説明

プリンタ

【課題】駆動モータが逆転するバックフィード時に搬送ローラの周速がプラテンローラの周速よりもやや速くできるようにし、プラテンローラと搬送ローラとの間の帯状用紙にたるみが生じてしまう事態を防止し、駆動モータの正転時の印刷を確実に行うことができるようにしたプリンタを提供する。
【解決手段】プリンタPのプラテンローラ側伝動機構10と搬送ローラ側伝動機構20との少なくとも一方は、駆動モータ6の逆転時に搬送ローラ4の周速がプラテンローラ1の周速よりもやや速くなるように、プラテンローラ1の回転速度と搬送ローラ4の回転速度との少なくとも一方の速度を変更する周速度変更を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状用紙を搬送し、この搬送途中で帯状用紙に印刷を行うプリンタに関し、特に、帯状用紙の所謂バックフィードを行うプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3は、従来のプリンタの一例を示す図である。
従来のプリンタPとしては、例えば、帯状台紙DにラベルLを所定間隔で仮着した帯状用紙Sの当該ラベルLに印刷を行い、印刷されたラベルLを剥離して物品に貼付を行うラベル貼付装置として用いられるものがある。このプリンタPは、ロール状の帯状用紙Sが装着され搬送経路に帯状用紙Sを供給する供給リール100と、帯状用紙Sの搬送途中に設けられ帯状用紙Sを支持するプラテンローラ101と、プラテンローラ101上の帯状用紙Sに印刷を行うサーマル型の印刷ヘッド102と、印刷ヘッド102の下流側に設けられ帯状台紙Dを折り返してこの帯状台紙Dに仮着されたラベルLを剥離する剥離部材103と、剥離部材103で剥離されたラベルLを図示外の物品に貼付する図示外の貼付部と、ラベルLが剥離された帯状台紙Dを巻き取る図示外の巻取リールとを備えている。
【0003】
また、このプリンタPは、プラテンローラ101の上流側に設けられ帯状用紙Sを搬送する搬送ローラ104と、搬送ローラ104に帯状用紙Sを押圧する押圧ローラ105と、プラテンローラ101及び搬送ローラ104を同期して回転させるベルト伝動機構110と、このベルト伝動機構110を駆動する正転(Ra方向)及び逆転(Rb方向)可能な駆動モータ111とを備える。プリンタPは、駆動モータ111の正転時にベルト伝動機構110により帯状用紙Sを正方向Haに搬送し印刷ヘッド102による印刷を行わせる。また、プリンタPは、駆動モータ111の逆転時にベルト伝動機構110により帯状用紙Sを逆方向Hbに戻すことを可能にしている。ベルト伝動機構110は、駆動モータ111の原動回転軸112に設けられるタイミングベルト用の原動歯付プーリ113と、プラテンローラ101のプラテン回転軸114に設けられるタイミングベルト用の従動歯付プーリ115と、搬送ローラ104の従動回転軸116に設けられるタイミングベルト用の従動歯付プーリ117と、原動歯付プーリ113、従動歯付プーリ115及び従動歯付プーリ117間に架け渡されるタイミングベルト118とを備えている。
【0004】
このプリンタPは、駆動モータ111の正転及び逆転を交互に行いながら印刷ヘッド102による印刷を行わせている。この駆動モータ111の正転及び逆転は、プラテンローラ101と搬送ローラ104との間に設けられ、ラベルLの端縁を検知するラベルピッチ検出センサ119の検出に基づいて行われる。詳しくは、プリンタPは、駆動モータ111を正転(Ra方向)させて帯状用紙Sを正方向Haに搬送し印刷ヘッド102により順次送られるラベルLに印刷を行う。また、プリンタPは、先のラベルLが剥離され貼付部によって持ち去られた後に、駆動モータ111を逆転(Rb方向)させて帯状用紙Sを逆方向Hbに戻す所謂バックフィードを行い、ラベルLを印刷ヘッド102より上流側に位置させる。それから、プリンタPは、再び駆動モータ111を正転(Ra方向)させて帯状用紙Sを正方向Haに搬送し印刷ヘッド102により次のラベルLに印刷を行う(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−104354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この従来のプリンタPにおいては、駆動モータ111によってベルト伝動機構110を駆動しプラテンローラ101及び搬送ローラ104を同期して回転させている。