説明

プリント合成スエード革及びその製造方法

本発明は、プリント合成スエード革の製造方法、その方法により製造されたプリント合成スエード革、並びに自動車及び家具用途におけるカバーとしての又は外衣としての該合成スエード革の使用に関する。この製造方法は、(a)水性ポリウレタン分散体を含んでなる組成物を生成し、(b)生成した組成物を、糸からなるプリント布基材に適用し、(c)ポリウレタン分散体を凝固させ、(d)乾燥し、(e)縮合する工程を含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成スエード革の製造方法、その方法により製造された合成スエード革、並びに自動車及び家具用途におけるカバーとしての又は外衣としての該合成スエード革の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
デザインの理由から、合成皮革上にパターンを形成することがしばしば望まれる。そのようなパターンは、種々の印刷技術を用いて、合成皮革上にパターンを印刷することにより形成される。例えば、EP-A-904 950 は、繊維基礎材料上に隠蔽層を形成し、該隠蔽層の上に易染色性層を形成し、該易染色性層上にインクジェットシステムによりイメージを形成し、イメージの上に透明保護層を形成することからなる皮革様シートの製造方法を開示している。
【特許文献1】EP-A-904 950
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような背景技術に対し、本発明の目的は、容易に実施でき、デザイン効果に優れ、耐摩耗性のパターンを供給できる合成スエード革を製造できる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、この課題を下記の製造方法により解決する:
(請求項1)
さらに本発明は、この方法により得られる合成皮革も提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明において使用されるポリウレタン分散体は、水性分散体である限り、特に限定されない。「ポリウレタン」なる用語は、ポリウレタンポリウレアも包含する。ポリウレタン(PUR)分散体及びその製法の概観は、Rosthauser 及びNachtkamp 著 "Waterborne Polyurethanes, Advances in Urethane Science and Technology" 第10巻121〜162頁(1987)に見出すことができる。適当な分散体は、例えば、"Kunststoffhandbuch" 第7巻、第2版(Hanser) 24〜26頁にも記載されている。好ましくは、本発明において使用されるポリウレタン分散体は、後硬化に適したポリウレタン分散体である。
【0006】
本発明において使用される分散体の構成成分は、以下のものであってよい:
1)有機ジ−及び/又はポリイソシアネート、例えばテトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2−メチルペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(THDI)、ドデカンメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、3−イソシアナトメチル−3,3,5−トリメチルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート=IPDI)、4,4'−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(DesmodurTM W)、4,4'−ジイソシアナト−3,3'−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4'−ジイソシアナトジシクロヘキシルプロパン−(2,2)、1,4−ジイソシアナトベンゼン、2,4−又は2,6−ジイソシアナトトルエン又はこれら異性体の混合物、4,4'−、2,4'−又は2,2'−ジイソシアナトジフェニルメタン又はこれら異性体の混合物、4,4'−、2,4'−又は2,2'−ジイソシアナトジフェニルプロパン−(2,2)、p−キシレンジイソシアネート及びα,α,α',α'−テトラメチル−m 又はp−キシレンジイソシアネート(TMXDI)、若しくはこれら化合物の混合物。
変性の目的で、これらジイソシアネートのトリマー、ウレタン、ビウレット、アロファネート又はウレトジオンを少量使用することもできる。MDI、DesmodurTM W、HDI及び/又はIPDI が特に好ましい。
【0007】
2)1分子あたり1〜8個、好ましくは1.7〜3.5個の水酸基及び16000まで、好ましくは4000までの(平均)分子量を有するポリヒドロキシ化合物。低分子量ポリヒドロキシ化合物と呼ばれる化合物、例えば、エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、1ヒドラジンと2プロピレンブルコールの反応生成物、及び350〜10000、好ましくは840〜3000の分子量を有するオリゴマー又はポリマーポリヒドロキシ化合物も使用できる。
【0008】
より高分子量のヒドロキシ化合物は、ポリウレタン化学の分野で既知の、ヒドロキシポリエステル、ヒドロキシポリエーテル、ヒドロキシポリチオエーテル、ヒドロキシポリアセテート、ヒドロキシポリカーボネート及び/又はヒドロキシポリエステルアミド、好ましくは350〜4000、特に好ましくは840〜3000の平均分子量を有する化合物である。ヒドロキシポリカーボネート及び/又はヒドロキシポリエーテルがとりわけ好ましい。これらを使用することにより、加水分解に対して特に安定な凝固物を得ることができる。
【0009】
3a)酸基及び/又は塩の形で存在する酸基並びに少なくとも1つのイソシアネート反応性基(例えば、OH又はNH基)を有するイオン性又は潜在的イオン性親水化剤。その例は、エチレンジアミン−β−エチルスルホン酸のナトリウム塩(AAS塩溶液)、ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、ジメチロール酪酸、DE-A-24 46 440 に記載の脂肪族ジオールを含む脂肪族ジオール、ヒドロキシピバリン酸、又は1モルのジアミン(好ましくはイソホロンジアミン)と1モルのα,β−不飽和カルボン酸(好ましくはアクリル酸)との付加物(ドイツ特許出願197 50 186.9参照)である。カルボキシレート及び/又はカルボキシル基を含む又はジメチロールプロピオン酸型の後者親水化剤が好ましい。
