説明

プレキャストコンクリート躯体連結体を地中に垂下する方法及びその方法に用いる治具

【課題】プレキャストコンクリート躯体を用いてケーソンを地中に沈下させるとき、プレキャストコンクリート躯体連結体を継ぎ足しながら支持可能な地盤に到達するまで宙吊りして垂下する方法を提供する。
【解決手段】躯体連結体10をゲビンデ鋼捧等の吊材20で吊下すことができ、左右に二つ割り可能な第1の吊りフレーム30と、新躯体13を吊下し第1の吊りフレーム30の吊りワイヤ41内に横から進入する第2の吊りフレーム50とを用い、吊材20を第1の吊りフレーム30と第2の吊りフレーム50とに掛け替えて、第1の吊りフレーム30を第2の吊りフレーム50の上方に位置替えして躯体連結体を継ぎ足しながら宙吊りして垂下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレキャストコンクリート躯体を用いてケーソン工法等により立坑又は基礎構造物等を構築する場合に、プレキャストコンクリート躯体連結体を支持可能な地盤に到達するまで宙吊りしながら地中に垂下する方法、及びその方法に用いる治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般に、地上又は水上から地中又は水底地盤中にプレキャストコンクリート躯体連結体(ケーソン又は井筒)を沈設する場合、施工すべき躯体連結体の周囲にベースフレームを設け、躯体連結体沈下の反力を支持する地中アンカを施工してベースフレームに結合し、躯体連結体内側の地盤を掘削しながらこのベースフレームを基準として躯体連結体を上方から下方に向かって圧入して行う。
【0003】
躯体連結体は、下端に刃口を備え、躯体連結体内側の地盤の掘削に伴って、刃口が地盤中に食い込んで、沈設予定地盤中に進入する。
【0004】
プレキャストコンクリート躯体を順次継ぎ足しながら躯体連結体を沈設する技術としては、種々の技術がある。
【0005】
例えば、比較的軟い地層中に躯体連結体を沈設させる技術としては、地上より操作する旋回屈曲腕をもつ掘削バケットを用いて躯体連結体下底部の地盤の掘削及び排土を行いながら、躯体連結体の上部に押下げ装置を取付けて躯体連結体を沈設させる技術がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
また、躯体連結体を沈設する地層が硬い地層の場合には、岩盤掘削用の掘削装置を用いる。例えば躯体連結体内にドリルケーシングを挿入し、ドリルケーシングの下端に植設した掘削刃並びにドリルケーシングの外周部に所定角度内で拡開可能に軸着した拡径翼の側部及び底部に植設した掘削刃にて、躯体連結体刃先下の掘削を行い、躯体連結体の沈下を制御しながら沈下する技術がある(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
しかしながらこれらの技術は、沈下区域の地盤が躯体連結体を支持可能な状態にある場合に用いられる技術である。
【特許文献1】特開平4−64620号公報
【特許文献2】特開平10−317376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
沈下区域の上層部分が、躯体連結体を支持不可能な程度に軟弱な地層や河川などである場合には、例えば仮構築した仮設やぐらや吊りフレーム等から躯体連結体を吊りワイヤ等で吊り下げて、躯体連結体を支持可能な地盤に到達するまで一時的に支持しながら垂下する必要がある。
【0009】
このような沈下区域において躯体連結体を垂下するに従って、吊りワイヤ等で吊り下げられた躯体連結体の上端に新プレキャストコンクリート躯体を順次継ぎ足すには、例えばその吊りワイヤや吊りフレームが障害となることから、これらを回避する必要があり、従来、有効な手段は知られていない。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、プレキャストコンクリート躯体連結体を吊り下げる吊りワイヤや吊りフレームを回避してその躯体連結体の上端にプレキャストコンクリート躯体を順次継ぎ足して垂下する方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成する本発明のプレキャストコンクリート躯体連結体を地中に垂下する方法のうちの第1の方法は、下記(1)〜(7)の工程を繰り返すことを特徴とする。
【0012】
(1)上下貫通孔を中央に開口し、プレキャストコンクリート躯体連結体内を通る吊材が通る切欠きをその上下貫通孔周縁の外側に設けた第1の吊りフレームを用い、既設プレキャストコンクリート躯体連結体を第1の吊りフレームに係止し、この第1の吊りフレームをプレキャストコンクリート躯体の横幅より大きい間隔をあけて設けた吊りワイヤで上方から吊って上記躯体連結体を宙吊りにしておき、
(2)第2の吊りフレームに吊具で吊下した新躯体を、上記吊りワイヤの間を通って第1の吊りフレーム上方に横移動し、上記躯体連結体と中心軸を一致させ、
(3)上記吊材を、新躯体を通って上方に延長し、延長した吊材を第2の吊りフレームの上面に係止させ、
(4)第1の吊りフレームを水平に二つ割りして左右に横移動して取り外し、これを第2の吊りフレーム上方に移動して一体に組み立て、
(5)上記吊材を第1の吊りフレームの上面に係止させ、上記躯体連結体の荷重を第1の吊りフレームに支持させ、
(6)第2の吊りフレームと共に新躯体を降下させてこの新躯体を上記躯体連結体の上端に結合し、上記吊具を取り外し、
(7)第2の吊りフレームの吊材係止突出部を吊りフレーム本体内に収納して第1の吊りフレームの上下貫通孔を通って第1の吊りフレームの上方に上昇させ、横移動して次の新躯体を吊下させる。
【0013】
また、上記目的を達成する本発明のプレキャストコンクリート躯体連結体を地中に垂下する治具のうちの第1の治具は、
