説明

ヘアドライヤー

【課題】 毛髪や頭皮のケアに優れた特定のガスを高濃度で噴出するヘアドライヤーを提供する。
【解決手段】 ヘアドライヤーの筒状本体1の外側にガス供給部10が対向する位置に2つ設けられている。このガス供給部10はケース11とこのケース11から筒状本体1内に伸びるノズル12を備え、ケース11内にはカートリッジ13が着脱自在に取付けられている。カートリッジ13内には液体またはゲルが充填され、この液体またはゲルには特定のガスが微細気泡の状態或いは微細気泡が圧潰した状態で保持されている。保持するガスとしては、水素、酸素、オゾン、炭酸ガス、一酸化窒素などが考えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭皮、皮膚のケア及び育毛効果に優れたヘアドライヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
静電霧化によって微細な水滴を負に帯電させ、これを毛髪に噴射することにより毛髪の水分保持性を向上させ、髪にまとまり感やつやを与えるヘアドライヤーが特許文献1に開示されている。
【0003】
この先行技術は、空気吸引口及び空気吐出口を有する本体部の内部に送風手段を設け、この送風手段により発生される空気流を加熱し、また液体を貯蔵するタンクから供給された液体を静電霧化装置で霧化し、この霧化ミストを噴射口から噴出するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−087836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されるヘアドライヤーは、負に帯電した微細な水滴を髪や肌に供給することはできるが、供給されるのは空気と水分であり、そのため達成される効果も限定されてしまう。
また、静電霧化するための電極装置が必要になり、大型化し且つ大重量となり、使用し難い。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明に係るヘアドライヤーは、筒状をなすヘアドライヤー本体内に形成される空気の流路に特定のガスを供給するガス供給部を備え、このガス供給部には前記特定のガスを微細気泡としてまたは微細気泡が圧潰した状態で保持する液体またはゲルを充填したカートリッジが着脱可能にセットされた構成とした。
【0007】
前記ヘアドライヤー本体の内側面にはエアロゲルからなる断熱材を設けることが好ましい。エアロゲルはゲル中に含まれる水分を超臨界乾燥により気体に置換した極めて低密度の固体であり、優れた断熱性を示す。具体例としては、シリカエアロゲル、カーボンエアロゲル、アルミナエアロゲルなどがある。
【0008】
また、ヘアドライヤー本体内に螺旋状の溝または突条を有する整流部材を配置してもよい。風流の乱れにより脈動効果の効率が下がり利用できるガスの量が減ってしまうが、溝または突条を有する整流部材によって脈動効果による吸い出し量を増すことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るヘアドライヤーによれば、特定のガスを毛髪及び地肌に直接供給することができる。
例えば、水素ガスを供給することによって、酸化して痛んだ毛髪の回復とパーマネントの際などに雰囲気pHを調整できる。
炭酸ガスを供給することで、頭皮の血行の促進、リラックス効果、育毛効果が期待でき、雰囲気pHを調整できる。
酸素ガスやオゾンを供給することで、殺菌効果が期待でき、医療や農水産分野における利用が考えられる。
一酸化窒素を供給することで、免疫賦活、筋肉増強効果を発揮する。
またこの発明は、人体のみならず、動植物のヘア、表皮に関しても同様に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るヘアドライヤーの長さ方向に沿った断面図
【図2】図1のA−A方向断面図
【図3】ガス供給部の拡大図
【図4】別実施例に係るヘアドライヤーの長さ方向に沿った断面図
【図5】別実施例に係るヘアドライヤーの長さ方向に沿った断面図
【図6】別実施例に係るヘアドライヤーの長さ方向に沿った断面図
【図7】別実施例に係るヘアドライヤーの長さ方向に沿った断面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明の実施例を添付図面を参照しつつ説明する。ヘアドライヤーは筒状本体1の後端部をフィルタを備えた空気吸引部2とし、先端部を先細りとした空気噴出口3としている。
【0012】
筒状本体1の内面には断熱材4が設けられている。この断熱材4の材質は任意であるが、例えばシリカエアロゲル、カーボンエアロゲル、アルミナエアロゲルなどのエアロゲルを用いると段熱効果が高まる。
【0013】
