説明

プロジェクター、およびプロジェクターの制御方法

【課題】記録媒体に記録された映像コンテンツの再生開始時に、音量が大きすぎたり小さすぎたりする不具合を解消し得るプロジェクターを提供する。
【解決手段】制御手段20は、DVDメディアMの再生操作を受け付けた場合に、DVDメディアMから所定時間分の音声情報を読み出し、読み出した音声情報に対するスピーカー41からの最大出力音量が所定の制限音量L1を越える場合に、最大出力音量が制限音量L1以下になるように音声信号処理手段40によっての出力音量を調整する音量制限処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に記録された情報を読み出して再生する再生手段を備えたプロジェクターと、その制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像を投写するプロジェクターにおいて、DVD(Digital Versatile Disc)(DVDメディアとも称する)等の記録媒体に記録されている情報を再生するための画像再生部を一体的に備えたものが知られている。このようなプロジェクターを用いれば、外部の画像再生装置を接続する必要がなく、記録媒体に記録されている情報に基づく画像や音声を容易に鑑賞することができる。
しかし、このようなプロジェクターを使用する場合においては、使用者が記録媒体をプロジェクター本体に装着して再生を開始する際に、再生音量が大きく設定されていると、使用者が大音量に晒されてしまうという問題があった。
【0003】
特許文献1には、DVDメディアの再生開始時に音量を所定の値に制限するプロジェクターが開示されている。このプロジェクターによれば、音量が所定の値に制限される。また、一定時間が経過すると制限前の音量に復帰することにより、DVDメディアの再生開始時に使用者が大音量に晒されることを回避している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−100077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、DVDメディアなどの記録媒体に記録された映像ソフトではソフトにより、音声の出力レベルが高いものや、低いものがある。特許文献1のように単純に音量の値で制限する方法では、音声の出力レベルが高いソフトでは、所定の値に音量を下げてもまだ音量が大きく、使用者が大音量に晒される虞がある。また、一定時間が経過すると制限前の音量に戻るため、使用者が意図しない状態で大音量に晒されてしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例に係るプロジェクターは、記録媒体に記録された画像情報、および音声情報を読み出して再生する再生手段と、光源から射出された光を前記再生手段が読み出した画像情報に応じて画像光に変調して投写する画像投写手段と、前記再生手段が読み出した前記音声情報を出力する音声出力手段と、前記音声出力手段が出力する音量を調整する音量調整手段と、各操作の入力を受け付ける入力操作手段と、前記記録媒体から読み出した所定時間分の前記音声情報を記憶する記憶手段と、を備えたプロジェクターであって、前記入力操作手段が、前記記録媒体の再生操作を受け付けた場合に、前記記録媒体から所定時間分の前記音声情報を読み出し、読み出した前記音声情報に対する前記音声出力手段からの最大出力音量が所定の制限音量を越える場合に、前記最大出力音量が前記所定の制限音量以下になるように前記音量調整手段によって、前記音声出力手段の音量を調整する音量制限処理を実行する、制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本適用例によれば、記録媒体に記録された音声情報を再生する際に、読み出した所定時間分の音声情報に対する最大出力音量が所定の制限音量を越える場合には、最大出力音量が制限音量以下になるように、音量制限処理を実行する。これにより、DVDメディアなどの音声出力レベルが大きい場合は、制限音量以下に音量を下げて、使用者が大音量に晒されるのを防止できる。
【0009】
[適用例2]上記適用例に記載のプロジェクターにおいて、前記制御手段は、前記音量制限処理を実行後、入力操作手段より、所定の再生開始操作を受け付けるまで、記録媒体の再生を保留する、ことを特徴とする。
【0010】
本適用例によれば、音量制限処理を実行する際に、記録媒体の再生を保留し、再生開始操作を受け付けた後で再生を開始するので、使用者は音量制限処理が実行されることを予め確認でき、音量制限処理が実行されることを知らずに再生が開始されることを防止できる。
【0011】
