Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
プロテオーム技術を使用した癌タンパク質バイオマーカーの同定
説明

プロテオーム技術を使用した癌タンパク質バイオマーカーの同定

【課題】初期段階または進行段階の卵巣癌を診断するために用いることのできる試験方法。
【解決手段】特許請求される発明は、癌を診断するか、または癌の診断を助ける方法を記載する。請求された方法は、癌の被験体と健康な被験体との区別に特に適合したバイオマーカーの同定に基づく。これらのバイオマーカーは本明細書中に記載の独自で新規なスクリーニング方法を用いて同定された。本明細書中で同定されたバイオマーカーは癌の予後診断とモニタリングに用いることもできる。本発明は、卵巣癌の診断、予後診断およびモニタリングのための、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIの使用を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2004年2月19日に出願された、米国特許仮出願第60/545,581号、および2004年2月20日に出願された、米国特許仮出願第60/545,900号の利益を主張する。参照される出願の両方の教示は、本明細書中で参考として援用される。
【0002】
(資金拠出)
本発明は、合衆国エネルギー省により受けた、助成金番号DE−FG02−ER63462の下の政府の支援によってなされた。本発明において、連邦政府は特定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
上皮性卵巣癌(EOC)は米国において女性の癌関連死亡の第4番目の主要原因であり、婦人科癌死亡の主要原因である。EOCは、ほとんどない初期症状、高齢での提示および低い生存率により特徴付けられる。今年、約25,000人の女性が新しく卵巣癌の診断を下され、13,500人がこの病気で死亡するだろう。卵巣癌の治療の主要な制限は、i)初期の検出腫瘍マーカーの欠如、ii)化学療法剤に対する耐性、およびiii)明らかな初期の前兆徴候の欠如である。高い死亡率は、約70%の患者が高齢で診断されているために、初期疾患の検出不能に関連する。初期(ステージIまたはII)疾患と診断された患者において、5年生存率は腫瘍の分化の程度に依存して、60〜90%の範囲にある。遺伝性癌の臨床上の提示は高リスク集団と同様であるが、このグループの卵巣癌の開始は一般集団よりも10〜15年早く起こる傾向がある(60代よりもむしろ40代前半)。EOCの管理に対する最も期待できるアプローチの1つは早期発見である。通常用いられる試験でCA125は、不確かな生物学的挙動と、初期段階の疾病の検出のために非常に限定された臨床応用とを有する、一群の細胞表面糖タンパク質を同定する。単一マーカーとして、CA125はステージIで10%未満の予測値を有する。超音波スクリーニングをCA125測定に加えても、ポジティブな予測値をわずかに約20%向上させるのみである。卵巣癌に対する特定のマーカーの欠如はスクリーニングおよび初期検出の臨床目的を達成することを困難にしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
初期段階または進行段階のいずれかの卵巣癌を診断するために用いることのできる市販の試験は現在存在しない。よって、初期段階または進行段階の卵巣癌を診断するために用いることのできる試験の発見が要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、被験体の癌を診断するか、または癌の診断を助ける方法を包含し、この方法は、被験体からのサンプル中の1つ以上のバイオマーカーの発現をそれぞれの1つ以上のバイオマーカーの所定のスタンダードと比較する工程を含;ここで、この1つ以上のバイオマーカーが、6Ckine、ACE、BDNF、CA125、E−セレクチン、EGF、Eot2、ErbB1、フォリスタチン、HCC4、HVEM、IGF−II、IGFBP−1、IL−17、IL−1srII、IL−2sRa、レプチン、M−CSF R、MIF、MIP−1a、MIP3b、MMP−8、MMP7、MPIF−1、OPN、PARC、PDGF Rb、プロラクチン、プロテインC、TGF−b RIII、TNF−R1、TNF−a、VAP−1、VEGF R2およびVEGF R3からなる群から選択され;そしてそれぞれの1つ以上のバイオマーカーの所定のスタンダードと比較してサンプル中の1つ以上のバイオマーカーの発現の有意差が癌を診断するか、または癌の診断を助ける。
【0006】
一実施形態において、所定のスタンダードが、(a)健康な被験体中のバイオマーカーの発現レベル、または(b)同じ被験体からの非癌性組織中のバイオマーカーの発現レベルに対応する。
【0007】
一実施形態において、本方法は、さらに、2つ以上のバイオマーカーの発現を比較する工程を含み、癌の診断がスコアに基づく分類方法に基づく。一実施形態において、m個の異なるバイオマーカーの発現を比較する工程を含み、各バイオマーカーが0または1のスコアが割り当てられ、バイオマーカーの発現が所定のスタンダードのバイオマーカーの発現と有意差がない場合、バイオマーカーには0のスコアが割り当てられ、バイオマーカーの発現が所定のスタンダードのバイオマーカーの発現と有意差がある場合、バイオマーカーには1のスコアが割り当てられ;被験体にはm個の異なるマーカーの割り当てられたスコアの合計に対応する総合スコアが割り当てられ;所与の閾値(t)を用いて癌を診断するか、または癌の診断を助ける。
【0008】
別の実施形態において、本方法は2つ以上のバイオマーカーの発現を比較する工程であって、ここで癌の診断は、2つ以上のバイオマーカーの発現プロフィールをバイオマーカーの所定のスタンダードプロフィールと比較することにより行なわれ、プロフィールの差異が癌を診断するか、または癌の診断を助ける工程を含む。一実施形態において、所定のスタンダードプロフィールが、癌被験体の2つ以上のバイオマーカーの発現を健康な被験体中の2つ以上のバイオマーカーの発現に対して、機械学習技術(machine learning technique)を用いて比較することにより決定される。一実施形態において、所定のスタンダードプロフィールが、癌被験体と健康な被験体の2つ以上のバイオマーカーの発現を、サポートベクターマシン、K−近傍分類法(K−nearest neighbor classifier)、または分類樹分析を用いて比較することにより決定される。
【0009】
一実施形態において、本方法は、卵巣癌の診断のためのものであり、本方法は、さらに、表2に同定されない卵巣癌に対するさらなるバイオマーカーを検出する工程を含む。一実施形態において、卵巣癌に対するさらなるバイオマーカーは、ヒト角質層キモトリプシン酵素(HSCCE)、カリクレイン4、カリクレイン5、カリクレイン6(プロテアーゼM)、カリクレイン8、カリクレイン9、カリクレイン10、CA125、CA15−3、CA19−9、OVX1、リゾホスファチド酸(LPA)、癌胎児性抗原(CEA)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、プロスタシン、CA54−61、CA72、HMFG2、IL−6、IL−10、LSA、M−CSF、NB70K、PLAP、TAG72、TNF、TPA、UGTF、WAP4ジスルフィドコアドメイン2(HE4)、マトリックスメタロプロテアーゼ2、テトラネクチン、インヒビン、メソセリン(mesothelyn)、MUC1、VEGF、CLDN3、NOTCH3、E2F転写因子3(E2F3)、GTPase活性化タンパク質(RACGAP1)、血液学的神経学的発現1(hemotological and neurological expressed 1)(HN1)、アポリポタンパク質A1、ラミニン、クローディン3、クローディン4、腫瘍関連カルシウムシグナルトランスデューサー1(TROP−1/Ep−CAM)、腫瘍関連カルシウムシグナルトランスデューサー2(TROP−2)、ラジニン(ladinin)1、S100A2、SERPIN2(PAI−2)、CD24、リポカリン2、マトリプターゼ(TADG−15)、ストラチフィン(stratifin)、トランスフォーミング増殖因子−βレセプターIII、血小板由来増殖因子レセプターα、SEMACAP3、ras相同遺伝子ファミリーメンバーI(ARHI)、トロンボスポンジン2、障害2/卵巣癌中の差次的的発現2(disabled−2/differentially expressed in ovarian carcinoma 2)(Dab2/DOC2)およびハプトグロビン−αサブユニットからなる群より選択され得る。別の実施形態において、卵巣癌のさらなるバイオマーカーは、トランスサイレチンの切断形またはZhangら(Cancer Res.64(16):5882−90(2004))により同定されたインター−α−トリプシンインヒビター重鎖H4の切断フラグメントである。一実施形態において、卵巣癌のさらなるバイオマーカーはCA125である。
【0010】
癌を診断するか、または癌の診断を助ける上記の方法は、いかなる癌または腫瘍の診断またはその診断を助けるために適用され得る。一実施形態において、本方法は乳癌の診断のためのものある。一実施形態において、本方法は結腸癌の診断のためのものである。別の実施形態において、本方法は子宮頚癌の診断のためのものである。
【0011】
本発明は、被験体からのサンプル中の1つ以上のバイオマーカーの発現をそれぞれの1つ以上のバイオマーカーの所定のスタンダードと比較する工程を含む、被験体の癌を診断するか、または癌の診断を助けるための方法も包含し、1つ以上のバイオマーカーが、プロラクチン、MIF、OPN、IGF−II、E−セレクチン、レプチン、EGF、IL−17、MPIF−1およびIL−2sRaからなる群から選択され;それぞれの1つ以上のバイオマーカーの所定のスタンダードと比較したサンプル中の1つ以上のバイオマーカーの発現の有意差が、癌を診断するか、または癌の診断を助ける。
【0012】
本発明はまた、被験体からのサンプル中の1つ以上のバイオマーカーの発現をそれぞれの1つ以上のバイオマーカーの所定のスタンダードと比較する工程を含む、被験体の癌を診断するか、または癌の診断を助けるための方法を包含し、一つ以上のバイオマーカーが、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIからなる群より選択され;それぞれの1つ以上のバイオマーカーの所定のスタンダードと比較したサンプル中の1つ以上のバイオマーカーの発現の有意差が癌を診断するか、または癌の診断を助ける。
【0013】
本発明は、被験体の癌を診断するか、または癌の診断を助けるための方法において、被験体からのサンプル中のレプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIの4種類のバイオマーカーの発現を各バイオマーカーの所定のスタンダードと比較する工程を含み;1つ以上のバイオマーカーの所定のスタンダードと比較したサンプル中の2つ以上のバイオマーカーの発現の有意差が、癌を診断するか、または癌の診断を助ける方法も含む。
【0014】
本発明は、被験体の卵巣癌を診断するか、または卵巣癌の診断を助けるための方法において、被験体からのサンプル中のレプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIの4種類のバイオマーカーの発現を各バイオマーカーの所定のスタンダードと比較する工程を含み;1つ以上のバイオマーカーの所定のスタンダードと比較したサンプル中の2つ以上のバイオマーカーの発現の有意差が、癌を診断するか、または癌の診断を助ける方法も含む。
【0015】
本発明は、被験体の乳癌を診断するか、または乳癌の診断を助けるための方法において、被験体からのサンプル中のレプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIの4種類のバイオマーカーの発現を各バイオマーカーの所定のスタンダードと比較する工程を含み;各1つ以上のバイオマーカーの所定のスタンダードと比較したサンプル中の2つ以上のバイオマーカーの発現の有意差が、癌を診断するか、または癌の診断を助ける方法も含む。
【0016】
本発明は、被験体の結腸癌を診断するか、または結腸癌の診断を助ける方法において、被験体からのサンプル中のレプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIの4種類のバイオマーカーの発現を各バイオマーカーの所定のスタンダードと比較する工程を含み;各1つ以上のバイオマーカーの所定のスタンダードと比較したサンプル中の2つ以上のバイオマーカーの発現の有意差が、癌を診断するか、または癌の診断を助ける方法も含む。
【0017】
一実施形態において、上記の方法は、プロラクチンおよび/またはOPNの発現をバイオマーカーの所定のスタンダードと比較する工程を含み、バイオマーカーの所定のスタンダードと比較したバイオマーカーの発現の増加が、癌を診断するか、または癌の診断を助ける。
【0018】
一実施形態において、上記の方法は、レプチンおよび/またはIGF−IIの発現をバイオマーカーの所定のスタンダードと比較する工程を含み、バイオマーカーの所定のスタンダードと比較したバイオマーカーの発現の減少が、癌を診断するか、または癌の診断を助ける。
【0019】
一実施形態において、癌を診断するか、または癌の診断を助ける上記の方法は、2つ以上のバイオマーカーの発現を検出する工程を含む。一実施形態において、2つ以上のバイオマーカーは、プロラクチン、MIF、OPN、IGF−II、E−セレクチン、レプチン、EGF、IL−17、MPIF−1およびIL−2sRaからなる群から選択される。一実施形態において、2つ以上のバイオマーカーは、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIからなる群から選択される。一実施形態において、少なくとも2つ以上のバイオマーカーの発現の有意差が、癌を診断するか、または癌の診断を助ける。
【0020】
一実施形態において、癌を診断するか、または癌の診断を助ける上記の方法は、3つ以上のバイオマーカーの発現を比較する工程を含む。一実施形態において、3つ以上のバイオマーカーは、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIからなる群から選択される。一実施形態において、3つ以上のバイオマーカーの発現の有意差が、癌を診断するか、または癌の診断を助ける。
【0021】
一実施形態において、癌を診断するか、または癌の診断を助ける上記の方法は、4つ以上のバイオマーカーの発現を比較する工程を含む。一実施形態において、4つ以上のバイオマーカーは、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIを含む。一実施形態において、4つ以上のバイオマーカーの発現の有意差が、癌を診断するか、または癌の診断を助ける。
【0022】
一実施形態において、バイオマーカーの発現は、1つ以上のバイオマーカーを検出する試薬を用いて検出または測定される。一実施形態において、試薬は、一つ以上のバイオマーカーに特異的な抗体またはそのフラグメントである。一実施形態において、試薬は検出可能な物質により直接的または間接的に標識される。別の実施形態において、1つ以上のバイオマーカーの発現は質量分析を用いて検出される。別の実施形態において、1つ以上のバイオマーカーの発現は、1つ以上のバイオマーカーをコードする遺伝子のmRNA転写レベルを測定することにより検出される。