(A)上下貫通孔を中央に開口し、左右二つ割り可能な吊りフレームであって、吊下す躯体連結体内を通る吊材の係止部を上記上下貫通孔の周縁の外側に備え、それら各係止部には上記二つ割りしたとき吊材がフレームから外れる方向に開口した切欠きを設け、その吊りフレームを上方から吊下げる吊りワイヤを躯体連結体の平面形より外方に備えた第1の吊りフレームと、
(B)躯体連結体内を通る吊材の係止突出部を本体部の四周に突出収納自在に装着し、その係止突出部を本体部内に収納したとき上記第1の吊りフレームの上下貫通孔を上下に通過可能な寸法を有する吊りフレームであって、この吊りフレームを上方から吊下げる吊りワイヤを躯体連結体の断面内に備えた第2の吊りフレーム
とからなることを特徴とする。
【0014】
ここで、躯体連結体とは、沈設すべきプレキャストコンクリート躯体を縦に継ぎ足して形成されたものをいい、1個の場合も含めて称する。
【0015】
また、吊材とは、躯体連結体を吊下げる、上方に延長可能な棒状部材であって、例えば長尺ボルト、PC鋼材、ゲビンデ鋼棒、PCストランド等から成る部材をいう。
【0016】
本発明のプレキャストコンクリート躯体連結体を地中に垂下する方法のうちの第1の方法は、上記(1)の工程で、プレキャストコンクリート躯体連結体内を通る吊材が第1の吊りフレームの上下貫通孔周縁の外側に設けられた切欠き内を通って第1の吊りフレームに係止されていることから、上記(4)の工程で第1の吊りフレームを水平に二つ割りして左右に横移動する際に、その吊材が障害となることなく第1の吊りフレームを容易に横移動して取り外すことができる。このようにして取り外した第1の吊りフレームを第2の吊りフレーム上方に移動して一体に組み立てることによって、上記(2)の工程で上記吊りワイヤの間を通って第1の吊りフレーム上方に横移動した新躯体を既設躯体連結体の直上に位置させることが可能となった。
【0017】
また、本発明のプレキャストコンクリート躯体連結体を地中に垂下する方法のうちの第1の方法によれば、上記(7)の工程で第2の吊りフレームの吊材係止突出部を吊りフレーム本体内に収納して第1の吊りフレームの上下貫通孔を通って第1の吊りフレームの上方に上昇させることによって、上記(1)の工程と同様の状態が作り出されることとなるため、その後、第2の吊りフレームを横移動して次の新躯体を吊下させることによって、上記(1)〜(7)の工程を繰り返すことが可能となった。
【0018】
また、本発明のプレキャストコンクリート躯体連結体を地中に垂下する治具のうちの第1の治具において、第1の吊りフレームは、この吊りフレームを上方から吊下げる吊りワイヤを躯体連結体の平面形より外方に備え、躯体連結体を吊材で吊下すことができ、複数の上記切欠きが設けられた凹形状端面及び突合端面を有する第1フレーム部材、及び複数の上記切欠きが設けられた凹形状端面及び突合端面を有する第2フレーム部材それぞれの突合端面同士を突き合わせることにより、双方の凹形状端面から形成される上下貫通孔を有し、水平に二つ割りすることにより上記第1フレーム部材及び上記第2フレーム部材を左右に横移動可能とする構造を有する板状の吊りフレームである。
【0019】
また、本発明のプレキャストコンクリート躯体連結体を地中に垂下する治具のうちの第1の治具において、第2の吊りフレームは、この吊りフレームを上方から吊下げる吊りワイヤを躯体連結体の断面内に備え、本体部とこの本体部に対して突出収納自在に装着された、新躯体を吊下すことができる、躯体連結体内を通る吊材の係止突出部とを備え、上記第1の吊りフレームの吊りワイヤ内に横から進入することができる吊りフレームである。また、この第2の吊りフレームは、係止突出部を本体部内に収納したとき第1の吊りフレームの上下貫通孔を上下に通過可能な寸法を有する。
【0020】
従って、本発明のプレキャストコンクリート躯体連結体を地中に垂下する治具のうちの第1の治具によれば、吊材を第1の吊りフレームと第2の吊りフレームとに掛け替えて、第1の吊りフレームを第2の吊りフレームの上方に位置替えして躯体連結体を継ぎ足しながら宙吊りして垂下させることができる。
【0021】
また、上記目的を達成する本発明のプレキャストコンクリート躯体連結体を地中に垂下する方法のうちの第2の方法は、下記(1)〜(10)の工程を繰り返すことを特徴とする。
【0022】
(1)水平に二つ割りして左右に横移動したときプレキャストコンクリート躯体連結体内を通る吊材がフレームから外れる方向に開口した切欠きを設けた第1の吊りフレームを用い、その切欠き内を通した吊材を用いて既設プレキャストコンクリート躯体連結体を第1の吊りフレームに係止し、その第1の吊りフレームをプレキャストコンクリート躯体の横幅より大きい間隔をあけて設けた吊りワイヤで上方から吊って上記躯体連結体を宙吊りにしておき、
(2)第2の吊りフレームに吊具で吊下した新躯体を、上記吊りワイヤの間を通って第1の吊りフレーム上方に横移動し、上記躯体連結体と中心軸を一致させ、
(3)上記吊材を、新躯体を通って上方に延長し、延長した吊材を第2の吊りフレームの上面に係止させ、
(4)第1の吊りフレームを水平に二つ割りして左右に横移動して取り外し、これを第2の吊りフレーム上方に移動して一体に組み立て、
(5)上記吊材を第1の吊りフレームの上面に係止させ、上記躯体連結体の荷重を第1の吊りフレームに支持させ、
(6)第2の吊りフレームと共に新躯体を降下させてこの新躯体を上記躯体連結体の上端に結合し、上記吊具を取り外し、
(7)上記吊材を第2の吊りフレームの上面に係止させ、新躯体が結合された躯体連結体の全荷重を第2の吊りフレームに支持させ、
(8)第1の吊りフレームを水平に二つ割りして左右に横移動して取り外し、これを第2の吊りフレーム下方に移動して一体に組み立て、
(9)上記吊材を第1の吊りフレームの上面に係止させ、新躯体が結合された躯体連結体の全荷重を第1の吊りフレームに支持させ、
(10)第2の吊りフレームを上昇させ、横移動して次の新躯体を吊下させる。
【0023】
また、上記第2の本発明方法を好適に実施することができる本発明の治具は、
(A)左右二つ割り可能な吊りフレームであって、吊下す躯体連結体内を通る吊材を係止する、上記二つ割りしたとき吊材がフレームから外れる方向に開口した切欠きを設け、その吊りフレームを上方から吊下げる吊りワイヤを躯体連結体の平面形より外方に備えた第1の吊りフレームと、
