説明

ヘアードライヤー

【課題】要素の配置がバランスを失すると使用時の使い勝手が悪く疲れ易いので、使い勝手のよく、マイナスイオンが発生できる、すなわち、手が疲れ難い、使い勝手がよいヘアードライヤーの提供。また、ミストが熱風により蒸発しにくい構造の提供。
【解決手段】ヘアードライヤーにおいて、一端に吸入口及び他端に吹出口を有する筒状の本体ケース上面に、吹出口に近い方から後方にマイナスイオンを帯びたミストを生成するミスト発生装置13、銀イオン水を貯留したタンク14並びに定電圧電源回路基板15及び超音波励振器駆動回路基板16を配置し、少なくとも上面の一部を覆うカバーにより収納する。ミスト発生装置、タンク、並びに、定電圧電源回路基板及び超音波励振器駆動回路基板は、ヘアードライヤーの重量バランスを考慮して選定した本体ケース上面の所定の位置に取り付けられる。本体ケースの上面であるので、熱風発生室とは分離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ヘアードライヤーに係り、詳しくはマイナスイオンを帯びたミストを生成するミスト発生装置、銀イオン水を貯留したタンク並びに定電圧電源回路基板及び超音波励振器駆動回路基板を備えたヘアードライヤーに関し、これらの各要素がヘアードライヤーの重量バランスを考慮して配置された、使い易いヘアードライヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘアードライヤーにおいて、ヘアードライヤー本体の風の吹出口から吹出される風を、細胞の活性化、抵抗力の増進、自律神経の調整など人体に好影響を与えるといわれるマイナスイオン化して、マイナスイオンにより頭髪に好影響を与えるようにしたヘアードライヤーが知られている。
【0003】
この種のヘアードライヤーとしては、図7に示したような、特許文献1に開示された、空気吸込口53及び空気吹出口54を有する本体50と、本体50の内部に設けられ、空気吸込口53から本体の内部に空気を吸い込み、本体の内部で空気流を発生させて、吹出口54から空気流を吐出させる送風手段51と、送風手段により発生される空気流の一部又は全部を加熱する加熱手段55と、液体を貯蔵するタンク61、タンクから供給される液体を静電霧化して、静電霧化ミストを噴出させる静電霧化ミスト噴射口60を有する静電霧化装置56を備え、静電霧化ミスト噴射口は、送風手段により発生する空気流の流路中に設けられ、静電霧化ミスト噴射口から噴射される静電霧化ミストが空気吹出口から吐き出される空気流中に分散される静電霧化ヘアードライヤーがある。
【0004】
このヘアードライヤーにおいては、静電霧化装置56を構成するタンク61は本体50の外周部近傍のタンク装着部62に着脱可能に設けられている。電極部57の中心電極58に高電圧を印加する高電圧発生回路59は、本体50の内部上方、空気吹出口54に近いタンク61の前方に設けられている。
【0005】
また、特許文献2に開示されたヘアードライヤー71は、図8に示したように、横に長いヘアードライヤー本体72の長手方向における一端に空気吸込口77から吸い込んだ空気を吹き出す空気吹出口76を形成し、ヘアードライヤー本体72に下側に向けてグリップ73を突設したヘアードライヤーにおいて、霧化部83と、霧化部に対向する対向電極84と、液体を貯蔵するタンク85と、タンクから供給される液体を霧化部まで搬送する搬送路86を具備して、霧化部83及び対向電極84間に電圧を印加することにより霧化部83で液体を静電霧化して帯電ミストを生成させる静電霧化装置82を有し、タンク85を搬送路の下流側端部よりも上方の取り付け部87に配設したヘアードライヤーがある。
【0006】
このヘアードライヤー71においては、静電霧化装置82を構成するタンク85は本体72の上部のタンク取付け部87に着脱可能に取り付けられている。電極部89の中心電極83に高電圧を印加する高電圧発生回路からなる電圧印加部(図示しない)は、本体72の内部側面、モーター88の横に設けられている。また、その制御回路は本体に突設したグリップ73内に配設してある。
【0007】
このようなヘアードライヤーによれば、濡れた毛を乾燥させたり、ブラシ等とともに使用したりしてブローをする場合には、髪に優しいマイナスイオンを帯びたミストにより、しっとりした感じを与えることができる。しかしながら、マイナスイオン化するための高電圧発生回路からなる電圧印加部、ミストを生成するミスト発生装置及びタンクが通常のヘアードライヤーに付加される結果ヘアードライヤーが重くなり、それらの配置にバランスを失すると使用時の使い勝手が悪く疲れ易いという問題があった。電極部の中心電極に高電圧を印加する高電圧発生回路からなる電圧印加部が、タンクの前方やモーターの横の本体の内部側面に設けられていることも、ヘアードライヤー本体の前後や軸方向の左右におけるバランスを損なっていた。