【0023】
別の実施形態において、1つ以上のバイオマーカーの発現は、(a)1つ以上のバイオマーカーにより調節されるポリペプチドの発現を検出するか、(b)バイオマーカーを調節するポリペプチドの発現を検出するか、または(c)バイオマーカーの代謝産物の発現を検出することにより検出される。
【0024】
一実施形態において、上記の方法に用いられるサンプルは体液サンプルである。一実施形態において、体液サンプルは血液または血清である。
【0025】
本発明は、被験体の癌の進行をモニタリングするための方法も含む。一実施形態において、本発明は、被験体からのサンプル中の1つ以上のバイオマーカーの発現を、その後の時点で該被験体から得られたサンプル中の1つ以上のバイオマーカーの発現と比較する工程を含む、被験体の癌の進行をモニタリングする方法において、1つ以上のバイオマーカーが、6Ckine、ACE、BDNF、CA125、E−セレクチン、EGF、Eot2、ErbB1、フォリスタチン、HCC4、HVEM、IGF−II、IGFBP−1、IL−17、IL−1srII、IL−2sRa、レプチン、M−CSF R、MIF、MIP−1a、MIP3b、MMP−8、MMP7、MPIF−1、OPN、PARC、PDGF Rb、プロラクチン、プロテインC、TGF−b RIII、TNF−R1、TNF−a、VAP−1、VEGF R2およびVEGF R3からなる群から選択され;1つ以上のバイオマーカーの発現の有意差が被験体の癌の進行を診断するか、癌進行の診断を助ける方法を含む。一実施形態において、1つ以上のバイオマーカーは、プロラクチン、MIF、OPN、IGF−II、E−セレクチン、レプチン、EGF、IL−17、MPIF−1およびIL−2sRaからなる群から選択される。一実施形態において、1つ以上のバイオマーカーは、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIからなる群から選択される。
【0026】
一実施形態において、癌の進行をモニタリングする上記の方法は、2つ以上のバイオマーカーの発現を比較する工程を含む。一実施形態において、2つ以上のバイオマーカーは、プロラクチン、MIF、OPN、IGF−II、E−セレクチン、レプチン、EGF、IL−17、MPIF−1およびIL−2sRaからなる群から選択される。別の実施形態において、2つ以上のバイオマーカーは、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIからなる群から選択される。
【0027】
一実施形態において、癌の進行をモニタリングする上記の方法は、3つ以上のバイオマーカーの発現を比較する工程を含む。一実施形態において、癌の進行をモニタリングする上記の方法は、4つ以上のバイオマーカーの発現を比較する工程を含む。一実施形態において、癌の進行をモニタリングする上記の方法は、4つ以上のバイオマーカーの発現を比較する工程を含み、ここで4つ以上のバイオマーカーは、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIを含む。別の実施形態において、癌の進行をモニタリングする上記の方法は、4つのバイオマーカーの発現を比較する工程を含み、ここで4つのバイオマーカーはレプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIである。
【0028】
本発明は、癌に対する処置の有効性をモニタリングするための方法も含む。一実施形態において、本発明は、処置の少なくとも一部を提供する前に被験体からのサンプル中の1つ以上のバイオマーカーの発現を、被験体が少なくとも一部の処置を受けた後に被験体から得られたサンプル中の1つ以上のバイオマーカーの発現と比較する工程を含む、癌に対する処置の有効性をモニタリングするための方法を包含し、ここで1つ以上のバイオマーカーが、6Ckine、ACE、BDNF、CA125、E−セレクチン、EGF、Eot2、ErbB1、フォリスタチン、HCC4、HVEM、IGF−II、IGFBP−1、IL−17、IL−1srII、IL−2sRa、レプチン、M−CSF R、MIF、MIP−1a、MIP3b、MMP−8、MMP7、MPIF−1、OPN、PARC、PDGF Rb、プロラクチン、プロテインC、TGF−b RIII、TNF−R1、TNF−a、VAP−1、VEGF R2およびVEGF R3からなる群から選択され;1つ以上のバイオマーカーの発現の差が、処置の有効性を診断するか、またはその診断を助ける。一実施形態において、1つ以上のバイオマーカーは、プロラクチン、MIF、OPN、IGF−II、E−セレクチン、レプチン、EGF、IL−17、MPIF−1およびIL−2sRaからなる群から選択される。一実施形態において、1つ以上のバイオマーカーは、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIからなる群から選択される。
【0029】
一実施形態において、癌に対する処置の有効性をモニタリングする上記の方法は、2つ以上のバイオマーカーの発現を比較する工程を含む。一実施形態において、2つ以上のバイオマーカーはプロラクチン、MIF、OPN、IGF−II、E−セレクチン、レプチン、EGF、IL−17、MPIF−1およびIL−2sRaからなる群から選択される。別の実施形態において、2つ以上のバイオマーカーは、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIからなる群から選択される。
【0030】
一実施形態において、癌に対する処置の有効性をモニタリングする上記の方法は、3つ以上のバイオマーカーの発現を比較する工程を含む。一実施形態において、癌に対する処置の有効性をモニタリングする上記の方法は、4つ以上のバイオマーカーの発現を比較する工程を含む。一実施形態において、癌に対する処置の有効性をモニタリングする上記の方法は、4つ以上のバイオマーカーの発現を比較する工程を含み、ここで4つ以上のバイオマーカーは、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIを含む。別の実施形態において、癌に対する処置の有効性をモニタリングする上記の方法は、ここで4つのバイオマーカーの発現を比較する工程を含み、4つのバイオマーカーは、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIである。
【0031】
本発明はまた、癌を診断するか、または癌の診断を助けるためのキットおよび癌をモニタリングするためのキットも含む。一実施形態において、上記キットは、(i)サンプルを受け入れるための容器;(ii)6Ckine、ACE、BDNF、CA125、E−セレクチン、EGF、Eot2、ErbB1、フォリスタチン、HCC4、HVEM、IGF−II、IGFBP−1、IL−17、IL−1srII、IL−2sRa、レプチン、M−CSF R、MIF、MIP−1a、MIP3b、MMP−8、MMP7、MPIF−1、OPN、PARC、PDGF Rb、プロラクチン、プロテインC、TGF−b RIII、TNF−R1、TNF−a、VAP−1、VEGF R2およびVEGF R3からなる群から選択される1つ以上のバイオマーカーを検出するための1つ以上の試薬;および(iii)参照サンプルを含む。一実施形態において、上記キットは、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIの検出のための1つ以上の試薬を含む。
【0032】
本発明はまた、癌を処置するために有用な候補化合物をスクリーニングする方法も含む。一実施形態において、本発明は、(i)6Ckine、ACE、BDNF、CA125、E−セレクチン、EGF、Eot2、ErbB1、フォリスタチン、HCC4、HVEM、IGF−II、IGFBP−1、IL−17、IL−1srII、IL−2sRa、レプチン、M−CSF R、MIF、MIP−1a、MIP3b、MMP−8、MMP7、MPIF−1、OPN、PARC、PDGF Rb、プロラクチン、プロテインC、TGF−b RIII、TNF−R1、TNF−a、VAP−1、VEGF R2およびVEGF R3からなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカーの発現を調節する候補化合物を同定する工程;および(ii)そのような候補化合物が癌を処置するために効果的かどうかを決定する工程を含む、癌を処置するために有用な候補化合物をスクリーニングする方法を含む。一実施形態において、本方法は、プロラクチン、MIF、OPN、IGF−II、E−セレクチン、レプチン、EGF、IL−17、MPIF−1およびIL−2sRaからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカーの発現を調節する候補化合物を同定する工程を含む。一実施形態において、本方法は、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIからなる群から選択される少なくとも1つのバイオマーカーの発現を調節する候補化合物を同定する工程を含む。
【0033】
本発明はまた、ビジネスを行なう方法も含む。一実施形態において、ビジネスを行なう方法は、(i)サンプルを得る工程;(ii)サンプル中の1つ以上のバイオマーカーの発現を検出する工程であって、ここで1つ以上のバイオマーカーは、6Ckine、ACE、BDNF、CA125、E−セレクチン、EGF、Eot2、ErbB1、フォリスタチン、HCC4、HVEM、IGF−II、IGFBP−1、IL−17、IL−1srII、IL−2sRa、レプチン、M−CSF R、MIF、MIP−1a、MIP3b、MMP−8、MMP7、MPIF−1、OPN、PARC、PDGF Rb、プロラクチン、プロテインC、TGF−b RIII、TNF−R1、TNF−a、VAP−1、VEGF R2およびVEGF R3からなる群から選択される、工程;および(iii)そのような検出の結果を報告する工程を含む。一実施形態において、1つ以上のバイオマーカーは、プロラクチン、MIF、OPN、IGF−II、E−セレクチン、レプチン、EGF、IL−17、MPIF−1およびIL−2sRaからなる群から選択される。別の実施形態において、1つ以上のバイオマーカーは、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIからなる群より選択される。
【0034】
一実施形態において、本発明は、(i)サンプルを得る工程;(ii)サンプル中の4つのバイオマーカーの発現を検出する工程であって、ここで4つのバイオマーカーはレプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIである、工程;および(iii)そのような検出の結果を報告する工程、を含むビジネスを行なう方法を含む。
【0035】
本発明はまた、候補癌バイオマーカーをスクリーニングする方法も含む。一実施形態において、本発明は、(i)癌に潜在的に関連する一群のバイオマーカーを同定する工程;(ii)工程(i)で同定されたバイオマーカーの発現のレベルを癌被験体の第1集団と健康な被験体とにおいて比較する工程;(iii)癌被験体の第1集団において発現の有意差を示すバイオマーカーを選択する工程;(iv)工程(iii)で同定されたバイオマーカーの発現のレベルを癌被験体の第2集団と健康な被験体とにおいて比較する工程;および(v)癌被験体の第2集団において発現の有意差を示すバイオマーカーを選択する工程を含み、工程(v)で同定されたバイオマーカーが候補癌バイオマーカーである、候補癌バイオマーカーをスクリーニングする方法を含む。一実施形態において、癌被験体の第1集団は、新しく診断された癌を有し、癌被験体の第2集団は再発癌を有する。一実施形態において、癌被験体の第1集団は再発癌を有し、癌被験体の第2集団は新しく診断された癌を有する。別の実施形態において、癌被験体の第1集団は後期癌を有し、癌被験体の第2集団は初期癌を有する。別の実施形態において、癌患者の第1集団は初期癌を有し、癌被験体の第2集団は後期癌を有する。別の実施形態において、本方法は、さらに、(vi)工程(v)で同定されたバイオマーカーの発現のレベルを癌被験体の第3集団と健康な被験体とにおいて比較する工程であって、ここでバイオマーカーの発現は異なるアッセイフォーマットを使用することによって検出される、工程;および(vii)癌被験体の第3集団の発現とは有意に異なる発現を示すバイオマーカーを選択する工程であって、工程(vii)で同定されたバイオマーカーが癌に対する候補バイオマーカーである工程、を含む。一実施形態において、本方法は、さらに、工程(v)または(vii)で同定されたバイオマーカーが盲検試験で癌被験体と健康被験体とを区別できたかどうかを決定する工程を包含する。
本発明は、(i)癌バイオマーカーを同定する工程;(ii)工程(i)で同定されたバイオマーカーを調節するか、またはそれにより調節されるポリペプチドを選択する工程;および(iii)工程(ii)で同定されたポリペプチドの発現を癌被験体および健康な被験体において測定する工程を含み、癌被験体と健康な被験体とで異なって発現されるポリペプチドが候補癌バイオマーカーである、候補癌バイオマーカーをスクリーニングする方法も含む。
本発明は、例えば以下の項目を含む。
(項目1)
被験体の癌を診断するか、または癌の診断を助ける方法であって、該方法は、該被験体からのサンプル中の1つ以上のバイオマーカーの発現を該1つ以上のバイオマーカーのそれぞれに対する所定のスタンダードと比較する工程を含み;
ここで該1つ以上のバイオマーカーが、6Ckine、ACE、BDNF、CA125、E−セレクチン、EGF、Eot2、ErbB1、フォリスタチン、HCC4、HVEM、IGF−II、IGFBP−1、IL−17、IL−1srII、IL−2sRa、レプチン、M−CSF R、MIF、MIP−1a、MIP3b、MMP−8、MMP7、MPIF−1、OPN、PARC、PDGF Rb、プロラクチン、プロテインC、TGF−b RIII、TNF−R1、TNF−a、VAP−1、VEGF R2およびVEGF R3からなる群から選択され;該1つ以上のバイオマーカーのそれぞれの所定のスタンダードと比較したとき、該サンプル中の該1つ以上のバイオマーカーの発現における有意差が癌を診断するか、または癌の診断を助ける、方法。
(項目2)
前記所定のスタンダードが、(a)健康な被験体中の前記バイオマーカーの発現レベルまたは(b)同じ被験体からの非癌性組織中の該バイオマーカーの発現レベルに対応する、項目1に記載の方法。
(項目3)
2つ以上のバイオマーカーの発現を比較する工程を含み、癌の診断がスコアに基づく分類方法に基づく、項目1に記載の方法。
(項目4)
m個の異なるバイオマーカーの発現を比較する工程を含み;各バイオマーカーが0または1のスコアを割り当てられ、バイオマーカーの発現が所定のスタンダードにおける該バイオマーカーの発現と有意差がない場合、該バイオマーカーには0のスコアが割り当てられ、バイオマーカーの発現が所定のスタンダードにおけるバイオマーカーの発現と有意差がある場合、該バイオマーカーには1のスコアが割り当てられ;前記被験体にはm個の異なるマーカーの割り当てられたスコアの合計に対応する総合スコアが割り当てられ;所与の閾値(t)を用いて癌を診断するか、または癌の診断を助ける、項目3に記載の方法。
