説明

プレゼンス情報およびインスタント・メッセージングを使用した課題または業務処理の追跡

【課題】商品の注文状況、配達サービス状況等の業務処理の追跡をおこなう。
【解決手段】プレゼンティティが課題または業務処理の状態を表し、報告するために使用される。この課題または業務処理は無形(実体のない、非物理的な)エンティティである。課題または業務処理に関するプレゼンティティが作成され、それらのハンドラから受信された課題または業務処理の状態がプレゼンティティに登録され、登録された状態がプレゼンティティのウォッチャに報告される。好ましくは、ハンドラが課題または業務処理に関するプロキシとしてプレゼンティティに登録され、プレゼンティティに送信されるメッセージが登録されたプロキシであるハンドラに転送される。課題または業務処理が複数のエンティティを含む場合、好ましくは、エンティティのうちのそれぞれ1つに関して、ならびに課題または業務処理全体としての別個のプレゼンティティが作成され、使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレゼンス情報の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
プレゼンス情報は、通信相手の通信する能力および意思を伝達するために通常使用されるステータス・インジケータである。クライアントは「プレゼンス状態」と呼ばれるプレゼンス情報をプレゼンス・サービスに提供し、プレゼンス・サービスでこのプレゼンス状態は「プレゼンティティ」と呼ばれるクライアントの利用可能状況(availability)の記録に記憶される。それにより、クライアントのプレゼンス状態を受信するようにプレゼンス・サービスに申し込んだ「ウォッチャ」と呼ばれるユーザは、プレゼンティティからプレゼンス状態を利用することができる。
【0003】
プレゼンス情報は、ネットワークを介した通信者同士によるリアル・タイムのテキスト通信形態であるインスタント・メッセージング(IM)のドライバの1つである。クライアントは自身のプレゼンス状態を公表して、その通信ステータス、例えば「空いています(free)」「取込中(busy)」「離席中(away)」「ご遠慮ください(do not disturb)」などを表示する。この公表された状態がクライアントに連絡を取りたいウォッチャに、クライアントの通信への利用可能状況および通信する意思を通知する。このステータスを利用して、クライアントがIMセッションに参加するための現在の利用可能状況をウォッチャに示すインジケータ・アイコンが、ウォッチャのインスタント・メッセージング・インターフェース上に表示される。
【0004】
プレゼンス情報は現在、有形の物理的エンティティ、すなわち人間の通信ステータスを追跡するのに用いられている。本発明者の知るところでは、プレゼンス情報は無形のエンティティ、例えば問題解決までの経過または業務処理完了までの経過などの(通信、またはその他の方法の)ステータスを追跡することには使用されていない。
【0005】
業務処理の説明的な一例は、商品の注文またはサービスの実行である。注文状況を知るために、従来顧客は、ウェブサイトを訪問するか、またはコール・センタに電話をし、注文番号を入力し、これに応じて注文状況を得ることになる。注文品の配達の追跡においては、顧客は配達サービスのウェブサイトを訪問し、追跡番号を使用して現在の配達状況を得ることになる。それぞれの問い合わせについて顧客側から連絡を取らなければならない。
【0006】
注文の実行を追跡する別の手法により、顧客はサプライヤおよびシッパに登録して、注文状況および出荷状況を電子メールで受け取ることができる。注文状況を追跡するには1つの登録が必要であり、出荷状況を追跡するには別個の登録が必要である。電子メールで状況を追跡するには、顧客は電子メール・アプリケーションを起動させ、定期的に電子メールを確認し、顧客のメールボックスの中にある他の電子メール・メッセージから注文および状況の追跡メッセージを選別する必要がある。やはりこれも、注文状況および出荷状況を把握する際は顧客側の能動的な手動による介入を必要とする。こうした状況はまた、電子メールの受信に携帯電話のような小さなハンドヘルド・デバイスを使用する顧客にとって電子メールによる通知をより望ましくないものにしている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は従来技術のこれらおよび他の問題点ならびに欠点を解決することを対象とする。大まかにいうと、本発明によれば、プレゼンティティが、課題または業務処理の状況を表し、かつ報告することに使用される。この課題または業務処理は、無形(実体のない、非物理的な)エンティティである。課題または業務処理に関するプレゼンティティが作成され、課題または業務処理のハンドラから受信された課題または業務処理の状態がプレゼンティティに登録され、登録された状態がそのプレゼンティティのウォッチャに報告される。したがって、プレゼンス状態は顧客によって引き出されるのではなく、顧客に対して促される。プレゼンス・サービスはインスタント・メッセージによってプレゼンス状態をウォッチャに報告し、それにより顧客は、変更された状態を即座に通知され、いかなる行動も起こすことなく変更された状態を得る。好ましくは、ハンドラが課題または業務処理のプロキシとしてプレゼンティティに登録され、プレゼンティティに送られるメッセージは登録されたプロキシであるハンドラに転送される。課題または業務処理が複数のエンティティを含む場合、好ましくはエンティティのうちのそれぞれ1つに関して別個のプレゼンティティ、ならびに課題または業務処理全体としてのプレゼンティティが作成され、使用される。
