プリンタ及びプリント方法
【課題】サーマルプリンタでレンチキュラシートに記録をする際にレンズピッチを正確に検出する。
【解決手段】レンチキュラシート3は、その先端がクランパ18に挟持され、クランパ18が副走査方向に移動することで搬送される。斜行検出部33の検出結果に基づいてレンチキュラシート3斜行が修正された後に、サーマルヘッド22を圧接した状態にして、レンチキュラシート3の背面に受像層を形成するための搬送を行う。この搬送中に、レンズセンサ部34を作動して、レンズピッチ等を光学的に検出する。レンズセンサ部34は、サーマルヘッド22とクランパ18との間に配されている。
【解決手段】レンチキュラシート3は、その先端がクランパ18に挟持され、クランパ18が副走査方向に移動することで搬送される。斜行検出部33の検出結果に基づいてレンチキュラシート3斜行が修正された後に、サーマルヘッド22を圧接した状態にして、レンチキュラシート3の背面に受像層を形成するための搬送を行う。この搬送中に、レンズセンサ部34を作動して、レンズピッチ等を光学的に検出する。レンズセンサ部34は、サーマルヘッド22とクランパ18との間に配されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンチキュラシートに画像を記録するプリンタ及びプリント方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
かまぼこ形状(半円柱形状)のレンチキュラレンズを左右方向に多数並べたレンチキュラシートを用いて、立体画像を観察できるようにした技術が知られている。立体画像を観察するには、レンチキュラシートの背面側に、例えば左右の2視点から撮影した各画像をそれぞれ線状(ストライプ状)に分割した線状画像をレンチキュラレンズごとに配置する。これにより、左眼と右眼とが各レンチキュラレンズを介して、視差のある線状画像をそれぞれ観察することで、立体画像を観察することができる。また、3視点以上のN視点からN個の画像を撮影して線状に分割して、N視点分の線状画像をレンチキュラレンズごとに配置することによって、より良好な立体感がある立体画像を観察できるようにした技術も知られている。
【0003】
レンチキュラシートの背面側に線状画像を配置する手法としては、予め全ての線状画像を配列して記録したプリント(ハードコピー)をレンチキュラシートの背面に貼り付けるものもあるが、プリンタによってレンチキュラシートの背面に直接に記録する手法も知られている。
【0004】
レンチキュラシートの背面に直接に画像を記録する場合には、レンチキュラレンズの位置(以下、レンズ位置という)やと画像の位置とを正確に位置調節して記録しなければならない。また、そのためには、レンズピッチも検出する必要がある。このため、記録ヘッドの近傍に光学センサとを設けておき、主走査方向に移動して画像を記録するときに、光学センサでレンチキュラレンズの位置を検出して、記録ヘッドでの例えばインクの吐出タイミングを制御すようにしたプリンタが知られている(例えば、特許文献1,2を参照)。
【0005】
一方、サーマルヘッドによって、画像を記録するサーマルプリンタが知られている。このようなサーマルプリンタには、サーマルヘッドの発熱素子アレイで感熱記録紙を直接に加熱して発色させる感熱方式と、インクリボンの背後を加熱してインクリボンのインクを転写する熱転写方式、及びインクを昇華させて付着させる昇華方式とがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−144974号公報
【特許文献2】特開2007−127521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、サーマルヘッドでレンチキュラシートに直接に画像を記録する場合に、サーマルヘッドの近傍にレンズピッチ等を検出するための光学的センサを設けることは、サーマルヘッドが記録時に高温となることから困難であった。また、サーマルプリンタでは、サーマルヘッドを記録媒体に圧接して記録を行うため、サーマルヘッドを一端としてレンチキュラシートに張力が生じ、これによりレンチキュラシートに伸びが生じてレンズピッチが変化することがある。このため、レンズピッチの測定位置によっては、画像の記録位置の制御に必要とするレンズピッチを正しく測定でききないことがある。なお、上記の特許文献1,2には、このようなサーマルプリンタ特有の問題の解決手段については記載されていない。
【0008】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、サーマルヘッドを用いてレンチキュラシートに画像記録を行う際に、画像の記録位置の制御に必要とするレンズピッチ等を正しく測定することができるプリンタ及びプリント方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載のプリンタでは、複数のレンチキュラレンズが配されたレンチキュラシートの先端を挟持するクランパを有し、このクランパを副走査方向に移動させることによりレンチキュラシートを搬送する搬送手段と、レンチキュラシートの背面にインクフィルムを重ねた状態でその背面に圧接した圧接位置と背面から離れた退避位置との間で移動自在なサーマルヘッドを有し、サーマルヘッドを圧接位置としてインクフィルムを加熱することにより、インクフィルムのインクを昇華させてレンチキュラシートの背面に付着させ、主走査方向に伸びたラインを記録し、前記搬送手段の搬送に同期してラインを順次に記録して画像を記録手段と、前記サーマルヘッドと前記クランパとの間に配置され、光学的にレンチキュラシートの検出を行うレンズセンサ部と、前記サーマルヘッドが圧接位置とした状態で、前記レンズセンサ部の検出結果に基づいて、前記クランパにクランプされているレンチキュラシートのレンズピッチを求めるレンズ検出手段とを備えたものである。
【0010】
請求項2記載のプリンタでは、前記レンズセンサ部を、前記搬送手段によってレンチキュラシートを搬送している間に、レンチキュラシートの凹凸に応じた検出信号を出力するようにしたものである。
【0011】
請求項3記載のプリンタでは、前記記録手段が、インクフィルムによって画像を記録する前に、レンチキュラシートの背面にインクを付着させるための透明な受像層を形成し、前記搬送手段が、受像層を形成するために、前記サーマルヘッドに対してレンチキュラシートを上流から下流に向けて搬送してから、インクフィルムによって画像を記録するために、再度前記サーマルヘッドに対してレンチキュラシートを上流から下流に向けて搬送し、前記レンズ検出手段が、受像層を形成するための搬送中に、前記レンズセンサ部による検出を行ってレンズピッチを求めるようにしたものである。
【0012】
請求項4に記載のプリンタでは、前記レンズ検出手段を、インクフィルムによって画像を記録するために、前記搬送手段によってレンチキュラシートを上流から下流に向けて搬送している間で、前記サーマルヘッドが画像を記録すべきレンチキュラシート上の記録エリアに達する前に、前記レンズセンサ部による検出を行ってレンズピッチを求めるようにしたものである。
【0013】
請求項5記載のプリンタでは、前記クランパをレンチキュラシートの搬送面上で回転させる回転機構と、前記クランパに狭持されているレンチキュラシートのレンチキュラレンズの長手方向の主走査方向に対する傾きを光学的に検知し、レンチキュラレンズの長手方向が主走査方向に平行となるように前記回転機構を制御する回転制御手段とを備えたものである。
【0014】
請求項6記載のプリンタでは、前記レンズ検出手段を、前記回転制御手段によってレンチキュラレンズの長手方向が主走査方向に平行となるようにされてから、レンズピッチの検出を行うようにしたものである。
【0015】
請求項7記載のプリンタでは、前記クランパをレンチキュラシートの搬送面上で回転させる回転機構と、前記クランパに狭持されているレンチキュラシートのレンチキュラレンズの長手方向の主走査方向に対する傾きを光学的に検知し、前記受像層の形成後に、前記検知した傾きに基づいてレンチキュラレンズの長手方向が主走査方向に平行となるように前記回動機構を制御してクランパを回転させる回転制御手段とを備え、前記記録手段を、画像を記録すべき記録エリアよりも広い範囲に前記受像層を形成するようにしたものである。
【0016】
請求項8記載のプリンタでは、前記レンズセンサ部が、主走査方向に1列に配列され、それぞれがレンチキュラシートの凹凸に応じた検出信号を出力する第1〜第3センサを有し、第1センサと第2センサの間隔が、レンチキュラシートが最大に斜行している場合での第1センサと第2センサとの検出位置に対してのレンチキュラシートのズレが最大に斜行している場合で1レンズピッチ以下となるようにされ、前記回転制御手段を、第1センサがレンチキュラレンズの任意の特定箇所を検出してから、第2センサがレンチキュラレンズの特定箇所を検出したのとの同等の検出信号を出力した時点までの搬送長と、第1センサと第2センサとの間隔と所期のレンズピッチとに基づいて、第1センサが検出したレンチキュラレンズの対応する特定箇所を第3センサが検出したときの検出信号を特定し、第1センサが当該レンチキュラレンズの特定箇所を検出してから第3センサが特定された検出信号を出力するまでの搬送長と第1センサと第3センサとの間隔とからレンチキュラシートの斜行角を求め、この斜行角にしたがってクランパを回転させて斜行を修正するようにしたものである。
【0017】
請求項9記載のプリンタでは、前記レンズ検出手段を、前記レンズセンサ部のうちのいずれか1つのセンサからの検出信号の1周期分の搬送長を測定し、測定した搬送長を前記斜行角で補正することにより、レンチキュラシートのレンズピッチを測定するようにしたものである。
【0018】
請求項10記載のプリンタでは、前記回転制御手段が、主走査方向に平行な基準線と、レンチキュラシートを挟んで基準線の反対側に配され、レンチキュラシートを通して観察される像を検出する斜行センサを有し、斜行センサからの出力を参照しながら前記クランパを回動して、斜行センサによって縞模様の像が検出されない位置とすることにより、レンチキュラシートの斜行を修正するようにしたものである。
【0019】
請求項11記載のプリンタでは、前記レンズセンサ部に対向して配され、主走査方向に平行であり、レンズピッチ以下の線幅の基準線と、前記クランパをレンチキュラシートの搬送面上で回転させる回転機構と、前記レンズセンサ部の検出結果に基づいて、レンチキュラレンズの長手方向が主走査方向に平行となるように前記回転機構を制御する回転制御手段とを備え、前記レンズセンサ部が、レンチキュラシートを通して観察される基準線の像を検出するようにされ、前記回転制御部が、レンズセンサ部からの出力を参照しながら前記クランパを回動して、レンズセンサ部によって縞模様の像が検出されない位置とすることにより、レンチキュラシートの斜行を修正するようにしたものである。
【0020】
請求項12記載のプリンタでは、前記レンズ検出手段を、レンチキュラシートが斜行しているときに前記レンズセンサ部によって検出される縞模様の像からレンズピッチを検出するようにしたものである。
【0021】
請求項13記載のプリンタでは、前記レンズ検出手段を、前記回転制御手段によりレンチキュラシートの斜行が修正された後、前記レンズセンサ部によって検出される基準線が均一な濃度の像となるように、前記搬送手段によってレンチキュラレンズの中心と基準線とが一致する位置にレンチキュラシートを移動させ、この位置を前記サーマルヘッドに対するレンチキュラシートの位置関係を求める基準にするようにしたものである。
【0022】
請求項14記載のプリンタでは、前記搬送手段によって前記クランパでクランプした透明な記録シートを搬送している間に、前記サーマルヘッドで主走査方向に伸びた所定幅の帯状の測定用画像を記録シートに記録させ、この測定用画像が主走査方向に所定の間隔で離して前記基準線上に設定した2つの測定点にそれぞれ達するまでの各搬送長の差と、前記所定の間隔とに基づいて、基準線と主走査方向とのズレ角度を検知する検知手段と、検知されたズレ角度を記憶する記憶手段とを備え、前記回転制御手段が、前記記憶手段に記憶されているズレ角度でクランパの回転位置を補正するものである。
【0023】
請求項15記載のプリンタでは、前記レンズセンサ部に対向して副走査方向にレンズピッチ以下のピッチで複数本配され、それぞれが主走査方向に平行でありレンズピッチ以下の線幅の基準線と、前記クランパをレンチキュラシートの搬送面上で回転させる回転機構と、前記レンズセンサ部の検出結果に基づいて、レンチキュラレンズの長手方向が主走査方向に平行となるように前記回転機構を制御する回転制御手段とを備え、前記レンズセンサ部が、レンチキュラシートを通して観察される複数本の基準線の像を検出するようにされ、前記回転制御部が、レンズセンサ部からの出力を参照しながら前記クランパを回動して、レンズセンサ部によって像にモアレの検出されない位置とすることにより、レンチキュラシートの斜行を修正するものである。
【0024】
請求項16記載のプリンタでは、前記レンズ検出手段が、前記回転制御手段によりレンチキュラシートの斜行が修正された後、前記レンズセンサ部によって検出される複数の基準線の像の副走査方向の中心が最も濃度が高くなるように、前記搬送手段によってレンチキュラレンズの中心と基準線とが一致する位置にレンチキュラシートを移動させ、この位置を前記サーマルヘッドに対するレンチキュラシートの位置関係を求める基準とし、像の濃度分布の1周期分の変化に要する搬送長をレンズピッチとして求めるものである。
【0025】
請求項17記載のプリント方法では、移動することでレンチキュラシートを搬送するクランパにクランプされるとともに、サーマルヘッドが圧接されたレンチキュラシートのクランパとサーマルヘッドとの間の部分を光学的に検出してレンズピッチを求めるようにしたものである。
【0026】
請求項18記載のプリント方法では、レンチキュラレンズの長手方向の主走査方向に対する傾きを光学的に検知し、そのレンチキュラレンズの長手方向が主走査方向に平行となるように、レンチキュラシートの先端を挟持し、副走査方向に移動することでレンチキュラシートを搬送するクランパを回転するものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、搬送用のクランパでレンチキュラシートをクランプし、またそのレンチキュラシートにサーマルヘッドを圧接した状態にし、そのクランパとサーマルヘッドとの間のレンチキュラシートの部分を光学的に検出してレンズピッチを求めるようにしたから、実際の記録状態に即した状態で、画像の記録位置の制御に必要とするレンズピッチを正しく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明を実施したプリンタの概略を示す説明図である。
【図2】レンチキュラシートを示す斜視図である。
【図3】斜行を検出するために基準線を示す説明図である。
【図4】クランパユニットと搬送機構を示す斜視図である。
【図5】可動板を解除位置としたクランパの状態を示す説明図である。
【図6】可動板をクランプ位置としたクランパの状態を示す説明図である。
【図7】レンチキュラシートが斜行しているときに観察される縞模様を模式的に示す説明図である。
【図8】レンチキュラシートの斜行が修正されているときに観察される像を模式的に示す説明図である。
【図9】レンチキュラシートに対するレンズセンサの位置と検出信号の関係を示す説明図である。
【図10】各部の作動タイミングを示す説明図である。
【図11】画像記録の直前にレンズピッチの検出を行う場合の、各部の作動タイミングを示す説明図である。
【図12】斜行センサに検出される像によってレンズ位置を特定する例における像の変化を模式的に示す説明図である。
【図13】斜行センサに対向して設けられる基準線を複数本にした例を示す説明図である。
【図14】基準線を複数本にした場合における斜行の修正からレンズ位置の特定までの像の変化を模式的に示す説明図である。
【図15】斜行検出部をサーマルヘッドとクランプユニットの間に配した例のプリンタの概略を示す説明図である。
【図16】光源で照明される拡散板上に基準線を配した例を示す断面図である。
【図17】3個のレンズセンサでレンチキュラシート3の斜行角、レンズピッチを測定する例を示す説明である。
【図18】3個のレンズセンサを用いた例における各部の作動タイミングを示す説明図である。
【図19】3個のレンズセンサを用いた例における画像記録の直前に斜行角、レンズピッチを測定する場合の各部の作動タイミングを示す説明図である。
【図20】受像像形成後に斜行を修正する場合における好ましい受像層の範囲を示す説明図である。
【図21】基準線と主走査方向のズレの補正値を求める例を示す説明図である。
【図22】基準線と主走査方向のズレの補正値を求める際の測定状態を示す説明である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1実施形態]
本発明を実施した第1実施形態のプリンタの概略を図1に示す。プリンタ2は、立体画像を観察するための視差画像を昇華方式でレンチキュラシート3の背面に記録する。このプリンタ2は、2視点の視差画像を6視点の視差画像に変換して、その6視点の視差画像をレンチキュラシート3に記録する。
【0030】
レンチキュラシート3は、図2に示すように、周知のように表面側に多数の半円柱状のレンチキュラレンズ(以下、単にレンズという)4を配列してあり、背面が平面になっている。このレンチキュラシート3は、矢線A方向に長いレンズ4を、例えば100LPI(Line Per Inch)で矢線B方向(以下、配列方向という)に並べて配してある。したがって、レンズ4の配列方向の長さは約254μmであり、レンズピッチも254μmとなっている。レンズ4は、長手方向(矢印A方向)が観察時の上下方向となり、配列方向が観察時の左右方向となる。
【0031】
レンチキュラシート3の背面は、レンズ4ごとに画像領域5が仮想的に区画され、1個のレンズ4に対して1個の画像領域5が対応する。各画像領域5は、立体画像を表示するための視点数に対応して配列方向に第1〜第6微小領域5a〜5fに区画され、視差画像を線状に分割した線状画像をそれぞれに記録する。各微小領域5a〜5fは、6個の視差画像に1対1に対応しており、例えば第1微小領域5aには第1視点の視差画像が対応し、この第1視点の視差画像から生成される線状画像が記録され、第2微小領域5bには第2視点の視差画像が対応し、この第2視点の視差画像から生成される線状画像が記録される。