【0010】
3b)300〜5000の分子量を有するモノ及び/又はジ官能性ポリエチレンオキシド又はポリエチレンプロピレンオキシドアルコールの形の非イオン性親水化剤。特に好ましくは、35〜45重量%のエチレンオキシド単位及び900〜2500の分子量を有するn−ブタノール系モノヒドロキシ官能性エチレンオキシド/プロピレンオキシドポリエーテルである。少なくとも3重量%、特に少なくとも6重量%の含有量の非イオン性親水化剤が好ましい。
【0011】
4)イソシアネート基用ブロック剤、例えばオキシム(アセトン、ブタノン又はシクロヘキサノンオキシム)、第2級アミン(ジイソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン)、NH−酸性複素環式化合物(3,5−ジメチルピラゾール、イミダゾール、1,2,4−トリアゾール)、CH−酸性エステル(マロン酸C−Cアルキルエステル、酢酸エステル)又はラクトン(ε−カプロラクタム)。ブタノンオキシム、ジイソプロピルアミン及び1,2,4−トリアゾールが特に好ましい。
【0012】
5)後硬化性分散体のポリマー骨格に特定の性質を与える組み込み連鎖延長剤としてのポリアミン。例えば、下記6)で説明されるポリアミンが含まれる。3a)に記載されたジアミノ官能性親水化剤も、組み込み連鎖延長剤として適している。エチレンジアミン、IPDA及びH12MDA が特に好ましい。
【0013】
6)加熱下での後硬化用ポリアミン架橋剤。これら架橋剤は、好ましくは脂肪族又は脂環式ジアミンであり、3官能性ポリアミン又はより高官能性のポリアミンも、特定の性質を発現させるために場合により使用することもできる。通常、付加的な官能基、例えばOH基を有するポリアミンを使用することができる。常温又はわずかに高い温度、例えば20〜60℃でポリマー骨格に組み込まれないポリアミン架橋剤を、反応性分散体の製造時に又はその後の任意の時点で、混合することができる。適当な脂肪族ポリアミンの例は、エチレンジアミン、プロピレンジアミン−1,2及び−1,3、テトラメチレンジアミン−1,4、ヘキサメチレンジアミン−1,6、2,2,4−及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの異性体混合物、2−メチルペンタメチレンジアミン及びビス−(β−アミノエチル)アミン(ジエチレントリアミン)である。
【0014】
上記の構成成分は、反応性分散体中に、以下の好ましい量範囲で存在する。全6成分の添加により、分散液の固形分100重量%となる。
【表1】

【0015】
使用されるPUR分散体の固形分は、好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、特に少なくとも65重量%である。
【0016】
適当なPUR分散体は、DE 198 56 412 A1 に記載されている。本発明において好ましく使用されるPUR分散体には、Tubicoat PU80(製造/販売者:CHT R. Beitlich GmbH, Tuebingen)、Witcobond W-293(固形分67%)及びMillikogate 1200(Milliken, U.S.A.)が包含される。
【0017】
加えて、本発明で使用される組成物は、一般に、温度を上昇させた時にポリウレタンの均一凝固を促進する1種又はそれ以上の物質を含む。このような物質、凝固剤は、通常、ある条件、例えばある温度においてポリウレタンを凝固させる塩又は酸、例えば有機酸のアンモニウム塩(Tubicoat-Koagulant AE 24% (Tuebingen 在CHT R. Beitlich GmbH 製)など)である。このような物質は、酸発生化合物、すなわち室温では酸ではないが、加熱すると酸に変換される物質を含んでもよい。そのような化合物の具体例には、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールホルメート、ジエチレングリコールホルメート、トリエチルシトレート、モノステアリリルシトレート、及びHighpoint Chemical Corporation から商品名Hipochem AG-45 として市販されている有機酸エステルが包含される。凝固剤は、ポリウレタン分散体の固形分に基づき好ましくは1〜10重量%の量で、組成物中に存在する。
【0018】
加えて、本発明に従って使用される組成物は、加熱すると室温でよりも水溶性が低下する界面活性剤を含んでいてよい。このような界面活性剤は、ゲル化の際にポリウレタンラテックスに結合し、組成物が適用された布基材の表面全体でのラテックスの均一な凝固を促進する。このような要求を満たす特定の界面活性剤には、ポリエチレンオキシド、ポリ(エチレン/プロピレン)オキシド、ポリチオエーテル、ポリアセタール、ポリビニルアルキルエーテル、有機ポリシロキサン、ポリアルコキシル化アミン及びこれら化合物の誘導体が包含され、商品名Catafix UTMとしてClariant から入手できるポリアルコキシル化アミンが好ましい。
【0019】
本発明によれば、US-5,916,636、US-5,968,597、US-5,952,413及びUS-6,040,393に記載されたような、凝固の為の物質及び凝固の為の適切な方法を使用することができる。
【0020】
加えて、本発明で使用される組成物は、好ましくは発泡剤、一般に界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤(例えば、アルキルアミンオキシド)、又はアニオン性界面活性剤(例えば、ステアリン酸アンモニウム、Tuebingen 在CHT R. Beitlich GmbH 製発泡剤 Tubicoat AOS)を含んでいてよい。使用される発泡剤の量は、布基材に適用された後、好ましくは凝固まで安定である発泡体が供給されるように、選択される。その量は、ポリウレタン分散体の固形分に対して、一般に0.01〜10重量%、好ましくは1〜10重量%である。
