説明

プレス成形方法

【課題】本発明は、トリム成形工程で捨てられる素材の量を節減することで、原資材の使用効率を向上させることができる、プレス成形方法を提供することにある。
【解決手段】コイル素材を製品パネルのサイズに合うように適当な大きさのブランクに切断するブランキング工程と、ブランクを一定の形態の基本成形構造に加圧成形する第1ドロー成形工程と、第1ドロー成形工程で基本成形構造に完成することができない残留部分等の成形及び切断を完了する第2ドロー成形工程と、製品の不必要な外郭部分をトリムラインに沿って切り取るトリム成形工程と、ホール加工及びヘミング面形状を形成するせん孔及びフランジ成形工程を有するプレス成形方法において、ブランキング工程でブランキングプレスによって生産されるブランクの両端部を一定のピッチを有する凹凸形状に切断して、両端部が凹端及び凸端を有するブランクを第1ドロー成形工程に投入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス成形方法に関するもので、より詳細には、ブランキング工程で生産されるブランクの両端部を一定のピッチを有する凹凸形状に切断して、両端部が凹端及び凸端を有するブランクを提供することによって、素材を節減することができる、プレス成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車メーカーでの自動車の製造は、2万乃至3万個余りの部品を数回の組み立て工程によって組み立てて行われる。
特に、車体は、自動車の製造工程の最初の段階で、多様な種類のプレス装置によってコイル素材を製品パネルに生産した後、車体工場に移動して製品パネルの各部分が組み立てられて、ホワイトボディー(B.I.W)状態に構成されるようになる。
【0003】
このように、車体の各部分を構成する製品パネルの成形のためには、図1に図示したように、最初にコイル素材を製品パネル100のサイズに合うように適当な大きさのブランク200に切断するブランキング(BLANKING)工程(S110)を経た後、前記ブランクを一定の形態の基本成形構造に加圧成形する第1ドロー成形工程(S120)を行って、前記第1ドロー成形工程(S120)で基本成形構造に完成することができない残留部分や正確なサイズを要する部分の成形及び切断を完了する第2ドロー成形工程(S130)を行う。
【0004】
その後、製品の不必要な外郭部分をトリムライン(TL)に沿って切り取るトリム(TRIM)成形工程(S140)及びホール加工及びヘミング面形状を形成するせん孔(PIERCING)及びフランジ(FLANGE)成形工程(S150)を行う。
【0005】
このような従来のプレス成形方法によって製品パネル100を生産する過程において、前記第1ドロー成形工程(S120)及び第2ドロー成形工程(S130)では、金型の内部への素材の流入量が円滑でない場合には、製品パネル100にシワなどの屈曲またはクラックが発生することがあるが、従来は、このようなシワやクラックによる製品不良率を最少化するために、上型201及びブランクホルダー203の各ダイフェース面を利用して、素材パネル300の周縁を適正加圧力でホールディングすることができるように、ブランキング工程(S110)で素材のブランク200を生産する過程で、前記上型201及びブランクホルダー203によってホールディングされる断面だけブランク200を余裕をもって切断して生産するようになる。
【0006】
前記ブランキング工程(S110)に適用されるブランキングプレスは、図1及び図2に図示したように、下型スチール101が下部のボルスタ103上に装着され、前記下型スチール101の上部には、前記コイル素材400を前記下型スチール101と共にプレスして規制する上型パッド105が配置され、この上型パッド105は、その上部のスライダー107との間にクッションスプリング109を介在して連結される。
【0007】
そして、前記上型パッド105の一側に、前記スライダー107に下向して前記上型パッド105及び下型スチール101によってパディングされたコイル素材400の一側を下型スチール101と共に切断する上型スチール111が装着されて、前記スライダー107の作動に連動するようになる。
【0008】