【0032】
図1に示すように、レンチキュラシート3は、搬送口11から搬送路12に送り込まれる。搬送路12内では、レンチキュラシート3は、レンズ4を下側にし、またレンズ4の配列方向に沿って搬送する。レンチキュラシート3の搬送路12への給送は、レンチキュラシート3を積層したカセットから給送機構によって自動で行うようにしてもよく、手動でレンチキュラシート3を搬送口11に差し込むようにしてもよい。なお、図1ではレンズ4の大きさを誇張して描いてある。
【0033】
搬送口11の近傍の搬送路12内には、給送ローラ対15を配してある。給送ローラ対15は、一方がモータ16で駆動されるキャプスタンローラ15aであり、他方がレンチキュラシート3の搬送に伴って従動回転するピンチローラ15bである。ピンチローラ15bは、キャプスタンローラ15aとの間にレンチキュラシート3をニップしたニップ位置と、レンチキュラシート3から離れた解除位置との間で移動する。
【0034】
上記給送ローラ対15は、搬送路12に送り込まれたレンチキュラシート3をニップし、キャプスタンローラ15aがモータ16で回転されることによって、レンチキュラシート3を搬送路12の下流(図中左方向)に向けて搬送する。この搬送によって、レンチキュラシート3の先端がクランプユニット17に達してクランプ(狭持)されると、ピンチローラ15bが解除位置に移動してニップを解除する。
【0035】
なお、後述するように、レンチキュラシート3の斜行の検出、修正を行っているときに、給送ローラ対15でレンチキュラシート3をニップした状態を維持して、レンチキュラシート3に適度なテンションを与えておいてもよい。この場合に、給送ローラ対15によるニップを弱くしておき、斜行を修正した際にレンチキュラシート3が各ローラ15a,15bの間で滑るようにしておくのがよい。
【0036】
クランプユニット17は、レンチキュラシート3の搬送のためにその先端をクランプするクランパ18(図4参照)、このクランパ18の開閉機構、レンチキュラシート3の斜行を修正するためにクランパ18を回転する回転機構19(図4参照)などからなる。
【0037】
搬送機構20は、クランパ18を搬送路12に沿って水平に往復動する。これにより、クランパ18によって先端をクランプしているレンチキュラシート3が搬送路12内を搬送される。この搬送機構20によるクランパ18の移動方向が副走査方向となる。
【0038】
クランパ18を搬送路12の上流に向けて移動した際には、後述するサーマルヘッド22の上流側から斜め下方に伸びる戻し搬送路12aにレンチキュラシート3が案内される。また、記録終了後には、レンチキュラシート3を戻し搬送路12aに送り込んでから、クランパ18によるクランプを解除することで排出口(図示せず)から排出する。したがって、記録時には、厳密には、サーマルヘッド22よりも下流側でレンチキュラシート3が水平に搬送される。
【0039】
クランプユニット17よりも上流側で、搬送路12の上側にサーマルヘッド22を配してある。また、搬送路12を挟んで、サーマルヘッド22に対向する位置に回動自在なプラテンローラ23を配してある。
【0040】
サーマルヘッド22の下部には、主走査方向(副走査方向と直交する方向)に多数の発熱素子を2列でライン状に配列した発熱素子アレイ22aを形成してある。発熱素子アレイ22aを2本設けることで、主走査方向に伸びる2ラインを同時に記録し、レンチキュラシート3の搬送によって副走査方向にラインを並べて記録する。
【0041】
各発熱素子アレイ22aは、レンチキュラシート3に画像を記録すべき記録エリアの幅(主走査方向の長さ)よりも少し大きくしてある。また、1個の発熱素子によって記録される1画素の副走査方向の長さを約20μmとしてあり、2列の発熱素子アレイの1回の発熱で1つの微小領域に線状画像を記録する。
【0042】
サーマルヘッド22は、プラテンローラ23上のレンチキュラシート3の背面に記録用フィルムを重ねた状態で記録用フィルムの背後から圧接した圧接位置と、この圧接位置から上方に移動した退避位置との間で移動する。
【0043】
記録用フィルムとしては、受像層フィルム25,インクフィルム26,バック層フィルム27がある。各フィルム25〜27は、それらを取り付けてあり、サーマルヘッド22を退避位置としているときに、それらを取り付けたフィルム交換機構28を回転させることによって使用するフィルムをサーマルヘッド22の直下に移動させる。記録時には、サーマルヘッド22が圧接位置に移動することによって、サーマルヘッド22の直下に移動された記録用フィルムがレンチキュラシート3の背面に重ねられる。
【0044】
記録用フィルムは、いずれもサーマルヘッド22の発熱素子アレイの主走査方向の長さとほぼ同じにしてあり、また複数枚のレンチキュラシート3に対して記録ができるように長尺のものがスプールに巻き付けてある。レンチキュラシート3の搬送に同期して、記録用フィルムは、一方のスプールから他方のスプールに送られて巻き取られる。
【0045】
受像層フィルム25は、レンチキュラシート3の背面に、インクフィルム26からのカラーインクを付着させる受像層を形成するためのものである。この受像層フィルム25をレンチキュラシート3の背面に重ねた状態で、その背後からサーマルヘッド22で加熱することにより、透明な受像層をレンチキュラシート3の背面に転写して形成する。
【0046】
インクフィルム26は、周知の昇華型のインクフィルムであり、その長手方向にイエローインク領域,マゼンタインク領域,シアンインク領域を順番に多数設けたものである。各インク層のそれぞれの大きさは、レンチキュラシート3のサイズとほぼ等しい。受像層の形成後にサーマルヘッド22で、インクフィルム26を加熱することによって、イエロー,マゼンタ,シアンのインクを昇華させて、受像層に付着させる。サーマルヘッド22の各発熱素子の発熱量を増減することにより、インクの付着量を制御して記録される各画素の濃度を制御する。
【0047】
バック層フィルム27は、それをインクフィルム26で画像を記録したレンチキュラシート3の背面に重ねた状態で、その背後からサーマルヘッドで加熱することにより、白色のバック層がレンチキュラシート3の背面に転写して形成される。
【0048】
データ変換部31には、2視点の視差画像データが入力される。このデータ変換部31は、画像処理によって2視点の視差画像データを6視点の画像データに変換してヘッド駆動部32に送る。
【0049】
ヘッド駆動部32は、サーマルヘッド22を駆動する。ヘッド駆動部32は、受像層、バック層を形成するときには、それらを転写するために必要な発熱量を各発熱素子が同時に発生するようにサーマルヘッド22を駆動する。また、インクフィルム26を用いて画像を記録する際には、6視点の視差画像データに基づいてサーマルヘッド22を駆動し、3色を面順次で記録する。
【0050】
給送ローラ対15とサーマルヘッド22との間に、斜行検出部33を配してあり、サーマルヘッド22とクランプユニット17との間には、レンズセンサ部34を配してある。斜行検出部33は、レンチキュラシート3の斜行を光学的に検出するためのものであり、制御部35とともに回転制御手段を構成する。また、レンズセンサ部34は、レンズピッチ、レンズ位置を光学的に検出するためのものであり、これに対応して制御部35がレンズ検出手段となっている。
【0051】
斜行検出部33は、搬送路12の上側に配した斜行センサ33aと、搬送路12の内面に記した1本の基準線33bとからなる。基準線33bは、図3に示すように、搬送路12を構成する板部材12bの斜行センサ33aに対面する部分に、主走査方向に平行な例えば黒色の直線として記してある。この基準線33bの線幅(副走査方向の長さ)は、レンズ幅よりも小さくしてある。
【0052】
斜行センサ33aは、複数の受光素子をマトリクス状に配列した二次元センサであり、レンチキュラシート3を通して観察される基準線33bの像に応じた像信号を出力する。制御部35は、像信号を参照しながら、回転機構19でクランパ18を回動させてレンチキュラシート3の斜行を修正する。
【0053】
なお、斜行センサ33aとしては、主走査方向に複数の受光素子を並べたラインセンサであってもよい。後述するように、斜行センサ33aが出力する信号から縞模様の発生の有無を判断できるものであれば、受光素子の個数、間隔は限定されない。
【0054】
レンズセンサ部34は、発光ダイオードなどからなり検出光をレンチキュラシート3に向かって照射する投光器34aと、レンチキュラシート3を透過した検出光を受光し、受光した検出光の強さに応じた検出信号を出力する受光器34bとからなる。制御部35は、搬送によってレンチキュラシート3がレンズセンサ部34に対して副走査方向に移動した際に、レンチキュラシート3の凹凸に応じて変化する検出信号に基づいて、レンチキュラシート3のレンズピッチを検出し、またレンズ位置を検出する。これら検出されたレンズピッチとレンズ位置は、線状画像の記録タイミングの制御に用いる。
【0055】
上記レンズセンサ部34によるレンズピッチの検出は、サーマルヘッド22を圧接位置とした状態でクランパ18の移動によるレンチキュラシート3の搬送時に行う。これにより、サーマルヘッド22とプラテンローラ23にニップされ、これらとクランパ18の間に引っ張りが生じた状態とし、その引っ張りによる伸び、環境温度の影響による伸び率の変化などを考慮した精度の高いレンズピッチの検出を行う。
【0056】
さらに、受像層を形成する際のレンチキュラシート3の搬送中に、上記レンズピッチの検出を行う。これにより、レンチキュラシート3に画像を記録するのに要する時間の短縮を図るとともに、サーマルヘッド22で受像層を形成するための加熱を行いながら検出を行うことで、線状画像の記録時により近い条件でレンズピッチの検出を行う。
【0057】
レンズ位置の検出は、レンズピッチの検出と同様に、サーマルヘッド22を圧接位置とした状態でクランパ18の移動によるレンチキュラシート3の搬送時に行うが、受像層の形成、各色のインクでの画像の記録、バック層の形成のためのそれぞれの搬送時に行われる。
【0058】
なお、レンズセンサ部34の構成は、レンズ4によるレンチキュラシート3の凹凸に応じた検出信号が得られるものであれば、上記のものに限られない。例えば、搬送路12の上側に投光器34aと受光器34bを、下側に反射板を配しておき、投光器34aからの検出光をレンチキュラシート3を通して反射板で反射させ、その反射光をレンチキュラシート3を通して受光器34bで受光する構成でもよい。また、投光器34aと受光器34bは、必ずしも対向する位置関係にする必要はなく、一方を他方に対して主走査方向、副走査方向にずらして配してもよい。
【0059】
制御部35は、プリンタ2の各部を制御する。この制御部35は、搬送機構2おを駆動するモータに供給する駆動パルス数と搬送方向とから搬送長を検知する。なお、レンチキュラシート3の斜行を修正した後では、レンズセンサ部34からの検出信号に基づいてレンチキュラシート3の搬送位置を特定することも可能であり、またレンズピッチを検出した後ではレンチキュラシート3の搬送長を検知することもできるので、それらを用いてもよい。
【0060】
クランプユニット17と搬送機構20とを図4に示す。クランプユニット17は、前述のクランパ18,回転機構19の他、カム軸38,クランプ解除モータ39,先端検出センサ40などからなる。また、搬送機構20は、移動部41,リードスクリュー42,ガイド軸43,搬送モータ44などからなる。
【0061】
移動部41は、主走査方向に長い板状のベース板41aと、その各端部の下面に一体に設けた送り台41bとガイド台41cとからなる。リードスクリュー42とガイド軸43とは、副走査方向に沿って水平に伸びており、搬送路12を挟んで、その両側に平行に配してある。リードスクリュー42は、送り台41bに設けたネジ孔に、ガイド軸43は、ガイド台41cに設けた溝にそれぞれ通してあり、副走査方向に移動自在としてある。
【0062】
搬送モータ44は、制御部35から供給される駆動パルスによって回転し、移動部41は、搬送モータ44の正転によって搬送路12の下流に向けて移動し、逆転によって搬送路12の上流に向けて移動する。制御部35は、受像層、バック層の形成時、画像の記録時には、移動部41を下流に向けて移動する。
【0063】
回転機構19は、回動軸45、モータ46、ウォームギア47から構成してある。回動軸45は、ベース板41aの中央に、垂直な軸を中心に回動自在に設けてある。この回動軸45の上部には、ウォームギア47のウォームホィール47aを固定してあり、このウォームホィール47aには、モータ46の出力軸に固定したウォーム47bを螺合してある。
【0064】
回動軸45は、ベース板41aを貫通しており、その下端にクランパ18を取り付けてある。これにより、クランパ18は、水平なレンチキュラシート3の搬送面で回動自在となっている。制御部35の制御の下で、モータ46を駆動することにより、クランパ18とともに、このクランパ18にクランプされているレンチキュラシート3を搬送面上で回転し、その斜行を修正する。このように、クランパ18を回転させるという簡単な機構でレンチキュラシート3の斜行を修正している。
【0065】
なお、回転機構19の構成は、クランパ18を回転させることでレンチキュラシート3を回転させることができるものであれば、他の構成を採用することができる。
【0066】
クランパ18は、固定板51と、可動板52と、バネ53とからなる。固定板51は、主走査方向の長さがレンチキュラシート3の幅とほぼ同じ平板であり、その上面中央に回動軸45を取り付けてある。この固定板51は、搬送面と平行にしてある。
【0067】
可動板52は、主走査方向の長さが固定板51と同じであり、断面「へ」字状に折り曲げた板状となっている。この可動板52は、その折り曲げた頂点部分に沿った軸54(図5参照)を介して固定板51の下面に回動自在に取り付けてあり、上流側端部52aを固定板51から下げた解除位置と、その上流側端部52aを固定板51まで上げたクランプ位置との間で回動する。固定板51と下流側端部52bの間には、バネ53を配してあり、このバネ53によって可動板52をクランプ位置に向けて付勢してある。
【0068】
クランパ18は、可動板52をクランプ位置と解除位置とに回動させる作動位置と、この作動位置よりも下流側の終端位置との間で、移動部41と一体に移動する。この移動によってクランパ18にクランプしているレンチキュラシート3を搬送する。
【0069】
作動位置には、可動板52を回動するためのカム軸38を配置してある。カム軸38は、クランパ18が作動位置にあるときに、それに設けたカム38aが下流側端部52bの下面に接するように配してある。クランパ18を作動位置に移動させた状態で、クランプ解除モータ39によってカム軸38を回転させることによって、図5に示すように、下流側端部52bをバネ53の付勢に抗して押し上げて可動板52を解除位置とし、また図6に示すように、バネ53の付勢によって可動板52を回動させてクランプ位置とすることができる。
【0070】
なお、図5,図6に符号55で示す部材は、レンチキュラシート3を滑ることなくクランプするための滑り止め部材である。
【0071】
上記バネ53、カム軸38、クランプ解除モータ39によって、可動板52をクランプ位置と解除位置とに開閉動作させるクランパ18の開閉機構を構成するが、クランパ18及びその開閉機構の構成は上記のものに限られない。例えば、クランパ18が作動位置にまで移動したときに可動板52に固定部材を当接してバネ53の付勢に抗して押し上げて解除位置とし、作動位置から僅かに下流側に僅かに移動したときに固定部材との当接か解除されてクランプ位置となるようにして開閉動作を行わせたり、モータ等で開閉動作させるようにしてもよい。
【0072】
先端検出センサ40は、クランパ18のクランプのタイミングの制御するために設けてある。制御部35は、給送時には、クランパ18を作動位置とし、先端検出センサ40がレンチキュラシート3の先端を検出した時点から、レンチキュラシート3の搬送長が所定長になったときにカム軸38を回転させて可動板52を解除位置からクランプ位置として、レンチキュラシート3の先端をクランパ18でクランプする。なお、この場合の搬送長は、モータ16の駆動パルスなどから検知することができる。
【0073】
図7に示すように、主走査方向に対してレンズ4の長手方向が平行ではない場合、すなわちレンチキュラシート3が斜行している場合には、そのレンチキュラシート3を通して基準線33bを観察すると、各レンズ4の効果によって、レンズピッチに応じた縞模様36aが観察される。また、図8に一例を示すように、レンチキュラシート3が斜行していない場合には、基準線33bは、レンチキュラシート3を通して縞模様がない(主走査方向に濃度変化が生じない)像36bとして観察される。
【0074】
制御部35は、斜行センサ33aからの像信号を監視しながら、回動機構19を作動し、レンチキュラシート3を通して基準線33bが図8に示されるような像36bが観察される回転位置にクランパ18を回動して、レンチキュラシート3の斜行を修正する。この斜行の修正は、レンズピッチ、レンズ位置の検出に先立って、サーマルヘッド22を退避位置とした状態で行う。
【0075】
レンズセンサ部34とレンズ4との位置関係に応じて、受光器34bによって受光される検出光の大きさが変わり、それに応じて検出信号も変化する。図9に示すように、搬送によってレンチキュラシート3がレンズセンサ部34に対して副走査方向に移動するときには、検出信号は、例えばレンズセンサ部34がレンズ4とレンズ4の境界部分4aに対面している位置からレンズ4の頂点4bに対面する位置に向かって移動するときに漸増し、レンズセンサ部34が頂点4bに対面している位置のときに検出信号がピークとなり、その後に漸減して境界部分4aを通過することで再び漸増に転じるように変化する。
【0076】
