ヘアセット装置
【課題】毛髪が所望の形状と異なる形状にセットさせることを低減できるヘアセット装置を提供する。
【解決手段】ヘアセット装置1は、毛髪Hを挟む一対の挟み部材2,3と、挟み部材2に設けられ超音波振動を発生させる振動子を有する振動部5と、挟み部材3に振動部5と対向するように設けられ振動部5との間に毛髪Hを挟む受け部6とを備えた。また、挟み部材2,3における振動部5及び受け部6の毛髪の長さ方向側に、互いに対向する振動部側押さえ部9と受け部側押さえ部12とを設けた。そして、受け部6の毛髪の挟み方向の弾性係数と、受け部側押さえ部12の毛髪の挟み方向の弾性係数とが同一になるように構成した。
【解決手段】ヘアセット装置1は、毛髪Hを挟む一対の挟み部材2,3と、挟み部材2に設けられ超音波振動を発生させる振動子を有する振動部5と、挟み部材3に振動部5と対向するように設けられ振動部5との間に毛髪Hを挟む受け部6とを備えた。また、挟み部材2,3における振動部5及び受け部6の毛髪の長さ方向側に、互いに対向する振動部側押さえ部9と受け部側押さえ部12とを設けた。そして、受け部6の毛髪の挟み方向の弾性係数と、受け部側押さえ部12の毛髪の挟み方向の弾性係数とが同一になるように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪に超音波振動を伝達することで、毛髪をストレートにする等の処理を施すヘアセット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、毛髪を挟む一対の挟み部材と、挟み部材の何れか一方に設けられ超音波振動を発生させる振動子を有する振動部と、挟み部材の何れか他方に振動部と対向するように設けられる受け部と備え、振動部と受け部との間に毛髪を挟んで超音波振動を伝達し、毛髪をストレートにする等の処理を施すヘアセット装置がある。例えば、特許文献1に記載のヘアセット装置では、挟み部材における振動部及び受け部の毛髪の長さ方向側に、互いに対向する振動部側押さえ部と受け部側押さえ部を設け、毛髪の横広がりを防止したヘアセット装置が開示されている。
【特許文献1】特開2006−334109(段落[0025]〜[0027],第7図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、一般に、受け部における毛髪と接触する接触部は発泡性材料(例えば、発泡ウレタン等)により構成されているため、外力により変形し易い。従って、毛髪を挟むことで受け部が大きく変形するため、受け部と該受け部側の押さえ部との間に、毛髪の挟み方向に段差が生じてしまい、毛髪が所望の形状と異なる形状にセットされてしまう虞があった。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、毛髪が所望の形状と異なる形状にセットされることを低減できるヘアセット装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、毛髪を挟む一対の挟み部材と、前記挟み部材の何れか一方に設けられ、超音波振動を発生させる振動子を有する振動部と、前記挟み部材の何れか他方に前記振動部と対向するように設けられ、前記振動部との間に前記毛髪を挟む受け部とを備え、前記振動部及び前記受け部の前記毛髪の長さ方向側には、互いに対向する振動部側押さえ部と受け部側押さえ部とが設けられたヘアセット装置であって、前記受け部の弾性係数と、前記受け部側押さえ部の弾性係数とが同一であることを要旨とする。
【0006】
上記構成によれば、受け部の弾性係数と受け部側押さえ部の弾性係数とが同一であるため、振動部と受け部との間に毛髪を挟んだ場合に、受け部の変形量(圧縮量)と受け部側押さえ部の変形量との差が発生し難くなる。従って、受け部と受け部側押さえ部との間での毛髪の挟み方向の段差を小さくすることが可能になり、毛髪が所望の形状と異なる形状にセットされることを低減できる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のヘアセット装置において、前記受け部と前記受け部側押さえ部とは、同一材料からなるとともに、同一の厚みを有するように構成されたことを要旨とする。
【0008】
上記構成によれば、受け部と受け部側押さえ部とは、同一材料からなるとともに同一の厚みに構成されるため、それぞれの経年変化(例えば、使用による摩耗など)の違いによって、受け部と受け部側押さえ部との間に毛髪の挟み方向の段差が生じることを防止できる。これにより、長期に亘って毛髪が所望の形状と異なる形状にセットされることを防止できる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のヘアセット装置において、前記受け部側押さえ部と前記振動部側押さえ部との各対向面の前記毛髪に対する摩擦係数が同一であることを要旨とする。
【0010】
振動部側押さえ部及び受け部側押さえ部を設けることで、毛髪はこれら押さえ部の各対向面から摩擦を受ける。このとき、毛髪は、それぞれの対向面から受ける摩擦力が異なると、ヘアセット後に強い摩擦力を受けた側にカールしまう虞がある。この点、上記構成によれば、振動部側押さえ部及び受け部側押さえ部の各対向面での摩擦係数が同じであるため、毛髪が各対向面から受ける摩擦力を等しくすることができ、ヘアセット後に毛髪がカールすることを防止できる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のうちの何れか一項に記載のヘアセット装置において、前記振動部側押さえ部及び前記受け部側押さえ部の何れか一方における前記毛髪の幅方向両側には、前記毛髪の挟み方向に突出した第1ガイド部が設けられたことを要旨とする。
【0012】
上記構成によれば、第1ガイド部によって、受け部側押さえ部及び振動部側押さえ部との間に挟まれた毛髪が、その幅方向外側にはみ出ることが防止されるため、振動部(受け部)への確実な毛髪導入が可能になり、処理が施されない毛髪を低減することができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のヘアセット装置において、前記第1ガイド部は、前記振動部側での間隔が前記挟み部材における前記毛髪の長さ方向端部側での間隔よりも狭くなるように配置されたことを要旨とする。
【0014】
上記構成によれば、毛髪は、第1ガイド部によって毛髪の幅方向内側の力が作用した状態で振動部(受け部)に導入されるため、振動部で超音波振動を受ける毛髪がその幅方向外側に広がることを防止できる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のうちの何れか一項に記載のヘアセット装置において、前記挟み部材には、前記振動部側押さえ部及び前記受け部側押さえ部の何れか一方の前記毛髪の長さ方向外側に、前記毛髪の挟み方向に突出するコーム部が前記毛髪の幅方向に配列され、前記へアセット装置の移動方向側に設けられた前記コーム部の前記毛髪の長さ方向外側には、前記毛髪の幅方向に間隔を空けて配置される第2ガイド部が前記毛髪の挟み方向に突出して設けられたことを要旨とする。