しかし、前記のような従来のブランキングプレスによって構成されるブランキング工程(S110)では、図1に図示したように、ブランク200の両端部が一直線型に切断されて生産されて、このようなブランク200の周縁に沿って一定の断面は、前記第1ドロー成形工程(S120)及び第2ドロー成形工程(S130)で金型の内部への素材の流入量が円滑になるように、上型201及びブランクホルダー203によってホールディングされる面であって、これは、トリム成形工程(S140)で全て切断されてスクラップとして捨てられるようになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、トリム成形工程(S140)で捨てられるスクラップの量は、原資材の消費率と直結して、部品原価を上昇させる要因になるので、このような原資材の使用効率を向上させるための研究が要求されている。
本発明は、前記のような要求によって発明されたもので、本発明の目的は、トリム成形工程(S140)で捨てられる素材の量を節減することで、原資材の使用効率を向上させることができる、プレス成形方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記のような目的を実現するための本発明によるプレス成形方法は、コイル素材を製品パネルのサイズに合うように適当な大きさのブランクに切断するブランキング工程と、前記ブランクを一定の形態の基本成形構造に加圧成形する第1ドロー成形工程と、前記第1ドロー成形工程(S120)で基本成形構造に完成することができない残留部分や正確なサイズを要する部分の成形及び切断を完了する第2ドロー成形工程と、製品の不必要な外郭部分をトリムラインに沿って切り取るトリム成形工程と、ホール加工及びヘミング面形状を形成するせん孔及びフランジ成形工程とを有するプレス成形方法において、前記ブランキング工程でブランキングプレスによって生産されるブランクの両端部を一定のピッチを有する凹凸形状に切断して、両端部が凹端及び凸端を有するブランクを前記第1ドロー成形工程に投入することを特徴とする。
このプレス成形方法において、前記ブランクの凹端及び凸端は、前記ブランキングプレスの上型スチール及び下型スチールに各々形成される凹凸形状の切断面によって形成されることが好ましい。
また、このプレス成形方法において、前記ブランクの凹端及び凸端は、一定角の台形状に形成されて、各角部は、ラウンド形状に切断されることが好ましい。
【0011】
本発明による他のプレス成形方法は、コイル素材を製品パネルのサイズに合うように適当な大きさのブランクに切断し、ブランキングプレスによって生産されるブランクの両端部を一定のピッチを有する凹凸形状に切断して、両端部が凹端及び凸端を有するブランクを生産するブランキング工程と、両端部が凹端及び凸端を有する前記ブランクの前記凸端を上型及びブランクホルダーにホールディングした状態で、ブランクを一定の形態の基本成形構造に加圧成形する第1ドロー成形工程と、前記第1ドロー成形工程で基本成形構造に完成することができない素材パネルの残留部分や正確なサイズを要する部分の成形及び切断を完了する第2ドロー成形工程と、前記素材パネルで製品の不必要な外郭部分をトリムラインに沿って切り取るトリム成形工程と、前記素材パネルでホール加工及びヘミング面形状を形成するせん孔及びフランジ成形する工程とを有することを特徴とする。
このプレス成形方法においても、前記ブランクの凹端及び凸端は、前記ブランキングプレスの上型スチール及び下型スチールに各々形成される凹凸形状の切断面によって形成されることが好ましく、また、前記ブランクの凹端及び凸端は、一定角の台形状に形成されて、各角部は、ラウンド形状に切断されることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によるプレス成形方法は、ブランキング工程で生産されるブランクの両端部を一定のピッチを有する凹凸形状に切断して、両端部が凹端及び凸端を有するブランクを提供することによって、ドロー成形工程では、凸端によって上型及びブランクホルダーにホールディングされるホールディング面を提供すると同時に、凹端の深さ分だけ素材を節減することができるようになる。
つまり、第1ドロー成形工程で金型の内部への素材の流入量が円滑になるように、前記ブランクにおける上型及びブランクホルダーによってホールディングされる面を最少化して、トリム成形工程でスクラップとして切断されて捨てられる素材の量を減少させるので、原資材であるコイル素材の使用効率を向上させる効果がある。