(項目5)
2つ以上のバイオマーカーの発現を比較する工程を含み、癌の診断が、該2つ以上のバイオマーカーの発現プロフィールを該バイオマーカーに対する所定のスタンダードプロフィールと比較することにより行なわれ、該プロフィールの差異が癌を診断するか、または癌の診断を助ける、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記所定のスタンダードプロフィールが、癌被験体の前記2つ以上のバイオマーカーの発現を健康な被験体中の該2つ以上のバイオマーカーの発現と、機械学習技術を用いて比較することにより決定される、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記所定のスタンダードプロフィールが、癌被験体および健康な被験体の前記2つ以上のバイオマーカーの発現を、サポートベクターマシン、K−近傍分類法、または分類樹解析を用いて比較することにより決定される、項目4に記載の方法。
(項目8)
前記癌が卵巣癌である項目1に記載の方法。
(項目9)
卵巣癌に対するさらなるバイオマーカーを検出する工程をさらに含む、項目8に記載の方法。
(項目10)
卵巣癌に対する前記さらなるバイオマーカーが、ヒト角質層キモトリプシン酵素(HSCCE)、カリクレイン4、カリクレイン5、カリクレイン6(プロテアーゼM)、カリクレイン8、カリクレイン9、カリクレイン10、CA125、CA15−3、CA19−9、OVX1、リゾホスファチジン酸(LPA)、癌胎児性抗原(CEA)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、プロスタシン、CA54−61、CA72、HMFG2、IL−6、IL−10、LSA、M−CSF、NB70K、PLAP、TAG72、TNF、TPA、UGTF、WAP4ジスルフィドコアドメイン2(HE4)、マトリックス金属プロテアーゼ2、テトラネクチン、インヒビン、メソセリン、MUC1、VEGF、CLDN3、NOTCH3、E2F転写因子3(E2F3)、GTPase活性化タンパク質(RACGAP1)、血液学的神経学的発現1(HN1)、アポリポタンパク質A1、ラミニン、クローディン3、クローディン4、腫瘍関連カルシウムシグナルトランスデューサー1(TROP−1/Ep−CAM)、腫瘍関連カルシウムシグナルトランスデューサー2(TROP−2)、ラジニン1、S100A2、SERPIN2(PAI−2)、CD24、リポカリン2、マトリプターゼ(TADG−15)、ストラチフィン、トランスフォーミング増殖因子−βレセプターIII、血小板由来増殖因子レセプターα、SEMACAP3、ras相同遺伝子ファミリーメンバーI(ARHI)、トロンボスポンジン2、障害2/卵巣癌中の差次的発現2(Dab2/DOC2)およびハプトグロビン−αサブユニットからなる群から選択される、項目9に記載の方法。
(項目11)
卵巣癌に対する前記さらなるバイオマーカーがCA125である項目10に記載の方法。
(項目12)
前記癌が乳癌である、項目1に記載の方法。
(項目13)
前記癌が結腸癌である、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記1つ以上のバイオマーカーがプロラクチンおよび/またはOPNであり、所定のスタンダードと比較したとき、該バイオマーカーの発現の増加が癌を診断するか、または癌の診断を助ける、項目1に記載の方法。
(項目15)
前記1つ以上のバイオマーカーがレプチンおよび/またはIGF−IIであり、所定のスタンダードと比較したとき、該バイオマーカーの発現の減少が癌を診断するか、または癌の診断を助ける、
項目1に記載の方法。
(項目16)
2つ以上のバイオマーカーの発現を比較する工程を含む、項目1に記載の方法。
(項目17)
前記2つ以上のバイオマーカーが、プロラクチン、MIF、OPN、IGF−II、E−セレクチン、レプチン、EGF、IL−17、MPIF−1およびIL−2sRaからなる群から選択される、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記2つ以上のバイオマーカーがレプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIからなる群から選択される、項目16に記載の方法。
(項目19)
前記2つ以上のバイオマーカーの少なくとも2つの発現の有意差が、癌を診断するか、または癌の診断を助ける、項目16に記載の方法。
(項目20)
3つ以上のバイオマーカーの発現を比較する工程を含む、項目1に記載の方法。
(項目21)
前記3つ以上のバイオマーカーが、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIからなる群から選択される、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記3つ以上のバイオマーカーの少なくとも2つの発現の有意差が、癌を診断するか、または癌の診断を助ける、項目20に記載の方法。
(項目23)
4つ以上のバイオマーカーの発現を比較する工程を含む、項目1に記載の方法。
(項目24)
前記4つ以上のバイオマーカーが、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIを含む、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記4つ以上のバイオマーカーの少なくとも2つの発現の有意差が、癌を診断するか、または癌の診断を助ける、項目23に記載の方法。
(項目26)
前記1つ以上のバイオマーカーの発現が、該1つ以上のバイオマーカーを検出する試薬を用いて検出される、項目1に記載の方法。
(項目27)
前記試薬が前記バイオマーカーに特異的な抗体またはそのフラグメントである項目26に記載の方法。
(項目28)
前記試薬が検出可能な物質により直接または間接に標識される、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記1つ以上のバイオマーカーの発現が質量分析を用いて検出される、項目1に記載の方法。
(項目30)
前記1つ以上のバイオマーカーの発現が、該1つ以上のバイオマーカーをコードする遺伝子のmRNA転写レベルを測定することにより検出される、項目1に記載の方法。
(項目31)
前記サンプルが体液サンプルである、項目1に記載の方法。
(項目32)
前記体液サンプルが血液または血清である、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記1つ以上のバイオマーカーの発現が、(a)該1つ以上のバイオマーカーにより調節されるポリペプチドの発現を検出するか、(b)該バイオマーカーを調節するポリペプチドの発現を検出するか、または(c)該バイオマーカーの代謝産物の発現を検出することにより検出される、項目1に記載の方法。
(項目34)
被験体からのサンプル中の1つ以上のバイオマーカーの発現を、その後の時点で該被験体から得られたサンプル中の該1つ以上のバイオマーカーの発現と比較する工程を含む、被験体の癌の進行をモニタリングする方法であって;
ここで、該1つ以上のバイオマーカーが、6Ckine、ACE、BDNF、CA125、E−セレクチン、EGF、Eot2、ErbB1、フォリスタチン、HCC4、HVEM、IGF−II、IGFBP−1、IL−17、IL−1srII、IL−2sRa、レプチン、M−CSF R、MIF、MIP−1a、MIP3b、MMP−8、MMP7、MPIF−1、OPN、PARC、PDGF Rb、プロラクチン、プロテインC、TGF−b RIII、TNF−R1、TNF−a、VAP−1、VEGF R2およびVEGF R3からなる群から選択され;そして該1つ以上のバイオマーカーの発現の差が該被験体の癌の進行を診断するか、癌進行の診断を助ける、方法。
(項目35)
2つ以上のバイオマーカーの発現を比較する工程を含む、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記2つ以上のバイオマーカーが、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−II
からなる群から選択される項目35に記載の方法。
(項目37)
3つ以上のバイオマーカーの発現を比較する工程を含む、項目34に記載の方法。
(項目38)
4つ以上のバイオマーカーの発現を測定する工程を含む、項目34に記載の方法。
(項目39)
前記4つ以上のバイオマーカーが、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIを含む、項目38に記載の方法。
(項目40)
処置の少なくとも一部を提供する前に、被験体からのサンプル中の1つ以上のバイオマーカーの発現を、該被験体が治療の少なくとも一部を受けた後に該被験体から得られたサンプル中の該1つ以上のバイオマーカーの発現と比較する工程を含む、癌に対する治療の有効性をモニタリングする方法であって;
ここで、該1つ以上のバイオマーカーが、6Ckine、ACE、BDNF、CA125、E−セレクチン、EGF、Eot2、ErbB1、フォリスタチン、HCC4、HVEM、IGF−II、IGFBP−1、IL−17、IL−1srII、IL−2sRa、レプチン、M−CSF R、MIF、MIP−1a、MIP3b、MMP−8、MMP7、MPIF−1、OPN、PARC、PDGF Rb、プロラクチン、プロテインC、TGF−b RIII、TNF−R1、TNF−a、VAP−1、VEGF R2およびVEGF R3からなる群から選択され;そして
該1つ以上のバイオマーカーの発現の差が治療の有効性を診断するか、またはその診断を助ける、方法。
(項目41)
2つ以上のバイオマーカーの発現を検出する工程を含む、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記2つ以上のバイオマーカーが、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIからなる群から選択される項目41に記載の方法。
(項目43)
3つ以上のバイオマーカーの発現を検出する工程を含む、項目40に記載の方法。
(項目44)
4つ以上のバイオマーカーの発現を検出する工程を含む、項目40に記載の方法。
(項目45)
前記4つ以上のバイオマーカーが、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIを含む項目44に記載の方法。
(項目46)
癌を診断するためのキットであって、以下:
(a)サンプルを受け取るための容器;
(b)6Ckine、ACE、BDNF、CA125、E−セレクチン、EGF、Eot2、ErbB1、フォリスタチン、HCC4、HVEM、IGF−II、IGFBP−1、IL−17、IL−1srII、IL−2sRa、レプチン、M−CSF R、MIF、MIP−1a、MIP3b、MMP−8、MMP7、MPIF−1、OPN、PARC、PDGF Rb、プロラクチン、プロテインC、TGF−b RIII、TNF−R1、TNF−a、VAP−1、VEGF R2およびVEGF R3からなる群から選択される1つ以上のバイオマーカーを検出するための1つ以上の試薬;および
(c)参照サンプル
を備える、キット。
(項目47)
レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIの検出のための1つ以上の試薬を備える、項目46に記載のキット。
(項目48)
2つ以上のバイオマーカーを検出するための1つ以上の試薬を含む、項目46に記載のキット。
(項目49)
前記2つ以上のバイオマーカーが、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIからなる群から選択される、項目48に記載のキット。
(項目50)
癌を治療するために有用な候補化合物をスクリーニングする方法であって、以下:
(a)6Ckine、ACE、BDNF、CA125、E−セレクチン、EGF、Eot2、ErbB1、フォリスタチン、HCC4、HVEM、IGF−II、IGFBP−1、IL−17、IL−1srII、IL−2sRa、レプチン、M−CSF R、MIF、MIP−1a、MIP3b、MMP−8、MMP7、MPIF−1、OPN、PARC、PDGF Rb、プロラクチン、プロテインC、TGF−b RIII、TNF−R1、TNF−a、VAP−1、VEGF R2およびVEGF R3からなる群から選択される1つ以上のバイオマーカーの発現を調節する候補化合物を同定する工程;および
(b)そのような候補化合物が癌を治療するために効果的かどうかを決定する工程:
を含む、方法。
(項目51)
2つ以上のバイオマーカーの発現を調節する候補化合物を同定する工程を含む、項目50に記載の方法。
(項目52)
前記2つ以上のバイオマーカーが、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIからなる群から選択される、項目51に記載の方法。
(項目53)
候補癌バイオマーカーをスクリーニングする方法であって、以下:
(a)癌に潜在的に関連する一群のバイオマーカーを同定する工程;
(b)工程(a)で同定されたバイオマーカーの発現のレベルを、癌被験体の第1集団および健康な被験体と比較する工程;
(c)癌被験体の該第1集団において発現の有意差を示すバイオマーカーを選択する工程;
(d)工程(c)で同定されたバイオマーカーの発現のレベルを、癌被験体の第2集団および健康な被験体と比較する工程;および
(e)癌被験体の該第2集団において発現の有意差を示すバイオマーカーを選択する工程を含み;
ここで、工程(e)で同定されたバイオマーカーが候補癌バイオマーカーである、方法。
(項目54)
癌被験体の前記第1集団が新しく診断された癌を有し、かつ癌被験体の前記第2集団が再発癌を有する、項目53に記載の方法。
(項目55)
癌被験体の前記第1集団が後期癌を有し、かつ癌被験体の前記第2集団が初期癌を有するかまたは;
癌患者の該第1集団が初期癌を有し、かつ癌被験体の該第2集団がより後期の癌を有する、項目53に記載の方法。
(項目56)
項目53に記載の方法であって、以下:
(f)工程(v)で同定されたバイオマーカーの発現のレベルを、癌被験体の第3集団および健康な被験体と比較する工程であって、ここで該バイオマーカーの発現を項目53に用いられたものとは異なるアッセイフォーマットを用いて検出される工程;および
(g)癌被験体の該第3集団の発現の有意差を示すバイオマーカーを選択する工程;
をさらに含み、
ここで、工程(g)で同定されたバイオマーカーが癌に対する候補バイオマーカーである、方法。
(項目57)
工程(e)で同定されたバイオマーカーが、盲検試験で癌被験体と健康被験体とを区別するかどうかを決定する工程をさらに含む、項目53に記載の方法。
(項目58)
工程(g)で同定されたバイオマーカーが、盲検試験で癌被験体と健康被験体とを区別するかどうかを決定する工程をさらに含む、項目56に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、癌を有する被験体と健康な被験体との間を区別し得るバイオマーカーを同定するために使用されるスクリーニングプロセスの概略的な表示である。