【0016】
上記構成によれば、毛髪が第2ガイド部によってコーム部に案内されるため、確実にコーム部にて毛髪が梳かれる。そして、コーム部から振動部に導入されることで、毛髪の処理ムラをなくすことができる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のうちの何れか一項に記載のヘアセット装置において、前記振動部の弾性係数と、前記振動部側押さえ部の弾性係数とが同一であることを要旨とする。
【0018】
上記構成によれば、振動部の弾性係数と振動部側押さえ部の弾性係数とが同一であるため、振動部と受け部との間に毛髪を挟んだ場合に、受け部の変形量と受け部側押さえ部の変形量との差がさらに発生し難くなる。そのため、受け部と受け部側押さえ部との間での毛髪の挟み方向の段差をなくすことが可能になり、毛髪が所望の形状と異なる形状にセットさせることをより低減できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、毛髪が所望の形状と異なる形状にセットさせることを低減可能なヘアセット装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、ヘアセット装置1の一対の挟み部材2,3は、略直方体形状に形成されるとともに、長手方向の基端側(図1における左側)がヒンジ部4により連結されることで、先端側(図1における右側)が開閉自在とされている。一方の挟み部材2(図1における上側)の先端部には、振動部5が設けられるとともに、他方の挟み部材3(図1における下側)の振動部5と対向する部分には、受け部6が設けられている。挟み部材2,3が閉じられた状態で、振動部5と受け部6とは略重ね合わせられ、これら振動部5と受け部6との間に毛髪H(図4参照)が挟まれるようになっている。なお、図1において振動部5と受け部6とで挟まれる毛髪の長さ方向は、紙面に対して垂直な方向である。
【0021】
図1及び図2に示すように、振動部5は、超音波振動を発生する振動子7と、振動子7の振動を増幅して毛髪Hに伝達するホーン部8と備えている。図2に示すように、挟み部材2には、ホーン部8(振動部5)の毛髪の長さ方向(図2における左右方向)両側に、それぞれ振動部側押さえ部9が設けられている。また、挟み部材2には、各振動部側押さえ部9における毛髪の長さ方向外側(挟み部材2における毛髪の長さ方向両端部)に、毛髪の挟み方向(図2における紙面直交方向)に突出するコーム部11が形成されている。なお、コーム部11は、振動部5と受け部6とに挟まれた毛髪Hの束が広がる方向(以下毛髪の幅方向という、図2における上下方向)に配列されている。
【0022】
図3に示すように、挟み部材3には、受け部6の毛髪の長さ方向(図3における左右方向)両側に、各振動部側押さえ部9と対向し、その間で毛髪Hを押さえる受け部側押さえ部12がそれぞれ設けられている。本実施形態では、受け部6及び各受け部側押さえ部12は、挟み部材3の挟み部材2との対向面よりも突出して設けられている。ヘアセット装置1は、これら振動部側押さえ部9と受け部側押さえ部12とによって、毛髪Hを押さえることで毛髪Hの横広がりを防止するようになっている。
【0023】
なお、図1に示すように、振動子7は、図示しない電源部に電力が供給されることで超音波振動が発生するようになっている。振動子7は、挟み部材2に内蔵された駆動回路13を介して制御回路14に接続され、その作動が制御されるようになっている。本実施形態では、制御回路14は、駆動回路13を制御することで、振動子7に周波数30kHz〜2MHz、電力密度0.1〜5.0W/cm2の条件で超音波振動を発生させる。
【0024】
そして、図4に示すように、ヘアセット装置1は、振動部5と受け部6とで毛髪Hを挟み込んで、毛髪Hに超音波振動を与えることで、毛髪Hに処理を行う。本実施形態では、ヘアセット装置1は振動部5と受け部6とで挟んだ毛髪Hをストレートにする処理を行う。ユーザは、振動部5と受け部6とで毛髪Hを挟んで、ヘアセット装置1を毛髪Hの根元側から先端側に向けて移動させることで、毛髪H全体に処理を施すことができる。なお、白抜き矢印は、ヘアセット装置1の移動方向を示す。
【0025】
次に、毛髪Hを所望の形状にセットするための構成について説明する。
受け部6の毛髪の挟み方向(図4における上下方向)の弾性係数と、各受け部側押さえ部12の挟み方向の弾性係数とが略同一となるように受け部6及び各受け部側押さえ部12が構成されている。本実施形態では、各受け部側押さえ部12は、受け部6と同一材料からなるとともに、受け部6と略同一の厚み(毛髪の挟み方向長さ)を有している。詳しくは、図5に示すように、受け部6は、挟み部材3に固定された支持部材21の上端に毛髪Hと接触する接触部22が固定されて構成されている。また、受け部側押さえ部12は、挟み部材3に固定された支持部材23の上端に毛髪Hと接触する接触部24が固定されて構成されている。なお、各支持部材21,23は、単一の金属材料や樹脂材料、又は複数の金属材料や樹脂材料等により構成され、支持部材21と支持部材23とは同一の材料により構成されている。また、各接触部22,24は、発泡性材料(例えば、発泡ウレタン)により構成され、接触部22と接触部24とは同一の材料により構成されている。そして、支持部材21の厚みt1と支持部材23の厚みt2が同一であるとともに、接触部22の厚みt3と接触部24の厚みt4とが同一に構成されている。
【0026】
また、図4に示すように、振動部側押さえ部9と受け部側押さえ部12との各対向面25,26の毛髪Hに対する摩擦係数が略同一となるように形成されている。具体的には、振動部側押さえ部9は、挟み部材2に固定された支持部材27の下端に毛髪Hと接触する接触部28が固定されて構成されている。接触部28は、発泡性材料(受け部側押さえ部12と同じ、発泡ウレタン)により構成されている。そして、各対向面25,26は、その表面性状(表面粗さ等)が同一となるように加工されて、毛髪Hに対する摩擦係数が同一となっている。
【0027】
さらに、図2に示すように、挟み部材2には、各振動部側押さえ部9の幅方向両側に、挟み方向に突出した第1ガイド部31がそれぞれ形成されている。各第1ガイド部31は、直方体状に形成されるとともに、振動部側押さえ部9よりも挟み部材2から突出して形成されている。本実施形態では、ホーン部8の両側に設けられた第1ガイド部31は、それぞれホーン部8(振動部5)側での間隔が挟み部材2における毛髪の長さ方向端部側での間隔よりも狭くなるように配置されている。そして、図3に示すように、挟み部材3には、第1ガイド部31と対向する位置に、毛髪の挟み方向から見た形状が第1ガイド部31と略同一形状の第1ガイド溝32が凹設されており、挟み部材2,3が閉じられると、第1ガイド部31が第1ガイド溝32に嵌合するようになっている。
