プログラム、評価装置、評価システム、及び評価方法
【課題】製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を、作込工程毎に評価することが可能なプログラムを得る。
【解決手段】プログラム10は、一以上の作込工程と複数の欠陥検出工程とを備える製品開発プロジェクトにおいて、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を評価するためのプログラムであって、処理部3を、前記一以上の作込工程のうちの少なくとも一つの特定の作込工程について、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得する取得部21と、前記特定の作込工程に関する前記欠陥発生確率分布と、当該特定の作込工程に関して設定された欠陥の目標残存数と、当該特定の作込工程に関する欠陥の計画検出数又は実績検出数とに基づいて、当該特定の作込工程における目標達成確率を算出する算出部22と、として機能させる。
【解決手段】プログラム10は、一以上の作込工程と複数の欠陥検出工程とを備える製品開発プロジェクトにおいて、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を評価するためのプログラムであって、処理部3を、前記一以上の作込工程のうちの少なくとも一つの特定の作込工程について、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得する取得部21と、前記特定の作込工程に関する前記欠陥発生確率分布と、当該特定の作込工程に関して設定された欠陥の目標残存数と、当該特定の作込工程に関する欠陥の計画検出数又は実績検出数とに基づいて、当該特定の作込工程における目標達成確率を算出する算出部22と、として機能させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトウェア等の製品の開発プロジェクトにおいて、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を評価するためのプログラム、評価装置、評価システム、及び評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ソフトウェアの開発プロジェクトにおいては、要件定義工程、基本設計工程、詳細設計工程、及びプログラム作成工程等の複数の製造工程が順に実行されることによって、ソフトウェアの開発が進められる。また、バグ等の欠陥を含む製品が出荷されることを未然に防止して出荷時の製品の品質を保証すべく、単体テスト工程及び結合テスト工程等のテスト工程が実行される。
【0003】
下記特許文献1には、評価対象のソフトウェアに対してテスト工程を繰り返し実行することによって、ソフトウェアの品質を評価する品質評価方法が開示されている。当該品質評価方法では、各テスト工程においてバグを摘出する目標件数が、テスト回数が増えるに従って指数的に減少するように設定され、メモリに格納される。また、各テスト工程において実際に摘出されたバグの件数が、実績件数としてメモリに格納される。その後、メモリに格納された目標件数と実績件数との比較結果に基づいて、各テスト工程の実績評価が行われる。また、バグ摘出の実績件数と、テスト回数が増えるに従って小さい値に設定された品質推移評価算出係数との積として、各テスト工程の推移評価値が算出される。そして、各テスト工程間での推移評価値の推移状況に基づいて、ソフトウェアの品質評価が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平6−28040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された品質評価方法によると、最終製品としてのソフトウェアの品質評価を行うことはできるが、ソフトウェアに含まれる欠陥が複数の製造工程のどの工程で作り込まれたものかを特定できない。従って、製造工程毎の品質管理を行うことができないため、大量の欠陥を流出する製造工程に改善を促す等の措置をとることができないという問題がある。
【0006】
本発明はかかる問題を解決するために成されたものであり、一以上の作込工程と複数の欠陥検出工程とを備える製品開発プロジェクトにおいて、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を、作込工程毎に評価することが可能な、プログラム、評価装置、評価システム、及び評価方法を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係るプログラムは、一以上の作込工程と複数の欠陥検出工程とを備える製品開発プロジェクトにおいて、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を評価するためのプログラムであって、コンピュータを、前記一以上の作込工程のうちの少なくとも一つの特定の作込工程について、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得する取得手段と、前記特定の作込工程に関する前記欠陥発生確率分布と、当該特定の作込工程に関して設定された欠陥の目標残存数と、当該特定の作込工程に関する欠陥の計画検出数又は実績検出数とに基づいて、当該特定の作込工程における目標達成確率を算出する算出手段と、として機能させることを特徴とするものである。
【0008】
ここで、「欠陥」には、バグ等のソフトウェア上の不具合のみならず、レビューで指摘される問題点等、ソフトウェア開発の一連の工程で作り込まれる欠陥全般が含まれる。
【0009】
第1の態様に係るプログラムによれば、取得手段は、一以上の作込工程のうちの少なくとも一つの特定の作込工程について、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得する。また、算出手段は、特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布と、当該特定の作込工程に関して設定された欠陥の目標残存数と、当該特定の作込工程に関する欠陥の計画検出数又は実績検出数とに基づいて、当該特定の作込工程における目標達成確率を算出する。このように、特定の作込工程に関して欠陥の目標残存数を設定し、当該目標残存数を達成できる確率である目標達成確率を計画検出数又は実績検出数に基づいて算出することにより、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を、作込工程毎に評価することが可能となる。従って、計画検出数に基づいて算出された目標達成確率が既定値より低い場合には、当該作込工程に関する計画検出数を見直す等の措置をとることができる。また、実績検出数に基づいて算出された目標達成確率が既定値より低い場合には、当該作込工程内で追加の欠陥検出を行う等の措置をとることができる。その結果、特定の作込工程から目標を大幅に上回る欠陥が流出するという事態を抑制できるため、製品の品質を向上することが可能となる。
【0010】
本発明の第2の態様に係るプログラムは、第1の態様に係るプログラムにおいて特に、前記特定の作込工程は複数であり、前記取得手段は、複数の前記特定の作込工程の各々について、前記欠陥発生確率分布を取得し、前記算出手段は、前記取得手段が取得した複数の前記欠陥発生確率分布に基づいて、複数の前記特定の作込工程の各々における前記目標達成確率、及び、前記開発プロジェクトにおける目標達成確率を算出することを特徴とするものである。
【0011】
第2の態様に係るプログラムによれば、特定の作込工程が複数である場合に、算出手段は、取得手段が取得した複数の欠陥発生確率分布に基づいて、複数の特定の作込工程の各々における目標達成確率、及び、開発プロジェクトにおける目標達成確率を算出する。従って、個々の作込工程のみならず、開発プロジェクト全体に関しても、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を評価することが可能となる。
【0012】
本発明の第3の態様に係るプログラムは、第2の態様に係るプログラムにおいて特に、前記算出手段は、畳み込み演算によって、複数の前記欠陥発生確率分布に基づいて前記開発プロジェクトにおける前記目標達成確率を算出することを特徴とするものである。
【0013】
第3の態様に係るプログラムによれば、算出手段は、畳み込み演算によって、複数の欠陥発生確率分布に基づいて開発プロジェクトにおける目標達成確率を算出する。これにより、開発プロジェクト全体における目標達成確率を、複数の欠陥発生確率分布に基づいて正確に算出することが可能となる。その結果、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を、正確に評価することが可能となる。
【0014】
本発明の第4の態様に係るプログラムは、第1〜第3のいずれか一つの態様に係るプログラムにおいて特に、前記取得手段は、前記特定の作込工程に関する単位規模あたりの欠陥発生確率分布を、大数の法則を用いて当該特定の作込工程の計画規模に応じて拡張することにより、当該特定の作込工程に関する前記欠陥発生確率分布を取得することを特徴とするものである。
【0015】
第4の態様に係るプログラムによれば、取得手段は、特定の作込工程に関する単位規模あたりの欠陥発生確率分布を、大数の法則を用いて当該特定の作込工程の計画規模に応じて拡張することにより、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得する。大数の法則を用いることにより、特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を、単位規模あたりの欠陥発生確率分布を高精度に反映して取得することができる。
【0016】
本発明の第5の態様に係る評価装置は、一以上の作込工程と複数の欠陥検出工程とを備える製品開発プロジェクトにおいて、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を評価する評価装置であって、前記一以上の作込工程のうちの少なくとも一つの特定の作込工程について、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得する取得手段と、前記特定の作込工程に関する前記欠陥発生確率分布と、当該特定の作込工程に関して設定された欠陥の目標残存数と、当該特定の作込工程に関する欠陥の計画検出数又は実績検出数とに基づいて、当該特定の作込工程における目標達成確率を算出する算出手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0017】
ここで、「欠陥」には、バグ等のソフトウェア上の不具合のみならず、レビューで指摘される問題点等、ソフトウェア開発の一連の工程で作り込まれる欠陥全般が含まれる。
【0018】