[適用例3]上記適用例に記載のプロジェクターにおいて、前記記憶手段は、前記入力操作手段が、前記記録媒体の再生操作を受け付けた時点における前記記録媒体の再生開始位置、および前記音量調整手段の設定音量をさらに保存し、前記制御手段は、前記音量制限処理を実行後に、前記入力操作手段が、音量アップ操作を受け付けた場合に、前記音声出力手段の出力音量を前記設定音量に設定した後、前記記録媒体を前記再生開始位置より再生する、ことを特徴とする。
【0012】
本適用例によれば、音量制限処理が実行される時点の設定音量、記録媒体の再生開始位置を記憶し、音量アップ操作することで、設定音量を記憶した再生開始位置から再生することができる。したがって、使用者は音量制限処理が実行されていることに気付き、元の音量に戻してからもう一度聞きたい場合、音量アップ操作を行えば、音量制限処理が解除され、音量制限処理が実行される前の状態で再生が開始される。これにより、使用者が意図しない状態で大音量に晒されるのを防止できる。
【0013】
[適用例4]本適用例に係るプロジェクターの制御方法は、記録媒体に記録された画像情報、および音声情報を読み出して再生する再生手段と、光源から射出された光を前記再生手段が読み出した画像情報に応じて画像光に変調して投写する画像投写手段と、前記再生手段が読み出した前記音声情報を出力する音声出力手段と、前記音声出力手段が出力する音量を調整する音量調整手段と、各操作の入力を受け付ける入力操作手段と、記録媒体から読み出した所定時間分の前記音声情報を記憶する記憶手段と、を備えたプロジェクターの制御方法であって、前記入力操作手段が、前記記録媒体の再生操作を受け付けた場合に、前記記録媒体から所定時間分の音声情報を読み出す、再生音声情報取得ステップと、前記再生音声情報取得ステップにより、読み出した前記音声情報に対する前記音声出力手段からの最大出力音量が所定の制限音量を越えるか否かを判断する最大出力音量判断ステップと、前記最大出力音量判断ステップにより、前記最大出力音量が前記制限音量を越えると判断された場合に、前記最大出力音量が前記制限音量以下になるように前記音量調整手段によって、前記音声出力手段の音量を調整する音量制限ステップと、を有することを特徴とする。
【0014】
本適用例によれば、記録媒体に記録された音声情報を再生する際に、読み出した所定時間分の音声情報に対する最大出力音量が所定の制限音量を越える場合には、最大出力音量が制限音量以下になるように、音量制限処理を実行する。これにより、DVDメディアなどの音声出力レベルが大きい場合は、制限音量以下に音量を下げて、使用者が大音量に晒されるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】プロジェクターの斜視図。
【図2】プロジェクターの概略構成を示すブロック図。
【図3】プロジェクターがDVDの再生操作を検出したときの動作を示すフローチャート。
【図4】プロジェクターがDVD再生中に音量アップ操作を検出したときの動作を示すフローチャート。
【図5】音量制限中画像P1の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態であるプロジェクターについて説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また、実施形態における特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態のプロジェクターの斜視図である。
図1に示すように、プロジェクター1は、外装を構成する筐体2によって装置本体が覆われた構成を有している。筐体2の前面2fには、外部のスクリーンSC(図2参照)等に画像(画像光)を投写する投写レンズ13が露出しており、投写レンズ13の下側には、記録媒体であるDVDメディアを挿入するためのディスクスロット3が設けられている。また、筐体2の前面2fには、リモートコントローラー(リモコン、またはRCとも称する)23から送信される操作信号を受信するための操作信号受信手段24が配置されている。
【0018】
筐体2には、複数の操作キー220(操作ボタン)を備えて構成される本体操作手段22が設けられており、プロジェクター1に対して各種指示を行うことが可能になっている。本体操作手段22を構成する複数の操作キー220のうち、ディスクスロット3からDVDメディアM(図2参照)を排出するための操作キー220(イジェクトキー221)は、筐体2の前面2f(ディスクスロット3の近傍)に配置されており、それ以外の操作キー220は、筐体2の上面2tに配置されている。
また、リモコン23にも、本体操作手段22と同様、プロジェクター1に対して各種指示を行うための複数の操作キー230が備えられており、プロジェクター1を遠隔操作することが可能になっている。
【0019】
図2は、本実施形態のプロジェクターの回路構成を示すブロック図である。
図2に示すように、プロジェクター1は、画像投写手段10、制御手段20、記憶手段21、本体操作手段22、操作信号受信手段24、入力端子25、光源制御手段26、DVD再生手段27、入力選択手段33、画像信号処理手段34、OSD処理手段35、電源部36、電源端子37、音声信号処理手段40、スピーカー41等で構成されており、これらは筐体2の内部に収容されている。
