説明

プレ圧縮中間層を有するゴルフボール

【課題】軟らかいコアを持つが、適切な余命を発揮するように製造されるゴルフボールを提供する。
【解決手段】ゴルフボールは複数の層から製造される。コア102は、軟らかい材料から形成される。中間層106はコア102を包囲し、あらかじめ圧縮されるゴムから形成される。カバー108は中間層106を包囲する。中間層106をあらかじめ圧縮するために、圧縮層が使用されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、プレ圧縮中間層を有するゴルフボールに関する。具体的には、本開示は、軟らかいコア層を、プレ圧縮中間層によって包囲させるゴルフボールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ゴルフボールは種々のタイプの材料から製造されている。選ばれる材料は、そのボールについて望まれるプレイ条件に依存する。デザイナーは、より硬いコア材料を望む場合があり、他の場合では、同じデザイナーが、より軟らかい材料を選ぶ場合もある。選ばれるコア材料は、ボールの性能、及び、ゴルファーの知覚するボールの感触に影響を及ぼす。
【0003】
従来から、ボールは、通例の各種ディンプルパターンを有するウレタンカバーによって被われる。ボールはある程度の圧縮性及び耐久性を有することが望ましい。適応層を有するボールの方が、非適応的な層から製造されるボールよりも比較的余命が長い。例えば、ボールが、硬すぎる外層及び軟らかすぎるコア層を持つように形成された場合、その外層は、ゴルフボール寿命の比較的早い時期にひび割れし、そのボールを使用するゴルファーの側に不満を覚えさせることになる。
【0004】
一方、ゴルファーはまた、圧縮度が比較的低いボールを望む。圧縮度が比較的低いボールは、ゴルファーに対し、特に、クラブヘッドスピードが低い場合には、より高度のコントロールを可能とし、ゴルフショットに関するミスについてより大きなマージンを許容する。それほどの経験を積んでいないゴルファーの場合には、より低いクラブヘッドスピードが普通になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ゴルフボールの比較的低い圧縮度は、多くの場合、比較的軟らかいコア材料を用いることによって生みだされる。このようなコア材料の使用は、上述のように、ひび割れの可能性を増し、ゴルフボールの寿命を縮める。
【0006】
したがって、当該技術分野では、軟らかいコアを持つが、適切な余命を提示するように生みだされるゴルフボールが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、ゴルフボールは、コア、中間層、及びカバーを含む。コア−は、高度に中和されるポリマーから製造されてもよい。中間層は、プレ圧縮ゴムから形成され、放射方向にコアの外方に位置づけられてもよい。カバーは、放射方向に中間層の外方に位置づけられてもよい。中間層は、第1中間層部分、及び第2中間層部分から形成されてもよい。
【0008】
別の態様では、ゴルフボールを製造する方法は、コアを成型する工程、中間層を成型する工程、及びカバーを成型する工程を含む。方法はさらに、中間層をあらかじめ圧縮し、それを、コア上の包囲位置に置くことを含む。方法はさらに、カバーを、中間層上の包囲位置に置くことを含む。中間層を成型する工程は、第1中間層部分及び第2中間層部分を形成することを含んでもよい。
【0009】
別の態様では、ゴルフボールは4層を含んでもよい。ボールはコアを含んでもよい。中間層はコアを包囲してもよい。圧縮層は、中間層を包囲し、それをプレ圧縮してもよい。カバーは、この圧縮層を包囲してもよい。
【0010】
本発明の他のシステム、方法、特色、及び利点は、当業者には明白であろうし、或いは、下記の図面及び詳細な説明を精査することによって明白となろう。そのような追加のシステム、方法、特色、及び利点は全て、本明細書及び本概要の範囲に含まれ、本発明の範囲に含まれ、且つ、下記の特許請求項によって保護されることが意図される。
【0011】
本発明は、下記の図面及び説明を参照することによってさらによく理解することが可能である。図面の成分は必ずしも実尺に合致するものではなく、強調はむしろ本発明の原理の具体的説明に置かれる。さらに、図面において、同じ参照数字は、種々の投影図を通じて対応する部品を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ゴルフボールの実施態様の側面図である。
【図2】図1のゴルフボールの、直線2−2に沿って得られる断面図である。
【図3】ゴルフボールのコアを形成するために使用される金型の実施態様の断面図である。