第5の態様に係る評価装置によれば、取得手段は、一以上の作込工程のうちの少なくとも一つの特定の作込工程について、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得する。また、算出手段は、特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布と、当該特定の作込工程に関して設定された欠陥の目標残存数と、当該特定の作込工程に関する欠陥の計画検出数又は実績検出数とに基づいて、当該特定の作込工程における目標達成確率を算出する。このように、特定の作込工程に関して欠陥の目標残存数を設定し、当該目標残存数を達成できる確率である目標達成確率を計画検出数又は実績検出数に基づいて算出することにより、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を、作込工程毎に評価することが可能となる。従って、計画検出数に基づいて算出された目標達成確率が既定値より低い場合には、当該作込工程に関する計画検出数を見直す等の措置をとることができる。また、実績検出数に基づいて算出された目標達成確率が既定値より低い場合には、当該作込工程内で追加の欠陥検出を行う等の措置をとることができる。その結果、特定の作込工程から目標を大幅に上回る欠陥が流出するという事態を抑制できるため、製品の品質を向上することが可能となる。
【0019】
本発明の第6の態様に係る評価システムは、一以上の作込工程と複数の欠陥検出工程とを備える製品開発プロジェクトにおいて、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を評価する評価システムであって、前記一以上の作込工程のうちの少なくとも一つの特定の作込工程について、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得する取得手段と、前記特定の作込工程に関する前記欠陥発生確率分布と、当該特定の作込工程に関して設定された欠陥の目標残存数と、当該特定の作込工程に関する欠陥の計画検出数又は実績検出数とに基づいて、当該特定の作込工程における目標達成確率を算出する算出手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0020】
ここで、「欠陥」には、バグ等のソフトウェア上の不具合のみならず、レビューで指摘される問題点等、ソフトウェア開発の一連の工程で作り込まれる欠陥全般が含まれる。
【0021】
第6の態様に係る評価システムによれば、取得手段は、一以上の作込工程のうちの少なくとも一つの特定の作込工程について、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得する。また、算出手段は、特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布と、当該特定の作込工程に関して設定された欠陥の目標残存数と、当該特定の作込工程に関する欠陥の計画検出数又は実績検出数とに基づいて、当該特定の作込工程における目標達成確率を算出する。このように、特定の作込工程に関して欠陥の目標残存数を設定し、当該目標残存数を達成できる確率である目標達成確率を計画検出数又は実績検出数に基づいて算出することにより、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を、作込工程毎に評価することが可能となる。従って、計画検出数に基づいて算出された目標達成確率が既定値より低い場合には、当該作込工程に関する計画検出数を見直す等の措置をとることができる。また、実績検出数に基づいて算出された目標達成確率が既定値より低い場合には、当該作込工程内で追加の欠陥検出を行う等の措置をとることができる。その結果、特定の作込工程から目標を大幅に上回る欠陥が流出するという事態を抑制できるため、製品の品質を向上することが可能となる。
【0022】
本発明の第7の態様に係る評価方法は、一以上の作込工程と複数の欠陥検出工程とを備える製品開発プロジェクトにおいて、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を評価する評価方法であって、(A)前記一以上の作込工程のうちの少なくとも一つの特定の作込工程について、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得するステップと、(B)前記特定の作込工程に関する前記欠陥発生確率分布と、当該特定の作込工程に関して設定された欠陥の目標残存数と、当該特定の作込工程に関する欠陥の計画検出数又は実績検出数とに基づいて、当該特定の作込工程における目標達成確率を算出するステップと、を備えることを特徴とするものである。
【0023】
ここで、「欠陥」には、バグ等のソフトウェア上の不具合のみならず、レビューで指摘される問題点等、ソフトウェア開発の一連の工程で作り込まれる欠陥全般が含まれる。
【0024】
第7の態様に係る評価方法によれば、ステップ(A)では、一以上の作込工程のうちの少なくとも一つの特定の作込工程について、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布が取得される。また、ステップ(B)では、特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布と、当該特定の作込工程に関して設定された欠陥の目標残存数と、当該特定の作込工程に関する欠陥の計画検出数又は実績検出数とに基づいて、当該特定の作込工程における目標達成確率が算出される。このように、特定の作込工程に関して欠陥の目標残存数を設定し、当該目標残存数を達成できる確率である目標達成確率を計画検出数又は実績検出数に基づいて算出することにより、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を、作込工程毎に評価することが可能となる。従って、計画検出数に基づいて算出された目標達成確率が既定値より低い場合には、当該作込工程に関する計画検出数を見直す等の措置をとることができる。また、実績検出数に基づいて算出された目標達成確率が既定値より低い場合には、当該作込工程内で追加の欠陥検出を行う等の措置をとることができる。その結果、特定の作込工程から目標を大幅に上回る欠陥が流出するという事態を抑制できるため、製品の品質を向上することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を、作込工程毎に評価することが可能な、プログラム、評価装置、評価システム、及び評価方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態に係る評価装置の構成を示すブロック図である。
【図2】プログラムを実行することによって処理部に実現される機能を示すブロック図である。
【図3】プログラムを実行することによって処理部に実現される機能を示すブロック図である。
【図4】単位規模あたりの欠陥発生確率分布の一例を示す図である。
【図5】ソフトウェア設計工程に関する計画規模相当の欠陥発生確率分布の一例を示す図である。
【図6】ソフトウェア開発工程に関する計画規模相当の欠陥発生確率分布の一例を示す図である。
【図7】ソフトウェア設計工程に関する計画規模相当の欠陥発生確率分布の一例を示す図である。
【図8】ソフトウェア開発工程に関する計画規模相当の欠陥発生確率分布の一例を示す図である。
【図9】畳み込み演算の擬似コードを示す図である。
【図10】ソフトウェア設計工程に関する出来高規模相当の欠陥発生確率分布の一例を示す図である。
【図11】ソフトウェア開発工程に関する出来高規模相当の欠陥発生確率分布の一例を示す図である。
【図12】表示部に表示される情報の一例を示す図である。
【図13】製品開発プロジェクトを遂行する上で必要となるコストの確率分布の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0028】
以下の例では説明の簡単化のため、ソフトウェア開発プロジェクトのうちソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の二つの製造工程と、開発プロジェクト全体とに関して、ソフトウェアの品質管理(欠陥管理)を行う例について説明する。この例の場合、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各々は欠陥の作込工程となり、各工程で作り込まれた欠陥は、自工程内での欠陥検出、及び、後の複数の欠陥検出工程(製造工程、テスト工程、テスト運用、及び本番運用等)において検出される。なお、作込工程は必ずしも複数である必要はなく、一以上であればよい。つまり、本発明は、一以上の作込工程と複数の欠陥検出工程とを備える製品開発プロジェクトを適用対象とする。また、ソフトウェア開発プロジェクトに含まれる全ての製造工程を作込工程として管理する必要はなく、例えば、欠陥の流出数が多い特定の一以上の製造工程を限定して、当該製造工程を作込工程として管理してもよい。また、「欠陥」には、バグ等のソフトウェア上の不具合のみならず、レビューで指摘される問題点等、ソフトウェア開発の一連の工程で作り込まれる欠陥全般が含まれる。
【0029】
図1は、本発明の実施の形態に係る評価装置1の構成を示すブロック図である。図1の接続関係で示すように、評価装置1は、入力部2、CPU等の処理部3、出力部4、液晶表示装置等の表示部5、及び半導体メモリ等の記憶部6を備えて構成されている。記憶部6には、処理部3を動作させるためのプログラム10が格納されている。なお、図1では評価装置1が1台のコンピュータを用いて構成されている例を示したが、評価装置1は、複数台のコンピュータを用いた評価システムとして構成されていてもよい。例えば、後述する取得部21及び算出部22としての機能が、別々のコンピュータに搭載されていてもよい。
【0030】
図2,3は、プログラム10を実行することによって処理部3に実現される機能を示すブロック図である。図2,3に示すように、処理部3は、取得部21(取得手段)及び算出部22(算出手段)として機能する。換言すれば、プログラム10は、評価装置1としてのコンピュータを、取得部21及び算出部22として機能させるためのプログラムである。
【0031】
図4は、単位規模あたりの欠陥発生確率分布の一例を示す図である。この欠陥発生確率分布は、ある作込工程で作り込まれる単位規模あたりの欠陥数の確率分布を、過去の実績に基づいて予め作成したものである。単位規模は、例えば、仕様書であれば文字数又は行数等(例えば「1,000行」)によって規定され、プログラムであればステートメント数等(例えば「1,000Steps」)によって規定される。本実施の形態の例では、管理対象であるソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各々について、図4に示した欠陥発生確率分布が予め作成され、例えば図1に示した記憶部6に記憶される。
【0032】
以下、本実施の形態に係る評価装置1の動作について説明する。
【0033】
まず、ソフトウェア開発プロジェクトの計画段階での処理について説明する。
【0034】
ソフトウェア開発プロジェクトの計画段階では、まず、製品としてのソフトウェアに含まれていることを許容する欠陥の残存数(目標残存数)が設定される。そして、開発プロジェクト全体の目標残存数が、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各々に割り振られる。以下の例では、開発プロジェクト全体の目標残存数が「4件以下」に設定され、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する目標残存数がいずれも「2件以下」に設定されたものとする。