【図2】図2は、16個のサブアレイを有するサンプルタンパク質マイクロアレイスライドの概略的な表示である。サブアレイは、スライド上の16個のウェルまたは環状分析部位を言及する。アレイは、ウェル内にプリントされた抗体含量を言及する。各マイクロアレイスライドは、1つの型のみのアレイを含む。
【図3】図3は、2つの異なるアッセイ(RCAマイクロアレイイムノアッセイおよびELISA)を使用した、卵巣癌を有する被験体中および健康な被験体におけるの4種類のタンパク質(レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−II)の発現の差を示す。
【図4】図4は、従来の二進法のデータセット分析に適合する最小二乗法を用いて、206の被験体における4種類のタンパク質(レプチン(「1」として同定)、プロラクチン(「2」として同定)、OPN(「3」として同定)およびIGF−II(「4」として同定))の発現データを分析した結果を示す。健康な被験体のタンパク質レベルは、黒色(左)で示され、卵巣癌を有する被験体のタンパク質レベルは、灰色(右)で示される。
【図5】図5は、ペアプロット(pair plot)を用いて、206の被験体における4種類のタンパク質(レプチン(「1」として同定)、プロラクチン(「2」として同定)、OPN(「3」として同定)およびIGF−II(「4」として同定))の発現データを分析した結果を示す。健康な被験体から得られたデータポイントは黒で示し、卵巣癌を有する被験体から得られたデータポイントは灰色で示す。
【図6】図6は、本明細書中に記載されるスコアに基づく分類システムに基づいて、健康な106の被験体と卵巣癌を有する100の被験体とを含む206の被験体に割り当てられたスコアを示す。2を超えるか、または2と等しいスコアを有する被験体は卵巣癌と診断され得、一方、1未満か、または1と等しいスコアを有する被験体は、卵巣癌がないと診断され得る。健康な被験体から得られたデータポイントは薄い灰色で示し、卵巣癌を有する被験体から得られたデータポイントは濃い灰色で示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(発明の詳細な説明)
(I.概説)
癌被験体(初期(ステージI〜II)疾患と診断された被験体を含む)と健康な被験体との間を区別するために使用され得る方法が、本明細書中に開示される。この方法は、癌被験体と健康な被験体との間の区別に特によく適合されるバイオマーカーの同定に基づく。これらのバイオマーカーは、各工程の異なる被験体由来のサンプルを用いる幾つかの異なるスクリーニング工程と、異なる技術による検証とを含む本明細書中に記載の独自で新規なスクリーニング方法を使用して同定された。本明細書中に開示されるバイオマーカーは、癌の診断、予後診断およびモニタリングにおいて使用され得る。
【0038】
1つの特定の実施形態において、本明細書中に開示される本発明は、癌被験体と健康な被験体との間(特に、卵巣癌被験体と健康な被験体との間)を区別する4種類のバイオマーカー(レプチン、プロラクチン、ORNおよびIGF II)に基づく新しい試験をいう。一実施形態において、これらの4種類のバイオマーカーは、卵巣癌の診断、予後診断およびモニタリングのための血液試験において使用され得る。
【0039】
本明細書中で同定されるこれらのバイオマーカーは、さらなる公知のバイオマーカーと組み合わせて使用され得る。例えば、卵巣癌の公知のバイオマーカーはCA125である。本明細書中で同定されるバイオマーカーと組み合わせてCA125を使用することは、卵巣癌の初期検出のための新規なアプローチを提示し、この使用は、卵巣癌の進行の高い危険性のある無症候性の女性において前悪性変化または初期卵巣癌を正確に検出する能力を顕著に向上し得る。さらに、本出願で同定されるバイオマーカーは、他の診断技術と組み合わせて使用され得る。例えば、卵巣癌の診断のために、本出願で同定されるバイオマーカーが、卵巣癌を診断するための膣内診、超音波またはMRIと組み合わせて使用され得る。
【0040】
「a」、「an」および「the」との冠詞は、本明細書においてその冠詞の文法的な対象の1つまたは1つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を言及するために使用される。
【0041】
「含んでいる(including)」との用語は、本明細書において「〜を含んでいるが、これらに限定されない」との語句を意味するために使用され、この語句と交互交換可能に使用される。
【0042】
「または」との用語は、文脈が明らかに別のことを示さない限り、本明細書において「および/または」との語句を意味するために使用され、この語句と交互交換可能に使用される。
【0043】
「例えば(such as)」との用語は、本明細書において「例えば、これらに限定されないが」との用語を意味するために使用され、この語句と交互交換可能に使用される。
【0044】
(II.診断方法)
一実施形態において、本発明は被験体の癌を診断するか、もしくは癌の診断を助ける方法に関する。一実施形態において、本方法は、被験体由来のサンプルにおける表2に同定されるバイオマーカーからなる群から選択される1つ以上のバイオマーカーの発現を、1つ以上の各バイオマーカーの所定のスタンダードと比較する工程を含み、1つ以上の各バイオマーカーの所定のスタンダードと比較した場合の上記サンプル中の1つ以上のバイオマーカーの発現の有意差が、癌を診断するか、または癌の診断を助ける。一実施形態において、1つ以上のバイオマーカーは、表3に同定されるバイオマーカーからなる群より選択される。別の実施形態において、1つ以上のバイオマーカーは、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIからなる群から選択される。
【0045】
バイオマーカーがプロラクチンおよび/またはOPNである場合、バイオマーカーの所定のスタンダードと比較した場合のバイオマーカーの発現の増加は、癌を診断するか、または癌の診断を助ける。バイオマーカーがレプチンおよび/またはIGF−IIである場合、バイオマーカーの所定のスタンダードと比較した場合のバイオマーカーの発現の減少は、癌を診断するか、または癌の診断を助ける。本明細書中で使用される場合、発現の増加または減少は、遺伝子発現産物のレベルが高くなるか低くなるという事実、または遺伝子発現産物の活性が増強されるか、または低下されるという事実をいう。
【0046】
上記の方法は、任意の癌または腫瘍を診断するために使用され得る。一実施形態において、上記癌は卵巣癌である。別の実施形態において、上記癌は乳癌である。別の実施形態において、上記癌は結腸癌である。別の実施形態において、上記癌は前立腺癌である。別の実施形態において、上記癌は子宮頚癌である。
【0047】
本明細書中で使用される場合、「バイオマーカー」との用語は、癌を単独で、もしくは複数のポリペプチドとの組合せとして診断するか、または癌の診断もしくは予後診断を助けるため;癌の進行のモニタリングするため;そして/または癌処置の有効性をモニタリングするために使用され得る1つ以上のポリペプチドをいう。本明細書中で使用される場合、「ポリペプチド」との用語は、アミノ酸のポリマーを言及し、特定の長さは言及しない。従って、ペプチド、オリゴペプチドおよびタンパク質は、ポリペプチドの定義に含まれる。
【0048】
本明細書中で使用される場合、「レプチン」との用語はレプチンの全てのホモログ、天然に存在する対立遺伝子多型、イソ型および前駆体を含む。レプチンは、HGNC:6553、OB、OBS、肥満またはネズミ肥満ホモログとしても公知である。一実施形態において、レプチンは、GenBank登録番号NP_000221のアミノ酸配列を含む。
【0049】
本明細書中で使用される場合、「プロラクチン」との用語は、プロラクチンの全てのホモログ、天然に存在する対立遺伝子多型、イソ型および前駆体を含む。プロラクチンは、PRLまたはHGNC:9445としても公知である。一実施形態において、プロラクチンは、GenBank登録番号NP_000939のアミノ酸配列を含む。
【0050】
本明細書中で使用される場合、「OPN」との用語は、OPNの全てのホモログ、天然に存在する対立遺伝子多型、イソ型および前駆体を含む。OPNは、HGNC:11255、BNSP、BSPI、ETA−1、分泌リンタンパク質−1またはオステオポンチンとしても公知である。一実施形態において、OPNは、GenBank登録番号NP_000573のアミノ酸配列を含む。
【0051】
本明細書中で使用される場合、「IGF−II」との用語は、IGF−IIの全てのホモログ、天然に存在する対立遺伝子多型、イソ型および前駆体を含む。IGF−IIは、HGNC:5466、インシュリン様増殖因子2、インシュリン様増殖因子IIまたはソマトメジンAとしても公知である。一実施形態において、IGF−IIは、GenBank登録番号NP_000603のアミノ酸配列を含む。
【0052】
本明細書中で使用される場合、「被験体」または「患者」という用語は、全ての温血動物を含む。一実施形態において、上記被験体はヒトである。一実施形態において、上記被験体は癌を進行させる高い危険性を有する被験体である。
【0053】
一実施形態において、本方法が卵巣癌に関する場合、被験体は、卵巣癌を有すると疑われるか、または有することが既知であるか、あるいは卵巣癌を進行させる高い危険性のある雌(例えば女性)である。例えば、卵巣癌の家族性病歴を有する卵巣癌被験体について、変異癌遺伝子を有すると同定された被験体、および少なくとも約50歳の被験体は、卵巣癌を進行させる高い危険性がある。
【0054】
本明細書中で使用される場合、「サンプル」との用語は、被験体から得られた材料をいう。サンプルは、全ての体液(例えば、全血、血漿、血清、唾液、接眼レンズ液(ocular lens fluid)、汗、尿、乳など)、組織または抽出物、細胞などを含む任意の生物学的供給源に由来するものであり得る。卵巣関連体液の例としては、血液(例えば、全血、血液血清、血小板を除去した血液など)、リンパ液、腹水、婦人科液(例えば、卵巣、ファローピウスおよび子宮の分泌物、月経、膣洗浄液、卵巣細胞サンプルをリンスするために用いられた液体など)、嚢胞液、尿および腹膜のリンスにより収集された流体(例えば、腹腔鏡検査法中に使用され収集された流体またはヒト患者の腹膜腔に注入され、そこから引き出された流体)が挙げられる。
【0055】
「発現」との用語は、本明細書において、ポリペプチドがDNAから産生されるプロセスを意味するために使用される。このプロセスは、遺伝子のmRNAへの転写およびこのmRNAのポリペプチドへの翻訳に関する。それが使用される文脈に従って、「発現」は、RNA、タンパク質またはその両方の産生をいうことが可能である。
【0056】
本発明のバイオマーカーの発現は、転写される分子またはその対応するタンパク質の発現を検出するための多様な周知の方法によって、評価され得る。そのような方法の非限定的な例としては、分泌タンパク質を検出するための免疫学的方法、タンパク質精製法、タンパク質の機能または活性のアッセイ、核酸ハイブリダイゼーション法、核酸逆転写法および核酸増幅法が挙げられる。好ましい実施形態において、マーカー遺伝子の発現は、マーカー遺伝子に対応するタンパク質(例えば、マーカー遺伝子に対応するオープンリーディングフレームによりコードされるタンパク質またはその正常な翻訳後改変の全てまたは一部を受けたタンパク質)に特異的に結合する抗体(例えば、放射標識、発色団標識、フルオロフォア標識または酵素標識された抗体)、抗体誘導体(例えば、基質に結合された抗体またはタンパク質−リガンド対{例えば、ビオチン−ストレプトアビジン}のタンパク質またはリガンドと結合された抗体)、または抗体フラグメント(例えば、単鎖抗体、単離された抗体超可変ドメインなど)を使用して評価される。別の好ましい実施形態において、マーカー遺伝子の発現は、患者サンプル中の細胞からmRNA/cDNA(すなわち、転写されたポリヌクレオチド)を調製し、そのmRNA/cDNAを、マーカー遺伝子を含むポリヌクレオチドの相補体である参照ポリヌクレオチドおよびそのフラグメントとハイブリダイズさせることによって評価される。cDNAは、参照ポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーション前に多様なポリメラーゼ連鎖反応法のいずれかを使用して、必要に応じて増幅され得るが、増幅しないのが好ましい。
【0057】
本明細書中で使用される場合、バイオマーカーの「所定のスタンダード」とは、健康な被験体のバイオマーカーの発現のレベルまたは同じ被験体からの非癌性組織中のバイオマーカーの発現レベルをいう。所定のバイオマーカーの所定の標準的な発現レベルは、慣習の実験のみを用いて、予想されるおよび/または回顧的な統計学的研究によって確立され得る。所定の標準発現レベルは、周知の方法を用いて当業者により決定され得る。
【0058】
「健康な被験体」との用語は、癌と診断されていないか、または分析されている種類の癌と診断されていない被験体をいう。従って、例えば、卵巣癌を診断する方法において、「健康な被験体」は、癌を有さないか、もしくは卵巣癌を有さない被験体をいう。
【0059】
本明細書中で使用される場合、「有意差」との用語は、十分に当業者の知識の範囲にあり、各特定のバイオマーカーに関して実験的に決定される。例えば、健康な被験体と比較した場合の癌を有する被験体中のバイオマーカーの発現の有意差は、統計学的に有意である任意の発現の差である。
【0060】
一実施形態において、本方法は、2つ以上のバイオマーカーの発現を比較する工程を含み、癌の診断は、スコアに基づく分類方法に基づく。一実施形態において、スコアに基づく分類システムは、二進法に基づく。一実施形態において、スコアに基づく分類システムは、m個の異なるバイオマーカーの発現を決定する工程を含み、各バイオマーカーは、0または1のスコアが割り当てられ、バイオマーカーの発現が所定のスタンダードのバイオマーカーの発現と有意差がない場合、バイオマーカーには0のスコアが割り当てられ、そしてバイオマーカーの発現が所定のスタンダードのバイオマーカーの発現と有意差がある場合、バイオマーカーは1のスコアが割り当てられ;被験体は、m個の異なるマーカーの割り当てられたスコアの合計に対応する総合スコアが割り当てられ;所定の閾値(t)が、癌を診断するか、または癌の診断を助けるために使用される。
【0061】
一実施形態において、スコアに基づく分類システムは、4つの異なるバイオマーカーの発現を比較する工程を含み、各バイオマーカーは、0または1のスコアが割り当てられ、バイオマーカーの発現が所定のスタンダードのバイオマーカーの発現と有意差がない場合、バイオマーカーには0のスコアが割り当てられ、そしてバイオマーカーの発現が所定のスタンダードのバイオマーカーの発現と有意差がある場合、バイオマーカーには1のスコアが割り当てられ;被験体には4つの異なるマーカーから割り当てられたスコアの合計に対応する総合スコアが割り当てられ;2以上のスコアが、癌を診断するか、または癌の診断を助ける。一実施形態において、4つのバイオマーカーは、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIである。
【0062】