【0021】
更に、本発明の組成物は、気泡安定剤を含んでいてよい。気泡安定剤として、既知の化合物、例えば水溶性脂肪酸アミド、炭化水素スルホネート又は石鹸質化合物(脂肪酸塩)、具体的には、親水性基が12〜24個の炭素原子を含む化合物、特に炭化水素基中に12〜22個の炭素原子を有するアルカンスルホネート、全炭化水素基中に14〜24個の炭素原子を有するアルキルベンゼンスルホネート若しくは12〜24個の炭素原子を有する脂肪酸の脂肪酸アミド又は石鹸質脂肪酸塩を使用することができる。水溶性脂肪酸アミドは、好ましくはモノ−又はジ−(C2−3アルカノール)アミンの脂肪酸アミドである。例えば、石鹸質脂肪酸は、アルカリ金属塩、アミン塩又は未置換アンモニウム塩であってよい。既知の化合物は、通常、脂肪酸と見なされており、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リシノール酸、ベヘン酸又はアラキン酸、若しくはココナツ脂肪酸、獣脂脂肪酸、大豆脂肪酸又は工業用オレイン酸及びこれらの水素化生成物のような工業用脂肪酸である。特に好ましいのは、高級飽和脂肪酸、とりわけ16〜24個の炭素原子を有する高級飽和脂肪酸、主としてステアリン酸及び水素化獣脂脂肪酸の未置換アンモニウム塩である。気泡安定剤は、発泡条件下でも適用条件下でも分解しないような種類でなければならない。適当なアンモニウム塩は、90℃以上、好ましくは100℃以上の分解温度を有する化合物である。所望により、より弱いアニオン性である安定剤(B)、特にカルボン酸塩又はアミドを、より強いアニオン性である界面活性剤(B)、特に上記のスルホネート又は好ましくは脂肪アルコールスルホネート(有利にはその塩の形(上記のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩))と、例えば95/5〜50/50、有利には85/15〜65/35の(B)/(B)重量比で、組み合わせることができる。
【0022】
本発明で使用される組成物は、好ましくは可塑剤、増粘剤、定着剤、乳化剤、難燃剤、顔料及び/又はサンスクリーン剤を含むこともできる。
【0023】
適当な可塑剤は、A. K. Doolittle, "The Technology of Solvents and Plasticizers", J. Wiley & Sons. Ltd. に記載された物質である。ポリマー可塑剤が好ましく使用され、例えばTubicoat MV(Tuebingen 在CHT R. Beitlich GmbH 製)である。可塑剤の量は、最終製品の良好な耐摩耗性を確保するために、できるだけ少量でなければならない。可塑剤は、組成物の合計重量に対して、好ましくは10重量%まで、より好ましくは2〜7重量%の量で使用される。
【0024】
適当な増粘剤は、常套の増粘剤、例えばポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン又はセルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、又はTubicoat HEC(Tuebingen 在CHT R. Beitlich GmbH 製)などのヒドロキシエチルセルロース)である。
【0025】
本発明に好ましい定着剤は、アミノプラスト又はフェノール樹脂である。適当なアミノプラスト又はフェノール樹脂は、周知の市販製品である(Ullmanns Enzyklopaedie der technischen Chemie, 第7巻、第4版、1974、403-422頁、及びUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第A19巻、第5版、1991、371-384頁参照)。
【0026】
メラミン−ホルムアルデヒド樹脂が好ましく、メラミンの20モル%を等量のウレアで置換することも可能である。メチロール化メラミン、例えばビ−、トリ−及び/又はテトラメチロールメラミンが好ましい。
【0027】
メラミン−ホルムアルデヒド樹脂は、通常、粉末、又は濃縮水溶液の形で使用され、水溶液は40〜70重量%の固形分を有する。例えば、Tubicoat Fixierer HT(Tuebingen 在CHT R. Beitlich GmbH 製)を使用してよい。
【0028】
乳化剤として、本発明で使用する組成物は、硫酸アルキル、ベンゼンスルホン酸アルキル、スルホコハク酸ジアルキル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアシルエステル及びアルキルアリールポリグリコールエーテル、例えばTubicoat Emulgator HF(Tuebingen 在CHT R. Beitlich GmbH 製)、若しくはアルカリ又はアンモニウム塩の形の脂肪酸塩を含んでいてよい。
【0029】
適当な難燃剤は、三酸化アンチモンSbO、五酸化アンチモンSbO、水和アルミナAlO・3HO、ホウ酸亜鉛Zn(BO)・2HO又は2ZnO・(BO)・(HO)3.5、オルト−又はポリリン酸アンモニウムNHHPO又は(NHPO)、及びクロロパラフィンである。
【0030】
特に好ましい難燃剤は、ホスホン酸エステル、とりわけ(5−メチル−2−メチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン−5−イル)メチルホスホネート−P−オキシド、及びビス(5−エチル−2−メチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン−5−イル)メチルメチルホスホネート−P,P'−ジオキシドである。
【0031】