【0035】
図2を参照して、取得部21には、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する単位規模あたりの欠陥発生確率分布が、それぞれデータD1A,D1Bとして記憶部6から入力される。また、取得部21には、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する計画規模が、それぞれデータD2A,D2Bとして入力部2から入力される。ソフトウェア設計工程に関する計画規模は、仕様書の文字数又は行数等によって規定され、以下の例では「11,317行」に設定されたものとする。また、ソフトウェア開発工程に関する計画規模は、プログラムのステートメント数等によって規定され、以下の例では「7,289Steps」に設定されたものとする。
【0036】
取得部21は、データD1Aで与えられるソフトウェア設計工程に関する単位規模あたりの欠陥発生確率分布を、データD2Aで与えられるソフトウェア設計工程に関する計画規模に応じて拡張することにより、ソフトウェア設計工程に関する計画規模相当の欠陥発生確率分布を取得する。同様に、取得部21は、データD1Bで与えられるソフトウェア開発工程に関する単位規模あたりの欠陥発生確率分布を、データD2Bで与えられるソフトウェア開発工程に関する計画規模に応じて拡張することにより、ソフトウェア開発工程に関する計画規模相当の欠陥発生確率分布を取得する。ここで、確率分布の拡張にあたっては、大数の法則を用いることが望ましい。大数の法則を用いることにより、計画規模相当の欠陥発生確率分布を、単位規模あたりの欠陥発生確率分布を高精度に反映して取得することができる。取得部21によって取得された、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する計画規模相当の欠陥発生確率分布は、それぞれデータD3A,D3Bとして算出部22に入力される。ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する計画規模相当の欠陥発生確率分布の一例を、それぞれ図5及び図6に示す。
【0037】
算出部22には、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する計画規模が、それぞれデータD2A,D2Bとして入力部2から入力される。また、算出部22には、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する目標残存数(この例ではいずれも「2件」)が、それぞれデータD4A,D4Bとして入力部2から入力される。また、算出部22には、その工程から流出する欠陥数を当該工程に設定された目標残存数以下に抑えるという目標をどの程度の確率で達成したいか、その確率を示す希望達成確率が入力される。以下の例では、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関して、いずれも「75%」の希望達成確率が設定されたものとする。ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関して設定された希望達成確率は、それぞれデータD5A,D5Bとして入力部2から入力される。
【0038】
算出部22は、データD2Aで与えられる計画規模、データD4Aで与えられる目標残存数、及びデータD5Aで与えられる希望達成確率に基づき、ソフトウェア設計工程から流出する欠陥数を目標残存数以下に抑えるという目標を希望達成確率で達成するために必要な、ソフトウェア設計工程内で検出すべき欠陥数を示す必要検出数を算出する。同様に、算出部22は、データD2Bで与えられる計画規模、データD4Bで与えられる目標残存数、及びデータD5Bで与えられる希望達成確率に基づき、ソフトウェア開発工程から流出する欠陥数を目標残存数以下に抑えるという目標を希望達成確率で達成するために必要な、ソフトウェア開発工程内で検出すべき欠陥数を示す必要検出数を算出する。ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する必要検出数は、それぞれデータD6A,D6Bとして算出部22から出力され、出力部4を介して表示部5に表示される。
【0039】
また、算出部22には、必要検出数に基づいて任意に設定された、その工程内での検出を予定する欠陥数を示す計画検出数が入力される。ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関して設定された計画検出数は、それぞれデータD7A,D7Bとして入力部2から入力される。以下の例では、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する計画検出数は、それぞれ「117件」及び「79件」に設定されたものとする。
【0040】
算出部22は、データD3A,D3Bで与えられる計画規模相当の欠陥発生確率分布と、データD4A,D4Bで与えられる目標残存数と、データD7A,D7Bで与えられる計画検出数とに基づいて、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関して、計画検出数の欠陥をその工程で検出した場合に、その工程から流出する欠陥数を目標残存数以下に抑えるという目標をどの程度の確率で達成できるか、その確率を示す目標達成確率を算出する。
【0041】
図7は、ソフトウェア設計工程に関する計画規模相当の欠陥発生確率分布の一例を示す図である。ソフトウェア設計工程に関しては、計画検出数が「117件」に設定され、目標残存数が「2件以下」に設定されている。従って、算出部22は、欠陥数が「120件」以上となる領域(図中ハッチングを付した領域)の合計確率を、当該領域内における各欠陥数に対する確率の値の総和として算出し、その合計確率を「1」から減算することによって得られる確率として、ソフトウェア設計工程に関する目標達成確率を算出する。
【0042】
図8は、ソフトウェア開発工程に関する計画規模相当の欠陥発生確率分布の一例を示す図である。ソフトウェア開発工程に関しては、計画検出数が「79件」に設定され、目標残存数が「2件以下」に設定されている。従って、算出部22は、欠陥数が「82件」以上となる領域(図中ハッチングを付した領域)の合計確率を、当該領域内における各欠陥数に対する確率の値の総和として算出し、その合計確率を「1」から減算することによって得られる確率として、ソフトウェア開発工程に関する目標達成確率を算出する。
【0043】
ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する目標達成確率は、それぞれデータD8A,D8Bとして算出部22から出力され、出力部4を介して表示部5に表示される。
【0044】
また、算出部22は、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する計画規模相当の欠陥発生確率分布に基づいて、ソフトウェア開発プロジェクト全体に関する目標達成確率を算出する。一般化して、管理対象の工程が、工程1から工程nまでのn個存在するものとする。算出部22は、工程1から工程nまで通した残存欠陥数が全工程に関する目標残存数より小さくなる確率を、畳み込み演算によって算出する。残存欠陥数が目標残存数より大きくなる確率をUとし、工程iにおける欠陥数xに対する確率をfi(x)とすると、畳み込み演算の擬似コードは図9で表される。そして、求めた確率Uを「1」から減算することによって得られる確率として、ソフトウェア開発プロジェクト全体に関する目標達成確率を算出する。ソフトウェア開発プロジェクト全体に関する目標達成確率は、データD9として算出部22から出力され、出力部4を介して表示部5に表示される。
【0045】
さて次に、ソフトウェア開発プロジェクトの実行段階での処理について説明する。
【0046】
図3を参照して、取得部21には、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する単位規模あたりの欠陥発生確率分布が、それぞれデータD1A,D1Bとして記憶部6から入力される。また、取得部21には、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する出来高規模が、それぞれデータD10A,D10Bとして入力部2から入力される。ソフトウェア設計工程に関する出来高規模は、文字数又は行数等によって表され、以下の例では、計画規模に等しい「11,317行」(進捗率100%)であるものとする。また、ソフトウェア開発工程に関する出来高規模は、プログラムのステートメント数等によって表され、以下の例では、計画規模に等しい「7,289Steps」(進捗率100%)であるものとする。
【0047】
取得部21は、データD1Aで与えられるソフトウェア設計工程に関する単位規模あたりの欠陥発生確率分布を、データD10Aで与えられるソフトウェア設計工程に関する出来高規模に応じて拡張することにより、ソフトウェア設計工程に関する出来高規模相当の欠陥発生確率分布を取得する。同様に、取得部21は、データD1Bで与えられるソフトウェア開発工程に関する単位規模あたりの欠陥発生確率分布を、データD10Bで与えられるソフトウェア開発工程に関する出来高規模に応じて拡張することにより、ソフトウェア開発工程に関する出来高規模相当の欠陥発生確率分布を取得する。ここで、計画段階と同様に、大数の法則を用いて確率分布が拡張される。取得部21によって取得された、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する出来高規模相当の欠陥発生確率分布は、それぞれデータD11A,D11Bとして算出部22に入力される。
【0048】
算出部22には、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する目標残存数(この例ではいずれも「2件」)が、それぞれデータD4A,D4Bとして入力部2から入力される。また、算出部22には、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程で実際に検出された欠陥数を示す実績検出数が、それぞれデータD12A,D12Bとして入力部2から入力される。以下の例では、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する実績検出数は、それぞれ「199件」及び「110件」であったものとする。
【0049】
算出部22は、データD11A,D11Bで与えられる出来高規模相当の欠陥発生確率分布と、データD4A,D4Bで与えられる目標残存数と、データD12A,D12Bで与えられる実績検出数とに基づいて、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関して、その工程から流出する欠陥数を目標残存数以下に抑えるという目標がどの程度の確率で達成されているか、その確率を示す目標達成確率を算出する。
