説明

ヘアキャッチャー

【課題】排水の流れを利用して良好に中央部に髪の毛等のゴミを集めることのできるヘアキャッチャーを提供する。
【解決手段】排水口に着脱可能に取り付けられるヘアキャッチャー5であって、ヘアキャッチャー5は平面視が円形状をなし、円周部6付近を頂点として下傾し円周部6中央下方付近の斜面接線部9で交わる第1傾斜平面7と第2傾斜平面8と、円周部6から逆円錐台状に下傾し第1傾斜平面7および第2傾斜平面8の外縁7a,8aと交わる逆円錐台曲面10からなる斜面を備え、それぞれの斜面には多数の排水用孔11,12,13が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水口に着脱可能に取り付けられるヘアキャッチャーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、排水口に着脱可能に取り付けられるヘアキャッチャーとして、例えば特許文献1に開示されているように、長い傾斜面と短い傾斜面とで略逆ヘの字状の断面形状に形成されたものがある。
【特許文献1】特開2002−13176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のような形状のヘアキャッチャーでは、曲面が存在しないために、髪の毛等のゴミを良好に中央部に集め難いという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、髪の毛等のゴミを良好に中央部に集めることのできるヘアキャッチャーを提供するものであり、その請求項1は、排水口に着脱可能に取り付けられるヘアキャッチャーであって、該ヘアキャッチャーは平面視が円形状をなし、円周部付近を頂点として下傾し該円周部中央下方付近で交わる複数の平面状の斜面と、前記円周部から逆円錐台状に下傾し前記複数の平面状の斜面の外縁と交わる逆円錐台曲面からなる斜面とからなり、それぞれの斜面に多数の排水用孔が形成されていることである。
【0005】
また請求項2は、前記排水用孔は、上面側から下面側へ向かって拡径した断面略ハ字状に開口されていることである。
【0006】
また請求項3は、前記複数の平面状の斜面が2つで構成されていることである。
【0007】
また請求項4は、前記2つの平面状の斜面の交線を前記逆円錐台曲面に沿って延長させた位置に、溝部を形成させたことである。
【0008】
また請求項5は、前記平面状斜面の交線部および/または前記溝部に、着脱可能なゴミ取り具を設けたことである。
【0009】
また請求項6は、前記逆円錐台曲面の前記交線部端部の近傍部分には、前記排水用孔が存在しないことである。
【0010】
また請求項7は、前記斜面の円周部中央下方付近の前記排水用孔の開口面積が、上方の排水用孔の開口面積よりも小さいことである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、排水口に着脱可能に取り付けられるヘアキャッチャーであって、該ヘアキャッチャーは平面視が円形状をなし、円周部付近を頂点として下傾し該円周部中央下方付近で交わる複数の平面状の斜面と、前記円周部から逆円錐台状に下傾し前記複数の平面状の斜面の外縁と交わる逆円錐台曲面からなる斜面とからなり、それぞれの斜面に多数の排水用孔が形成されていることにより、接線方向から流れてきた排水を逆円錐台曲面からなる斜面で旋回させて加速させ、複数の平面状の斜面に沿って下側へ流すことで、髪の毛等のゴミを凹部の中央付近に良好に集めることができるものとなる。
【0012】
また、前記排水用孔は、上面側から下面側へ向かって拡径した断面略ハ字状に開口されていることにより、排水用孔の下部側が広がっているため、ゴミが排水用孔に堆積し難く、そのため汚れ難く、掃除し易いヘアキャッチャーとなる。
【0013】
また、前記複数の平面状の斜面が2つで構成されていることにより、平面状の斜面の数が2つであるため、凹部の容積を最大にすることができて、排水能力が向上するものとなる。
【0014】
また、前記2つの平面状の斜面の交線を前記逆円錐台曲面に沿って延長させた位置に、溝部を形成させたことにより、楊枝等の尖ったものの先端を溝部に沿って上方から下方側へ移動させてゆき、中央部に集められた髪の毛等のゴミを爪楊枝等で良好に取り去ることができ、爪楊枝等を用いてヘアキャッチャーに手を触れることなく、良好にヘアキャッチャーのゴミを取ることができるものとなる。
