搬送面で回転することができる。
【0096】
結果として、受像層の形成中にレンチキュラシート3が搬送面で角度「−θ1」だけ回転し、レンズ4の長手方向が主走査方向と一致するようになる。なお、このようにセンサ部36の測定用走査、クランパ18の回転による斜行の修正を受像層を形成している間に行うことによって、プリント時間の短縮を図っているが、受像層の形成とは別にこれらを行うこともできる。例えば、受像層の形成完了後、レンチキュラシート3を上流に戻しているときに斜行の修正を行ってもよい。
【0097】
記録エリアに対して受像層の形成が完了すると、搬送機構20によるレンチキュラシート3の搬送が停止されてから、サーマルヘッド22が退避位置に移動される。この後に、搬送モータ44が逆転されて、クランパ18が移動部41とともに上流に向かって移動し、これにともないレンチキュラシート3が搬送路12を上流に向かって搬送される。なお、このときに、レンチキュラシート3の後端が戻し搬送路12aを通るように案内される。そして、レンチキュラシート3の記録エリアの先端がサーマルヘッド22の位置を通過すると、搬送モータ44の逆転が停止される。
【0098】
フィルム交換機構28によりインクフィルム26がサーマルヘッド22の直下に移動されてから、サーマルヘッド22が圧接位置に移動される。このときには、イエローインク領域がレンチキュラシート3の背面に重ねられる。
【0099】
また、センサ部36がセンサ移動機構37によって特定位置、例えば記録エリアの主走査方向のほぼ中央の位置に移動され、その位置に固定される。そして、この後に搬送モータ44を回転させることにより、クランパ18でクランプしているレンチキュラシート3が下流に向けて搬送される。
【0100】
上記搬送中では、センサ部36は、やはり検出光に照射と受光を行っており、制御部35がその検出信号を参照している。検出信号のピークを検出すると、予め設定されているセンサ部36の特定位置から発熱素子アレイ22aまでの距離とレンズピッチPとに基づいて、発熱素子アレイ22aと微小領域5aのズレが求められる。そして、このズレがなくなるように搬送モータ44の回転量を調節してから、2ライン分ずつレンチキュラシート3が搬送されるように搬送モータ44が駆動される。
【0101】
そして、上記の2ライン分ずつの搬送で、記録エリアの最初の画像領域5内の1番目の微小領域5aに発熱素子アレイ22aが位置した状態となると、イエロー画像の記録が開始される。イエロー画像は、ヘッド駆動部32に入力される画像データのうちのイエロー画像データでサーマルヘッド22を駆動することによって、インクフィルム26から昇華させたイエローインクを受像層に付着させて記録する。そして、レンチキュラシート3が2ライン分搬送されるごとに、2ライン分のイエロー画像データで2本の発熱素子アレイ22aを駆動することで、それぞれ主走査方向に伸びる2ラインを同時に記録して線状画像を各微小領域5aに順次に記録する。
【0102】
イエロー画像の最終ラインが記録されると、レンチキュラシート3の搬送が停止されてから、サーマルヘッド22が退避位置に移動される。この後に、クランパ18が移動部41とともに上流に向かって移動され、レンチキュラシート3が搬送路12を上流に向かって搬送され、記録エリアの先端がサーマルヘッド22の位置を通過すると、搬送が停止される。
【0103】
インクフィルム26を送ってマゼンタインク領域がレンチキュラシート3の背面に重ねられるようにしてから、サーマルヘッド22が圧接位置に移動される。この後に、イエロー画像と同様にして、レンチキュラシート3を副走査方向に移動し、発熱素子アレイ22aと微小領域5aのズレをなくしてから2ラインずつ搬送する。そして、この搬送中に、マゼンタ画像データでサーマルヘッド22を駆動し、レンチキュラシート3の記録エリアにマゼンタ画像を記録する。
【0104】
マゼンタ画像の記録完了後には、上記と同様な手順で、レンチキュラシート3をいったん上流に向けて搬送してから、再び下流に向けて搬送する。また、インクフィルム26を送ってシアンインク領域がレンチキュラシート3の背面に重ねられるようにしてから、サーマルヘッド22が圧接位置に移動される。そして、レンチキュラシート3の下流に向けた搬送中に、シアン画像データに基づいてサーマルヘッド22を駆動し、シアン画像を2ラインずつ記録する。
【0105】
上記のようにして各色の画像を2ラインずつ記録するが、搬送されているレンチキュラシート3の各レンズ4の長手方向が主走査方向と一致しているため、サーマルヘッド22で記録される各ラインは、微小領域5aからはみ出すことなく記録されている。
