説明

ヘアブラシ

【課題】 逆毛を立てたり頭髪の寝癖を直したりなどの整髪作業を確実且つ効率的に行うことのできるヘアブラシの提供。
【解決手段】 複数のフック形髪係合素子を有し、屈曲した面によって構成されるエッジが延在しており、前記髪係合素子が前記エッジに設けられている構成。又は、複数のフック形髪係合素子を有し、該髪係合素子は可撓性を有する下地部材に設けられ、該下地部材はその一部が空間部を介してブラシ本体から浮き上がっており、少なくとも下地部材の浮き上がっている部分の全部又は一部の表面に髪係合素子が設けられている構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に一般家庭で使用されるヘアブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
頭髪を整えるために従来から使用されている整髪用具として櫛とヘアブラシが挙げられる。ヘアブラシは多数のブリッスルがブラシ台の表面に立設された構成である。ヘアブラシはブリッスルに関し2種類の構成が存在する。その一つは、豚毛のような細い材料で構成されたブリッスルの毛束がブラシ台に立設され、そのような毛束がブラシ台に多数立設されたヘアブラシである。他の一つは、1本のブリッスルが比較的太く合成樹脂で形成され、且つ多数のブリッスルが一本ごとにブラシ台と一体に立設されたヘアブラシである。したがって、このブリッスルは束ねられていない。
【0003】
他の整髪用具である櫛は、多数の直線状の櫛歯が平行に並ぶ構成であって、頭髪に櫛目を付けて端正な髪型とすることに向いている。また、この櫛を利用して逆毛を立てることもできる。しかし、櫛歯は直線状に延びているので櫛歯に対する頭髪の引っ掛かりが十分でなく、効率的に逆毛を立てることができない。さらに、ドライヤーを使用しながら櫛で頭髪を押えることもできる。しかし、寝癖がついて立っている頭髪を寝かせようとする場合には、立っている頭髪が櫛歯と櫛歯の間に入り込んでしまうからその頭髪を頭皮に押し付けることができない。したがって、寝癖のついている立った頭髪に櫛を宛がってドライヤーで加熱しても、頭髪を寝かせるように整えることは困難である。
【0004】
前述した豚毛のような細いブリッスルを有するヘアブラシは毛束のブリッスルの密度が高い。したがって、寝癖がついて立っている頭髪を寝かせるためにドライヤーを使用するときは、立っている頭髪を頭皮に押し付けながら加熱することができる。そして、このブリッスルは細いものであり且つ長さについては通常の櫛の櫛歯程度の比較的長めに形成されている。したがって、毛束にしたときはそれ全体で適度の腰の強さを有しているが、個々の1本のブリッスルの腰は非常に弱い。この1本のブリッスルの腰が弱いということが逆毛を立てることを困難にしている。すなわち、逆毛を立てるためにブリッスルを頭髪の中に通して頭髪をかき上げようとしても、ブリッスル自身がその腰の弱さによって撓んでしまい頭髪をかき上げることができない。また、頭髪をかき上げることができない他の理由は、ブリッスルは腰の弱さによって容易に撓むから、ブリッスルとそれに接触している頭髪との間の圧力が大きくならず、頭髪をかき上げるために必要な摩擦力を得られないことである。
【0005】
豚毛のブリッスルを使用しないヘアブラシ、すなわち1本のブリッスルが比較的太く合成樹脂で形成され、且つ多数のブリッスルが一本ごとにヘアブラシ台と一体に立設されたヘアブラシは、前述した櫛といくつかの同じ特徴を有する。すなわち、逆毛を立てることはできるがブリッスルに対する頭髪の引っ掛かりが悪く、効率的に逆毛を立てることができない。さらに、寝癖がついて立っている頭髪を寝かせるためにドライヤーを使用するときにブリッスルで頭髪を押えることが必要であるが、立っている頭髪はブリッスルとブリッスルの間に入り込んでしまうからその頭髪を頭皮に押し付けることができない。したがって、寝癖のついている立った頭髪にこのヘアブラシを宛がってドライヤーで加熱しても、頭髪を寝かせるように整えることは困難である。
【0006】
