説明

ヘアードライヤ

【課題】 簡単な構成であって、風量の損失の少ない、ブロウ効果に優れたヘアードライヤを提供すること、また、ファンからの風を整流することにより、勢いのある快適な風が得られる吐出ノズルを備えたヘアードライヤを提供すること。
【解決手段】 熱源18、ファン20a及び前記ファン20aを駆動するモータ19を内蔵したヘアードライヤ本体11の先端に吐出ノズル16を設け、吐出ノズルの内側に整流羽16aを設けて熱風発生室17を通過した風を整流する。吐出ノズル16の整流羽16aは風の吹き出し方向と同軸方向に配列され、熱風発生室17からの風にひねりを与える形状を有する。また、前記整流羽16aは前記熱風発生室17からの風に前記ファン20aの回転方向と反対方向のひねりを与える形状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアードライヤに係り、詳しくはヘアードライヤ本体の先端に設けた吐出ノズルの構造に関するもので、毛髪の乾燥、セットのための勢いのある快適な風が得られるヘアードライヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘアードライヤ、ヘアーブロッサあるいはハンドドライヤなどのヘアードライヤ類(以下、単に「へヤードライヤ」という)においては、へヤードライヤ本体の風の吐出口に吐き出される熱風等を絞って毛髪の乾燥、セットを行えるようにその先端部に吐出ノズルを備えている。しかし、単にノズルの開口面積を変化させて熱風等を絞るだけでは、整風された風を得ることはできても、風の流れに損失が生じるため風量が減少し、例えば熱風の温度が過剰に上昇して毛髪をいためるなどの問題があった。例えば吐出ノズルの中に内側ノズルを設けて二重構造とし、これによりノズルの内径を変化させたものもあるが、内側ノズルを絞ると、同様に内側ノズルの下流側部分に風の干渉が生じて、風の流れに損失を生じてしまう。
【0003】
そこで、ノズルにより風量の減少を抑えながら風速を増加させることで風のエネルギー損失を小さくするものとして、下記特許文献1(特開2001−204536号公報)に記載のヘアードライヤがある。これは図5に示すように吐風口51及び吸込口52を有するハウジング53の内部に、ファン54、モータ55、整流翼56及びヒータ57を具備するヘアードライヤにおいて、吐風口51のノズル58を内側ノズル60と外側ノズル59とで構成し、内側ノズル60に上流側から下流側に向かってノズル中心軸Xに向かって傾斜する傾斜部60eと傾斜部の60eの下流側において断面形状がノズル中心軸Xと略平行に形成された平行部60fとを形成したものがあった。
【特許文献1】特開2001−204536号公報(段落[0005]〜[0007]、図1、)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1の吐出ノズルにおいては、いずれも整風効果はあるが整流効果は得られない。そして、吐出ノズルの中に内側ノズルを設けた二重構造による風量の損失も免れ得ない。
【0005】
本願の発明者は、前記の問題点を解決すべく種々検討を行った結果、ヘアードライヤの吐出ノズルに着目し、従来扁平な円筒型であった吐出ノズルの内壁に風を整流する羽を形成したところ、ノズルを通して吐き出される風に勢いがつき、快適な風が得られ、ブロウ効果に優れたヘアードライヤが提供できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0006】
すなわち、本発明は、簡単な構成であって、風量の損失が少ない、ブロウ効果に優れたヘアードライヤを提供することを目的とするものである。
【0007】
また、本発明は、簡単な構成でファンからの風を整流することにより、勢いのある快適な風が得られる吐出ノズルを備えたヘアードライヤを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明に係るヘアードライヤは、熱源、ファン及び前記ファンを駆動するモータを内蔵したヘアードライヤ本体の先端に吐出ノズルを設け、該吐出ノズルの内側に整流羽を設け熱風発生室を通過した風を整流することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明に係るヘアードライヤは、請求項1に記載のヘアードライヤにおいて、前記吐出ノズルの整流羽は風の吹き出し方向と同軸方向に配列され、前記熱風発生室からの