【0106】
3色の画像を記録エリアに記録した後には、上記と同様な手順で、レンチキュラシート3がいったん上流に向けて搬送されてから、再び下流に向けて搬送される。また、フィルム交換機構28によりバック層フィルム27がサーマルヘッド22の直下に移動されてから、サーマルヘッド22が圧接位置に移動される。そして、レンチキュラシート3の下流に向けた搬送中に、サーマルヘッド22を駆動し、3色の画像を記録した記録エリアにバック層を形成する。
【0107】
バック層の形成後、サーマルヘッド22を退避位置としてから、レンチキュラシート3を戻し搬送路12aに案内しながら、作動位置にまでクランパ18を搬送機構20で移動する。この後に、カム軸38が回転され、カム38aによって下流側端部52bがバネ53の付勢に抗して押し上げられて可動板52が解除位置とされる。これにより、レンチキュラシート3の先端のクランプが解除され、そのレンチキュラシート3が排出口から排出される。
【0108】
上記実施形態では、センサ移動機構37によるセンサ部36の主走査方向への移動と、搬送機構20によるレンチキュラシート3の副走査方向への搬送とを同時に行うことにより、レンチキュラシート3に対しては、主走査方向に対して測定走査角度θ0の測定走査方向にセンサ部36を移動させているが、センサ移動機構37によるセンサ部36の移動方向そのものを主走査方向に対して傾けることにより、レンチキュラシート3に対して、測定走査角度θ0の測定走査方向にセンサ部36を移動させることもできる。なお、この場合には、レンチキュラシート3を停止している状態で、センサ部36を移動させる。
【0109】
[第2実施形態]
図8に示す第2実施形態のように、レンチキュラシート3に対して、センサ部36を副走査方向(レンズ4の長手方向に交差する方向)に移動させ、この移動時に得られる検出信号からレンチキュラシート3の斜行角θ1を算出してもよい。この場合には、検出信号のピークを検出してから次のピークを検出するまでにセンサ部36が移動した副走査方向の移動長をL、レンチキュラシート3のレンズピッチをPとしたときに、斜行角θ1は次の算出式(2)のように求めることができる。
θ1=Cos−1(P/L) ・・・(2)
【0110】
レンチキュラシート3に対して、センサ部36を副走査方向に移動させるには、センサ部36を副走査方向に移動させるセンサ移動機構を設け、レンチキュラシート3を停止した状態でセンサ部36を移動させてもよく、センサ部36を固定しておきレンチキュラシート3を搬送機構20によって副走査方向に搬送してもよい。もちろん、レンチキュラシート3を副走査方向に搬送しながら、それとは逆向きにセンサ部36を移動させてもよい。
【0111】
レンチキュラシート3に対して、センサ部36を副走査方向に移動させた場合、算出される斜行角θ1からは、いずれの回転方向にレンチキュラシート3が斜行しているのかはわからない。そこで、この場合には、クランパ18の回転でレンチキュラシート3を適当な角度(例えば斜行角θ1)で一方向に回転させ、その状態で再度斜行角の検出を行い、得られる斜行角が増加した場合には、反対方向に当初の状態から斜行角θ1だけ回転するようにすればよい。
【0112】
[第3実施形態]
さらに、図9に示す第3実施形態のように、レンチキュラシート3に対して、センサ部36を主走査方向(レンズ4の長手方向に平行となる方向)に移動させ、この移動時に得られる検出信号からレンチキュラシート3の斜行角を算出し、それを打ち消すようにクランパ18を回転させてもよい。この場合には、検出信号のピークを検出してから次のピークを検出するまでにセンサ部36が移動した主走査方向の移動長をL、レンチキュラシート3のレンズピッチをPとしたときに、斜行角θ1は次の算出式(3)のように求めることができる。
θ1=Tan−1(P/L) ・・・(3)
【0113】
なお、レンチキュラシート3に対して、センサ部36を主走査方向に移動させるには、センサ部36を主走査方向に移動させるセンサ移動機構を設け、レンチキュラシート3を停止した状態でセンサ部36を移動させればよい。レンチキュラシート3に対して、センサ部36を主走査方向に移動させる場合にも、垂直方向に移動させる場合と同様に、レンチキュラシート3を例えば斜行角θ1で一方向に回転させ、その状態で再度斜行角の検出を行って斜行角が増加した場合には、反対方向に当初の状態から斜行角θ1だけ回転するようにすればよい。