【0050】
図10は、ソフトウェア設計工程に関する出来高規模相当の欠陥発生確率分布の一例を示す図である。横軸は残存欠陥数である。ソフトウェア設計工程に関する実績検出数は「199件」であるため、計画規模相当の欠陥発生確率分布における横軸「199」の位置が、出来高規模相当の欠陥発生確率分布における横軸「0」の位置となっている。また、ソフトウェア設計工程に関しては、目標残存数が「2件以下」に設定されている。従って、算出部22は、残存欠陥数が「3件」以上となる領域(図中ハッチングを付した領域)の合計確率を、当該領域内における各欠陥数に対する確率の値の総和として算出し、その合計確率を「1」から減算することによって得られる確率として、ソフトウェア設計工程に関する目標達成確率を算出する。
【0051】
図11は、ソフトウェア開発工程に関する出来高規模相当の欠陥発生確率分布の一例を示す図である。横軸は残存欠陥数である。ソフトウェア開発工程に関する実績検出数は「110件」であるため、計画規模相当の欠陥発生確率分布における横軸「110」の位置が、出来高規模相当の欠陥発生確率分布における横軸「0」の位置となっている。また、ソフトウェア開発工程に関しては、目標残存数が「2件以下」に設定されている。従って、算出部22は、残存欠陥数が「3件」以上となる領域(図中ハッチングを付した領域)の合計確率を、当該領域内における各欠陥数に対する確率の値の総和として算出し、その合計確率を「1」から減算することによって得られる確率として、ソフトウェア開発工程に関する目標達成確率を算出する。
【0052】
また、算出部22は、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する出来高規模相当の欠陥発生確率分布に基づいて、ソフトウェア開発プロジェクト全体に関する目標達成確率を算出する。計画段階と同様に、算出部22は、畳み込み演算を行うことによって、ソフトウェア開発プロジェクト全体に関する目標達成確率を算出する。ソフトウェア開発プロジェクト全体に関する目標達成確率は、データD14として算出部22から出力され、出力部4を介して表示部5に表示される。
【0053】
図12は、表示部5に表示される情報の一例を示す図である。ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各々に関して、計画段階での計画規模、希望達成確率、必要検出数、及び計画検出数の各値が表示され、また、実行段階での出来高規模、進捗率、及び実績検出数の各値が表示されている。また、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各々に関して、目標残存数、計画段階での目標達成確率、及び実行段階での目標達成確率の各値が表示されている。この例では、ソフトウェア設計工程に関しては、計画段階での目標達成確率は「45.4%」となっており、実行段階での目標達成確率は「68.7%」となっている。また、ソフトウェア開発工程に関しては、計画段階での目標達成確率は「57.6%」となっており、実行段階での目標達成確率は「69.9%」となっている。
【0054】
また、ソフトウェア開発プロジェクト全体に関して、計画検出数の合計値(「196件」)、実績検出数の合計値(「309件」)、目標残存数(「4件以下」)、計画段階での目標達成確率、及び、実行段階での目標達成確率が表示されている。この例では、計画段階での目標達成確率は「69.7%」となっており、実行段階での目標達成確率は「69.9%」となっている。
【0055】
なお、以上の説明では、本実施の形態に係る評価装置1がソフトウェアの品質評価(欠陥評価)に適用される例について述べたが、そのほかにも例えば製品開発プロジェクトのコスト評価に適用することも可能である。図13は、製品開発プロジェクトを遂行する上で必要となるコスト(原価、単価)の確率分布の一例を示す図である。担当するエンジニアの経験や能力等によって生産性が異なるため、同一規模のプロジェクトを遂行する場合であっても、必要コストがばらつく。従って、あるプロジェクトを例えば100万円で受注した場合に、必要コストが100万円以上となる領域(図中ハッチングを付した領域)の合計確率を算出し、その合計確率を「1」から減算することによって得られる確率として、利益が出る確率を算出することができる。
【0056】
このように本実施の形態に係る評価装置1(及び評価システム、評価方法、プログラム10)によれば、取得部21は、一以上の作込工程のうちの少なくとも一つの特定の作込工程について、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得する。また、算出部22は、特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布と、当該特定の作込工程に関して設定された欠陥の目標残存数と、当該特定の作込工程に関する欠陥の計画検出数又は実績検出数とに基づいて、当該特定の作込工程における目標達成確率を算出する。このように、特定の作込工程に関して欠陥の目標残存数を設定し、当該目標残存数を達成できる確率である目標達成確率を計画検出数又は実績検出数に基づいて算出することにより、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を、作込工程毎に評価することが可能となる。従って、計画検出数に基づいて算出された目標達成確率が既定値より低い場合には、当該作込工程に関する計画検出数を見直す等の措置をとることができる。また、実績検出数に基づいて算出された目標達成確率が既定値より低い場合には、当該作込工程内で追加の欠陥検出を行う等の措置をとることができる。その結果、特定の作込工程から目標を大幅に上回る欠陥が流出するという事態を抑制できるため、製品の品質を向上することが可能となる。
【0057】
また、特定の作込工程が複数である場合に、算出部22は、取得部21が取得した複数の欠陥発生確率分布に基づいて、複数の特定の作込工程の各々における目標達成確率、及び、開発プロジェクトにおける目標達成確率を算出する。従って、個々の作込工程のみならず、開発プロジェクト全体に関しても、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を評価することが可能となる。
【0058】
また、算出部22は、畳み込み演算によって、複数の欠陥発生確率分布に基づいて開発プロジェクトにおける目標達成確率を算出する。これにより、開発プロジェクト全体における目標達成確率を、複数の欠陥発生確率分布に基づいて正確に算出することが可能となる。その結果、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を、正確に評価することが可能となる。
【0059】
また、取得部21は、特定の作込工程に関する単位規模あたりの欠陥発生確率分布を、大数の法則を用いて当該特定の作込工程の計画規模に応じて拡張することにより、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得する。大数の法則を用いることにより、特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を、単位規模あたりの欠陥発生確率分布を高精度に反映して取得することができる。
【0060】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0061】
1 評価装置
3 処理部
10 プログラム
21 取得部
22 算出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトウェア等の製品の開発プロジェクトにおいて、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を評価するためのプログラム、評価装置、評価システム、及び評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ソフトウェアの開発プロジェクトにおいては、要件定義工程、基本設計工程、詳細設計工程、及びプログラム作成工程等の複数の製造工程が順に実行されることによって、ソフトウェアの開発が進められる。また、バグ等の欠陥を含む製品が出荷されることを未然に防止して出荷時の製品の品質を保証すべく、単体テスト工程及び結合テスト工程等のテスト工程が実行される。
【0003】
下記特許文献1には、評価対象のソフトウェアに対してテスト工程を繰り返し実行することによって、ソフトウェアの品質を評価する品質評価方法が開示されている。当該品質評価方法では、各テスト工程においてバグを摘出する目標件数が、テスト回数が増えるに従って指数的に減少するように設定され、メモリに格納される。また、各テスト工程において実際に摘出されたバグの件数が、実績件数としてメモリに格納される。その後、メモリに格納された目標件数と実績件数との比較結果に基づいて、各テスト工程の実績評価が行われる。また、バグ摘出の実績件数と、テスト回数が増えるに従って小さい値に設定された品質推移評価算出係数との積として、各テスト工程の推移評価値が算出される。そして、各テスト工程間での推移評価値の推移状況に基づいて、ソフトウェアの品質評価が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平6−28040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された品質評価方法によると、最終製品としてのソフトウェアの品質評価を行うことはできるが、ソフトウェアに含まれる欠陥が複数の製造工程のどの工程で作り込まれたものかを特定できない。従って、製造工程毎の品質管理を行うことができないため、大量の欠陥を流出する製造工程に改善を促す等の措置をとることができないという問題がある。
【0006】
本発明はかかる問題を解決するために成されたものであり、一以上の作込工程と複数の欠陥検出工程とを備える製品開発プロジェクトにおいて、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を、作込工程毎に評価することが可能な、プログラム、評価装置、評価システム、及び評価方法を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係るプログラムは、一以上の作込工程と複数の欠陥検出工程とを備える製品開発プロジェクトにおいて、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を評価するためのプログラムであって、コンピュータを、前記一以上の作込工程のうちの少なくとも一つの特定の作込工程について、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得する取得手段と、前記特定の作込工程に関する前記欠陥発生確率分布と、当該特定の作込工程に関して設定された欠陥の目標残存数と、当該特定の作込工程に関する欠陥の計画検出数又は実績検出数とに基づいて、当該特定の作込工程における目標達成確率を算出する算出手段と、として機能させることを特徴とするものである。
【0008】