【0015】
また、前記平面状斜面の交線部および/または前記溝部に、着脱可能なゴミ取り具を設けたことにより、楊枝等を用意しなくても、ヘアキャッチャーに触れることなく、ゴミ取り具でゴミを良好に取ることができ、衛生的に処理できるものとなる。
【0016】
また、前記逆円錐台曲面の前記交線部端部の近傍部分には、前記排水用孔が存在しないことにより、逆円錐台曲面の下部部位から排水が流れ出ることがないため、髪の毛等が外側へ流れてゆくことがなく、良好に髪の毛等を中央部に集めて捕集することができるものとなる。
【0017】
また、前記斜面の円周部中央下方付近の前記排水用孔の開口面積が、上方の排水用孔の開口面積よりも小さいことにより、排水がヘアキャッチャーの中央部では流れ難くなり、髪の毛等が流れ出てゆくことを防ぐことができ、髪の毛等のゴミを中央部で一旦浮かせるようにして、良好に中央部に集めることができるものとなる。
【実施例】
【0018】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、浴室の概略斜視構成図であり、浴室1内の浴槽2の近傍の洗い場3には排水枡部4が凹み状に形成されており、この排水枡部4の排水口4aには、図2に拡大して示すように、着脱可能にヘアキャッチャー5が取り付けられている。
このヘアキャッチャー5は、図3に斜視図で、図4に平面図で、また図5に図4のA方向矢視図で、また図6にB方向矢視図で示すような構造となっている。
【0019】
即ち、ヘアキャッチャー5は、平面視が円形状をなし、円形リング状の円周部6の内側に、下方側へ凹ませて凹部5aが形成されており、この凹部5aは、第1傾斜平面7と、第2傾斜平面8と、逆円錐台曲面10,10で構成されている。
第1傾斜平面7と第2傾斜平面8は、対向状にそれぞれ円周部6付近を頂点として中央側へ下傾し、円周部6の中央部の下方の斜面交線部9で交わっている。
また、逆円錐台曲面10,10は、円周部6から逆円錐台状に下傾し、第1傾斜平面7および第2傾斜平面8の外縁7a,8aと交わっている。
【0020】
なお、第1傾斜平面7および第2傾斜平面8には、それぞれ四角形状の排水用孔が多数貫通形成されているが、円周部6に近い上半分は開口面積が大な大径排水用孔11,11,11となっており、斜面交線部9に近い下半分は開口面積が小の小径排水用孔12,12,12となっている。
また、逆円錐台曲面10にも多数の円形状の排水用孔13,13,13が貫通形成されている。なお、この逆円錐台曲面10の下部の斜面交線部9の延長線上の部分は排水用孔13の存在しない孔無し部10aとなっている。
なお、排水用孔11,12,13の貫通する角度は図示の角度に限らない。
【0021】
なお、大径排水用孔11および小径排水用孔12は、図7の断面拡大図で示すように、上面側から下面側へ向かって拡径した拡径斜面11aを有する断面略ハ字状に開口されたものである。
なお、このヘアキャッチャー5には、指で摘むことのできる取手14が一体形成されており、取手14を指で摘んで取り外すことができるものである。
【0022】
このような構成のヘアキャッチャー5では、第1傾斜平面7と第2傾斜平面8の2枚の平面が中央部で交わる形状であるため、円周部6から斜面交線部9に至る深さを最も深くすることができ、第1傾斜平面7および第2傾斜平面8の傾斜角度を急角度にして、排水の流れを良好化することができる。
なお、円周部6の接線方向から流れてくる排水を逆円錐台曲面10に沿わせて旋回させ、排水を加速させて、第1傾斜平面7および第2傾斜平面8の上方側より下方に向かって排水を斜面交線部9に良好に集めることができ、この排水の流れにより斜面交線部9上に髪の毛等のゴミを良好に集めることができるものとなる。しかも、この部分の逆円錐台曲面10には孔無し部10aが形成されており、斜面交線部9付近の排水用孔は小径排水用孔12であるため、この傾斜接線部9の上方付近では排水性能があえて低く設定されているため、この斜面交線部9の上方付近で髪の毛,ゴミが排水で一旦浮き上がり、良好に髪の毛,ゴミをこの斜面交線部9上に集めることができるものとなる。
【0023】