【0114】
また、レンチキュラレンズ3に対して、センサ部36を主走査方向に移動させる場合には、2個以上のレンズ4の頂点4b、あるいは境界部分4aを通過しない場合もある。このような場合には、センサ部36からの検出信号の傾きに基づいて、センサ部36の主走査方向の移動距離(以下、走査距離という)に対するレンズ4の配列方向の移動距離を推定して、この推定した移動距離と、そのときの走査距離とから斜行角θ1を求めることができる。検出信号の傾きと配列方向の移動距離との関係は、レンズ4の形状から決まるので、例えば検出信号の傾きと配列方向の移動距離との関係を示すデータテーブルを予め用意しておき、センサ部36から検出信号の傾きを、データテーブルを用いて配列方向の移動距離の推定値に変換することができる。
【0115】
なお、クランパ18を回転させてレンチキュラシート3を適当な角度で回転させてから、再度検出して斜行角θ1を算出するようにしてもよい。また、クランパ18の微小な回転とセンサ部36の測定用走査とを交互に繰り返し行い、測定用走査で得られる検出信号の信号レベルが変化しなくなるクランパ18の回転位置を特定し、その位置とするように制御してもよい。
【0116】
[第4実施形態]
第4実施形態は、サーマルヘッドで記録したテスト画像をセンサ部で検出することによって取得する基準値を用いて、レンズの長手方向をサーマルヘッドの主走査方向に精度良く一致させるようにしたものである。なお、以下に説明する他は、第1実施形態と同じであり、同一の構成部材には同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0117】
この例では、プリンタ2の製造時などに、図10に示すように、基準値となるピッチPsの測定を行う。ピッチPsの測定では、まずクランパ18で透明な記録用シート71(図11参照)をクランプする。そして、搬送機構20によってクランパ18を下流に移動させる。これによる記録用シート71の搬送の間に、その記録用シート71にサーマルヘッド22でテスト画像を記録する。
【0118】
テスト画像は、図11に示すように、走査方向に長い複数のストライプSを記録したものである。各ストライプSは、副走査方向にレンズピッチPのN倍のピッチ(=N・P)で配列したものであって、記録用シート71の搬送に同期してサーマルヘッド22を駆動して記録する。各ストライプSは、サーマルヘッド22で記録するラインの伸びる実際の主走査方向に沿ったものとなる。
【0119】
上記ストライプSの記録には、インクフィルム26を用いてイエローやマゼンタ,シアン等あるいは、それらからを併用する各種の色で記録してもよいが、この例では、テスト画像の記録する際のコストを低減するため、バック層フィルム27を用いて白色に記録している。
【0120】
テスト画像が記録された記録用シート71の部分に対して、センサ部36を測定走査方向に相対的に移動させて測定用走査を行う。そして、このときに得られる検出信号と、センサ部36の測定走査方向の移動長とから、ストライプSの測定走査方向についてのピッチPsを求める。測定されたピッチPsは、プリンタ2の不揮発性のメモリ(図示省略)に書き込まれて記憶される。
【0121】
なお、サーマルヘッド22よりも、センサ部36を上流側に配した場合には、テスト画像を記録した後、クランパ18を回転させずに、記録用シート71をいったん上流に戻してから、再び下流に向けて搬送し、その間に測定用走査を行えばよい。
【0122】
画像を記録する際に、レンチキュラシート3の斜行を修正する場合には、図12に示すように、クランパ18でクランプしたレンチキュラシート3を搬送しながら、測定用走査を行う。そして、このときに得られる検出信号から、レンズN個分のセンサ部36の測定走査方向の移動長Lsを求め、これをピッチPsと比較する。
【0123】
上記のように求められる移動長Lsは、レンズ4の長手方向が発熱素子アレイ22aの伸びる主走査方向に一致していればピッチPsと同じになる。また、ピッチPsに対する移動長Lsの大小によって、主走査方向に対して、レンズ4の長手方向がずれる向きを判断できる。
【0124】
そこで、移動長LsがピッチPsよりも大きいときには、レンズ4の長手方向と測定走査方向との角度が大きくなる方向に微小角度でクランパ18を回転する。また、移動長LsがピッチPsよりも小さいときには、レンズ4の長手方向と測定走査方向との角度が小さくなる方向に微小角度でクランパ18を回転する。いずれの場合にも、この回転の後に、搬送中のレンチキュラシート3に対してセンサ部36による検出再びレンズN個分の移動長Lsを求め、これをピッチPsと比較する。