【図4】ゴルフボールの中間層を形成するために使用される金型の実施態様の断面図である。
【図5】ゴルフボールのカバーを形成するために使用される金型の実施態様の断面図である。
【図6】ゴルフボールの中間層を形成するために使用される金型の実施態様の断面図である。
【図7】ゴルフボールのコアの上に中間層を位置づけるために使用される金型の実施態様の断面図である。
【図8】ゴルフボールのカバーを形成するために使用される金型の実施態様の断面図である。
【図9】ゴルフボールの中間層の上にカバーを位置づけるために使用される金型の実施態様の断面図である。
【図10】ゴルフボールのコア及び中間層と組み合わせて使用される圧縮層を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
従来から、ゴルフボールは複数の層を有する。一つの固体材料から製造されるゴルフボールを使用することも可能ではあるが、そのようなボールは稀である。なぜなら、複数層を有するゴルフボールは、通常、ゴルファーがボールを打つに際し、そのボールが、一つの固体材料から製造されるボールよりも、より長く飛び、より大きなコントロールを可能とするように設計されるからである。ゴルフボールの各層は、ゴルファーに対し一つ以上のキー特徴を提供するように選ばれる。本実施態様も複数の層を含む。
【0014】
図1及び2は、ゴルフボール100の全体的構造を示す。図1は、ゴルファー(図示せず)に対するボールの外観を示す。図2は、直線2−2に沿って得られる、ボール100の断面図である。ボール100は、全体として放射方向に対称であることが望ましく、したがって、ボール100のいずれの断面であっても、それらは同様の断面図を与えると予想される。ボール100は複数層を含んでもよい。ボール100は、コア102、マントル層104、中間層106、及びカバー108を含んでもよい。
【0015】
コア102は、望ましい任意の材料から製造される、全体として球形のコアであることが好ましい。ある実施態様では、材料は、高度に中和されるポリマー、例えば、DuPontから市販されるHFPであることが望ましいと考えられる。他の実施態様では、比較的軟らかい別材料を使用することが望ましい場合がある。
【0016】
ある実施態様では、マントル層104が含まれてもよい。マントル層104は、放射方向にコア102の外側にある、比較的硬い材料から成る形状を取ってもよい。
【0017】
中間層106は、放射方向にコア102の外側にある。ある実施態様では、中間層106はゴムから製造される。ある実施態様では、中間層106は、コア102よりも硬い材料から製造されてもよい。ある実施態様では、中間層106は、ボール100の一部として組み合わされる前に、又は組み合わされる際に圧縮されてもよい。ある実施態様では、中間層106は、プレ圧縮ゴムであってもよい。
【0018】
カバー108は、この図及び他の図では単純な形として示される。市販のモデルでは、カバー108、特に、カバー108の外表面110は、ゴルフクラブによって打たれるように構成される。したがって、カバー108は、様々のディンプル、フレット又は平地、突起、プリント、又は、ボール100の飛行軌道に対する影響の点で望ましいとデザイナーが考えるものであるならば、他のいずれの特性を含んでもよい。カバー108は、擦過傷耐性となるようにデザインされてもよい。ある実施態様では、カバー108は、SURLYN(登録商標)などのウレタンによって製造されてもよい。
【0019】
ある実施態様では、ボール100は、HNPから形成されるコア102、より硬い、プレ圧縮ゴム中間層106、及び、ウレタンから製造される、さらに硬いカバー108のみを含む。中間層106を形成するためにプレ圧縮ゴムを使用する場合、それは、ボール100の耐久性を向上させる可能性がある。コア102がHNPから製造され、中間層106がプレ圧縮されていない場合、コア102は、クラブによる衝撃後、中間層106よりも大きく圧縮される傾向がある。これは、圧の不均衡をもたらし、ある場合には、ボール100内に僅かな真空を生みだす可能性がある。この不均衡は、中間層106、特に、コア102と中間層106が分離する領域においてひび割れを生じ、カバー108のひび割れを引き起こす可能性がある。このひび割れは、ボール100の余命を縮める。
【0020】
その代わりに、中間層106をあらかじめ圧縮している場合、コア102が圧縮すると、中間層106は、そのプレ圧縮状態から僅かに膨張し、もしもそのようなことがなければ、コア102が中間層106から押しのけられていたと考えられる領域に侵入することが可能となると考えられる。この膨張及び圧縮によって、ボール100のより大きな耐久性が可能とされる。したがって、このように使用される材料は、ボール100の寿命の延長に有用である可能性がある。