一実施形態において、本方法は、2つ以上のバイオマーカーの発現を比較する工程を含み、癌の診断は、2つ以上のバイオマーカーの発現プロフィールをバイオマーカーの所定のスタンダードプロフィールと比較することにより行なわれ、そしてプロフィールの差が、癌を診断するか、または癌の診断を助ける。本明細書中で使用される場合、「発現プロフィール」は、所定のサンプル中の1つ以上のバイオマーカーの発現のレベルの表示である。
【0063】
一実施形態において、所定のスタンダードプロフィールは、機械学習技術を用いて、癌被験体の2つ以上のバイオマーカーの発現を健康な被験体中の2つ以上のバイオマーカーの発現と比較することにより決定される。一実施形態において、所定のスタンダードプロフィールは、サポートベクターマシン、K−近傍分類法、または分類樹分析を用いて、癌被験体中と健康な被験体中の2つ以上のバイオマーカーの発現を比較することにより決定される。
【0064】
一実施形態において、本方法は、サンプル中に表2に同定されていないさらなる公知のバイオマーカーを検出する工程、およびさらなる公知のバイオマーカーの発現を、さらなる公知のバイオマーカーの所定のスタンダードと比較する工程を含む。癌のさらなるバイオマーカーは、刊行された文献を参照することで当業者により同定され得る。一実施形態において、癌は卵巣癌であり、卵巣癌のさらなるバイオマーカーは、ヒト角質層キモトリプシン酵素(HSCCE)、カリクレイン4、カリクレイン5、カリクレイン6(プロテアーゼM)、カリクレイン8、カリクレイン9、カリクレイン10、CA125、CA15−3、CA19−9、OVX1、リゾホスファチジン酸(LPA)、癌胎児性抗原(CEA)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、プロスタシン、CA54−61、CA72、HMFG2、IL−6、IL−10、LSA、M−CSF、NB70K、PLAP、TAG72、TNF、TPA、UGTF、WAP4ジスルフィドコアドメイン2(HE4)、マトリックスメタロプロテアーゼ2、テトラネクチン、インヒビン、メソセリン、MUC1、VEGF、CLDN3、NOTCH3、E2F転写因子3(E2F3)、GTPase活性化タンパク質(RACGAP1)、血液学的神経学的発現1(HN1)、アポリポタンパク質A1、ラミニン、クローディン3、クローディン4、腫瘍関連カルシウムシグナルトランスデューサー1(TROP−1/Ep−CAM)、腫瘍関連カルシウムシグナルトランスデューサー2(TROP−2)、ラジニン1、S100A2、SERPIN2(PAI−2)、CD24、リポカリン2、マトリプターゼ(TADG−15)、ストラチフィン、トランスフォーミング増殖因子−βレセプターIII、血小板由来増殖因子レセプターα、SEMACAP3、ras相同遺伝子ファミリーメンバーI(ARHI)、トロンボスポンジン2、障害2/卵巣癌中で差次的発現2(Dab2/DOC2)およびハプトグロビン−αサブユニットからなる群より選択される。別の実施形態において、卵巣癌のさらなるバイオマーカーは、トランスサイレチンの切断形またはZhangら(Cancer Res.64(16):5882−90(2004))により同定されたインター−α−トリプシンインヒビター重鎖H4の切断フラグメントである。好ましい実施形態において、卵巣癌のさらなるバイオマーカーはCA125である。
【0065】
一実施形態において、本発明は、被験体の癌を診断するか、または癌の診断を助ける方法をいい、この方法は、被験体からのサンプル中に表2に同定されるバイオマーカーからなる群より選択される2つ以上のバイオマーカーの発現を各バイオマーカーの所定のスタンダードと比較する工程を含み、各バイオマーカーの所定のスタンダードと比較した場合のサンプル中の1つ以上のバイオマーカーの発現の有意差は、癌を診断するか、または癌の診断を助ける。一実施形態において、2つ以上のバイオマーカーは、表3に同定されるバイオマーカーからなる群から選択される。別の実施形態において、2つ以上のバイオマーカーは、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIからなる群から選択される。一実施形態において、少なくとも2つバイオマーカーの発現の有意差は、癌を診断するか、または癌の診断を助ける。
【0066】
一実施形態において、本発明は、被験体の癌を診断するか、または癌の診断を助けるための方法を含み、この方法は、被験体由来のサンプル中に表2に同定されるバイオマーカーからなる群から選択される3つ以上のバイオマーカーの発現を各バイオマーカーの所定のスタンダードと比較する工程を含み、各バイオマーカーの所定のスタンダードと比較した場合のサンプル中の1つ以上のバイオマーカーの発現の有意差は、癌を診断するか、または癌の診断を助ける。一実施形態において、3つ以上のバイオマーカーは、表3に同定されるバイオマーカーからなる群から選択される。別の実施形態において、3つ以上のバイオマーカーは、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIからなる群から選択される。一実施形態において、少なくとも2つまたは少なくとも2つ以上のバイオマーカーの発現の有意差は癌を診断するか、または癌の診断を助ける。
【0067】
一実施形態において、本発明は、被験体の癌を診断するか、または癌の診断を助けるための方法に関し、この方法は、被験体からのサンプル中に表2に同定されるバイオマーカーからなる群から選択される4つ以上のバイオマーカーの発現を各バイオマーカーの所定のスタンダードと比較する工程を含み、各バイオマーカーの所定のスタンダードと比較した場合のサンプル中の1つ以上のバイオマーカーの発現の有意差は、癌を診断するか、または癌の診断を助ける。一実施形態において、4つ以上のバイオマーカーは、表3に同定されるバイオマーカーからなる群から選択される。別の実施形態において、4つ以上のバイオマーカーは、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIからなる群から選択される。一実施形態において、少なくとも2つまたは少なくとも2つ以上のバイオマーカーの発現の有意差は、癌を診断するか、または癌の診断を助ける。
【0068】
1つ以上のバイオマーカーの発現は、当業者に公知の任意の方法によって検出され得る。一実施形態において、1つ以上のバイオマーカーの発現は、1つ以上のバイオマーカーを検出する試薬を使用して検出され得る。上記試薬は、1つ以上のバイオマーカーを特異的に検出する任意の試薬であり得る。上記試薬は、バイオマーカーに特異的な抗体(天然または合成)またはそのフラグメント、バイオマーカーを特異的に検出し得るペプチド、核酸または任意の他の試薬であり得る。本明細書中で使用される場合、「抗体」との用語は、例えば、組合せ変異誘発およびファージディスプレイにより作製されたキメラ抗体または合成抗体を含む。「抗体」との用語は、抗体の擬似物(mimetic)またはペプチド擬似物(peptidomimetic)を含む。ペプチド擬似物は、ペプチドおよびタンパク質に基づくか、またはそれらに由来する化合物である。本発明のペプチド擬似物は、代表的には、非天然アミノ酸、立体配座抑制(restraint)、等比体積置換などを用いて、公知のペプチド配列の構造的改変により得られ得る。被験体のペプチド擬似物は、ペプチドと非ペプチド合成構造物との間に構造的な空間の連続体を構成する;したがって、ペプチド類似物は、ファルマコフォア(pharmacophore)を描写するのに有用であり得、ペプチドを親ペプチドの活性を有する非ペプチド化合物へと翻訳することを助けるのに有用であり得る。説明の目的のために、抗体のペプチドアナログは、例えばベンゾジアゼピン(例えば、Freidingerら、Peptides:Chemistry and Biology,G.R.Marshall(編),ESCOM Publisher:Leiden,Netherlands,1988を参照のこと)、置換γラクタム環(Garveyら、Peptides:Chemistry and Biology,G.R.Marchall(編),ESCOM Publisher:Leiden,Netherlands,1988,p123)、C−7擬似物(Huffmanら、Peptides:Chemistry and Biology,G.R.Marshall(編),ESCOM Publisher:Leiden,Netherlands,1988,p.105)、ケト−メチレン擬似ペプチド(Ewensonら(1986)J Med Chem 29:295;およびEwensonら、Peptides:Structure and Function(第9回のAmerican Peptide Symposiumの予稿集)Pierce Chemical Co.Rockland,IL,1985)、β−ターンジペプチドコア(Nagaiら(1985)Tetrahedron Lett 26:647;およびSatoら(1986)J Chem Soc Perkin Trans 1:1231)、β−アミノアルコール(Gordon ら(1985)Biochem Biophys Res Commun 126:419;およびDannら(1986)Biochem Biophys Res Commun 134:71)、ジアミノケトン(Natarajanら(1984)Biochem Biophys Res Commun 124:141)およびメチレンアミノ改変(Roarkら、Peptides:Chemistry and Biology,G.R.Marshall(編),ESCOM Publisher:Leiden,Netherlands,1988,p.134)を使用して作製され得る。また、一般的に、Session III:Analytic and synthetic methods,in Peptides:Chemistry and Biology,G.R.Marshall(編),ESCOM Publisher:Leiden,Netherlands,1988)も参照のこと。
【0069】
別の実施形態において、試薬は、検出可能な物質で直接的または間接的に標識される。例えば、検出可能な物質は、例えば、放射性同位元素、蛍光化合物、酵素および酵素補因子からなる群から選択され得る。抗体を標識する方法は、当該分野で周知である。
【0070】
本明細書中で使用される場合、「検出する(detect)」、「検出された(detected)」または「検出している(detecting)」との用語は、測定する(measure)、測定される(measured)、または測定している(measuring)、を含む。
【0071】
上記の方法は、任意のサンプルを使用して実施され得る。一実施形態において、サンプルは体液サンプルである。一実施形態において、体液サンプルは血液または血清である。
【0072】
別の実施形態において、1つ以上のバイオマーカーの発現は、質量分析を使用して検出される。
【0073】
さらに別の実施形態において、1つ以上のバイオマーカーの発現は、1つ以上のバイオマーカーをコードする遺伝子のmRNA転写レベルを測定することにより検出される。
【0074】
さらに別の実施形態において、1つ以上のバイオマーカーの発現は、ELISA、RCAイムノアッセイ、化学発光、薄膜光学バイオセンサー、プロトン共鳴技術、タンパク質マイクロアレイアッセイまたは当該分野で公知の任意の他の検出方法により検出され得る。
【0075】
一実施形態において、1つ以上のバイオマーカーの発現は、(a)1つ以上のバイオマーカーにより調節されるポリペプチドの発現を検出すること;(b)バイオマーカーを調節するポリペプチドの発現を検出すること;または(c)バイオマーカーの代謝産物の発現を検出することによって検出される。当業者は、慣習の実験のみを用いて、バイオマーカーを調節するか、またはバイオマーカーにより調節されるポリペプチド、およびバイオマーカーの代謝産物を同定することが可能である。
【0076】
癌を診断するか、または癌の診断を助ける上記の方法は、結果の正当性を立証する(すなわち、被験体が癌を有するかどうかをより最終的に決定する)他の方法に組み合わせて使用され得る。一実施形態において、上記癌は卵巣癌であり、上記の方法は、身体検査、超音波検査、X線検査、MRI検査、開腹術および/または血液学的試験を含む。患者の卵巣癌を示し得る血液学的試験は、卵巣癌のさらなるバイオマーカーの血清レベルの分析をさらに含む。
【0077】
(III.モニタリングの方法)
一実施形態において、本発明は、被験体からのサンプルにおける表2に規定されるバイオマーカーからなる群から選択される1つ以上のバイオマーカーの発現を、その後の時点で該被験体から得られたサンプルにおける上記1つ以上のバイオマーカーの発現と比較する工程を含む、被験体の癌の進行をモニタリングする方法において、上記1つ以上のバイオマーカーの発現の差が被験体の癌の進行を示す方法を含む。一実施形態において、上記1つ以上のバイオマーカーは表3に規定されたバイオマーカーからなる群から選択される。別の実施形態において、1つ以上のバイオマーカーはレプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIからなる群から選択される。
【0078】
一実施形態において、本方法は2つ以上のバイオマーカーの発現を比較する工程を含む。別の実施形態において、本方法は3つ以上のバイオマーカーの発現を比較する工程を含む。別の実施形態において、本方法は4つ以上のバイオマーカーの発現を比較する工程を含む。一実施形態において、本方法は4つ以上のバイオマーカーの発現を比較すること工程を含み、この4つ以上のバイオマーカーとしては、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIが挙げられる。さらに別の実施形態において、本方法はレプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIの4つのバイオマーカーの発現を比較する工程を含む。
【0079】
一実施形態において、本方法は被験体が癌の処置を受けた後に癌の進行をモニタリングするために用いられる。
【0080】
本発明はまた、処置の少なくとも一部を提供する前に、被験体からのサンプルにおける表3に規定されたバイオマーカーからなる群から選択された1つ以上のバイオマーカーの発現を、被験体が少なくとも一部の処置を受けた後に、この被験体から得られたサンプルにおける上記1つ以上のバイオマーカーの発現と比較する工程を含む、癌に対する処置の有効性をモニタリングする方法において、上記1つ以上のバイオマーカーの発現の差が処置の有効性を示す方法を含む。
【0081】
一実施形態において、この1つ以上のバイオマーカーは表3に規定されたバイオマーカーからなる群から選択される。別の実施形態において、この1つ以上のバイオマーカーはレプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIからなる群から選択される。
【0082】
一実施形態において、本方法は2つ以上のバイオマーカーの発現を比較する工程を含む。別の実施形態において、本方法は3つ以上のバイオマーカーの発現を比較する工程を含む。別の実施形態において、本方法は4つ以上のバイオマーカーの発現を比較する工程を含む。一実施形態において、本方法は4つ以上のバイオマーカーの発現を比較すること工程を含み、4つ以上のバイオマーカーは、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIを含む。さらに別の実施形態において、本方法はレプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIの4つのバイオマーカーの発現を比較する工程を含む。