制御部35は、上記のように変化する検出信号を適当な閾値で二値化した二値化信号を求める。そして、この二値化信号の1周期の間、例えば二値化信号立ち上がりから次の立ち上がりまでに搬送されるレンチキュラシート3の搬送長を、そのレンチキュラシート3のレンズピッチをPとする。レンズピッチPを求める際には、二値化信号の複数周期分の搬送長の平均を用いることで精度良く求めることができ、この例でもそのようにしている。
【0077】
次に、上記構成の作用について説明する。記録すべき画像の2視点の視差画像データを入力する。この入力された2視点の視差画像データは、6視点の視差画像データに変換されヘッド駆動部32に順次に送られる。
【0078】
記録開始の指示を与えると、サーマルヘッド22が退避位置となっていることが確認される。また、図示しないエンコーダの検出結果などに基づいてクランパ18が主走査方向とほぼ平行となるように調節してから、搬送機構20が作動されてクランパ18が作動位置に移動される。作動位置に移動した後、クランプ解除モータ39によりカム軸38が回転される。これにより、カム38aによって下流側端部52bがバネ53の付勢に抗して押し上げられ、可動板52が解除位置とされる。
【0079】
可動板52を解除位置としてから、1枚のレンチキュラシート3が搬送口11より搬送路12内に給送される。そして、この給送されたレンチキュラシート3が給送ローラ対15によって搬送路12内を下流に向けて搬送される。搬送されるレンチキュラシート3は、退避位置のサーマルヘッド22とプラテンローラ23との間を通り、さらに投光器34aと受光器34bとの間を通って、その先端がクランプユニット17に達して先端検出センサ40に検出される。
【0080】
先端が先端検出センサ40で検出されると、制御部35は、さらに給送ローラ対15によって一定の長さだけ搬送を行い、固定板51と可動板52との間にレンチキュラシート3の先端が入り込んだ状態にしてから、その搬送を停止する。
【0081】
搬送の停止後に、クランプ解除モータ39によりカム軸38が再び回転されることにより、下流側端部52bがバネ53の付勢によって押し下げられ、図10に示すように、可動板52がクランプ位置とされる。これにより、レンチキュラシート3の先端が固定板51と可動板52との間にクランプされた状態となる。このクランプ後には、給送ローラ対15によるレンチキュラシート3のニップが解除される。
【0082】
次に、斜行センサ33aからの像信号が制御部35によって参照され、図7に示されるような縞模様36aが生じているか否かが判断される。縞模様36aが生じているときには、制御部35によって、回転機構19が作動されて、クランパ18が一方の方向に微小角度回転される。クランパ18には、レンチキュラシート3の先端がクランプされているから、このクランパ18の回転にともなって、レンチキュラシート3が水平面上で微小角度回転する。
【0083】
上記の回転後に、再び像信号が参照され、縞模様36aが生じていないか否かが判断される。そして、縞模様36aが生じているときには、再度回転機構19が作動されて、クランパ18が一方の方向に微小角度回転される。このようにして、縞模様36aが生じてなくなるまで、クランパ18の一方方向への微小角度の回転と、像信号の参照とを繰り返し行う。適当な角度だけ一方方向への回転を行っても縞模様36aが生じているときには、いったん初期の回転位置にクランパ18を戻し、その回転位置から同様な手順により、逆方向へのクランパ18の微小角度の回転と像信号の参照とを繰り返し行う。
【0084】
上記のようにしてクランパ18の微小角度の回転を繰り返し行って、縞模様36aが検出されなくなると、その回転位置でクランパ18が固定される。これにより、レンチキュラシート3の斜行が修正され、レンズ4の長手方向が主走査方向に平行となった状態される。
【0085】
レンチキュラシート3の斜行の修正後、フィルム交換機構28が作動されて受像層フィルム25がサーマルヘッド22の直下とされてから、サーマルヘッド22が圧接位置に移動される。これにより、受像層フィルム25を挟んでレンチキュラシート3の背面にサーマルヘッド22が圧接した状態になる。
【0086】
圧接後に、搬送モータ44が回転される。この搬送モータ44の回転でリードスクリュー42が回転することによって、移動部41と一体にクランパ18が下流に向けて移動する。これにより、レンチキュラシート3の副走査方向への搬送が開始される。また、これにあわせて受像層フィルム25が送られる。
【0087】
上記のようにしてレンチキュラシート3の搬送が開始されると、搬送モータ44に供給する駆動パルス数に基づいて求められるレンチキュラシート3の搬送長が監視される。そして、レンチキュラシート3の記録エリアがサーマルヘッド22の位置に近づいたことを検知すると、ヘッド駆動部32に受像層の形成を指示する。
【0088】
この指示によって、ヘッド駆動部32よってサーマルヘッド22が駆動されて、発熱素子アレイ22aが発熱し、受像層フィルム25が加熱される。これにより、それぞれが主走査方向に長く伸びた2ライン分の透明な受像層がレンチキュラシート3の背面に転写されて形成される。
【0089】
2ライン分の受像層を形成した後、搬送モータ44の回転で移動部41と一体にクランパ18が下流に向けて2ライン分移動される。再びサーマルヘッド22が駆動されて、受像層フィルム25を加熱する。これにより、先に形成した2ライン分の受像層と副走査方向に並ぶ2ライン分の受像層が形成される。以降、同様にして、レンチキュラシート3を副走査方向に搬送しながら2ラインずつ受像層を形成し、記録エリアの全範囲に受像層を形成する。
【0090】
なお、この時点では、レンズピッチが特定されていないので、この後に実際に画像を記録する範囲が想定される記録エリアよりも副走査方向に広がることがある。そこで、受像層を形成する範囲は、画像の記録に想定する範囲よりも副走査方向の前後に広くしておくことが好ましい。
【0091】
一方で、上記のようにして受像層の形成を開始すると同時に、制御部35によって検出信号に基づくレンズピッチの検出が開始される。制御部35に入力される検出信号が二値化され、その二値化信号の数周期分の搬送長が搬送モータ44に供給する駆動パルス数から求められ、その搬送長から1周期分の平均の搬送長が求められる。そして、その搬送長がレンズピッチPとされる。なお、レンズピッチの検出中にレンズセンサ部34が受像層を形成した部分に対面しても、受像層が透明であるため検出には影響はない。
【0092】
記録エリアをカバーするように受像層の形成が完了すると、搬送機構20によるレンチキュラシート3の搬送が停止されてから、サーマルヘッド22が退避位置に移動される。この後に、搬送モータ44が逆転されて、クランパ18が移動部41とともに上流に向かって移動し、これにともないレンチキュラシート3が搬送路12を上流に向かって搬送される。このときに、レンチキュラシート3の後端が戻し搬送路12aを通るように案内される。そして、レンチキュラシート3の記録エリアの先端がサーマルヘッド22の位置を通過すると、搬送モータ44の逆転が停止される。
【0093】
フィルム交換機構28によりインクフィルム26がサーマルヘッド22の直下に移動されてから、サーマルヘッド22が圧接位置に移動される。このときには、イエローインク領域がレンチキュラシート3の背面に重ねられる。この後に、搬送モータ44を正転させることにより、クランパ18でクランプしているレンチキュラシート3が下流に向けて再び搬送される。
【0094】
上記搬送中には、検出信号の二値化信号の立ち上がりタイミングからのレンチキュラシート3の搬送長と、二値化信号の立ち上がり時のレンズセンサ部34とレンズ4との副走査方向についての位置関係と、レンズセンサ部34とサーマルヘッド22の発熱素子アレイとの距離、レンズピッチPに基づいて、発熱素子アレイ22aがレンチキュラシート3のいずれの位置にあるかを、レンチキュラシート3が搬送されるごとに特定して監視する。
【0095】
そして、記録開始位置、すなわち記録エリアの最初の第1微小領域5a内に発熱素子アレイ22aが位置した状態になったことが検知されると、制御部35は、ヘッド駆動部32にイエロー画像の記録開始の指示を与える。この指示によりサーマルヘッド22が駆動されて、インクフィルムから昇華したイエローインクが第1微小領域5aの受像層に付着して、イエローの線状画像が記録される。
【0096】
このようにして1本目のイエローの線状画像を記録してから、レンチキュラシート3は、制御部35の制御下で、先に求めたレンズピッチPの1/6に相当する搬送長だけ下流に向けて搬送される。この搬送後に、次の2ライン分のイエロー画像データで2本の発熱素子アレイ22aを発熱することによって、第2微小領域5bにイエローの2本目の線状画像を記録する。
【0097】
以下、同様にして、レンズピッチPの1/6に相当する搬送長だけレンチキュラシート3を搬送するごとに、イエロー画像データで2本の発熱素子アレイを発熱し、各微小領域にイエローの線状画像を順次に記録していく。
【0098】
イエロー画像の最終の線状画像が記録されると、レンチキュラシート3の搬送が停止されてから、サーマルヘッド22が退避位置に移動される。この後に、クランパ18の移動部41によってレンチキュラシート3が搬送路12を上流に向かって搬送され、記録エリアの先端がサーマルヘッド22の位置を通過すると、搬送が停止される。
【0099】
インクフィルム26を送ってマゼンタインク領域がレンチキュラシート3の背面に重ねられるようにしてから、サーマルヘッド22が圧接位置に移動される。この後に、イエロー画像と同様にして、レンチキュラシート3を搬送し、この搬送中に、マゼンタ画像データでサーマルヘッド22を駆動し、レンチキュラシート3の各微小領域5a〜5fにマゼンタの線状画像を順次に記録する。
【0100】
マゼンタ画像の記録完了後には、上記と同様な手順で、レンチキュラシート3をいったん上流に向けて搬送してから、再び下流に向けて搬送する。また、インクフィルム26を送ってシアンインク領域がレンチキュラシート3の背面に重ねられるようにしてから、サーマルヘッド22が圧接位置に移動される。そして、レンチキュラシート3の下流に向けた搬送中に、シアン画像データに基づいてサーマルヘッド22を駆動し、シアンの線状画像を順次に記録する。
【0101】
マゼンタ,シアン画像の記録においても、イエロー画像の記録時と同様に記録開始タイミングが制御され、またレンズピッチPの1/6に相当する搬送長だけレンチキュラシート3を搬送するごとに、線状画像が記録される。
【0102】
上記のようにして各色の画像を記録するが、搬送されているレンチキュラシート3の各レンズ4の長手方向が主走査方向と一致し、また測定されたレンズピッチPに基づいてレンチキュラシート3の搬送長を制御しながら線状画像を記録しているので、記録される各線状画像は、微小領域からはみ出すことなく、また記録が進んでもレンズ4との位置がずれることもなく記録されている。
【0103】
3色の画像を記録エリアに記録した後には、上記と同様な手順で、レンチキュラシート3がいったん上流に向けて搬送されてから、再び下流に向けて搬送される。また、フィルム交換機構28によりバック層フィルム27が使用位置に移動されてから、サーマルヘッド22が圧接位置に移動される。そして、レンチキュラシート3の下流に向けた搬送中に、サーマルヘッド22を駆動し、3色の画像を記録した記録エリアにバック層を形成する。
【0104】
バック層の形成後、サーマルヘッド22を退避位置としてから、レンチキュラシート3を戻し搬送路12aに案内しながら、作動位置にまでクランパ18を移動する。この後に、カム軸38が回転され、カム38aによって下流側端部52bがバネ53の付勢に抗して押し上げられて可動板52が解除位置とされる。これにより、レンチキュラシート3の先端のクランプが解除され、そのレンチキュラシート3が排出口から排出される。
【0105】
上記第1実施形態では、サーマルヘッドを駆動して受像層を形成している間の搬送中に、レンズピッチの検出を行ったが、図11に示すように、画像を記録するためにレンチキュラシートを下流に向けて搬送している間で、サーマルヘッドの駆動を開始する前、すなわち記録エリアがサーマルヘッドの位置に達する前にレンズピッチの検出を行ってもよい。この場合には、受像層が予め形成されているレンチキュラシートにも利用できる。
【0106】
また、斜行センサを用いてレンズピッチを検出することもできる。図7に示されるように、縞模様36aの模様(例えば黒色の線)の間隔がレンズピッチPに相当するので、像信号に基づいて、その間隔を算出することによってレンズピッチPを検出することができる。なお、レンズピッチPを検出する際に、適当な縞模様が得られるように回転機構19を作動させてもよい。
【0107】
図12(a)に示すように、レンチキュラシート3が斜行して縞模様36aが観察される状態から、図12(b)に示すように、像信号に基づいてクランパ18を回転させてレンチキュラシート3の斜行を修正して、基準線33bが主走査方向に濃度変化が生じない状態で観察されるようにしてから、さらに、図12(c)に示すように、副走査方向にも濃度がなく、全体として均一な濃度の像となるよう像信号を参照しながら搬送機構20によるレンチキュラシート3の副走査方向の移動を微小に制御して、基準線33bとレンズ4の中心を一致させてもよい。
【0108】
上記のようにすると、基準線33bに対するレンズ位置が特定されるので、基準線33bとレンズ4の中心とが一致しているときからのレンチキュラシート3の搬送長、基準線33bと発熱素子アレイとの距離、レンズピッチによって、発熱素子アレイに対する記録エリアの先端位置(記録開始位置)等を特定することができる。
【0109】
上記実施形態では、斜行の検出に1本の基準線を用いたが、複数本を用いることができる。図13は、複数本の基準線33bからなる基準パターン61を斜行センサ33aに対面して配置した例を示している。この場合には、斜行センサ33aとしては、受光素子を二次元配列したもの用いるのがよい。基準パターン61の各基準線33bは。副走査方向に並べて配され、それぞれが主走査方向に平行となっている。また、基準線33bの線幅と、ピッチはレンズ幅以下としてある。
【0110】
基準パターン61を用いた場合、レンチキュラシート3が斜行しているときには、図14aに示すように、基準パターン61の部分にはレンチキュラシート3を通してモアレ62aが生じ、これが斜行センサによって検出される。レンチキュラシート3の斜行を修正するには、図14(b)に示すように、そのモアレ62aが消えて、撮影されている像の主走査方向の濃度に変化が生じない像62bが検出されるように、クランパ18を回転の回転を制御すればよい。
【0111】
また、この後に、搬送機構20によってレンチキュラシート3を微小に副走査方向に前後移動させ、図14(c)に示すように、基準パターンに対応した像62bの副走査方向の中心の濃度が最も高くなるように調整すると、像62bの中心がレンズ中心と一致した状態になる。このようにした状態は、図12(c)に示す状態と同様であり、基準線33bに対するレンズ位置が特定されるので、発熱素子アレイに対する記録エリアの先端位置(記録開始位置)等を特定することができる。また、その状態からレンチキュラシート3を搬送して、斜行センサ33aの像信号に基づいて、像の濃度分布の変化の1周期分の搬送長を検出し、それをレンズピッチとすることができる。
【0112】
斜行検出部33を用いてレンチキュラシート3の斜行を修正する他、上記のようにレンズピッチの検出、レンズ位置の特定を行う場合には、図15に示すように、斜行検出部33をレンズセンサとして、サーマルヘッド22とクランプユニット17との間に配するのがよい。この場合、適当な張力、例えば受像層や画像を記録する際の搬送時における引っ張り力がレンチキュラシート3に生じるように、クランパ18の移動を制御するのがよい。このようにすれば、サーマルヘッド22とクランパ18の間で生じる引っ張り、サーマルヘッド22で加熱を考慮した精度の高い検出を行うことができる。
【0113】
上記の各例では、基準線を搬送路を構成する板部材に記しているが、例えば図16に示すように、白色透明な拡散板64の上面に基準線33bを記しておき、LED等の光源65によって拡散板64をその下面から照明するようにしてもよい。
【0114】
[第2実施形態]
第2実施形態では、3個のレンズセンサを用いることで、レンズピッチ、レンズ位置とともにレンチキュラシートの斜行角を検出するようにしている。なお、以下に説明する他は、第1実施形態と同様であり、実施的に同じ構成部材には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0115】
図17にレンズセンサの配列と、各レンズセンサから得られる二値化信号を示す。なお、レンズセンサと検出対象のレンズの関係を明確にするために、特定箇所としてレンズ4の境界4aを用いて説明する。このため図17では、レンズ4の境界4aで検出信号の二値化信号の立ち上がるように描いてある。実際には第1実施形態と同じく、所定の閾値で検出信号を二値化しており、例えば二値化信号の立ち上がりとなる検出対象の箇所が特定箇所となる。
いる。
【0116】
プリンタ2には、第1〜第3レンズセンサ71〜73を設けてある。第1〜第3レンズセンサ71〜73は、サーマルヘッド22とクランプユニット17の間に配してあり、第1レンズセンサ71,第2レンズセンサ72,第3レンズセンサ73の順番で主走査方向に1列に並べてある。
【0117】
各レンズセンサ71〜73は、それぞれ第1実施形態のレンズセンサ部34と同じ構成である。また、この例では、第1〜第3レンズセンサ71〜73の検出結果に基づいて、レンチキュラシート3の斜行を修正するため、斜行検出部33は省かれている。
【0118】
レンチキュラシート3は、給送ローラ対15等による搬送時の姿勢制御の精度を高めることにより、クランパ18にクランプした際の斜行がある程度抑えられている。第1レンズセンサ71と第2レンズセンサ72とのセンサ間隔S1は、そのように給送されてクランプされるレンチキュラシート3に対して、それら第1レンズセンサ71と第2レンズセンサ72の各位置間でのズレの長さが1レンズピッチ分以上にならないように決めてある。なお、上記ズレの長さとは、各レンズセンサと同一レンズ4との距離(副走査方向の長さ)の差である。
【0119】
第1レンズセンサ71と第3レンズセンサ73とのセンサ間隔S2は、上記のようなセンサ間隔S1のような制限はないが、斜行角を高い精度で測定するために、可能な限り大きくとるのがよい。