前述したヘアブラシの改善策として、ブラシ毛に枝部を設けて頭髪の引っ掛かりを良くし、逆毛を立てたりするのに適したヘアブラシが提案されている。このヘアブラシはブラシ毛に枝部を設けるのであるから、ブラシ毛自体はある程度の強度を有していなければならず、使用時にほとんど撓まないだけの強度が必要である。ブラシ毛として1本の豚毛のように強度の小さな材料を使用すると、腰が弱すぎてブラシ毛が容易に撓んで頭髪を引っ掛けてかき上げることができないからである。また、枝部の延びる方向は頭髪を梳くときのヘアブラシの移動方向に対して横方向でなければならない。枝部がヘアブラシの移動方向に延びていると、枝部に頭髪がからまず逆毛を立てることなどができないからである。
【0007】
前述した従来のヘアブラシは、枝部がブラシ毛の移動方向に対して横方向に延びているから、頭髪にブラシ毛を差し入れようとしても枝部が邪魔になって円滑に差し入れることができない。すなわち、ブラシ毛の最も先端側にある枝部は頭髪と容易に接するが、それよりも奥の枝部にはそれよりも先端側の枝部が邪魔になって頭髪に侵入しないのである。そのために、ブラシ毛同士の距離を通常のヘアブラシよりも大きくしなければならないので逆毛を立てる整髪作業が効率的でない。また、ブラシ毛同士の距離を従来のままにしようとすれば、枝部の長さを小さくする必要があり枝部の効果は非常に小さくなって整髪作業が効率的でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−276828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
逆毛を立てたり頭髪の寝癖を直したりなどの整髪作業を確実且つ効率的に行う。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1は、 複数のフック形髪係合素子を有し、屈曲した面によって構成されるエッジが延在しており、前記髪係合素子が前記エッジに設けられている構成である。
【0011】
請求項2は、ブラシ本体に下地部材が装着されており、下地部材にエッジが存在する要素が請求項1に付加された構成である。
【0012】
請求項3は、髪係合素子が可撓性を有する下地部材に設けられている要素が請求項2に付加された構成である。
【0013】
請求項4は、下地部材が繊維織物製であって、髪係合素子は下地部材を構成する繊維で形成されている要素が請求項2又は請求項3のいずれか一項に付加された構成である。
【0014】
請求項5は、下地部材のエッジの内面と、この内面と対向するブラシ本体との間に空間部が存在し、この部分で下地部材がブラシ本体から浮き上がっている要素が請求項2乃至請求項4のいずれか一項に付加された構成である。
【0015】
請求項6は、ヘアブラシは髪を梳くための櫛歯を有し、該櫛歯はブラシ本体と別体の櫛部材に形成され、櫛部材の基部の長さ方向に沿って一対の対向する挟圧部が延在しており、折り曲げられた下地部材がブラシ本体の上部を覆うように当接し、櫛部材をブラシ本体に取り付けたときに前記挟圧部が下地部材の両側の縁部表面を挟圧する要素が請求項3乃至請求項5のいずれか一項に付加された構成である。
【0016】
請求項7は、複数のフック形髪係合素子を有し、この髪係合素子は可撓性を有する下地部材に設けられ、下地部材はその一部が空間部を介してブラシ本体から浮き上がっており、少なくとも下地部材の浮き上がっている部分の全部又は一部の表面に髪係合素子が設けられている構成である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1は、 複数のフック形髪係合素子を有し、屈曲した面によって構成されるエッジが延在しており、前記髪係合素子が前記エッジに設けられている構成である。フック形髪係合素子の代表的な形態は雄型面ファスナーに設けられている係合素子である。素子であるから、髪係合素子はヘアブラシのブリッスルに比べてはるかに小さく短い。髪係合素子が繊維で形成されたものであってもブリッスルよりもはるかに短いから腰が強く、頭髪をかき上げて逆毛を立てるときに頭髪との摩擦力によって大きく撓むことがない。