説明

ヘアドライヤー

【課題】 ドライヤー本体から吐風される風を整流する吐風ノズルを備え、ブロー効果の高いヘアドライヤーを提供すること。
【解決手段】
吸入口2を有し、ヒータ10、ファン9及び前記ファンを駆動するモータ8を内蔵したヘアドライヤー本体の吹出口先端に取り付けられる吐出ノズル7において、前記吐出ノズル7内部に吐風通路を前後方向に複数個に区画する仕切壁30を設け、該仕切壁30は前記吐風通路の内側に向かって湾曲する複数の隔壁からなり、前記仕切壁30によって区画される開口面積は、吐出ノズル外側壁と1枚の仕切壁30によって区画される面積より、複数の仕切壁30間によって区画される面積を大きく設定し、風の流れの損失が少なく、より高い整流効果が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアドライヤーに係り、詳しくは、ヘアドライヤーの吹出口先端に取り付けた吐出ノズルの構造に関するもので、毛髪の乾燥、ブローする際により整流効果の得られるヘアドライヤーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘアドライヤーの吐出ノズルにおいては、毛髪を早く乾かすためにノズルの先を絞り風速を早めたものや、ノズルを二重構造などにしてノズル内の開口面積を変化させたものがあった。しかし、単にノズルの先を絞っただけでは、風の勢いは増すが風の流れに抵抗が起こるためばらけた風が吐出され、効率よく吐風することができなかった。また、ノズルを二重構造にするなど、ノズル内の開口面積を変化させても同様にノズル内で風の干渉が生じ、風の流れに損失を与え風速を弱めてしまっていた。
【0003】
そこで、風速を増加させ、風のエネルギー効率を良くするものとして、下記特許文献1(特許第3598928号公報)に記載のヘアドライヤーがある。これは、図5に示すように、吐風口51及び吸入口52を有するハウジング53の内部に、ファン54、モータ55、整流翼56及びヒータ57を具備するヘアドライヤーにおいて、吐風口51のノズル58を内側ノズル60と外側ノズル59とで構成し、内側ノズル60に上流側から下流側に向かってノズル中心軸Xに対し傾斜する傾斜部60eと傾斜部60eの下流側において断面ノズル中心軸Xと略平行に形成された平行部60fとを形成したものであった。
【0004】
さらに、風速の減衰を抑えて、整流効果を与えるものとして、下記特許文献2(特開2006−75194号公報)に記載のヘアドライヤーがある。これは、図6に示すように、ヘアドライヤー本体11の先端に吐出ノズル16を設け、吐出ノズルの内側に整流羽16aを設けて熱風発生室17を通過した風を整流するもので、吐出ノズル16の整流羽16aは風の吹き出し方向と同軸方向に配列され、熱風発生室17からの風にひねりを与える形状を有し、また、前記整流羽16aは前記熱風発生室17からの風に前記ファン20aの回転軸方向と反対方向のひねりを与える形状に形成したものであった。
【特許文献1】特許第3598928号公報(段落〔0005〕〜〔0007〕、図1)
【特許文献2】特開2006−75194号公報(段落〔0028〕〜〔0029〕、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1のノズルにおいては、内側ノズルを設けることにより、内側ノズルより吐風される風の勢いは強くなるが、平板形状で構成されているため、吐風された風を整える十分な整流効果は得られない。また、上記特許文献2のノズルにおいては、整流翼を設けたことにより、ノズルから吐出される風のうち、外側の風は整流されるが、内側の風は、整流翼の影響を受けないため整流効果は得られない欠点があった。
【0006】
本発明は上記の問題を解決するものであって、ヘアドライヤーの吐出ノズルにおいて、風速の減衰が少なく、整流効果も得られるものを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に係るヘアドライヤーは、吸入口を有し、ヒータ、ファン及び前記ファンを駆動するモータを内蔵したヘアドライヤーの吹出口に取り付けられる吐出ノズルにおいて、前記吐出ノズル内部に吐風通路を前後方向に複数個に区画する仕切壁を設け、該仕切壁は前記吐風通路の内側に向かって湾曲する少なくとも一対の隔壁からなり、前記仕切壁によって区画される開口面積は、ノズル外側壁と1枚の仕切壁によって区画される面積より、