また、ブランクの凹端及び凸端が、ブランキングプレスの上型スチール及び下型スチールに各々形成される凹凸形状の切断面によって形成されることにより、ブランクの両端部に容易に凹端及び凸端を形成することができ、また、上方スチールの凹凸形状の切断面が下部スチールの凹凸形状の切断面に案内されることで、ブランクの両端部が確実に切断されて、ブランクの両端部の凹端と凸端が効率よく形成されることになる。
さらに、ブランクの凹端及び凸端が一定角の台形状に形成されることで、ブランクにおける両端部の上型及びブランクホルダーによってホールディングされる面を十分確保することができ、各角部がラウンド形状に切断されることにより、各角部が何らかの衝撃を受けて折れてしまうことや、他の部材に接触して損傷を与えてしまうこと等の不具合を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい構成及び作用を添付した図面を参照してより詳細に説明する。
図3は本発明の実施例によるプレス成形方法によるプレス工程図であり、図4は本発明の実施例によるプレス成形方法に適用されるブランキングプレス用金型の概念図である。
【0014】
図3に図示したように、本実施例によるプレス成形方法は、最初にコイル素材を製品パネル10のサイズに合うように適当な大きさのブランク20に切断するブランキング(BLANKING)工程(S10)を経た後、前記ブランク20を一定の形態の基本成形構造に加圧成形する第1ドロー成形工程(S20)を行って、前記第1ドロー成形工程(S20)で基本成形構造に完成することができない素材パネル30の残留部分や正確なサイズを要する部分の成形及び切断を完了する第2ドロー成形工程(S30)を行う。
【0015】
その後、前記素材パネル30で製品の不必要な外郭部分をトリムライン(TL)に沿って切り取るトリム(TRIM)成形工程(S40)及びホール加工及びヘミング面形状を形成するせん孔(PIECING)及びフランジ(FLANGE)成形工程(S50)が行われる。
【0016】
このようなプレス成形方法で、前記コイル素材40を製品パネル10のサイズに合うように適当な大きさのブランク20に切断するブランキング工程(S10)では、ブランキングプレスによって生産されるブランク20の両端部を、図5に図示したように、一定のピッチを有する凹凸形状に切断して、その両端部が凹端21及び凸端23を有するブランク20に生産する。
【0017】
このように、両端部が凹端21及び凸端23を有する前記ブランク20は、前記第1ドロー成形工程(S20)に投入され、その凸端23がドロープレスの上型31及びブランクホルダー33によってホールディングされた状態で、素材が流入されて、ブランク20を一定の形態の基本成形構造に加圧成形するようになる。
【0018】
ここで、前記ブランク20の凹端21及び凸端23は、図4に図示したように、前記ブランキングプレスの上型スチール11及び下型スチール13の各切断面(F)に形成される凹凸形状によって形成される。
【0019】
このようなブランク20の凹端21及び凸端23は、図5に図示したように、前記ブランク20の両端が一定角の台形状に形成され、各角部(R)は、ラウンド形状に切断されるのが好ましい。
【0020】
前記のようなプレス成形方法によれば、ブランク20の両端部の凹凸形状によって、その凸端23が第1ドロー成形工程(S20)でドロープレスの上型31及びブランクホルダー33の各ダイフェース面にホールディングされた状態で、金型の内部への素材の流入量が調節されて、製品パネル10にシワなどの屈曲またはクラックが発生するのが防止される。
【0021】
これと同時に、前記図5に図示したように、両端部が凹凸形状を有するブランク20は、トリム成形工程(S40)でトリムライン(TL)に沿って切断される時に、少なくとも凹端21の面積分だけのスクラップが減少し、これは、全体積で原資材であるコイル素材40の使用効率を向上させて、原資材の費用を節減することができるようにする。
つまり、図5に示したように、ブランキング工程(S10)で最初に生産されるブランク20の後端に形成される凹端21は、後に生産されるブランク20の凸端23を形成するようになって、このような方式で、各ブランク20は、両端部に凹凸形状が形成されて、トリム成形工程で両側の凹面の面積分だけの素材を節減することができる結果をもたらす。
【0022】