【特許文献1】特開2006−87836号公報(段落(0005)、(0026)〜(0028)、図1、)
【特許文献2】特開2006−204596号公報(段落(0007)、(0025)、(0029)〜(0030)図1、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの特許文献1、2のヘアードライヤーにおいては、静電霧化装置を構成するタンクは、本体の上部のタンク取付け部に着脱可能に取り付けられている。電極部の中心電極に高電圧を印加する高電圧発生回路からなる電圧印加部は、タンクの前方や本体部の内部側面、空気吹出口に近いモーターの横に設けられている。制御回路は、本体に突設したグリップ内に配設してある。したがって、通常のヘアードライヤーよりも重くなり、それらの部品要素の配置がバランスを失すると使用時の使い勝手が悪く疲れ易いので、使い勝手のよい、マイナスイオンが発生できるヘアードライヤーが求められていた。すなわち、手が疲れ難い、使い勝手がよいヘアードライヤーが望まれている。
【0009】
また、熱源、ファン及びファンを駆動するモーターを内蔵した室内に,ミスト発生装置の静電霧化ミスト噴射口が設けられているため、静電霧化ミストが熱風により蒸発し易いという問題があった。
【0010】
本願の発明者は、前記の問題点を解決すべく種々検討を行った結果、ヘアードライヤーのミスト発生装置等に着目し、本体ケース上面に吹出口に近い方から後方にマイナスイオンを帯びたミストを生成するミスト発生装置、銀イオン水を貯留したタンク並びに定電圧電源回路基板及び超音波励振器駆動回路基板を配置して、部品を適切に配置することによってバランスよく使い勝手の優れたヘアードライヤーが提供できる本発明を完成するに至ったものである。
【0011】
すなわち、本発明は、部品を適切に配置することによってバランスよく使い勝手の優れたヘアードライヤーを提供することを目的とするものである。
【0012】
また、本発明は、熱源、ファン及びファンを駆動するモーターを内蔵した加熱室と,静電霧化ミストを噴出させるミスト発生装置を有する室とを分離することによって、静電霧化ミストの熱風による蒸発を少なくすることができ、効率よくマイナスイオンを帯びたミストを発生することができるヘアードライヤーを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明に係るヘアードライヤーは、一端に吸入口及び他端に吹出口を有する筒状の本体ケースの内部に熱源、ファン及びファンを駆動するモーターを内蔵したヘアードライヤーにおいて、該本体ケース上面に前記吹出口に近い方から後方にマイナスイオンを帯びたミストを生成するミスト発生装置、銀イオン水を貯留したタンク並びに定電圧電源回路基板及び超音波励振器駆動回路基板を配置し、少なくとも該上面の一部を覆うカバーにより収納したことを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明に係るヘアードライヤーは、請求項1に記載のヘアードライヤーにおいて、前記ミスト発生装置、銀イオン水を貯留したタンク並びに定電圧電源回路基板及び超音波励振器駆動回路基板は、前記ヘアードライヤーの重量バランスを考慮して選定した前記本体ケース上面の所定の位置に取り付けられたことを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明に係るヘアードライヤーは、請求項1又は2のいずれかに記載のヘアードライヤーにおいて、前記本体ケース上面が平坦に形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明に係るヘアードライヤーは、請求項3に記載のヘアードライヤーにおいて、前記銀イオン水を貯留したタンクが、前記本体ケース上面に着脱自在に装着されていることを特徴とする。
【0017】
請求項5の発明に係るヘアードライヤーは、請求項1乃至4のいずれか一に記載のヘアードライヤーにおいて、前記本体ケース上面後部に前記定電圧電源回路基板及び超音波励振器駆動回路基板が前後に配置して取り付けられたことを特徴とする。
【0018】
請求項6の発明に係るヘアードライヤーは、請求項1乃至4のいずれか一に記載のヘアードライヤーにおいて、前記本体ケース上面後部に前記定電圧電源回路基板及び超音波励振器駆動回路基板が左右に配置して取り付けられたことを特徴とする。
【0019】