前記断熱材4の内側には整流装置5が配置されている。この整流装置5は前記断熱材4の表面に取付けられる外側メンバ5aと筒状本体1の中心に配置される内側メンバ5bからなり、それぞれに螺旋溝を形成することで送風機からの空気の流れを絞って流速を速めるようにしている。
【0014】
また前記整流装置5を構成する外側メンバ5aと内側メンバ5bの間にはヒータ6を配置している。ヒータ6を配置する箇所としては外側メンバ5aの溝に沿って配置してもよい。また整流装置5としては内側メンバ5bを設けず、図4に示すようなフィン7としてもよい。また図5に示すように、筒状本体1の先端にアダプター1aを取付けるようにしてもよい。
【0015】
更に、図6に示すように整流装置5を構成する外側メンバ5aの厚みを先端に向かって徐々に厚くすることで流路面積を絞り、流速を上げるようにしたり、図7に示すように、筒状本体1の形状自体を先細り形状とすることで流速を上げるようにしてもよい。
【0016】
筒状本体1の後部内側には送風機8が設けられ、筒状本体1の後部外側には送風機8やヒータ6のオンオフを行うスイッチ類9が設けられている。
【0017】
また、本発明では筒状本体1の外側にガス供給部10が対向する位置に2つ設けられている。このガス供給部10はケース11とこのケース11から筒状本体1内に伸びるノズル12を備え、ケース11内にはカートリッジ13が着脱自在に取付けられている。
【0018】
カートリッジ13内には液体またはゲルが充填され、この液体またはゲルには特定のガスが微細気泡の状態或いは微細気泡が圧潰した状態で保持されている。保持するガスとしては、水素、酸素、オゾン、炭酸ガス、一酸化窒素などが考えられる。
【0019】
水素は酸化して痛んだ毛髪の回復とパーマネントの際などに雰囲気pHを調整でき、酸素ガスやオゾンは殺菌効果を発揮し、炭酸ガスは頭皮の血行の促進、リラックス効果と育毛効果が期待でき雰囲気pHを調整でき、一酸化窒素は免疫賦活、筋肉増強効果を発揮する。
【0020】
上記の微細気泡を保持するゲルの製造方法は、先ずガスに超音波を与えながら水中に供給することで水中に微細な気泡を発生させる。微細気泡の水中での上昇速度は極めて遅くまた50μm以下の気泡は水中で消失(圧潰)する。そこで、微細気泡が水中に留まっている間にゲル化剤を添加することで微細気泡を保持するゲルが得られる。
【0021】
前記カートリッジ13内は加圧されており、カートリッジ13をノズル12の後端に突き刺すなどの手段で接続することで、カートリッジ13内の液体またはゲルがノズル12の先端から筒状本体1内にガスとなって供給される。このガスには前記特定のガスが高濃度で含まれているので、前記した効果が発揮される。
【0022】
前記カートリッジ13は交換可能であり、使用の都度新たなカートリッジを装着することが好ましい。また、図示例ではガス供給部10を対向する位置に配置して確実にガスを供給できるようにしたが、配置位置と数は任意である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明に係るヘアドライヤーは単に毛髪を乾燥させるだけでなく、育毛、頭皮、皮膚のケアなど、さらには人体、動植物の表皮など広い範囲に利用することができる。
【符号の説明】
【0024】
1…ヘアドライヤーの筒状本体、1a…アダプター、2…空気吸引部、3…空気噴出口、4…断熱材、5…整流装置、5a…外側メンバ、5b…内側メンバ、6…ヒータ、7…フィン、8…送風機、9…スイッチ類、10…ガス供給部、ケース、12…ノズル、13…カートリッジ。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から吸引した空気を加熱して噴出するヘアドライヤーにおいて、このヘアドライヤーは筒状をなすヘアドライヤー本体内に形成される空気の流路に特定のガスを供給するガス供給部を備え、このガス供給部には前記特定のガスを微細気泡としてまたは微細気泡が圧潰した状態で保持する液体またはゲルを充填したカートリッジが着脱可能にセットされていることを特徴とするヘアドライヤー。
【請求項2】
請求項1に記載のヘアドライヤーにおいて、前記ヘアドライヤー本体の内側面にはエアロゲルからなる断熱材が設けられていることを特徴とするヘアドライヤー。
【請求項3】
請求項1に記載のヘアドライヤーにおいて、前記ヘアドライヤー本体内には噴出空気の速度を増すための螺旋状の溝または突条を有する整流部材が配置されていることを特徴とするヘアドライヤー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−55366(P2012−55366A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198760(P2010−198760)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(500457519)
【出願人】(506376218)ケイ・アンド・アイ有限会社 (14)
【Fターム(参考)】