複数の仕切壁間で区画される面積が大きいことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係るヘアドライヤーは、請求項1に記載のヘアドライヤーにおいて、吹出口にマイナスイオン放出口を設け、該マイナスイオン放出口を前記仕切壁に近接して配置したことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係るヘアドライヤーは、請求項1に記載のヘアドライヤーにおいて、仕切壁に整流翼を設けたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係るヘアドライヤーは、請求項1に記載のヘアドライヤーにおいて、整流翼は、複数枚設けられ空気の囲い込み部を形成したことを特徴とする。
【0011】
請求項5に係るヘアドライヤーは、請求項1に記載のヘアドライヤーにおいて、吐出ノズルの内側に吐風口を設け、前記吐風口は対向する大径の曲面壁と該曲面壁同士を繋ぎ吐出ノズルの内側に窪んだ凹設部を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項6に係るヘアドライヤーは、請求項1に記載のヘアドライヤーにおいて、吐出ノズルの内側に吐風口を設け、前記吐風口は対向する大径の曲面壁と該曲面壁同士を繋ぎ吐出ノズルの外側に向かって湾曲する複数の小径の曲面壁とで略楕円形状とし、前記大径の曲面壁間に仕切壁を連結したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上記の構成を備えることにより、以下に示すような優れた効果を奏する。すなわち、請求項1の発明によれば、ヘアドライヤーから吐出される風の吹出口に吐出ノズルを設け、その吐出ノズルの内側に向かって湾曲する仕切壁を設けることによって、吹出口から吐出ノズルに流入した風に気流の変化を起こさせ、吐出ノズルから吐出する風を整流し頭髪の所望箇所に当てることができる。特に仕切壁が内側に湾曲することにより、吐風された風が仕切壁に接する量が多くなるため、整流効果が向上する。
【0014】
また、吐出ノズルより吐風される風には中心の風の勢いが強く、周りの風の勢いが比較的弱いことから、前記仕切壁により区画される吐出ノズルの開口面積が、1枚の仕切壁と吐出ノズルの内側壁とで区切られる面積より、複数の仕切壁と吐出ノズルの内側壁、または複数の仕切壁間で区切られる面積を大きくすることにより、吐出ノズル中心は強い勢いのまま、まとまった風量を吐出させることができ、まわりの風は仕切壁によって整流されて吐出されるため、中心から吐出される風を、まわりの整流された風によって包むことで、吐風された風がばらけることなくより有効的に風を髪に当てることができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、マイナスイオン放出口を仕切壁の湾曲に沿って配置することで、マイナスイオン放出口から放出されたマイナスイオンが仕切壁によって変化した気流にぶつかり、整流されて吐出ノズルから吐出される風全体に混合させることができる。
【0016】
また、請求項3の発明によれば、仕切壁に整流翼を設けることにより、仕切壁によってマイナスイオンと混ざった気流が整流されて吐出される。
【0017】
請求項4の発明によれば、仕切壁の整流翼が複数で空気の囲い込み部を形成することによって、仕切壁によってマイナスイオンとまざった気流が整流翼によりつつみこまれて吐出される。
【0018】
請求項5の発明によれば、小径の曲面壁に吐風通路側に窪んだ凹設部を設けることにより、吐出ノズルの外側の冷気を引きつけ適度な風温となり、頭皮にやさしい風を吐風することができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、吐出ノズル内側の吐風口を略楕円形状とすることで、吐風される風を絞ることができ勢いの強い風が吐出され、大径の曲面壁間に仕切壁を連結することで、吐出ノズルの中央付近の風もより整流することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するために例示するものであって、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
【実施例1】
【0021】
