説明

ヘアードライヤ

【課題】多量のマイナスイオンを効率よく多量に発生することができるとともに、マイカ製の絶縁板の劈開を防止でき、構成が簡単で製造しやすいヘアードライヤを提供すること。
【解決手段】本発明のヘアードライヤ10は、熱風発生室17の熱源18を保持する絶縁板22に取り付けられた複数の針状マイナスイオン発生電極D1〜D5を備えている。針状マイナスイオン発生電極D1〜D4は絶縁板22に仕切られたそれぞれの空間毎に配置され、針状マイナスイオン発生電極D5は絶縁板22の交差部に配置され、絶縁板22の前部に対向電極D6が配置されている。絶縁板22はマイカ製で、針状マイナスイオン発生電極D1〜D5及び対向電極D6とマイナスイオン発生器22との間の電気的接続を行うために導電性金属薄板からなる板状リード部材31〜38が用いられ、この板状リード部材31〜38はマイカ製絶縁板22に鳩目e1〜e14で固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ヘアードライヤに係り、詳しくはマイナスイオン発生器を備えたヘアードライヤに関し、特に熱風発生室に複数の針状マイナスイオン発生電極を備えてヘアードライヤからの風中にマイナスオンを含有させ易くするとともに、絶縁板として使用されるマイカ製絶縁板を板状の導電部材で挟持することによってマイカの劈開を防止することができるようにしたヘアードライヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘアードライヤあるいはハンドドライヤなどのヘアードライヤ類(以下、総称して「へアードライヤ」という)において、へアードライヤ本体の風の吐出し口から吐き出される空気中に、細胞の活性化、抵抗力の増進、自律神経の調整など人体に好影響を与えるといわれるマイナスイオンを含有させるようにして、このマイナスイオンにより頭髪に好影響を与えるようにしたヘアードライヤが知られている。
【0003】
この種のヘアードライヤの一例として、下記特許文献1に開示されているヘアードライヤ50を図4に示した回路図を用いて説明する。このヘアードライヤ50は、ハウジングに吐き出し口を有する筒部、ハンドル部、及び収納部を形成し、収納部にACモータ52、ファン、熱源53及び高圧発生回路54を搭載している。このヘアードライヤ50の高圧発生回路54は、一次巻線と二次巻線とを有するトランス55、コンデンサ及び抵抗からなるエレクトロニクス構成要素(図示せず)を内部に備えており、この高圧発生回路54のトランス55の二次側出力と針状マイナスイオン発生電極56とをリード線によって接続し、高圧発生回路54内のトランス55の一次巻線側に交流電圧を入力して二次側の出力電圧を針状マイナスイオン発生電極56に供給し、針状マイナスイオン発生電極56の先端から放電を起こさせることによりマイナスイオンを発生させるようにしている。
【0004】
また、下記特許文献2に開示されているヘアードライヤ61は、図5に示したように、直流モータ62と、この直流モータ62の回転軸に固定されたファン63と、電熱線からなるヒータ64と、マイナスイオンを発生するイオン電極68を備えたマイナスイオン発生器65と、風の吹き出し口を塞ぐ網状の導電性部品であるグリル66と、を樹脂製の円筒状ハウジング67内に配置した構成を備えている。そして、このヘアードライヤ61においては、安定して多くのマイナスイオンを放出できるようにするため、図6の回路図で示すように、空気流発生の駆動源となる直流モータ62に電力を供給する整流器62と空気流にマイナスイオンを放出するマイナスイオン発生器65とヒータHRとがそれぞれ交流電源71に対して並列に接続され、空気流のうちマイナスイオン発生器65より下流側にあるグリル66が直流モータ62のマイナス側端子69に対して導電材料70によって接続されている。
【特許文献1】特開2002−65344号公報(図2、段落[0018]〜[0021])