【0120】
制御部35は、第1レンズセンサ71に対応する二値化信号が立ち上がった時点から、それ以降に第2レンズセンサ72に対応する二値化信号が立ち上がる時点までの搬送長L1を搬送モータ44に供給する駆動パルス数から求める。このようにして求められる搬送長L1は、第1レンズセンサ71と第2レンズセンサ72の各位置間でのズレの長さが1レンズピッチ分以上にならないので、第1レンズセンサ71が任意のレンズ4の境界4aを検出してから、第2レンズセンサ72が同じ境界4aを検出するまでの搬送長である。
【0121】
制御部35は、上記のようにして求められる搬送長L1と、センサ間隔S1,S2とを下記算出式(1)に適用することにより、第1レンズセンサ71と第3レンズセンサ73の各位置間でのズレの長さL2を求める。さらに、この長さL2と、所期の値として設定されているレンズピッチP0とを用いて、算出式(2)によって参照値Gを求める。
L2=S2・(L1/S1) ・・・(1)
G=L2/P0 ・・・(2)
【0122】
上記参照値Gは、第1レンズセンサ71が境界4を検出してから、同一の境界4を第3レンズセンサ73が検出するまでに、第3レンズセンサ73が検出する境界4の個数に相当するものであり、各二値化信号の立ち上がりのうちの同一の境界4を第3レンズセンサ73が検出したときのもの特定するために用いられる。
【0123】
制御部35は、第1レンズセンサ71に対応する二値化信号が立ち上がった時点から、それ以降に発生する第3レンズセンサ73に対応する二値化信号が立ち上がりをカウントし、そのカウント値が参照値G以上になった時点での二値化信号が立ち上がり時点までの搬送長L3を搬送モータ44に供給する駆動パルス数から求める。そして、搬送長L3と、センサ間隔S2と用いて、主走査方向に対するレンズ4の長手方向のなす角度である斜行角θを次の算出式(3)により算出する。
θ=Tan−1(L3/S2) ・・・(3)
【0124】
搬送長L3は、ズレの長さL2とほぼ同じ値となるものであるが、搬送長L3は、センサ間隔S1よりも大きいセンサ間隔S2における実際の測定値であり、センサ間隔S1を用いて算出される長さL2よりも精度の高い値となり、斜行角θも高い精度で求めることができる。
【0125】
制御部35は、回転機構19を制御して、クランパ18を斜行角θを打ち消すようにクランパ18を回転させる。これにより、レンチキュラシート3の斜行が修正される。また、レンチキュラシート3が斜行して搬送されている間に、1つのレンズセンサ、例えば第1レンズセンサ71に対応する二値化信号の1周期分の搬送長L4を求め、これにcosθを乗じることにより、搬送中のレンチキュラシート3のレンズピッチPを算出する。なお、レンズ位置の検出は、いずれかの1つのレンズセンサからの検出信号に基づいて検出することができる。
【0126】
上記の構成における各部の作動タイミングは、図18に示すように、受像層を形成している間に、各レンズセンサ71〜73の検出信号に基づいて、斜行角θの検出と、レンズピッチPの検出とを行う。また、受像層の形成後に、サーマルヘッド22を退避位置としてレンチキュラシート3を上流に戻している間に、斜行角θに基づいて回転機構19を作動させて斜行の修正を行っている。
【0127】
なお、図19に示すように、インクフィルム26で画像を記録するために、サーマルヘッド22を圧接した状態で、レンチキュラシート3を下流に向けて搬送している間で、サーマルヘッドの駆動を開始する前に、第1〜第3レンズセンサ71〜73を用いて斜行角θの検出、レンズピッチの検出と、斜行の修正を行ってもよい。
【0128】
また、上記のように受像層の形成後にレンチキュラシート3の斜行を修正する場合には、図20に示すように、斜行が修正されたときに、それ以前に形成された受像層のエリアA1が画像を記録する記録エリアA2をカバーするように、記録エリアA2よりも大きくするのがよい。なお、バック層のエリアA3は、斜行が修正された後に形成するので、記録エリアA2と同じかそれよりも少し大きな程度かまわない。
【0129】
[第3実施形態]
第3実施形態は、サーマルヘッドに対する基準線のなす角度をプリンタの機能を用いて測定し、これを斜行角の補正値とし、主走査方向にレンズの長手方向を精度良く一致させるように調整する例を示すものである。なお、以下の説明では、図15に示す構成のプリンタを例に説明するが、主走査方向に2個以上の複数の受光素子が配列された斜行センサと基準線とを備える他の例についても同様に利用できる。
【0130】
図21に示すように、プリンタ2の機能を用いて、サーマルヘッド22の発熱素子アレイ22aに対する基準線33bのなす角度θ1を求める。発熱素子アレイ22aに対する基準線33b上の2カ所測定位置PA,PBのそれぞれの距離HA,HBを測定し、この距離HA,HBと、それらの間隔Dとから、角度θ1を次の算出式(4)から求める。
θ1=Tan−1(HB−HA) ・・・(4)
【0131】
図22において、距離HA,HBの測定では、クランパ18で透明な記録用シート75をクランプする。そして、搬送機構20によってクランパ18を下流に搬送し、この搬送中にサーマルヘッド22を駆動して、記録用シート75に測定用画像を記録する。測定用画像76は、副走査方向に一定の幅を有し、主走査方向、すなわち実際に発熱素子アレイが伸びた方向に長い帯状となっている。この測定用画像の記録には、インクフィルム26を用いてイエローやマゼンタ,シアンなどあるいは、それらからを併用する各種の色で記録してもよいが、この例では、測定用画像の記録する際のコストを低減するため、バック層フィルム27を用いて白色に記録している。
【0132】
測定用画像の記録後にも、クランパ18による記録用シート75のクランプを維持し、またクランパ18を回転させることなく、搬送を継続する。また、制御部35によって、搬送モータ44の駆動パルス数に基づいて、テスト画像の第1ライン(搬送方向の先端部分)を記録してからの搬送長の測定を開始する。
【0133】
上記搬送によって、図22(a)に示すように、基準線33b上の測定位置PAに測定用画像76の第1ラインが重なったことを斜行センサ33aからの象信号で検出すると、それまでに測定されている搬送長を距離HAとして取得する。同様にして、図22(b)に示すように、基準線33b上の測定位置PBに測定用画像の第1ラインが重なったことを斜行センサ33aからの象検出信号で検出した時点までの搬送長を距離HBとして取得する。
【0134】
上記のように取得した距離HA,HBと、間隔Dとを上記算出式(4)に適用して角度θ1を求め、符号を逆にした角度「−θ1」を補正角度として、制御部35に記憶する。レンチキュラシート3の斜行を修正する際には、制御部35は、クランパ18を回転して縞模様が消えるようにしてから、補正角度「−θ1」だけクランパ18をさらに回転する。これにより、レンズ4の長手方向が、主査方向に平行となる。
【0135】
上記の例によれば、製造時やメンテナンス時におけるサーマルヘッドの組み付け精度を緩くすることができ、またそのための調整も簡単に行うことができる。
【0136】
上記各実施形態において説明した構成、手順等は、相反しない範囲で適宜に組み合せることができる。また、上記各実施形態では、ラインプリンタについて説明したが、本発明は、シリアルプリンタなどの他の方式のプリンタにも利用できる。また、立体画像を記録するための視差画像を記録する場合に限らず、観察位置をずらすことで観察できる画像が変化する、いわゆるチェンジングの記録にも利用できる。さらに、昇華型に限らず、熱転写方式のサーマルプリンタ、インクジェットプリンタ等にも本発明を利用することができる。
【符号の説明】
【0137】
2 プリンタ
3 レンチキュラシート
4 レンチキュラレンズ
18 クランパ
19 回転機構
20 搬送機構
22 サーマルヘッド
33 レンズセンサ部,
34 斜行検出部
35 制御部
71〜73 レンズセンサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンチキュラシートに画像を記録するプリンタ及びプリント方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
かまぼこ形状(半円柱形状)のレンチキュラレンズを左右方向に多数並べたレンチキュラシートを用いて、立体画像を観察できるようにした技術が知られている。立体画像を観察するには、レンチキュラシートの背面側に、例えば左右の2視点から撮影した各画像をそれぞれ線状(ストライプ状)に分割した線状画像をレンチキュラレンズごとに配置する。これにより、左眼と右眼とが各レンチキュラレンズを介して、視差のある線状画像をそれぞれ観察することで、立体画像を観察することができる。また、3視点以上のN視点からN個の画像を撮影して線状に分割して、N視点分の線状画像をレンチキュラレンズごとに配置することによって、より良好な立体感がある立体画像を観察できるようにした技術も知られている。
【0003】
レンチキュラシートの背面側に線状画像を配置する手法としては、予め全ての線状画像を配列して記録したプリント(ハードコピー)をレンチキュラシートの背面に貼り付けるものもあるが、プリンタによってレンチキュラシートの背面に直接に記録する手法も知られている。
【0004】
レンチキュラシートの背面に直接に画像を記録する場合には、レンチキュラレンズの位置(以下、レンズ位置という)やと画像の位置とを正確に位置調節して記録しなければならない。また、そのためには、レンズピッチも検出する必要がある。このため、記録ヘッドの近傍に光学センサとを設けておき、主走査方向に移動して画像を記録するときに、光学センサでレンチキュラレンズの位置を検出して、記録ヘッドでの例えばインクの吐出タイミングを制御すようにしたプリンタが知られている(例えば、特許文献1,2を参照)。
【0005】
一方、サーマルヘッドによって、画像を記録するサーマルプリンタが知られている。このようなサーマルプリンタには、サーマルヘッドの発熱素子アレイで感熱記録紙を直接に加熱して発色させる感熱方式と、インクリボンの背後を加熱してインクリボンのインクを転写する熱転写方式、及びインクを昇華させて付着させる昇華方式とがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−144974号公報
【特許文献2】特開2007−127521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、サーマルヘッドでレンチキュラシートに直接に画像を記録する場合に、サーマルヘッドの近傍にレンズピッチ等を検出するための光学的センサを設けることは、サーマルヘッドが記録時に高温となることから困難であった。また、サーマルプリンタでは、サーマルヘッドを記録媒体に圧接して記録を行うため、サーマルヘッドを一端としてレンチキュラシートに張力が生じ、これによりレンチキュラシートに伸びが生じてレンズピッチが変化することがある。このため、レンズピッチの測定位置によっては、画像の記録位置の制御に必要とするレンズピッチを正しく測定でききないことがある。なお、上記の特許文献1,2には、このようなサーマルプリンタ特有の問題の解決手段については記載されていない。
【0008】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、サーマルヘッドを用いてレンチキュラシートに画像記録を行う際に、画像の記録位置の制御に必要とするレンズピッチ等を正しく測定することができるプリンタ及びプリント方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載のプリンタでは、複数のレンチキュラレンズが配されたレンチキュラシートの先端を挟持するクランパを有し、このクランパを副走査方向に移動させることによりレンチキュラシートを搬送する搬送手段と、レンチキュラシートの背面にインクフィルムを重ねた状態でその背面に圧接した圧接位置と背面から離れた退避位置との間で移動自在なサーマルヘッドを有し、サーマルヘッドを圧接位置としてインクフィルムを加熱することにより、インクフィルムのインクを昇華させてレンチキュラシートの背面に付着させ、主走査方向に伸びたラインを記録し、前記搬送手段の搬送に同期してラインを順次に記録して画像を記録手段と、前記サーマルヘッドと前記クランパとの間に配置され、光学的にレンチキュラシートの検出を行うレンズセンサ部と、前記サーマルヘッドが圧接位置とした状態で、前記レンズセンサ部の検出結果に基づいて、前記クランパにクランプされているレンチキュラシートのレンズピッチを求めるレンズ検出手段とを備えたものである。
【0010】
請求項2記載のプリンタでは、前記レンズセンサ部を、前記搬送手段によってレンチキュラシートを搬送している間に、レンチキュラシートの凹凸に応じた検出信号を出力するようにしたものである。
【0011】
請求項3記載のプリンタでは、前記記録手段が、インクフィルムによって画像を記録する前に、レンチキュラシートの背面にインクを付着させるための透明な受像層を形成し、前記搬送手段が、受像層を形成するために、前記サーマルヘッドに対してレンチキュラシートを上流から下流に向けて搬送してから、インクフィルムによって画像を記録するために、再度前記サーマルヘッドに対してレンチキュラシートを上流から下流に向けて搬送し、前記レンズ検出手段が、受像層を形成するための搬送中に、前記レンズセンサ部による検出を行ってレンズピッチを求めるようにしたものである。
【0012】
請求項4に記載のプリンタでは、前記レンズ検出手段を、インクフィルムによって画像を記録するために、前記搬送手段によってレンチキュラシートを上流から下流に向けて搬送している間で、前記サーマルヘッドが画像を記録すべきレンチキュラシート上の記録エリアに達する前に、前記レンズセンサ部による検出を行ってレンズピッチを求めるようにしたものである。
【0013】
請求項5記載のプリンタでは、前記クランパをレンチキュラシートの搬送面上で回転させる回転機構と、前記クランパに狭持されているレンチキュラシートのレンチキュラレンズの長手方向の主走査方向に対する傾きを光学的に検知し、レンチキュラレンズの長手方向が主走査方向に平行となるように前記回転機構を制御する回転制御手段とを備えたものである。
【0014】
請求項6記載のプリンタでは、前記レンズ検出手段を、前記回転制御手段によってレンチキュラレンズの長手方向が主走査方向に平行となるようにされてから、レンズピッチの検出を行うようにしたものである。
【0015】
請求項7記載のプリンタでは、前記クランパをレンチキュラシートの搬送面上で回転させる回転機構と、前記クランパに狭持されているレンチキュラシートのレンチキュラレンズの長手方向の主走査方向に対する傾きを光学的に検知し、前記受像層の形成後に、前記検知した傾きに基づいてレンチキュラレンズの長手方向が主走査方向に平行となるように前記回動機構を制御してクランパを回転させる回転制御手段とを備え、前記記録手段を、画像を記録すべき記録エリアよりも広い範囲に前記受像層を形成するようにしたものである。
【0016】
請求項8記載のプリンタでは、前記レンズセンサ部が、主走査方向に1列に配列され、それぞれがレンチキュラシートの凹凸に応じた検出信号を出力する第1〜第3センサを有し、第1センサと第2センサの間隔が、レンチキュラシートが最大に斜行している場合での第1センサと第2センサとの検出位置に対してのレンチキュラシートのズレが最大に斜行している場合で1レンズピッチ以下となるようにされ、前記回転制御手段を、第1センサがレンチキュラレンズの任意の特定箇所を検出してから、第2センサがレンチキュラレンズの特定箇所を検出したのとの同等の検出信号を出力した時点までの搬送長と、第1センサと第2センサとの間隔と所期のレンズピッチとに基づいて、第1センサが検出したレンチキュラレンズの対応する特定箇所を第3センサが検出したときの検出信号を特定し、第1センサが当該レンチキュラレンズの特定箇所を検出してから第3センサが特定された検出信号を出力するまでの搬送長と第1センサと第3センサとの間隔とからレンチキュラシートの斜行角を求め、この斜行角にしたがってクランパを回転させて斜行を修正するようにしたものである。
【0017】
請求項9記載のプリンタでは、前記レンズ検出手段を、前記レンズセンサ部のうちのいずれか1つのセンサからの検出信号の1周期分の搬送長を測定し、測定した搬送長を前記斜行角で補正することにより、レンチキュラシートのレンズピッチを測定するようにしたものである。
【0018】
請求項10記載のプリンタでは、前記回転制御手段が、主走査方向に平行な基準線と、レンチキュラシートを挟んで基準線の反対側に配され、レンチキュラシートを通して観察される像を検出する斜行センサを有し、斜行センサからの出力を参照しながら前記クランパを回動して、斜行センサによって縞模様の像が検出されない位置とすることにより、レンチキュラシートの斜行を修正するようにしたものである。
【0019】
請求項11記載のプリンタでは、前記レンズセンサ部に対向して配され、主走査方向に平行であり、レンズピッチ以下の線幅の基準線と、前記クランパをレンチキュラシートの搬送面上で回転させる回転機構と、前記レンズセンサ部の検出結果に基づいて、レンチキュラレンズの長手方向が主走査方向に平行となるように前記回転機構を制御する回転制御手段とを備え、前記レンズセンサ部が、レンチキュラシートを通して観察される基準線の像を検出するようにされ、前記回転制御部が、レンズセンサ部からの出力を参照しながら前記クランパを回動して、レンズセンサ部によって縞模様の像が検出されない位置とすることにより、レンチキュラシートの斜行を修正するようにしたものである。
【0020】
請求項12記載のプリンタでは、前記レンズ検出手段を、レンチキュラシートが斜行しているときに前記レンズセンサ部によって検出される縞模様の像からレンズピッチを検出するようにしたものである。
【0021】
請求項13記載のプリンタでは、前記レンズ検出手段を、前記回転制御手段によりレンチキュラシートの斜行が修正された後、前記レンズセンサ部によって検出される基準線が均一な濃度の像となるように、前記搬送手段によってレンチキュラレンズの中心と基準線とが一致する位置にレンチキュラシートを移動させ、この位置を前記サーマルヘッドに対するレンチキュラシートの位置関係を求める基準にするようにしたものである。