図1、図2、図3を用いて本発明の実施例1に係るヘアドライヤーの構成を説明する。なお、図1は、本発明に係るヘアドライヤー本体の断面図である。図2(a)は、実施例1に係る吐出ノズルの正面図、(b)は、吐出ノズルの背面図、(c)は、吐出ノズルの斜視図である。図3は、吐出ノズルをヘアドライヤー本体に取り付けたときの正面図である。
【0022】
図1のヘアドライヤー1は、一端に吸入口2、他端に吹出口3を有する筒状の本体ケース4を有し、この本体ケース4には、吸入口2側の一端に手で握って本体ケース4を支持・操作する把持部5が一体或いは折り畳み自在に取り付けられている。この把持部5は、片手で握れる程度の筒状からなり、内部には切換スイッチ(図示せず)などが装着されており、外側には操作つまみ6を設けてなる。また、本体ケース4の吹出口3には、吐出ノズル7が着脱自在に取り付けられる。本体ケース4、把持部5、吐出ノズル7は、いずれもポリカーボネートやABS樹脂等の耐熱性プラスチックスの成型品により形成されている。
【0023】
本体ケース4の内部には、図1に示すように、ファン9と、該ファン9を駆動するモータ8と、ヒータ10、マイナスイオン発生器11、放電電極41などが配置されている。
【0024】
前記放電電極41から生じたマイナスイオンは、吹出口3に設けられているグリル12に配設された複数のマイナスイオン吐出口40、40、40,40、40、40を中心に吐出される。
【0025】
前記モータ8、ファン9の動作によって吸入口2から取り込まれた空気はヒータ10によって温められ、吹出口3で温風となり、吐出されたマイナスイオンと混ざってマイナスイオンを含む温風となり吐出される。
【0026】
次に吐出ノズル7について、図2(a)、(b)、(c)、図3を参照して説明する。
【0027】
本体ケース4の吹出口に着脱自在に装着される吐出ノズル7は、その背面は取り付けられる本体ケース4に対応して円形に、正面は吹き出す風を絞るように略楕円形状にし、対向し外側に向かって湾曲する大径の曲面壁20、20と該曲面壁同士を繋ぎ吐出ノズルの内側に向かって湾曲する複数の小径の曲面壁21、21とで形成する。また、前記小径の曲面壁21、21には吐風通路側に窪んだ凹設部22、22を設ける。
【0028】
本発明に係るヘアドライヤーの吐出ノズル7は、その内側に吐風口25、仕切壁30、30と整流翼31、31,31、31を設けており、実施例1では2枚の仕切壁30、30を前記吐出ノズル正面の小径の曲面壁21、21の凹設部22、22と同方向に湾曲し、吐出ノズル7の対向する大径の曲面壁20、20間に連結している。前記仕切壁30、30により区画される吐出ノズルの開口面積は、1枚の仕切壁30と吐出ノズルの内側壁とで区切られる面積より、複数の仕切壁30と吐出ノズルの内側壁、または複数の仕切壁30間で区切られる面積が大きい。また、前記仕切壁30、30は、グリル12に設けられたマイナスイオン吐出口40・・,40・・に沿って形成されており、それぞれ一対の整流翼31・・,31・・を設けている。前記整流翼31・・,31・・は、仕切壁30、30と一体成形され、対向する弧を描いている。
整風板32、32は、吐出ノズルの大径の曲面壁20、20の内側に突出して設けており、実施例1では、2枚の整風板32、32が風の吹き出す方向に沿って形成されている。前記整風板32、32は、吐風される風にファンの回転方向とは反対方向のひねりを与える曲線的な形状をしてなる。
【実施例2】
【0029】
次に図4を用いて本発明の実施例2に係る吐出ノズルの構成を説明する。図4(a)は、実施例2に係る吐出ノズルの正面図、(b)は、吐出ノズルの背面図、(c)は、吐出ノズルの斜視図である。
【0030】
実施例1と同様に、本体ケース4の吹出口に着脱自在に装着される吐出ノズル7は、背面は取り付けられる本体ケース4に対応して円形に、正面は吹き出す風を絞るように略楕円形状にし、対向する大径の曲面壁20、20と該曲面壁同士を繋ぐ小径の曲面壁21、21とで形成する。
【0031】
本発明に係るヘアドライヤーの吐出ノズル7は、その内側に仕切壁30、30と整流翼31・・,31・・を設けており、2枚の仕切壁30、30を前記吐出ノズル正面の小径の曲面壁の湾曲方向とは反対の方向に湾曲し、吐出ノズル7の対向する大径の曲面壁間に連結している。前記仕切壁30、30により区画される吐出ノズルの開口面積は、1枚の仕切壁30と吐出ノズルの内側壁とで区切られる面積より、複数の仕切壁30と吐出ノズルの内側壁、または複数の仕切壁30間で区切られる面積が大きい。また、前記仕切壁30、30は、実施例1と同様にマイナスイオン吐出口40・・,40・・に沿って形成されており、それぞれ複数の整流翼31・・,31・・を設けている。その仕切壁30、30にそれぞれ設けられている複数の整流翼31・・,31・・は、仕切壁30、30と一体成形され、対向する弧を描いている。