【0028】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏する。
(1)ヘアセット装置1は、毛髪Hを挟む一対の挟み部材2,3と、挟み部材2に設けられ超音波振動を発生させる振動子7を有する振動部5と、挟み部材3に振動部5と対向するように設けられ振動部5との間に毛髪Hを挟む受け部6とを備えた。また、挟み部材2,3における振動部5及び受け部6の毛髪の長さ方向側に、互いに対向する振動部側押さえ部9と受け部側押さえ部12とを設けた。そして、受け部6の毛髪の挟み方向の弾性係数と、受け部側押さえ部12の毛髪の挟み方向の弾性係数とが同一になるように構成した。そのため、振動部5と受け部6との間に毛髪Hを挟んだ場合に、受け部6の変形量(圧縮量)と受け部側押さえ部12の変形量との差が発生し難くなる。従って、受け部6と受け部側押さえ部12との間での毛髪の挟み方向の段差を小さくすることが可能になり、毛髪Hが所望の形状と異なる形状にセットされることを低減できる。
【0029】
(2)受け部6と受け部側押さえ部12とは、同一材料からなるとともに、同一の厚みを有するように構成した。即ち、支持部材21と支持部材23とを同一の材料により構成するとともに、接触部22と接触部24とを同一の材料により構成した。また、支持部材21の厚みt1と支持部材23の厚みt2を同一にするとともに、接触部22の厚みt3と接触部24の厚みt4とを同一に構成した。そのため、受け部6及び各受け部側押さえ部12の経年変化(例えば、使用による摩耗など)の違いによって、受け部6と受け部側押さえ部12との間に毛髪の挟み方向の段差が生じることを防止できる。これにより、長期に亘って毛髪Hが所望の形状と異なる形状にセットさせることを防止できる。
【0030】
(3)ヘアセット装置1に振動部側押さえ部9及び受け部側押さえ部12を設けることで、毛髪Hはこれら押さえ部9,12の各対向面25,26から摩擦を受ける。このとき、毛髪Hは、それぞれの対向面から受ける摩擦力が異なると、ヘアセット後に強い摩擦力を受けた側にカールしまう虞がある。この点、本実施形態によれば、振動部側押さえ部9と受け部側押さえ部12との各対向面25,26の毛髪Hに対する摩擦係数が同一となるように構成したため、毛髪Hが各対向面25,26から受ける摩擦力を等しくすることができ、ヘアセット後に毛髪Hがカールすることを防止できる。
【0031】
(4)振動部側押さえ部9における毛髪の幅方向両側に、毛髪の挟み方向に突出した第1ガイド部31を設けた。このため、第1ガイド部31によって、振動部側押さえ部9及び受け部側押さえ部12との間に挟まれた毛髪Hが、その幅方向外側にはみ出ることが防止されるため、振動部5(受け部6)への確実な毛髪導入が可能になり、処理が施されない毛髪Hを低減することができる。
【0032】
(5)第1ガイド部31を、ホーン部8(振動部5)側での間隔が挟み部材2における毛髪の長さ方向端部側での間隔よりも狭くなるように配置した。そのため、毛髪Hは、第1ガイド部31によって毛髪の幅方向内側の力が作用した状態で振動部5(受け部6)に導入されるため、振動部5で超音波振動を受ける毛髪Hがその幅方向外側に広がることを防止できる。
【0033】
(6)挟み部材3に第1ガイド溝32を凹設し、挟み部材2,3を閉じると第1ガイド部31が第1ガイド溝32に嵌合するようにしたため、第1ガイド部31により、毛髪の長さ方向と直交する断面において、振動部側押さえ部9と受け部側押さえ部12との間に閉じた空間が形成される。従って、振動部側押さえ部9と受け部側押さえ部12とに挟まれた毛髪Hが上記空間からはみ出すことが確実に防止され、処理が施されない毛髪Hをより低減することができる。
【0034】
なお、本実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態では、受け部6及び受け部側押さえ部12を、挟み部材3の挟み部材2との対向面よりも突出して設けたが、これに限らず、図6に示すように、挟み部材3の挟み部材2との対向面と面一になるように、受け部6及び受け部側押さえ部12を挟み部材3に埋設してもよい。
【0035】
・上記実施形態では、ホーン部8の両側に設けられた第1ガイド部31を、それぞれホーン部8側での間隔が挟み部材2における毛髪の長さ方向端部側での間隔よりも狭くなるように配置したが、これに限らない。例えば、図7に示すように、ヘアセット装置1の移動方向側に設けられた毛髪の挟み方向に突出する第1ガイド部41のみをホーン部8側での間隔が挟み部材2における毛髪の長さ方向端部側での間隔よりも狭くなるように配置し、ヘアセット装置1の移動方向と反対側に設けられた第1ガイド部41を毛髪の長さ方向と平行に配置してもよい。
【0036】
また、図8に示すように、ホーン部8の両側に設けられた第1ガイド部42を毛髪の長さ方向と平行に配置してもよい。さらに、ヘアセット装置1の移動方向側のみに第1ガイド部を設けてもよい。このように構成しても、第1ガイド部42によって、振動部側押さえ部9及び受け部側押さえ部12との間に挟まれた毛髪Hが、その幅方向外側にはみ出ることが防止されるため、振動部5(受け部6)への確実な毛髪導入が可能になり、処理が施されない毛髪Hを低減することができる。なお、第1ガイド部41,42は、第1ガイド部31と同様に形成されている。
【0037】
・上記実施形態において、ヘアセット装置1の移動方向側に設けられたコーム部11における毛髪の長さ方向外側に、毛髪の幅方向に間隔を空けて配置される第2ガイド部51を毛髪の挟み方向に突出して形成してもよい。例えば、図9に示すように、第2ガイド部51を毛髪の長さ方向と平行に設けてもよい。なお、第2ガイド部51は、直方体状に形成されるとともに、コーム部11よりも挟み部材2から突出して形成されている。このようにすることで、毛髪Hが第2ガイド部51によってコーム部11に案内されるため、確実にコーム部11にて毛髪Hが梳かれる。そして、コーム部11から振動部5に導入されることで、毛髪の処理ムラを低減することができる。
【0038】
また、図10に示すように、挟み部材3に、挟み部材2,3が閉じた状態で第2ガイド部51が嵌合する第2ガイド溝52を形成してもよい。このように構成することで、第2ガイド部51により、毛髪の長さ方向と直交する断面において、挟み部材2,3の間に閉じた空間が形成される。従って、挟み部材2,3に挟まれた毛髪Hが上記空間からはみ出すことが防止され、確実にコーム部11に案内されることで、毛髪の処理ムラをより低減することができる。
【0039】