したがって、確実に逆毛を立てることができる。また、髪係合素子はフック形である。したがって、逆毛を立てるときにそのフック形部分が頭髪にしっかり引っ掛かって確実且つ効率的に逆毛を立てることができ。さらに、髪係合素子は延在しているエッジに設けられていてブリッスルに枝のように設けられているものではないから、髪係合素子を多数設けて髪係合素子同士の距離が小さくなっても個々の髪係合素子が頭髪を確実にキャッチして効率良く整髪作業ができる。さらに、寝癖の付いた頭髪を押えながらドライヤーで整えるときに、髪係合素子は小さいのでそのフック形の内側に入った頭髪をエッジで押えることができるので、確実に寝癖を直すことができる。
【0018】
請求項2は、ブラシ本体に下地部材が装着されており、下地部材にエッジが存在する構成である。したがって、目的に合わせて種々の材料の下地部材を選択することができる。例えば、エラストマーのように摩擦力の大きな材料を使用したときは、下地部材の表面も頭髪と接触して頭髪をかき上げる作用をなすから効率的に整髪できる。また、下地部材の材料として柔軟性のある合成樹脂などを使用したときは、頭髪を押さえ付けるときの頭皮に対する当たりが強くない。
【0019】
請求項3は、髪係合素子が可撓性を有する下地部材に設けられている構成である。したがって、下地部材を用具本体に取り付けるだけで頭髪用具は髪係合素子を備えることができるので製造が容易である。また、面ファスナーを利用することもできるから新たな製造設備が不要である。
【0020】
請求項4は、下地部材が繊維織物製であって、髪係合素子は下地部材を構成する繊維で形成されている。したがって、髪係合素子は織物を織るのと同時に形成されるから製造が容易である。また、面ファスナーを利用することもできるから新たな製造設備が不要である。
【0021】
請求項5は、下地部材のエッジの内面と、この内面と対向するブラシ本体との間に空間部が存在し、この部分で下地部材がブラシ本体から浮き上がっている。したがって、逆毛を立てるときなどに下地部材のエッジが押されて変形し、1つの髪係合素子に係合していた頭髪が隣の髪係合素子にも同時に係合することもあり、より確実に頭髪をかき上げることができる。また、下地部材が特に柔軟性に富むものであるときあるいは下地部材の浮き上がり量が大きいときは、下地部材が撓みやすいので、頭髪をかき上げるときに無理な力で頭髪を引っ張らず、逆毛を立てるときに生じる頭髪の痛みを効果的に防止することができる。
【0022】
請求項6は、ヘアブラシが髪を梳くための櫛歯を有し、櫛歯はブラシ本体と別体の櫛部材に形成され、櫛部材の基部の長さ方向に沿って一対の対向する挟圧部が延在しており、折り曲げられた下地部材がブラシ本体の上部を覆うように当接し、櫛部材をブラシ本体に取り付けたときに前記挟圧部が下地部材の両側の縁部表面を挟圧する構成である。したがって、整髪時に櫛と髪係合素子を簡単に使い分けることができるから便利であり、旅行などに特に便利である。また、挟圧部が下地部材の両側の縁部表面を挟圧するので、下地部材をブラシ本体に確実に取り付けることができる。したがって、下地部材がブラシ本体から剥がれたり、さらに剥がれてめくれ上がったりすることを確実に防止できる。
【0023】
請求項7は、複数のフック形髪係合素子を有し、この髪係合素子は可撓性を有する下地部材に設けられ、下地部材はその一部が空間部を介してブラシ本体から浮き上がっており、少なくとも下地部材の浮き上がっている部分の全部又は一部の表面に髪係合素子が設けられている。素子であるから、髪係合素子はヘアブラシのブリッスルに比べてはるかに小さく短い。したがって、使用時に一つの髪係合素子が他の髪係合素子と頭髪との係合を邪魔することがないので、各髪係合素子がそれぞれ確実に頭髪と係合するから効率的に整髪することができる。また、下地部材の髪係合素子が設けられている部分はブラシ本体から浮き上がっているので、逆毛を立てるときに下地部材が押されて変形し、1つの髪係合素子に係合していた頭髪が隣の髪係合素子にも同時に係合することもあり、より確実に頭髪をかき上げることができる。また、下地部材が特に柔軟性に富むものであるときあるいは下地部材の浮き上がり量が大きいときは、下地部材が撓みやすいので、頭髪をかき上げるときに無理な力で頭髪を引っ張らず、逆毛を立てるときに生じる頭髪の痛みを効果的に防止することができる