この時、前記ブランクの長さ(L)全体に対する前記凹端の深さ(D)は、第1ドロー成形工程(S20)での製品の成形の深さによって異なる。
【0023】
以上で、本発明に関する好ましい実施例を説明したが、本発明は、前記実施例に限定されず、本発明の実施例から当該発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって容易に変更されて均等だと認められる範囲の全ての変更を含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】従来の技術によるプレス成形方法によるプレス工程図である。
【図2】従来の技術によるプレス成形方法に適用されるブランキングプレス用金型の概念図である。
【図3】本発明の実施例によるプレス成形方法によるプレス工程図である。
【図4】本発明の実施例によるプレス成形方法に適用されるブランキングプレス用金型の概念図である。
【図5】本発明の実施例に適用されるブランキングプレスによって生産されるブランクの平面図である。
【符号の説明】
【0025】
10 製品パネル
11 上型スチール
13 下型スチール
20 ブランク
21 凹端
23 凸端
30 素材パネル
40 コイル素材
F 切断面
R 角部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル素材を製品パネルのサイズに合うように適当な大きさのブランクに切断するブランキング工程と、
前記ブランクを一定の形態の基本成形構造に加圧成形する第1ドロー成形工程と、
前記第1ドロー成形工程で基本成形構造に完成することができない残留部分や正確なサイズを要する部分の成形及び切断を完了する第2ドロー成形工程と、
製品の不必要な外郭部分をトリムラインに沿って切り取るトリム成形工程と、
ホール加工及びヘミング面形状を形成するせん孔及びフランジ成形工程とを有するプレス成形方法において、
前記ブランキング工程でブランキングプレスによって生産されるブランクの両端部を一定のピッチを有する凹凸形状に切断して、両端部が凹端及び凸端を有するブランクを前記第1ドロー成形工程に投入することを特徴とする、プレス成形方法。
【請求項2】
前記ブランクの凹端及び凸端は、前記ブランキングプレスの上型スチール及び下型スチールに各々形成される凹凸形状の切断面によって形成されることを特徴とする、請求項1に記載のプレス成形方法。
【請求項3】
前記ブランクの凹端及び凸端は、一定角の台形状に形成され、各角部は、ラウンド形状に切断されることを特徴とする、請求項1または2に記載のプレス成形方法。
【請求項4】
コイル素材を製品パネルのサイズに合うように適当な大きさのブランクに切断し、ブランキングプレスによって生産されるブランクの両端部を一定のピッチを有する凹凸形状に切断して、両端部が凹端及び凸端を有するブランクを生産するブランキング工程と、
両端部が凹端及び凸端を有する前記ブランクの前記凸端を上型及びブランクホルダーにホールディングした状態で、ブランクを一定の形態の基本成形構造に加圧成形する第1ドロー成形工程と、
前記第1ドロー成形工程で基本成形構造に完成することができない素材パネルの残留部分や正確なサイズを要する部分の成形及び切断を完了する第2ドロー成形工程と、
前記素材パネルで製品の不必要な外郭部分をトリムラインに沿って切り取るトリム成形工程と、
前記素材パネルでホール加工及びヘミング面形状を形成するせん孔及びフランジ成形する工程とを有することを特徴とする、プレス成形方法。
【請求項5】
前記ブランクの凹端及び凸端は、前記ブランキングプレスの上型スチール及び下型スチールに各々形成される凹凸形状の切断面によって形成されることを特徴とする、請求項4に記載のプレス成形方法。
【請求項6】
前記ブランクの凹端及び凸端は、一定角の台形状に形成され、各角部は、ラウンド形状に切断されることを特徴とする、請求項4または5に記載のプレス成形方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−120032(P2010−120032A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294258(P2008−294258)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(508342264)株式会社星宇ハイテック (3)