【0021】
上述の特性を有するボール100を成型するためには、少なくとも二つの方法が、単独か又は組み合わせて利用することが可能である。これらの方法を図3−9に示す。
【0022】
図3に示すように、コアは、例えば、標準的圧縮又は射出第1金型200を用いて成型してもよい。第1金型200は、第1金型第1部分202、及び第1金型第2部分204を含んでもよい。第1射出ポート206は、例えば、第1金型腔208の頂上に存在していてもよい。第1射出ポート206は、コアの形成される材料を含む第1貯留槽210と流動的に交通してもよい。多くの実施態様では、材料はHNPであると考えられる。材料は、第1貯留槽210から第1射出ポート206を介して第1金型腔208の中へ導入される。
【0023】
第1金型200は、どの材料が使用されるか、その特性はいかなるものかに応じて加熱されてもよいし、冷却されてもよい。例えば、使用される材料が熱硬化性材料であるならば、第1金型200は、材料がその硬化温度まで熱せられるように加熱されてもよい。そうではなく材料が熱可塑性であるならば、第1金型200は、第1金型腔208に侵入する材料の均等な流れを促進するように加熱され、第1金型腔208が均等に充填されることを確保する。他の材料では、第1金型200は、成型時、ほぼ室温に留まることが可能とされる場合がある。材料を適切なやり方で処理し、材料が適切に成型されるようにした後、要すれば、第1金型200を冷却するか、又は放置冷却してよい。適切な時間の経過の後、例えば、第1金型200が室温に達するのに要する時間、又は材料が硬化するのに適当な量の時間の後、成型プロセスによって形成されるコアは、第1金型200から取り出すことが可能である。図3は、コアを成型するための適切な構造の一例を示す。しかしながら、この精確な構造を使用する必要はない。その代わりに、そうしようと思えば、コアにとって望ましい材料に相応しい、別の、コア成型に適切な構造を使用することも可能と考えられる。
【0024】
一旦コア212が成型されたならば、コア212は、図4に示すように第2金型300の中に納められてもよい。図4は、コア212の上にそのまま中間層を被覆成型するために使用される第2金型300を示す。第2金型300は、第2金型第1部分302及び第2金型第2部分304を含んでもよい。第2射出ポート306は、例えば、第2金型腔308の頂上に存在していてもよい。第2射出ポート306は、中間層の形成される材料を含む第2貯留槽310と流動的に交通してもよい。材料は、第2貯留槽310から第2射出ポート306を介して第2金型腔308の中へ導入される。ある実施態様では、第2金型腔308の中に注入される材料はゴムであってもよい。
【0025】
図4に示すように、第2金型腔308の中にコア212を適切に位置づけるための、一つの選択肢は、コア212を複数のピンで支持することである。図4は、第1ピン314、第2ピン316、第3ピン318、及び第4ピン320の使用を示す。第1ピン314、第2ピン316、第3ピン318、及び第4ピン320は、第2金型腔308において引き抜き可能となるように設計される。第2材料が第2金型腔308の中に注入されるにつれて、それは金型腔308を充填する。それが硬化し始めると、それは、第2金型腔308においてコア212を支持することが可能となる。材料が硬化し、コア212を支持し始めると、第1ピン314及び第4ピン320が引き抜き可能とされる。材料がさらに第2金型腔308を充填し始めると、第2ピン316及び第3ピン318が引き抜き可能とされる。ある実施態様では、全てのピンが同時に引き抜き可能とされる。材料の部分的硬化後におけるこの引き抜きによって、コア212は、第2金型腔308において中心位置に留まり続け、材料が第2金型腔308を均等に充填することが可能とされる。
【0026】
4本のピン314、316,318、320が示されており、且つ、それらは、第2金型腔308の側面からのみ突出するところが示されているけれども、これらの特性は、限定的なものと見なしてはならない。ある実施態様では、第2金型腔308の中に、より多数の、又はより少数のピンを設けることが望ましい場合もある。別の実施態様では、第2金型腔308全体に亘ってピンをより均等に隔てることが望ましい場合もある。最後に、ピンを、第2金型腔308の頂上面又は底面に含めることが望ましい場合もある。当業者であれば、選択される材料及び所望のデザイン特徴に基づいて、適切な成型環境を提供するように金型デザインを修飾することが可能であろう。
【0027】
第2金型300はさらに、射出されて中間層を形成する材料に応じて、加熱されるか、又は室温に置かれてもよい。第2金型300が加熱される場合、第2金型300は放置冷却される。適切な時間の経過後、例えば、第2金型300が室温に達するのに要する時間、又はコア212及び中間層が硬化可能となるのに適当な量の時間の後、コア212及び中間層は第2金型300から取り出してもよい。