また、髪の毛等のゴミは、孔無し部10aにより外側へ流れ出ることがない。そのため、髪の毛等のゴミは、良好に斜面交線部9上に集められるため、取手14を手で持ってヘアキャッチャー5を引き上げて裏返しにすることで、中央部に集められた髪の毛等のゴミを一振りで良好にヘアキャッチャー5から取り除くことができるものとなる。
なお、各排水用孔11,12は断面ハ字状に開口されているため、排水用孔11,12にゴミが堆積し難く汚れ難いものとなり、また掃除もし易いものとなる。
【0024】
なお、図8は変更例を示すものであり、図8の斜視図で示すヘアキャッチャー5は、円周部6付近を頂点として下傾し円周部6の中央下部の交差底点9aで交わる4枚の第1傾斜平面7,第2傾斜平面8,第3傾斜平面15,第4傾斜平面16と、円周部6から逆円錐台状に下傾し4枚の傾斜平面7,8,15,16の外縁と交わる逆円錐台曲面10からなる凹部5aを備えたものであり、各傾斜平面7,8,15,16および逆円錐台曲面10には、それぞれ図示しないが図3と同様な排水用孔11,12,13が多数形成されたものである。
【0025】
更に、図9に示す変更例のヘアキャッチャー5は、3枚の第1傾斜平面7,第2傾斜平面8,第3傾斜平面15を有し、3枚の傾斜平面7,8,15が円周部6の中央下部の交差底点9aで交わり、円周部6を頂点として下傾された逆円錐台曲面10が3枚の傾斜平面7,8,15の外縁と交わるように形成したものである。
このような図8および図9に示すようなヘアキャッチャー5においても、排水は逆円錐台曲面10に沿って旋回されて各傾斜平面7,8,15,16の上端側から下方側へ向かって流下し、交差底点9aの上方に良好に髪の毛等のゴミを集めることができるものである。
【0026】
更に、図10の変更例で示すヘアキャッチャー5は、円周部6付近を頂点として対向状に下傾する外側の第1傾斜平面7,第2傾斜平面8に連続して、中央部に第3傾斜平面15と第4傾斜平面16が対向状に下傾して設けられ、第3傾斜平面15と第4傾斜平面16との交わる斜面交線部9が中央底部に形成されたものであり、各傾斜平面7,8,15,16の外縁と交わる逆円錐台曲面10が円周部6から下傾状に形成されたものであり、この逆円錐台曲面10に沿って排水を旋回させて、排水とともに髪の毛等のゴミを中央部の斜面交線部9上に良好に集めることができるものである。
【0027】
次に、図11の斜視図で示すヘアキャッチャー5は、取手14の位置が変更され、その他の構成部分は図3のものと同一であるため重複説明は省略するが、この図11のヘアキャッチャー5には、斜面交線部9が溝状に形成され、この斜面交線部9の延長線上の逆円錐台曲面10に、上下方向のゴミ取りガイド用の溝部17が溝状に形成され、この溝部17は、取手14まで延長して凹み状に形成されている。
このような溝部17を一体形成させておけば、この溝部17に楊枝等の先の尖ったものを差し込んで、楊枝等を溝部17に沿って上方側から下方側へ移動させることで、斜面交線部9上に溜まった髪の毛等を良好に楊枝等で取ることができるものとなる。
【0028】
なお、図11に示すように、この溝部17および斜面交線部9に、別体のゴミ取り具18を嵌め込んで取り付けておくこともでき、このゴミ取り具18は、図12の取り付け状態の断面構成図で示すように、指で摘むことのできる握り部18aを取手14の外側に配置させておくことができ、握り部18aから略水平に延出片18bが形成され、その先端で垂下する垂下片18cが形成され、更に垂下片18cから傾斜状に傾斜片18dが形成されて、更に傾斜片18dの下端から略水平に延びる水平片18eが形成されたものであり、水平片18eを斜面交線部9に嵌め込み、傾斜片18dを溝部17に嵌め込んで良好に取り付けておくことができる。
なお、握り部18aを手で持ってゴミ取り具18を上方へ持ち上げることで、斜面交線部9上に集められた髪の毛等のゴミを良好に水平片18e,傾斜片18dによりヘアキャッチャー5から取り上げることができ、ヘアキャッチャー5に手を触れることなく衛生的に髪の毛等のゴミを取り去ることができるものとなる。
【0029】
なお、図13に分解斜視図で示すものは、ゴミ取り具18を変更したものであり、図13のゴミ取り具18は、水平片18eの存在しない傾斜片18dのみが備えられたものであり、この傾斜片18dが嵌まり込む溝部17が、斜面交線部9には形成されず、斜面交線部9の延長線上の逆円錐台曲面10に凹み状に形成されている。
【0030】