【0083】
本明細書中で用いられる「処置」との用語は、化学療法、免疫療法、遺伝子療法、放射線療法および組織の外科切除を含むが、これらに限定されない、卵巣癌を処置するためのいかなる治療であってもよい。本明細書中で用いられる「処置の一部」とは、癌を処置するために用いられる化合物の投与等の癌の処置の一部または化学療法等の処置の一部をいう。
【0084】
癌をモニタリングする上記の方法はいかなる癌や腫瘍にも適用可能である。一実施形態において、本方法は卵巣癌をモニタリングするためのものである。一実施形態において、本方法は乳癌をモニタリングするためのものである。一実施形態において、本方法は結腸癌をモニタリングするためのものである。別の実施形態において、本方法は子宮頚癌をモニタリングするためのものである。
【0085】
(IV.キット)
本発明は、癌を診断するか、または癌の診断を助けるため、または癌のモニタリングをするためのキットも包含する。キットは任意の癌を診断またはモニタリングするために用いることができる。一実施形態において、キットは卵巣癌の診断またはモニタリングのためのものである。一実施形態において、キットは乳癌の診断またはモニタリングのためのものである。一実施形態において、キットは結腸癌の診断またはモニタリングのためのものである。一実施形態において、キットは子宮頚癌の診断またはモニタリングのためのものである。
【0086】
一実施形態において、本キットは、(i)サンプルを受け取るための容器;(ii)表2に規定されたバイオマーカーからなる群から選択された1つ以上のバイオマーカーを検出するための1つ以上の試薬;および(iii)参照サンプルを含む。一実施形態において、本キットは表3に規定されたバイオマーカーからなる群から選択される1つ以上のバイオマーカーを検出するための1つ以上の試薬を含む。一実施形態において、本キットは、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIからなる群から選択される1つ以上のバイオマーカーを検出するための1つ以上の試薬を含む。
【0087】
一実施形態において、本キットは2つ以上のバイオマーカーを検出するための試薬を含む。一実施形態において、この2つ以上のバイオマーカーは、レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIからなる群から選択される。
【0088】
別の実施形態において、キットは3つ以上のバイオマーカーを検出するための試薬を含む。
【0089】
一実施形態において、本キットは4つ以上のバイオマーカーを検出する試薬を含む。一実施形態において、4つ以上のバイオマーカーはレプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIを含む。
【0090】
試薬は、生物学的サンプル中の本発明のマーカー遺伝子に対応するポリペプチドまたはポリペプチドをコードするmRNAを検出することが可能な標識化合物または因子、およびサンプル中のポリペプチドまたはmRNAの量を決定する手段(例えば、該ポリペプチドに結合する抗体または該ポリペプチドをコードするDNAまたはmRNAに結合するオリゴヌクレオチドプローブ)であり得る。本発明のマーカー遺伝子に対応するポリペプチドに結合する適当な試薬としては、抗体、抗体誘導体、抗体フラグメント等が挙げられる。核酸(例えば、ゲノムDNA、mRNA、スプライシングされたmRNA、cDNA等)に結合する適当な試薬としては、相補核酸が挙げられる。
【0091】
抗体ベースのキットについて、キットは、例えば、(1)本発明のマーカー遺伝子に対応するポリペプチドに結合する第1抗体(例えば、固体支持体に結合させたもの)および任意に(2)ポリペプチドか第1抗体のいずれかに結合し、検出可能な標識と結合体化させた第2の異なる抗体を含むことができる。
【0092】
オリゴヌクレオチドベースのキットについて、キットは、例えば、(1)本発明のマーカー遺伝子に対応するポリペプチドをコードする核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドであって、例えば検出可能に標識されたオリゴヌクレオチド、または(2)本発明のマーカー遺伝子に対応する核酸分子を増幅するのに有用な一対のプライマーを含み得る。
【0093】
参照サンプルは試験されているサンプルから得られた結果を比較するために用いられる。
【0094】
このキットは、緩衝剤、防腐剤、またはタンパク質安定剤等の他の成分を含み得る。キットはさらに検出可能な標識を検出するために必要な成分(例えば酵素または基質)をさらに含み得る。
【0095】
キットの各成分は個々の容器に入れることができ、多様な容器のすべてが、キットを用いて実施されるアッセイの結果を解釈するための使用説明書とともに単一パッケージ内に収められ得る。
【0096】
(V.スクリーニング法)
本発明は、癌を処置するために有用な候補化合物をスクリーニングするための方法も含む。一実施形態において、本発明は、(i)表2に規定されるバイオマーカーからなる群から選択される1つ以上のバイオマーカーの発現を調節する候補化合物を同定する工程;および(ii)そのような候補化合物が癌を処置するために効果的かどうかを決定する工程を含む、癌を処置するために有用な候補化合物をスクリーニングする方法を含む。一実施形態において、この1つ以上のバイオマーカーは表3に規定されたバイオマーカーからなる群から選択される。別の実施形態において、この1つ以上のバイオマーカーはレプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIからなる群から選択される。
【0097】
一実施形態において、本発明は、(i)表2に規定されるバイオマーカーからなる群から選択される2つ以上のバイオマーカーの発現を調節する候補化合物を同定する工程;および(ii)そのような候補化合物が癌を処置するために効果的かどうかを決定する工程を含む、癌を処置するために有用な候補化合物をスクリーニングする方法を含む。一実施形態において、この2つ以上のバイオマーカーは表3に規定されたバイオマーカーからなる群から選択される。別の実施形態において、この2つ以上のバイオマーカーはレプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIからなる群から選択される。
【0098】
本発明は、癌を治療するために有用な候補化合物をスクリーニングするための方法も含む。一実施形態において、本発明は、(i)表2に規定されるバイオマーカーからなる群から選択される3つ以上のバイオマーカーの発現を調節する候補化合物を同定する工程;および(ii)そのような候補化合物が癌を処置するために効果的かどうかを決定する工程を含む、癌を処置するために有用な候補化合物をスクリーニングする方法も含む。一実施形態において、この3つ以上のバイオマーカーは表3に規定されたバイオマーカーからなる群から選択される。別の実施形態において、この3つ以上のバイオマーカーはレプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIからなる群から選択される。
【0099】
本発明は、癌を治療するために有用な候補化合物をスクリーニングするための方法も含む。一実施形態において、本発明は、(i)表2に同定されるバイオマーカーからなる群から選択される4つ以上のバイオマーカーの発現を調節する候補化合物を同定する工程;および(ii)そのような候補化合物が癌を治療するために効果的かどうかを決定する工程を含む、癌を治療するために有用な候補化合物をスクリーニングする方法も含む。一実施形態において、この4つ以上のバイオマーカーは表3に同定されたバイオマーカーからなる群から選択される。別の実施形態において、この4つ以上のバイオマーカーはレプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIからなる群から選択される。
【0100】
本明細書中に用いられる「化合物」との用語は、疾患、病気、状態または身体機能の不全を治療または予防するために用いることのできる任意の化学物質、調合薬、薬物等をいう。化合物は公知の治療化合物および潜在的な治療化合物の両方を含む。化合物は本発明のスクリーニング方法を用いるスクリーニングにより治療的であると決定され得る。試験化合物の例としては、ペプチド、ポリペプチド、合成有機分子、天然の有機分子、核酸分子およびそれらの組合せが挙げられる、これらに限定されない。
【0101】
上記のスクリーニング方法は、癌を処置するために有用な候補化合物をスクリーニングするために用いられ得る。一実施形態において、本方法は、卵巣癌を処置するために有用な候補化合物をスクリーニングするためのものである。別の実施形態において、本方法は、乳癌を処置するために有用な候補化合物をスクリーニングするためのものである。別の実施形態において、本方法は、結腸癌を処置するために有用な候補化合物をスクリーニングするためのものである。別の実施形態において、本方法は、子宮頚癌を処置するために有用な候補化合物をスクリーニングするためのものである。
【0102】
(VI.ビジネス方法)
本発明は、(i)サンプルを得る工程;(ii)サンプル中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現を検出する工程であって、ここで1つ以上のバイオマーカーが表2に規定されたバイオマーカーからなる群から選択される、工程;および(iii)そのような検出の結果を報告する工程を含むビジネスを行なう方法をさらに含む。一実施形態において、この1つ以上のバイオマーカーは表3に規定されたバイオマーカーからなる群から選択される。別の実施形態において、1つ以上のバイオマーカーはレプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIからなる群から選択される。
【0103】
本発明は、(i)サンプルを得る工程;(ii)レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−IIの発現を検出する工程;および(iii)そのような検出の結果を報告する工程を含む、ビジネスを行なう方法をさらに含む。
【0104】
(VII.一般的なスクリーニング方法)
本発明は、(i)癌に潜在的に関連する一群のバイオマーカー(例えば、癌遺伝子、腫瘍抑制遺伝子、増殖因子様遺伝子、プロテアーゼ様遺伝子およびタンパク質キナーゼ様遺伝子)を同定する工程;(ii)工程(i)で同定されたバイオマーカーの発現のレベルを癌被験体の第1集団と健康な被験体とにおいて比較する工程;(iii)癌被験体の第1集団において発現の有意差を示すバイオマーカーを選択する工程;(iv)工程(iii)で同定されたバイオマーカーの発現のレベルを癌被験体の第2集団と健康な被験体とにおいて比較する工程;および(v)癌被験体の第2集団において発現の有意差を示すバイオマーカーを選択する工程を含み、工程(v)で同定されたバイオマーカーが候補癌バイオマーカーである、候補癌バイオマーカーをスクリーニングする方法も含む。癌被験体の第1の集団と癌被験体の第2の集団は、これら2つの集団が異なる限り2つのいずれの癌の集団であってよい。一実施形態において、癌被験体の第1集団は新しく癌と診断された被験体を含み、癌被験体の第2集団は再発性の癌を有する被験体を含む。別の実施形態において、癌被験体の第1集団は後期癌を有する被験体を含み、癌被験体の第2集団は初期癌を有する被験体を含むか、または癌患者の第1集団は初期癌を有する被験体を含み、癌被験体の第2集団は後期癌を有する被験体を含む。
【0105】
当業者は潜在的に癌に関連するバイオマーカーを同定し得る。そのようなバイオマーカーは、癌遺伝子、腫瘍抑制遺伝子、増殖因子様遺伝子、プロテアーゼ様遺伝子およびタンパク質キナーゼ様遺伝子からなる群から選択され得る。
【0106】
一実施形態において、本方法はさらに(vi)工程(v)で同定されたバイオマーカーの発現のレベルを癌被験体の第3集団と健康な被験体とにおいて比較し、バイオマーカーの発現を異なるアッセイフォーマットを用いて検出する工程;および(vi)癌被験体の第3集団の発現とは有意に異なる発現を示すバイオマーカーを選択する工程を含み、工程(vii)で同定されたバイオマーカーが癌に対する候補バイオマーカーである。よって、例えば、一実施形態において、バイオマーカーの発現は、高性能アッセイを用いて最初に検出され、次に、問題のタンパク質に特異的なアッセイを用いて検出される。例えば、一実施形態において、バイオマーカーの発現は最初にRCAマイクロアレイイムノアッセイを用いて検出され、次にELISAアッセイにより検出される。癌被験体の第3集団は癌被験体の第1および第2集団と同じでも異なってもよい。
【0107】
一実施形態において、本方法はさらに工程(v)または(vii)で同定されたバイオマーカーが、盲検試験で癌被験体と健康被験体とを区別できたかどうかを決定する工程を含む。盲検試験の結果は周知の統計学的な方法を用いて分析することができる。
【0108】
このバイオマーカーの発現は当該分野で公知の任意の方法を用いて比較され得る。一実施形態において、バイオマーカーの発現は、タンパク質アレイ、質量分析、ゲル電気泳動またはイムノアッセイを用いて検出される。一実施形態において、バイオマーカーの発現はRCAマイクロアレイイムノアッセイを用いて検出される。別の実施形態において、バイオマーカーの発現はELISAを用いて検出される。これらの方法は当該分野で周知である。
【0109】
本発明は、さらに、(i)癌バイオマーカーを同定する工程;(ii)工程(i)で同定されたバイオマーカーを調節するか、または調節されるポリペプチドを選択する工程;および(iii)工程(ii)で同定されたポリペプチドの発現を癌被験体と健康な被験体において測定する工程を含み、癌被験体と健康被験体とで差次的に発現するポリペプチドが候補癌バイオマーカーである、候補癌バイオマーカーをスクリーニングする方法も含む。
【0110】
上記のスクリーニング方法は任意の癌の候補バイオマーカーをスクリーニングするために用いられ得る。一実施形態において、本方法は、卵巣癌の候補バイオマーカーをスクリーニングするためのものである。別の実施形態において、本方法は、乳癌の候補バイオマーカーをスクリーニングするためのものである。別の実施形態において、本方法は、結腸癌の候補バイオマーカーをスクリーニングするためのものである。別の実施形態において、本方法は、子宮頚癌の候補バイオマーカーをスクリーニングするためのものである。
【実施例】
【0111】
(実施例1:卵巣癌のバイオマーカーの同定)
図1は、卵巣癌を有する被験体と健康な被験体とを区別するために用いることのできる卵巣癌のバイオマーカーを同定するために用いられる新規なスクリーニングアッセイの概略である。図1に示されるように、スクリーニング法のフェーズIの間、卵巣癌を有する被験体と健康被験体との間で差次的に発現するタンパク質を同定するために、RCAイムノアッセイマイクロアレイにより46血清サンプル(18サンプルを卵巣減を有する被験体から得、28サンプルを健康で年齢を適合させたコントロールから得た)中の169タンパク質の発現レベルを測定した。
【0112】
【表1−1】