【特許文献2】特開2004−275639号公報(図1、図2、段落[0005]〜[0012])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1及び2に開示されたヘアードライヤによれば、濡れた毛を乾燥させたり、ブラシ等とともに使用したりしてブローをする場合には、髪に優しいマイナスイオンを発生させているために、髪への保湿効果等が期待される。しかしながら、マイナスイオン発生用の針状マイナスイオン発生電極は、いずれのヘアードライヤの場合もヘアードライヤの先端部に設けた1本のみであって、十分なマイナスイオンを発生させることができない場合があり、しかも、マイナスイオンの発生状態は不安定であった。
【0006】
また、ヘアードライヤの温風発生室の熱源を支持する絶縁板は耐火性と絶縁性の点から通常マイカが使われているが、このマイカ製の絶縁板は劈開しやすいために剥離しがちである。しかしながら、従来のヘアードライヤにおいてはこのようなマイカ製絶縁板の劈開性に対しては実質的に何らの対処もなされていなかった。
【0007】
本願の発明者は、前記の問題点を解決すべく種々検討を行った結果、ヘアードライヤのマイナスイオン発生器に着目し、従来1本であった針状マイナスイオン発生電極の数を増やすことによって十分なマイナスイオンの供給を実現するとともに、適切に配置した針状マイナスイオン発生電極の板状リード部材により絶縁板を両面から挟んで固定するようになせば、マイカ性絶縁板の劈開を防ぎ、品質のよい、優れたヘアードライヤが提供できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0008】
すなわち、本発明は、効率よくマイナスイオンを発生させて、頭髪や頭の皮膚に優しい大量のマイナスイオンを含んだ風を提供できるヘアードライヤを提供することを目的とするものである。
【0009】
また、本発明は、多量のマイナスイオンを効率よく多量に発生することができるとともに、特に劈開しやすいマイカ製の絶縁板をマイナスイオン発生器の針状マイナスイオン発生電極や板状リード部材で挟持することによりマイカの劈開を防止でき、構成が簡単で製造しやすいヘアードライヤを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1のヘアードライヤに係る発明は、
熱源、ファン、該ファンを駆動するモータ及びマイナスイオン発生器を内蔵したヘアードライヤにおいて、
対向電極及び複数の針状マイナスイオン発生電極が前記熱源を保持する絶縁板の空気吹き出し口近傍に設けられ、
前記複数の針状マイナスイオン発生電極は前記絶縁板に配置された板状リード部材を介して前記マイナスイオン発生器に接続し、前記対向電極は前記絶縁板に固定して前記マイナスイオン発生器に接続されていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載のヘアードライヤにおいて、前記絶縁板は前記熱源が収納された熱風発生室を熱風が流通可能な複数の空間に仕切るように配設され、前記針状マイナスイオン発生電極は前記絶縁板により仕切られたそれぞれの空間毎に配設されていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に記載のヘアードライヤにおいて、前記針状マイナスイオン発生電極は前記絶縁板の交差部にも設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に係る発明は、請求項1に記載のヘアードライヤにおいて、前記対向電極は前記針状マイナスイオン発生電極よりも空気吹き出し口側の前記絶縁板の先端部に固定された導電性部材からなることを特徴とする。
【0014】
また、請求項5に係る発明は、請求項1に記載のヘアードライヤにおいて、前記絶縁板はマイカからなり、前記板状リード部材は前記絶縁板に鳩目金具により固定されていることを特徴とする。
【0015】
また、請求項6に係る発明は、請求項5に記載のヘアードライヤにおいて、前記板状リード部材は前記絶縁板を挟んで前記絶縁板の両面に配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上記構成を備えることにより、以下に示すような優れた効果を奏する。すなわち、請求項1の発明によれば、ヘアードライヤの熱源を保持する絶縁板にマイナスイオン発生器に接続される針状マイナスイオン発生電極を複数配置したので、多量のマイナスイオンを効率的に発生させることができ、毛髪や皮膚に対する影響が優しく、また毛髪の根元や皮膚に付着したゴミや埃、あるいは皮膚から分泌される臭いの元を除去しやすいマイナスイオン発生器付きのヘアードライヤが得られる。