【0028】
望むなら、第2金型腔308の内壁322は、中間層を形成する材料の、初期プレ圧縮を実現するようにデザインされてもよい。内壁322は、例えば、それが、硬化状態又は部分的硬化状態に達した後、材料に対しさらに加圧して該材料をプレ圧縮するように移動可能となるようにデザインされてもよい。
【0029】
図4には、放射方向にコアの外側に位置づけられる中間層を成型するための特定構造が示されるが、図4に示すものの代わりに他の構造体を使用してもよい。他の構造体は、そのままの被覆成型か、又は、他のタイプの成型のために使用されてもよい。当業者であれば、中間層のために望ましい特徴、及び使用が望ましい材料に基づいて、適切な構造体を選択することが可能であろう。
【0030】
中間層324が完全に形成された後、内部の中間層324及びコア212は、図5に示すように第3金型400の中に納めてもよい。図5は、コア212及び中間層324の上にそのままカバーを被覆形成するために使用されてもよい第3金型400を示す。第3金型400は、第3金型第1部分402及び第3金型第2部分404を含んでもよい。第3射出ポート406は、例えば、第3金型腔408の頂上に存在していてもよい。第3射出ポート406は、カバーの形成される材料を含む第3貯留槽410と流動的に交通してもよい。ある実施態様では、材料はSURLYNであってもよい。この材料は、第3貯留槽410から第3射出ポート406を介して第3金型腔408の中へ導入される。
【0031】
図5に示すように、第3金型腔408の中に中間層324を適切に位置づけるための、一つの選択肢は、中間層324を複数のピンで支持することである。図5は、第5ピン414、第6ピン416、第7ピン418、及び第8ピン420の使用を示す。第5ピン414、第6ピン416、第7ピン418、及び第8ピン420は、第3金型腔408において引き抜き可能となるように設計される。第3材料が第3金型腔408の中に注入されるにつれて、それは金型腔408を充填する。それが硬化し始めると、それは、第3金型腔408において中間層324を支持することが可能となる。材料が硬化し、中間層324を支持し始めると、第5ピン414及び第8ピン420が引き抜き可能とされる。材料がさらに第4金型腔408を充填し始めると、第6ピン416及び第7ピン418が引き抜き可能とされる。ある実施態様では、全てのピンが同時に引き抜き可能とされる。材料の部分的硬化後におけるこの引き抜きによって、中間層324は、第3金型腔408において中心位置に留まり続け、材料が第3金型腔408を均等に充填することが可能となる。
【0032】
4本のピン414、416,418、420が示されており、且つ、それらは、第3金型腔408の側面からのみ突出するところが示されているけれども、これらの特性は、限定的なものと見なしてはならない。ある実施態様では、第3金型腔408の中に、より多数の、又はより少数のピンを設けることが望ましい場合もある。別の実施態様では、第3金型腔408全体に亘ってピンをより均等に隔てることが望ましい場合もある。最後に、ピンを、第3金型腔408の頂上面又は底面に含めることが望ましい場合もある。当業者であれば、選択される材料及び所望のデザイン特徴に基づいて、適切な成型環境を提供するように金型デザインを修飾することが可能であろう。
【0033】
この工程では、別の機能を実行するためにピン414、416、418、420を使用してもよい。ピン414、416、418、420は、第3金型腔408がカバー材料によって充填される際に、中間層324にさらに別の圧を加えるように、隔てられ、設計されてもよい。この圧は、カバーが被覆成型される際、中間層324をプレ圧縮状態に保持するのに十分なものであってもよい。それとは別に、カバーを形成する材料は、中間層324の付加的圧縮を引き起こす圧力下に注入されてもよい。中間層324をプレ圧縮するための他の方法も、当業者には利用可能であり、開示の構造及び方法の代わりとして代行的に使用することも可能と考えられる。
【0034】
第3金型400はさらに、カバーを形成するために射出される材料に応じて、加熱されるか、又は室温に置かれてもよい。第3金型400が加熱される場合、第3金型400は放置冷却される。適切な時間の経過後、例えば、第3金型400が室温に達するのに要する時間、又は中間層324及びコア212が硬化可能となるのに適当な量の時間の後、形成されたボールは第3金型400から取り出してもよい。
【0035】