風にひねりを与える形状を有することを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明に係るヘアードライヤは、請求項2に記載のヘアードライヤにおいて、前記整流羽は、前記熱風発生室からの風に前記ファンの回転方向と反対方向のひねりを与える形状に形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明に係るヘアードライヤは、請求項1に記載のヘアードライヤにおいて、前記吐出ノズルは、その背面は本体外ケースに対応して円形に、正面は扁平な円筒形に形成され、該吐出ノズルの内壁面に設けた複数枚の整流羽は風の吹き出し方向と同軸方向に配列されかつ曲面を有し前記吐出ノズルの内部に突出して形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本願は上記構成を備えることにより、以下に示すような優れた効果を奏する。すなわち、請求項1の発明によれば、ヘアードライヤから排出される風の吹き出し口に吐出ノズルを取り付け、その吐出ノズルの内側に整流羽を設けたことにより、風量の損失が少なく、かつ良好な整流効果を得ることができるようになり、勢いの良い快適な風を排出できるようになる。
【0013】
また、請求項2の発明によれば、風の吹き出し方向と同軸方向に配列され前記熱風発生室からの風にひねりを与える形状を有する整流羽を設けたことにより、吐出ノズルから吹き出す風に変化を与えることができるので、快適な風が得られる、使いやすいヘアードライヤを提供できる。
【0014】
また、請求項3の発明によれば、前記整流羽のひねりは、回転方向と同じ方向であれば全く勢いのない風しか得られないが、前記ファンの回転方向と反対方向へのひねりを形成したことにより、勢いのあるブロウに適した快適な風が得られるようになる。
【0015】
請求項4の発明によれば、前記吐出ノズルは、その背面は本体外ケースに対応して円形に、正面は扁平な円筒形に形成され、該ノズルの内壁面に設けた複数枚の整流羽は風の吹き出し方向と同軸方向に配列されかつ曲面を有し吐出ノズルの内部に突出して形成されているので、簡単な構成で風量の損失が少なく、しかもファンからの風を絞ってさらに整流するので勢いの良い風を送り出すことができ、快適に毛髪の乾燥、セットを行うことができるヘアードライヤを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのヘアードライヤを例示するものであって、本発明をこのヘアードライヤに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0017】
図1は本発明に係るヘアードライヤの一実施例の側断面図であり、図2は図1のヘアードライヤの本体主要部の分解斜視図であり、図3はヘアードライヤの吐出ノズルの構造を示す図であり、図3(a)は背面図、図3(b)は平面図、図3(c)は正面図、図4は吐出ノズルの背後から見た内部を示す斜視図である。
【0018】
図1のヘアードライヤ1は、筒型をした本体11とこの本体11の下面の後端部近くに取り付けられたハンドル12を備えてなる。ハンドル12は、外ケース13の下面から突出した連結部を支点にして軸支され、折りたたみ可能に本体11に取り付けられている。また、ハンドル12には電源スイッチ14が設けてある。
【0019】
ヘアードライヤ1の外ケース13は、前の部分13aと後の部分13b、後部カバー15と吐出ノズル16から構成されている。外ケースの前の部分13aと後の部分13b及び吐出ノズル16はポリカーボネートや耐熱性ABS樹脂等の耐熱性透明プラスチックスの成型品により構成される。図2に示すように外ケース13は2つの部分からなり、前の部分13aは縦断面の輪郭が前方に向け先細になった略円筒形である。後の部分13bは、短い円筒状で前の部分13aに突き合わせて接合されている。本体11の後端、すなわち外ケースの後の部分13bの後端は外気を導入するための複数の孔を設けた吸気口であり、多数の蜂の巣状の孔を備えた金属板が円形ドーム形状をなして取り付けられた後部カバー15である。外ケースの前の部分13aの前端開口部は風の吹き出し口となっており、この前端開口部には吐出ノズル16が回転自在に取り付けられている。
【0020】