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は本発明の正面図である。
【図2】図2は図1におけるA−A拡大断面図である。
【図3】図3は下地部材に設けられた髪係合素子の拡大斜視図である。
【図4】図4は図3の拡大平面図である。
【図5】図5は別体の下地部材に取り付けられた髪係合素子の拡大図である。
【図6】図6はブラシ本体とそれに結合されたハンドルの正面図である。
【図7】図7は図6におけるB−B拡大断面図である。
【図8】図8は櫛部材の正面図である。
【図9】図9は図8におけるC−C拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の実施形態について説明する。本実施形態のヘアブラシ1は、ブラシ本体2と、多数の髪係合素子3を有する面ファスナー4と、櫛歯5を有する櫛部材6と、ハンドル7とから成る。
【0026】
面ファスナー4は、繊維織物で形成された下地部材8と、下地部材8を構成する繊維で構成されたモノフィラメントのループに切断開口24を設けることにより形成された髪係合素子3とから成る。ループはその中央から偏倚した位置で切断されており、切断された一方のループがJ字形のフック状となる。ループの中央で切断したときは一つのループで2つの半円形のフック状髪係合素子が形成される。繊維としては例えばポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレンなどの合成繊維が使用される。
【0027】
図4に示すように、下地部材8は高密度の縦繊維群9と横繊維群10がそれぞれ一定間隔ごとに繰り返される配列となっている。縦繊維群9,9の間隔は横繊維群10,10の間隔よりも小さく約0.5mmである。横繊維群10,10の間隔は約1.4mmである。縦繊維群9は図1において縦方向に延びており、横繊維群10は図1において横方向に延びている。髪係合素子3は、縦繊維群9と横繊維群10の交点に設けられている。したがって、横方向に隣接する2つの髪係合素子3,3の間隔は、縦方向に隣接する2つの髪係合素子3,3の間隔よりも小さい。また、ループ状の髪係合素子3は下地部材8を構成する縦繊維群9と横繊維群10の延びる方向に対して斜めになるように設けられている。なお、縦繊維群9及び横繊維群10のいずれか一方又は双方の繊維群を高密度の群とせずに、等間隔に並ぶ1本ごとの繊維の配列でもよい。横方向に隣接する2つの髪係合素子3,3の間隔は、縦方向に隣接する2つの髪係合素子3,3の間隔よりも大きくてもよい。
【0028】
図5は、面ファスナーの他の実施例である。下地部材11は合成樹脂のシートで構成されており、その表面に髪係合素子3が設けられている。下地部材11は例えばポリ塩化ビニルで形成される。
【0029】
図6は、ブラシ本体2とハンドル7の結合を示す図である。ハンドル7は支軸12により回転可能にブラシ本体2に取り付けられているので、ヘアブラシ1は折り畳み式である。ブラシ本体2は長さ方向に延びるフレーム13を有する。このフレーム13に面ファスナー4と櫛部材6とが取り付けられる。図2に示すように、面ファスナー4は中央で折り曲げられフレーム13の上面14を跨ぐように取り付けられ、その跨いでいる面ファスナーは浮き上がった状態である。面ファスナー4とフレーム13とは粘着剤で貼着されている。接着剤で貼着してもよい。面ファスナー4が折り曲げられることによってU字形に屈曲した面が下地部材8に形成される。この下地部材8のU字形に屈曲した面がエッジ15を構成する。面ファスナー4の下地部材8の内面とフレーム13の上面14の間に空間部16を有しており、下地部材8は上面14から浮き上がっている。浮き上がっているということは、浮き上がっている下地部材18が図2において上下左右に撓むことができるということである。なお、図2において面ファスナー4の両下端部付近には髪係合素子3が設けられていない。これは、後述するように櫛部材6を取り付けるためである。