さらに、図11に示すように、毛髪の挟み方向に突出する第2ガイド部53を、コーム部11側での間隔が挟み部材2における毛髪の長さ方向端部側での間隔よりも狭くなるように配置してもよい。なお、第2ガイド部53は、第2ガイド部51と同様に形成されている。このようにすることで、処理されない毛髪Hを低減することができるとともに、第2ガイド部53によって一度に多くの毛髪Hがコーム部11に案内されるため、毛髪Hの処理効率の向上を図ることができる。なお、第2ガイド部51,53を挟み部材2に設けず、挟み部材3に設けてもよい。また、ヘアセット装置1に第1ガイド部及び第2ガイド部の両ガイド部を設けてもよい。
【0040】
・上記実施形態では、受け部6と受け部側押さえ部12とを別体としたが、これに限らず、受け部6と受け部側押さえ部12とを一体に形成してもよい。このようにすることで、部品点数を削減することができる。
【0041】
・上記実施形態において、振動部5の毛髪の挟み方向の弾性係数と振動部側押さえ部9の毛髪の挟み方向の弾性係数とが同一となるように構成してもよい。このようにすることで、振動部5と受け部6との間に毛髪Hを挟んだ場合に、受け部側押さえ部12の変形量と受け部6の変形量との差がさらに発生し難くなる。そのため、受け部6と受け部側押さえ部12との間での毛髪の挟み方向の段差をなくすことが可能になり、毛髪Hが所望の形状と異なる形状にセットさせることをより低減できる。
【0042】
・上記実施形態では、振動部側押さえ部9をホーン部8の両側に設けたが、これに限らず、毛髪の長さ方向の何れか一方にのみ設けてもよい。同様に、受け部側押さえ部12を毛髪の長さ方向の何れか一方にのみ設けてもよい。
【0043】
・上記実施形態では、コーム部11を挟み部材2に設けたが、これに限らず、挟み部材3に設けてもよい。また、コーム部11をヘアセット装置1の移動方向側のみに設けてもよい。さらに、ヘアセット装置1にコーム部11を設けずともよい。
【0044】
・上記実施形態では、挟み部材2に第1ガイド部31を設け、挟み部材3に第1ガイド溝32を形成したが、これに限らず、挟み部材3に第1ガイド部を設け、挟み部材2にガイド溝を形成してもよい。また、挟み部材2,3に第1ガイド部又は第1ガイド溝を形成しなくともよい。
【0045】
・上記実施形態では、ヘアセット装置1を、毛髪Hをストレートにする処理を施すようにしたが、これに限らず、毛髪Hをカーリングさせる等その他の処理を施すヘアセット装置に適用してもよい。
【0046】
次に、以上の実施形態から把握することのできる技術的思想をその効果とともに記載する。
(イ)前記振動部側押さえ部及び前記受け部側押さえ部の何れか他方における前記毛髪の幅方向両側には、前記挟み部材が閉じた状態で前記第1ガイド部が嵌合する第1ガイド溝が設けられたことを特徴とする請求項4に記載のヘアセット装置。この構成によれば、第1ガイド部により、毛髪の長さ方向と直交する断面において、振動部側押さえ部と受け部側押さえ部との間に閉じた空間が形成される。従って、振動部側押さえ部と受け部側押さえ部とに挟まれた毛髪が上記空間からはみ出すことが防止され、処理が施されない毛髪をより低減することができる。
【0047】
(ロ)前記挟み部材には、前記振動部側押さえ部及び前記受け部側押さえ部の何れか他方の前記毛髪の長さ方向外側に、前記挟み部材が閉じた状態で前記第2ガイド部が嵌合される第2ガイド溝が形成されたことを特徴とする請求項6に記載のヘアセット装置。この構成によれば、第2ガイド部により、毛髪の長さ方向と直交する断面において、挟み部材の間に閉じた空間が形成される。従って、挟み部材に挟まれた毛髪が上記空間からはみ出すことが防止され、確実にコーム部に案内されることで、毛髪の処理ムラをより低減することができる。
【0048】
(ハ)前記第2ガイド部は、前記コーム部側での間隔が前記へアセット装置移動方向側での間隔よりも狭くなるように配置されたことを特徴とする請求項6又は上記(ロ)に記載のヘアセット装置。この構成によれば、処理されない毛髪を低減することができるとともに、第2ガイド部によって一度に多くの毛髪Hがコーム部に案内されるため、毛髪の処理効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】へアセット装置の側面図。
【図2】振動部が設けられた挟み部材を内側から見た平面図。
【図3】受け部が設けられた挟み部材を内側から見た平面図。
【図4】毛髪を挟んだ状態でのヘアセット装置の振動部及び受け部を含む断面図。
【図5】受け部と受け部側押さえ部の構成を示す断面図。
【図6】別例における毛髪を挟んだ状態でのヘアセット装置の振動部及び受け部を含む断面図。
【図7】別例における振動部が設けられた挟み部材を内側から見た平面図。
【図8】別例における振動部が設けられた挟み部材を内側から見た平面図。
【図9】別例における振動部が設けられた挟み部材を内側から見た平面図。
【図10】別例における受け部が設けられた挟み部材を内側から見た平面図。
【図11】別例における振動部が設けられた挟み部材を内側から見た平面図。
【符号の説明】
【0050】
1…ヘアセット装置、2,3…挟み部材、5…振動部、6…受け部、7…振動子、9…振動部側押さえ部、11…コーム部、12…受け部側押さえ部、25,26…対向面、31,41,42…第1ガイド部、32…第1ガイド溝、51,53…第2ガイド部、52…第2ガイド溝、H…毛髪。
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪に超音波振動を伝達することで、毛髪をストレートにする等の処理を施すヘアセット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、毛髪を挟む一対の挟み部材と、挟み部材の何れか一方に設けられ超音波振動を発生させる振動子を有する振動部と、挟み部材の何れか他方に振動部と対向するように設けられる受け部と備え、振動部と受け部との間に毛髪を挟んで超音波振動を伝達し、毛髪をストレートにする等の処理を施すヘアセット装置がある。例えば、特許文献1に記載のヘアセット装置では、挟み部材における振動部及び受け部の毛髪の長さ方向側に、互いに対向する振動部側押さえ部と受け部側押さえ部を設け、毛髪の横広がりを防止したヘアセット装置が開示されている。
【特許文献1】特開2006−334109(段落[0025]〜[0027],第7図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、一般に、受け部における毛髪と接触する接触部は発泡性材料(例えば、発泡ウレタン等)により構成されているため、外力により変形し易い。従って、毛髪を挟むことで受け部が大きく変形するため、受け部と該受け部側の押さえ部との間に、毛髪の挟み方向に段差が生じてしまい、毛髪が所望の形状と異なる形状にセットされてしまう虞があった。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、毛髪が所望の形状と異なる形状にセットされることを低減できるヘアセット装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、毛髪を挟む一対の挟み部材と、前記挟み部材の何れか一方に設けられ、超音波振動を発生させる振動子を有する振動部と、前記挟み部材の何れか他方に前記振動部と対向するように設けられ、前記振動部との間に前記毛髪を挟む受け部とを備え、前記振動部及び前記受け部の前記毛髪の長さ方向側には、互いに対向する振動部側押さえ部と受け部側押さえ部とが設けられたヘアセット装置であって、前記受け部の弾性係数と、前記受け部側押さえ部の弾性係数とが同一であることを要旨とする。