PUR分散体を含む組成物は更に、布基材上にプリントされたパターンの外観に不利にならないような量で、顔料を含んでいてよい。顔料は、発泡の前又は後に、好ましくは発泡の前に添加することができる。本発明で使用される顔料は、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第5版、第A20巻、1992、243-413頁に記載されている。本発明で使用される顔料は、無機又は有機顔料であってよい。使用される顔料の耐光堅牢度は、できるだけ高く、好ましくは下記顔料の耐光堅牢度の範囲である:顔料Bezaprint、例えば、Bezaprint Gelb PR (黄)、Bezaprint Gruen B (緑)、Bezaprint Rosa BW (桃)、Bezaprint Braun TT (茶)、Bezaprint Violet FB (紫)、Bezaprint Rot KGC (赤)、Bezaprint Blau BT (青)、及びBezaprint Brau B2G (青)(全てスイスMontlingen 在Bezema AG から販売);PIGMATEX Gelb 2 GNA (60456)、PIGMATEX Gelb K (60455)、PIGMATEX Fuchsia BW (60416)、PIGMATEX Marine RN (60434)、PIGMATEX Braun R (60446)、PIGMATEX Schwarz T (60402)(全てドイツBad Honnef 在SUNChemical から販売);Oker E.M.B. (Ref. 3500)、Rot-Violett E.M.B. (Ref. 4406)、Braun E.M.B. (Ref. 5550) 及びBlau E.M.B. (Ref. 6500)(全てベルギーBronheim 在EMB NR から販売)。これらは、本発明にとって特に好ましい。耐光堅牢度値は、好ましくは少なくとも6,より好ましくは少なくとも7である(ブルースケール;1g/kg、DIN 75 202 参照)。
【0032】
サンスクリーン、例えばビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及びメチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、UV吸収剤及び立体障害フェノールも、本発明で使用する組成物中に含まれていてよい。
【0033】
本発明で使用する糸の布基材は、特に限定されない。特に好ましい糸は、個々のフィラメントの平均繊度が2.5デニール以下、好ましくは0.01〜1.6デニール、特に0.6〜1.4デニールである細フィラメント糸である。さらに、ポリエステル糸が好ましい。
【0034】
特に有用な糸には、例えば、0.6デニール〜約1.4デニールのフィラメント繊度を有するフラット又はテキスチャード加工ポリエステル糸、例えば、フラット又はテキスチャード加工(例えば、フラットツイストテキスチャード加工)ポリエステルフィラメント糸が含まれる。更に、異なる収縮率を有する成分からなる糸も、風合い特性を増すのに適している。
【0035】
カバリング(外観、取り扱い性)の形成に寄与しない糸については、繊度は関係しない(例えば、後記実施例2、ガイドバー3参照)。
【0036】
更に、ミクロスプリット糸の布基材も使用することができ、マイクロファイバー(超極細繊維)は、好ましくは0.01〜0.4デニール、より好ましくは0.08〜0.25デニールの繊度を有する。例えば、マイクロファイバーは、例えば、以下のようにして製造される。まず、少なくとも2種のポリマーのマルチコンポーネント繊維を、低相溶性及び低相互溶解性を有する少なくとも2種のポリマーを混合し、溶融し、次いで、該溶融混合物を紡糸することを含む方法により、又は、相溶性及び相互溶解性を有しない少なくとも2種のポリマーを溶融し、両者を紡糸ジェットの近くで合わせ、紡糸することを含む方法により、形成する。このようにして得たマルチコンポーネント繊維では、少なくとも1種のポリマーが分散相(「島成分」、すなわちマイクロファイバー成分)を形成し、他のポリマーが分散媒体相(「海成分」)を形成する。マイクロファイバー(「島」)は、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル、6−又は6,6−ポリアミド、綿、綿/ポリエステルブレンド、ウール、ラミー又はライクラ(Lycra)、好ましくはポリエステルから形成されていてよく、「海」又はファイバージャケットは、ポリスチレン、スチレンコポリマー、ポリエチレン、エチレン/プロピレン共重合体、スルホイソフタル酸ナトリウム、共重合ポリエステルマトリックス又はこれらの混合物の形で存在していてよい。フィラメントは、以下の特性を有することができる:1.4〜10デニール、好ましくは3.4〜3.8デニール、延伸比2:1〜5:1、4〜15クリンプ/cm。加えて、フィラメントは、4〜14重量部のマイクロファイバー、20〜50重量部のマトリックス、所望により約3重量部のポリエチレングリコール(これは、マトリックスに含まれている)を含んでいてよい。通常、フィラメントはフェルトに加工され、次いで、フェルトは、0.15〜0.35g/cmの密度を有するニードル−フェルトが得られるように、ニードルされる。その後、ニードル−フェルトは、スプリッティング浴、例えば、「海」成分の性質に依存してポリビニルアルコール水溶液、ハロゲン化炭化水素又は3%水酸化ナトリウム溶液に浸漬される。得られた製品は、乾燥され、本発明に従って使用される布基材の一例となる。
【0037】
糸から製造された布基材は、織布、不織布、編物、又はワープニット(これが好ましい)であってよい。好ましい布基材は、EP 0 584 511 B1 及びEP 0 651 090 B1 に記載された布からなる。
【0038】
その表面にパターンがプリントされる布基材は、未処理白色基材又は予備染色基材であってよい。予備染色には、後老化耐光堅牢性布の為の分散染料が好ましく使用され、最も好ましくは、Terasil HTM ブランド(Ciba 製)及びResolinTM ブランド(Bayer製)が使用される。使用される分散染料の耐光堅牢度は、好ましくは、これらブランドの染料の範囲にある。
【0039】