【0032】
整風板32、32は、吐出ノズルの大径の曲面壁20、20の内側に突出して設けており、実施例2では、2枚の整風板32、32が風の吹き出す方向に沿って形成されている。前記整風板32、32は、吐風される風にファンの回転方向とは反対方向のひねりを与える曲線的な形状をしてなる。
【0033】
このように、仕切壁30、30によってマイナスイオンと吐風された空気が混ざり、整流翼31・・,31・・によって集束された風と、整風板32、32で矯正された風とが吐風されることで、より高い整流効果が得られ、吐出ノズル7から吹き出す風に勢いを与えることができ、毛髪の乾燥に使い勝手のよいヘアドライヤーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明に係るヘアドライヤーの実施例の側面断面図である。
【図2】図2(a)は、実施例1に係る吐出ノズルの正面図、(b)は、吐出ノズルの背面図、(c)は、吐出ノズルの斜視図である。
【図3】図3は、実施例1に係る吐出ノズルをヘアドライヤー本体に取り付けたときの正面図である。
【図4】図4(a)は、実施例2に係る吐出ノズルの正面図、(b)は、吐出ノズルの背面図、(c)は、吐出ノズルの斜視図である。
【図5】図5は従来のヘアドライヤーの構成を示す側面断面図である。
【図6】図6は従来のヘアドライヤーの構成を示す側面断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 ヘアドライヤー
2 吸入口
3 吹出口
4 本体ケース
5 把持部
6 操作つまみ
7 吐出ノズル
8 モータ
9 ファン
10 ヒータ
11 マイナスイオン発生器
12 グリル
20,20 大径の曲面壁
21,21 小径の曲面壁
22,22 凹設部
25 吐風口
30,30 仕切壁
31、31,31、31 整流翼
32,32 整風板
40、40、40,40、40、40 マイナスイオン吐出口
41 放電電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入口を有し、ヒータ、ファン及び前記ファンを駆動するモータを内蔵したヘアドライヤー本体の吹出口先端に着脱自在に取り付けられる吐出ノズルにおいて、
前記吐出ノズル内部に吐風通路を前後方向に複数個に区画する仕切壁を設け、前記仕切壁は前記吐出ノズルの内側に向かって湾曲する複数の隔壁からなり、前記仕切壁によって区画される開口面積は、ノズル外側壁と1枚の仕切壁によって区画される面積より、複数の仕切壁間で区画される面積が大きいことを特徴とするヘアドライヤー。
【請求項2】
ヘアドライヤー本体の吹出口にマイナスイオン放出口を設け、該マイナスイオン放出口を前記仕切壁に近接して配置したことを特徴とする請求項1に記載のヘアドライヤー。
【請求項3】
前記仕切壁には整流翼を設けたことを特徴とする請求項1に記載のヘアドライヤー。
【請求項4】
前記整流翼は、複数枚設けられ空気の囲い込み部を形成したことを特徴とする請求項1に記載のヘアドライヤー。
【請求項5】
前記吐出ノズルの内側に吐風口を設け、前記吐風口は対向する大径の曲面壁と該曲面壁同士を繋ぎ吐出ノズルの内側に窪んだ凹設部を設けた複数の小径の曲面壁とで略楕円形状とし、前記大径の曲面壁間に仕切壁を連結したことを特徴とする請求項1に記載のヘアドライヤー。
【請求項6】
前記吐出ノズルの吐風口は対向する大径の曲面壁と該曲面壁同士を繋ぎ吐出ノズルの外側に向かって湾曲する複数の小径の曲面壁とで略楕円形状とし、前記大径の曲面壁間に仕切壁を連結したことを特徴とする請求項1に記載のヘアドライヤー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−195264(P2009−195264A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−36873(P2008−36873)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】