【0006】
上記構成によれば、受け部の弾性係数と受け部側押さえ部の弾性係数とが同一であるため、振動部と受け部との間に毛髪を挟んだ場合に、受け部の変形量(圧縮量)と受け部側押さえ部の変形量との差が発生し難くなる。従って、受け部と受け部側押さえ部との間での毛髪の挟み方向の段差を小さくすることが可能になり、毛髪が所望の形状と異なる形状にセットされることを低減できる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のヘアセット装置において、前記受け部と前記受け部側押さえ部とは、同一材料からなるとともに、同一の厚みを有するように構成されたことを要旨とする。
【0008】
上記構成によれば、受け部と受け部側押さえ部とは、同一材料からなるとともに同一の厚みに構成されるため、それぞれの経年変化(例えば、使用による摩耗など)の違いによって、受け部と受け部側押さえ部との間に毛髪の挟み方向の段差が生じることを防止できる。これにより、長期に亘って毛髪が所望の形状と異なる形状にセットされることを防止できる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のヘアセット装置において、前記受け部側押さえ部と前記振動部側押さえ部との各対向面の前記毛髪に対する摩擦係数が同一であることを要旨とする。
【0010】
振動部側押さえ部及び受け部側押さえ部を設けることで、毛髪はこれら押さえ部の各対向面から摩擦を受ける。このとき、毛髪は、それぞれの対向面から受ける摩擦力が異なると、ヘアセット後に強い摩擦力を受けた側にカールしまう虞がある。この点、上記構成によれば、振動部側押さえ部及び受け部側押さえ部の各対向面での摩擦係数が同じであるため、毛髪が各対向面から受ける摩擦力を等しくすることができ、ヘアセット後に毛髪がカールすることを防止できる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のうちの何れか一項に記載のヘアセット装置において、前記振動部側押さえ部及び前記受け部側押さえ部の何れか一方における前記毛髪の幅方向両側には、前記毛髪の挟み方向に突出した第1ガイド部が設けられたことを要旨とする。
【0012】
上記構成によれば、第1ガイド部によって、受け部側押さえ部及び振動部側押さえ部との間に挟まれた毛髪が、その幅方向外側にはみ出ることが防止されるため、振動部(受け部)への確実な毛髪導入が可能になり、処理が施されない毛髪を低減することができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のヘアセット装置において、前記第1ガイド部は、前記振動部側での間隔が前記挟み部材における前記毛髪の長さ方向端部側での間隔よりも狭くなるように配置されたことを要旨とする。
【0014】
上記構成によれば、毛髪は、第1ガイド部によって毛髪の幅方向内側の力が作用した状態で振動部(受け部)に導入されるため、振動部で超音波振動を受ける毛髪がその幅方向外側に広がることを防止できる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のうちの何れか一項に記載のヘアセット装置において、前記挟み部材には、前記振動部側押さえ部及び前記受け部側押さえ部の何れか一方の前記毛髪の長さ方向外側に、前記毛髪の挟み方向に突出するコーム部が前記毛髪の幅方向に配列され、前記へアセット装置の移動方向側に設けられた前記コーム部の前記毛髪の長さ方向外側には、前記毛髪の幅方向に間隔を空けて配置される第2ガイド部が前記毛髪の挟み方向に突出して設けられたことを要旨とする。
【0016】
上記構成によれば、毛髪が第2ガイド部によってコーム部に案内されるため、確実にコーム部にて毛髪が梳かれる。そして、コーム部から振動部に導入されることで、毛髪の処理ムラをなくすことができる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のうちの何れか一項に記載のヘアセット装置において、前記振動部の弾性係数と、前記振動部側押さえ部の弾性係数とが同一であることを要旨とする。
【0018】
上記構成によれば、振動部の弾性係数と振動部側押さえ部の弾性係数とが同一であるため、振動部と受け部との間に毛髪を挟んだ場合に、受け部の変形量と受け部側押さえ部の変形量との差がさらに発生し難くなる。そのため、受け部と受け部側押さえ部との間での毛髪の挟み方向の段差をなくすことが可能になり、毛髪が所望の形状と異なる形状にセットさせることをより低減できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、毛髪が所望の形状と異なる形状にセットさせることを低減可能なヘアセット装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、ヘアセット装置1の一対の挟み部材2,3は、略直方体形状に形成されるとともに、長手方向の基端側(図1における左側)がヒンジ部4により連結されることで、先端側(図1における右側)が開閉自在とされている。一方の挟み部材2(図1における上側)の先端部には、振動部5が設けられるとともに、他方の挟み部材3(図1における下側)の振動部5と対向する部分には、受け部6が設けられている。挟み部材2,3が閉じられた状態で、振動部5と受け部6とは略重ね合わせられ、これら振動部5と受け部6との間に毛髪H(図4参照)が挟まれるようになっている。なお、図1において振動部5と受け部6とで挟まれる毛髪の長さ方向は、紙面に対して垂直な方向である。
【0021】
図1及び図2に示すように、振動部5は、超音波振動を発生する振動子7と、振動子7の振動を増幅して毛髪Hに伝達するホーン部8と備えている。図2に示すように、挟み部材2には、ホーン部8(振動部5)の毛髪の長さ方向(図2における左右方向)両側に、それぞれ振動部側押さえ部9が設けられている。また、挟み部材2には、各振動部側押さえ部9における毛髪の長さ方向外側(挟み部材2における毛髪の長さ方向両端部)に、毛髪の挟み方向(図2における紙面直交方向)に突出するコーム部11が形成されている。なお、コーム部11は、振動部5と受け部6とに挟まれた毛髪Hの束が広がる方向(以下毛髪の幅方向という、図2における上下方向)に配列されている。
【0022】