一般に、プラテンローラ101の周速は、搬送ローラ104の周速よりもやや速く設定されている。そのため、駆動モータ111の正転時にベルト伝動機構110により帯状用紙Sが正方向Haに搬送されるときには、帯状用紙Sがプラテンローラ101に引っ張られるようになる。しかし、駆動モータ111の逆転時にベルト伝動機構110により帯状用紙Sが逆方向Hbに戻されるときは、搬送ローラ104による帯状用紙Sの搬送に僅かな遅れが生じる。そのため、多少なりともプラテンローラ101と搬送ローラ104との間の帯状用紙Sにたるみが生じてしまうことがある。このため、ラベルピッチ検出センサ119による検出が不正確になる。そして、次に、駆動モータ111の正転時にベルト伝動機構110により帯状用紙Sが正方向Haに搬送されるときに、印刷位置ずれが生じたり、また、たるみによる印刷ずれ等が生じたりすることがあるという問題があった。
【0007】
本発明の課題は、駆動モータが逆転するバックフィード時に搬送ローラの周速がプラテンローラの周速よりもやや速くできるようにし、プラテンローラと搬送ローラとの間の帯状用紙にたるみが生じてしまう事態を防止し、駆動モータの正転時の印刷を確実に行うことができるようにしたプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。
請求項1の発明は、帯状用紙の搬送経路中に設けられ前記帯状用紙を支持するプラテンローラと、前記プラテンローラ上の前記帯状用紙に印刷を行う印刷ヘッドと、前記プラテンローラの上流側に設けられ前記帯状用紙を支持する搬送ローラと、前記搬送ローラに前記帯状用紙を押圧する押圧ローラと、前記プラテンローラ及び前記搬送ローラに回転駆動力を伝える伝動機構と、前記伝動機構を駆動する正逆転可能な駆動モータと、を備え、前記駆動モータの正転及び逆転を行い、前記駆動モータの正転時に前記印刷ヘッドによる印刷を行うプリンタであって、前記伝動機構は、前記駆動モータによって駆動され前記プラテンローラを回転させるプラテンローラ側伝動機構と、前記駆動モータによって駆動され前記搬送ローラを回転させる搬送ローラ側伝動機構と、を備え、前記プラテンローラ側伝動機構と前記搬送ローラ側伝動機構との少なくとも一方は、歯車伝動機構を含み、前記プラテンローラ側伝動機構と前記搬送ローラ側伝動機構との少なくとも一方は、前記駆動モータの逆転時に前記搬送ローラの周速が前記プラテンローラの周速よりもやや速くなるように、前記プラテンローラの回転速度と搬送ローラの回転速度との少なくとも一方の速度を変更する周速度変更を行うこと、を特徴とするプリンタである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のプリンタにおいて、前記周速度変更は、前記歯車伝動機構の減速比を変更することにより行われること、を特徴とするプリンタである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2に記載のプリンタにおいて、前記歯車伝動機構は、前記減速比の変更に用いる遊星歯車機構を有すること、を特徴とするプリンタである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、プリンタは、駆動モータを逆転させて帯状用紙を逆方向に戻す所謂バックフィードを行う場合には、搬送ローラの周速がプラテンローラの周速よりもやや速くなるように搬送ローラの回転速度を変える。したがって、帯状用紙が搬送ローラに引っ張られるようになり、プラテンローラと搬送ローラとの間の帯状用紙にたるみが生じてしまう事態を防止できる。この結果、例えば、プラテンローラと搬送ローラとの間で、センサにより帯状用紙の位置を検知し、このセンサの検知に基づいて次にまた駆動モータを正転させる制御を行うような場合に、帯状用紙のたるみがないので、センサの検知が正確になる。よって、次に、駆動モータが正転させられて帯状用紙が正方向に搬送され印刷ヘッドによる印刷が行われる際、印刷位置のずれを防止することができる。また、プラテンローラと搬送ローラとの間の帯状用紙にたるみが生じないので、印刷ずれも抑止することができ、印刷を良好に行なわせることができる。特に、帯状台紙状のラベルに印刷する場合には、極めて有用になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のプリンタの実施形態を駆動モータの正転時の状態で示す図である。