ここで、「欠陥」には、バグ等のソフトウェア上の不具合のみならず、レビューで指摘される問題点等、ソフトウェア開発の一連の工程で作り込まれる欠陥全般が含まれる。
【0009】
第1の態様に係るプログラムによれば、取得手段は、一以上の作込工程のうちの少なくとも一つの特定の作込工程について、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得する。また、算出手段は、特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布と、当該特定の作込工程に関して設定された欠陥の目標残存数と、当該特定の作込工程に関する欠陥の計画検出数又は実績検出数とに基づいて、当該特定の作込工程における目標達成確率を算出する。このように、特定の作込工程に関して欠陥の目標残存数を設定し、当該目標残存数を達成できる確率である目標達成確率を計画検出数又は実績検出数に基づいて算出することにより、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を、作込工程毎に評価することが可能となる。従って、計画検出数に基づいて算出された目標達成確率が既定値より低い場合には、当該作込工程に関する計画検出数を見直す等の措置をとることができる。また、実績検出数に基づいて算出された目標達成確率が既定値より低い場合には、当該作込工程内で追加の欠陥検出を行う等の措置をとることができる。その結果、特定の作込工程から目標を大幅に上回る欠陥が流出するという事態を抑制できるため、製品の品質を向上することが可能となる。
【0010】
本発明の第2の態様に係るプログラムは、第1の態様に係るプログラムにおいて特に、前記特定の作込工程は複数であり、前記取得手段は、複数の前記特定の作込工程の各々について、前記欠陥発生確率分布を取得し、前記算出手段は、前記取得手段が取得した複数の前記欠陥発生確率分布に基づいて、複数の前記特定の作込工程の各々における前記目標達成確率、及び、前記開発プロジェクトにおける目標達成確率を算出することを特徴とするものである。
【0011】
第2の態様に係るプログラムによれば、特定の作込工程が複数である場合に、算出手段は、取得手段が取得した複数の欠陥発生確率分布に基づいて、複数の特定の作込工程の各々における目標達成確率、及び、開発プロジェクトにおける目標達成確率を算出する。従って、個々の作込工程のみならず、開発プロジェクト全体に関しても、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を評価することが可能となる。
【0012】
本発明の第3の態様に係るプログラムは、第2の態様に係るプログラムにおいて特に、前記算出手段は、畳み込み演算によって、複数の前記欠陥発生確率分布に基づいて前記開発プロジェクトにおける前記目標達成確率を算出することを特徴とするものである。
【0013】
第3の態様に係るプログラムによれば、算出手段は、畳み込み演算によって、複数の欠陥発生確率分布に基づいて開発プロジェクトにおける目標達成確率を算出する。これにより、開発プロジェクト全体における目標達成確率を、複数の欠陥発生確率分布に基づいて正確に算出することが可能となる。その結果、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を、正確に評価することが可能となる。
【0014】
本発明の第4の態様に係るプログラムは、第1〜第3のいずれか一つの態様に係るプログラムにおいて特に、前記取得手段は、前記特定の作込工程に関する単位規模あたりの欠陥発生確率分布を、大数の法則を用いて当該特定の作込工程の計画規模に応じて拡張することにより、当該特定の作込工程に関する前記欠陥発生確率分布を取得することを特徴とするものである。
【0015】
第4の態様に係るプログラムによれば、取得手段は、特定の作込工程に関する単位規模あたりの欠陥発生確率分布を、大数の法則を用いて当該特定の作込工程の計画規模に応じて拡張することにより、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得する。大数の法則を用いることにより、特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を、単位規模あたりの欠陥発生確率分布を高精度に反映して取得することができる。
【0016】
本発明の第5の態様に係る評価装置は、一以上の作込工程と複数の欠陥検出工程とを備える製品開発プロジェクトにおいて、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を評価する評価装置であって、前記一以上の作込工程のうちの少なくとも一つの特定の作込工程について、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得する取得手段と、前記特定の作込工程に関する前記欠陥発生確率分布と、当該特定の作込工程に関して設定された欠陥の目標残存数と、当該特定の作込工程に関する欠陥の計画検出数又は実績検出数とに基づいて、当該特定の作込工程における目標達成確率を算出する算出手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0017】
ここで、「欠陥」には、バグ等のソフトウェア上の不具合のみならず、レビューで指摘される問題点等、ソフトウェア開発の一連の工程で作り込まれる欠陥全般が含まれる。
【0018】
第5の態様に係る評価装置によれば、取得手段は、一以上の作込工程のうちの少なくとも一つの特定の作込工程について、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得する。また、算出手段は、特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布と、当該特定の作込工程に関して設定された欠陥の目標残存数と、当該特定の作込工程に関する欠陥の計画検出数又は実績検出数とに基づいて、当該特定の作込工程における目標達成確率を算出する。このように、特定の作込工程に関して欠陥の目標残存数を設定し、当該目標残存数を達成できる確率である目標達成確率を計画検出数又は実績検出数に基づいて算出することにより、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を、作込工程毎に評価することが可能となる。従って、計画検出数に基づいて算出された目標達成確率が既定値より低い場合には、当該作込工程に関する計画検出数を見直す等の措置をとることができる。また、実績検出数に基づいて算出された目標達成確率が既定値より低い場合には、当該作込工程内で追加の欠陥検出を行う等の措置をとることができる。その結果、特定の作込工程から目標を大幅に上回る欠陥が流出するという事態を抑制できるため、製品の品質を向上することが可能となる。
【0019】
本発明の第6の態様に係る評価システムは、一以上の作込工程と複数の欠陥検出工程とを備える製品開発プロジェクトにおいて、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を評価する評価システムであって、前記一以上の作込工程のうちの少なくとも一つの特定の作込工程について、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得する取得手段と、前記特定の作込工程に関する前記欠陥発生確率分布と、当該特定の作込工程に関して設定された欠陥の目標残存数と、当該特定の作込工程に関する欠陥の計画検出数又は実績検出数とに基づいて、当該特定の作込工程における目標達成確率を算出する算出手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0020】
ここで、「欠陥」には、バグ等のソフトウェア上の不具合のみならず、レビューで指摘される問題点等、ソフトウェア開発の一連の工程で作り込まれる欠陥全般が含まれる。
【0021】
第6の態様に係る評価システムによれば、取得手段は、一以上の作込工程のうちの少なくとも一つの特定の作込工程について、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得する。また、算出手段は、特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布と、当該特定の作込工程に関して設定された欠陥の目標残存数と、当該特定の作込工程に関する欠陥の計画検出数又は実績検出数とに基づいて、当該特定の作込工程における目標達成確率を算出する。このように、特定の作込工程に関して欠陥の目標残存数を設定し、当該目標残存数を達成できる確率である目標達成確率を計画検出数又は実績検出数に基づいて算出することにより、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を、作込工程毎に評価することが可能となる。従って、計画検出数に基づいて算出された目標達成確率が既定値より低い場合には、当該作込工程に関する計画検出数を見直す等の措置をとることができる。また、実績検出数に基づいて算出された目標達成確率が既定値より低い場合には、当該作込工程内で追加の欠陥検出を行う等の措置をとることができる。その結果、特定の作込工程から目標を大幅に上回る欠陥が流出するという事態を抑制できるため、製品の品質を向上することが可能となる。
【0022】
本発明の第7の態様に係る評価方法は、一以上の作込工程と複数の欠陥検出工程とを備える製品開発プロジェクトにおいて、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を評価する評価方法であって、(A)前記一以上の作込工程のうちの少なくとも一つの特定の作込工程について、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得するステップと、(B)前記特定の作込工程に関する前記欠陥発生確率分布と、当該特定の作込工程に関して設定された欠陥の目標残存数と、当該特定の作込工程に関する欠陥の計画検出数又は実績検出数とに基づいて、当該特定の作込工程における目標達成確率を算出するステップと、を備えることを特徴とするものである。
【0023】
ここで、「欠陥」には、バグ等のソフトウェア上の不具合のみならず、レビューで指摘される問題点等、ソフトウェア開発の一連の工程で作り込まれる欠陥全般が含まれる。
【0024】