【0125】
上記のような検出と回転とを、ピッチPsと移動長Lsとが一致するまで行う。これにより、レンチキュラシート3がレンズ4の長手方向が主走査方向に一致するように、その斜行が修正される。
【0126】
この例によれば、サーマルヘッド22の主走査方向とセンサ部36の測定走査方向との関係に不一致があっても、精度良く斜行が修正される。また、このことはサーマルヘッド22やセンサ部36等の組み付けの際に高い精度を不要とし、製造やメンテナンス時の調整が容易にすることができる。さらに、各部品にあまり高い精度が要求されないので、製造コストの低減をはかることができる。
【0127】
上記では、主走査方向に対して所定の測定走査角度θ0を持たせた測定走査方向にセンサ部36を移動させる場合について説明したが、副走査方向に対してセンサ部36を移動させる場合にも同様にすることができる。この場合には、ピッチPsに対する移動長Lsの大小からは主走査方向に対するレンズ4の長手方向のずれる向きを判断できないので、レンチキュラシート3をクランパ18で微小角度だけ回転させて移動長Lsを再測定し、それによる移動長Lsの変化の大きさと、移動長の増加または減少のいずれかと、クランパ18の微小角度の回転方向とから、斜行を修正するためにクランパ18を回転すべき方向を判断すればよい。
【0128】
また、相対的に主走査方向にセンサ部36を移動する場合では、図13に示すように、実際の主走査方向(発熱素子アレイ22aの伸びる方向)に対するセンサ部36の移動方向の補正角Δθを基準値として求めて、これによりクランパ18の回転を補正してもよい。この場合には、主走査方向について実際にプリントされるストライプ長Lgと、センサ部36を移動させることにより測定される移動方向についての検出長Lg1とから補正角Δθを求め、これをプリンタ2のメモリに記憶しておく。そして、第3実施形態のようにレンチキュラシート3の斜行を修正したのち、補正角Δθだけクランパ18の回転位置を補正する。これにより、レンズ4の長手方向が実際の主走査方向に平行となるようにする。
【0129】
上記各実施形態では、レンズ4の長手方向が主走査方向に平行となる姿勢で搬送する例について説明したが、レンズ4の長手方向が副走査方向となるように構成することもできる。また、上記各実施形態では、ラインプリンタについて説明したが、本発明は、シリアルプリンタなどの他の方式のプリンタにも利用できる。さらに、立体画像を記録するための視差画像を記録する場合に限らず、観察位置をずらすことで観察できる画像が変化する、いわゆるチェンジングの記録にも利用できる。昇華型に限らず、熱溶融型のサーマルプリンタ、インクジェットプリンタ等にも本発明を利用することができる。
【符号の説明】
【0130】
2 プリンタ
3 レンチキュラシート
4 レンチキュラレンズ
18 クランパ
19 回転機構
20 搬送機構
22 サーマルヘッド
35 制御部
36 センサ部
37 センサ移動機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレンチキュラレンズが配されたレンチキュラシートの先端を挟持するクランパと、
前記クランパを副走査方向に移動させることによりレンチキュラシートを搬送する搬送手段と、
レンチキュラシートの背面にインクフィルムを重ね、そのインクフィルムの背面をサーマルヘッドで加熱することにより、インクフィルムのインクを昇華させてレンチキュラシートの背面に付着させ、前記搬送手段の搬送に同期して主走査方向に伸びたラインを順次に記録する記録手段と、
前記クランパをレンチキュラシートの搬送面上で回転させる回転機構と、
前記クランパに狭持されているレンチキュラシートのレンチキュラレンズの長手方向の主走査方向または副走査方向に対する傾きを光学的に検知し、レンチキュラレンズの長手方向が主走査方向または副走査方向に平行となるように前記回転機構を制御する回転制御手段とを備えたことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
検出光をレンチキュラシートに向かって照射する投光手段と、レンチキュラシートを透過した検出光を受光し、受光した検出光の大きさに応じた検出信号を出力する受光手段とからなるセンサ部と、
このセンサ部をレンチキュラシートに対して相対的に移動させるセンサ移動手段とを備え、