図5に示すように、第3金型400の内壁422の構成は、ボールの外面を成型するようにデザインされてもよい。したがって、内壁422は、ディンプル及び平地、及びその他の所望のマーキングが、ボールのカバーの中に成型されるようにパターン化されていてもよい。ボールの外面の精確な構成は、所望のボール特徴に依存する。当業者であれば、不要な実験試行に煩わされることなく、ボールの所望の特徴に一致する所望の特徴を持つ内壁422を簡単にデザインすることが可能である。ボールの外側におけるディンプルパターンは、ボールの内層の特徴とは独立にデザインされてもよい。
【0036】
図6−9は、ボールの複数層の内のいくつかを製造するための別法を示す。図6−9に示す方法は、コアを成型する工程を含まない。コアは、図3に示す方法、又は別の等価な方法によって成型することが可能である。このようなコアは、図6−9に示す方法を介してボールの他の部分と統合させることが可能である。
【0037】
図6及び7は、中間層を製作し、それをコアと嵌合させる方法を示す。図6は、第1金型第1部分502及び第1金型第2部分504を有する第1金型500を示す。第1射出ポート506は、例えば、第1金型腔508の頂上にあってもよい。第1射出ポート506は、中間層の形成される材料を含む第1貯留槽510と流動的に交通してもよい。材料は、第1貯留槽510から第1射出ポート506を介して第1金型腔508の中へ導入される。ある実施態様では、第1金型腔508に注入される材料はゴムであってもよい。
【0038】
ある実施態様では、中間層は、それが成型される際、あらかじめ圧縮すると有用である場合がある。第1金型腔508の内壁522は、それが硬化時又は硬化後、第1金型腔508において材料を圧縮するように移動可能となるようにデザインされてもよい。ある実施態様では、このプレ圧縮は、中間層をコアと嵌合させる前が望ましい場合がある。
【0039】
ある実施態様、例えば、図6に示す実施態様などでは、第1金型腔508は、中間層の一部又は一部分のみを成型するようにデザインされてもよい。図6の実施態様では、中間層のほぼ半分が形成されるところが示される。このような構造を用いる場合、二つの中間層部分をこの方法又は別法にて成型し、コアと接合させて使用することが望ましい。
【0040】
第1金型500は、どんな材料が使用されるのか、その特性は何かに応じて、加熱されるか、又は冷却されてもよい。例えば、使用される材料が熱硬化性材料であるならば、第1金型500は、材料がその硬化温度まで熱せられるように加熱されてもよい。そうではなく材料が熱可塑性であるならば、第1金型500は、第1金型腔508の中に侵入する材料の均等な流れを促進するように加熱され、第1金型腔508が均等に充填されることを確保する。他の材料では、第1金型500は、成型時、ほぼ室温に留まることが可能とされる場合がある。材料を適切なやり方で処理し、材料が適切に成型されるようにした後、要すれば、第1金型500を冷却するか、又は放置冷却する。適切な時間の経過の後、例えば、第1金型500が室温に達するのに要する時間、又は材料が硬化するのに適当な量の時間の後、成型プロセスによって形成される中間層部分は、第1金型500から取り出すことが可能である。図6は、中間層部分を成型するための適切な構造の一例を示す。しかしながら、この精確な構造を使用する必要はない。その代わりに、そうしようと思えば、中間層部分にとって望ましい材料に相応しい、別の、中間層部分の成型に適切な構造を使用することも可能と考えられる。
【0041】
図7は、コア512及び中間層524の使用を示す。中間層524は、第1中間層部分526及び第2中間層部分528を含む。図7に示すように、コア512は、第2金型第1部分602及び第2金型第2部分604を含む第2金型600の中に置かれる。第2金型600は、第1中間層部分526と第2中間層部分528をいくつかのやり方で接合させることが可能である。そうしようと思えば、どのような接合構造又は方法でも、第2金型600の代わりとして適切なものとなると考えられる。
【0042】
接着剤を、例えば、第1中間層部分526の第1嵌合面530、第2中間層部分528の第2嵌合面532、又はその両方に塗布してもよい。第2金型600を用いて、第1嵌合面530及び第2嵌合面532を当接関係に設置し、第1中間層部分526及び第2中間層部分528が、接着剤を介して一緒に接合されるようにすることが可能である。要すれば、第2金型600は、接着剤を活性化又は硬化するために加熱されてもよい。
【0043】
それとは別に、第1中間層部分526及び第2中間層部分528は、加圧又は加熱によって、融合されるか、又は他のやり方で互いに接着される、一つ又は複数の材料から製造されてもよい。この場合、金型600は、第1中間層部分526及び第2中間層部分528に対し、指定の程度の圧又は熱を印加するように設計されてもよい。第1面530及び第2面532が当接する区域にのみ熱又は圧を印加すればよく、したがって、望ましいのは単に、金型600内に、第1面530及び第2面532が会合する領域に近接して局所的に加熱要素又は加圧要素を組み込めばよいだけである。