【図2】本発明のプリンタの実施形態を駆動モータの逆転時の状態で示す図である。
【図3】従来のプリンタの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
【0014】
(実施形態)
図1は、本発明のプリンタの実施形態を駆動モータの正転時の状態で示す図である。
図2は、本発明のプリンタの実施形態を駆動モータの逆転時の状態で示す図である。
なお、図1及び図2は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜簡素化及び誇張して示している。特に、ギアについては、歯形を省略し、単純な円で表現している。また、段ギアについては、外径寸法を誇張して寸法差を大きく示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
【0015】
図1及び図2に示すように、本実施形態のプリンタPは、帯状台紙DにラベルLを所定間隔で仮着した帯状用紙Sの当該ラベルLに印刷を行い、印刷されたラベルLを剥離して図示外の物品に貼付を行うラベル貼付装置として用いられるものである。
プリンタPは、図示外の供給リールと、プラテンローラ1と、印刷ヘッド2と、剥離部材3と、図示外の貼付部と、図示外の巻取リールとを備えている。
図示外の供給リールは、ロール状の帯状用紙Sが装着されて、搬送経路に帯状用紙Sを供給する。
プラテンローラ1は、帯状用紙Sの搬送途中に設けられており、帯状用紙Sを支持する。
印刷ヘッド2は、プラテンローラ1上の帯状用紙Sに印刷を行うサーマル型の印刷ヘッドである。
剥離部材3は、印刷ヘッド2の下流側に設けられており、帯状台紙Dを折り返してこの帯状台紙Dに仮着されたラベルLを剥離する。
図示外の貼付部は、剥離部材3で剥離されたラベルLを物品に貼付する。
図示外の巻取リールは、ラベルLが剥離された帯状台紙Dを巻き取る。
【0016】
また、プリンタPは、搬送ローラ4と、押圧ローラ5と、駆動モータ6と、センサ7と、伝動機構30とを備えている。
搬送ローラ4は、プラテンローラ1の上流側に設けられており、帯状用紙Sを支持する。
押圧ローラ5は、搬送ローラ4に帯状用紙Sを押圧する。
駆動モータ6は、伝動機構30を駆動する正転(Ra方向)及び逆転(Rb方向)可能なモータである。
センサ7は、プラテンローラ1と搬送ローラ4との間に設けられており、ラベルLの端縁を検知する所謂ラベルピッチを検出する。
伝動機構30は、プラテンローラ1と搬送ローラ4とを同期して回転させる。
【0017】
プリンタPは、駆動モータ6の正転(Ra方向)時に伝動機構30により帯状用紙を正方向Haに搬送し印刷ヘッド2による印刷を行わせる。また、プリンタPは、駆動モータ6の逆転(Rb方向)時に伝動機構30により帯状用紙Sを逆方向Hbに戻すことも可能である。プラテンローラ1の半径は、搬送ローラ4の半径よりも僅かに大きく、又は、同等程度に設定されている。駆動モータ6の正転(Ra方向)及び逆転(Rb方向)は、センサ7の検出に基づいて、交互に行われる。
【0018】
伝動機構30は、プラテンローラ側伝動機構10と、搬送ローラ側伝動機構20との2系統に分けて構成されている。
【0019】
プラテンローラ側伝動機構10は、駆動モータ6によって駆動され、プラテンローラ1を回転させる駆動力を駆動モータ6からプラテンローラ1へ伝える。
また、プラテンローラ側伝動機構10は、駆動モータ6の逆転(Rb方向)時に搬送ローラ4の周速がプラテンローラ1の周速よりもやや速くなるようにプラテンローラ1の回転速度を変える周速度変更を行う。
プラテンローラ側伝動機構10は、太陽ギア11と、遊星ギア12と、ギアアーム13と、第1従動ギア14と、第2従動ギア15と、2段ギア16と、アイドルギア17と、アイドルギア18と、プラテンギア19とを備えている。