(B)躯体連結体内を通る吊材の係止部を備えた吊りフレームであって、この吊りフレームを上方から吊下げる吊りワイヤを躯体連結体の断面内に備えた第2の吊りフレーム
とからなることを特徴とする。
【0024】
本発明のプレキャストコンクリート躯体連結体を地中に垂下する方法のうちの第2の方法は、上記(1)の工程で、水平に二つ割りして左右に横移動したときプレキャストコンクリート躯体連結体内を通る吊材がフレームから外れる方向に開口した切欠き内を通って第1の吊りフレームに係止されていることから、上記(4)及び(8)の工程で第1の吊りフレームを水平に二つ割りして左右に横移動する際に、その吊材が障害となることなく第1の吊りフレームを容易に横移動して取り外すことができる。
【0025】
このようにして取り外した第1の吊りフレームを上記(4)の工程で第2の吊りフレーム上方に移動して一体に組み立てることによって、上記(2)の工程で上記吊りワイヤの間を通って第1の吊りフレーム上方に横移動した新躯体を既設躯体連結体の直上に位置させることが可能となった。
【0026】
また、新躯体を上記躯体連結体の上端に結合した後、上記(8)の工程で再度取り外した第1の吊りフレームを第2の吊りフレームの下方に移動して一体に組み立てることによって、第2の吊りフレームを上昇させることが可能となった。このようにして第2の吊りフレームを上昇させることによって、上記(1)の工程と同様の状態が作り出されることとなるため、その後、第2の吊りフレームを横移動して次の新躯体を吊下させることによって、上記(1)〜(10)の工程を繰り返すことが可能となった。
【0027】
また、上記第2の本発明方法を好適に実施することができる本発明の治具において、第1の吊りフレームは、この吊りフレームを上方から吊下げる吊りワイヤを躯体連結体の平面形より外方に備え、躯体連結体を吊材で吊下すことができ、水平に二つ割りすることにより、複数の上記切欠きが設けられた上記第1フレーム部材、及び複数の上記切欠きが設けられた上記第2フレーム部材を左右に横移動可能とする構造を有する吊りフレームである。
【0028】
また、上記第2の本発明方法を好適に実施することができる本発明の治具において、第2の吊りフレームは、この吊りフレームを上方から吊下げる吊りワイヤを躯体連結体の断面内に備え、躯体連結体内を通る吊材の係止部を備えた吊りフレームである。
【0029】
従って、上記第2の本発明方法を好適に実施することができる本発明の治具によれば、吊材を第1の吊りフレームと第2の吊りフレームとに掛け替えて、第1の吊りフレームを二つ割りしたり再度一体に組み立てたりすることによって、第2の吊りフレームの上方や下方に位置替えし、躯体連結体を継ぎ足しながら宙吊りして垂下させることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明のうちの第1の方法及びこの第1の方法を好適に実施することができる本発明の治具によれば、上記第1の吊りフレームを水平に二つ割りして左右に横移動して取り外し、上記第2の吊りフレーム上方に移動して一体に組み立てることによって、上記吊りワイヤの間を通って第1の吊りフレーム上方に横移動した新躯体を既設躯体連結体の直上に位置させることが可能となった。また、本発明のうちの第1の方法及び治具によれば、第2の吊りフレームを縮小して第1の吊りフレームの上下貫通孔を通って第1の吊りフレームの上方に上昇させることによって、第2の吊りフレームを横移動して次の新躯体を吊下させることが可能となった。
【0031】
また、本発明のうちの第2の方法及びこの第2の方法を好適に実施することができる本発明の治具によれば、上記第1の吊りフレームを水平に二つ割りして左右に横移動して取り外し、上記第2の吊りフレーム上方に移動して一体に組み立てることによって、上記吊りワイヤの間を通って第1の吊りフレーム上方に横移動した新躯体を既設躯体連結体の直上に位置させることが可能となった。また、本発明のうちの第2の方法及び治具によれば、新躯体を前記躯体連結体の上端に結合した後、上記第1の吊りフレームを水平に二つ割りして左右に横移動して再度取り外し、上記第2の吊りフレーム下方に移動して一体に組み立てることによって、第2の吊りフレームを上昇させることが可能となった。このようにして第2の吊りフレームを上昇させることによって、第2の吊りフレームを横移動して次の新躯体を吊下させることが可能となった。
【0032】
従って、本発明によれば、プレキャストコンクリート躯体連結体を吊り下げる吊りワイヤや吊りフレームが障害となることなく、プレキャストコンクリート躯体連結体の上端にプレキャストコンクリート躯体を順次継ぎ足して垂下することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0034】
本実施形態では、沈下区域の上層部分が、プレキャストコンクリート躯体を順次継ぎ足して形成されたプレキャストコンクリート躯体連結体(以下、プレキャストコンクリート躯体連結体を躯体連結体と称する)を支持不可能な程度に軟弱な地層や河川などであって、既設躯体連結体の上端に新プレキャストコンクリート躯体(以下、新プレキャストコンクリート躯体を新躯体と称する)を結合して、躯体連結体を継ぎ足しながら支持可能な地盤に到達するまで宙吊りして垂下する、本発明の方法の各工程を説明する。
【0035】
まず、図1〜図18を参照して、本発明のうちの第1の方法の各工程を説明する。
【0036】
図2は、躯体連結体10を宙吊りにした状態の上面図、図3は、その状態を側面から透視した透視側面図である。
【0037】