請求項7の発明に係るヘアードライヤーは、一端に吸入口及び他端に吹出口を有する筒状の本体ケースの内部に、該本体ケース内を上下に仕切る仕切り壁を設け、下部室内に熱源、ファン及びファンを駆動するモーターを内蔵したヘアードライヤーにおいて、上部室内の吹出口に近い方から後方に、マイナスイオンを帯びたミストを生成するミスト発生装置、銀イオン水を貯留したタンク並びに定電圧電源回路基板及び超音波励振器駆動回路基板を配置収納したことを特徴とする。
【0020】
請求項8の発明に係るヘアードライヤーは、請求項7に記載のヘアードライヤーにおいて、前記ミスト発生装置、銀イオン水を貯留したタンク並びに定電圧電源回路基板及び超音波励振器駆動回路基板は、前記ヘアードライヤーの重量のバランスを考慮して選定された前記仕切り壁の所定の位置に取り付けられたことを特徴とする。
【0021】
請求項9の発明に係るヘアードライヤーは、請求項8に記載のヘアードライヤーにおいて、前記銀イオン水を貯留したタンクが前記仕切り壁に着脱自在に装着されており、前記本体ケースに設けた蓋から着脱可能になされたことを特徴とする。
【0022】
請求項10の発明に係るヘアードライヤーは、請求項7乃至9のいずれか一に記載のヘアードライヤーにおいて、前記上部室には、前記仕切り壁の後部に前記定電圧電源回路基板及び超音波励振器駆動回路基板が前後に配置して取り付けられたことを特徴とする。
【0023】
請求項11の発明に係るヘアードライヤーは、請求項7乃至9のいずれか一に記載のヘアードライヤーにおいて、前記上部室には、前記仕切り壁の後部に前記定電圧電源回路基板及び超音波励振器駆動回路基板が左右に配置して取り付けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
請求項1の発明によれば、このヘアードライヤーは、一端に吸入口及び他端に吹出口を有する筒状の本体ケースの内部に熱源、ファン及びファンを駆動するモーターを内蔵したものにおいて、本体ケース上面に吹出口に近い方から後方にマイナスイオンを帯びたミストを生成するミスト発生装置、銀イオン水を貯留したタンク並びに定電圧電源回路基板及び超音波励振器駆動回路基板を配置したものであり、これらの要素を適切に配置することによって、バランスよく使い勝手の優れたヘアードライヤーを提供することができる。
【0025】
また、熱源、ファン及びファンを駆動するモーターを内蔵した熱風発生室と,ミストを生成するミスト発生装置を有する室とを分離したので、ミストの熱風による蒸発を少なくすることができ、効率よくマイナスイオンを帯びたミストを発生するヘアードライヤーを提供することができる。
【0026】
請求項2の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、ミスト発生装置、銀イオン水を貯留したタンク並びに定電圧電源回路基板及び超音波励振器駆動回路基板は、ヘアードライヤーの重量バランスを考慮して選定した本体ケース上面の所定の位置に取り付けられているので、バランスよく使い勝手の優れたヘアードライヤーを提供することができる。
【0027】
請求項3の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加えて、ミスト発生装置、銀イオン水を貯留したタンク並びに定電圧電源回路基板及び超音波励振器駆動回路基板が装着される本体ケース上面が平坦に形成されているので、これらの要素を装着し易く、取り外し易いので、タンクの水等の補給や、各装置や基板を修理する場合にも簡単に行なうことができる。
【0028】
請求項4の発明によれば、請求項3に記載の発明の効果に加えて、このヘアードライヤーは、銀イオン水を貯留したタンクが本体ケース上面に着脱自在に装着されていることにより、タンクの水等の補給や、洗浄を容易に行なうことができる。
【0029】
請求項5及び請求項6の発明によれば、請求項1乃至4に記載の各発明の効果に加えて、本体ケース上面後部に定電圧電源回路基板及び超音波励振器駆動回路基板が前後に配置したり、左右に配置したりして取り付けられる。このように製品の設計時に並べ方を選択することにより、よりバランスのよいヘアードライヤーを得ることができる。
【0030】
請求項7の発明によれば、このヘアードライヤーは、一端に吸入口及び他端に吹出口を有する筒状の本体ケースの内部に、本体ケース内を上下に仕切る仕切り壁を設け、下部室内に熱源、ファン及びファンを駆動するモーターを内蔵したヘアードライヤーにおいて、上部室内の吹出口に近い方から後方に、マイナスイオンを帯びたミストを生成するミスト発生装置、銀イオン水を貯留したタンク並びに定電圧電源回路基板及び超音波励振器駆動回路基板を配置収納したことにより、要素を適切に配置することによって、バランスよく使い勝手の優れたヘアードライヤーを提供することができる。
【0031】