前記回転制御部は、前記センサ部がレンチキュラシートに対して相対的に移動している間に得られる検出信号に基づいて、主走査方向または副走査方向に対するレンチキュラレンズの長手方向の角度を求め、この角度を打ち消すように前記回転機構でクランパを回転させることを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】
前記センサ移動手段は、レンチキュラシートに対して相対的に前記センサ部を主走査方向に所定の測定走査角度をなす方向に移動させることを特徴とする請求項2記載のプリンタ。
【請求項4】
前記測定走査角度が45度以下であることを特徴とする請求項3記載のプリンタ。
【請求項5】
前記センサ移動手段は、レンチキュラシートに対して相対的に前記センサ部を副走査方向に移動させることを特徴とする請求項2記載のプリンタ。
【請求項6】
前記センサ移動手段は、レンチキュラシートの搬送停止中に前記センサ部を主走査方向に移動させることを特徴とする請求項2記載のプリンタ。
【請求項7】
前記センサ移動手段は、前記サーマルヘッドと前記クランパとの間で前記センサ部を移動することを特徴とする請求項2ないし6のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記記録手段は、インクフィルムによって画像を記録する前に、レンチキュラシートの背面にインクを付着させるための透明な受像層を形成するようにされ、
前記搬送手段は、受像層を形成するために、前記サーマルヘッドに対してレンチキュラシートを上流から下流に向けて搬送してから、インクフィルムによって画像を記録するために、再度前記サーマルヘッドに対してレンチキュラシートを上流から下流に向けて搬送するようにされ、
前記センサ移動手段は、受像層を形成するための搬送中にレンチキュラシートに対して前記センサ部を相対的に移動することを特徴とする請求項7記載のプリンタ。
【請求項9】
検出光をレンチキュラシートに向かって照射する投光手段と、レンチキュラシートを透過した検出光を受光し、受光した検出光の大きさに応じた検出信号を出力する受光手段とからなるセンサ部と、
このセンサ部をレンチキュラシートに対して相対的に移動させるセンサ移動手段と、
前記搬送手段によって前記クランパでクランプした透明な記録シートを搬送している間に、前記サーマルヘッドで、主走査方向に伸び副走査方向に所定のピッチで並んだ複数のストライプからなるテスト画像を記録シートに記録するとともに、前記センサ移動手段によって前記センサ部をテスト画像に対して相対的に移動したときの検出信号から得られる基準値を記憶する記憶手段を備え、
前記回転制御手段は、前記記憶手段に記憶されている基準値と、前記センサ部がレンチキュラシートに対して相対的に移動している間に得られる検出信号に基づいて、クランパの回転を制御することを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項10】
レンチキュラシートの背面にインクフィルムを重ね、そのインクフィルムの背面をサーマルヘッドで加熱することにより、インクフィルムのインクを昇華させてレンチキュラシートの背面に付着させることにより主走査方向に伸びたラインを記録し、レンチキュラシートを副走査方向の搬送することによって、複数のラインを順次に記録するプリント方法において、
主走査方向または副走査方向に対するレンチキュラレンズの長手方向の傾きを光学的に検知し、そのレンチキュラレンズの長手方向が主走査方向または副走査方向に平行となるように、レンチキュラシートの先端を挟持し、副走査方向に移動することでレンチキュラシートを搬送するクランパを回転することを特徴とするプリント方法。
【請求項11】
レンチキュラシートに向かって照射されレンチキュラシートを透過した検出光を受光するセンサ部をレンチキュラシートに対して相対的に移動させ、レンチキュラシートに対して相対的に移動している間に前記センサ部から得られる検出信号に基づいて、主走査方向または副走査方向に対するレンチキュラレンズの長手方向の角度を求めることを特徴とする請求項10記載のプリント方法。
【請求項12】
レンチキュラシートに対して相対的に前記センサ部を主走査方向に所定の測定走査角度をなす方向に移動させることを特徴とする請求項11記載のプリント方法
【請求項13】
前記測定走査角度が45度以下であることを特徴とする請求項12記載のプリント方法。
【請求項14】