【0022】
請求項14記載のプリンタでは、前記搬送手段によって前記クランパでクランプした透明な記録シートを搬送している間に、前記サーマルヘッドで主走査方向に伸びた所定幅の帯状の測定用画像を記録シートに記録させ、この測定用画像が主走査方向に所定の間隔で離して前記基準線上に設定した2つの測定点にそれぞれ達するまでの各搬送長の差と、前記所定の間隔とに基づいて、基準線と主走査方向とのズレ角度を検知する検知手段と、検知されたズレ角度を記憶する記憶手段とを備え、前記回転制御手段が、前記記憶手段に記憶されているズレ角度でクランパの回転位置を補正するものである。
【0023】
請求項15記載のプリンタでは、前記レンズセンサ部に対向して副走査方向にレンズピッチ以下のピッチで複数本配され、それぞれが主走査方向に平行でありレンズピッチ以下の線幅の基準線と、前記クランパをレンチキュラシートの搬送面上で回転させる回転機構と、前記レンズセンサ部の検出結果に基づいて、レンチキュラレンズの長手方向が主走査方向に平行となるように前記回転機構を制御する回転制御手段とを備え、前記レンズセンサ部が、レンチキュラシートを通して観察される複数本の基準線の像を検出するようにされ、前記回転制御部が、レンズセンサ部からの出力を参照しながら前記クランパを回動して、レンズセンサ部によって像にモアレの検出されない位置とすることにより、レンチキュラシートの斜行を修正するものである。
【0024】
請求項16記載のプリンタでは、前記レンズ検出手段が、前記回転制御手段によりレンチキュラシートの斜行が修正された後、前記レンズセンサ部によって検出される複数の基準線の像の副走査方向の中心が最も濃度が高くなるように、前記搬送手段によってレンチキュラレンズの中心と基準線とが一致する位置にレンチキュラシートを移動させ、この位置を前記サーマルヘッドに対するレンチキュラシートの位置関係を求める基準とし、像の濃度分布の1周期分の変化に要する搬送長をレンズピッチとして求めるものである。
【0025】
請求項17記載のプリント方法では、移動することでレンチキュラシートを搬送するクランパにクランプされるとともに、サーマルヘッドが圧接されたレンチキュラシートのクランパとサーマルヘッドとの間の部分を光学的に検出してレンズピッチを求めるようにしたものである。
【0026】
請求項18記載のプリント方法では、レンチキュラレンズの長手方向の主走査方向に対する傾きを光学的に検知し、そのレンチキュラレンズの長手方向が主走査方向に平行となるように、レンチキュラシートの先端を挟持し、副走査方向に移動することでレンチキュラシートを搬送するクランパを回転するものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、搬送用のクランパでレンチキュラシートをクランプし、またそのレンチキュラシートにサーマルヘッドを圧接した状態にし、そのクランパとサーマルヘッドとの間のレンチキュラシートの部分を光学的に検出してレンズピッチを求めるようにしたから、実際の記録状態に即した状態で、画像の記録位置の制御に必要とするレンズピッチを正しく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明を実施したプリンタの概略を示す説明図である。
【図2】レンチキュラシートを示す斜視図である。
【図3】斜行を検出するために基準線を示す説明図である。
【図4】クランパユニットと搬送機構を示す斜視図である。
【図5】可動板を解除位置としたクランパの状態を示す説明図である。
【図6】可動板をクランプ位置としたクランパの状態を示す説明図である。
【図7】レンチキュラシートが斜行しているときに観察される縞模様を模式的に示す説明図である。
【図8】レンチキュラシートの斜行が修正されているときに観察される像を模式的に示す説明図である。
【図9】レンチキュラシートに対するレンズセンサの位置と検出信号の関係を示す説明図である。
【図10】各部の作動タイミングを示す説明図である。
【図11】画像記録の直前にレンズピッチの検出を行う場合の、各部の作動タイミングを示す説明図である。
【図12】斜行センサに検出される像によってレンズ位置を特定する例における像の変化を模式的に示す説明図である。
【図13】斜行センサに対向して設けられる基準線を複数本にした例を示す説明図である。
【図14】基準線を複数本にした場合における斜行の修正からレンズ位置の特定までの像の変化を模式的に示す説明図である。
【図15】斜行検出部をサーマルヘッドとクランプユニットの間に配した例のプリンタの概略を示す説明図である。
【図16】光源で照明される拡散板上に基準線を配した例を示す断面図である。
【図17】3個のレンズセンサでレンチキュラシート3の斜行角、レンズピッチを測定する例を示す説明である。
【図18】3個のレンズセンサを用いた例における各部の作動タイミングを示す説明図である。
【図19】3個のレンズセンサを用いた例における画像記録の直前に斜行角、レンズピッチを測定する場合の各部の作動タイミングを示す説明図である。
【図20】受像像形成後に斜行を修正する場合における好ましい受像層の範囲を示す説明図である。
【図21】基準線と主走査方向のズレの補正値を求める例を示す説明図である。
【図22】基準線と主走査方向のズレの補正値を求める際の測定状態を示す説明である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1実施形態]
本発明を実施した第1実施形態のプリンタの概略を図1に示す。プリンタ2は、立体画像を観察するための視差画像を昇華方式でレンチキュラシート3の背面に記録する。このプリンタ2は、2視点の視差画像を6視点の視差画像に変換して、その6視点の視差画像をレンチキュラシート3に記録する。
【0030】
レンチキュラシート3は、図2に示すように、周知のように表面側に多数の半円柱状のレンチキュラレンズ(以下、単にレンズという)4を配列してあり、背面が平面になっている。このレンチキュラシート3は、矢線A方向に長いレンズ4を、例えば100LPI(Line Per Inch)で矢線B方向(以下、配列方向という)に並べて配してある。したがって、レンズ4の配列方向の長さは約254μmであり、レンズピッチも254μmとなっている。レンズ4は、長手方向(矢印A方向)が観察時の上下方向となり、配列方向が観察時の左右方向となる。
【0031】
レンチキュラシート3の背面は、レンズ4ごとに画像領域5が仮想的に区画され、1個のレンズ4に対して1個の画像領域5が対応する。各画像領域5は、立体画像を表示するための視点数に対応して配列方向に第1〜第6微小領域5a〜5fに区画され、視差画像を線状に分割した線状画像をそれぞれに記録する。各微小領域5a〜5fは、6個の視差画像に1対1に対応しており、例えば第1微小領域5aには第1視点の視差画像が対応し、この第1視点の視差画像から生成される線状画像が記録され、第2微小領域5bには第2視点の視差画像が対応し、この第2視点の視差画像から生成される線状画像が記録される。
【0032】
図1に示すように、レンチキュラシート3は、搬送口11から搬送路12に送り込まれる。搬送路12内では、レンチキュラシート3は、レンズ4を下側にし、またレンズ4の配列方向に沿って搬送する。レンチキュラシート3の搬送路12への給送は、レンチキュラシート3を積層したカセットから給送機構によって自動で行うようにしてもよく、手動でレンチキュラシート3を搬送口11に差し込むようにしてもよい。なお、図1ではレンズ4の大きさを誇張して描いてある。
【0033】
搬送口11の近傍の搬送路12内には、給送ローラ対15を配してある。給送ローラ対15は、一方がモータ16で駆動されるキャプスタンローラ15aであり、他方がレンチキュラシート3の搬送に伴って従動回転するピンチローラ15bである。ピンチローラ15bは、キャプスタンローラ15aとの間にレンチキュラシート3をニップしたニップ位置と、レンチキュラシート3から離れた解除位置との間で移動する。
【0034】
上記給送ローラ対15は、搬送路12に送り込まれたレンチキュラシート3をニップし、キャプスタンローラ15aがモータ16で回転されることによって、レンチキュラシート3を搬送路12の下流(図中左方向)に向けて搬送する。この搬送によって、レンチキュラシート3の先端がクランプユニット17に達してクランプ(狭持)されると、ピンチローラ15bが解除位置に移動してニップを解除する。
【0035】
なお、後述するように、レンチキュラシート3の斜行の検出、修正を行っているときに、給送ローラ対15でレンチキュラシート3をニップした状態を維持して、レンチキュラシート3に適度なテンションを与えておいてもよい。この場合に、給送ローラ対15によるニップを弱くしておき、斜行を修正した際にレンチキュラシート3が各ローラ15a,15bの間で滑るようにしておくのがよい。
【0036】
クランプユニット17は、レンチキュラシート3の搬送のためにその先端をクランプするクランパ18(図4参照)、このクランパ18の開閉機構、レンチキュラシート3の斜行を修正するためにクランパ18を回転する回転機構19(図4参照)などからなる。
【0037】
搬送機構20は、クランパ18を搬送路12に沿って水平に往復動する。これにより、クランパ18によって先端をクランプしているレンチキュラシート3が搬送路12内を搬送される。この搬送機構20によるクランパ18の移動方向が副走査方向となる。
【0038】
クランパ18を搬送路12の上流に向けて移動した際には、後述するサーマルヘッド22の上流側から斜め下方に伸びる戻し搬送路12aにレンチキュラシート3が案内される。また、記録終了後には、レンチキュラシート3を戻し搬送路12aに送り込んでから、クランパ18によるクランプを解除することで排出口(図示せず)から排出する。したがって、記録時には、厳密には、サーマルヘッド22よりも下流側でレンチキュラシート3が水平に搬送される。
【0039】
クランプユニット17よりも上流側で、搬送路12の上側にサーマルヘッド22を配してある。また、搬送路12を挟んで、サーマルヘッド22に対向する位置に回動自在なプラテンローラ23を配してある。
【0040】
サーマルヘッド22の下部には、主走査方向(副走査方向と直交する方向)に多数の発熱素子を2列でライン状に配列した発熱素子アレイ22aを形成してある。発熱素子アレイ22aを2本設けることで、主走査方向に伸びる2ラインを同時に記録し、レンチキュラシート3の搬送によって副走査方向にラインを並べて記録する。
【0041】
各発熱素子アレイ22aは、レンチキュラシート3に画像を記録すべき記録エリアの幅(主走査方向の長さ)よりも少し大きくしてある。また、1個の発熱素子によって記録される1画素の副走査方向の長さを約20μmとしてあり、2列の発熱素子アレイの1回の発熱で1つの微小領域に線状画像を記録する。
【0042】
サーマルヘッド22は、プラテンローラ23上のレンチキュラシート3の背面に記録用フィルムを重ねた状態で記録用フィルムの背後から圧接した圧接位置と、この圧接位置から上方に移動した退避位置との間で移動する。
【0043】
記録用フィルムとしては、受像層フィルム25,インクフィルム26,バック層フィルム27がある。各フィルム25〜27は、それらを取り付けてあり、サーマルヘッド22を退避位置としているときに、それらを取り付けたフィルム交換機構28を回転させることによって使用するフィルムをサーマルヘッド22の直下に移動させる。記録時には、サーマルヘッド22が圧接位置に移動することによって、サーマルヘッド22の直下に移動された記録用フィルムがレンチキュラシート3の背面に重ねられる。
【0044】
記録用フィルムは、いずれもサーマルヘッド22の発熱素子アレイの主走査方向の長さとほぼ同じにしてあり、また複数枚のレンチキュラシート3に対して記録ができるように長尺のものがスプールに巻き付けてある。レンチキュラシート3の搬送に同期して、記録用フィルムは、一方のスプールから他方のスプールに送られて巻き取られる。
【0045】
受像層フィルム25は、レンチキュラシート3の背面に、インクフィルム26からのカラーインクを付着させる受像層を形成するためのものである。この受像層フィルム25をレンチキュラシート3の背面に重ねた状態で、その背後からサーマルヘッド22で加熱することにより、透明な受像層をレンチキュラシート3の背面に転写して形成する。
【0046】
インクフィルム26は、周知の昇華型のインクフィルムであり、その長手方向にイエローインク領域,マゼンタインク領域,シアンインク領域を順番に多数設けたものである。各インク層のそれぞれの大きさは、レンチキュラシート3のサイズとほぼ等しい。受像層の形成後にサーマルヘッド22で、インクフィルム26を加熱することによって、イエロー,マゼンタ,シアンのインクを昇華させて、受像層に付着させる。サーマルヘッド22の各発熱素子の発熱量を増減することにより、インクの付着量を制御して記録される各画素の濃度を制御する。
【0047】
バック層フィルム27は、それをインクフィルム26で画像を記録したレンチキュラシート3の背面に重ねた状態で、その背後からサーマルヘッドで加熱することにより、白色のバック層がレンチキュラシート3の背面に転写して形成される。
【0048】
データ変換部31には、2視点の視差画像データが入力される。このデータ変換部31は、画像処理によって2視点の視差画像データを6視点の画像データに変換してヘッド駆動部32に送る。
【0049】
ヘッド駆動部32は、サーマルヘッド22を駆動する。ヘッド駆動部32は、受像層、バック層を形成するときには、それらを転写するために必要な発熱量を各発熱素子が同時に発生するようにサーマルヘッド22を駆動する。また、インクフィルム26を用いて画像を記録する際には、6視点の視差画像データに基づいてサーマルヘッド22を駆動し、3色を面順次で記録する。
【0050】
給送ローラ対15とサーマルヘッド22との間に、斜行検出部33を配してあり、サーマルヘッド22とクランプユニット17との間には、レンズセンサ部34を配してある。斜行検出部33は、レンチキュラシート3の斜行を光学的に検出するためのものであり、制御部35とともに回転制御手段を構成する。また、レンズセンサ部34は、レンズピッチ、レンズ位置を光学的に検出するためのものであり、これに対応して制御部35がレンズ検出手段となっている。
【0051】
斜行検出部33は、搬送路12の上側に配した斜行センサ33aと、搬送路12の内面に記した1本の基準線33bとからなる。基準線33bは、図3に示すように、搬送路12を構成する板部材12bの斜行センサ33aに対面する部分に、主走査方向に平行な例えば黒色の直線として記してある。この基準線33bの線幅(副走査方向の長さ)は、レンズ幅よりも小さくしてある。
【0052】
斜行センサ33aは、複数の受光素子をマトリクス状に配列した二次元センサであり、レンチキュラシート3を通して観察される基準線33bの像に応じた像信号を出力する。制御部35は、像信号を参照しながら、回転機構19でクランパ18を回動させてレンチキュラシート3の斜行を修正する。
【0053】
なお、斜行センサ33aとしては、主走査方向に複数の受光素子を並べたラインセンサであってもよい。後述するように、斜行センサ33aが出力する信号から縞模様の発生の有無を判断できるものであれば、受光素子の個数、間隔は限定されない。
【0054】
レンズセンサ部34は、発光ダイオードなどからなり検出光をレンチキュラシート3に向かって照射する投光器34aと、レンチキュラシート3を透過した検出光を受光し、受光した検出光の強さに応じた検出信号を出力する受光器34bとからなる。制御部35は、搬送によってレンチキュラシート3がレンズセンサ部34に対して副走査方向に移動した際に、レンチキュラシート3の凹凸に応じて変化する検出信号に基づいて、レンチキュラシート3のレンズピッチを検出し、またレンズ位置を検出する。これら検出されたレンズピッチとレンズ位置は、線状画像の記録タイミングの制御に用いる。
【0055】
上記レンズセンサ部34によるレンズピッチの検出は、サーマルヘッド22を圧接位置とした状態でクランパ18の移動によるレンチキュラシート3の搬送時に行う。これにより、サーマルヘッド22とプラテンローラ23にニップされ、これらとクランパ18の間に引っ張りが生じた状態とし、その引っ張りによる伸び、環境温度の影響による伸び率の変化などを考慮した精度の高いレンズピッチの検出を行う。
【0056】
さらに、受像層を形成する際のレンチキュラシート3の搬送中に、上記レンズピッチの検出を行う。これにより、レンチキュラシート3に画像を記録するのに要する時間の短縮を図るとともに、サーマルヘッド22で受像層を形成するための加熱を行いながら検出を行うことで、線状画像の記録時により近い条件でレンズピッチの検出を行う。
【0057】
レンズ位置の検出は、レンズピッチの検出と同様に、サーマルヘッド22を圧接位置とした状態でクランパ18の移動によるレンチキュラシート3の搬送時に行うが、受像層の形成、各色のインクでの画像の記録、バック層の形成のためのそれぞれの搬送時に行われる。
【0058】
なお、レンズセンサ部34の構成は、レンズ4によるレンチキュラシート3の凹凸に応じた検出信号が得られるものであれば、上記のものに限られない。例えば、搬送路12の上側に投光器34aと受光器34bを、下側に反射板を配しておき、投光器34aからの検出光をレンチキュラシート3を通して反射板で反射させ、その反射光をレンチキュラシート3を通して受光器34bで受光する構成でもよい。また、投光器34aと受光器34bは、必ずしも対向する位置関係にする必要はなく、一方を他方に対して主走査方向、副走査方向にずらして配してもよい。
【0059】
制御部35は、プリンタ2の各部を制御する。この制御部35は、搬送機構2おを駆動するモータに供給する駆動パルス数と搬送方向とから搬送長を検知する。なお、レンチキュラシート3の斜行を修正した後では、レンズセンサ部34からの検出信号に基づいてレンチキュラシート3の搬送位置を特定することも可能であり、またレンズピッチを検出した後ではレンチキュラシート3の搬送長を検知することもできるので、それらを用いてもよい。
【0060】