また、熱源、ファン及びファンを駆動するモーターを内蔵した熱風発生室と,ミストを生成するミスト発生装置を備えた室とを分離したので、ミストの熱風による蒸発を少なくすることができ、効率よくマイナスイオンを帯びたミストを発生するヘアードライヤーを提供することができる。
【0032】
請求項8の発明によれば、請求項7に記載の発明の効果に加えて、このヘアードライヤーは、ミスト発生装置、銀イオン水を貯留したタンク並びに定電圧電源回路基板及び超音波励振器駆動回路基板が、ヘアードライヤーの重量のバランスを考慮して選定された仕切り壁の所定の位置に取り付けられているので、バランスよく使い勝手の優れたヘアードライヤーを提供することができる。
【0033】
請求項9の発明によれば、請求項8に記載の発明の効果に加えて、このヘアードライヤーは、銀イオン水を貯留したタンクが仕切り壁に着脱自在に装着され、ケース外部から蓋を開けて装着取り外し可能になされていることにより、タンクの水等の補給や、洗浄を容易に行なうことができる。
【0034】
請求項10又は請求項11の発明によれば、請求項7乃至9に記載の発明の効果に加えて、このヘアードライヤーは、上部室内の定電圧電源回路基板及び超音波励振器駆動回路基板が、前後に配置したり、左右に配置したりして仕切り壁の後部に取り付けられる。このように製品の設計時に並べ方を選択することにより、よりバランスのよいヘアードライヤーを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図面を参照して、本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのヘアードライヤーを例示するものであって、本発明をこのヘアードライヤーに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。
【実施例1】
【0036】
図面において、図1は、本発明に係るヘアードライヤーの一実施例の外観斜視図である。図2は、図1のヘアードライヤー内に設けられる本体ケースの斜視図、図3は、同ヘアードライヤーの模式的縦断面図である。図4は、同ヘアードライヤーの空気吹出口に近い部分における横断面図である。
【0037】
本発明に係るヘアードライヤー1は、図1〜図3に示すように、一端に吸入口2aを、他端に空気吹出口2bを有する筒状の本体ケース2を備えている。本体ケース2は、電気絶縁性の合成樹脂成型体で、本体ケース2の内部空洞には、吸入口2aから空気を吸引して吹出口2bから吐き出させるファン12及びこのファン12を駆動するファンモーター11、吸入した空気を加熱し温風とする熱源9が備えられている。ヘアードライヤー1の先端の空気吹出口2b近傍には、キャップ状のアタッチメント7が回転自由にかつ着脱自在に装着され、吹出される空気を整流して送風方向をコントロールする。
【0038】
ヘアードライヤー1のケースは、本体ケース2、本体ケース2の外側を覆う外ケース4、後部カバー5とアタッチメント7から構成されている。本体ケース2及びアタッチメント7は、ポリカーボネートや耐熱性ABS樹脂等の耐熱性プラスチックスの成型品により構成される。図3に示すように、本体ケース2は、前の部分2cと後の部分2dの2つの部分からなり、前の部分2cは縦断面の輪郭が前方に向けやや先細りになった略円筒形である。後の部分2dは、短い円筒状で前の部分2cに突き合わせて接合されている。本体ケース2の後端、すなわち本体ケース2の後の部分2dの後端は後部カバー5で、外気を吸入するための複数の孔を設けた吸入口2aとなっており、例えば多数の蜂の巣状の孔を備えた金属板が円形ドーム形状をなして取り付けられている。本体ケース2の前の部分2cの前端開口部は風の吹出口2bとなっており、その前にアタッチメント7が着脱自在に取り付けられる。
【0039】
本体ケース2の内部には、図3に示したように、熱風発生室8を配置している。すなわち、円筒形に形成された熱風発生室8は、その先端の外部へ熱風を吹き出す位置に吹出口グリル6が取り付けられ、本体ケース2の絶縁樹脂筒の内部にニクロム線などの熱源9を設けている。さらにその後に送風室10を設け、熱源の後方に風を送るファンモーター11を収納し、ファンモーター11に連結されたファン12を設けている。送風室10からファン12により、後部カバー5の吸入口から取り込んだ空気を熱風発生室8に送りこむ。なお、熱風発生室8の後部には、図示しないマイナスイオン発生装置が設けられていて、その配線が熱風発生室8の先端部に設けたマイナスイオン発生のためのマイナスイオン化針D1とその対向電極D2とに接続されている。
【0040】
ファンモーター11は、前端部を熱源9保持用の熱風発生室8の形状に形成した送風室10の絶縁筒の内部に設けた保持筒10aに嵌め合されて保持される。ファン12は、ファンモーター11に連結されて、送風室10の後側に配置されている。