【0008】
本発明は、方法、その方法を実行する装置として、またはコンピュータによって実行される場合にコンピュータに方法を実行させる命令を含んだコンピュータ可読媒体として実施されてよい。
【0009】
本発明のこれらのおよび他の特徴ならびに利点は、図面と共に以下の本発明の例示的な実施形態の説明を検討することにより、さらに明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、通信ネットワークを示し、この通信ネットワークは顧客110(以下共通してそれぞれ顧客110と呼ぶ)の通信デバイス112を、プレゼンス・サービス120のプロバイダと、商品またはサービスのプロバイダ130(例えば商品のベンダまたはヘルプ・デスクなど)と、商品のシッパ140と、商品の配達宛先150とに相互接続する。
【0011】
図1は本発明の例示的な一実施形態、すなわち注文の追跡に関する状況である。この注文の追跡プロセスは図2〜4に示されている。本実施形態の目的上、プロバイダ130はベンダ130とする。
【0012】
顧客110は図2のステップ200で、例としてベンダ130のコール・センタに電話をかけるか、またはベンダのウェブサイト上のウェブ注文ページに記入し、送信することによってベンダ130に商品を注文する。ベンダ130はステップ202で注文を受け、それに応えてステップ204で顧客110に注文番号を与える。顧客110はプレゼンス・サービス120のクライアントであると想定し、ステップ206で注文番号を受け取ると、顧客110はその注文をプレゼンス・サービス120に登録する。顧客110はプレゼンス・サービス120に連絡をして注文番号を与え、ステップ208でその注文に関するプレゼンティティを作成するようプレゼンス・サービスに要求する。また、顧客110はステップ208で、ウォッチャとしてプレゼンティティのプレゼンスに申し込む。別法として、ベンダ130がプレゼンス・サービス120のクライアントである場合、ベンダ130は、顧客110の承諾に基づいて顧客110に代わってステップ208を実施してもよい。これに応じて、プレゼンス・サービス120はステップ212で、従来の方法でこの注文に関するプレゼンティティ122を作成し、注文番号を識別子としてプレゼンティティ122に付与する。ベンダにとってはこのプレゼンティティが顧客に相当し、顧客にとってはこのプレゼンティティが注文およびベンダの両方に相当する。
【0013】
ステップ202で注文を受けると、ベンダ130はステップ214で、この注文に関する「注文済み」ステータスを従来の方法でプレゼンス・サービス120に報告し、また、ベンダ130を注文のプロキシとして登録するようプレゼンス・サービス120に要求する。プロキシとして登録されることにより、ベンダ130はプレゼンス・サービス120を通して顧客110からの注文に関するメッセージを受信することができる。プレゼンス・サービス120はステップ216で、報告された状態をプレゼンティティ122に記録し、またベンダ130をプロキシとしてプレゼンティティ122に関連付ける。状態を記録することにより、ステップ216で顧客110を含む記録されたプレゼンティティ122のウォッチャすべてに、状態を通知するインスタント・メッセージが従来の方法で送信されることになる。顧客110はステップ218で、プレゼンス・サービス120からインスタント・メッセージを受信する。
【0014】
注文は複数の品目であってよく、ベンダ130は全注文を一度に応じることができてもよいし、できなくてもよい。一度に応じることができない場合、元の注文の各品目について別個のプレゼンティティ122が作成される。したがって注文は、複数の状態(複数プレゼンス)(各エンティティに対して1つ)を同時に有することができるエンティティのグループとなる。注文を全体として表し、個々のエンティティのプレゼンティティの状態を含むより高いレベルのプレゼンティティが存在してもよく、その状態、すなわち「リッチ・プレゼンス」が、例えば注文されたすべての品目が出荷されたか否か、およびすべての品目が配達されたか否かなど、グループ全体の状態を示す。
【0015】