【0044】
さらに別の態様として、第1中間層部分526及び第2中間層部分528は、互いに融合するか、又は他のやり方で互いに付着される材料から製造されている場合、第1面530及び第2面532は、それらが当接関係に置かれる前に処理されてもよい。例えば、第1面530及び第2面532は、金型600の中に設置される直前に、熱処理に暴露されてもよい。
【0045】
コア512及び中間層524は、十分な効果時間が過ぎるまで、又は、その後の操作を適切に行うのに十分な程度に冷えるまで、金型600の中に保持されることが望ましい。金型600はさらに、中間層524をあらかじめ圧縮するように設計されていてもよい。
【0046】
図8及び9は、カバーを製造し、それをコア及び中間層と嵌合する方法を示す。図8は、第3金型第1部分702及び第3金型第2部分704を有する第3金型700を示す。第2射出ポート706は、例えば、第3金型腔708の頂上にあってもよい。第2射出ポート706は、カバーが形成される材料を含む第2貯留槽710と流動的に交通してもよい。材料は、第2貯留槽710から第2射出ポート706を介して第3金型腔708の中へ導入される。ある実施態様では、第3金型腔708に注入される材料はポリウレタンであってもよい。
【0047】
第3金型700において成型されるカバーは、ディンプル及び平地、及び恐らくは他のマーキングも共に含む外面を有することが望ましい。したがって、ある実施態様では、第3金型700の内壁722は、ボールの外面の所望の構成を含むことが望ましいと考えられる。
【0048】
ある実施態様、例えば、図8に示す実施態様では、第3金型708は、カバーの一部だけを成型するように設計されてもよい。図8の実施態様では、カバーの約半分が形成されるところが示される。このような構造体が使用される場合、二つのカバーピース又は部分は、この方法か又は別の方法によって成型されて、コア及び中間層と接合されて使用されるのが望ましい。
【0049】
第3金型700は、どんな材料が使用されるのか、その特性は何かに応じて、加熱されるか、又は冷却されてもよい。例えば、使用される材料が熱硬化性材料であるならば、第3金型700は、材料がその硬化温度まで熱せられるように加熱されてもよい。そうではなく材料が熱可塑性であるならば、第3金型700は、第3金型腔708に侵入する材料の均等な流れを促進するように加熱するだけでよく、それによって、第3金型腔708の均等な充填が確保される。他の材料では、第3金型700は、成型時、ほぼ室温に留まることが可能とされる場合がある。材料を適切なやり方で処理し、材料が適切に成型されるようにした後、要すれば、第3金型700を冷却するか、又は放置冷却する。適切な時間の経過の後、例えば、第3金型700が室温に達するのに要する時間、又は材料が硬化するのに適当な量の時間の後、成型プロセスによって形成されるカバーピースは、第3金型700から取り出すことが可能である。図8は、カバーピースを成型するための適切な構造体の一例を示す。しかしながら、この精確な構造体を使用する必要はない。その代わりに、そうしようと思えば、カバーピースにとって望ましい材料に相応しい、別の、カバーピースの成型に適切な構造体を使用することも可能と考えられる。
【0050】
図9は、コア512、中間層524、及びカバー834の使用を示す。カバー834は、第1カバーピース836及び第2カバーピース838を含む。図9に示すように、コア512及び包囲する中間層524は、第4金型第1部分802及び第4金型第2部分804を含む第4金型800の中に置かれる。第4金型800は、第1カバーピース836と第2カバーピース838をいくつかのやり方で接合させることが可能である。そうしようと思えば、どのような接合構造又は方法でも、第4金型800の代わりとして適切なものとなると考えられる。
【0051】
接着剤を、例えば、第1カバーピース836の第1嵌合面840、第2カバーピース838の第2嵌合面842、又はその両方に塗布してもよい。第4金型800を用いて、第1嵌合面840及び第2嵌合面842を当接関係に設置し、第1カパーピース836及び第2カバーピース838が、接着剤を介して一緒に接合されるようにすることが可能である。要すれば、第4金型800は、接着剤を活性化又は硬化するために加熱されてもよい。
【0052】