【0030】
図8に示すように、櫛部材6は歯台17に多数の櫛歯5が設けられている。また、図9に示すように、歯台17の上端に一対の対向する挟持部18,18が設けられ、その間に嵌合部19が形成されている。櫛部材6をブラシ本体2のフレーム13に取り付けるときは、挟持部18,18が面ファスナー4の下端部付近を表面から挟持し、フレーム13の下方部分と嵌合部19を嵌合させて両者を結合する。面ファスナー4の下端部付近が挟持部18,18によって挟持されるので、面ファスナー4がフレーム13から剥がれたりめくれ上がることを確実に防止できる。また、歯台17の前後に形成した係止部20,21が、フレーム13の前後に形成した係止凹部22,23に係止して櫛部材6をフレーム13に確実に結合する。
【0031】
次に本発明の使用方法について説明する。ヘアブラシ1で逆毛を立てるときは、ハンドル7を手に持ち、エッジ15を頭髪に当てるようにしてヘアブラシ1で頭髪をかき上げる。ヘアブラシ1の移動に伴い、エッジ15付近の髪係合素子3が、その切断開口24から髪係合素子3のループに入り込んだ頭髪に係合して頭髪をかき上げ整髪する。図4で明らかなように、横に隣接する髪係合素子3,3の横方向の間隔がほとんどなく、髪係合素子3が縦繊維群9に対して斜めに設けられている。これにより、ヘアブラシ1を移動させたときに、横に隣り合う髪係合素子の間をすり抜ける頭髪の量を非常に少なくすることが可能で、高い割合で頭髪が髪係合素子3に接して係合するから効率的に逆毛を立てることができる。
【0032】
そして、髪係合素子3は合成繊維などの繊維で形成されているが、通常のヘアブラシのブリッスルよりもはるかに短いので、髪係合素子3は適度な腰の強さを有している。したがって、逆毛を立てるときなどにいくらか撓むが、頭髪と係合してその頭髪をしっかりかき上げることができる。
【0033】
本発明を使用して寝癖の付いた頭髪を確実に整えることができる。寝癖の付いた頭髪にエッジ15を宛がって頭髪を頭皮に押し付けながらドライヤーで加熱する。さらに、エッジ15を寝癖の付いた頭髪の毛先まで徐々にずらしながら加熱する。このとき、髪係合素子3は絡み合った頭髪や曲がった頭髪を正しい方向に修正するので、寝癖を取ると共に頭髪を本来の方向に整えることもできる。なお、前述したようにこの実施形態は櫛部材を有するヘアブラシに関する。したがって、逆毛を立てるなどのヘアブラシとして使用するときに、必要に応じて即座に櫛部材を使用することができて便利である。本実施形態は、櫛部材を使用しているときでも髪係合素子3の副次的効果を得ることができる。すなわち、ハンドルを握って櫛部材の櫛歯で頭髪を梳くときに、ハンドルを握っている手の人差し指をエッジ15の髪係合素子3の上に宛がうことによって、指先が滑らず人差し指の位置が安定するという効果も奏する。
【0034】
次に、本実施態様のサイズについて説明する。ヘアブラシ1の図1の状態の全長は約200mmである。櫛部材6の全長は約83mmである。髪係合素子3のサイズは、繊維の太さが約0.25mmであり、高さは約1.2mmであり、幅は約1.0mmである。高さ及び幅についてはいずれも5mm以下であることが好ましい。サイズは以上の通りであるが、本発明がこれらの数値に限定されないことは勿論である。
【0035】