【0020】
太陽ギア11は、駆動モータ6の出力軸と一体で回転可能に取り付けられている。
【0021】
遊星ギア12は、ギアアーム13により太陽ギア11と繋がっており、太陽ギア11とかみ合っている。遊星ギア12は、太陽ギア11を中心として太陽ギア11の周りを移動(公転)可能である。
【0022】
ギアアーム13は、太陽ギア11と遊星ギア12とを接続する。また、ギアアーム13と遊星ギア12との間には、一定の摩擦力が付与されている。したがって、太陽ギア11が回転すると、他の障害がなければ、遊星ギア12が太陽ギア11の周りを公転することが可能となる。さらに、ギアアーム13の移動可能範囲を制限する位置決めピン8a,8bが設けられている。なお、本実施形態では、駆動モータ6に位置決めピン8a,8bが設けられているが、これらは、他の移動しない部材に設けてもよい。太陽ギア11が正転(Ra方向)すると、ギアアーム13が位置決めピン8aに当接するまで移動し、この位置で、遊星ギア12は、第1従動ギア14とかみ合う。一方、太陽ギア11が逆転(Rb方向)すると、ギアアーム13が位置決めピン8bに当接するまで移動し、この位置で、遊星ギア12は、第2従動ギア15とかみ合う。
これら太陽ギア11と遊星ギア12とギアアーム13とにより、遊星歯車機構が構成されている。
【0023】
第1従動ギア14は、ギアアーム13が位置決めピン8aに当接する状態で、遊星ギア12とかみ合う。また、第1従動ギア14は、2段ギア16の小ギア16aとかみ合っている。
【0024】
第2従動ギア15は、ギアアーム13が位置決めピン8bに当接する状態で、遊星ギア12とかみ合う。また、第2従動ギア15は、2段ギア16の大ギア16bとかみ合っている。
【0025】
2段ギア16は、小ギア16aと、大ギア16bとが一体化された歯車である。なお、図1及び図2中では、小ギア16aと、大ギア16bとは、直径が大きく異なるように誇張して示している。しかし、実際には、これらの歯数比は、例えば歯数が1歯から2歯程度異なるだけでよい。
【0026】
アイドルギア17は、2段ギア16の大ギア16bと、アイドルギア18とにかみ合っている。
【0027】
アイドルギア18は、アイドルギア17と、プラテンギア19とにかみ合っている。
【0028】
プラテンギア19は、アイドルギア18とかみ合っている。また、プラテンギア19は、プラテンローラ1と一体となって回転するように設けられている。
【0029】
搬送ローラ側伝動機構20は、駆動モータ6によって駆動され、搬送ローラ4を回転させる駆動力を駆動モータ6から搬送ローラ4へ伝える。
搬送ローラ側伝動機構20は、原動歯付プーリ21と、従動歯付プーリ22と、タイミングベルト23とを備えている。
原動歯付プーリ21は、太陽ギア11と一体で回転可能となるように設けられており、駆動モータ6の出力軸と一体で回転可能である。
従動歯付プーリ22は、搬送ローラ4と一体で回転可能となるように設けられている。
タイミングベルト23は、原動歯付プーリ21と従動歯付プーリ22との間に掛け渡されている。
【0030】
上述した伝動機構30の構成により、駆動モータ6の正転(Ra方向)時には、プラテンローラ1の周速の方が搬送ローラ4の周速よりもやや速くなり、駆動モータ6の逆転(Rb方向)時には、搬送ローラ4の周速がプラテンローラ1の周速よりもやや速くなる。以下、この切り替えについて、説明する。
【0031】
図1に示した駆動モータ6の正転(Ra方向)時には、遊星ギア12が第1従動ギア14とかみ合っている。上述したように、第1従動ギア14は、2段ギア16の小ギア16aとかみ合っている。この状態では、プラテンローラ1の周速の方が搬送ローラ4の周速よりもやや速くなるように、各ギアの歯数とプーリの歯数とが設定されている。
【0032】