レンチキュラシートに対して相対的に前記センサ部を副走査方向に移動させることを特徴とする請求項11記載のプリント方法。
【請求項15】
レンチキュラシートの搬送停止中に前記センサ部を主走査方向に移動させることを特徴とする請求項11記載のプリント方法。
【請求項16】
前記サーマルヘッドと前記クランパとの間で前記センサ部が移動されることを特徴とする請求項11ないし15のいずれか1項に記載のプリント方法。
【請求項17】
インクフィルムによって画像を記録する前に、レンチキュラシートの背面にインクを付着させるための透明な受像層を形成するためにレンチキュラシートを上流から下流に向けて搬送している間にセンサ部を相対的に移動して検出信号を得ることを特徴とする請求項16記載のプリント方法。
【請求項18】
前記クランパでクランプした透明な記録シートを搬送している間に、前記サーマルヘッドで、主走査方向に伸び副走査方向に所定のピッチで並んだ複数のストライプからなるテスト画像を記録シートに記録するとともに、記録シートにセンサ部を相対的に移動させて、記録シートに向かって照射されて透過した検出光の大きさに応じた検出信号に基づいて予め取得される基準値と、センサ部をレンチキュラシートに対して相対的に移動している間に得られる検出信号に基づいて、クランパの回転を制御すること特徴とする請求項10記載のプリント方法。
【請求項1】
複数のレンチキュラレンズが配されたレンチキュラシートの先端を挟持するクランパと、
前記クランパを副走査方向に移動させることによりレンチキュラシートを搬送する搬送手段と、
レンチキュラシートの背面にインクフィルムを重ね、そのインクフィルムの背面をサーマルヘッドで加熱することにより、インクフィルムのインクを昇華させてレンチキュラシートの背面に付着させ、前記搬送手段の搬送に同期して主走査方向に伸びたラインを順次に記録する記録手段と、
前記クランパをレンチキュラシートの搬送面上で回転させる回転機構と、
前記クランパに狭持されているレンチキュラシートのレンチキュラレンズの長手方向の主走査方向または副走査方向に対する傾きを光学的に検知し、レンチキュラレンズの長手方向が主走査方向または副走査方向に平行となるように前記回転機構を制御する回転制御手段とを備えたことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
検出光をレンチキュラシートに向かって照射する投光手段と、レンチキュラシートを透過した検出光を受光し、受光した検出光の大きさに応じた検出信号を出力する受光手段とからなるセンサ部と、
このセンサ部をレンチキュラシートに対して相対的に移動させるセンサ移動手段とを備え、
前記回転制御部は、前記センサ部がレンチキュラシートに対して相対的に移動している間に得られる検出信号に基づいて、主走査方向または副走査方向に対するレンチキュラレンズの長手方向の角度を求め、この角度を打ち消すように前記回転機構でクランパを回転させることを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】
前記センサ移動手段は、レンチキュラシートに対して相対的に前記センサ部を主走査方向に所定の測定走査角度をなす方向に移動させることを特徴とする請求項2記載のプリンタ。
【請求項4】
前記測定走査角度が45度以下であることを特徴とする請求項3記載のプリンタ。
【請求項5】
前記センサ移動手段は、レンチキュラシートに対して相対的に前記センサ部を副走査方向に移動させることを特徴とする請求項2記載のプリンタ。
【請求項6】
前記センサ移動手段は、レンチキュラシートの搬送停止中に前記センサ部を主走査方向に移動させることを特徴とする請求項2記載のプリンタ。
【請求項7】
前記センサ移動手段は、前記サーマルヘッドと前記クランパとの間で前記センサ部を移動することを特徴とする請求項2ないし6のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記記録手段は、インクフィルムによって画像を記録する前に、レンチキュラシートの背面にインクを付着させるための透明な受像層を形成するようにされ、
前記搬送手段は、受像層を形成するために、前記サーマルヘッドに対してレンチキュラシートを上流から下流に向けて搬送してから、インクフィルムによって画像を記録するために、再度前記サーマルヘッドに対してレンチキュラシートを上流から下流に向けて搬送するようにされ、
前記センサ移動手段は、受像層を形成するための搬送中にレンチキュラシートに対して前記センサ部を相対的に移動することを特徴とする請求項7記載のプリンタ。