図3に示すように、挟み部材3には、受け部6の毛髪の長さ方向(図3における左右方向)両側に、各振動部側押さえ部9と対向し、その間で毛髪Hを押さえる受け部側押さえ部12がそれぞれ設けられている。本実施形態では、受け部6及び各受け部側押さえ部12は、挟み部材3の挟み部材2との対向面よりも突出して設けられている。ヘアセット装置1は、これら振動部側押さえ部9と受け部側押さえ部12とによって、毛髪Hを押さえることで毛髪Hの横広がりを防止するようになっている。
【0023】
なお、図1に示すように、振動子7は、図示しない電源部に電力が供給されることで超音波振動が発生するようになっている。振動子7は、挟み部材2に内蔵された駆動回路13を介して制御回路14に接続され、その作動が制御されるようになっている。本実施形態では、制御回路14は、駆動回路13を制御することで、振動子7に周波数30kHz〜2MHz、電力密度0.1〜5.0W/cm2の条件で超音波振動を発生させる。
【0024】
そして、図4に示すように、ヘアセット装置1は、振動部5と受け部6とで毛髪Hを挟み込んで、毛髪Hに超音波振動を与えることで、毛髪Hに処理を行う。本実施形態では、ヘアセット装置1は振動部5と受け部6とで挟んだ毛髪Hをストレートにする処理を行う。ユーザは、振動部5と受け部6とで毛髪Hを挟んで、ヘアセット装置1を毛髪Hの根元側から先端側に向けて移動させることで、毛髪H全体に処理を施すことができる。なお、白抜き矢印は、ヘアセット装置1の移動方向を示す。
【0025】
次に、毛髪Hを所望の形状にセットするための構成について説明する。
受け部6の毛髪の挟み方向(図4における上下方向)の弾性係数と、各受け部側押さえ部12の挟み方向の弾性係数とが略同一となるように受け部6及び各受け部側押さえ部12が構成されている。本実施形態では、各受け部側押さえ部12は、受け部6と同一材料からなるとともに、受け部6と略同一の厚み(毛髪の挟み方向長さ)を有している。詳しくは、図5に示すように、受け部6は、挟み部材3に固定された支持部材21の上端に毛髪Hと接触する接触部22が固定されて構成されている。また、受け部側押さえ部12は、挟み部材3に固定された支持部材23の上端に毛髪Hと接触する接触部24が固定されて構成されている。なお、各支持部材21,23は、単一の金属材料や樹脂材料、又は複数の金属材料や樹脂材料等により構成され、支持部材21と支持部材23とは同一の材料により構成されている。また、各接触部22,24は、発泡性材料(例えば、発泡ウレタン)により構成され、接触部22と接触部24とは同一の材料により構成されている。そして、支持部材21の厚みt1と支持部材23の厚みt2が同一であるとともに、接触部22の厚みt3と接触部24の厚みt4とが同一に構成されている。
【0026】
また、図4に示すように、振動部側押さえ部9と受け部側押さえ部12との各対向面25,26の毛髪Hに対する摩擦係数が略同一となるように形成されている。具体的には、振動部側押さえ部9は、挟み部材2に固定された支持部材27の下端に毛髪Hと接触する接触部28が固定されて構成されている。接触部28は、発泡性材料(受け部側押さえ部12と同じ、発泡ウレタン)により構成されている。そして、各対向面25,26は、その表面性状(表面粗さ等)が同一となるように加工されて、毛髪Hに対する摩擦係数が同一となっている。
【0027】
さらに、図2に示すように、挟み部材2には、各振動部側押さえ部9の幅方向両側に、挟み方向に突出した第1ガイド部31がそれぞれ形成されている。各第1ガイド部31は、直方体状に形成されるとともに、振動部側押さえ部9よりも挟み部材2から突出して形成されている。本実施形態では、ホーン部8の両側に設けられた第1ガイド部31は、それぞれホーン部8(振動部5)側での間隔が挟み部材2における毛髪の長さ方向端部側での間隔よりも狭くなるように配置されている。そして、図3に示すように、挟み部材3には、第1ガイド部31と対向する位置に、毛髪の挟み方向から見た形状が第1ガイド部31と略同一形状の第1ガイド溝32が凹設されており、挟み部材2,3が閉じられると、第1ガイド部31が第1ガイド溝32に嵌合するようになっている。
【0028】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏する。
(1)ヘアセット装置1は、毛髪Hを挟む一対の挟み部材2,3と、挟み部材2に設けられ超音波振動を発生させる振動子7を有する振動部5と、挟み部材3に振動部5と対向するように設けられ振動部5との間に毛髪Hを挟む受け部6とを備えた。また、挟み部材2,3における振動部5及び受け部6の毛髪の長さ方向側に、互いに対向する振動部側押さえ部9と受け部側押さえ部12とを設けた。そして、受け部6の毛髪の挟み方向の弾性係数と、受け部側押さえ部12の毛髪の挟み方向の弾性係数とが同一になるように構成した。そのため、振動部5と受け部6との間に毛髪Hを挟んだ場合に、受け部6の変形量(圧縮量)と受け部側押さえ部12の変形量との差が発生し難くなる。従って、受け部6と受け部側押さえ部12との間での毛髪の挟み方向の段差を小さくすることが可能になり、毛髪Hが所望の形状と異なる形状にセットされることを低減できる。
【0029】
(2)受け部6と受け部側押さえ部12とは、同一材料からなるとともに、同一の厚みを有するように構成した。即ち、支持部材21と支持部材23とを同一の材料により構成するとともに、接触部22と接触部24とを同一の材料により構成した。また、支持部材21の厚みt1と支持部材23の厚みt2を同一にするとともに、接触部22の厚みt3と接触部24の厚みt4とを同一に構成した。そのため、受け部6及び各受け部側押さえ部12の経年変化(例えば、使用による摩耗など)の違いによって、受け部6と受け部側押さえ部12との間に毛髪の挟み方向の段差が生じることを防止できる。これにより、長期に亘って毛髪Hが所望の形状と異なる形状にセットさせることを防止できる。
【0030】
(3)ヘアセット装置1に振動部側押さえ部9及び受け部側押さえ部12を設けることで、毛髪Hはこれら押さえ部9,12の各対向面25,26から摩擦を受ける。このとき、毛髪Hは、それぞれの対向面から受ける摩擦力が異なると、ヘアセット後に強い摩擦力を受けた側にカールしまう虞がある。この点、本実施形態によれば、振動部側押さえ部9と受け部側押さえ部12との各対向面25,26の毛髪Hに対する摩擦係数が同一となるように構成したため、毛髪Hが各対向面25,26から受ける摩擦力を等しくすることができ、ヘアセット後に毛髪Hがカールすることを防止できる。
【0031】
(4)振動部側押さえ部9における毛髪の幅方向両側に、毛髪の挟み方向に突出した第1ガイド部31を設けた。このため、第1ガイド部31によって、振動部側押さえ部9及び受け部側押さえ部12との間に挟まれた毛髪Hが、その幅方向外側にはみ出ることが防止されるため、振動部5(受け部6)への確実な毛髪導入が可能になり、処理が施されない毛髪Hを低減することができる。
【0032】