それとは別に、第1カバーピース836及び第2カバーピース838は、加圧又は加熱によって、融合されるか、又は他のやり方で互いに接着される、一つ又は複数の材料から製造されてもよい。この場合、第4金型800は、第1カバーピース836及び第2カバーピース838に対し、指定の程度の圧又は熱を印加するように設計されてもよい。第1面840及び第2面842が当接する区域にのみ熱又は圧を印加すればよく、したがって、望ましいのは単に、第4金型800内に、第1面840及び第2面842が会合する領域に局所的に加熱要素又は加圧要素を組み込めばよいだけである。
【0053】
さらに別の態様として、第1カバーピース836及び第2カバーピース838は、互いに融合するか、又は他のやり方で互いに付着する材料から製造されている場合、第1面840及び第2面842は、それらが当接関係に置かれる前に処理されてもよい。例えば、第1面840及び第2面842は、第4金型800の中に設置される直前に、熱処理に暴露されてもよい。
【0054】
コア512、中間層524、及びカバー834は、十分な硬化時間が経過するまで、若しくは、その後の処理が適切に行われるように十分に冷却されるまで、第4金型800の中に保持されることが望ましい。
【0055】
これらの図面は、種々の厚みを持つ複数の層を描いており、他の厚みも、一つ以上の実施態様と関連させて言及してきた。これらの厚みを、これらの層について可能な唯一の厚みと見なしてはならない。様々な層における望ましい厚みは、デザイナーが使用したいと思う材料、及び、デザイナーが、それら各種の層によって提供したいと願う保護又は反応性に基づいて変動する。当業者であれば、本発明の実施態様を改変して、適切な厚みの複数の層を有するボールを得ることが可能である。
【0056】
本開示に列挙される材料は、望ましい材料の例である。ある実施態様では、ボールの中心からボールの外側に向かって徐々に硬度を増していく材料を選ぶことが望ましい場合がある。例えば、ある実施態様では、コアのために第1材料、中間層のために第2材料、カバーのために第3材料を使用することが望ましい場合がある。第1材料は、第2材料よりも軟らかくてもよく、第2材料は、第3材料よりも硬くてもよい。第4材料から製造されるマントル層が、コアと中間層の間に含められる実施態様では、第4層材料は、第1材料よりも硬く、第2材料よりも軟らかくてもよい。それとは別に、他の実施態様では、第4材料は、第1材料及び第2材料の両方よりも硬くてもよい。
【0057】
ある実施態様では、中間層のプレ圧縮を補佐するための追加層として、圧縮材料を含めることが望ましい場合がある。このような構造の一例が図10に示される。図10は、中間層924によって包囲されるコア912を示す。包囲する中間層924は圧縮層944である。圧縮層944は網状であるところが示されるが、圧縮層944は、そうしようと思えば、網状の代わりに固体表面を形成することも可能と考えられ、且つ、図10に示す網の代わりに、より密な、又はより粗な編み目を有していてもよい。圧縮層944は、弾性、又はその他の靱性材料から形成されてもよい。中間層924をあらかじめ圧縮するために、圧縮層944は、破断することなく中間層924を圧縮するのに十分な引っ張り強度を持ちながら、それでいて他方では、中間層944の周囲にぴったりと適合するように引き伸ばされるのに十分な靱性を有するようにデザインされてもよい。圧縮層は、コア912、及び包囲的中間層924が、成型後、圧縮層944の中にぴったりと納まるような形状及びサイズを持つ開口946を有していてもよい。開口946は、要すれば、中間層を圧縮層944の中に挿入することを可能とするように、圧縮層944の他の部分よりも強靱な材料から形成されてもよい。中間層924が圧縮層944の中に挿入された後、コア912、中間層924、及び圧縮層944は、上述の方法及びシステムの内のいずれかを用いることによってさらに包囲されてもよい。
【0058】
これまで本発明の種々の実施態様が説明されてきたわけであるが、本明細書は、限定的ではなく、例示的であることを意図するものであって、本発明の範囲において、さらに多数の実施態様及び実行例が可能であることは当業者には明白であろう。したがって、本発明は、添付の特許請求項及びその等価物に徴することを除き、制限されてはならない。さらに、添付の特許請求項の範囲内において種々の改変及び変更を実行することが可能である。
【符号の説明】
【0059】
100 ゴルフボール
102 コア
104 マントル層
106 中間層
108 カバー
110 外表面
200 第1金型
202 第1金型第1部分
204 第1金型第2部分
206 第1射出ポート
208 第1金型腔
210 第1貯留槽
212 コア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高度に中和されるポリマーから形成されるコア;
プレ圧縮ゴムから形成され、放射方向に該コアの外方に位置づけられる中間層;及び、
放射方向に該中間層の外方に位置づけられるカバー、
を含むゴルフボール。