ベンダ130がステップ220で注文または注文の一部に応じると、ベンダ130はステップ222でこの状態の変更をプレゼンス・サービス120に通知する。これは自動的に行うことができる。つまり、例えば、注文商品が中に梱包されている箱が埋め込みRFIDを有することができ、箱が倉庫から出荷ドックへ運ばれる際に、そのRFIDがRFIDリーダによって自動的に読み取られる。プレゼンス・サービス120はステップ224で、新たな状態をプレゼンティティ122に記録し、顧客110を含むウォッチャにインスタント・メッセージによって新たな状態を通知する。顧客110はステップ226で、新たな状態を通知するインスタント・メッセージを受信する。
【0016】
ベンダ130が注文のプロキシとしてプレゼンス・サービス120に登録されている間の任意の時点において、顧客110がステップ230で、注文番号にあてられたプレゼンス・サービス120にインスタント・メッセージを送信する場合、プレゼンス・サービス120はステップ232でこのメッセージを受信し、この注文番号を使用してメッセージをプレゼンティティ122に関連付け、プレゼンティティ122からベンダ130がこの注文のプロキシであることを特定し、ベンダ130にこのメッセージを転送する。ベンダ130は、ステップ234でこのメッセージを受信し、ステップ236でプレゼンス・サービス120にインスタント・メッセージの応答を送信する。プレゼンス・サービス120はこの応答を実質的に状態の変更として処理し、ステップ238で顧客110を含んだプレゼンティティ122のすべてのウォッチャに対しこの応答を転送する。顧客110はステップ240で、このインスタント・メッセージの応答を受信する。同様にベンダ130は顧客110への通信を開始し、このメカニズムによって顧客への応答を受信することができる。
【0017】
ベンダ130がステップ242で注文品を出荷するとき、ベンダ130はステップ244で、プレゼンス・サービス120にこの状態の変更を通知し、また注文のプロキシとしてのベンダ130を登録解除するようプレゼンス・サービス120に要求する。プレゼンス・サービス120はステップ246で新たな状態を記憶し、インスタント・メッセージによって新たな状態を顧客110を含むプレゼンティティ122のウォッチャに報告し、プロキシとしてのベンダ130を登録解除する。顧客110はステップ248で、新たな状態を通知するインスタント・メッセージを受信する。
【0018】
シッパ140が図3のステップ300でベンダ130からの注文品を引き取ると、シッパ140はステップ302で、この新たな状態をプレゼンス・サービス120に報告し、また注文の新たなプロキシとしてシッパ140を登録するようプレゼンス・サービス120に要求する。やはりこれもシッパ140のトラックの中のRFIDおよびRFIDリーダによって自動的に行うことができる。プレゼンス・サービス120はステップ304で、新たな状態をプレゼンティティ122に記録し、シッパ140をプロキシとしてプレゼンティティ122に記録し、プレゼンティティ122のウォッチャに新たな状態を通知する。顧客110はステップ306で、新たな状態を通知するインスタント・メッセージを受信する。
【0019】
ステップ310で注文品がシッパ140の混載センタに到着すると、シッパ140はステップ312でプレゼンス・サービス120に通知する。プレゼンス・サービス120はステップ314で新たな状態をプレゼンティティ122に記録し、プレゼンティティ122のウォッチャに通知する。顧客110はステップ316で、新たな状態を通知するインスタント・メッセージを受信する。
【0020】
ステップ320で注文品がシッパ140の配送センタに向けてシッパ140の混載センタを出ると、シッパ140はステップ322でプレゼンス・サービス120に通知する。プレゼンス・サービス120はステップ324で、新たな状態をプレゼンティティ122に記録し、プレゼンティティ122のウォッチャに通知する。顧客110はステップ326で、新たな状態を通知するインスタント・メッセージを受信する。
【0021】
ステップ330で注文品がシッパ140の配送センタに到着すると、シッパ140はステップ332でプレゼンス・サービス120に通知する。プレゼンス・サービス120はステップ334で、新たな状態をプレゼンティティ122に記録し、プレゼンティティ122のウォッチャに通知する。顧客110はステップ336で新たな状態を通知するインスタント・メッセージを受信する。
【0022】
シッパ140が注文のプロキシとしてプレゼンス・サービス120に登録されている間の任意の時点において、顧客110がステップ340で、注文番号にあてられたプレゼンス・サービス120にインスタント・メッセージを送信する場合、プレゼンス・サービス120はステップ342でこのメッセージをシッパ140に転送する。シッパ140はステップ344でこのメッセージを受信し、ステップ346でプレゼンス・サービス120にインスタント・メッセージの応答を送信する。プレゼンス・サービス120はステップ348で、このメッセージをプレゼンティティ122のウォッチャに中継し、顧客110はステップ350で、このインスタント・メッセージを受信する。同様にシッパ140は顧客110への通信を開始し、このメカニズムによって顧客への応答を受信することができる。
【0023】