クランプユニット17と搬送機構20とを図4に示す。クランプユニット17は、前述のクランパ18,回転機構19の他、カム軸38,クランプ解除モータ39,先端検出センサ40などからなる。また、搬送機構20は、移動部41,リードスクリュー42,ガイド軸43,搬送モータ44などからなる。
【0061】
移動部41は、主走査方向に長い板状のベース板41aと、その各端部の下面に一体に設けた送り台41bとガイド台41cとからなる。リードスクリュー42とガイド軸43とは、副走査方向に沿って水平に伸びており、搬送路12を挟んで、その両側に平行に配してある。リードスクリュー42は、送り台41bに設けたネジ孔に、ガイド軸43は、ガイド台41cに設けた溝にそれぞれ通してあり、副走査方向に移動自在としてある。
【0062】
搬送モータ44は、制御部35から供給される駆動パルスによって回転し、移動部41は、搬送モータ44の正転によって搬送路12の下流に向けて移動し、逆転によって搬送路12の上流に向けて移動する。制御部35は、受像層、バック層の形成時、画像の記録時には、移動部41を下流に向けて移動する。
【0063】
回転機構19は、回動軸45、モータ46、ウォームギア47から構成してある。回動軸45は、ベース板41aの中央に、垂直な軸を中心に回動自在に設けてある。この回動軸45の上部には、ウォームギア47のウォームホィール47aを固定してあり、このウォームホィール47aには、モータ46の出力軸に固定したウォーム47bを螺合してある。
【0064】
回動軸45は、ベース板41aを貫通しており、その下端にクランパ18を取り付けてある。これにより、クランパ18は、水平なレンチキュラシート3の搬送面で回動自在となっている。制御部35の制御の下で、モータ46を駆動することにより、クランパ18とともに、このクランパ18にクランプされているレンチキュラシート3を搬送面上で回転し、その斜行を修正する。このように、クランパ18を回転させるという簡単な機構でレンチキュラシート3の斜行を修正している。
【0065】
なお、回転機構19の構成は、クランパ18を回転させることでレンチキュラシート3を回転させることができるものであれば、他の構成を採用することができる。
【0066】
クランパ18は、固定板51と、可動板52と、バネ53とからなる。固定板51は、主走査方向の長さがレンチキュラシート3の幅とほぼ同じ平板であり、その上面中央に回動軸45を取り付けてある。この固定板51は、搬送面と平行にしてある。
【0067】
可動板52は、主走査方向の長さが固定板51と同じであり、断面「へ」字状に折り曲げた板状となっている。この可動板52は、その折り曲げた頂点部分に沿った軸54(図5参照)を介して固定板51の下面に回動自在に取り付けてあり、上流側端部52aを固定板51から下げた解除位置と、その上流側端部52aを固定板51まで上げたクランプ位置との間で回動する。固定板51と下流側端部52bの間には、バネ53を配してあり、このバネ53によって可動板52をクランプ位置に向けて付勢してある。
【0068】
クランパ18は、可動板52をクランプ位置と解除位置とに回動させる作動位置と、この作動位置よりも下流側の終端位置との間で、移動部41と一体に移動する。この移動によってクランパ18にクランプしているレンチキュラシート3を搬送する。
【0069】
作動位置には、可動板52を回動するためのカム軸38を配置してある。カム軸38は、クランパ18が作動位置にあるときに、それに設けたカム38aが下流側端部52bの下面に接するように配してある。クランパ18を作動位置に移動させた状態で、クランプ解除モータ39によってカム軸38を回転させることによって、図5に示すように、下流側端部52bをバネ53の付勢に抗して押し上げて可動板52を解除位置とし、また図6に示すように、バネ53の付勢によって可動板52を回動させてクランプ位置とすることができる。
【0070】
なお、図5,図6に符号55で示す部材は、レンチキュラシート3を滑ることなくクランプするための滑り止め部材である。
【0071】
上記バネ53、カム軸38、クランプ解除モータ39によって、可動板52をクランプ位置と解除位置とに開閉動作させるクランパ18の開閉機構を構成するが、クランパ18及びその開閉機構の構成は上記のものに限られない。例えば、クランパ18が作動位置にまで移動したときに可動板52に固定部材を当接してバネ53の付勢に抗して押し上げて解除位置とし、作動位置から僅かに下流側に僅かに移動したときに固定部材との当接か解除されてクランプ位置となるようにして開閉動作を行わせたり、モータ等で開閉動作させるようにしてもよい。
【0072】
先端検出センサ40は、クランパ18のクランプのタイミングの制御するために設けてある。制御部35は、給送時には、クランパ18を作動位置とし、先端検出センサ40がレンチキュラシート3の先端を検出した時点から、レンチキュラシート3の搬送長が所定長になったときにカム軸38を回転させて可動板52を解除位置からクランプ位置として、レンチキュラシート3の先端をクランパ18でクランプする。なお、この場合の搬送長は、モータ16の駆動パルスなどから検知することができる。
【0073】
図7に示すように、主走査方向に対してレンズ4の長手方向が平行ではない場合、すなわちレンチキュラシート3が斜行している場合には、そのレンチキュラシート3を通して基準線33bを観察すると、各レンズ4の効果によって、レンズピッチに応じた縞模様36aが観察される。また、図8に一例を示すように、レンチキュラシート3が斜行していない場合には、基準線33bは、レンチキュラシート3を通して縞模様がない(主走査方向に濃度変化が生じない)像36bとして観察される。
【0074】
制御部35は、斜行センサ33aからの像信号を監視しながら、回動機構19を作動し、レンチキュラシート3を通して基準線33bが図8に示されるような像36bが観察される回転位置にクランパ18を回動して、レンチキュラシート3の斜行を修正する。この斜行の修正は、レンズピッチ、レンズ位置の検出に先立って、サーマルヘッド22を退避位置とした状態で行う。
【0075】
レンズセンサ部34とレンズ4との位置関係に応じて、受光器34bによって受光される検出光の大きさが変わり、それに応じて検出信号も変化する。図9に示すように、搬送によってレンチキュラシート3がレンズセンサ部34に対して副走査方向に移動するときには、検出信号は、例えばレンズセンサ部34がレンズ4とレンズ4の境界部分4aに対面している位置からレンズ4の頂点4bに対面する位置に向かって移動するときに漸増し、レンズセンサ部34が頂点4bに対面している位置のときに検出信号がピークとなり、その後に漸減して境界部分4aを通過することで再び漸増に転じるように変化する。
【0076】
制御部35は、上記のように変化する検出信号を適当な閾値で二値化した二値化信号を求める。そして、この二値化信号の1周期の間、例えば二値化信号立ち上がりから次の立ち上がりまでに搬送されるレンチキュラシート3の搬送長を、そのレンチキュラシート3のレンズピッチをPとする。レンズピッチPを求める際には、二値化信号の複数周期分の搬送長の平均を用いることで精度良く求めることができ、この例でもそのようにしている。
【0077】
次に、上記構成の作用について説明する。記録すべき画像の2視点の視差画像データを入力する。この入力された2視点の視差画像データは、6視点の視差画像データに変換されヘッド駆動部32に順次に送られる。
【0078】
記録開始の指示を与えると、サーマルヘッド22が退避位置となっていることが確認される。また、図示しないエンコーダの検出結果などに基づいてクランパ18が主走査方向とほぼ平行となるように調節してから、搬送機構20が作動されてクランパ18が作動位置に移動される。作動位置に移動した後、クランプ解除モータ39によりカム軸38が回転される。これにより、カム38aによって下流側端部52bがバネ53の付勢に抗して押し上げられ、可動板52が解除位置とされる。
【0079】
可動板52を解除位置としてから、1枚のレンチキュラシート3が搬送口11より搬送路12内に給送される。そして、この給送されたレンチキュラシート3が給送ローラ対15によって搬送路12内を下流に向けて搬送される。搬送されるレンチキュラシート3は、退避位置のサーマルヘッド22とプラテンローラ23との間を通り、さらに投光器34aと受光器34bとの間を通って、その先端がクランプユニット17に達して先端検出センサ40に検出される。
【0080】
先端が先端検出センサ40で検出されると、制御部35は、さらに給送ローラ対15によって一定の長さだけ搬送を行い、固定板51と可動板52との間にレンチキュラシート3の先端が入り込んだ状態にしてから、その搬送を停止する。
【0081】
搬送の停止後に、クランプ解除モータ39によりカム軸38が再び回転されることにより、下流側端部52bがバネ53の付勢によって押し下げられ、図10に示すように、可動板52がクランプ位置とされる。これにより、レンチキュラシート3の先端が固定板51と可動板52との間にクランプされた状態となる。このクランプ後には、給送ローラ対15によるレンチキュラシート3のニップが解除される。
【0082】
次に、斜行センサ33aからの像信号が制御部35によって参照され、図7に示されるような縞模様36aが生じているか否かが判断される。縞模様36aが生じているときには、制御部35によって、回転機構19が作動されて、クランパ18が一方の方向に微小角度回転される。クランパ18には、レンチキュラシート3の先端がクランプされているから、このクランパ18の回転にともなって、レンチキュラシート3が水平面上で微小角度回転する。
【0083】
上記の回転後に、再び像信号が参照され、縞模様36aが生じていないか否かが判断される。そして、縞模様36aが生じているときには、再度回転機構19が作動されて、クランパ18が一方の方向に微小角度回転される。このようにして、縞模様36aが生じてなくなるまで、クランパ18の一方方向への微小角度の回転と、像信号の参照とを繰り返し行う。適当な角度だけ一方方向への回転を行っても縞模様36aが生じているときには、いったん初期の回転位置にクランパ18を戻し、その回転位置から同様な手順により、逆方向へのクランパ18の微小角度の回転と像信号の参照とを繰り返し行う。
【0084】
上記のようにしてクランパ18の微小角度の回転を繰り返し行って、縞模様36aが検出されなくなると、その回転位置でクランパ18が固定される。これにより、レンチキュラシート3の斜行が修正され、レンズ4の長手方向が主走査方向に平行となった状態される。
【0085】
レンチキュラシート3の斜行の修正後、フィルム交換機構28が作動されて受像層フィルム25がサーマルヘッド22の直下とされてから、サーマルヘッド22が圧接位置に移動される。これにより、受像層フィルム25を挟んでレンチキュラシート3の背面にサーマルヘッド22が圧接した状態になる。
【0086】
圧接後に、搬送モータ44が回転される。この搬送モータ44の回転でリードスクリュー42が回転することによって、移動部41と一体にクランパ18が下流に向けて移動する。これにより、レンチキュラシート3の副走査方向への搬送が開始される。また、これにあわせて受像層フィルム25が送られる。
【0087】
上記のようにしてレンチキュラシート3の搬送が開始されると、搬送モータ44に供給する駆動パルス数に基づいて求められるレンチキュラシート3の搬送長が監視される。そして、レンチキュラシート3の記録エリアがサーマルヘッド22の位置に近づいたことを検知すると、ヘッド駆動部32に受像層の形成を指示する。
【0088】
この指示によって、ヘッド駆動部32よってサーマルヘッド22が駆動されて、発熱素子アレイ22aが発熱し、受像層フィルム25が加熱される。これにより、それぞれが主走査方向に長く伸びた2ライン分の透明な受像層がレンチキュラシート3の背面に転写されて形成される。
【0089】
2ライン分の受像層を形成した後、搬送モータ44の回転で移動部41と一体にクランパ18が下流に向けて2ライン分移動される。再びサーマルヘッド22が駆動されて、受像層フィルム25を加熱する。これにより、先に形成した2ライン分の受像層と副走査方向に並ぶ2ライン分の受像層が形成される。以降、同様にして、レンチキュラシート3を副走査方向に搬送しながら2ラインずつ受像層を形成し、記録エリアの全範囲に受像層を形成する。
【0090】
なお、この時点では、レンズピッチが特定されていないので、この後に実際に画像を記録する範囲が想定される記録エリアよりも副走査方向に広がることがある。そこで、受像層を形成する範囲は、画像の記録に想定する範囲よりも副走査方向の前後に広くしておくことが好ましい。
【0091】
一方で、上記のようにして受像層の形成を開始すると同時に、制御部35によって検出信号に基づくレンズピッチの検出が開始される。制御部35に入力される検出信号が二値化され、その二値化信号の数周期分の搬送長が搬送モータ44に供給する駆動パルス数から求められ、その搬送長から1周期分の平均の搬送長が求められる。そして、その搬送長がレンズピッチPとされる。なお、レンズピッチの検出中にレンズセンサ部34が受像層を形成した部分に対面しても、受像層が透明であるため検出には影響はない。
【0092】
記録エリアをカバーするように受像層の形成が完了すると、搬送機構20によるレンチキュラシート3の搬送が停止されてから、サーマルヘッド22が退避位置に移動される。この後に、搬送モータ44が逆転されて、クランパ18が移動部41とともに上流に向かって移動し、これにともないレンチキュラシート3が搬送路12を上流に向かって搬送される。このときに、レンチキュラシート3の後端が戻し搬送路12aを通るように案内される。そして、レンチキュラシート3の記録エリアの先端がサーマルヘッド22の位置を通過すると、搬送モータ44の逆転が停止される。
【0093】
フィルム交換機構28によりインクフィルム26がサーマルヘッド22の直下に移動されてから、サーマルヘッド22が圧接位置に移動される。このときには、イエローインク領域がレンチキュラシート3の背面に重ねられる。この後に、搬送モータ44を正転させることにより、クランパ18でクランプしているレンチキュラシート3が下流に向けて再び搬送される。
【0094】
上記搬送中には、検出信号の二値化信号の立ち上がりタイミングからのレンチキュラシート3の搬送長と、二値化信号の立ち上がり時のレンズセンサ部34とレンズ4との副走査方向についての位置関係と、レンズセンサ部34とサーマルヘッド22の発熱素子アレイとの距離、レンズピッチPに基づいて、発熱素子アレイ22aがレンチキュラシート3のいずれの位置にあるかを、レンチキュラシート3が搬送されるごとに特定して監視する。
【0095】
そして、記録開始位置、すなわち記録エリアの最初の第1微小領域5a内に発熱素子アレイ22aが位置した状態になったことが検知されると、制御部35は、ヘッド駆動部32にイエロー画像の記録開始の指示を与える。この指示によりサーマルヘッド22が駆動されて、インクフィルムから昇華したイエローインクが第1微小領域5aの受像層に付着して、イエローの線状画像が記録される。
【0096】
このようにして1本目のイエローの線状画像を記録してから、レンチキュラシート3は、制御部35の制御下で、先に求めたレンズピッチPの1/6に相当する搬送長だけ下流に向けて搬送される。この搬送後に、次の2ライン分のイエロー画像データで2本の発熱素子アレイ22aを発熱することによって、第2微小領域5bにイエローの2本目の線状画像を記録する。
【0097】
以下、同様にして、レンズピッチPの1/6に相当する搬送長だけレンチキュラシート3を搬送するごとに、イエロー画像データで2本の発熱素子アレイを発熱し、各微小領域にイエローの線状画像を順次に記録していく。
【0098】
イエロー画像の最終の線状画像が記録されると、レンチキュラシート3の搬送が停止されてから、サーマルヘッド22が退避位置に移動される。この後に、クランパ18の移動部41によってレンチキュラシート3が搬送路12を上流に向かって搬送され、記録エリアの先端がサーマルヘッド22の位置を通過すると、搬送が停止される。
【0099】
インクフィルム26を送ってマゼンタインク領域がレンチキュラシート3の背面に重ねられるようにしてから、サーマルヘッド22が圧接位置に移動される。この後に、イエロー画像と同様にして、レンチキュラシート3を搬送し、この搬送中に、マゼンタ画像データでサーマルヘッド22を駆動し、レンチキュラシート3の各微小領域5a〜5fにマゼンタの線状画像を順次に記録する。
【0100】
マゼンタ画像の記録完了後には、上記と同様な手順で、レンチキュラシート3をいったん上流に向けて搬送してから、再び下流に向けて搬送する。また、インクフィルム26を送ってシアンインク領域がレンチキュラシート3の背面に重ねられるようにしてから、サーマルヘッド22が圧接位置に移動される。そして、レンチキュラシート3の下流に向けた搬送中に、シアン画像データに基づいてサーマルヘッド22を駆動し、シアンの線状画像を順次に記録する。
【0101】
マゼンタ,シアン画像の記録においても、イエロー画像の記録時と同様に記録開始タイミングが制御され、またレンズピッチPの1/6に相当する搬送長だけレンチキュラシート3を搬送するごとに、線状画像が記録される。
【0102】
上記のようにして各色の画像を記録するが、搬送されているレンチキュラシート3の各レンズ4の長手方向が主走査方向と一致し、また測定されたレンズピッチPに基づいてレンチキュラシート3の搬送長を制御しながら線状画像を記録しているので、記録される各線状画像は、微小領域からはみ出すことなく、また記録が進んでもレンズ4との位置がずれることもなく記録されている。
【0103】
3色の画像を記録エリアに記録した後には、上記と同様な手順で、レンチキュラシート3がいったん上流に向けて搬送されてから、再び下流に向けて搬送される。また、フィルム交換機構28によりバック層フィルム27が使用位置に移動されてから、サーマルヘッド22が圧接位置に移動される。そして、レンチキュラシート3の下流に向けた搬送中に、サーマルヘッド22を駆動し、3色の画像を記録した記録エリアにバック層を形成する。
【0104】
バック層の形成後、サーマルヘッド22を退避位置としてから、レンチキュラシート3を戻し搬送路12aに案内しながら、作動位置にまでクランパ18を移動する。この後に、カム軸38が回転され、カム38aによって下流側端部52bがバネ53の付勢に抗して押し上げられて可動板52が解除位置とされる。これにより、レンチキュラシート3の先端のクランプが解除され、そのレンチキュラシート3が排出口から排出される。