(5)第1ガイド部31を、ホーン部8(振動部5)側での間隔が挟み部材2における毛髪の長さ方向端部側での間隔よりも狭くなるように配置した。そのため、毛髪Hは、第1ガイド部31によって毛髪の幅方向内側の力が作用した状態で振動部5(受け部6)に導入されるため、振動部5で超音波振動を受ける毛髪Hがその幅方向外側に広がることを防止できる。
【0033】
(6)挟み部材3に第1ガイド溝32を凹設し、挟み部材2,3を閉じると第1ガイド部31が第1ガイド溝32に嵌合するようにしたため、第1ガイド部31により、毛髪の長さ方向と直交する断面において、振動部側押さえ部9と受け部側押さえ部12との間に閉じた空間が形成される。従って、振動部側押さえ部9と受け部側押さえ部12とに挟まれた毛髪Hが上記空間からはみ出すことが確実に防止され、処理が施されない毛髪Hをより低減することができる。
【0034】
なお、本実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態では、受け部6及び受け部側押さえ部12を、挟み部材3の挟み部材2との対向面よりも突出して設けたが、これに限らず、図6に示すように、挟み部材3の挟み部材2との対向面と面一になるように、受け部6及び受け部側押さえ部12を挟み部材3に埋設してもよい。
【0035】
・上記実施形態では、ホーン部8の両側に設けられた第1ガイド部31を、それぞれホーン部8側での間隔が挟み部材2における毛髪の長さ方向端部側での間隔よりも狭くなるように配置したが、これに限らない。例えば、図7に示すように、ヘアセット装置1の移動方向側に設けられた毛髪の挟み方向に突出する第1ガイド部41のみをホーン部8側での間隔が挟み部材2における毛髪の長さ方向端部側での間隔よりも狭くなるように配置し、ヘアセット装置1の移動方向と反対側に設けられた第1ガイド部41を毛髪の長さ方向と平行に配置してもよい。
【0036】
また、図8に示すように、ホーン部8の両側に設けられた第1ガイド部42を毛髪の長さ方向と平行に配置してもよい。さらに、ヘアセット装置1の移動方向側のみに第1ガイド部を設けてもよい。このように構成しても、第1ガイド部42によって、振動部側押さえ部9及び受け部側押さえ部12との間に挟まれた毛髪Hが、その幅方向外側にはみ出ることが防止されるため、振動部5(受け部6)への確実な毛髪導入が可能になり、処理が施されない毛髪Hを低減することができる。なお、第1ガイド部41,42は、第1ガイド部31と同様に形成されている。
【0037】
・上記実施形態において、ヘアセット装置1の移動方向側に設けられたコーム部11における毛髪の長さ方向外側に、毛髪の幅方向に間隔を空けて配置される第2ガイド部51を毛髪の挟み方向に突出して形成してもよい。例えば、図9に示すように、第2ガイド部51を毛髪の長さ方向と平行に設けてもよい。なお、第2ガイド部51は、直方体状に形成されるとともに、コーム部11よりも挟み部材2から突出して形成されている。このようにすることで、毛髪Hが第2ガイド部51によってコーム部11に案内されるため、確実にコーム部11にて毛髪Hが梳かれる。そして、コーム部11から振動部5に導入されることで、毛髪の処理ムラを低減することができる。
【0038】
また、図10に示すように、挟み部材3に、挟み部材2,3が閉じた状態で第2ガイド部51が嵌合する第2ガイド溝52を形成してもよい。このように構成することで、第2ガイド部51により、毛髪の長さ方向と直交する断面において、挟み部材2,3の間に閉じた空間が形成される。従って、挟み部材2,3に挟まれた毛髪Hが上記空間からはみ出すことが防止され、確実にコーム部11に案内されることで、毛髪の処理ムラをより低減することができる。
【0039】
さらに、図11に示すように、毛髪の挟み方向に突出する第2ガイド部53を、コーム部11側での間隔が挟み部材2における毛髪の長さ方向端部側での間隔よりも狭くなるように配置してもよい。なお、第2ガイド部53は、第2ガイド部51と同様に形成されている。このようにすることで、処理されない毛髪Hを低減することができるとともに、第2ガイド部53によって一度に多くの毛髪Hがコーム部11に案内されるため、毛髪Hの処理効率の向上を図ることができる。なお、第2ガイド部51,53を挟み部材2に設けず、挟み部材3に設けてもよい。また、ヘアセット装置1に第1ガイド部及び第2ガイド部の両ガイド部を設けてもよい。
【0040】
・上記実施形態では、受け部6と受け部側押さえ部12とを別体としたが、これに限らず、受け部6と受け部側押さえ部12とを一体に形成してもよい。このようにすることで、部品点数を削減することができる。
【0041】
・上記実施形態において、振動部5の毛髪の挟み方向の弾性係数と振動部側押さえ部9の毛髪の挟み方向の弾性係数とが同一となるように構成してもよい。このようにすることで、振動部5と受け部6との間に毛髪Hを挟んだ場合に、受け部側押さえ部12の変形量と受け部6の変形量との差がさらに発生し難くなる。そのため、受け部6と受け部側押さえ部12との間での毛髪の挟み方向の段差をなくすことが可能になり、毛髪Hが所望の形状と異なる形状にセットさせることをより低減できる。
【0042】
・上記実施形態では、振動部側押さえ部9をホーン部8の両側に設けたが、これに限らず、毛髪の長さ方向の何れか一方にのみ設けてもよい。同様に、受け部側押さえ部12を毛髪の長さ方向の何れか一方にのみ設けてもよい。
【0043】
・上記実施形態では、コーム部11を挟み部材2に設けたが、これに限らず、挟み部材3に設けてもよい。また、コーム部11をヘアセット装置1の移動方向側のみに設けてもよい。さらに、ヘアセット装置1にコーム部11を設けずともよい。
【0044】
・上記実施形態では、挟み部材2に第1ガイド部31を設け、挟み部材3に第1ガイド溝32を形成したが、これに限らず、挟み部材3に第1ガイド部を設け、挟み部材2にガイド溝を形成してもよい。また、挟み部材2,3に第1ガイド部又は第1ガイド溝を形成しなくともよい。
【0045】
・上記実施形態では、ヘアセット装置1を、毛髪Hをストレートにする処理を施すようにしたが、これに限らず、毛髪Hをカーリングさせる等その他の処理を施すヘアセット装置に適用してもよい。
【0046】
次に、以上の実施形態から把握することのできる技術的思想をその効果とともに記載する。
(イ)前記振動部側押さえ部及び前記受け部側押さえ部の何れか他方における前記毛髪の幅方向両側には、前記挟み部材が閉じた状態で前記第1ガイド部が嵌合する第1ガイド溝が設けられたことを特徴とする請求項4に記載のヘアセット装置。この構成によれば、第1ガイド部により、毛髪の長さ方向と直交する断面において、振動部側押さえ部と受け部側押さえ部との間に閉じた空間が形成される。従って、振動部側押さえ部と受け部側押さえ部とに挟まれた毛髪が上記空間からはみ出すことが防止され、処理が施されない毛髪をより低減することができる。
【0047】