ステップ360で注文品が顧客110に配達されるためにシッパ140の配送センタを出ると、シッパ140はステップ362でプレゼンス・サービス120に通知する。プレゼンス・サービス120はステップ364で、新たな状態をプレゼンティティ122に記録し、プレゼンティティ122のウォッチャに通知する。顧客110はステップ366で、新たな状態を通知するインスタント・メッセージを受信する。
【0024】
シッパ140がステップ370で注文品をその宛先ポイント150に配達すると、シッパ140はステップ372でプレゼンス・サービス120に通知し、また注文のプロキシとしてのシッパ140を登録解除するようプレゼンス・サービス120に要求する。プレゼンス・サービス120はステップ374で、新たな状態をプレゼンティティ122に記録し、新たな状態をプレゼンティティ122のウォッチャに通知する。また、プレゼンス・サービス120はステップ374で、プロキシとしてのシッパ140を登録解除する。顧客110はステップ376で、新たな状態を通知するインスタント・メッセージを受信する。
【0025】
その宛先ポイント150に注文品を配達しても、顧客110の手元にまで注文品が届くことにはならない場合がある。例えば注文品は顧客110の勤務先の出荷・受取ドックに配達されていることがある。図4のステップ400でこのような第三者への配達が行われ、第三者の宛先ポイント150が注文品を受け取る場合、宛先ポイント150はステップ402で、この新たな状態をプレゼンス・サービス120に報告し、また新たな注文のプロキシとして宛先ポイント150を登録するようプレゼンス・サービス120に要求する。プレゼンス・サービス120はステップ404で、新たな状態をプレゼンティティ122に記録し、新たなプロキシとして宛先ポイント150をプレゼンティティ122に記録し、新たな状態をプレゼンティティ122のウォッチャに通知する。顧客110はステップ406でこの通知を受信する。
【0026】
宛先ポイント150が注文のプロキシとしてプレゼンス・サービス120に登録されている間の任意の時点において、顧客110がステップ410で、注文番号にあてられたプレゼンス・サービス120にインスタント・メッセージを送信する場合、プレゼンス・サービス120はステップ412で、このメッセージを宛先ポイント150に転送する。例えば宛先ポイント150が顧客の勤務先である場合、顧客110は注文品を顧客の自宅へと転送するよう宛先ポイント150に要求することができる。宛先ポイント150はステップ414でこの要求を受け取り、ステップ416でこの要求を確認する。プレゼンス・サービス120はステップ418でこの確認を記録し、それを顧客110に転送し、顧客110はステップ420でこの確認を受信する。
【0027】
宛先ポイント150がステップ422で顧客の要求を実行した場合、宛先ポイント150はステップ424でその実行を確認する。プレゼンス・サービス120はステップ426でこの確認を記録し、それを顧客110に転送し、顧客110はステップ428でこの確認を受信する。要求が注文品を顧客の自宅へ転送することであった場合、注文品を宛先ポイント150から顧客の自宅まで運送するシッパにより図3のプロセスが繰り返されてよい。
【0028】
最終的に注文品は顧客の手元へと届く。顧客110が注文品を勤務先の荷積みドックで引き取った場合、あるいはさらに好都合には、宛先ポイント150が顧客の自宅である場合を想定してみることにする。ステップ430で注文品が顧客110に受け渡されると、顧客110はそれを受け取り、宛先ポイント150はステップ432でこの新たな状態をプレゼンス・サービス120に報告し、また注文のプロキシとしての宛先ポイント150を登録解除するようプレゼンス・サービス120に要求する。プレゼンス・サービス120は新たなステップ434で、新たな状態をプレゼンティティ122に記録し、この新たな状態をプレゼンティティ122のウォッチャに通知する。また、プレゼンス・サービス120はステップ434で、プロキシとしての宛先ポイント150を登録解除する。顧客110はステップ436で新たな状態を通知するインスタント・メッセージを受信する。
【0029】
注文品の配達が完了すると、プレゼンティティ122の必要性はなくなる。したがって、顧客110はステップ440で、プレゼンティティ122の解除をプレゼンス・サービス120に要求し、プレゼンス・サービス120はステップ442でプレゼンティティ122を削除する。別法として、ベンダ130がプレゼンティティ122のウォッチャでもある場合、ベンダ130が注文品の配達が完了したと判断するときに、ベンダ130が顧客110に代わってステップ440を実行することができる。
【0030】
図5は、本発明がヘルプ・デスクの状況においてある課題に適用される場合の本発明の第2の実施形態を示す。本実施形態の目的上、プロバイダ130は図1のヘルプ・デスク130である。
【0031】