図2,図3に示すように、プレキャストコンクリート躯体11,12を継ぎ足して形成された躯体連結体10は、緊張材挿入孔10aから挿入されて躯体連結体10内を通る緊張材21を緊張してプレストレスが与えられている。このような躯体連結体10が、4本の吊りワイヤ41等で上方から吊られた第1の吊りフレーム30によって、躯体連結体10内を通るゲビンデ鋼棒等の吊材20を介して宙吊りにされている。尚、吊材20は、プレキャストコンクリート躯体11,12それぞれの高さ寸法と等しい寸法のものが吊材接続具22を介して結合されたものである。これら4本の吊りワイヤ41は、躯体連結体10の平面形より外方に位置する、第1の吊りフレーム30の吊りワイヤ取付部401に取り付けられている。この第1の吊りフレーム30は、4つの切欠き31aが設けられた凹形状端面及び突合端面を有する板状の第1フレーム部材31と、4つの切欠き32aが設けられた凹形状端面及び突合端面を有する板状の第2フレーム部材32とから構成される板状の吊りフレームである。また、第1の吊りフレーム30は、図2に示すように、第1フレーム部材31及び第2フレーム部材32それぞれの突合端面同士が突き合わされることによって、双方の凹形状端面から形成される、周縁の外側に8つの切欠き31a,32aを有する上下貫通孔30aを中央に開口することとなる。また、第1の吊りフレーム30は、水平に二つ割りすることにより第1フレーム部材31及び第2フレーム部材32を左右に横移動可能とする構造を有する。上下貫通孔30aの周縁の外側に設けられる各切欠き31a,32aは、吊下す躯体連結体10内を通る吊材20の係止部であって、吊材20は、8つの切欠き31a,32a内を通ってその頂端が第1の吊りフレーム30の上面に係止されている。また、これら各切欠き31a,32aは、二つ割りしたとき吊材20が第1フレーム部材31及び第2フレーム部材32から外れる方向に開口したものである。
【0038】
図4は、新躯体13を吊下した状態の上面図、図5は、その状態を側面から透視した透視側面図である。
【0039】
図4,図5に示すように、新躯体13は、4本の吊りワイヤ42等で吊られた第2の吊りフレーム50に、4本の吊りワイヤ43等を介して吊下されている。これら4本の吊りワイヤ42は、躯体連結体10の断面内に位置する、第2の吊りフレーム50の吊りワイヤ取付部402に取り付けられている。この第2の吊りフレーム50は、本体部51と、例えばジャッキ等を駆動させることによって車体横方向に突出収納するアウトリガー機構と同様のアウトリガー機構によって本体部51に対して突出収納自在に装着された4つの係止突出部52とから構成される板状の吊りフレームである。係止突出部52は、吊りワイヤ43等を介して新躯体13を吊下している。また、これら4つの係止突出部52それぞれには、2つの切欠き52aが設けられている。図4,図5に示す状態では、4つの係止突出部52が本体部51から突出した状態となっている。尚、この第2の吊りフレームは、係止突出部52を本体部51内に収納したとき第1の吊りフレーム30の上下貫通孔30aを上下に通過可能な寸法を有する。
【0040】
図6は、図2,図3に示す第1の吊りフレーム30の上方に、図4,図5に示す新躯体13を横移動した状態の上面図、図7は、その状態を側面から透視した透視側面図である。
【0041】
吊りワイヤ42等で吊られた第2の吊りフレーム50に吊りワイヤ43等を介して吊下した新躯体13を、吊りワイヤ41の間を通って第1の吊りフレーム30の上方に横移動し、図6,図7に示すように、躯体連結体10と中心軸を一致させる。
【0042】
4本の吊りワイヤ41は、第2の吊りフレーム50及びこの第2の吊りフレーム50に吊下された新躯体13の平面形より外方に位置する、第1の吊りフレーム30の吊りワイヤ取付部401に取り付けられていることから、図6,図7に示すように、新躯体13を第1の吊りフレーム30の上方に横移動する際に、4本の吊りワイヤ41を容易に回避することができる。
【0043】
その後、図6,図7に示すように、8つの切欠き31a,32a内を通って第1の吊りフレーム30の上面に係止されている8本の吊材20それぞれを、新躯体13を通って上方に延長し、延長した8本の吊材20それぞれを第2の吊りフレーム50の係止突出部52に設けられた8つの切欠き52a内を通って係止突出部52の上面に係止させて支持させる。尚、8本の吊材20それぞれを延長するに当たっては、プレキャストコンクリート躯体11,12や新躯体13それぞれの高さ寸法と等しい寸法又は近似する寸法のものを、中間部を吊材接続具22で2本連結した延長用の吊材20を用いて延長する。最も理想的には、2本連結した延長用の吊材20のうちの、少なくとも、既設の8本の吊材20それぞれに結合する延長用の吊材20の寸法を、プレキャストコンクリート躯体11,12や新躯体13それぞれの高さ寸法と等しい寸法とする。このとき、躯体連結体10の荷重は第2の吊りフレーム50に負荷され、第1の吊りフレーム30の吊下荷重は解放される。
【0044】
図8は、図6,図7に示す第1の吊りフレーム30を水平に二つ割りして左右に横移動した状態の上面図、図1は、その状態を側面から透視した透視側面図である。
【0045】
第1の吊りフレーム30を水平に二つ割りし、図1,図8に示すように第1フレーム部材31と第2フレーム部材32とに分割して左右に横移動して取り外す。
【0046】
第1の吊りフレーム30に設けられた8つの切欠き31a,32aが、二つ割りしたとき吊材20が第1フレーム部材31及び第2フレーム部材32から外れる方向に開口したものであることから、第1の吊りフレーム30を水平に二つ割りして左右に横移動する際に、各切欠き31a,32a内を通って第1の吊りフレーム30の上面に係止された吊材20が障害となることなく第1の吊りフレーム30を第1フレーム部材31と第2フレーム部材32とに容易に分割して左右に横移動して取り外すことができる。
【0047】
図9は、図1,図8に示す第1フレーム部材31と第2フレーム部材32とを第2の吊りフレーム50の上方に移動して一体に組み立てた状態の上面図、図10は、その状態を側面から透視した透視側面図である。
【0048】
取り外した第1フレーム部材31と第2フレーム部材32とを第2の吊りフレーム50の上方に移動して一体に組み立て、図9,図10に示すように新躯体13を躯体連結体10の直上に位置させる。