この本体11の外ケース13の内部には、図1に示すように、熱風発生室17を配置している。すなわち、円筒形に形成された熱風発生室17は、その外壁17aの中に絶縁外筒17bが配置され、熱風発生室17の先端の外部へ熱風を吹き出す位置に吹き出し口グリル21が取り付けられ、絶縁外筒17bの内部にニクロム線などの熱源18を、さらに熱源の後方には風を送るファンモータ19を収納し、その後に送風室20を設け、モータ19に連結されたファン20aを設けている。送風室20はファン20aにより、後部カバー15の吸気口から取り込んだ空気を熱風発生室17に送りこむ。
【0021】
図2に示すように、熱風発生室17には複数枚の放熱板22が、モータ19を収納する絶縁筒23から前部にかけて放射状に等間隔でヘアードライヤ本体11の軸方向に配置して設けられ、各放熱板22の外縁をつなぐようにニクロム線など(図示せず)が巻かれている。モータ19に連結された送風室20内のファン20aの風は、放熱板22の間を前方の吐出ノズル16に向かって送られる。
【0022】
アルミニウム、亜鉛鍍鋼板、ステンレススチールなどで作られた熱風発生室17の外壁17aは、例えば図1に縦断面を示し、図2に斜視図で外観を示したように、熱風発生室17の縦方向に対して直角な複数の波形の凹凸を持つように成形され、その外面は反射が良好になるよう研磨、めっき等の処理がなされている。図においては、波型は3つの山を持つよう成形されているが、その数は限定されるものではない。しかしながら、陰影を作る関係からは凹が2個、凸が3個程度が好ましいようである。そして波型の凹凸は吸気側においては空気の流路が大きくなるように、その内径が大きい凸型から形成される。こうようになせば、外壁17aにより空気の円滑な流入を妨げることがなくなる。外壁17aをこのような構成とし、更に本体11の外ケース13を透明又は半透明とすることにより、熱風発生室17の外壁17aの波形の凹凸による陰影が外ケース13を透かして見ると、外ケース13を透過した光が壁に当たって反射し、見る位置によって変化してさまざまな模様を作り出すので、美観を有するヘアードライヤが得られる。
【0023】
また、熱風発生室17の外壁17aの波形の凹凸により外ケース13との間に空間を生じ、そこに空気層を確保できるので遮熱効果を向上させることができるようになる。ただし、本発明においてはここで述べた外壁17aの形状に限定することなく、例えば、凹凸のない外壁を有するものであってもよい。
【0024】
熱風発生室17に、放熱板22と熱源18、モータ19、送風室20にファン20aなどを組み込み、さらに本体11の外ケース13にこれらの構成要素を組み込むにあたって、外ケースの前の部分13aに外ケースの後の部分13bを突合せ接合する工程においては、前の部分13aの内部に熱源18とモータ19とを前後に配して収納するが、この収納に際しては、あらかじめこれら熱源18及びモータ19に、絶縁外筒17bとアルミニウムやステンレススチールなどのような熱線を反射しやすい光沢や明色性に優れる金属製であって遮熱手段となる熱風発生室の外壁17aにより覆い、外ケース13の後の部分13bに送風室20を収め、その上で前の部分13aの後方から熱風発生室17ごと外ケースの前の部分13aに挿入する。
【0025】
この場合、モータ19に連結されたファン20aは、熱風発生室17の後側に配置される送風室20のファン保持筒に嵌め合わされる。そしてモータ19は、前端部が熱風発生室17の内部に配置される熱源保持用の形状に形成した絶縁筒23の内部に嵌め合わされている。その絶縁筒23の外周から放射状に張り出した複数の放熱板22の外周に熱源のヒータが巻きつけられている。またヒータの外周は放熱板22同士をつなぐように絶縁筒23と同心円状に一体化されたマイカシートのような絶縁外筒17bに囲まれ、この絶縁外筒17bが熱風発生室の外壁17aの内面に挿入され嵌め合わされている。
【0026】
次に、吐出ノズル16について図1〜図4を参照して説明する。
【0027】
図1と図2に示すように外ケース13の先端に回転自在に嵌めこまれる吐出ノズル16は、その背面は取り付けられる本体外ケース13aに対応して円形に、正面は吹き出す風を絞るように扁平な楕円形などに変形して形成される。なお、図3(a)の点線は、ドライヤ本体の先端から吐出ノズル16内に突出するイオン発生のための放電装置16cを示している。
【0028】