【0020】
画像投写手段10は、光源11、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ12R、12G、12B、投写光学系としての投写レンズ13、液晶駆動手段14等を含んでいる。画像投写手段10は、光源11から射出された光を、液晶ライトバルブ12R、12G、12Bで変調して画像光を形成し、この画像光を投写レンズ13から投写することによってスクリーンSC等に画像を表示する。
【0021】
光源11は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源ランプ11aと、光源ランプ11aが放射した光を液晶ライトバルブ12R、12G、12B側に反射するリフレクター11bとを含んで構成されている。光源11から射出された光は、図示しないインテグレーター光学系によって輝度分布が略均一な光に変換され、図示しない色分離光学系によって光の3原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色光成分に分離された後、それぞれ液晶ライトバルブ12R、12G、12Bに入射する。
【0022】
液晶ライトバルブ12R、12G、12Bは、一対の透明基板間に液晶が封入された液晶パネル等によって構成される。液晶ライトバルブ12R、12G、12Bには、マトリックス状に配列された複数の画素(図示せず)が形成されており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能になっている。液晶駆動手段14が、入力される画像情報に応じた駆動電圧を各画素に印加すると、各画素は、画像情報に応じた光透過率に設定される。このため、光源11から射出された光は、この液晶ライトバルブ12R、12G、12Bを透過することによって変調され、画像情報に応じた画像光が色光毎に形成される。
形成された各色の画像光は、図示しない色合成光学系によって画素毎に合成されてカラーの画像光となった後、投写レンズ13によってスクリーンSC等に拡大投写される。
【0023】
本実施形態では、光源11として光源ランプ11aを用いて投写するプロジェクター1を例示したが、本発明は光源としてLED(Light emitting diode)光源やレーザー光源などを用いて投写するプロジェクターにも適用することができる。
なお、本実施形態では、画像投写手段10は、光源11、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ12R、12G、12Bを用いた透過型液晶方式の投写光学系を例示したが、表示原理については、反射型液晶表示方式やマイクロミラーデバイス方式(ライトスイッチ表示方式)など、他の表示方式を採用しても良い。
【0024】
制御手段20は、図示しないCPU(Central Processing Unit)や、各種データ等の一時記憶に用いられる図示しないRAM(Random Access Memory)等を備え、記憶手段21に記憶されている制御プログラム(図示せず)に従って動作することによりプロジェクター1の動作を統括制御する。つまり、制御手段20は、記憶手段21とともにコンピューターとして機能する。
【0025】
記憶手段21は、フラッシュメモリーやFeRAM(Ferroelectric RAM:強誘電体メモリー)等の書き換え可能な不揮発性のメモリーにより構成されている。記憶手段21には、プロジェクター1の動作を制御するための制御プログラムや、プロジェクター1の動作条件等を規定する各種設定データ等が記憶されている。
本実施形態では、DVDメディアMから読み出した所定時間分(例えば10秒)の再生音声情報21a、DVDメディアMを再生開始した時点の音声信号処理手段40の設定音量21b、出力音量を制限しているときにセットされる音量制限中フラグ21c、DVDメディアMの再生開始時の再生位置を示す再生開始位置21dが記憶される。
【0026】
本体操作手段22、及びリモコン23は、上述したようにそれぞれ複数の操作キー220、230を備えており、ユーザーからの入力操作(操作キー220,230の操作)を受け付ける入力操作手段に相当するものである。
複数の操作キー220には、上述したイジェクトキー221の他に、電源のオンとオフとを切り替えるための電源キーや、DVDメディアMの再生を開始させるための再生キー、DVDメディアMの再生を停止させるための停止キー、画像情報の入力元(入力ソース)を切り替えるための入力切替キー、設定メニュー等を重畳表示させるためのメニューキー、設定メニュー等で項目の選択に用いられる方向キー(上下左右に対応する4つの操作キー)、選択された項目を確定させる決定キー、動作の取り消し等を行うための取消キー等が備えられている。