【0041】
このヘアードライヤー1は、筒型をした本体ケース2の下面の後端部近くに取り付けられたハンドル3を備えている。ハンドル3は、本体ケースの下面から下方に向けて突出した保持部を支点にして軸支され、折りたたみ可能にケース本体2に取り付けられ、あるいは固定されている。ハンドル3は、本体ケース2と同様に電気絶縁性の合成樹脂成型体で、図示しないが、その外壁面には電源のオン・オフや温風冷風を切り替える操作スイッチなどが装着され、その内部には各種制御回路や配線が設けてある。このハンドルを握ってヘアードライヤーが操作される。
【0042】
ヘアードライヤー1は、本体ケース2の周囲をカバーする外ケース4によって、ケースが二重構造になっている。本体ケース2の熱風発生室8の壁と外ケース4との間に生じた空間は、そこに確保した空気層による遮熱効果を有する。
【0043】
本体ケース2の上面(ケースの上下はハンドル3の取り付けられた側を下とし、反対側を上とする)は平坦に形成されており、上面には吹出口2bに近い方から後方にマイナスイオンを帯びたミストを生成するミスト発生装置13、銀イオン水及び銀ペレットを貯留したタンク14並びに、定電圧電源回路基板15及び超音波励振器駆動回路基板16を配置し、図示しない取付け手段によって固定している。定電圧電源回路基板15には、ヘアードライヤーの電源電圧から電圧を落として超音波励振器駆動回路に定電圧を供給するための定電圧電源回路が搭載されている。これらの構成要素は、個々にミスト発生装置カバー13e、タンクカバー14c、回路基板カバー15a、16aに収納された上、図示しない外カバーで覆われている。
【0044】
ミスト発生装置13は、内部に水を入れるタンク14(そのタンク内に有って銀ペレットが収容される銀ペレット室14aが有る場合には、それを含む)と、タンク14の出口に装着された給水部材(フィルタ)13aと、この給水部材に接触して給水部材から漏出する水をミスト化して噴出させる超音波励振器13bとで構成されている。
【0045】
図示のタンク14には、その内部に所定量の水と、銀ペレットが収容されている銀ペレット室14aがあるが、銀ペレット室は特になくとも差し支えない。銀ペレットは、例えば銀材を不織布で被ったもので形成される。銀は、除菌、抗菌及び臭気を除去する性質を有するので、水を貯留したタンク内部に銀ペレットを入れておくと、タンク内の水が腐敗したり、あるいは悪臭を発生したりすることがなくなる。また、このタンク14から流出する水は、銀ペレットが発生する銀イオンを含有する銀イオン水となる。タンク14は、一端に水の流出口14bが形成されていて、流出口に多孔質の吸水部材13aが装着されている。タンク14内の水がこの吸水部材13aを伝わって外部に漏出され、超音波励振器13bでミスト化される。水の漏出を容易にするためにタンク14には負圧弁が設けられている。この銀イオン水を貯留したタンク14は、本体ケース2上面に着脱自在に装着されているので、水の補給やタンクの清掃に便利である。タンクは、タンクカバー14cに収納されている。
【0046】
超音波励振器13bは、表裏面に一対の対向電極13c,13dが施された、中心部に貫通孔が形成されたドーナツ状の圧電素子であり、一方の電極13cは圧電素子の貫通孔に対応する箇所が開口し、他方の電極13dは貫通孔を覆っている。電極13cの貫通孔に対応する箇所には複数個の微小な孔が形成されている。これらの微小な孔が形成された箇所がタンク14の流出口14bに装着された吸水部材13aに当接して設置されている。電極13c,13dに所定の高周波電圧が印加されると圧電素子は励振され、超音波振動を発生する。この超音波振動により電極13dの微小な孔を設けた部分が、タンクの流出口に装着された、銀イオン水を含んでいる吸水部材13aに接触と離反を繰り返す。これによって微小な孔から所定粒形のミストが生成されて噴出される。ちなみに、例示すると圧電素子の寸法は直径10mm、貫通孔の内径が5mm、電極13dの厚みは0.3〜0.17mm、微小な孔の直径は7〜9μmである。
【0047】
図4は、ヘアードライヤー1の空気吹出口2bに近い部分における横断面図である。ミスト発生装置13の前方から後方向を見た図であり、熱源など熱風発生室の詳細は省略してある。超音波励振器13b、タンク14などの要素は、平坦に形成した本体ケース2の上面に取り付けられている。タンク14及び銀ペレット室14aは、着脱自在に取り付けがなされている。14eはタンクカバーであり、その上を外カバー4で覆われている。超音波励振器13b、タンク14などの要素が、平坦に形成した本体ケース2の上面に取り付けられていて、本体ケース2の左右側面には取り付けられないため、重心ObとXb線とYb線の重量バランスも図られており、軸方向のバランスもよい。
【0048】