第7の態様に係る評価方法によれば、ステップ(A)では、一以上の作込工程のうちの少なくとも一つの特定の作込工程について、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布が取得される。また、ステップ(B)では、特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布と、当該特定の作込工程に関して設定された欠陥の目標残存数と、当該特定の作込工程に関する欠陥の計画検出数又は実績検出数とに基づいて、当該特定の作込工程における目標達成確率が算出される。このように、特定の作込工程に関して欠陥の目標残存数を設定し、当該目標残存数を達成できる確率である目標達成確率を計画検出数又は実績検出数に基づいて算出することにより、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を、作込工程毎に評価することが可能となる。従って、計画検出数に基づいて算出された目標達成確率が既定値より低い場合には、当該作込工程に関する計画検出数を見直す等の措置をとることができる。また、実績検出数に基づいて算出された目標達成確率が既定値より低い場合には、当該作込工程内で追加の欠陥検出を行う等の措置をとることができる。その結果、特定の作込工程から目標を大幅に上回る欠陥が流出するという事態を抑制できるため、製品の品質を向上することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を、作込工程毎に評価することが可能な、プログラム、評価装置、評価システム、及び評価方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態に係る評価装置の構成を示すブロック図である。
【図2】プログラムを実行することによって処理部に実現される機能を示すブロック図である。
【図3】プログラムを実行することによって処理部に実現される機能を示すブロック図である。
【図4】単位規模あたりの欠陥発生確率分布の一例を示す図である。
【図5】ソフトウェア設計工程に関する計画規模相当の欠陥発生確率分布の一例を示す図である。
【図6】ソフトウェア開発工程に関する計画規模相当の欠陥発生確率分布の一例を示す図である。
【図7】ソフトウェア設計工程に関する計画規模相当の欠陥発生確率分布の一例を示す図である。
【図8】ソフトウェア開発工程に関する計画規模相当の欠陥発生確率分布の一例を示す図である。
【図9】畳み込み演算の擬似コードを示す図である。
【図10】ソフトウェア設計工程に関する出来高規模相当の欠陥発生確率分布の一例を示す図である。
【図11】ソフトウェア開発工程に関する出来高規模相当の欠陥発生確率分布の一例を示す図である。
【図12】表示部に表示される情報の一例を示す図である。
【図13】製品開発プロジェクトを遂行する上で必要となるコストの確率分布の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0028】
以下の例では説明の簡単化のため、ソフトウェア開発プロジェクトのうちソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の二つの製造工程と、開発プロジェクト全体とに関して、ソフトウェアの品質管理(欠陥管理)を行う例について説明する。この例の場合、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各々は欠陥の作込工程となり、各工程で作り込まれた欠陥は、自工程内での欠陥検出、及び、後の複数の欠陥検出工程(製造工程、テスト工程、テスト運用、及び本番運用等)において検出される。なお、作込工程は必ずしも複数である必要はなく、一以上であればよい。つまり、本発明は、一以上の作込工程と複数の欠陥検出工程とを備える製品開発プロジェクトを適用対象とする。また、ソフトウェア開発プロジェクトに含まれる全ての製造工程を作込工程として管理する必要はなく、例えば、欠陥の流出数が多い特定の一以上の製造工程を限定して、当該製造工程を作込工程として管理してもよい。また、「欠陥」には、バグ等のソフトウェア上の不具合のみならず、レビューで指摘される問題点等、ソフトウェア開発の一連の工程で作り込まれる欠陥全般が含まれる。
【0029】
図1は、本発明の実施の形態に係る評価装置1の構成を示すブロック図である。図1の接続関係で示すように、評価装置1は、入力部2、CPU等の処理部3、出力部4、液晶表示装置等の表示部5、及び半導体メモリ等の記憶部6を備えて構成されている。記憶部6には、処理部3を動作させるためのプログラム10が格納されている。なお、図1では評価装置1が1台のコンピュータを用いて構成されている例を示したが、評価装置1は、複数台のコンピュータを用いた評価システムとして構成されていてもよい。例えば、後述する取得部21及び算出部22としての機能が、別々のコンピュータに搭載されていてもよい。
【0030】
図2,3は、プログラム10を実行することによって処理部3に実現される機能を示すブロック図である。図2,3に示すように、処理部3は、取得部21(取得手段)及び算出部22(算出手段)として機能する。換言すれば、プログラム10は、評価装置1としてのコンピュータを、取得部21及び算出部22として機能させるためのプログラムである。
【0031】
図4は、単位規模あたりの欠陥発生確率分布の一例を示す図である。この欠陥発生確率分布は、ある作込工程で作り込まれる単位規模あたりの欠陥数の確率分布を、過去の実績に基づいて予め作成したものである。単位規模は、例えば、仕様書であれば文字数又は行数等(例えば「1,000行」)によって規定され、プログラムであればステートメント数等(例えば「1,000Steps」)によって規定される。本実施の形態の例では、管理対象であるソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各々について、図4に示した欠陥発生確率分布が予め作成され、例えば図1に示した記憶部6に記憶される。
【0032】
以下、本実施の形態に係る評価装置1の動作について説明する。
【0033】
まず、ソフトウェア開発プロジェクトの計画段階での処理について説明する。
【0034】
ソフトウェア開発プロジェクトの計画段階では、まず、製品としてのソフトウェアに含まれていることを許容する欠陥の残存数(目標残存数)が設定される。そして、開発プロジェクト全体の目標残存数が、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各々に割り振られる。以下の例では、開発プロジェクト全体の目標残存数が「4件以下」に設定され、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する目標残存数がいずれも「2件以下」に設定されたものとする。
【0035】
図2を参照して、取得部21には、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する単位規模あたりの欠陥発生確率分布が、それぞれデータD1A,D1Bとして記憶部6から入力される。また、取得部21には、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する計画規模が、それぞれデータD2A,D2Bとして入力部2から入力される。ソフトウェア設計工程に関する計画規模は、仕様書の文字数又は行数等によって規定され、以下の例では「11,317行」に設定されたものとする。また、ソフトウェア開発工程に関する計画規模は、プログラムのステートメント数等によって規定され、以下の例では「7,289Steps」に設定されたものとする。
【0036】
取得部21は、データD1Aで与えられるソフトウェア設計工程に関する単位規模あたりの欠陥発生確率分布を、データD2Aで与えられるソフトウェア設計工程に関する計画規模に応じて拡張することにより、ソフトウェア設計工程に関する計画規模相当の欠陥発生確率分布を取得する。同様に、取得部21は、データD1Bで与えられるソフトウェア開発工程に関する単位規模あたりの欠陥発生確率分布を、データD2Bで与えられるソフトウェア開発工程に関する計画規模に応じて拡張することにより、ソフトウェア開発工程に関する計画規模相当の欠陥発生確率分布を取得する。ここで、確率分布の拡張にあたっては、大数の法則を用いることが望ましい。大数の法則を用いることにより、計画規模相当の欠陥発生確率分布を、単位規模あたりの欠陥発生確率分布を高精度に反映して取得することができる。取得部21によって取得された、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する計画規模相当の欠陥発生確率分布は、それぞれデータD3A,D3Bとして算出部22に入力される。ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する計画規模相当の欠陥発生確率分布の一例を、それぞれ図5及び図6に示す。
【0037】
算出部22には、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する計画規模が、それぞれデータD2A,D2Bとして入力部2から入力される。また、算出部22には、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する目標残存数(この例ではいずれも「2件」)が、それぞれデータD4A,D4Bとして入力部2から入力される。また、算出部22には、その工程から流出する欠陥数を当該工程に設定された目標残存数以下に抑えるという目標をどの程度の確率で達成したいか、その確率を示す希望達成確率が入力される。以下の例では、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関して、いずれも「75%」の希望達成確率が設定されたものとする。ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関して設定された希望達成確率は、それぞれデータD5A,D5Bとして入力部2から入力される。
【0038】
算出部22は、データD2Aで与えられる計画規模、データD4Aで与えられる目標残存数、及びデータD5Aで与えられる希望達成確率に基づき、ソフトウェア設計工程から流出する欠陥数を目標残存数以下に抑えるという目標を希望達成確率で達成するために必要な、ソフトウェア設計工程内で検出すべき欠陥数を示す必要検出数を算出する。同様に、算出部22は、データD2Bで与えられる計画規模、データD4Bで与えられる目標残存数、及びデータD5Bで与えられる希望達成確率に基づき、ソフトウェア開発工程から流出する欠陥数を目標残存数以下に抑えるという目標を希望達成確率で達成するために必要な、ソフトウェア開発工程内で検出すべき欠陥数を示す必要検出数を算出する。ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する必要検出数は、それぞれデータD6A,D6Bとして算出部22から出力され、出力部4を介して表示部5に表示される。
【0039】
また、算出部22には、必要検出数に基づいて任意に設定された、その工程内での検出を予定する欠陥数を示す計画検出数が入力される。ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関して設定された計画検出数は、それぞれデータD7A,D7Bとして入力部2から入力される。以下の例では、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する計画検出数は、それぞれ「117件」及び「79件」に設定されたものとする。
【0040】
算出部22は、データD3A,D3Bで与えられる計画規模相当の欠陥発生確率分布と、データD4A,D4Bで与えられる目標残存数と、データD7A,D7Bで与えられる計画検出数とに基づいて、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関して、計画検出数の欠陥をその工程で検出した場合に、その工程から流出する欠陥数を目標残存数以下に抑えるという目標をどの程度の確率で達成できるか、その確率を示す目標達成確率を算出する。