【請求項9】
検出光をレンチキュラシートに向かって照射する投光手段と、レンチキュラシートを透過した検出光を受光し、受光した検出光の大きさに応じた検出信号を出力する受光手段とからなるセンサ部と、
このセンサ部をレンチキュラシートに対して相対的に移動させるセンサ移動手段と、
前記搬送手段によって前記クランパでクランプした透明な記録シートを搬送している間に、前記サーマルヘッドで、主走査方向に伸び副走査方向に所定のピッチで並んだ複数のストライプからなるテスト画像を記録シートに記録するとともに、前記センサ移動手段によって前記センサ部をテスト画像に対して相対的に移動したときの検出信号から得られる基準値を記憶する記憶手段を備え、
前記回転制御手段は、前記記憶手段に記憶されている基準値と、前記センサ部がレンチキュラシートに対して相対的に移動している間に得られる検出信号に基づいて、クランパの回転を制御することを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項10】
レンチキュラシートの背面にインクフィルムを重ね、そのインクフィルムの背面をサーマルヘッドで加熱することにより、インクフィルムのインクを昇華させてレンチキュラシートの背面に付着させることにより主走査方向に伸びたラインを記録し、レンチキュラシートを副走査方向の搬送することによって、複数のラインを順次に記録するプリント方法において、
主走査方向または副走査方向に対するレンチキュラレンズの長手方向の傾きを光学的に検知し、そのレンチキュラレンズの長手方向が主走査方向または副走査方向に平行となるように、レンチキュラシートの先端を挟持し、副走査方向に移動することでレンチキュラシートを搬送するクランパを回転することを特徴とするプリント方法。
【請求項11】
レンチキュラシートに向かって照射されレンチキュラシートを透過した検出光を受光するセンサ部をレンチキュラシートに対して相対的に移動させ、レンチキュラシートに対して相対的に移動している間に前記センサ部から得られる検出信号に基づいて、主走査方向または副走査方向に対するレンチキュラレンズの長手方向の角度を求めることを特徴とする請求項10記載のプリント方法。
【請求項12】
レンチキュラシートに対して相対的に前記センサ部を主走査方向に所定の測定走査角度をなす方向に移動させることを特徴とする請求項11記載のプリント方法
【請求項13】
前記測定走査角度が45度以下であることを特徴とする請求項12記載のプリント方法。
【請求項14】
レンチキュラシートに対して相対的に前記センサ部を副走査方向に移動させることを特徴とする請求項11記載のプリント方法。
【請求項15】
レンチキュラシートの搬送停止中に前記センサ部を主走査方向に移動させることを特徴とする請求項11記載のプリント方法。
【請求項16】
前記サーマルヘッドと前記クランパとの間で前記センサ部が移動されることを特徴とする請求項11ないし15のいずれか1項に記載のプリント方法。
【請求項17】
インクフィルムによって画像を記録する前に、レンチキュラシートの背面にインクを付着させるための透明な受像層を形成するためにレンチキュラシートを上流から下流に向けて搬送している間にセンサ部を相対的に移動して検出信号を得ることを特徴とする請求項16記載のプリント方法。
【請求項18】
前記クランパでクランプした透明な記録シートを搬送している間に、前記サーマルヘッドで、主走査方向に伸び副走査方向に所定のピッチで並んだ複数のストライプからなるテスト画像を記録シートに記録するとともに、記録シートにセンサ部を相対的に移動させて、記録シートに向かって照射されて透過した検出光の大きさに応じた検出信号に基づいて予め取得される基準値と、センサ部をレンチキュラシートに対して相対的に移動している間に得られる検出信号に基づいて、クランパの回転を制御すること特徴とする請求項10記載のプリント方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−75790(P2011−75790A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226581(P2009−226581)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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