超音波励振器13bの前方には、マイナスイオンを発生するためのマイナスイオン化針D3と対向電極D4が配置されている。マイナスイオン化針D3と対向電極D4には、図示しないマイナスイオン発生装置から引き出したリード線を分岐した先端部が接続されており、マイナスイオンを発生させることにより、ミスト発生装置13で発生したミストをマイナスイオン化されたミストにする。
【0049】
ミスト噴射口は、本体ケース2上面に専用の送風手段として図示しないファン12Aとファンモーター11Aを取り付けて、発生する空気流の流路中におくことにより、ミスト噴射口から噴射されるミストが空気吹出口から吹き出される空気流中に分散されるようにすることができる。この場合、ファン12Aとファンモーター11Aは、本体ケース2上面後部に装着される定電圧電源回路基板15及び超音波励振器駆動回路基板16の後部に配置すると定電圧電源回路基板15及び超音波励振器駆動回路基板16の冷却装置も兼ねさせることができる。
【0050】
超音波励振器駆動回路基板16は、ミスト発生装置13のミストの発生などを制御する回路を搭載した基板である。この超音波励振器駆動回路基板16とハンドル3に装着したスイッチにより、例えば次の3モードが選択できる。
(1)マイナスイオンを含む風の送風:静電気付与回路とファン12Aとファンモーター11Aの駆動
(2)銀イオンミストの送風:ミスト発生装置13とファン12Aとファンモーター11Aの駆動
(3)マイナスイオンを含む風及び銀イオンミストの同時送風:静電気付与回路とミスト発生装置13とファン12Aとファンモーター11Aの駆動
このそれぞれモードに、本体ケース2の内部の熱風、温風及び冷風を組み合わせることができる。なお、定電圧電源回路基板15及び超音波励振器駆動回路基板16は、回路基板カバー15a、16aによって被われている。15b、16bは、マイナスイオン発生装置や超音波励振器駆動回路基板16などからのマイナスイオン化針やミスト発生装置への電気配線である。
【0051】
ミスト発生装置13、銀イオン水を貯留したタンク14並びに定電圧電源回路基板15及び超音波励振器駆動回路基板16(これらのためのファン12Aとファンモーター11A(図示せず)が別個に上部室19内に取り付けられた場合は、それらも含めて)は、ヘアードライヤー1の重量バランスを考慮して選定した本体ケース2上面の所定の位置に取り付けられている。すなわち図3に示したように、これらの構成要素は、ハンドル3の付け根の前部Oaが重心となるように、そこを中心として線XaとYa間の所定の角度例えば90度の範囲に納まるように、本体ケースの上面に配分され、かつ各要素のそれぞれの重量を考慮してバランスがよく取れるようにその位置が決められる。したがって、本体ケース2上面後部に配置される定電圧電源回路基板15及び超音波励振器駆動回路基板16は、その大きさや重量を考慮して、前後に配置して取り付けられることもあれば、左右に配置して取り付けられることもある。
【実施例2】
【0052】
図5は、本発明の他の実施例に係るヘアードライヤーの一実施例の模式的縦断面図である。図6は、図5のヘアードライヤーの送風室に近い部分における横断面図である。
【0053】
この実施例に係るヘアードライヤーは、上記実施例1のヘアードライヤーに比して主に仕切り壁を設けた構成及びそれに付随する構成以外は同じ構成を備えているので、共通する構成要素には同じ符号を付して説明を省略し、重点についてのみ説明することにする。
【0054】
実施例2のヘアードライヤーにおいては、一端に吸入口2a及び他端に吹出口2bを有する筒状の本体ケース2の内部に、本体ケース2内を上下に仕切る仕切り壁17を設けている。仕切り壁17で仕切られた下部室18内には熱源9とファン12及びファンを駆動するファンモーター11を内蔵している。本体ケース2の下側には、下方に向けてハンドル3を設けてある。仕切り壁17で仕切られた上部室19内には吹出口2bに近い方から後方に向けてマイナスイオンを帯びたミストを生成するミスト発生装置13、銀イオン水及び銀ペレットを貯留したタンク14並びに定電圧電源回路基板15及び超音波励振器駆動回路基板16を配置し、本体ケース2に収納している。
【0055】
また、仕切り壁17で区画された上部室19内に配置されたミスト発生装置13、銀イオン水及び銀ペレットを貯留したタンク14並びに定電圧電源回路基板15及び超音波励振器駆動回路基板16(これらのためのファン12A’とファンモーター11A’が別個に上部室19内に取り付けられる場合もあるが、その場合はそれらも含めて)は、ヘアードライヤー1の重量バランスを考慮して選定した、仕切り壁17に区画された上部室19内の所定の位置に取り付けられている。すなわち、図5に示したように、これらの要素はハンドル3の付け根の前部Oa’が重心となるように、そこを中心として線Xa’とYa’間の90度の範囲に納まるように、上部室19に配分され、かつ各要素のそれぞれの重量を考慮してバランスがよく取れるようにその位置が決められている。