【請求項2】
前記中間層が、前記コアの上にそのまま被覆成型されることを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。

【請求項3】
前記カバーが、前記中間層の上にそのまま被覆成型されることを特徴とする、請求項2に記載のゴルフボール。

【請求項4】
前記中間層が、互いに別々に成型される第1中間層部分及び第2中間層部分を含み、且つ、これら中間層部分が前記コアの周囲に設置されることを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。

【請求項5】
前記カバーが、前記中間層の上にそのまま被覆成型されることを特徴とする、請求項4に記載のゴルフボール。

【請求項6】
前記カバーが、第1カバーピース及び第2カバーピースであることを特徴とする、請求項4に記載のゴルフボール。

【請求項7】
前記第1カバーピース及び第2カバーピースが一緒に融合されて前記中間層を包囲することを特徴とする、請求項6に記載のゴルフボール。

【請求項8】
マントル層をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のゴルフボール。

【請求項9】
ゴルフボールを製造する方法であって:
コアを成型すること;
中間層を成型すること;
該中間層をあらかじめ圧縮すること;
該中間層をコア上の包囲位置に置くこと;
カバーを成型すること;及び、
該カバーを、該中間層上の包囲位置に置くこと、
を含む方法。

【請求項10】
中間層を成型する前記工程が、第1中間層部分を形成すること、及び、第2中間層部分を形成することを含むことを特徴とする、請求項9に記載のゴルフボールの製造法。

【請求項11】
中間層を成型すること、及び、該中間層を、前記コアに対し包囲位置に設置することから成る前記工程が、該コアの上に該中間層を被覆成型することを含むことを特徴とする、請求項9に記載のゴルフボールの製造法。

【請求項12】
カバーを成型する前記工程が、第1カバーピース及び第2カバーピースを形成することを含むことを特徴とする、請求項9に記載のゴルフボールの製造法。

【請求項13】
カバーを成型すること、及び、該カバーを、前記中間層に対し包囲位置に設置することから成る前記工程が、該カバーを、該中間層の上に被覆成型することを含むことを特徴とする、請求項9に記載のゴルフボールの製造法。

【請求項14】
コアを成型する前記工程が、第1材料のコアを成型することを含み、中間層を成型する前記工程が、第1材料よりも硬い第2材料から成る中間層を成型することを含むことを特徴とする、請求項9に記載のゴルフボールの製造法。

【請求項15】
前記中間層をプレ圧縮する前記工程が、該中間層の上に圧縮層を設置することを含むことを特徴とする、請求項9に記載のゴルフボールの製造法。

【請求項16】
コア;
該コアを包囲する中間層;
該中間層を包囲し、且つ、プレ圧縮する圧縮層;及び、
該圧縮層を包囲するカバー
を含むゴルフボール。

【請求項17】
前記コアが高度に中和されるポリマーから製造されることを特徴とする、請求項16に記載のゴルフボール。

【請求項18】
前記中間層がゴムから製造されることを特徴とする、請求項16に記載のゴルフボール。

【請求項19】
前記圧縮層が、前記ゴムを圧縮することが可能な材料から製造されることを特徴とする、請求項18に記載のゴルフボール。

【請求項20】
前記カバーがポリウレタンから製造されることを特徴とする、請求項16に記載のゴルフボール。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−5830(P2012−5830A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−133436(P2011−133436)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)