【0041】
図7は、ソフトウェア設計工程に関する計画規模相当の欠陥発生確率分布の一例を示す図である。ソフトウェア設計工程に関しては、計画検出数が「117件」に設定され、目標残存数が「2件以下」に設定されている。従って、算出部22は、欠陥数が「120件」以上となる領域(図中ハッチングを付した領域)の合計確率を、当該領域内における各欠陥数に対する確率の値の総和として算出し、その合計確率を「1」から減算することによって得られる確率として、ソフトウェア設計工程に関する目標達成確率を算出する。
【0042】
図8は、ソフトウェア開発工程に関する計画規模相当の欠陥発生確率分布の一例を示す図である。ソフトウェア開発工程に関しては、計画検出数が「79件」に設定され、目標残存数が「2件以下」に設定されている。従って、算出部22は、欠陥数が「82件」以上となる領域(図中ハッチングを付した領域)の合計確率を、当該領域内における各欠陥数に対する確率の値の総和として算出し、その合計確率を「1」から減算することによって得られる確率として、ソフトウェア開発工程に関する目標達成確率を算出する。
【0043】
ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する目標達成確率は、それぞれデータD8A,D8Bとして算出部22から出力され、出力部4を介して表示部5に表示される。
【0044】
また、算出部22は、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する計画規模相当の欠陥発生確率分布に基づいて、ソフトウェア開発プロジェクト全体に関する目標達成確率を算出する。一般化して、管理対象の工程が、工程1から工程nまでのn個存在するものとする。算出部22は、工程1から工程nまで通した残存欠陥数が全工程に関する目標残存数より小さくなる確率を、畳み込み演算によって算出する。残存欠陥数が目標残存数より大きくなる確率をUとし、工程iにおける欠陥数xに対する確率をfi(x)とすると、畳み込み演算の擬似コードは図9で表される。そして、求めた確率Uを「1」から減算することによって得られる確率として、ソフトウェア開発プロジェクト全体に関する目標達成確率を算出する。ソフトウェア開発プロジェクト全体に関する目標達成確率は、データD9として算出部22から出力され、出力部4を介して表示部5に表示される。
【0045】
さて次に、ソフトウェア開発プロジェクトの実行段階での処理について説明する。
【0046】
図3を参照して、取得部21には、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する単位規模あたりの欠陥発生確率分布が、それぞれデータD1A,D1Bとして記憶部6から入力される。また、取得部21には、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する出来高規模が、それぞれデータD10A,D10Bとして入力部2から入力される。ソフトウェア設計工程に関する出来高規模は、文字数又は行数等によって表され、以下の例では、計画規模に等しい「11,317行」(進捗率100%)であるものとする。また、ソフトウェア開発工程に関する出来高規模は、プログラムのステートメント数等によって表され、以下の例では、計画規模に等しい「7,289Steps」(進捗率100%)であるものとする。
【0047】
取得部21は、データD1Aで与えられるソフトウェア設計工程に関する単位規模あたりの欠陥発生確率分布を、データD10Aで与えられるソフトウェア設計工程に関する出来高規模に応じて拡張することにより、ソフトウェア設計工程に関する出来高規模相当の欠陥発生確率分布を取得する。同様に、取得部21は、データD1Bで与えられるソフトウェア開発工程に関する単位規模あたりの欠陥発生確率分布を、データD10Bで与えられるソフトウェア開発工程に関する出来高規模に応じて拡張することにより、ソフトウェア開発工程に関する出来高規模相当の欠陥発生確率分布を取得する。ここで、計画段階と同様に、大数の法則を用いて確率分布が拡張される。取得部21によって取得された、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する出来高規模相当の欠陥発生確率分布は、それぞれデータD11A,D11Bとして算出部22に入力される。
【0048】
算出部22には、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する目標残存数(この例ではいずれも「2件」)が、それぞれデータD4A,D4Bとして入力部2から入力される。また、算出部22には、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程で実際に検出された欠陥数を示す実績検出数が、それぞれデータD12A,D12Bとして入力部2から入力される。以下の例では、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する実績検出数は、それぞれ「199件」及び「110件」であったものとする。
【0049】
算出部22は、データD11A,D11Bで与えられる出来高規模相当の欠陥発生確率分布と、データD4A,D4Bで与えられる目標残存数と、データD12A,D12Bで与えられる実績検出数とに基づいて、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関して、その工程から流出する欠陥数を目標残存数以下に抑えるという目標がどの程度の確率で達成されているか、その確率を示す目標達成確率を算出する。
【0050】
図10は、ソフトウェア設計工程に関する出来高規模相当の欠陥発生確率分布の一例を示す図である。横軸は残存欠陥数である。ソフトウェア設計工程に関する実績検出数は「199件」であるため、計画規模相当の欠陥発生確率分布における横軸「199」の位置が、出来高規模相当の欠陥発生確率分布における横軸「0」の位置となっている。また、ソフトウェア設計工程に関しては、目標残存数が「2件以下」に設定されている。従って、算出部22は、残存欠陥数が「3件」以上となる領域(図中ハッチングを付した領域)の合計確率を、当該領域内における各欠陥数に対する確率の値の総和として算出し、その合計確率を「1」から減算することによって得られる確率として、ソフトウェア設計工程に関する目標達成確率を算出する。
【0051】
図11は、ソフトウェア開発工程に関する出来高規模相当の欠陥発生確率分布の一例を示す図である。横軸は残存欠陥数である。ソフトウェア開発工程に関する実績検出数は「110件」であるため、計画規模相当の欠陥発生確率分布における横軸「110」の位置が、出来高規模相当の欠陥発生確率分布における横軸「0」の位置となっている。また、ソフトウェア開発工程に関しては、目標残存数が「2件以下」に設定されている。従って、算出部22は、残存欠陥数が「3件」以上となる領域(図中ハッチングを付した領域)の合計確率を、当該領域内における各欠陥数に対する確率の値の総和として算出し、その合計確率を「1」から減算することによって得られる確率として、ソフトウェア開発工程に関する目標達成確率を算出する。
【0052】
また、算出部22は、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各工程に関する出来高規模相当の欠陥発生確率分布に基づいて、ソフトウェア開発プロジェクト全体に関する目標達成確率を算出する。計画段階と同様に、算出部22は、畳み込み演算を行うことによって、ソフトウェア開発プロジェクト全体に関する目標達成確率を算出する。ソフトウェア開発プロジェクト全体に関する目標達成確率は、データD14として算出部22から出力され、出力部4を介して表示部5に表示される。
【0053】
図12は、表示部5に表示される情報の一例を示す図である。ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各々に関して、計画段階での計画規模、希望達成確率、必要検出数、及び計画検出数の各値が表示され、また、実行段階での出来高規模、進捗率、及び実績検出数の各値が表示されている。また、ソフトウェア設計工程及びソフトウェア開発工程の各々に関して、目標残存数、計画段階での目標達成確率、及び実行段階での目標達成確率の各値が表示されている。この例では、ソフトウェア設計工程に関しては、計画段階での目標達成確率は「45.4%」となっており、実行段階での目標達成確率は「68.7%」となっている。また、ソフトウェア開発工程に関しては、計画段階での目標達成確率は「57.6%」となっており、実行段階での目標達成確率は「69.9%」となっている。
【0054】
また、ソフトウェア開発プロジェクト全体に関して、計画検出数の合計値(「196件」)、実績検出数の合計値(「309件」)、目標残存数(「4件以下」)、計画段階での目標達成確率、及び、実行段階での目標達成確率が表示されている。この例では、計画段階での目標達成確率は「69.7%」となっており、実行段階での目標達成確率は「69.9%」となっている。
【0055】
なお、以上の説明では、本実施の形態に係る評価装置1がソフトウェアの品質評価(欠陥評価)に適用される例について述べたが、そのほかにも例えば製品開発プロジェクトのコスト評価に適用することも可能である。図13は、製品開発プロジェクトを遂行する上で必要となるコスト(原価、単価)の確率分布の一例を示す図である。担当するエンジニアの経験や能力等によって生産性が異なるため、同一規模のプロジェクトを遂行する場合であっても、必要コストがばらつく。従って、あるプロジェクトを例えば100万円で受注した場合に、必要コストが100万円以上となる領域(図中ハッチングを付した領域)の合計確率を算出し、その合計確率を「1」から減算することによって得られる確率として、利益が出る確率を算出することができる。
【0056】
このように本実施の形態に係る評価装置1(及び評価システム、評価方法、プログラム10)によれば、取得部21は、一以上の作込工程のうちの少なくとも一つの特定の作込工程について、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得する。また、算出部22は、特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布と、当該特定の作込工程に関して設定された欠陥の目標残存数と、当該特定の作込工程に関する欠陥の計画検出数又は実績検出数とに基づいて、当該特定の作込工程における目標達成確率を算出する。このように、特定の作込工程に関して欠陥の目標残存数を設定し、当該目標残存数を達成できる確率である目標達成確率を計画検出数又は実績検出数に基づいて算出することにより、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を、作込工程毎に評価することが可能となる。従って、計画検出数に基づいて算出された目標達成確率が既定値より低い場合には、当該作込工程に関する計画検出数を見直す等の措置をとることができる。また、実績検出数に基づいて算出された目標達成確率が既定値より低い場合には、当該作込工程内で追加の欠陥検出を行う等の措置をとることができる。その結果、特定の作込工程から目標を大幅に上回る欠陥が流出するという事態を抑制できるため、製品の品質を向上することが可能となる。