【0056】
したがって、上部室19の仕切り壁17上面後部に配置される定電圧電源回路基板15及び超音波励振器駆動回路基板16は、その大きさや重量を考慮して、前後に配置して取り付けられることもあれば、左右に配置して取り付けられることもある。各要素を適切に配置することによって、バランスよく使い勝手の優れたヘアードライヤーを提供するものである。すなわち、図5においては、仕切り壁17の上面後部に定電圧電源回路基板15及び超音波励振器駆動回路基板16が左右に配置して取り付けられているが、定電圧電源回路基板15及び超音波励振器駆動回路基板16は、仕切り壁17の後部において前後に配置して取り付けられてもよい。なお、銀イオン水及び銀ペレットを貯留したタンク14は、上部室19に着脱自在に装着されており、その装着部分の本体ケース2には蓋2cが設けられ、タンク14は蓋2cを開けて着脱できるようになされている。
【0057】
本実施例もまた、熱源9、ファン12及びファンを駆動するファンモーター11を内蔵した熱風発生室8と,ミストを生成するミスト発生装置13を有する上部室19とを分離したので、ミストの熱風による蒸発を少なくすることができ、効率よくマイナスイオンを帯びたミストを発生するヘアードライヤーを提供することができる。さらに前記の要素は、仕切り壁17に区画される上部室に配分されるように、その位置に装着されてから本体ケース2内に組み立てることができるので、製造や補修も容易に行なうことができる。
【0058】
以上において見られるように、本発明に係るヘアードライヤーは、本体ケース2の上面に又は仕切り壁17で分けられた上部室内19に、吹出口に近い方から後方に向けて、マイナスイオンを帯びたミストを生成するミスト発生装置、銀イオン水及び銀ペレットを貯留したタンク並びに定電圧電源回路基板及び超音波励振器駆動回路基板を配置し、収納している。ミスト発生装置、銀イオン水及び銀ペレットを貯留したタンク並びに定電圧電源回路基板及び超音波励振器駆動回路基板は、ヘアードライヤーの重量のバランスを考慮して選定した所定の位置に取り付けられている。これらの要素を適切に配置することによって、ヘアードライヤーの使用時において疲れることが少なく、バランスがよく使い勝手の優れたヘアードライヤーを提供することができる。
【0059】
また、熱源、ファン及びファンを駆動するファンモーターを内蔵した熱風発生室と,ミストを生成するミスト発生装置を有する室とを分離したので、熱風によるミストの蒸発を少なくすることができ、効率よくマイナスイオンを帯びたミストを発生するヘアードライヤーを提供することができる。
【0060】
このヘアードライヤーを使用すれば、マイナスイオンが頭髪のキューティクルを保護するとともに、空気中や頭髪に存在している水分とマイナスイオンを結合させて髪の分子配列を整えることによって、キューティクルの広がりを防止して髪を滑らかにすることができる。マイナスイオンでイオン化された水分は、超微粒子となって髪の細胞内部に浸透して髪につやを出しながら適度の潤いを与えるので、熱風によりブローしたときも毛髪が保有水分を失いバサバサになるのを防ぐことができる。また、髪に潤いが与えられていると、油や埃などが付着し難くすることができる。さらに、髪の分子配列が整えられると、ブローが容易で、所望の髪型に整髪しやすくなる。マイナスイオンは、ブローの際に頭皮表面に対する刺激を和らげることができるので、肌に優しく健康によい。などの効果が得られる。
【0061】
また、このヘアードライヤーは銀イオン発生器つきであり、毛髪の乾燥およびトリートメントを行なう際に、生活環境化で多く存在する細菌を除菌・抗菌し、毛髪の根元や皮膚に付着したゴミや埃、あるいは皮膚から分泌される臭いの元を除去する銀イオンを帯びたミストを発生することができる。
【0062】
以上には、電熱式のヘアードライヤーを例として説明したが、実施例は、ヘアードライヤーの構造やその形式を限定するものではない。本発明は、電熱式に限らず、他の熱源による加熱方式のヘアードライヤーにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図1は、本発明に係るヘアードライヤーの一実施例の外観斜視図である。
【図2】図2は、図1のヘアードライヤー内に設けられる本体ケースの斜視図である。
【図3】図3は、図1のヘアードライヤーの模式的縦断面図である。
【図4】図4は、同ヘアードライヤーの空気吹出口に近い部分における横断面図である。
【図5】図5は、本発明の他の実施例に係るヘアードライヤーの縦断面図である。