【0113】
【表1−2】

【0114】
【表1−3】

【0115】
【表1−4】

【0116】
【表1−5】

この169個のタンパク質の集団から、健康な被験体と卵巣癌を有する被験体とで差次的に(分散検定(ANOVA)の分析に基づき0.05未満のp値)発現する35タンパク質を同定した。このデータを表2に規定する。
【0117】
【表2】

表2に規定されたタンパク質(または分析物)は、表1に記載されるタンパク質のフルネームを参照し、および公刊文献を参照して同定することのできる他の名称によっても知られる。表2に規定されたタンパク質の他の名称を同定する1つの方法は、GenBank等の多様なNCBIデータベースを参照することによる。
【0118】
これらの35個のタンパク質を、再発卵巣癌を有する被験体から得られた40個の血清サンプルによるさらなる特性付けのために選択した。35個のタンパク質のこの集団からの10種類のバイオマーカーが、再発卵巣癌を有する被験体と健康な被験体との間でタンパク質発現の最も大きい差を示した。これらの10種類のバイオマーカーを表3に規定する。
【0119】
【表3】

これらの10個のタンパク質のうち、健康な被験体と新しく卵巣癌と診断された被験体との間のみならず、健康な被験体と再発疾病を有する被験体との間も区別する最大の潜在性を示したタンパク質の一部を、50人の被験体の小集団(平均年齢63.4歳のステージIII/IV卵巣癌を有する25人の癌被験体と平均年齢57歳の25人の健康な被験体)に対するサンドイッチ酵素免疫測定法(ELISA)を用いて検定した。元のサンプル集合のELISA試験に基づくと、EGF、TNFaおよびIL−17は癌とコントロール血清サンプルとの間に一貫した区別を提供しなかった。MIF−1は見込みのあるマーカーであるが、ELISAキットは、試験を続けるには確実には利用可能ではなかった。図3に示されるように、4種類のタンパク質がRCAマイクロアレイイムノアッセイとELISAアッセイとの間で完全な相関を示した。これらのサンプルに対して決定された4種類のバイオマーカーの平均濃度を下記の表4に示す。
【0120】
【表4】

上記で特異的なELISA試験を用いて実験的に決定されたように、レプチンの所定のスタンダードは7〜50ng/mlであり;プロラクチンの所定のスタンダードは0〜10pg/mlであり;OPNの所定のスタンダードは0.5〜19pg/mlであり;およびIGF−IIの所定のスタンダードは450〜2500ng/mlである。当業者はバイオマーカーの所定の標準濃度は多様な因子に依存してアッセイ間で異り得ることを理解するだろう。
【0121】
最終集団の4種類のバイオマーカー(レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−II)を、106人の健康な被験体と100人のステージI〜IVの卵巣癌被験体からのサンプルを含んだ206個の血清サンプルを含む盲検試験のアッセイのために選択した。この盲検試験に用いられた被験体の特徴を表5に記載する。これらの4種類のバイオマーカーの発現をELISAにより決定した。
【0122】
【表5】

卵巣癌を有する被験体と健康な被験体とを区別するために、統計的クラスタ分析を実施した。4種類のマーカーのいずれも、従来のバイナリデータセット分析に適合する最小二乗法を用いて正常グループと癌グループを確実に分離することはできなかったが(図4)、4種類のマーカーのペアプロットはこれらグループにおける被験体間の良好な分離を示した(図5)。
【0123】
4種類のバイオマーカーの組み合わせたデータを、サポートベクターマシン(SVM)、K−近傍分類法(k−NN)、分類樹解析、およびスコアに基づく分類システムの4種類の異なる分類により分析して、健康な被験体のサンプルと卵巣癌を有する被験体のサンプルを分類した。サポートベクターマシン(SVM)、K−近傍分類法(k−NN)、分類樹解析、およびスコアに基づく分類システムは階層的クラスタ分析モデルである。
【0124】
図6は、スコアに基づく分類システムの結果を示す。特に、図6はスクリーニングアッセイの段階に参加した206人の被験体に割り当てられたスコアを示す。これらのスコアは下記方法を用いて割り当てた:各マーカーに対して、誤判別の被験体の数を最小化する最善のスプリットポイントを見出した。スプリットポイントはサンプル空間を、1つを健康、もう1つを癌とする2つの空間に分割する。スコア0はその関連する観察が正常な空間に入る場合に被験体に割り当てられ、さもなければ、スコア1が割り当てられる。表6は、上記の4種類のバイオマーカーのそれぞれのスプリットポイントを示す。全体としては、スコアは4種類の異なるマーカーからのこれら割り当てられたスコアの合計として個人に割り当てられる。よって、この例では、そのようなスコアの範囲は[0、4]である。図6は、2よりも大きいか、または2に等しいスコアを有する被験体が癌を有するだろうこと、および1よりも小さいか、または1に等しい被験体が健康であるだろうことを例示する。
【0125】
【表6】

表7は、考慮される全ての4分類方法の10回交差検定(10−fold cross−validation)に基づく分類結果を示す。これらの結果は、全ての分類方法が正常グループと癌グループとをよく区別できることを示した。提案されたスコアに基づく分類方法は、近傍法および分類樹解析よりも良好に機能した。スコア付け方法からの結果はSVMの結果に匹敵する。試験の感度は96%、特異性97%、PPV97%およびNPV96%である。アッセイの「感度」とは、試験が、卵巣癌に罹る個人に陽性の結果をもたらす確率をいう。アッセイの「特異性」とは、試験が、卵巣癌に罹っていない個人に陰性の結果をもたらす確率をいう。アッセイの「陽性予測値」(PPV)は、全ての陽性の結果(すなわち、卵巣癌に罹った患者の陽性のアッセイ結果+卵巣癌に罹っていない患者の陽性のアッセイ結果)に対する真の陽性の結果(すなわち、卵巣癌に罹った患者の陽性のアッセイ結果)の比である。
【0126】
【表7】

最後に、上記のスコアに基づく分類システムを用いて、40個のサンプルのさらなる検証盲検試験を実施した。この方法は、40被験体のうち38被験体を、卵巣癌を有するか、または有さないと正確に分類することができた(1個のサンプルは擬陽性に分類され、別の1個のサンプルは擬陰性に分類された)。
【0127】
表8は、本明細書中に記載されたELISAアッセイにより決定されたように、上記のスクリーニングアッセイ(フェーズIVおよびV)に参加したステージIおよびステージII卵巣癌を有する被験体中における、本明細書中で同定された4種類のバイオマーカー(レプチン、プロラクチン、ODNおよびIGF−II)とバイオマーカーCA125のレベルを要約する。(太字/イタリック体の患者は本明細書中に記載のスクリーニングアッセイのフェーズVに参加した。)
【0128】
【表8−1】