なお、本発明は前述した構成に基づいて種々の態様をとることが可能である。例えば、髪係合素子3はブラシ本体2のフレーム13に直接設けてもよい。図2に示すように、フレーム13の上部の表面はコ字形に屈曲している。このフレーム13の上部のコ字形に屈曲した面がエッジを構成する。したがって、フレーム13に髪係合素子3を直接設けるときのエッジはフレーム13の上面14部分であり角型をなしている。エッジ15の断面形状はU字形や角型のほか三角形であってもよい。三角形のときは二等辺三角形であってもあるいは他の三角形であってもよい。また、髪係合素子3の形状はJ字形や半円形のフック状に限定されるものではない。例えばL字形であってもよい。ヘアブラシは櫛部材6を有しないものであってもよく、ハンドル7を有しないものでもよい。図2において、髪係合素子3はヘアブラシ1の両側面にも存在しているが、エッジ15の付近のみに設けたものであってもよい。髪係合素子3を全体的に覆うことができるカバーをハンドルと同じように回転可能に取り付けてもよく、あるいは着脱自在に取り付けてもよい。面ファスナー4はブラシ本体に貼着せずに、交換可能としてもよい。また、図1に示すように、ハンドル7の最も高い位置よりも髪係合素子3の最も高い位置の方が高い。これは、髪係合素子3を使用しやすくするためであるが、両者の位置関係はこれに限定されるものでなく両者の高さが逆であってもよく等しくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明によって、逆毛を確実且つ効率的に立てることができ、さらに、寝癖の付いた頭髪を確実且つ効率的に整えることができるヘアブラシを提供することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 ヘアブラシ
2 ブラシ本体
3 髪係合素子
4 面ファスナー
5 櫛歯
6 櫛部材
7 ハンドル
8 下地部材
9 縦繊維群
10 横繊維群
11 下地部材
12 支軸
13 フレーム
14 フレームの上面
15 エッジ
16 空間部
17 歯台
18 挟持部
19 嵌合部
20 係止部
21 係止部
22 係止凹部
23 係止凹部
24 切断開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフック形髪係合素子を有し、屈曲した面によって構成されるエッジが延在しており、前記髪係合素子が前記エッジに設けられていることを特徴とするヘアブラシ。
【請求項2】
ブラシ本体に下地部材が装着されており、下地部材にエッジが存在する請求項1記載のヘアブラシ。
【請求項3】
髪係合素子は可撓性を有する下地部材に設けられている請求項2記載のヘアブラシ。
【請求項4】
下地部材は繊維織物製であって、髪係合素子は下地部材を構成する繊維で形成されている請求項2又は請求項3のいずれか一項記載のヘアブラシ。
【請求項5】
下地部材のエッジの内面と、この内面と対向するブラシ本体との間に空間部が存在し、この部分で下地部材がブラシ本体から浮き上がっている請求項2乃至請求項4のいずれか一項記載のヘアブラシ。
【請求項6】
ヘアブラシは髪を梳くための櫛歯を有し、該櫛歯はブラシ本体と別体の櫛部材に形成され、櫛部材の基部の長さ方向に沿って一対の対向する挟圧部が延在しており、折り曲げられた下地部材がブラシ本体の上部を覆うように当接し、櫛部材をブラシ本体に取り付けたときに前記挟圧部が下地部材の両側の縁部表面を挟圧する請求項3乃至請求項5のいずれか一項記載のヘアブラシ。
【請求項7】
複数のフック形髪係合素子を有し、該髪係合素子は可撓性を有する下地部材に設けられ、該下地部材はその一部が空間部を介してブラシ本体から浮き上がっており、少なくとも下地部材の浮き上がっている部分の全部又は一部の表面に髪係合素子が設けられていることを特徴とするヘアブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−213730(P2010−213730A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38718(P2009−38718)
【出願日】平成21年2月22日(2009.2.22)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 〔発行者名〕貝印株式会社 〔刊行物名〕「2009/RSP/リテール サポート プラン」と題されたパンフレット 〔発行年月日〕平成20年12月9日
【出願人】(000001454)株式会社貝印刃物開発センター (123)
【Fターム(参考)】