(ロ)前記挟み部材には、前記振動部側押さえ部及び前記受け部側押さえ部の何れか他方の前記毛髪の長さ方向外側に、前記挟み部材が閉じた状態で前記第2ガイド部が嵌合される第2ガイド溝が形成されたことを特徴とする請求項6に記載のヘアセット装置。この構成によれば、第2ガイド部により、毛髪の長さ方向と直交する断面において、挟み部材の間に閉じた空間が形成される。従って、挟み部材に挟まれた毛髪が上記空間からはみ出すことが防止され、確実にコーム部に案内されることで、毛髪の処理ムラをより低減することができる。
【0048】
(ハ)前記第2ガイド部は、前記コーム部側での間隔が前記へアセット装置移動方向側での間隔よりも狭くなるように配置されたことを特徴とする請求項6又は上記(ロ)に記載のヘアセット装置。この構成によれば、処理されない毛髪を低減することができるとともに、第2ガイド部によって一度に多くの毛髪Hがコーム部に案内されるため、毛髪の処理効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】へアセット装置の側面図。
【図2】振動部が設けられた挟み部材を内側から見た平面図。
【図3】受け部が設けられた挟み部材を内側から見た平面図。
【図4】毛髪を挟んだ状態でのヘアセット装置の振動部及び受け部を含む断面図。
【図5】受け部と受け部側押さえ部の構成を示す断面図。
【図6】別例における毛髪を挟んだ状態でのヘアセット装置の振動部及び受け部を含む断面図。
【図7】別例における振動部が設けられた挟み部材を内側から見た平面図。
【図8】別例における振動部が設けられた挟み部材を内側から見た平面図。
【図9】別例における振動部が設けられた挟み部材を内側から見た平面図。
【図10】別例における受け部が設けられた挟み部材を内側から見た平面図。
【図11】別例における振動部が設けられた挟み部材を内側から見た平面図。
【符号の説明】
【0050】
1…ヘアセット装置、2,3…挟み部材、5…振動部、6…受け部、7…振動子、9…振動部側押さえ部、11…コーム部、12…受け部側押さえ部、25,26…対向面、31,41,42…第1ガイド部、32…第1ガイド溝、51,53…第2ガイド部、52…第2ガイド溝、H…毛髪。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪を挟む一対の挟み部材と、
前記挟み部材の何れか一方に設けられ、超音波振動を発生させる振動子を有する振動部と、
前記挟み部材の何れか他方に前記振動部と対向するように設けられ、前記振動部との間に前記毛髪を挟む受け部と、を備え、
前記振動部及び前記受け部の前記毛髪の長さ方向側には、互いに対向する振動部側押さえ部と受け部側押さえ部とが設けられたヘアセット装置であって、
前記受け部の弾性係数と、前記受け部側押さえ部の弾性係数とが同一であることを特徴とするヘアセット装置。
【請求項2】
前記受け部と前記受け部側押さえ部とは、同一材料からなるとともに、同一の厚みを有するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のヘアセット装置。
【請求項3】
前記受け部側押さえ部と前記振動部側押さえ部との各対向面の前記毛髪に対する摩擦係数が同一であることを特徴とする請求項1又は2に記載のヘアセット装置。
【請求項4】
前記振動部側押さえ部及び前記受け部側押さえ部の何れか一方における前記毛髪の幅方向両側には、前記毛髪の挟み方向に突出した第1ガイド部が設けられたことを特徴とする請求項1〜3のうちの何れか一項に記載のヘアセット装置。
【請求項5】
前記第1ガイド部は、前記振動部側での間隔が前記挟み部材における前記毛髪の長さ方向端部側での間隔よりも狭くなるように配置されたことを特徴とする請求項4に記載のヘアセット装置。
【請求項6】
前記挟み部材には、前記振動部側押さえ部及び前記受け部側押さえ部の何れか一方の前記毛髪の長さ方向外側に、前記毛髪の挟み方向に突出するコーム部が前記毛髪の幅方向に配列され、
前記へアセット装置の移動方向側に設けられた前記コーム部の前記毛髪の長さ方向外側には、前記毛髪の幅方向に間隔を空けて配置される第2ガイド部が前記毛髪の挟み方向に突出して設けられたことを特徴とする請求項1〜5のうちの何れか一項に記載のヘアセット装置。
【請求項7】
前記振動部の弾性係数と、前記振動部側押さえ部の弾性係数とが同一であることを特徴とする請求項1〜6のうちの何れか一項に記載のヘアセット装置。
【請求項1】
毛髪を挟む一対の挟み部材と、
前記挟み部材の何れか一方に設けられ、超音波振動を発生させる振動子を有する振動部と、
前記挟み部材の何れか他方に前記振動部と対向するように設けられ、前記振動部との間に前記毛髪を挟む受け部と、を備え、
前記振動部及び前記受け部の前記毛髪の長さ方向側には、互いに対向する振動部側押さえ部と受け部側押さえ部とが設けられたヘアセット装置であって、
前記受け部の弾性係数と、前記受け部側押さえ部の弾性係数とが同一であることを特徴とするヘアセット装置。
【請求項2】
前記受け部と前記受け部側押さえ部とは、同一材料からなるとともに、同一の厚みを有するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のヘアセット装置。
【請求項3】
前記受け部側押さえ部と前記振動部側押さえ部との各対向面の前記毛髪に対する摩擦係数が同一であることを特徴とする請求項1又は2に記載のヘアセット装置。
【請求項4】
前記振動部側押さえ部及び前記受け部側押さえ部の何れか一方における前記毛髪の幅方向両側には、前記毛髪の挟み方向に突出した第1ガイド部が設けられたことを特徴とする請求項1〜3のうちの何れか一項に記載のヘアセット装置。
【請求項5】
前記第1ガイド部は、前記振動部側での間隔が前記挟み部材における前記毛髪の長さ方向端部側での間隔よりも狭くなるように配置されたことを特徴とする請求項4に記載のヘアセット装置。
【請求項6】
前記挟み部材には、前記振動部側押さえ部及び前記受け部側押さえ部の何れか一方の前記毛髪の長さ方向外側に、前記毛髪の挟み方向に突出するコーム部が前記毛髪の幅方向に配列され、
前記へアセット装置の移動方向側に設けられた前記コーム部の前記毛髪の長さ方向外側には、前記毛髪の幅方向に間隔を空けて配置される第2ガイド部が前記毛髪の挟み方向に突出して設けられたことを特徴とする請求項1〜5のうちの何れか一項に記載のヘアセット装置。
【請求項7】
前記振動部の弾性係数と、前記振動部側押さえ部の弾性係数とが同一であることを特徴とする請求項1〜6のうちの何れか一項に記載のヘアセット装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−291545(P2009−291545A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−150732(P2008−150732)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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