顧客110が所有するコンピュータ112の問題に遭遇した場合、顧客110は、従来の方法で、例えば、ステップ500でヘルプ・デスク130に電話をかけることにより、またはヘルプ・デスク130のウェブサイト上のフォームに記入することにより、ヘルプ・デスク130に問題を報告する。ヘルプ・デスク130はステップ502で問題の報告を受け、ステップ504でその問題に関するトラブル・チケットをオープンにし、ステップ506でそのチケット番号を顧客110に与える(これらはすべて従来の方式である)。顧客110はステップ508でチケット番号を受け取る。ヘルプ・デスク130がプレゼンス・サービス120のクライアントであると想定すると、ヘルプ・デスク130はステップ508でプレゼンス・サービス120に連絡をし、顧客110をウォッチャとし、チケット番号をその識別子とするプレゼンティティ122を作成するようプレゼンス・サービス120に要求する。また、ヘルプ・デスク130はステップ508で、ヘルプ・デスク130をプロキシとしてプレゼンティティ122に登録するようプレゼンス・サービス120に要求する。プレゼンス・サービス120はステップ510で、プレゼンティティ122を作成し、プロキシとしてヘルプ・デスク130を登録する。次に、ヘルプ・デスク130はステップ512で「チケット・オープン済み」状態をプレゼンス・サービス120に報告する。プレゼンス・サービス120はステップ514で、この状態をプレゼンティティ122に登録し、プレゼンティティ122のウォッチャに通知する。顧客110はステップ518で「チケット・オープン済み」の状態を通知するIMメッセージを受信する。
【0032】
ヘルプ・デスク130は、ステップ520でトラブル・チケットを技術者に割り当てると、ステップ522でこの新たな状態をプレゼンス・サービス120に報告する。プレゼンス・サービス120はステップ524で、新たな状態をプレゼンティティ122に登録し、プレゼンティティ122のウォッチャ(この場合は顧客110)に通知する。顧客110はステップ526で新たな状態を受信する。
【0033】
技術者がステップ528で問題に取り組み、質問を有したと想定する。技術者はステップ530で、チケット番号にあてられた質問を有するインスタント・メッセージをプレゼンス・サービス120に送信する。プレゼンス・サービス120はステップ532で、チケット番号とプレゼンティティ122を一致させ、そのメッセージをプレゼンティティ122のウォッチャ(この場合は顧客110)に転送する。顧客110はステップ534でメッセージを受信し、ステップ536で顧客への応答をプレゼンス・サービス120に送信する。プレゼンス・サービス120はステップ538で、ヘルプ・デスク130であるプロキシにその応答を転送する。技術者はステップ540でその応答を受信し、ステップ542で問題を解決し、ステップ544でチケットをクローズする。ヘルプ・デスク130はステップ546で「チケット・クローズ済み」状態をプレゼンス・サービス120に報告し、プレゼンス・サービス120はステップ548で、新たな状態をプレゼンティティ122のウォッチャ(この場合は顧客110)に通知する。顧客110はステップ550で新たな状態を受信する。
【0034】
ヘルプ・デスク130はステップ552で、問題およびその解決策に関する任意の他の課題をヘルプ・デスク130と通信するための機会を顧客110に与えるため、存在しているプレゼンティティ122をある期間維持する。時間切れになると、ヘルプ・デスク130はステップ554でプレゼンス・サービス120に連絡をし、プレゼンティティ122を解除する。それに応じて、プレゼンス・サービス120はステップ556でプレゼンティティ122を削除する。
【0035】
当然のことながら、上記で説明された例示的な実施形態に対する様々な変更および修正が当業者には明らかとなろう。例えば、本発明を使用して、配達業績情報および顧客満足所情報、書留郵便に類似したサービス、サービス品質の測定および報告などを自動的に提供することができる。顧客は、例えば配達プロセス中に注文に関する考えを変えたり、自分たちのプレゼンスの変更に応じてデバイス間で自分たちのインスタント・メッセージングを交換したりといったさらなる柔軟性を得ることができる。あるいは本発明をRFIDなどのセンサと共に、ペット、子供、書類等の追跡に用いることができる。これらの変更および修正は本発明の精神および範囲から逸脱することなく、かつ本発明に付随的な利点を減じることなく行うことができる。したがって、こうした変更および修正は、先行技術によって限定される範囲を除いて、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の例示的な一実施形態を含む通信システムのブロック図である。
【図2】図1のシステムにおける本発明の第1の例示的な実施形態の機能流れ図である。
【図3】図1のシステムにおける本発明の第1の例示的な実施形態の機能流れ図である。
【図4】図1のシステムにおける本発明の第1の例示的な実施形態の機能流れ図である。
【図5】図1のシステムにおける本発明の第2の例示的な実施形態の機能流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
課題または業務処理に関するプレゼンティティを作成するステップと、