一方、図1の状態から、駆動モータ6が逆転(Rb方向)すると、遊星ギア12が図中の右回転方向(Rb方向)に公転し、ギアアーム13が位置決めピン8bに当接するまで移動する。ギアアーム13が位置決めピン8bに当接した状態で駆動モータ6が逆転(Rb方向)を続けると、遊星ギア12が第2従動ギア15とかみ合っていることから、駆動力の伝達経路が駆動モータ6の正転(Ra方向)時とは異なる。ここで、第2従動ギア15は、2段ギア16の大ギア16bとかみ合っているので、第1従動ギア14と2段ギア16の小ギア16aとがかみ合っている状態よりも、アイドルギア17に対する減速比が大きくなる。したがって、駆動モータ6の逆転(Rb方向)時には、駆動モータ6の正転(Ra方向)時よりも、駆動モータ6の1回転に対するプラテンローラ1の回転数を少なくできる。本実施形態では、駆動モータ6の逆転(Rb方向)時には、搬送ローラ4の周速がプラテンローラ1の周速よりもやや速くなるように、2段ギア16の小ギア16aと大ギア16bとの歯数比を設定している。
【0033】
本実施形態のプリンタPにより、帯状用紙SのラベルLに印刷を行うときには、先ず、図1に示すように、駆動モータ6を正転(Ra方向)させプラテンローラ側伝動機構10と搬送ローラ側伝動機構20とを同期して駆動する。これにより、帯状用紙が正方向Haに搬送され印刷ヘッド2による印刷が行われる。この駆動モータ6の正転(Ra方向)時には、遊星ギア12は、第1従動ギア14とかみ合っているので、プラテンローラ1の周速は、搬送ローラ4の周速よりもやや速くなる。したがって、帯状用紙Sがプラテンローラ1に引っ張られるようになり、プラテンローラ1と搬送ローラ4との間の帯状用紙Sにたるみが生じてしまうことがなく、印刷ヘッド2により、先のラベルLに印刷が行われる。
【0034】
先のラベルLに印刷が行われると、さらに、駆動モータ6が正転(Ra方向)させられて帯状用紙Sは剥離部材3側に搬送される。搬送された帯状台紙Dが剥離部材3で折り返されると、帯状台紙Dに仮着したラベルLが剥離して、貼付部により持ち出されて物品に貼付される。この場合には、一時的に駆動モータ6は停止される。また、次のラベルLに対しては、印刷ヘッド2による印刷は行われない。
【0035】
その後、図2に示すように、駆動モータ6を逆転(Rb方向)し、プラテンローラ側伝動機構10と搬送ローラ側伝動機構20とを同期して駆動し、所謂バックフィードを行う。これにより、帯状用紙Sが逆方向Hbに搬送される。この駆動モータ6の逆転(Rb方向)時には、遊星ギア12は、第2従動ギア15とかみ合っているので、搬送ローラ4の周速がプラテンローラ1の周速よりもやや速くなる。したがって、帯状用紙Sが搬送ローラ4に引っ張られるようになり、プラテンローラ1と搬送ローラ4との間の帯状用紙Sにたるみが生じてしまうことがなくなる。
【0036】
そして、次のラベルLを印刷ヘッド2より上流側に位置させ、それから、再び駆動モータ6を正転(Ra方向)させて帯状用紙Sを正方向Haに搬送し、上記と同様に、印刷ヘッド2により次のラベルLに印刷を行うようにする。この場合、プラテンローラ1と搬送ローラ4との間で、センサ7により帯状用紙Sの位置を検知し、このセンサ7の検知に基づいて駆動モータ6を正転(Ra方向)させる制御を行う。ここで、帯状用紙Sのバックフィード時に、帯状用紙Sのたるみがないので、それだけ、センサ7の検知が正確になり、再び帯状用紙Sが正方向Haに搬送され印刷ヘッド2による印刷が行われる際、印刷位置のずれが防止される。また、プラテンローラ1と搬送ローラ4との間の帯状用紙Sにたるみが生じないので、印刷ずれも抑止され、印刷が良好に行われる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態によれば、遊星歯車機構により歯車伝動機構の減速比を変更するので、駆動モータが逆転するバックフィード時に搬送ローラの周速がプラテンローラの周速よりもやや速くできる。よって、プラテンローラと搬送ローラとの間の帯状用紙にたるみが生じてしまう事態を防止し、駆動モータの正転時の印刷を確実に行うことができる。また、減速比の変更は、別途アクチュエータ等を用意することなく、駆動モータの回転方向が変わる度に自動的に行われるので、簡単な構成でありながら、確実な動作を行える。
【0038】
本実施形態において、プリンタPは、ラベル貼付装置として用いられたが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、ラベル切断機、又は、スキャナ等でラベルLを検証するラベル検証器等、各種機器に用いてもよい。
【0039】