布基材上のパターンは、通常のプリント方法、好ましくはフラット又は回転スクリーン印刷法により、得られる。このプリント方法により、布基材上にプリントパターンが形成される。プリントパターンは、好ましくは多色デザインである。プリントパターンが単色である場合、プリントパターンは、好ましくは、スエード調革のしぼ構造に似せられる。すなわち、単色が、しぼ様パターンが得られるように、異なる色深みで適用される。染料は、好ましくは分散染料、例えば、ポリエステルのプリントに一般的に使用されている染料である(例えば、J.F. Dawson; "The structure and properties of disperse dyes for polyester coloration", J. Soc. Dyers Colour. 99 (1983), 193 参照)。使用される分散染料の光堅牢度は、好ましくは、Terasil HTM ブランド(Ciba 製)及びResolinTM ブランド(Bayer製)の範囲にある。更に、プリントペーストは、好ましくは、ポリエステルのプリントに要求される安定性及び接着性を示す。
【0040】
布基材は、好ましくは、MillitronTM ジェット染色機を使用して染色することができる。この染色機は、布をピクセル状にジェット染色する優れた装置であり、Milliken & Company(ジョージア州Lagrange)から販売されている。
【0041】
そのようなジェット染色機に関する技術は、米国特許第3,894,413号、同第4,116,626号、同第5,136,520号、同第5,142,481号、同第5,208,592号及び同第6,120,560号に開示されている。
【0042】
上記米国特許明細書に記載された装置及び方法では、パターンは、ピクセルにより規定され、個々の着色剤、又は複数の着色剤の組み合わせが、各ピクセルに割り当てられて、基材上のピクセル又はピクセルサイズ領域に対応した所望の色が与えられる。特定のピクセルへの着色剤の適用は、柄付けされる移動している基材の移動方向に対して横断するように配置されたカラーバーの長さにそって組み込まれた多数の着色剤アプリケータを用いて行われる。所定のカラーバー内の各アプリケータには同じ着色剤容器から着色剤が供給されるが、異なるアレーには、典型的には異なる着色剤を含む異なる着色剤容器から供給される。カラーバーの長さに沿ったアプリケータの位置、及び移動している基材上の対象ピクセルの位置に対するカラーバーの位置に対応するアプリケータ作動命令を発生させることにより、任意のカラーバーから得られる着色剤(分散染料、特に上記の染料)が、描かれる特定のパターンが必要とするように、基材上のパターン領域内のピクセルに供給され得る。
【0043】
米国特許第6,120,560号には、布基材のプリント又は染色方法の典型的態様が記載されている。パターンが描かれる布基材は、まずプレスチーマーに付され、これにより、次工程での立体陰影染色(solid shade dyeing)に備えて基材中の糸がかさ高にされる。立体陰影染色工程は、装置が、単一工程で布基材に染料を均一に適用し定着できるかぎり、種々の市販装置を用いて実施することができる。
【0044】
立体陰影染色工程で選択した色が比較的薄く、比較的中立であると、後の多色柄付けに最も効果的であることが見出された。従って、グレー又はベージュ、特にベージュの薄い陰影が好ましいが、他の色又は陰影も、柄出し工程で使用される色の種類及び所望される全体のパターン効果によっては、好ましい。立体陰影染色工程は、省略することもでき、糸を、糸染色、又は溶液染色、ベック(Beck)染色などにより染色することもできる。また、白色又は灰色がかった白色の糸を、ウエット・アウト(wet out application)又は柄出し装置に直接送り、立体陰影染色又は真空引きを省略することもできる。
【0045】
(含まれるなら)立体陰影染色工程における基材への染料の均一な適用及び定着に続き、基材は、バキュームスロット又は過剰の湿分(例えば、水及び染色工程から生じる凝縮物)を除去するための他の手段を通過させる。この工程の後、基材は、室温で液体の染料の高度に局在化された個々の流れ又は液滴を用いて基材にパターンが適用される場合の色の深い浸透及び独立したパターンを達成するのに有用な界面活性剤及び他の薬品を適用することにより、色パターン染色工程の為に準備される。この時点での薬品の適切な混合は、基材の性質、使用する柄出し装置の特性及び操作パラメータ、染料の性質及び粘度や他の因子を含む、多数の因子に依存する。これら薬品を適用する方法は、含浸量が十分であり、先に染色された表面に悪影響を与えない限り、特に限定されない。この工程の結果に依存して、柄出しの前に基材から過剰の湿分を除去するために、付加的な任意の真空引き工程などを行ってもよい。
【0046】
これらの工程の後、基材は、染料ジェット柄出し装置に送られる。基材は、ロールを通過し、一連の染料アプリケータアレーを通過させるためにコンベアシステムに送られる。各アレーには、別個の染料供給システムから染料が供給され、好ましくは異なる色の染料を適用する。典型的には、8つの色パレットを用いるために、8つのアレーが備えられる。8色を超えるはるかに多数の色を、様々な色混合及びブレンド技術によって、基材上に発現することができる。柄出し装置の詳細は、特に重要ではないと考えられる。通常、柄出し装置を通過している基材、及び柄出し装置において基材に適用される染料の両方が、実質的に室温にある。基材の柄出しが完了し、基材が柄出し装置から離れるまでに染料を完全に又は部分的に定着させる為に、染色工程に熱又は他の形のエネルギーを加える必要はない。
【0047】
柄出し装置は、米国特許第3,894,413号に記載されているような、供給テーブル、ジェットアプリケータ、スチームチャンバ、水洗機、熱風乾燥機及び収集テーブルを含むジェット染色装置からなる。この柄出し工程の後、基材は、スチーマに送られ、そこで、柄出し工程で適用された染料が定着され、次いで、洗浄機に送られて、過剰の染色薬品が除去され得る。最後に、基材は乾燥機に送られて、乾燥される。柄出しが完了するまで染料の定着を遅らせることにより、基材に堆積された後に異なる染料が混合及びブレンドする能力の故に、非常に鮮やかで多種類の発色効果を作り出す機会が生じる。例えば、アプリケータアレーの1つからの未定着染料を有する基材上の領域を、別のアプリケータアレーからの異なる色の染料のターゲットとすることができ、これにより、2つの異なる未定着染料のその場でのブレンドが起こる。同様に、異なる色の染料のターゲットは、先に染色した領域の縁の近傍から選択することができ、これにより、主として2つの未定着染料領域の間の境界に沿って、その場で染料の拡散が起こる。
【0048】