【0049】
その後、図9,図10に示すように、8つの切欠き52a内を通って第2の吊りフレーム50の係止突出部52の上面に係止されている8本の吊材20それぞれを、第1の吊りフレーム30に設けられた8つの切欠き31a,32a内を通って第1の吊りフレーム30の上面に係止させる。このとき、躯体連結体10の荷重は第1の吊りフレーム30に支持され、第2の吊りフレーム50の吊下荷重は解放される。
【0050】
図11は、図9,図10に示す新躯体13を降下させる状態の上面図、図12は、その状態を側面から透視した透視側面図である。
【0051】
図11,図12に示すように、第2の吊りフレーム50と共に新躯体13を降下させる。
【0052】
図13は、図11,図12に示す降下させた新躯体13を躯体連結体10の上端に結合した状態の上面図、図14は、その状態を側面から透視した透視側面図である。
【0053】
降下させた新躯体13を、図13,図14に示すように、躯体連結体10の上端に結合し、緊張材挿入孔13aから緊張材21を挿入して躯体連結体10内を通る既設の緊張材と結合した後にプレストレスを導入する。その後、新躯体13を吊下していた4本の吊りワイヤ43を取り外す。
【0054】
図15は、図13,図14に示す第1の吊りフレーム30を降下させた状態の上面図、図16は、その状態を側面から透視した透視側面図である。
【0055】
降下させた第2の吊りフレーム50の係止突出部52に設けられた8つの切欠き52a内を通って係止突出部52の上面に8本の吊材20それぞれを係止して、図15,図16に示すように、躯体連結体10の上端に新躯体13を結合して形成された躯体連結体100の全荷重を第2の吊りフレーム50に支持させ、第1の吊りフレーム30の吊下荷重を解放する。その後、この第1の吊りフレーム30を降下させて第2の吊りフレーム50の直上に位置させる。
【0056】
図17は、図15,図16に示す第2の吊りフレーム50を第1の吊りフレーム30の上方に上昇させた状態の上面図、図18は、その状態を側面から透視した透視側面図である。
【0057】
降下させた第1の吊りフレーム30に設けられた8つの切欠き31a,32a内を通って第1の吊りフレーム30の上面に8本の吊材20それぞれを係止して、図17,図18に示すように、躯体連結体100の全荷重を第1の吊りフレーム30に支持させ、第2の吊りフレーム50の吊下荷重を解放する。また、図6,図7に示す工程で上方に延長した8本の吊材20それぞれについて、2本連結した延長用の吊材20のうちの上方の1本ずつを撤去する。
【0058】
このように、図6,図7に示す工程で、8本の吊材20それぞれについて、プレキャストコンクリート躯体11,12や新躯体13それぞれの高さ寸法と等しい寸法のものを2本連結した延長用の吊材20を用いて延長し、図17,図18に示す工程で、2本連結した延長用の吊材20のうちの上方の1本ずつを撤去することによって、図2,図3に示す躯体連結体10を宙吊りにした状態と同様の状態が作り出される。
【0059】
その後、図17,図18に示すように、第2の吊りフレーム50の4つの係止突出部52を、アウトリガー機構によって本体部51内に収納することによって、第2の吊りフレーム50を縮小する。このようにして縮小された第2の吊りフレーム50は、第1の吊りフレーム30の上下貫通孔30aを上下に通過可能な寸法を有しており、縮小された第2の吊りフレーム50を、第1の吊りフレーム30の上下貫通孔30aを通って第1の吊りフレーム30の上方に上昇させる。
【0060】
その後、第2の吊りフレーム50を横移動して、図示しない次の新躯体を吊下させる。以下、図1〜図18を参照して説明した、プレキャストコンクリート躯体連結体を地中に垂下する方法のうちの第1の方法の各工程を繰り返す。
【0061】
このように第2の吊りフレーム50を縮小して第1の吊りフレーム30の上下貫通孔30aを通って第1の吊りフレーム30の上方に上昇させることによって、図2,図3に示す躯体連結体10を宙吊りにした状態と同様の状態が作り出されることとなるため、その後、第2の吊りフレーム50を横移動して、図示しない次の新躯体を吊下させることによって、図1〜図18を参照して説明した、躯体連結体を地中に垂下する方法の工程を繰り返すことが可能となった。
【0062】
次に、図19〜図38を参照して、本発明のうちの第2の方法の各工程を説明する。尚、以下説明する実施形態では、同じ要素については図1〜図18と同じ符号を付して説明する。
【0063】
図19は、躯体連結体10を宙吊りにした状態の上面図、図20は、その状態を側面から透視した透視側面図である。
【0064】
図19,図20に示すように、プレキャストコンクリート躯体11,12を継ぎ足して形成された躯体連結体10は、緊張材挿入孔10aから挿入されて躯体連結体10内を通る緊張材21を緊張してプレストレスが与えられている。このような躯体連結体10が、4本の吊りワイヤ41等で上方から吊られた第1の吊りフレーム60によって、躯体連結体10内を通るゲビンデ鋼棒等の吊材20を介して宙吊りにされている。尚、吊材20は、プレキャストコンクリート躯体11,12それぞれの高さ寸法と等しい寸法のものが吊材接続具22を介して結合されたものである。これら4本の吊りワイヤ41は、躯体連結体10の平面形より外方に位置する、第1の吊りフレーム60の吊りワイヤ取付部401に取り付けられている。この第1の吊りフレーム60は、4つの切欠き61aが設けられた突合端面を有する板状の第1フレーム部材61と、4つの切欠き62aが設けられた突合端面を有する板状の第2フレーム部材62とから構成される板状の吊りフレームであって、このような第1の吊りフレーム60を水平に二つ割りすることにより第1フレーム部材61及び第2フレーム部材62を左右に横移動可能とする構造を有する。これら各切欠き61a,62aは、吊下す躯体連結体10内を通る吊材20の係止部であって、吊材20は、8つの切欠き61a,62a内を通ってその頂端が第1の吊りフレーム60の上面に係止されている。また、これら各切欠き61a,62aは、二つ割りしたとき吊材20が第1フレーム部材61及び第2フレーム部材62から外れる方向に開口したものである。