本実施形態において、帯状用紙Sは、帯状台紙DにラベルLを仮着したものを例に挙げて説明した。これに限らず、例えば、台紙なしラベルの連続体等、どのような形態の帯状用紙であってもよい。
【0040】
各実施形態において、プラテンローラ側伝動機構10が遊星歯車機構を有し、駆動モータ6の逆転(Rb方向)時に搬送ローラ4の周速がプラテンローラ1の周速よりもやや速くなるようにプラテンローラ1の回転速度を変える例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、搬送ローラ側伝動機構20に遊星歯車機構を設け、搬送ローラ側伝動機構20が搬送ローラ4の回転速度を変えるようにしてもよい。
【0041】
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0042】
1 プラテンローラ
2 印刷ヘッド
3 剥離部材
4 搬送ローラ
5 押圧ローラ
6 駆動モータ
7 センサ
8a 位置決めピン
8b 位置決めピン
10 プラテンローラ側伝動機構
11 太陽ギア
12 遊星ギア
13 ギアアーム
14 第1従動ギア
15 第2従動ギア
16 段ギア
16a 小ギア
16b 大ギア
17 アイドルギア
18 アイドルギア
19 プラテンギア
20 搬送ローラ側伝動機構
21 原動歯付プーリ
22 従動歯付プーリ
23 タイミングベルト
30 伝動機構
100 供給リール
101 プラテンローラ
102 印刷ヘッド
103 剥離部材
104 搬送ローラ
105 押圧ローラ
110 ベルト伝動機構
111 駆動モータ
112 原動回転軸
113 原動歯付プーリ
114 プラテン回転軸
115 従動歯付プーリ
116 従動回転軸
117 従動歯付プーリ
118 タイミングベルト
119 ラベルピッチ検出センサ
D 帯状台紙
Ha 正方向
Hb 逆方向
L ラベル
P プリンタ
S 帯状用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状用紙の搬送経路中に設けられ前記帯状用紙を支持するプラテンローラと、
前記プラテンローラ上の前記帯状用紙に印刷を行う印刷ヘッドと、
前記プラテンローラの上流側に設けられ前記帯状用紙を支持する搬送ローラと、
前記搬送ローラに前記帯状用紙を押圧する押圧ローラと、
前記プラテンローラ及び前記搬送ローラに回転駆動力を伝える伝動機構と、
前記伝動機構を駆動する正逆転可能な駆動モータと、
を備え、前記駆動モータの正転及び逆転を行い、前記駆動モータの正転時に前記印刷ヘッドによる印刷を行うプリンタであって、
前記伝動機構は、
前記駆動モータによって駆動され前記プラテンローラを回転させるプラテンローラ側伝動機構と、
前記駆動モータによって駆動され前記搬送ローラを回転させる搬送ローラ側伝動機構と、
を備え、
前記プラテンローラ側伝動機構と前記搬送ローラ側伝動機構との少なくとも一方は、歯車伝動機構を含み、
前記プラテンローラ側伝動機構と前記搬送ローラ側伝動機構との少なくとも一方は、前記駆動モータの逆転時に前記搬送ローラの周速が前記プラテンローラの周速よりもやや速くなるように、前記プラテンローラの回転速度と搬送ローラの回転速度との少なくとも一方の速度を変更する周速度変更を行うこと、
を特徴とするプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタにおいて、
前記周速度変更は、前記歯車伝動機構の減速比を変更することにより行われること、
を特徴とするプリンタ。
【請求項3】
請求項2に記載のプリンタにおいて、
前記歯車伝動機構は、前記減速比の変更に用いる遊星歯車機構を有すること、
を特徴とするプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−218380(P2012−218380A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88893(P2011−88893)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)サトーホールディングス株式会社 (1,153)
【Fターム(参考)】