図14に示すように、ゴミ取り具18の傾斜片18dを溝部17に嵌め込んで取り付けておくことができ、斜面交線部9上に髪の毛等のゴミが集められた状態で、このゴミ取り具18を手で持って取り外し、良好にゴミ取り具の傾斜片18dで髪の毛等をすくい上げて取り除くことができるものであり、ヘアキャッチャー5に手を触れることなく、衛生的に髪の毛等のゴミを取り去ることができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】浴室の概略斜視図である。
【図2】排水枡部に取り付けられたヘアキャッチャーの拡大構成図である。
【図3】ヘアキャッチャーの斜視構成図である。
【図4】図3のヘアキャッチャーの平面構成図である。
【図5】図4のA方向矢視図である。
【図6】図4のB方向矢視図である。
【図7】ヘアキャッチャーの排水用孔の断面拡大構成図である。
【図8】ヘアキャッチャーの変更例を示し、4面の傾斜平面で構成されるヘアキャッチャーの斜視図である。
【図9】更に異なるヘアキャッチャーを示し、3面の傾斜平面で構成されるヘアキャッチャーの斜視図である。
【図10】更に異なるヘアキャッチャーを示し、4面の傾斜平面で構成されるヘアキャッチャーの斜視図である。
【図11】ヘアキャッチャーにゴミ取り具を取り付ける前の分解斜視図である。
【図12】ゴミ取り具を取り付けた状態の縦断面構成図である。
【図13】ゴミ取り具の変更例を示し、ゴミ取り具を取り付ける前のヘアキャッチャーの分解斜視図である。
【図14】ゴミ取り具を取り付けた状態のヘアキャッチャーの縦断面構成図である。
【符号の説明】
【0032】
1 浴室
3 洗い場
4 排水枡部
4a 排水口
5 ヘアキャッチャー
5a 凹部
6 円周部
7 第1傾斜平面
8 第2傾斜平面
7a,8a 外縁
9 斜面交線部
9a 交差底点
10 逆円錐台曲面
10a 孔無し部
11 大径排水用孔
11a 拡径斜面
12 小径排水用孔
13 排水用孔
14 取手
15 第3傾斜平面
16 第4傾斜平面
17 溝部
18 ゴミ取り具
18a 握り部
18d 傾斜片
18e 水平片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水口に着脱可能に取り付けられるヘアキャッチャーであって、
該ヘアキャッチャーは平面視が円形状をなし、
円周部付近を頂点として下傾し該円周部中央下方付近で交わる複数の平面状の斜面と、前記円周部から逆円錐台状に下傾し前記複数の平面状の斜面の外縁と交わる逆円錐台曲面からなる斜面とからなり、
それぞれの斜面に多数の排水用孔が形成されていることを特徴とするヘアキャッチャー。
【請求項2】
前記排水用孔は、上面側から下面側へ向かって拡径した断面略ハ字状に開口されていることを特徴とする請求項1に記載のヘアキャッチャー。
【請求項3】
前記複数の平面状の斜面が2つで構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のヘアキャッチャー。
【請求項4】
前記2つの平面状の斜面の交線を前記逆円錐台曲面に沿って延長させた位置に、溝部を形成させたことを特徴とする請求項3に記載のヘアキャッチャー。
【請求項5】
前記平面状斜面の交線部および/または前記溝部に、着脱可能なゴミ取り具を設けたことを特徴とする請求項4に記載のヘアキャッチャー。
【請求項6】
前記逆円錐台曲面の前記交線部端部の近傍部分には、前記排水用孔が存在しないことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載のヘアキャッチャー。
【請求項7】
前記斜面の円周部中央下方付近の前記排水用孔の開口面積が、上方の排水用孔の開口面積よりも小さいことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載のヘアキャッチャー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−182711(P2007−182711A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−1910(P2006−1910)
【出願日】平成18年1月6日(2006.1.6)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】