【0105】
上記第1実施形態では、サーマルヘッドを駆動して受像層を形成している間の搬送中に、レンズピッチの検出を行ったが、図11に示すように、画像を記録するためにレンチキュラシートを下流に向けて搬送している間で、サーマルヘッドの駆動を開始する前、すなわち記録エリアがサーマルヘッドの位置に達する前にレンズピッチの検出を行ってもよい。この場合には、受像層が予め形成されているレンチキュラシートにも利用できる。
【0106】
また、斜行センサを用いてレンズピッチを検出することもできる。図7に示されるように、縞模様36aの模様(例えば黒色の線)の間隔がレンズピッチPに相当するので、像信号に基づいて、その間隔を算出することによってレンズピッチPを検出することができる。なお、レンズピッチPを検出する際に、適当な縞模様が得られるように回転機構19を作動させてもよい。
【0107】
図12(a)に示すように、レンチキュラシート3が斜行して縞模様36aが観察される状態から、図12(b)に示すように、像信号に基づいてクランパ18を回転させてレンチキュラシート3の斜行を修正して、基準線33bが主走査方向に濃度変化が生じない状態で観察されるようにしてから、さらに、図12(c)に示すように、副走査方向にも濃度がなく、全体として均一な濃度の像となるよう像信号を参照しながら搬送機構20によるレンチキュラシート3の副走査方向の移動を微小に制御して、基準線33bとレンズ4の中心を一致させてもよい。
【0108】
上記のようにすると、基準線33bに対するレンズ位置が特定されるので、基準線33bとレンズ4の中心とが一致しているときからのレンチキュラシート3の搬送長、基準線33bと発熱素子アレイとの距離、レンズピッチによって、発熱素子アレイに対する記録エリアの先端位置(記録開始位置)等を特定することができる。
【0109】
上記実施形態では、斜行の検出に1本の基準線を用いたが、複数本を用いることができる。図13は、複数本の基準線33bからなる基準パターン61を斜行センサ33aに対面して配置した例を示している。この場合には、斜行センサ33aとしては、受光素子を二次元配列したもの用いるのがよい。基準パターン61の各基準線33bは。副走査方向に並べて配され、それぞれが主走査方向に平行となっている。また、基準線33bの線幅と、ピッチはレンズ幅以下としてある。
【0110】
基準パターン61を用いた場合、レンチキュラシート3が斜行しているときには、図14aに示すように、基準パターン61の部分にはレンチキュラシート3を通してモアレ62aが生じ、これが斜行センサによって検出される。レンチキュラシート3の斜行を修正するには、図14(b)に示すように、そのモアレ62aが消えて、撮影されている像の主走査方向の濃度に変化が生じない像62bが検出されるように、クランパ18を回転の回転を制御すればよい。
【0111】
また、この後に、搬送機構20によってレンチキュラシート3を微小に副走査方向に前後移動させ、図14(c)に示すように、基準パターンに対応した像62bの副走査方向の中心の濃度が最も高くなるように調整すると、像62bの中心がレンズ中心と一致した状態になる。このようにした状態は、図12(c)に示す状態と同様であり、基準線33bに対するレンズ位置が特定されるので、発熱素子アレイに対する記録エリアの先端位置(記録開始位置)等を特定することができる。また、その状態からレンチキュラシート3を搬送して、斜行センサ33aの像信号に基づいて、像の濃度分布の変化の1周期分の搬送長を検出し、それをレンズピッチとすることができる。
【0112】
斜行検出部33を用いてレンチキュラシート3の斜行を修正する他、上記のようにレンズピッチの検出、レンズ位置の特定を行う場合には、図15に示すように、斜行検出部33をレンズセンサとして、サーマルヘッド22とクランプユニット17との間に配するのがよい。この場合、適当な張力、例えば受像層や画像を記録する際の搬送時における引っ張り力がレンチキュラシート3に生じるように、クランパ18の移動を制御するのがよい。このようにすれば、サーマルヘッド22とクランパ18の間で生じる引っ張り、サーマルヘッド22で加熱を考慮した精度の高い検出を行うことができる。
【0113】
上記の各例では、基準線を搬送路を構成する板部材に記しているが、例えば図16に示すように、白色透明な拡散板64の上面に基準線33bを記しておき、LED等の光源65によって拡散板64をその下面から照明するようにしてもよい。
【0114】
[第2実施形態]
第2実施形態では、3個のレンズセンサを用いることで、レンズピッチ、レンズ位置とともにレンチキュラシートの斜行角を検出するようにしている。なお、以下に説明する他は、第1実施形態と同様であり、実施的に同じ構成部材には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0115】
図17にレンズセンサの配列と、各レンズセンサから得られる二値化信号を示す。なお、レンズセンサと検出対象のレンズの関係を明確にするために、特定箇所としてレンズ4の境界4aを用いて説明する。このため図17では、レンズ4の境界4aで検出信号の二値化信号の立ち上がるように描いてある。実際には第1実施形態と同じく、所定の閾値で検出信号を二値化しており、例えば二値化信号の立ち上がりとなる検出対象の箇所が特定箇所となる。
いる。
【0116】
プリンタ2には、第1〜第3レンズセンサ71〜73を設けてある。第1〜第3レンズセンサ71〜73は、サーマルヘッド22とクランプユニット17の間に配してあり、第1レンズセンサ71,第2レンズセンサ72,第3レンズセンサ73の順番で主走査方向に1列に並べてある。
【0117】
各レンズセンサ71〜73は、それぞれ第1実施形態のレンズセンサ部34と同じ構成である。また、この例では、第1〜第3レンズセンサ71〜73の検出結果に基づいて、レンチキュラシート3の斜行を修正するため、斜行検出部33は省かれている。
【0118】
レンチキュラシート3は、給送ローラ対15等による搬送時の姿勢制御の精度を高めることにより、クランパ18にクランプした際の斜行がある程度抑えられている。第1レンズセンサ71と第2レンズセンサ72とのセンサ間隔S1は、そのように給送されてクランプされるレンチキュラシート3に対して、それら第1レンズセンサ71と第2レンズセンサ72の各位置間でのズレの長さが1レンズピッチ分以上にならないように決めてある。なお、上記ズレの長さとは、各レンズセンサと同一レンズ4との距離(副走査方向の長さ)の差である。
【0119】
第1レンズセンサ71と第3レンズセンサ73とのセンサ間隔S2は、上記のようなセンサ間隔S1のような制限はないが、斜行角を高い精度で測定するために、可能な限り大きくとるのがよい。
【0120】
制御部35は、第1レンズセンサ71に対応する二値化信号が立ち上がった時点から、それ以降に第2レンズセンサ72に対応する二値化信号が立ち上がる時点までの搬送長L1を搬送モータ44に供給する駆動パルス数から求める。このようにして求められる搬送長L1は、第1レンズセンサ71と第2レンズセンサ72の各位置間でのズレの長さが1レンズピッチ分以上にならないので、第1レンズセンサ71が任意のレンズ4の境界4aを検出してから、第2レンズセンサ72が同じ境界4aを検出するまでの搬送長である。
【0121】
制御部35は、上記のようにして求められる搬送長L1と、センサ間隔S1,S2とを下記算出式(1)に適用することにより、第1レンズセンサ71と第3レンズセンサ73の各位置間でのズレの長さL2を求める。さらに、この長さL2と、所期の値として設定されているレンズピッチP0とを用いて、算出式(2)によって参照値Gを求める。
L2=S2・(L1/S1) ・・・(1)
G=L2/P0 ・・・(2)
【0122】
上記参照値Gは、第1レンズセンサ71が境界4を検出してから、同一の境界4を第3レンズセンサ73が検出するまでに、第3レンズセンサ73が検出する境界4の個数に相当するものであり、各二値化信号の立ち上がりのうちの同一の境界4を第3レンズセンサ73が検出したときのもの特定するために用いられる。
【0123】
制御部35は、第1レンズセンサ71に対応する二値化信号が立ち上がった時点から、それ以降に発生する第3レンズセンサ73に対応する二値化信号が立ち上がりをカウントし、そのカウント値が参照値G以上になった時点での二値化信号が立ち上がり時点までの搬送長L3を搬送モータ44に供給する駆動パルス数から求める。そして、搬送長L3と、センサ間隔S2と用いて、主走査方向に対するレンズ4の長手方向のなす角度である斜行角θを次の算出式(3)により算出する。
θ=Tan−1(L3/S2) ・・・(3)
【0124】
搬送長L3は、ズレの長さL2とほぼ同じ値となるものであるが、搬送長L3は、センサ間隔S1よりも大きいセンサ間隔S2における実際の測定値であり、センサ間隔S1を用いて算出される長さL2よりも精度の高い値となり、斜行角θも高い精度で求めることができる。
【0125】
制御部35は、回転機構19を制御して、クランパ18を斜行角θを打ち消すようにクランパ18を回転させる。これにより、レンチキュラシート3の斜行が修正される。また、レンチキュラシート3が斜行して搬送されている間に、1つのレンズセンサ、例えば第1レンズセンサ71に対応する二値化信号の1周期分の搬送長L4を求め、これにcosθを乗じることにより、搬送中のレンチキュラシート3のレンズピッチPを算出する。なお、レンズ位置の検出は、いずれかの1つのレンズセンサからの検出信号に基づいて検出することができる。
【0126】
上記の構成における各部の作動タイミングは、図18に示すように、受像層を形成している間に、各レンズセンサ71〜73の検出信号に基づいて、斜行角θの検出と、レンズピッチPの検出とを行う。また、受像層の形成後に、サーマルヘッド22を退避位置としてレンチキュラシート3を上流に戻している間に、斜行角θに基づいて回転機構19を作動させて斜行の修正を行っている。
【0127】
なお、図19に示すように、インクフィルム26で画像を記録するために、サーマルヘッド22を圧接した状態で、レンチキュラシート3を下流に向けて搬送している間で、サーマルヘッドの駆動を開始する前に、第1〜第3レンズセンサ71〜73を用いて斜行角θの検出、レンズピッチの検出と、斜行の修正を行ってもよい。
【0128】
また、上記のように受像層の形成後にレンチキュラシート3の斜行を修正する場合には、図20に示すように、斜行が修正されたときに、それ以前に形成された受像層のエリアA1が画像を記録する記録エリアA2をカバーするように、記録エリアA2よりも大きくするのがよい。なお、バック層のエリアA3は、斜行が修正された後に形成するので、記録エリアA2と同じかそれよりも少し大きな程度かまわない。
【0129】
[第3実施形態]
第3実施形態は、サーマルヘッドに対する基準線のなす角度をプリンタの機能を用いて測定し、これを斜行角の補正値とし、主走査方向にレンズの長手方向を精度良く一致させるように調整する例を示すものである。なお、以下の説明では、図15に示す構成のプリンタを例に説明するが、主走査方向に2個以上の複数の受光素子が配列された斜行センサと基準線とを備える他の例についても同様に利用できる。
【0130】
図21に示すように、プリンタ2の機能を用いて、サーマルヘッド22の発熱素子アレイ22aに対する基準線33bのなす角度θ1を求める。発熱素子アレイ22aに対する基準線33b上の2カ所測定位置PA,PBのそれぞれの距離HA,HBを測定し、この距離HA,HBと、それらの間隔Dとから、角度θ1を次の算出式(4)から求める。
θ1=Tan−1(HB−HA) ・・・(4)
【0131】
図22において、距離HA,HBの測定では、クランパ18で透明な記録用シート75をクランプする。そして、搬送機構20によってクランパ18を下流に搬送し、この搬送中にサーマルヘッド22を駆動して、記録用シート75に測定用画像を記録する。測定用画像76は、副走査方向に一定の幅を有し、主走査方向、すなわち実際に発熱素子アレイが伸びた方向に長い帯状となっている。この測定用画像の記録には、インクフィルム26を用いてイエローやマゼンタ,シアンなどあるいは、それらからを併用する各種の色で記録してもよいが、この例では、測定用画像の記録する際のコストを低減するため、バック層フィルム27を用いて白色に記録している。
【0132】
測定用画像の記録後にも、クランパ18による記録用シート75のクランプを維持し、またクランパ18を回転させることなく、搬送を継続する。また、制御部35によって、搬送モータ44の駆動パルス数に基づいて、テスト画像の第1ライン(搬送方向の先端部分)を記録してからの搬送長の測定を開始する。
【0133】
上記搬送によって、図22(a)に示すように、基準線33b上の測定位置PAに測定用画像76の第1ラインが重なったことを斜行センサ33aからの象信号で検出すると、それまでに測定されている搬送長を距離HAとして取得する。同様にして、図22(b)に示すように、基準線33b上の測定位置PBに測定用画像の第1ラインが重なったことを斜行センサ33aからの象検出信号で検出した時点までの搬送長を距離HBとして取得する。
【0134】
上記のように取得した距離HA,HBと、間隔Dとを上記算出式(4)に適用して角度θ1を求め、符号を逆にした角度「−θ1」を補正角度として、制御部35に記憶する。レンチキュラシート3の斜行を修正する際には、制御部35は、クランパ18を回転して縞模様が消えるようにしてから、補正角度「−θ1」だけクランパ18をさらに回転する。これにより、レンズ4の長手方向が、主査方向に平行となる。
【0135】
上記の例によれば、製造時やメンテナンス時におけるサーマルヘッドの組み付け精度を緩くすることができ、またそのための調整も簡単に行うことができる。
【0136】
上記各実施形態において説明した構成、手順等は、相反しない範囲で適宜に組み合せることができる。また、上記各実施形態では、ラインプリンタについて説明したが、本発明は、シリアルプリンタなどの他の方式のプリンタにも利用できる。また、立体画像を記録するための視差画像を記録する場合に限らず、観察位置をずらすことで観察できる画像が変化する、いわゆるチェンジングの記録にも利用できる。さらに、昇華型に限らず、熱転写方式のサーマルプリンタ、インクジェットプリンタ等にも本発明を利用することができる。
【符号の説明】
【0137】
2 プリンタ
3 レンチキュラシート
4 レンチキュラレンズ
18 クランパ
19 回転機構
20 搬送機構
22 サーマルヘッド
33 レンズセンサ部,
34 斜行検出部
35 制御部
71〜73 レンズセンサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレンチキュラレンズが配されたレンチキュラシートの先端を挟持するクランパを有し、このクランパを副走査方向に移動させることによりレンチキュラシートを搬送する搬送手段と、
レンチキュラシートの背面にインクフィルムを重ねた状態でその背面に圧接した圧接位置と背面から離れた退避位置との間で移動自在なサーマルヘッドを有し、サーマルヘッドを圧接位置としてインクフィルムを加熱することにより、インクフィルムのインクを昇華させてレンチキュラシートの背面に付着させ、主走査方向に伸びたラインを記録し、前記搬送手段の搬送に同期してラインを順次に記録して画像を記録手段と、
前記サーマルヘッドと前記クランパとの間に配置され、光学的にレンチキュラシートの検出を行うレンズセンサ部と、
前記サーマルヘッドが圧接位置とした状態で、前記レンズセンサ部の検出結果に基づいて、前記クランパにクランプされているレンチキュラシートのレンズピッチを求めるレンズ検出手段とを備えたことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記レンズセンサ部は、前記搬送手段によってレンチキュラシートを搬送している間に、レンチキュラシートの凹凸に応じた検出信号を出力することを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】
前記記録手段は、インクフィルムによって画像を記録する前に、レンチキュラシートの背面にインクを付着させるための透明な受像層を形成し、
前記搬送手段は、受像層を形成するために、前記サーマルヘッドに対してレンチキュラシートを上流から下流に向けて搬送してから、インクフィルムによって画像を記録するために、再度前記サーマルヘッドに対してレンチキュラシートを上流から下流に向けて搬送し、
前記レンズ検出手段は、受像層を形成するための搬送中に、前記レンズセンサ部による検出を行ってレンズピッチを求めることを特徴とする請求項2項に記載のプリンタ
【請求項4】
前記レンズ検出手段は、インクフィルムによって画像を記録するために、前記搬送手段によってレンチキュラシートを上流から下流に向けて搬送している間で、前記サーマルヘッドが画像を記録すべきレンチキュラシート上の記録エリアに達する前に、前記レンズセンサ部による検出を行ってレンズピッチを求めることを特徴とする請求項2記載のプリンタ。
【請求項5】
前記クランパをレンチキュラシートの搬送面上で回転させる回転機構と、
前記クランパに狭持されているレンチキュラシートのレンチキュラレンズの長手方向の主走査方向に対する傾きを光学的に検知し、レンチキュラレンズの長手方向が主走査方向に平行となるように前記回転機構を制御する回転制御手段とを備えることを特徴とする請求項3または4のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記レンズ検出手段は、前記回転制御手段によってレンチキュラレンズの長手方向が主走査方向に平行となるようにされてから、レンズピッチの検出を行うことを特徴する請求項5記載のプリンタ。
【請求項7】
前記クランパをレンチキュラシートの搬送面上で回転させる回転機構と、
前記クランパに狭持されているレンチキュラシートのレンチキュラレンズの長手方向の主走査方向に対する傾きを光学的に検知し、前記受像層の形成後に、前記検知した傾きに基づいてレンチキュラレンズの長手方向が主走査方向に平行となるように前記回動機構を制御してクランパを回転させる回転制御手段とを備え、