【0065】
図21は、新躯体13を吊下した状態の上面図、図22は、その状態を側面から透視した透視側面図である。
【0066】
図21,図22に示すように、新躯体13は、4本の吊りワイヤ42等で吊られた第2の吊りフレーム70に、4本の吊りワイヤ43等を介して吊下されている。これら4本の吊りワイヤ42は、躯体連結体10の断面内に位置する、第2の吊りフレーム70の吊りワイヤ取付部402に取り付けられている。この第2の吊りフレーム70は、躯体連結体内を通る吊材を係止する8つの吊材係止部70aを備えた板状の吊りフレームである。
【0067】
図23は、図19,図20に示す第1の吊りフレーム60の上方に、図21,図22に示す新躯体13を横移動した状態の上面図、図24は、その状態を側面から透視した透視側面図である。
【0068】
吊りワイヤ42等で吊られた第2の吊りフレーム70に吊りワイヤ43等を介して吊下した新躯体13を、吊りワイヤ41の間を通って第1の吊りフレーム60の上方に横移動し、図23,図24に示すように、躯体連結体10と中心軸を一致させる。
【0069】
4本の吊りワイヤ41は、第2の吊りフレーム70及びこの第2の吊りフレーム70に吊下された新躯体13の平面形より外方に位置する、第1の吊りフレーム60の吊りワイヤ取付部401に取り付けられていることから、図23,図24に示すように、新躯体13を第1の吊りフレーム60の上方に横移動する際に、4本の吊りワイヤ41を容易に回避することができる。
【0070】
その後、図23,図24に示すように、8つの切欠き61a,62a内を通って第1の吊りフレーム60の上面に係止されている8本の吊材20それぞれを、新躯体13を通って上方に延長し、延長した8本の吊材20それぞれを第2の吊りフレーム70に設けられた8つの吊材係止部70a内を通って第2の吊りフレーム70の上面に係止させて支持させる。尚、8本の吊材20それぞれを延長するに当たっては、プレキャストコンクリート躯体11,12や新躯体13それぞれの高さ寸法と等しい寸法又は近似する寸法のものを、中間部を吊材接続具22で2本連結した延長用の吊材20を用いて延長する。最も理想的には、2本連結した延長用の吊材20のうちの、少なくとも、既設の8本の吊材20それぞれに結合する延長用の吊材20の寸法を、プレキャストコンクリート躯体11,12や新躯体13それぞれの高さ寸法と等しい寸法とする。このとき、躯体連結体10の荷重は第2の吊りフレーム70に負荷され、第1の吊りフレーム60の吊下荷重は解放される。
【0071】
図25は、図23,図24に示す第1の吊りフレーム60を水平に二つ割りして左右に横移動した状態の上面図、図26は、その状態を側面から透視した透視側面図である。
【0072】
第1の吊りフレーム60を水平に二つ割りし、図26,図25に示すように第1フレーム部材61と第2フレーム部材62とに分割して左右に横移動して取り外す。
【0073】
第1の吊りフレーム60に設けられた8つの切欠き61a,62aが、二つ割りしたとき吊材20が第1フレーム部材61及び第2フレーム部材62から外れる方向に開口したものであることから、第1の吊りフレーム60を水平に二つ割りして左右に横移動する際に、各切欠き61a,62a内を通って第1の吊りフレーム60の上面に係止された吊材20が障害となることなく第1の吊りフレーム60を第1フレーム部材61と第2フレーム部材62とに容易に分割して左右に横移動して取り外すことができる。
【0074】
図27は、図25,図26に示す第1フレーム部材61と第2フレーム部材62とを第2の吊りフレーム70の上方に移動して一体に組み立てた状態の上面図、図28は、その状態を側面から透視した透視側面図である。
【0075】
取り外した第1フレーム部材61と第2フレーム部材62とを第2の吊りフレーム70の上方に移動して一体に組み立て、図27,図28に示すように新躯体13を躯体連結体10の直上に位置させる。
【0076】
その後、図27,図28に示すように、8つの吊材係止部70a内を通って第2の吊りフレーム70の上面に係止されている8本の吊材20それぞれを、第1の吊りフレーム60に設けられた8つの切欠き61a,62a内を通って第1の吊りフレーム60の上面に係止させる。このとき、躯体連結体10の荷重は第1の吊りフレーム60に支持され、第2の吊りフレーム70の吊下荷重は解放される。
【0077】
図29は、図27,図28に示す新躯体13を降下させる状態の上面図、図30は、その状態を側面から透視した透視側面図である。
【0078】
図29,図30に示すように、第2の吊りフレーム70と共に新躯体13を降下させる。
【0079】
図31は、図29,図30に示す降下させた新躯体13を躯体連結体10の上端に結合した状態の上面図、図32は、その状態を側面から透視した透視側面図である。
【0080】
降下させた新躯体13を、図31,図32に示すように、躯体連結体10の上端に結合し、緊張材挿入孔13aから緊張材21を挿入して躯体連結体10内を通る既設の緊張材と結合した後にプレストレスを導入する。その後、新躯体13を吊下していた4本の吊りワイヤ43を取り外す。
【0081】
図33は、図31,図32に示す第1の吊りフレーム60を水平に二つ割りして左右に横移動した状態の上面図、図34は、その状態を側面から透視した透視側面図である。
【0082】
降下させた第2の吊りフレーム70に設けられた8つの吊材係止部70a内を通って第2の吊りフレーム70の上面に8本の吊材20それぞれを係止して、図33,図34に示すように、躯体連結体10の上端に新躯体13を結合して形成された躯体連結体100の全荷重を第2の吊りフレーム70に支持させ、第1の吊りフレーム60の吊下荷重を解放する。その後、第1の吊りフレーム60を水平に二つ割りし、図33,図34に示すように第1フレーム部材61と第2フレーム部材62とに分割して左右に横移動して取り外す。
【0083】