【0057】
また、特定の作込工程が複数である場合に、算出部22は、取得部21が取得した複数の欠陥発生確率分布に基づいて、複数の特定の作込工程の各々における目標達成確率、及び、開発プロジェクトにおける目標達成確率を算出する。従って、個々の作込工程のみならず、開発プロジェクト全体に関しても、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を評価することが可能となる。
【0058】
また、算出部22は、畳み込み演算によって、複数の欠陥発生確率分布に基づいて開発プロジェクトにおける目標達成確率を算出する。これにより、開発プロジェクト全体における目標達成確率を、複数の欠陥発生確率分布に基づいて正確に算出することが可能となる。その結果、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を、正確に評価することが可能となる。
【0059】
また、取得部21は、特定の作込工程に関する単位規模あたりの欠陥発生確率分布を、大数の法則を用いて当該特定の作込工程の計画規模に応じて拡張することにより、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得する。大数の法則を用いることにより、特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を、単位規模あたりの欠陥発生確率分布を高精度に反映して取得することができる。
【0060】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0061】
1 評価装置
3 処理部
10 プログラム
21 取得部
22 算出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一以上の作込工程と複数の欠陥検出工程とを備える製品開発プロジェクトにおいて、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を評価するためのプログラムであって、
コンピュータを、
前記一以上の作込工程のうちの少なくとも一つの特定の作込工程について、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得する取得手段と、
前記特定の作込工程に関する前記欠陥発生確率分布と、当該特定の作込工程に関して設定された欠陥の目標残存数と、当該特定の作込工程に関する欠陥の計画検出数又は実績検出数とに基づいて、当該特定の作込工程における目標達成確率を算出する算出手段と、
として機能させるためのプログラム。
【請求項2】
前記特定の作込工程は複数であり、
前記取得手段は、複数の前記特定の作込工程の各々について、前記欠陥発生確率分布を取得し、
前記算出手段は、前記取得手段が取得した複数の前記欠陥発生確率分布に基づいて、複数の前記特定の作込工程の各々における前記目標達成確率、及び、前記開発プロジェクトにおける目標達成確率を算出する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記算出手段は、畳み込み演算によって、複数の前記欠陥発生確率分布に基づいて前記開発プロジェクトにおける前記目標達成確率を算出する、請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記取得手段は、前記特定の作込工程に関する単位規模あたりの欠陥発生確率分布を、大数の法則を用いて当該特定の作込工程の計画規模に応じて拡張することにより、当該特定の作込工程に関する前記欠陥発生確率分布を取得する、請求項1〜3のいずれか一つに記載のプログラム。
【請求項5】
一以上の作込工程と複数の欠陥検出工程とを備える製品開発プロジェクトにおいて、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を評価する評価装置であって、
前記一以上の作込工程のうちの少なくとも一つの特定の作込工程について、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得する取得手段と、
前記特定の作込工程に関する前記欠陥発生確率分布と、当該特定の作込工程に関して設定された欠陥の目標残存数と、当該特定の作込工程に関する欠陥の計画検出数又は実績検出数とに基づいて、当該特定の作込工程における目標達成確率を算出する算出手段と、
を備える、評価装置。
【請求項6】
一以上の作込工程と複数の欠陥検出工程とを備える製品開発プロジェクトにおいて、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を評価する評価システムであって、
前記一以上の作込工程のうちの少なくとも一つの特定の作込工程について、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得する取得手段と、
前記特定の作込工程に関する前記欠陥発生確率分布と、当該特定の作込工程に関して設定された欠陥の目標残存数と、当該特定の作込工程に関する欠陥の計画検出数又は実績検出数とに基づいて、当該特定の作込工程における目標達成確率を算出する算出手段と、
を備える、評価システム。
【請求項7】
一以上の作込工程と複数の欠陥検出工程とを備える製品開発プロジェクトにおいて、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を評価する評価方法であって、
(A)前記一以上の作込工程のうちの少なくとも一つの特定の作込工程について、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得するステップと、
(B)前記特定の作込工程に関する前記欠陥発生確率分布と、当該特定の作込工程に関して設定された欠陥の目標残存数と、当該特定の作込工程に関する欠陥の計画検出数又は実績検出数とに基づいて、当該特定の作込工程における目標達成確率を算出するステップと、
を備える、評価方法。
【請求項1】
一以上の作込工程と複数の欠陥検出工程とを備える製品開発プロジェクトにおいて、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を評価するためのプログラムであって、
コンピュータを、
前記一以上の作込工程のうちの少なくとも一つの特定の作込工程について、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得する取得手段と、
前記特定の作込工程に関する前記欠陥発生確率分布と、当該特定の作込工程に関して設定された欠陥の目標残存数と、当該特定の作込工程に関する欠陥の計画検出数又は実績検出数とに基づいて、当該特定の作込工程における目標達成確率を算出する算出手段と、
として機能させるためのプログラム。
【請求項2】
前記特定の作込工程は複数であり、
前記取得手段は、複数の前記特定の作込工程の各々について、前記欠陥発生確率分布を取得し、
前記算出手段は、前記取得手段が取得した複数の前記欠陥発生確率分布に基づいて、複数の前記特定の作込工程の各々における前記目標達成確率、及び、前記開発プロジェクトにおける目標達成確率を算出する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記算出手段は、畳み込み演算によって、複数の前記欠陥発生確率分布に基づいて前記開発プロジェクトにおける前記目標達成確率を算出する、請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記取得手段は、前記特定の作込工程に関する単位規模あたりの欠陥発生確率分布を、大数の法則を用いて当該特定の作込工程の計画規模に応じて拡張することにより、当該特定の作込工程に関する前記欠陥発生確率分布を取得する、請求項1〜3のいずれか一つに記載のプログラム。
【請求項5】
一以上の作込工程と複数の欠陥検出工程とを備える製品開発プロジェクトにおいて、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を評価する評価装置であって、
前記一以上の作込工程のうちの少なくとも一つの特定の作込工程について、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得する取得手段と、
前記特定の作込工程に関する前記欠陥発生確率分布と、当該特定の作込工程に関して設定された欠陥の目標残存数と、当該特定の作込工程に関する欠陥の計画検出数又は実績検出数とに基づいて、当該特定の作込工程における目標達成確率を算出する算出手段と、
を備える、評価装置。
【請求項6】
一以上の作込工程と複数の欠陥検出工程とを備える製品開発プロジェクトにおいて、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を評価する評価システムであって、
前記一以上の作込工程のうちの少なくとも一つの特定の作込工程について、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得する取得手段と、
前記特定の作込工程に関する前記欠陥発生確率分布と、当該特定の作込工程に関して設定された欠陥の目標残存数と、当該特定の作込工程に関する欠陥の計画検出数又は実績検出数とに基づいて、当該特定の作込工程における目標達成確率を算出する算出手段と、
を備える、評価システム。
【請求項7】
一以上の作込工程と複数の欠陥検出工程とを備える製品開発プロジェクトにおいて、製品に含まれる欠陥の数を目標残存数以下に抑えるという目標の達成の可否を評価する評価方法であって、
(A)前記一以上の作込工程のうちの少なくとも一つの特定の作込工程について、当該特定の作込工程に関する欠陥発生確率分布を取得するステップと、
(B)前記特定の作込工程に関する前記欠陥発生確率分布と、当該特定の作込工程に関して設定された欠陥の目標残存数と、当該特定の作込工程に関する欠陥の計画検出数又は実績検出数とに基づいて、当該特定の作込工程における目標達成確率を算出するステップと、
を備える、評価方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−248823(P2011−248823A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124122(P2010−124122)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(500116661)住友電工情報システム株式会社 (2)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(500116661)住友電工情報システム株式会社 (2)
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