ユーザーが本体操作手段22の各種操作キー220を操作すると、本体操作手段22は、ユーザーの操作内容(操作された操作キー)に応じた操作信号を制御手段20に出力する。また、ユーザーがリモコン23の各種操作キー230を操作すると、リモコン23は、ユーザーの操作内容に応じた赤外線の操作信号を発し、操作信号受信手段24がこれを受信して制御手段20に伝達する。
【0027】
入力端子25には、パーソナルコンピューターやビデオ再生装置等、外部の画像出力装置から、各種形式の画像情報および音声情報がケーブル(図示せず)を介して入力される。入力端子25に入力された画像情報および音声情報は、入力選択手段33に供給される。
【0028】
入力選択手段33は、画像入力端子25から入力される画像情報(外部入力画像情報)および音声情報(外部入力音声情報)と、DVD再生手段27から入力される画像情報(DVD画像情報)および音声情報(DVD音声情報)のいずれか一方を、制御手段20の指示に基づいて選択し、選択した画像情報を画像処理手段34に、選択した音声情報を音声信号処理手段40に出力する。ユーザーが、本体操作手段22或いはリモコン23に備わる入力切替キーを操作して所望の画像情報を指定すると、制御手段20は、指定された画像情報および音声情報が画像処理手段34および音声信号処理手段40に出力されるよう、入力選択手段33に指示をする。つまり、入力選択手段33は、外部入力画像情報に基づく画像(外部入力画像)を投写(表示)する状態と、DVD再生手段27によって再生されたDVD画像情報に基づく画像(DVD画像)を投写(表示)する状態とを、ユーザーの入力操作に応じて切り替えることができる。
【0029】
DVD再生手段27は、再生手段に相当するものであり、記録媒体としてのDVDメディアMに記録された画像情報、および音声情報を再生するものである。
また、DVD再生手段27は、挿入センサー271、メディア搬送手段272、装着センサー273、データ読取手段274、データ処理手段275等を含んで構成されている。
【0030】
挿入センサー271は、ディスクスロット3の近傍に配置され、DVDメディアMの一部がディスクスロット3に挿入されたことを検出して制御手段20に通知する。
【0031】
メディア搬送手段272は、DVDメディアMを搬送するための搬送ローラー、及び搬送ローラーを回転駆動する駆動モーター(いずれも図示せず)等によって構成され、制御手段20の指示に基づいて、DVD再生手段27内におけるDVDメディアMの搬送を行う。
具体的には、ユーザーがDVDメディアMの一部をディスクスロット3に挿入し、挿入センサー271がこの挿入を検出すると、制御手段20は、メディア搬送手段272に指示をして、DVDメディアMを内部に引き込んでターンテーブル(図示せず)上に装着させる。また、ユーザーによりイジェクトキー221が操作されると、制御手段20は、メディア搬送手段272に指示をして、ターンテーブルからDVDメディアMを離脱させ、DVDメディアMをディスクスロット3から排出させる。
【0032】
装着センサー273は、ターンテーブルの近傍に配置され、ターンテーブルにDVDメディアMが装着されていることを検出して制御手段20に通知する。
【0033】
データ読取手段274は、制御手段20の指示に基づいて、ターンテーブル上に装着されたDVDメディアMをスピンドルモーター(図示せず)で回転させるとともに、光ピックアップ(図示せず)を走査して、DVDメディアMに記録されているデータストリームを順次読み取る。このデータストリームは、符号化された画像情報や音声情報が多重化された情報であり、データ読取手段274によって読み取られたデータストリームは、データ処理手段275に順次出力される。
【0034】
データ処理手段275は、デマルチプレクサーやデコーダー等で構成され、制御手段20の指示に基づいて、データ読取手段274から入力されるデータストリームを画像情報と音声情報とに分離する処理や、分離した画像情報及び音声情報をデコード(復号化)する処理等を行う。
【0035】
データ処理手段275は、復号化された画像情報および音声情報を入力選択手段33に出力し、入力選択手段33より復号化された音声情報を音声信号処理手段40に出力する。なお、DVD再生手段27が、DVDメディアMからデータストリームを読み取って、このデータストリームに基づく画像情報および音声情報を出力することを、本明細書では「画像情報を再生する」又は「DVDを再生する」と表記する。
【0036】
制御手段20は、本体操作手段22又はリモコン23の再生キーの操作を受け付けると、DVD再生手段27に指示をして、画像情報の再生を開始させ、本体操作手段22又はリモコン23の停止キーの操作を受け付けると、DVD再生手段27に指示をして、画像情報の再生を停止させる。
【0037】