前記課題または前記業務処理の状態を前記課題または前記業務処理のハンドラから受信するステップと、
前記状態を前記プレゼンティティに登録するステップと、
前記登録した状態を前記プレゼンティティのウォッチャに報告するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記課題または前記業務処理が無形のエンティティである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記課題または前記業務処理が複数のエンティティを含み、
作成するステップが、
前記エンティティのうちのそれぞれ1つに関する別個のプレゼンティティを作成するステップと、
前記課題または前記業務処理全体としての別個のプレゼンティティを作成するステップと
を含み、
受信するステップが、
前記エンティティのうちの1つの状態を受信するステップを含み、
登録するステップが、
前記1つのエンティティの前記状態を前記1つのエンティティの前記プレゼンティティに登録するステップと、
前記課題または前記業務処理全体としての状態を決定するステップと、
前記課題または前記業務処理全体としての前記状態を前記課題または前記業務処理全体としての前記プレゼンティティに登録するステップと
を含み、
報告するステップが、
前記エンティティの前記状態を前記エンティティの前記プレゼンティティの前記ウォッチャに報告するステップと、
前記課題または前記業務処理全体としての前記状態を前記課題または前記業務処理全体としての前記プレゼンティティの前記ウォッチャに報告するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ハンドラを前記課題または前記業務処理のプロキシとして前記プレゼンティティに登録するステップと、
前記プレゼンティティにメッセージを送信するステップと、
前記プレゼンティティから前記登録されたプロキシを決定するステップと、
前記登録されたプロキシである前記ハンドラに前記メッセージを転送するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ハンドラが前記課題または前記業務処理を第2のハンドラに引き渡すステップと、
前記プロキシとしての最初の前記ハンドラを前記プレゼンティティから登録解除するステップと、
前記第2のハンドラを前記課題または前記業務処理の前記プロキシとして前記プレゼンティティに登録するステップと
をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
コンピュータによって実行される場合、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法を前記コンピュータに実行させる命令を含むコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項7】
課題または業務処理に関するプレゼンティティを作成し、前記課題または前記業務処理の状態を前記問題および前記業務処理のハンドラから受信し、前記状態を前記プレゼンティティに登録し、前記登録された状態を前記プレゼンティティのウォッチャに報告するように適合されたプレゼンス・サービスを含む装置。
【請求項8】
前記課題または前記業務処理が無形のエンティティである、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記課題または前記業務処理が複数のエンティティを含み、
前記プレゼンス・サービスが、前記エンティティのうちのそれぞれ1つに関する別個のプレゼンティティを作成し、前記課題または前記業務処理全体として別個のプレゼンティティを作成し、前記エンティティのうちの1つの状態を受信し、前記1つのエンティティの前記状態を前記1つのエンティティの前記プレゼンティティに登録し、前記課題または前記業務処理全体としての状態を決定し、前記課題または前記業務処理全体としての前記状態を前記課題または前記業務処理全体としての前記プレゼンティティに登録し、前記エンティティの前記状態を前記エンティティの前記プレゼンティティの前記ウォッチャに報告し、前記課題または前記業務処理全体としての前記状態を前記課題または前記業務処理全体としての前記プレゼンティティの前記ウォッチャに報告するように適合された、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記プレゼンス・サービスが、前記ハンドラを前記課題または前記業務処理に関するプロキシとして前記プレゼンティティに登録し、前記プレゼンティティへの前記メッセージの受信に応答して、前記プレゼンティティから前記登録されたプロキシを決定し、前記登録されたプロキシである前記ハンドラにメッセージを転送するようにさらに適合された、請求項7に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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