その後、染料は、繊維内に定着される。定着は、好ましくは、高温(HT)蒸気定着(5〜10分;170〜180℃)により、又はサーモゾル定着(乾熱;190〜210℃で30秒〜2分間)により行われる。HT蒸気定着が好ましく、最も好ましくは、180℃で8分間の滞留時間でのHT蒸気定着である。
定着工程の後、洗浄及び乾燥工程が続く。
【0049】
得られたプリントパターンでは、好ましくは、色が布に浸透している。多層布の場合、色は、好ましくは、少なくとも第1層に浸透している。第1層は、通常目視できるトップ層であり、トップ層が外観及び風合い特性を決定する。パイル生地の場合、プリントされた色は、好ましくは、パイル及びベース生地の両方に存在する。特に好ましい態様では、プリントパターンは、プリントされた面とは反対の布面でも認識できる。
【0050】
プリントパターンは、高い耐摩耗性を示す。好ましくは、プリントパターンは、35000回、より好ましくは50000回、最も好ましくは60000回の摩擦の後にも、なお認識することができる(Martindale テスト;EN ISO 12947-1及び-2に従って測定)。パターンの耐摩耗性は、とりわけ、プリント中に加えられる圧力及びプリントペーストの粘度により制御することができる。
【0051】
プリントされた布基材には、ポリウレタン発泡体を適用することができる。
本発明の方法の個々の工程を以下で詳しく説明する。
ポリウレタン分散体及び所望により顔料を含む組成物は、まず発泡させる。その為に、組成物は、機械的に発泡させることができる。これは、高剪断力下の発泡混合装置において行うことができる。加圧空気中での吹込による泡発生機中での発泡が、別の発泡方法である。好ましくは、Stork ミキサー又は発泡プロセッサ、例えばStork FP3 foam processor が使用される。発泡は、好ましくは250〜600g/L、特に好ましく300〜500g/Lの発泡体密度が得られるように行われる。
【0052】
次いで、発泡した組成物を、通常の塗布装置、例えば、ドクターブレードのようなブレード、ローラ又は他の発泡体塗布装置により、基材に適用される。ブレード装置、例えばEP 0 879 145 B1 又はEP 0 828 610 B1 に記載されている種類のブレード装置が好ましい。好ましくは交換式スキージーブレードを有する密閉スキージーシステム、例えばStork Rotary Screen Coating Unit CFT が特に好ましい。発泡組成物は、一方の面又は両方の面に適用できる。適用量は、縮合の後の重量増加が、布基材に基づき、少なくとも20%、好ましくは30〜40%、例えば33%になるように選択される。1平方メートル(m)あたりの適用量は、密閉スキージーシステムにおける圧力により、又はスクリーンのメッシュ数により、影響される。適用される湿潤重量は、好ましくは布基材の重量に対応する。基材上での気泡分解速度は、発泡剤の種類及び量に依存する。好ましくは、気泡は、適用から水蒸気凝固の間の時間で完全に崩壊する。この時間は、装置内でカバーされる距離及び加工速度に依存する。更に、気泡は、ポリウレタンが乾燥する前に崩壊しなければならない。
【0053】
上述のように、ポリウレタン発泡体は、好ましくは250〜600g/L、より好ましくは300〜500g/Lの密度を有する。崩壊後のポリウレタン被覆の密度は、好ましくは650〜1000g/L、より好ましくは800〜1000g/Lである。
【0054】
崩壊を行わせる方法は、本発明で使用する分散体の化学組成、特に任意に使用される凝固剤の種類に、大きく依存する。例えば、凝固は、蒸発凝固により、若しくは塩、酸又は電解質凝固により、行うことができる。通常、凝固は、温度上昇により行う。例えば、布基材と発泡体の複合材料を、加熱水蒸気による短時間加熱処理、例えば100〜110℃で1〜10秒の処理に付すことができる。このような処理は、有機酸のアンモニウム塩を凝固剤として使用した場合、特に好ましい。一方、上記の酸発生化合物を凝固剤として使用する場合、凝固は、好ましくは、米国特許第5,916,636号、同第5,968,597号、同第5,952,413号及び同第6,040,393号に記載された方法により行うことができる。
【0055】
凝固の後、乾燥及び縮合が行われる。乾燥は、架橋温度未満又は架橋温度以上のいずれかで行うことができる。後者の場合、乾燥及び縮合工程は、同時に行われる。
【0056】
乾燥及び縮合を別の工程で行う場合、まず乾燥を、架橋温度未満の温度、好ましくは140℃未満、より好ましくは80〜100℃の温度で行う。乾燥は、常套の乾燥機で行うことができる。しかしながら、マイクロウエーブ(HF)乾燥機による乾燥が好ましい。何故なら、表面での蒸発は起こらないが、複合材料全体で均一に乾燥できるからである。これにより、表面でのフィルム形成が防止できる。
【0057】
その後、架橋温度以上の温度、好ましくは140〜200℃、より好ましくは165〜175℃の温度で、縮合が行われる。接触時間は、PU成分の十分な縮合が行えるように選択される。
【0058】
別法では、凝固の後、乾燥及び縮合を、単一工程において、架橋温度を超える温度、好ましくは140〜200℃、より好ましくは165〜175℃で直接加熱して行うことができる。接触時間は、PU成分の十分な縮合が行えるように選択される。
【0059】
乾燥された布基材は、縮合の前、間又は後で、例えば、サンダー仕上げ、スエード加工、起毛及び/又はタンブリングによる表面処理に付すことができる。縮合工程の後、サンダー仕上げし、付加的にタンプラー(連続的又はバッチモードで運転され得る)による機械的処理を行うのが好ましい。何故なら、これにより、風合い及び表面特性を著しく向上することができるからである。
【0060】
あるいは、機械的ストレス下で、例えばタンブラー内で、縮合を行うことも特に好ましい。
【0061】
縮合の後、得られた合成スエード革を後処理に付す。後処理の種類は、所望の表面外観に依存する。「ピーチスキン」又は類似の表面の場合、すなわち、非常に密ではあるが、短いパイルの場合、サンド仕上げ/スエード加工が行われ、起毛処理は、ある程度長いパイルが望ましい場合に行われる。
【0062】
その後、所望の幅への幅出しが行われる。
【0063】