挿入センサー271、及び装着センサー273は、例えば、メカニカルスイッチ、光センサー、磁気センサー等の各種検出手段を用いて構成することができる。また、装着センサー273に関しては、上述した光ピックアップが受光する反射光の信号レベルによってDVDメディアMの装着の有無を検出する態様とすることも可能である。
【0038】
画像信号処理手段34は、DVD再生手段27から入力される画像情報(DVD画像情報)と、入力端子25を介して入力される画像情報とのいずれか一方を制御手段20の指示により選択し、液晶ライトバルブ12R、12G、12Bの各画素の階調を表す画像情報、即ち各画素に印加する駆動電圧を規定するための画像情報に変換する。さらに、画像信号処理手段34は、制御手段20の指示に基づいて、変換した画像情報に対して、明るさ、コントラスト、シャープネス、色合い等を調整するための画質調整処理等を行う。画像信号処理手段34で画質調整等がなされた画像情報は、OSD処理手段35に出力される。
【0039】
OSD処理手段35は、制御手段20の指示に基づいて、投写画像(外部入力画像又はDVD画像)上に、メニュー画像やメッセージ画像等のOSD(オンスクリーンディスプレイ)画像を重畳して表示するための処理を行う。OSD処理手段35は、図示しないOSDメモリーを備えており、OSD画像を形成するための図形やフォント等を表すOSD画像情報を記憶している。
制御手段20が、OSD画像の重畳表示を指示すると、OSD処理手段35は、必要なOSD画像情報をOSDメモリーから読み出し、投写画像上の所定の位置にOSD画像が重畳されるように、画像信号処理手段34から入力される画像情報にこのOSD画像情報を合成する。OSD画像情報が合成された画像情報は、液晶駆動手段14に出力される。
なお、制御手段20からOSD画像を重畳する旨の指示がない場合には、OSD処理手段35は、画像信号処理手段34から入力される画像情報を、そのまま液晶駆動手段14に出力する。
【0040】
液晶駆動手段14は、OSD処理手段35から入力される画像情報に従って液晶ライトバルブ12R、12G、12Bを駆動すると、液晶ライトバルブ12R、12G、12Bは、画像情報に応じた画像を形成し、この画像が投写レンズ13から投写される。
【0041】
電源部36には、AC100V等の外部電力が電源端子37を介して供給される。電源部36は、電力を交流電源から所定の電圧の直流電源に変換して、プロジェクター1の各部に供給する。また、電源部36は、制御手段20の指示に基づいて、画像の投写に必要な電力(動作電力)を各部に供給する状態(電源オン状態)と、動作電力の供給を停止して、電源をオンにするための操作を待機する状態(スタンバイ状態)とを切り替えることができる。
【0042】
光源制御手段26は、制御手段20の指示に基づいて、光源11に対する電力の供給と停止とを制御し、光源11の点灯、及び消灯を切り替える。
【0043】
音声信号処理手段40は、音量調整手段に相当するものであり、入力選択手段33より入力された音声情報(DVD音声情報または外部入力音声情報)を制御手段20の指示に基づいて、増幅し、スピーカー41に出力する。
【0044】
スピーカー41は、音声出力手段に相当するものであり、音声信号処理手段40から入力される音声信号を、ユーザーに聞こえる可聴情報として出力する。
【0045】
次に、本実施形態のプロジェクター1の動作を図3、および図4のフローチャートを用いて説明する。
【0046】
(DVD再生操作検出時)
図3に示すように、まずプロジェクター1が本体操作手段22またはリモコン23によるDVDメディアMの再生操作を検出すると(ステップS101)、ステップS102に遷移する。
【0047】
ステップS102において制御手段20は、DVDメディアMの現在の再生位置を再生開始位置21dに保存する。次にDVD再生手段27により、現在の再生位置から所定時間(たとえば10秒)分の音声情報を読み出し、再生音声情報21aに保存する。このステップS102が再生音声情報取得ステップに相当する。
次にステップS103に遷移する。
【0048】
ステップS103において、制御手段20は、ステップS102において読み出した再生音声情報21aの最大音量値と、音声信号処理手段40に設定されている音量値から、読み出した再生音声情報21aに対する最大音量出力レベル(最大出力音量に相当)を算出する。算出した最大音量出力レベルが所定の制限音量出力レベルL1(所定の制限音量に相当)を超えるか否かを調べる。最大音量出力レベルが所定の制限音量出力レベルL1を超える場合(ステップS103:Y)、ステップS104に遷移する。最大音量出力レベルが所定の制限音量出力レベルL1を超えない場合(ステップS103:N)、ステップS108に遷移する。ステップS103が最大出力音量判断ステップに相当する。
【0049】
ステップS104において制御手段20は、音量制限中フラグ21cをセットし、現在音声信号処理手段40に設定されている音量値を設定音量21bに保存し、ステップS105に遷移する。