図35は、図33,図34に示す第1フレーム部材61と第2フレーム部材62とを第2の吊りフレーム70の下方に移動して一体に組み立てた状態の上面図、図36は、その状態を側面から透視した透視側面図である。
【0084】
取り外した第1フレーム部材61と第2フレーム部材62とを第2の吊りフレーム70の下方に移動して一体に組み立て、図35,図36に示すように第1の吊りフレーム60を躯体連結体100の直上に位置させる。
【0085】
図37は、図35,図36に示す第2の吊りフレーム70を上昇させた状態の上面図、図38は、その状態を側面から透視した透視側面図である。
【0086】
一体に組み立てた第1の吊りフレーム60に設けられた8つの切欠き61a,62a内を通って第1の吊りフレーム60の上面に8本の吊材20それぞれを係止して、図37,図38に示すように、躯体連結体100の全荷重を第1の吊りフレーム60に支持させ、第2の吊りフレーム70の吊下荷重を解放する。また、図23,図24に示す工程で上方に延長した8本の吊材20それぞれについて、2本連結した延長用の吊材20のうちの上方の1本ずつを撤去する。
【0087】
このように、図23,図24に示す工程で、8本の吊材20それぞれについて、プレキャストコンクリート躯体11,12や新躯体13それぞれの高さ寸法と等しい寸法のものを2本連結した延長用の吊材20を用いて延長し、図37,図38に示す工程で、2本連結した延長用の吊材20のうちの上方の1本ずつを撤去することによって、図19,図20に示す躯体連結体10を宙吊りにした状態と同様の状態が作り出される。
【0088】
その後、図37,図38に示すように、第2の吊りフレーム70を上昇させた後、横移動して、図示しない次の新躯体を吊下させる。以下、図19〜図38を参照して説明した、プレキャストコンクリート躯体連結体を地中に垂下する方法のうちの第2の方法の各工程を繰り返す。
【0089】
このように、新躯体13を躯体連結体10の上端に結合した後、図33,図34に示す工程で再度取り外した第1の吊りフレーム60を第2の吊りフレーム70の下方に移動して一体に組み立てることによって、第2の吊りフレームを上昇させることが可能となった。このようにして第2の吊りフレームを上昇させることによって、図19,図20に示す躯体連結体10を宙吊りにした状態と同様の状態が作り出されることとなるため、その後、第2の吊りフレーム70を横移動して、図示しない次の新躯体を吊下させることによって、図19〜図38を参照して説明した、躯体連結体を地中に垂下する方法の工程を繰り返すことが可能となった。
【0090】
尚、上述した各実施形態では、本発明の躯体連結体が、沈設すべきプレキャストコンクリート躯体を縦に継ぎ足して形成されたものである例について説明したが、本発明の躯体連結体は、1個の場合も含めて称する。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】第1の吊りフレームを水平に二つ割りして左右に横移動した状態を側面から透視した透視側面図である。
【図2】躯体連結体を宙吊りにした状態の上面図である。
【図3】図2に示す状態を側面から透視した透視側面図である。
【図4】新躯体を吊下した状態の上面図である。
【図5】図4に示す状態を側面から透視した透視側面図である。
【図6】図2,図3に示す第1の吊りフレームの上方に、図4,図5に示す新躯体を横移動した状態の上面図である。
【図7】図6に示す状態を側面から透視した透視側面図である。
【図8】図6,図7に示す第1の吊りフレームを水平に二つ割りして左右に横移動した状態の上面図である。
【図9】図1,図8に示す第1フレーム部材と第2フレーム部材とを第2の吊りフレームの上方に移動して一体に組み立てた状態の上面図である。
【図10】図9に示す状態を側面から透視した透視側面図である。
【図11】図9,図10に示す新躯体を降下させる状態の上面図である。
【図12】図11に示す状態を側面から透視した透視側面図である。
【図13】図11,図12に示す降下させた新躯体を躯体連結体の上端に結合した状態の上面図である。
【図14】図13に示す状態を側面から透視した透視側面図である。
【図15】図13,図14に示す第1の吊りフレームを降下させた状態の上面図である。
【図16】図15に示す状態を側面から透視した透視側面図である。
【図17】図15,図16に示す第2の吊りフレームを第1の吊りフレームの上方に上昇させた状態の上面図である。
【図18】図17に示す状態を側面から透視した透視側面図である。
【図19】躯体連結体を宙吊りにした状態の上面図である。
【図20】図19に示す状態を側面から透視した透視側面図である。
【図21】新躯体を吊下した状態の上面図である。
【図22】図21に示す状態を側面から透視した透視側面図である。
【図23】図19,図20に示す第1の吊りフレームの上方に、図21,図22に示す新躯体を横移動した状態の上面図である。
【図24】図23に示す状態を側面から透視した透視側面図である。
【図25】図23,図24に示す第1の吊りフレームを水平に二つ割りして左右に横移動した状態の上面図である。
【図26】図25に示す状態を側面から透視した透視側面図である。
【図27】図25,図26に示す第1フレーム部材と第2フレーム部材とを第2の吊りフレームの上方に移動して一体に組み立てた状態の上面図である。
【図28】図27に示す状態を側面から透視した透視側面図である。
【図29】図27,図28に示す新躯体を降下させる状態の上面図である。
【図30】図29に示す状態を側面から透視した透視側面図である。
【図31】図29,図30に示す降下させた新躯体を躯体連結体の上端に結合した状態の上面図である。
【図32】図31に示す状態を側面から透視した透視側面図である。
【図33】図31,図32に示す第1の吊りフレームを水平に二つ割りして左右に横移動した状態の上面図である。
【図34】図33に示す状態を側面から透視した透視側面図である。
【図35】図33,図34に示す第1フレーム部材と第2フレーム部材とを第2の吊りフレームの下方に移動して一体に組み立てた状態の上面図である。