また本発明は、上記の方法により得られる合成スエード革を提供する。本発明の合成スエード革は、好ましくは高耐摩耗性であり、優れた空気透過性(通気性)を示す。合成スエード革では、好ましくは35000回、より好ましくは50000回、最も好ましくは60000回の摩擦の後でも、試料は破壊されない(EN ISO 12947-1及び-2に従って測定)。試料の破壊は、布のパイルが摩耗した時点で観察される。更に、合成スエード革は、好ましくは10〜30cm/cm・秒、より好ましくは15〜25cm/cm・秒の範囲の空気透過性を示す(ASTM D737-96 に従って測定)。
【0064】
更に、本発明は、工程(b)で、プリント布基材ではなく、未プリント布基材を使用する以外は上記と同じ方法で得られる合成スエード革も提供する。対応する合成スエード革は、プリント布基材から得られた合成スエード革に関して規定したのと同じ耐摩耗性及び空気透過性を示す。
【0065】
加えて、本発明は、自動車、家具又は室内装飾品用途におけるカバーとしての、又は外衣としての、上記合成スエード革の使用を提供する。
【実施例1】
【0066】
出発物質:3−バーワープニット布
ガイドバー1:7.1重量%の33 f 16T616 Trevira(16シングル繊度(titres)中33 dtex、タイプ616)
ガイドバー2:84.7重量%の160 f 64 x 12 text(64シングル繊度中160 dtex、それぞれは、後処理により12シングル繊度にスプリットされ得る。0.208dtexのシングル繊度に相当)
ガイドバー3:ガイドバー1について8.2重量%
全ての糸は未染色である。
【0067】
処理経路:
1)7タンブール(tambour)シリンダ上での予備起毛1回
2)起毛及び剪断加工1回
3)処方した選択分散染料による染色
4)乾燥
【0068】
次いで、イメージを布基材上にプリントする。乾燥及び定着の後、布基材は、すぐに被覆できる(単位面積あたり重量300g/cm)。
下記成分(量は全て重量部)を混合して、塗布用組成物を調製した。
【表2】

【0069】
"Tubicoat" シリーズの全ての製品は、ドイツ Tuebingen 在CHT R. Beitlich GmbH から入手できる。
この被覆液を、Stork FP 3 フォームプロセッサに供給し、約400g/Lの相対密度を有する不安定発泡体を製造する。この発泡体を、密閉スキージーシステム(Stork Rotary Screen Coating Unit CFT)に、直接供給する。
【0070】
密閉スキージーシステム内の圧力2バール及び40のスクリーンメッシュ数において、400〜410g/mの単位面積あたりの全体重量(布基材+塗膜)を得る。
【0071】
塗膜の適用後、物品を、ごく短時間であるが、強力な水蒸気処理(102℃で約4秒)に付すと、自然に凝固が起こる。凝固の後、物品を架橋温度140℃より低い90℃で予備乾燥し、折り曲げる。
【0072】
予備乾燥塗膜の縮合は、約6%の相対湿度及び140℃の温度で、HTタンブラー(この場合、Thies Coesfeld製)により、回転速度600m/分で30分間、加圧下に行う。
その後、被覆工程は完了する。
【0073】
表面の後処理方法は、所望の表面外観に依存する。「ピーチスキン」に似た表面、すなわち密であるが短いパイルの場合、スエード加工が行われ、起毛処理は、ある程度長いパイルが望まれる場合に採用される。所定幅への幅出しは、最終工程である。
【実施例2】
【0074】
出発物質:3−バーワープニット布
ガイドバー1:45f32T-611 フラット 33.4重量%−Trevira
ガイドバー2:45f32T-611 フラット 45.7重量%−Trevira
(あるいは、83f136 micrell;テキスチャード加工ポリエステル)
ガイドバー3:50f20T-610 フラット 20.9重量%−Trevira
全ての糸は未染色である。
【0075】
処理経路:
1)7タンブール(tambour)シリンダ上での予備起毛1回
2)起毛及び剪断加工1回
3)処方した選択分散染料による染色
4)乾燥
【0076】
次いで、イメージを布基材上にプリントする。乾燥及び定着の後、布基材は、すぐに被覆できる(単位面積あたり重量250g/cm)。
下記成分(量は全て重量部)を混合して、塗布用組成物を調製した。
【表3】

【0077】
"Tubicoat" シリーズの全ての製品は、ドイツ Tuebingen 在CHT R. Beitlich GmbH から入手できる。
この被覆液を、Stork FP 3 フォームプロセッサに供給し、約300g/Lの相対密度を有する不安定発泡体を製造する。この発泡体を、密閉スキージーシステム(Stork Rotary Screen Coating Unit CFT)に、直接供給する。
【0078】
密閉スキージーシステム内の圧力2.4バール及び25のスクリーンメッシュ数において、270〜350g/mの単位面積あたりの全体重量(布基材+塗膜)を得る。
【0079】
塗膜の適用後、物品を、ごく短時間であるが、強力な水蒸気処理(102℃で約4秒)に付すと、自然に凝固が起こる。凝固の後、物品を175℃の温度で乾燥し、折り曲げる。
【0080】
その後、実施例1に記載したように、表面処理、例えば、サンダー仕上げ/スエード加工又は起毛、及びタンブル法を実施する。
その後、被覆工程は完了する。
所定幅への幅出しは、最終工程である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント合成スエード革の製造方法であって、
(a)水性ポリウレタン分散体を含んでなる組成物を生成し、
(b)生成した組成物を、糸からなるプリント布基材に適用し、
(c)ポリウレタン分散体を凝固させ、
(d)乾燥し、
(e)縮合する
工程を含んでなる方法。
【請求項2】
組成物は、凝固剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
凝固剤は、酸、又は酸を発生することができる化学物質であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
組成物は、発泡剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