【0050】
ステップS105において制御手段20は、ステップ103において算出された最大音量出力レベルが、所定の制限音量出力レベルL1を超えない最大音量値となるように音声信号処理手段40に設定し、ステップS106に遷移する。ステップS105が音量制限ステップに相当する。
【0051】
ステップS106において制御手段20は、音量を制限している旨の音量制限中画像P1を投写中の画像に重畳して画像投写手段10により投写し、音量制限の状態で再生開始するのか、音量制限を解除するのかを、例えば特定の操作キー220、230によりユーザーに選択させる。このときの音量制限中画像P1の一例を図5に示す。
再生開始を選択した場合(ステップS106:Y)はステップS107に遷移する。解除を選択した場合(ステップS106:N)はステップS108に遷移する。
【0052】
ステップS107において制御手段20は、DVDメディアMの再生を開始する操作を検出したか否かを調べる。再生を開始する操作を検出した場合(ステップS107:Y)、ステップ109に遷移する。再生を開始する操作を検出していない場合(ステップS107:N)、ステップS107を繰り返す。言い換えると再生開始の操作を検出する(受け付ける)まで、再生を保留する。
【0053】
ステップS108において制御手段20は、音量制限中フラグ21cをクリアし、ステップS109に遷移する。
【0054】
ステップS109において制御手段20は、DVDメディアMの再生を開始し、画像投写手段10から画像情報を、スピーカー41から音声情報を出力し、ステップS110に遷移する。
【0055】
ステップS110において本動作フローを終了する。
【0056】
(DVD再生中音量アップ操作検出時)
図4に示すように、プロジェクター1がDVDメディアMの画像情報を再生投写中において、本体操作手段22またはリモコン23による音量のアップ操作を検出すると(ステップS201)、制御手段20は音量制限中フラグ21cがセットされているか否かを調べる(ステップS202)。音量制限中フラグ21cがセットされている場合(ステップS202:Y)、ステップS203に遷移する。音量制限中フラグ21cがセットされていない場合(ステップS202:N)、ステップS207に遷移する。
【0057】
ステップS203において制御手段20は、音量制限中フラグ21cをクリアし、ステップS204に遷移する。
【0058】
ステップS204において制御手段20は、画像投写手段10で投写している音量制限中画像P1を消去し、ステップS205に遷移する。
【0059】
ステップS205において制御手段20は、音声信号処理手段40の音量値を設定音量21bに設定し、ステップS206に遷移する。
【0060】
ステップS206において制御手段20は、DVD再生手段27に、保存した再生開始位置21dから再生を開始させ、画像投写手段10から画像情報を、スピーカー41から音声情報を出力し、ステップS208に遷移する。
【0061】
ステップS207において制御手段20は、音声信号処理手段40の音量値を1増加させ、ステップS208に遷移する。
【0062】
ステップS208において本動作フローを終了する。
【0063】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1によれば、DVDメディアMに記録された音声情報を再生する際に、読み出した所定時間分の音声情報に対する最大出力音量が所定の制限音量を越える場合には、最大出力音量が制限音量以下になるように、音量制限処理を実行する。これにより、DVDメディアMなどの音声出力レベルが大きい場合は、制限音量出力レベルL1以下に音量を下げて、使用者が大音量に晒されるのを防止できる。
【0064】
また、音量制限処理を実行する際に、DVDメディアMの再生を保留し、再生開始操作を受け付けた後で再生を開始するので、使用者は音量制限処理が実行されることを予め確認でき、音量制限処理が実行されることを知らずに再生が開始されることを防止できる。
【0065】
また、音量制限処理が実行される時点の設定音量21b、DVDメディアMの再生開始位置21dを記憶し、音量アップ操作することで、設定音量21bに戻し、記憶した再生開始位置21dから再生することができる。したがって、使用者は音量制限処理が実行されていることに気付き、元の音量に戻してからもう一度聞きたい場合、音量アップ操作を行えば、音量制限処理が解除され、音量制限処理が実行される前の状態で再生が開始される。これにより、使用者が意図しない状態で大音量に晒されるのを防止できる。
【0066】
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
(変形例1)