前記記録手段は、画像を記録すべき記録エリアよりも広い範囲に前記受像層を形成することを特徴とする請求項3記載のプリンタ。
【請求項8】
前記レンズセンサ部は、主走査方向に1列に配列され、それぞれがレンチキュラシートの凹凸に応じた検出信号を出力する第1〜第3センサを有し、第1センサと第2センサの間隔が、レンチキュラシートが最大に斜行している場合での第1センサと第2センサとの検出位置に対してのレンチキュラシートのズレが最大に斜行している場合で1レンズピッチ以下となるようにされ、
前記回転制御手段は、第1センサがレンチキュラレンズの任意の特定箇所を検出してから、第2センサがレンチキュラレンズの特定箇所を検出したのとの同等の検出信号を出力した時点までの搬送長と、第1センサと第2センサとの間隔と所期のレンズピッチとに基づいて、第1センサが検出したレンチキュラレンズの対応する特定箇所を第3センサが検出したときの検出信号を特定し、第1センサが当該レンチキュラレンズの特定箇所を検出してから第3センサが特定された検出信号を出力するまでの搬送長と第1センサと第3センサとの間隔とからレンチキュラシートの斜行角を求め、この斜行角にしたがってクランパを回転させて斜行を修正することを特徴とする請求項5または7記載のプリンタ。
【請求項9】
前記レンズ検出手段は、前記レンズセンサ部のうちのいずれか1つのセンサからの検出信号の1周期分の搬送長を測定し、測定した搬送長を前記斜行角で補正することにより、レンチキュラシートのレンズピッチを測定することを特徴とする請求項8記載のプリンタ。
【請求項10】
前記回転制御手段は、主走査方向に平行な基準線と、レンチキュラシートを挟んで基準線の反対側に配され、レンチキュラシートを通して観察される像を検出する斜行センサを有し、斜行センサからの出力を参照しながら前記クランパを回動して、斜行センサによって縞模様の像が検出されない位置とすることにより、レンチキュラシートの斜行を修正することを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項11】
前記レンズセンサ部に対向して配され、主走査方向に平行であり、レンズピッチ以下の線幅の基準線と、
前記クランパをレンチキュラシートの搬送面上で回転させる回転機構と、
前記レンズセンサ部の検出結果に基づいて、レンチキュラレンズの長手方向が主走査方向に平行となるように前記回転機構を制御する回転制御手段とを備え、
前記レンズセンサ部は、レンチキュラシートを通して観察される基準線の像を検出するようにされ、
前記回転制御部は、レンズセンサ部からの出力を参照しながら前記クランパを回動して、レンズセンサ部によって縞模様の像が検出されない位置とすることにより、レンチキュラシートの斜行を修正することを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項12】
前記レンズ検出手段は、レンチキュラシートが斜行しているときに前記レンズセンサ部によって検出される縞模様の像からレンズピッチを検出することを特徴とする請求項11記載のプリンタ。
【請求項13】
前記レンズ検出手段は、前記回転制御手段によりレンチキュラシートの斜行が修正された後、前記レンズセンサ部によって検出される基準線が均一な濃度の像となるように、前記搬送手段によってレンチキュラレンズの中心と基準線とが一致する位置にレンチキュラシートを移動させ、この位置を前記サーマルヘッドに対するレンチキュラシートの位置関係を求める基準にすることを特徴とする請求項11または12記載のプリンタ。
【請求項14】
前記搬送手段によって前記クランパでクランプした透明な記録シートを搬送している間に、前記サーマルヘッドで主走査方向に伸びた所定幅の帯状の測定用画像を記録シートに記録させ、この測定用画像が主走査方向に所定の間隔で離して前記基準線上に設定した2つの測定点にそれぞれ達するまでの各搬送長の差と、前記所定の間隔とに基づいて、基準線と主走査方向とのズレ角度を検知する検知手段と、
検知されたズレ角度を記憶する記憶手段とを備え、
前記回転制御手段は、前記記憶手段に記憶されているズレ角度でクランパの回転位置を補正することを特徴とする請求項11ないし13のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項15】
前記レンズセンサ部に対向して副走査方向にレンズピッチ以下のピッチで複数本配され、それぞれが主走査方向に平行でありレンズピッチ以下の線幅の基準線と、
前記クランパをレンチキュラシートの搬送面上で回転させる回転機構と、
前記レンズセンサ部の検出結果に基づいて、レンチキュラレンズの長手方向が主走査方向に平行となるように前記回転機構を制御する回転制御手段とを備え、
前記レンズセンサ部は、レンチキュラシートを通して観察される複数本の基準線の像を検出するようにされ、
前記回転制御部は、レンズセンサ部からの出力を参照しながら前記クランパを回動して、レンズセンサ部によって像にモアレの検出されない位置とすることにより、レンチキュラシートの斜行を修正することを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項16】
前記レンズ検出手段は、前記回転制御手段によりレンチキュラシートの斜行が修正された後、前記レンズセンサ部によって検出される複数の基準線の像の副走査方向の中心が最も濃度が高くなるように、前記搬送手段によってレンチキュラレンズの中心と基準線とが一致する位置にレンチキュラシートを移動させ、この位置を前記サーマルヘッドに対するレンチキュラシートの位置関係を求める基準とし、像の濃度分布の1周期分の変化に要する搬送長をレンズピッチとして求めることを特徴とする請求項15記載のプリンタ。
【請求項17】
レンチキュラシートの背面にインクフィルムを重ね、そのインクフィルムの背面をサーマルヘッドが圧接しながら加熱することにより、インクフィルムのインクを昇華させてレンチキュラシートの背面に付着させることにより主走査方向に伸びたラインを記録し、レンチキュラシートを副走査方向の搬送することによって、複数のラインを順次に記録するプリント方法において、
移動することでレンチキュラシート搬送するクランパにクランプされるとともに、サーマルヘッドが圧接されたレンチキュラシートのクランパとサーマルヘッドとの間の部分を光学的に検出してレンズピッチを求めることを特徴とするプリント方法。
【請求項18】
レンチキュラレンズの長手方向の主走査方向に対する傾きを光学的に検知し、そのレンチキュラレンズの長手方向が主走査方向に平行となるように、レンチキュラシートの先端を挟持し、副走査方向に移動することでレンチキュラシートを搬送するクランパを回転することを特徴とする請求項17記載のプリント方法。
【請求項1】
複数のレンチキュラレンズが配されたレンチキュラシートの先端を挟持するクランパを有し、このクランパを副走査方向に移動させることによりレンチキュラシートを搬送する搬送手段と、
レンチキュラシートの背面にインクフィルムを重ねた状態でその背面に圧接した圧接位置と背面から離れた退避位置との間で移動自在なサーマルヘッドを有し、サーマルヘッドを圧接位置としてインクフィルムを加熱することにより、インクフィルムのインクを昇華させてレンチキュラシートの背面に付着させ、主走査方向に伸びたラインを記録し、前記搬送手段の搬送に同期してラインを順次に記録して画像を記録手段と、
前記サーマルヘッドと前記クランパとの間に配置され、光学的にレンチキュラシートの検出を行うレンズセンサ部と、
前記サーマルヘッドが圧接位置とした状態で、前記レンズセンサ部の検出結果に基づいて、前記クランパにクランプされているレンチキュラシートのレンズピッチを求めるレンズ検出手段とを備えたことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記レンズセンサ部は、前記搬送手段によってレンチキュラシートを搬送している間に、レンチキュラシートの凹凸に応じた検出信号を出力することを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】
前記記録手段は、インクフィルムによって画像を記録する前に、レンチキュラシートの背面にインクを付着させるための透明な受像層を形成し、
前記搬送手段は、受像層を形成するために、前記サーマルヘッドに対してレンチキュラシートを上流から下流に向けて搬送してから、インクフィルムによって画像を記録するために、再度前記サーマルヘッドに対してレンチキュラシートを上流から下流に向けて搬送し、
前記レンズ検出手段は、受像層を形成するための搬送中に、前記レンズセンサ部による検出を行ってレンズピッチを求めることを特徴とする請求項2項に記載のプリンタ
【請求項4】
前記レンズ検出手段は、インクフィルムによって画像を記録するために、前記搬送手段によってレンチキュラシートを上流から下流に向けて搬送している間で、前記サーマルヘッドが画像を記録すべきレンチキュラシート上の記録エリアに達する前に、前記レンズセンサ部による検出を行ってレンズピッチを求めることを特徴とする請求項2記載のプリンタ。
【請求項5】
前記クランパをレンチキュラシートの搬送面上で回転させる回転機構と、
前記クランパに狭持されているレンチキュラシートのレンチキュラレンズの長手方向の主走査方向に対する傾きを光学的に検知し、レンチキュラレンズの長手方向が主走査方向に平行となるように前記回転機構を制御する回転制御手段とを備えることを特徴とする請求項3または4のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記レンズ検出手段は、前記回転制御手段によってレンチキュラレンズの長手方向が主走査方向に平行となるようにされてから、レンズピッチの検出を行うことを特徴する請求項5記載のプリンタ。
【請求項7】
前記クランパをレンチキュラシートの搬送面上で回転させる回転機構と、
前記クランパに狭持されているレンチキュラシートのレンチキュラレンズの長手方向の主走査方向に対する傾きを光学的に検知し、前記受像層の形成後に、前記検知した傾きに基づいてレンチキュラレンズの長手方向が主走査方向に平行となるように前記回動機構を制御してクランパを回転させる回転制御手段とを備え、
前記記録手段は、画像を記録すべき記録エリアよりも広い範囲に前記受像層を形成することを特徴とする請求項3記載のプリンタ。
【請求項8】
前記レンズセンサ部は、主走査方向に1列に配列され、それぞれがレンチキュラシートの凹凸に応じた検出信号を出力する第1〜第3センサを有し、第1センサと第2センサの間隔が、レンチキュラシートが最大に斜行している場合での第1センサと第2センサとの検出位置に対してのレンチキュラシートのズレが最大に斜行している場合で1レンズピッチ以下となるようにされ、
前記回転制御手段は、第1センサがレンチキュラレンズの任意の特定箇所を検出してから、第2センサがレンチキュラレンズの特定箇所を検出したのとの同等の検出信号を出力した時点までの搬送長と、第1センサと第2センサとの間隔と所期のレンズピッチとに基づいて、第1センサが検出したレンチキュラレンズの対応する特定箇所を第3センサが検出したときの検出信号を特定し、第1センサが当該レンチキュラレンズの特定箇所を検出してから第3センサが特定された検出信号を出力するまでの搬送長と第1センサと第3センサとの間隔とからレンチキュラシートの斜行角を求め、この斜行角にしたがってクランパを回転させて斜行を修正することを特徴とする請求項5または7記載のプリンタ。
【請求項9】
前記レンズ検出手段は、前記レンズセンサ部のうちのいずれか1つのセンサからの検出信号の1周期分の搬送長を測定し、測定した搬送長を前記斜行角で補正することにより、レンチキュラシートのレンズピッチを測定することを特徴とする請求項8記載のプリンタ。
【請求項10】
前記回転制御手段は、主走査方向に平行な基準線と、レンチキュラシートを挟んで基準線の反対側に配され、レンチキュラシートを通して観察される像を検出する斜行センサを有し、斜行センサからの出力を参照しながら前記クランパを回動して、斜行センサによって縞模様の像が検出されない位置とすることにより、レンチキュラシートの斜行を修正することを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項11】
前記レンズセンサ部に対向して配され、主走査方向に平行であり、レンズピッチ以下の線幅の基準線と、
前記クランパをレンチキュラシートの搬送面上で回転させる回転機構と、
前記レンズセンサ部の検出結果に基づいて、レンチキュラレンズの長手方向が主走査方向に平行となるように前記回転機構を制御する回転制御手段とを備え、
前記レンズセンサ部は、レンチキュラシートを通して観察される基準線の像を検出するようにされ、
前記回転制御部は、レンズセンサ部からの出力を参照しながら前記クランパを回動して、レンズセンサ部によって縞模様の像が検出されない位置とすることにより、レンチキュラシートの斜行を修正することを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項12】
前記レンズ検出手段は、レンチキュラシートが斜行しているときに前記レンズセンサ部によって検出される縞模様の像からレンズピッチを検出することを特徴とする請求項11記載のプリンタ。
【請求項13】
前記レンズ検出手段は、前記回転制御手段によりレンチキュラシートの斜行が修正された後、前記レンズセンサ部によって検出される基準線が均一な濃度の像となるように、前記搬送手段によってレンチキュラレンズの中心と基準線とが一致する位置にレンチキュラシートを移動させ、この位置を前記サーマルヘッドに対するレンチキュラシートの位置関係を求める基準にすることを特徴とする請求項11または12記載のプリンタ。
【請求項14】
前記搬送手段によって前記クランパでクランプした透明な記録シートを搬送している間に、前記サーマルヘッドで主走査方向に伸びた所定幅の帯状の測定用画像を記録シートに記録させ、この測定用画像が主走査方向に所定の間隔で離して前記基準線上に設定した2つの測定点にそれぞれ達するまでの各搬送長の差と、前記所定の間隔とに基づいて、基準線と主走査方向とのズレ角度を検知する検知手段と、
検知されたズレ角度を記憶する記憶手段とを備え、
前記回転制御手段は、前記記憶手段に記憶されているズレ角度でクランパの回転位置を補正することを特徴とする請求項11ないし13のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項15】
前記レンズセンサ部に対向して副走査方向にレンズピッチ以下のピッチで複数本配され、それぞれが主走査方向に平行でありレンズピッチ以下の線幅の基準線と、
前記クランパをレンチキュラシートの搬送面上で回転させる回転機構と、
前記レンズセンサ部の検出結果に基づいて、レンチキュラレンズの長手方向が主走査方向に平行となるように前記回転機構を制御する回転制御手段とを備え、
前記レンズセンサ部は、レンチキュラシートを通して観察される複数本の基準線の像を検出するようにされ、
前記回転制御部は、レンズセンサ部からの出力を参照しながら前記クランパを回動して、レンズセンサ部によって像にモアレの検出されない位置とすることにより、レンチキュラシートの斜行を修正することを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項16】
前記レンズ検出手段は、前記回転制御手段によりレンチキュラシートの斜行が修正された後、前記レンズセンサ部によって検出される複数の基準線の像の副走査方向の中心が最も濃度が高くなるように、前記搬送手段によってレンチキュラレンズの中心と基準線とが一致する位置にレンチキュラシートを移動させ、この位置を前記サーマルヘッドに対するレンチキュラシートの位置関係を求める基準とし、像の濃度分布の1周期分の変化に要する搬送長をレンズピッチとして求めることを特徴とする請求項15記載のプリンタ。
【請求項17】
レンチキュラシートの背面にインクフィルムを重ね、そのインクフィルムの背面をサーマルヘッドが圧接しながら加熱することにより、インクフィルムのインクを昇華させてレンチキュラシートの背面に付着させることにより主走査方向に伸びたラインを記録し、レンチキュラシートを副走査方向の搬送することによって、複数のラインを順次に記録するプリント方法において、
移動することでレンチキュラシート搬送するクランパにクランプされるとともに、サーマルヘッドが圧接されたレンチキュラシートのクランパとサーマルヘッドとの間の部分を光学的に検出してレンズピッチを求めることを特徴とするプリント方法。
【請求項18】
レンチキュラレンズの長手方向の主走査方向に対する傾きを光学的に検知し、そのレンチキュラレンズの長手方向が主走査方向に平行となるように、レンチキュラシートの先端を挟持し、副走査方向に移動することでレンチキュラシートを搬送するクランパを回転することを特徴とする請求項17記載のプリント方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
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【図6】
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【図11】
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【図13】
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【図16】
【図17】
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【図19】
【図20】
【図21】
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【公開番号】特開2011−75791(P2011−75791A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226582(P2009−226582)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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