【図36】図35に示す状態を側面から透視した透視側面図である。
【図37】図35,図36に示す第2の吊りフレームを上昇させた状態の上面図である。
【図38】図37に示す状態を側面から透視した透視側面図である。
【符号の説明】
【0092】
10,100 躯体連結体
10a,13a 緊張材挿入孔
11,12 プレキャストコンクリート躯体
13 新躯体
20 吊材
21 緊張材
22 吊材接続具
30,60 第1の吊りフレーム
30a 上下貫通孔
31,61 第1フレーム部材
32,62 第2フレーム部材
31a,32a,52a,61a,62a 切欠き
401,402 吊りワイヤ取付部
41,42,43 吊りワイヤ
50,70 第2の吊りフレーム
70a 吊材係止部
51 本体部
52 係止突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)〜(7)の工程を繰り返すことを特徴とするプレキャストコンクリート躯体連結体を地中に垂下する方法。
(1)上下貫通孔を中央に開口し、プレキャストコンクリート躯体連結体内を通る吊材が通る切欠きを該上下貫通孔周縁の外側に設けた第1の吊りフレームを用い、既設プレキャストコンクリート躯体連結体を第1の吊りフレームに係止し、該第1の吊りフレームをプレキャストコンクリート躯体の横幅より大きい間隔をあけて設けた吊りワイヤで上方から吊って前記躯体連結体を宙吊りにしておき、
(2)第2の吊りフレームに吊具で吊下した新躯体を、前記吊りワイヤの間を通って第1の吊りフレーム上方に横移動し、前記躯体連結体と中心軸を一致させ、
(3)前記吊材を、新躯体を通って上方に延長し、延長した吊材を第2の吊りフレームの上面に係止させ、
(4)第1の吊りフレームを水平に二つ割りして左右に横移動して取り外し、これを第2の吊りフレーム上方に移動して一体に組み立て、
(5)前記吊材を第1の吊りフレームの上面に係止させ、前記躯体連結体の荷重を第1の吊りフレームに支持させ、
(6)第2の吊りフレームと共に新躯体を降下させて該新躯体を前記躯体連結体の上端に結合し、前記吊具を取り外し、
(7)第2の吊りフレームの吊材係止突出部を吊りフレーム本体内に収納して第1の吊りフレームの上下貫通孔を通って第1の吊りフレームの上方に上昇させ、横移動して次の新躯体を吊下させる。
【請求項2】
上下貫通孔を中央に開口し、左右二つ割り可能な吊りフレームであって、吊下す躯体連結体内を通る吊材の係止部を前記上下貫通孔の周縁の外側に備え、該各係止部には前記二つ割りしたとき吊材がフレームから外れる方向に開口した切欠きを設け、該吊りフレームを上方から吊下げる吊りワイヤを躯体連結体の平面形より外方に備えた第1の吊りフレームと、躯体連結体内を通る吊材の係止突出部を本体部の四周に突出収納自在に装着し、該係止突出部を本体部内に収納したとき前記第1の吊りフレームの上下貫通孔を上下に通過可能な寸法を有する吊りフレームであって、該吊りフレームを上方から吊下げる吊りワイヤを躯体連結体の断面内に備えた第2の吊りフレームとからなることを特徴とするプレキャストコンクリート躯体連結体を地中に垂下する治具。
【請求項3】
下記(1)〜(10)の工程を繰り返すことを特徴とするプレキャストコンクリート躯体連結体を地中に垂下する方法。
(1)水平に二つ割りして左右に横移動したときプレキャストコンクリート躯体連結体内を通る吊材がフレームから外れる方向に開口した切欠きを設けた第1の吊りフレームを用い、該切欠き内を通した吊材を用いて既設プレキャストコンクリート躯体連結体を第1の吊りフレームに係止し、該第1の吊りフレームをプレキャストコンクリート躯体の横幅より大きい間隔をあけて設けた吊りワイヤで上方から吊って前記躯体連結体を宙吊りにしておき、
(2)第2の吊りフレームに吊具で吊下した新躯体を、前記吊りワイヤの間を通って第1の吊りフレーム上方に横移動し、前記躯体連結体と中心軸を一致させ、
(3)前記吊材を、新躯体を通って上方に延長し、延長した吊材を第2の吊りフレームの上面に係止させ、
(4)第1の吊りフレームを水平に二つ割りして左右に横移動して取り外し、これを第2の吊りフレーム上方に移動して一体に組み立て、
(5)前記吊材を第1の吊りフレームの上面に係止させ、前記躯体連結体の荷重を第1の吊りフレームに支持させ、
(6)第2の吊りフレームと共に新躯体を降下させて該新躯体を前記躯体連結体の上端に結合し、前記吊具を取り外し、
(7)前記吊材を第2の吊りフレームの上面に係止させ、新躯体が結合された躯体連結体の全荷重を第2の吊りフレームに支持させ、
(8)第1の吊りフレームを水平に二つ割りして左右に横移動して取り外し、これを第2の吊りフレーム下方に移動して一体に組み立て、
(9)前記吊材を第1の吊りフレームの上面に係止させ、新躯体が結合された躯体連結体の全荷重を第1の吊りフレームに支持させ、
(10)第2の吊りフレームを上昇させ、横移動して次の新躯体を吊下させる。
【請求項4】
左右二つ割り可能な吊りフレームであって、吊下す躯体連結体内を通る吊材を係止する、前記二つ割りしたとき吊材がフレームから外れる方向に開口した切欠きを設け、該吊りフレームを上方から吊下げる吊りワイヤを躯体連結体の平面形より外方に備えた第1の吊りフレームと、躯体連結体内を通る吊材の係止部を備えた吊りフレームであって、該吊りフレームを上方から吊下げる吊りワイヤを躯体連結体の断面内に備えた第2の吊りフレームとからなることを特徴とするプレキャストコンクリート躯体連結体を地中に垂下する治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2007−70894(P2007−70894A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−259239(P2005−259239)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(000112196)株式会社ピーエス三菱 (181)