糸は、0.01〜2.50デニールの番手を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
糸の繊維は、ポリエステルからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
発泡を、250〜600g/Lの発泡体密度が得られるように行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
ポリウレタンは、乾燥及び縮合の後に800〜1000g/Lの密度を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
プリント布基材は、回転スクリーン印刷法により得られたパターンを有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
プリント布基材は、150〜200℃の範囲の温度の水蒸気により定着されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
発泡組成物を、密閉スキージーシステムにより適用することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
組成物を、布基材に対して単位面積あたりの重量が20〜40%増加するような量で適用することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
布基材を、縮合工程の前、間又は後に、機械的ストレスに付すことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
タンブル工程により縮合中に機械的ストレスを与えることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の方法により得られる合成スエード革。
【請求項16】
糸からなる布基材に発泡ポリウレタン分散体を適用し、次いで該分散体を凝固することにより得られる合成スエード革であって、該革は、(EN ISO 12947-1 及び -2 に従って測定して)35000回の摩擦後に試料の破壊を示さず、(ASTM D-737-96 に従って測定して)10〜30cm/cm・秒の範囲の空気透過率を有する、合成スエード革。
【請求項17】
自動車、家具又は室内装飾品用途におけるカバーとしての、又は外衣としての、請求項15又は16に記載のプリント合成スエード革の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント合成スエード革の製造方法であって、
(a)水性ポリウレタン分散体を含んでなる組成物を生成し、
(b)生成した組成物を、糸からなるプリント布基材に適用し、
(c)ポリウレタン分散体を凝固させ、
(d)乾燥し、
(e)縮合する
工程を含んでなる方法。
【請求項2】
組成物は、凝固剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
凝固剤は、酸、又は酸を発生することができる化学物質であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
組成物は、発泡剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
糸は、0.01〜2.50デニールの番手を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
糸の繊維は、ポリエステルからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
発泡を、250〜600g/Lの発泡体密度が得られるように行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
ポリウレタンは、乾燥及び縮合の後に800〜1000g/Lの密度を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
プリント布基材は、回転スクリーン印刷法により得られたパターンを有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
プリント布基材は、150〜200℃の範囲の温度の水蒸気により定着されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
発泡組成物を、密閉スキージーシステムにより適用することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
組成物を、布基材に対して単位面積あたりの重量が20〜40%増加するような量で適用することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
布基材を、縮合工程の前、間又は後に、機械的ストレスに付すことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
タンブル工程により縮合中に機械的ストレスを与えることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の方法により得られる合成スエード革。
【請求項16】
自動車、家具又は室内装飾品用途におけるカバーとしての、又は外衣としての、請求項15に記載のプリント合成スエード革の使用。

【公表番号】特表2006−513330(P2006−513330A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−565998(P2004−565998)
【出願日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014541
【国際公開番号】WO2004/063457
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(504003282)ヴィクトール・アッハター・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト (2)
【氏名又は名称原語表記】VIKTOR ACHTER GMBH & CO. KG
【Fターム(参考)】