【0129】
【表8−2】

(実施例1に使用された材料と方法)
マイクロアレイの製造:マイクロアレイをSchweitzer et al.,Nat Biotech(2002)20:359にしたがって調製した。要約すれば、スライドガラスを清浄し、3−シアノプロピルトリエトキシシランで誘導体化した。スライドにテフロン(登録商標)マスクを付け、スライドを、サブアレイと呼ばれる0.65cm直径の16ウエルまたは環状分析部位へと分割した(図2)。各マイクロアレイスポットのために液滴(約350pL)を分注する、圧電性チップを備えたPerkin−Elmer SpotArray Enterprise非接触アレイ装置を用いてプリントを行なった。抗体を0.5mg/mLの濃度で、定められた位置に適用した。各チップに、アレイ1、2、3、4、5または6のいずれかの一種類のアレイの16コピーをプリントした(表1を参照)。一組の抗体に各サブアレイに4つ一組のスポットをプリントした。プリント後、光学顕微鏡を用いてチップを検査した。観察された欠けるスポットの割合が5%を超えた場合、そのバッチは不合格で、スライドはすぐに捨てられた。本明細書中に記載の全てのプリント試験について、抗体特徴の100%およびビオチンキャリブレータの>95%がプリントされた。マイクロアッセイチップを、一組の適格な試薬に組み合わせて2つの方法で確認した。第一に、1〜3種類の異なるサイトカインの混合物を高強度シグナルを提供するように調製し、チップ上の14ウエル(各ウエルは検出抗体の全補体までの異なる混合物で処理されている)に適用し、2つのアレイをブランクコントロールとして用いた。チップを展開し、スキャンし、得られたシグナルを特定のアレイの位置マップと比較した。第二に、公知のサンプルマトリックスを用いた指定アレイのすべての分析物の滴定QCを実施した。正常なヒト血清とヘパリン処理した血漿とをうまくアッセイするか、またはアレイのすべての分析物を表す精製組換えサイトカインでスパイクした。次に、スパイクした混合物を、各非スパイクコントロールサンプルの2サブアレイとともに、9,000pg/mL〜37pg/mLのスパイクサイトカイン濃度のスライドのサブアレイに沿って滴定した。データを定量化し、アレイの各分析物に関する滴定曲線を作成して、特徴強度挙動を濃度の関数として調べた。これらをもとに、このデータを用いてアレイ特徴と試薬セットの活性を確認した。
【0130】
RCAマイクロアレイイムノアッセイ:アッセイ前に、スライドを密閉容器中で室温での保存から取り出し、調湿したチャンバー(45〜55%)中に開放した。スライドをSeablock(Pierce Chemical Co.)でブロックし、調湿チャンバー中で、PBSで1時間37℃で1:1に希釈した。ブロッキング溶液の除去後、サンプル適用前に1×PBS/0.5%Brij35で2回洗浄した。4コントロールを、全滴定曲線の4アンカーポイントに対応する特徴濃度を有する各サンプルスライドに含ませた。残りの12サブアレイ上の試験サンプルをアッセイした。次に、20μLの処理サンプルを各サブアレイに適用した。RCAシグナル増幅によりイムノアッセイを実施する基本原則は記載されており(Schweitzer et al.,Nat.Biotechnol.(2002)20:359−65)、本発明者らはその研究で用いられたプロトコールから得られたSOPsを用いている。スライドを、LS200スキャナー(TECAN)を用いてスキャンした。スキャンされた像を、専売権付きソフトウェアを用いて分析した。マイクロアレイスポットの蛍光強度を各特徴とサンプルに関して分析し、得られる平均強度値を決定した。選択されたサイトカインに関する用量反応曲線を調べて、特徴強度がバックグランドよりも上にあることを確認し、増加する分析物濃度とともに増加する強度を示した。
【0131】
RCAマイクロアレイイムノアッセイの被験体集団:RCAマイクロアレイイムノアッセイに関して、86被験体からの血清を検定した。86被験体のうち、28被験体は健康で、60.8歳の平均年齢を有し、58被験体はステージIII/IV卵巣癌を有し、57.1歳の平均年齢を有した。ステージIII/IV卵巣癌を有する58人の患者のうち、18人は新しく診断され、残りの40人は再発した疾患を有する被験体であった。
【0132】
盲検試験(ELISA)の被験体集団:ELISAの検討のために、血清サンプルを、卵巣癌を有する100被験体および106人の健康な/病気のない、または危険性の高い被験体(Yale New Haven Hospital Early Detectionプログラム(HIC10425)の一部として)から集めた。正常なグループは健康な/病気のない66人(アレイ用に送られた28人の健康なサンプルを含む)および危険性の高いと思われる40人の女性からなった。100人の卵巣癌患者のうち、24人の女性がステージI/IIと診断され、76人の女性がステージIII/IV EOCと診断された。このグループに入るのは18個の新しく診断されたOVCAサンプルである。健康な/病気のないグループの血清は、癌腫の存在に関してベースライン値または「正常範囲」とした。
【0133】
血清の採取:10mlの血液を集め、1500rpmで10分間遠心し、血清を、さらに使用するまでOB/GYN組織バンクに−80℃で保存した。血液サンプルの採取、調製および保存は、NCI Intergroup Specimen Banking Committeeにより示されたガイドラインを利用して行なった。この研究への参加の同意は有資格者によって得られた。分析前、血清を一旦解凍し、8(25〜50μl)アリコートを−80℃で保存して、不必要な凍結と解凍から守った。
【0134】
ELISAアッセイ:レプチン、プロラクチンおよびIGF−IIキットをテキサス州ウエブスターのDiagnostic Systems Laboratories,Inc.から購入し、OPN(オステオポンチン)はAssay Designs,Inc.(ミシガン州アナーバー)から購入した。アッセイをキットの使用説明書にしたがって実施し、結果は、各アッセイの適当な補正を行ない、405nMの二波長に設定されたSpectra Max M2マイクロプレートリーダー(Molecular Devices、カリフォルニア州サニーベール)を用いて読んだ。3つの分類(サポートベクターマシン(SVM)、K−近傍分類法(k−NN)および分類樹解析)を使用して結果を分析した(卵巣癌患者から健康な/病気のない被験体を区別した)。
【0135】
統計的分析:SASのGLM操作を用いて、卵巣癌を有する被験体と健康な被験体との間でRCAマイクロアレイイムノアッセイにより検出されたタンパク質発現の違いの有意性を調べるために分散分析(ANOVA)を用いた。報告された効果量は、グループ内で標準偏差により標準化した、2グループ間の平均の違いを測定し、サンプルサイズとは独立する:
効果量=(平均_グループ1−平均_グループ2)/標準_グループ1_グループ2。
【0136】
効果量は、特定の変数の予測能力と直接的な関連を有する。表9は効果量(列1)の確率(列2)への変換を示す。表9に示す例は効果量と予測能力との関係を示すことを目的とする。例えば、2グループ間に観察された0.3の効果量では、それらグループを正確に同定する確率は0.56である。1の効果量では、確率は0.69まで増加する。
【0137】
【表9】

正常な/危険性の高い被験体と卵巣癌患者とを区別するために、患者血清から得られた4種類のタンパク質発現マーカーの統計的クラスタ分析を実施した。一般的な3種類の分類方法(サポートベクターマシン(SVM)、K−近傍分類法(k−NN)および分類樹解析(Hastie等、2001年))を用いた。分類の正確性を評価するために10回交差検定を用いた。
【0138】
これらの3分類方法に加えて、さらに生物学的に説明できるスコアに基づく分類方法を用いた。スコアに基づく分類システムは下記のように実施することができる:(i)各マーカーに関して、誤判別の被験体の数を最小化する最善のスプリットポイントを見出す。スプリットポイントはサンプル空間を、1つを正常、もう1つを癌とする2つの空間に分割する。スコア0はその関連する観察が正常な空間に入る場合に被験体に割り当てられ、さもなければ、スコア1が割り当てられる。(ii)全体としては、スコアはm個の異なるマーカーからのこれら割り当てられたスコアの合計として被験体に割り当てられる。したがって、そのようなスコアの範囲は0とmとの間にある。(iii)所与の閾値(t)を用いて所与の被験体に関する病気の状態を予測する。例えば、tと等しいか、またはそれよりも小さい全スコアを有する所与の被験体は正常な状態を有すると予測されるが、tよりも高いスコアを有する被験体は病気を有すると診断される。
【0139】
記載されたスコアに基づく分類システムに関連して記載した「スプリットポイント(split point)」は下記の通り規定してよい:2つの群に分類されたn個のサンプルが存在するとする。各マーカーXに関して、x_1、x_2、…、x_nが観察された測定値であるとする。本発明者らは、(n−1)スプリットポイントy_1、y_2、…、y_(n−1)(ここで、k=1、2、…、n−1なのでy_k=0.5*(x_k+x_(k+1))をスクリーニングする。各スプリットポイントy_kに関して、第一および第二グループにおけるy_kよりもそれぞれ小さいa_1およびa_2の観察測定値が存在する;そして第一および第二グループにおけるy_kよりもそれぞれ大きいb_1およびb_2の観察測定値が存在する。y_kの左と右側が第一および第二集団にそれぞれ割り当てられる場合、a_2およびb_1の誤判別サンプルが存在する。y_kの左側と右側がそれぞれ第二と第一グループに割り当てられる場合、a_1およびb_2の誤判別サンプルが存在する。本発明者らは誤判別サンプルの数を最小化する割り当てを選択する。
【0140】
(考察)
卵巣癌は、血清腫瘍マーカー等の非侵襲性アプローチを利用した疾患のモニタリングと初期検出を魅力のある考えとする腹腔内非可触性の「比較的無症候性」の疾患である。初期検出のために十分な感度のある単純で、信頼性があり、再現可能で迅速なスクリーニング方法が、卵巣癌の進行の高い危険性のある無症候性女性における前癌状態変化や初期段階の卵巣癌の正確な検出能を向上させるために必要とされる。許容できるためには、初期検出のスクリーニング方法は最低99.6%の特異性を達成しなければならず、それゆえに、単一の分析物試験はそのように特異的ではないと思われるため、組合された試験法の必要性を達成しなければならないことが示唆されてきた。実際、卵巣癌の希少性を鑑みて、バイオマーカースクリーニング試験が分類の唯一の手段として用いられると、非常に低いレベルの擬陽性分類が、潜在的に卵巣癌患者と間違って分類される多数の女性をもたらすだろう。本発明者らは、分析物の組合せに対する最初の血清スクリーニングとそれに続く経膣超音波および乳房撮影または赤外線胸部画像化が十分に低い擬陽性率を提供して、検出可能な骨盤内腫瘤を有する個人に対するその後の腹腔鏡手術の十分な根拠を示し、診断アッセイの結果の正当性を立証しなければならないと主張する。このアプローチは、CA125と経膣超音波の組合せがかなりの割合の臨床前卵巣癌を検出した研究の結果により支持されている(Jacobs,Mol Cell Proteomics 3(4):355−366(2004))。
【0141】
血清バイオマーカーを同定する1つのアプローチは、健康な/危険性の高い被験体と癌被験体とを正確に区別する可能性を持ったバイオマーカーで、さらに初期のステージIおよびII卵巣癌を検出する感度も有するバイオマーカーを同定する高性能マイクロアレイ分析による多血清タンパク質のスクリーニング法に基づいたものであった。マイクロアレイ結果に基づいて、見込みのある一部のバイオマーカーをELISAによるさらなる分析のために選択した。マイクロアレイデータに基づいて選択されたバイオマーカーのうち4種類がELISA分析を用いる初期検出と高レベルの感度/特異性に有用であることが確認された。バイオマーカーの利用性の最初の立証は高い特異性と感度が求められる場合に多くの分析を必要としない。アッセイを実施する技術者の管理下にあるELISAの品質管理がいったん確立されれば、15〜20の正常および患者サンプルの分析に基づいてバイオマーカーを削除することができる。感度/特異性、スプリットポイントおよび組合せ方法を決定するために、統計的技術(例えば、SVM、k−NNおよび樹(Tree))の応用のために多くのサンプルの分析が必要とされる。各バイオマーカーが組合せアッセイに寄与するだろうという寄与を実証した後、各バイオマーカーのスプリットポイントを定め、2つ以上のマーカーの組合せの利用性を統計的に検討する。スプリットポイントを用いて、各バイオマーカーの状態を二元的な結果(正常レベル 対 異常レベル)として割り当てる。異常と分類されたバイオマーカーの数を用いて個人を、癌を有するか、または有さないと定める;この場合、異常な3または4種類のバイオマーカーを有する個人は卵巣癌を有すると分類されるが、異常な2種類以下のバイオマーカーを有する被験体は癌を有さないと分類される。個々の分析物としてのバイオマーカーは十分な感度と特異性を有さないかもしれなく、むしろ、バイオマーカーの組合せが診断試験のために必要であろう。
【0142】
(実施例2:乳癌および結腸癌を診断するための、卵巣癌患者で同定されたバイオマーカーの使用)
いくつかのサンプルを分析して、上記で同定されたバイオマーカー(レプチン、プロラクチン、OPNおよびIGF−II)が他の種類の癌で異なって発現されるかどうかを決定した。表9に示される結果は、上記で同定されたバイオマーカーが、乳癌や結腸癌等の他の種類の癌を診断するために用いることができることを示す。
【0143】
表10に示されるように、癌を有する被験体に対応するサンプルは、所定のスタンダードと比較した場合の2種類以上のバイオマーカーの差異発現によって健康な被験体のサンプルから区別できるだろう。表10において、イタリック体および太字で示された発現レベルは該バイオマーカーの所定のスタンダードの外側の発現レベルに対応する。
【0144】
【表10】

参考文献の援用:本明細書中に引用した全ての刊行物は、本出願が関連する分野をさらに十分に説明するために全体にわたって参考として援用される。
【0145】
等価物:当業者は、単に日常的な実験を用いて、本明細書中に記載の発明の特定の実施形態の多くの等価物を認識するだろうし、確定することができるだろう。そのような等価物は下記の請求の範囲に含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
候補癌バイオマーカーをスクリーニングする方法であって、以下:
(a)癌に潜在的に関連する一群のバイオマーカーを同定する工程;
(b)工程(a)で同定されたバイオマーカーの発現のレベルを、癌被験体の第1集団および健康な被験体と比較する工程;
(c)癌被験体の該第1集団において発現の有意差を示すバイオマーカーを選択する工程;
(d)工程(c)で同定されたバイオマーカーの発現のレベルを、癌被験体の第2集団および健康な被験体と比較する工程;および
(e)癌被験体の該第2集団において発現の有意差を示すバイオマーカーを選択する工程を含み;
ここで、工程(e)で同定されたバイオマーカーが候補バイオマーカーである、方法。
【請求項2】
癌被験体の前記第1集団が新しく診断された癌を有し、かつ癌被験体の前記第2集団が再発癌を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
癌被験体の前記第1集団が後期癌を有し、かつ癌被験体の前記第2集団が初期癌を有するかまたは;
癌患者の該第1集団が初期癌を有し、かつ癌被験体の該第2集団がより後期の癌を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、以下:
(f)工程(e)で同定されたバイオマーカーの発現のレベルを、癌被験体の第3集団および健康な被験体と比較する工程であって、ここで該バイオマーカーの発現を請求項1に用いられたものとは異なるアッセイフォーマットを用いて検出される工程;および
(g)癌被験体の該第3集団において発現の有意差を示すバイオマーカーを選択する工程;
をさらに含み、
ここで、工程(g)で同定されたバイオマーカーが癌に対する候補バイオマーカーである、方法。
【請求項5】
工程(e)で同定されたバイオマーカーが、盲検試験で癌被験体と健康被験体とを区別するかどうかを決定する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程(g)で同定されたバイオマーカーが、盲検試験で癌被験体と健康被験体とを区別するかどうかを決定する工程をさらに含む、請求項4に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−281836(P2010−281836A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201477(P2010−201477)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【分割の表示】特願2006−554099(P2006−554099)の分割
【原出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(392019352)イェール ユニバーシティー (38)
【氏名又は名称原語表記】YALE UNIVERSITY
【Fターム(参考)】