【図6】図6は、図5のヘアードライヤーの送風室の部分における横断面図である。
【図7】図7は、従来のヘアードライヤーの断面図である。
【図8】図8は、他の従来のヘアードライヤーにおける断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 ヘアードライヤー
2 本体ケース
2a 吸入口
2b 吹出口
3 ハンドル
4 外ケース
5 後部カバー
6 吹き出しグリル
7 アタッチメント
8 熱風発生室
9 熱源
9a ニクロム線
10 送風室
11 ファンモーター
12 ファン
13 ミスト発生装置、
13a 吸水部材
13b 超音波励振器
14 タンク
14a 銀ペレット室
15 定電圧電源回路基板
16 超音波励振器駆動回路基板
17 仕切り壁
18 下部室
19 上部室
D1 マイナスイオン化針
D2 対向電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に吸入口及び他端に吹出口を有する筒状の本体ケースの内部に熱源、ファン及びファンを駆動するモーターを内蔵したヘアードライヤーにおいて、該本体ケース上面に前記吹出口に近い方から後方にマイナスイオンを帯びたミストを生成するミスト発生装置、銀イオン水を貯留したタンク並びに定電圧電源回路基板及び超音波励振器駆動回路基板を配置し、少なくとも該上面の一部を覆うカバーにより収納したことを特徴とするヘアードライヤー。
【請求項2】
前記ミスト発生装置、銀イオン水を貯留したタンク並びに定電圧電源回路基板及び超音波励振器駆動回路基板は、前記ヘアードライヤーの重量バランスを考慮して選定した前記本体ケース上面の所定の位置に取り付けられたことを特徴とする請求項1に記載のヘアードライヤー。
【請求項3】
前記本体ケース上面が平坦に形成されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のヘアードライヤー。
【請求項4】
前記銀イオン水を貯留したタンクが前記本体ケース上面に着脱自在に装着されていることを特徴とする請求項3に記載のヘアードライヤー。
【請求項5】
前記本体ケース上面後部に前記定電圧電源回路基板及び超音波励振器駆動回路基板が前後に配置して取り付けられたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載のヘアードライヤー。
【請求項6】
前記本体ケース上面後部に前記定電圧電源回路基板及び超音波励振器駆動回路基板が左右に配置して取り付けられたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載のヘアードライヤー。
【請求項7】
一端に吸入口及び他端に吹出口を有する筒状の本体ケースの内部に、該本体ケース内を上下に仕切る仕切り壁を設け、下部室内に熱源、ファン及びファンを駆動するモーターを内蔵したドライヤーにおいて、上部室内の吹出口に近い方から後方に、マイナスイオンを帯びたミストを生成するミスト発生装置、銀イオン水を貯留したタンク並びに定電圧電源回路基板及び超音波励振器駆動回路基板を配置収納したことを特徴とするヘアードライヤー。
【請求項8】
前記ミスト発生装置、銀イオン水を貯留したタンク並びに定電圧電源回路基板及び超音波励振器駆動回路基板は、前記ヘアードライヤーの重量のバランスを考慮して選定された前記仕切り壁の所定の位置に取り付けられたことを特徴とする請求項7に記載のヘアードライヤー。
【請求項9】
前記銀イオン水を貯留したタンクが前記仕切り壁に着脱自在に装着されており、前記本体ケースに設けた蓋から着脱可能になされたことを特徴とする請求項8に記載のヘアードライヤー。
【請求項10】
前記上部室には、仕切り壁の後部に前記定電圧電源回路基板及び超音波励振器駆動回路基板が前後に配置して取り付けられたことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一に記載のヘアードライヤー。
【請求項11】
前記上部室には、仕切り壁の後部に前記定電圧電源回路基板及び超音波励振器駆動回路基板が左右に配置して取り付けられたことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一に記載のヘアードライヤー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−22561(P2010−22561A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186885(P2008−186885)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】