上述した実施形態ではDVD(Digital Varsatile Disc)について説明したが、これに限るものでなく、例えばBlu−ray(登録商標)ディスク、USBメモリーなどのように、画像情報を記憶する記録媒体や、iPod(登録商標)など画像を記憶する携帯端末でもよい。
装着されたものが携帯端末であるとき、携帯端末側で画像の再生を行うなら、携帯端末を、画像情報を入力する外部機器として扱う。
また、装着された携帯端末の記憶部にアクセスしてプロジェクター1により画像を再生するなら、携帯端末を記録媒体として扱う。この場合、図1のDVD再生手段27は画像再生手段として、データ処理手段275は画像データ処理手段として、データ読取手段274は画像データ読取手段としてそれぞれ機能する。なお、メディア搬送手段272は不要となる。
【符号の説明】
【0067】
1…プロジェクター、2…筐体、3…ディスクスロット、10…画像投写手段、11…光源、12R,12G,12B…液晶ライトバルブ、13…投写レンズ、14…液晶駆動手段、20…制御手段、21…記憶手段、21a…再生音声情報、21b…設定音量、21c…音量制限中フラグ、21d…再生開始位置、22…本体操作手段、23…リモートコントローラー(リモコン,RC)、24…操作信号受信手段、25…入力端子、26…光源制御手段、27…DVD再生手段、271…挿入センサー、272…メディア搬送手段、273…装着センサー、274…データ読取手段、275…データ処理手段、33…入力選択手段、34…画像信号処理手段、35…OSD処理手段、36…電源部、37…電源端子、40…音声信号処理手段、41…スピーカー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録された画像情報、および音声情報を読み出して再生する再生手段と、
光源から射出された光を前記再生手段が読み出した画像情報に応じて画像光に変調して投写する画像投写手段と、
前記再生手段が読み出した前記音声情報を出力する音声出力手段と、
前記音声出力手段が出力する音量を調整する音量調整手段と、
各操作の入力を受け付ける入力操作手段と、
前記記録媒体から読み出した所定時間分の前記音声情報を記憶する記憶手段と、
を備えたプロジェクターであって、
前記入力操作手段が、前記記録媒体の再生操作を受け付けた場合に、前記記録媒体から所定時間分の前記音声情報を読み出し、読み出した音声情報に対する前記音声出力手段からの最大出力音量が所定の制限音量を越える場合に、前記最大出力音量が前記制限音量以下になるように前記音量調整手段によって、前記音声出力手段の音量を調整する音量制限処理を実行する、制御手段と、
を備えたことを特徴とする、プロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
前記制御手段は、前記音量制限処理を実行後、前記入力操作手段より、所定の再生開始操作を受け付けるまで、前記記録媒体の再生を保留する、
ことを特徴とする、プロジェクター。
【請求項3】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
前記記憶手段は、前記入力操作手段が、前記記録媒体の再生操作を受け付けた時点における前記記録媒体の再生開始位置、および前記音量調整手段の設定音量をさらに保存し、
前記制御手段は、前記音量制限処理を実行後に、前記入力操作手段が、音量変更操作を受け付けた場合に、前記音声出力手段の出力音量を前記設定音量に設定した後、前記記録媒体を前記再生開始位置より再生する、
ことを特徴とする、プロジェクター。
【請求項4】
記録媒体に記録された画像情報、および音声情報を読み出して再生する再生手段と、
光源から射出された光を前記再生手段が読み出した画像情報に応じて画像光に変調して投写する画像投写手段と、
前記再生手段が読み出した前記音声情報を出力する音声出力手段と、
前記音声出力手段が出力する音量を調整する音量調整手段と、
各操作の入力を受け付ける入力操作手段と、
前記記録媒体から読み出した所定時間分の前記音声情報を記憶する記憶手段と、
を備えたプロジェクターの制御方法であって、
前記入力操作手段が、前記記録媒体の再生操作を受け付けた場合に、前記記録媒体から所定時間分の再生音声情報を読み出す、再生音声情報取得ステップと、
前記再生音声情報取得ステップにより、読み出した前記再生音声情報に対する前記音声出力手段からの最大出力音量が所定の制限音量を越えるか否かを判断する最大出力音量判断ステップと、
前記最大出力音量判断ステップにより、前記最大出力音量が前記制限音量を越えると判断された場合に、前記最大出力音量が前記制限音量以下になるように前記音量調整手段によって、前記音声出力手段の音量を調整する音量制限ステップと、
を有することを特徴とする、プロジェクターの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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