本発明に係るヘアードライヤの吐出ノズル16は、その内壁面に複数の整流羽16aを設けており、この整流羽16aは、実施例では6枚の大小の整流羽16aが風の吹き出し方向と同軸方向に配列され、かつその断面は曲線的に形成され、更に前記整流羽16aは曲面16bを有し、熱風発生室17からの風にひねりを与えるような形状で吐出ノズル16の内部に突出している。この整流羽16aのひねりの方向は、送風ファン20aの回転方向とは反対方向へのひねりであり、これによって吐出ノズル16から整流羽16aで矯正された勢いのあるブロウに適した快適な風が得られる。ちなみに、整流羽16aのひねりがファンの回転方向と同じ方向であれば全く勢いのない風しか得られない。
【0029】
このように、整流羽16aが風の吹き出し方向と同軸方向に配列されかつその曲面により熱風発生室17からの風にひねりを与えることにより整流効果が得られ、吐出ノズル16から吹き出す風に勢いを与えることができるので、快適な風が得られ、毛髪の乾燥やセットが容易に行える使いやすいヘアードライヤを提供できる。さらに、吐出ノズル16を回転させることにより、吐出ノズル16から吹き出す風に変化を与えることもできる。
【0030】
本発明においては、吐出ノズルの整流羽16aの数は特に限定されるものではない。しかしながら、あまりに少ないと変化に乏しく、多いと風量の損失が出るので、複数枚で所望の効果のある数を選べばよい。また、一種類の大きさの羽だけでなく二種類以上の大きさの羽を混ぜてもよく、それによって整流にさらに変化が与えられる。
【0031】
更にこの整流羽16aは吐出ノズル16と同様の材料からなり、かつ吐出ノズル16と一体に成形されており、前記材料としては、耐熱性プラスチック材が好ましい。
【0032】
本発明のヘアードライヤにおいては、上記実施例に記載の構造に限定されることなく整流羽を風にひねりを与える他の形態に設計することは容易であり、変形は自由である。
【0033】
また上述の実施例では、電熱式のヘアードライヤについて説明したが、本発明の吐出ノズルは電熱式に限らず、例えばガス燃焼方式のヘアードライヤにも適用できることは問う業者にとり自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は本発明に係るヘアードライヤの一実施例の側断面図である。
【図2】図2は図1のヘアードライヤの本体主要部の分解斜視図である。
【図3】図3はヘアードライヤの吐出ノズルの構造を図であり、図3(a)は背面図、図3(b)は平面図、図3(c)は正面図である。
【図4】図4は吐出ノズルの背後から見た内部を示す斜視図である。
【図5】図5は従来のヘアードライヤの構成を示す側面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 ヘアードライヤ
11 本体
12 ハンドル
13 外ケース
14 電源スイッチ
15 後部カバー
16 吐出ノズル
17 熱風発生室
17a 熱風発生室の外壁
17b 絶縁外筒
18 熱源
19 ファンモータ
20 送風室
20a ファン
21 吹き出しグリル
22 放熱板
23 絶縁筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源、ファン及び前記ファンを駆動するモータを内蔵したヘアードライヤ本体の先端に吐出ノズルを設け、該吐出ノズルの内側に整流羽を設けて熱風発生室を通過した風を整流することを特徴とするヘアードライヤ。
【請求項2】
前記吐出ノズルの整流羽は風の吹き出し方向と同軸方向に配列され、前記熱風発生室からの風にひねりを与える形状を有することを特徴とする請求項1に記載のヘアードライヤ。
【請求項3】
前記整流羽は、前記熱風発生室からの風に前記ファンの回転方向と反対方向のひねりを与える形状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のヘアードライヤ。
【請求項4】
前記吐出ノズルは、その背面は本体外ケースに対応して円形に、正面は扁平な円筒形に形成され、該吐出ノズルの内壁面に設けた複数枚の整流羽は風の吹き出し方向と同軸方向に配列されかつ曲面を有し前記吐出ノズルの内部に突出して形成されていることを特徴とする請求項1に記載のヘアードライヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−75194(P2006−75194A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−259556(P2004−259556)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】