【0017】
請求項2の発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加えて、複数の針状マイナスイオン発生電極を絶縁板に仕切られた各空間及び絶縁板交差部にそれぞれ設けたから、それぞれの空間毎に効率よくマイナスイオンを発生でき、しかもマイナスイオンが均一に分散された風が得られるヘヤ−ドライヤが得られる。
【0018】
請求項3の発明によれば、請求項2に係る発明の効果に加えて、更に絶縁板の交差部にも針状マイナスイオン発生電極を設けたから、針状マイナスイオン発生電極の配置密度がより高密度となるため、更に多量のマイナスイオンを効率よく発生させることができるヘアードライヤが得られる。
【0019】
また、請求項4に係る発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加えて、対向電極を針状マイナスイオン発生電極よりも空気吹き出し口側の絶縁板に固定された導電性部材からなるものとしたため、対向電極、板状導電部材及び絶縁板を容易に一体化できるため、製造が簡単で強硬な構成のマイナスイオンを効率よく発生させることができるヘアードライヤが得られる。
【0020】
また、請求項5に係る発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加えて、絶縁板のマイカは鳩目金具により厚さ方向が固定されるために劈開し難くなるともに、板状リード部材も鳩目金具により強固に絶縁板に固定できるから、製造が簡単で強硬な構成のマイナスイオンを効率よく発生させることができるヘアードライヤが得られる。
【0021】
また、請求項6に係る発明によれば、請求項5に係る発明の効果に加えて、絶縁板のマイカは板状リード部材により両面から挟まれる形になるため、よりマイカ劈開を防止することができるとともに、強固な構成のマイナスイオンを効率よく発生させることができるヘアードライヤが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのヘアードライヤを例示するものであって、本発明をこのヘアードライヤに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0023】
図1は本発明に係るヘアードライヤの一実施例の断面図、図2は図1のヘアードライヤの本体内に設けられる絶縁板を示し、図2(a)は平面図、図2(b)は右側面図、図2(c)は底面図、図2(d)は左側面図、図3はヘアードライヤの空気吹き出し口側から見た絶縁板の正面図である。なお、図1に示す熱源の構成は簡略化して示しており、詳細な構造については図2に詳述している。
【0024】
この実施例のヘアードライヤ10は、図1に示すように、筒型をしたヘアードライヤ本体11とこの本体11の下面の後端部近くに取り付けられたハンドル12を備えている。このうち、ヘアードライヤ本体11には、熱源18を備えた熱風発生室17、ファン20a及びファン20aを駆動するモータ19が内蔵されており、また、ヘアードライヤ本体11の先端空気吹き出し口には回転整流形のアタッチメント16が取り付けられている。更に、ハンドル12は、ヘアードライヤ本体11のケース13の下面から突出した保持部11aを支点にして軸支され、折りたたみ可能にヘアードライヤ本体11に取り付けられているとともに、内部に電源スイッチ14が設けられている。
【0025】
このヘアードライヤ10のケース13は前方の部分13aと後方の部分13bとに分かれており、後方の部分13bには後部カバー15が取り付けられている。ケース13の前方の部分13aと後方の部分13b及びアタッチメント16は、ポリカーボネートや耐熱性ABS樹脂等の耐熱性プラスチックスの成型品により構成される。
【0026】
図1に示すように、ケース13の前方の部分13aは縦断面の輪郭が前方に向けやや先細になった略円筒形である。ケース13の前方の部分13aの前端開口部は風の吹き出し口となっており、この前端開口部にアタッチメント16が着脱自在に取り付けられている。後方の部分13bは、短い円筒状で前方の部分13aに突き合わせて接合されている。またヘアードライヤ本体11の後端、すなわちケース13の後方の部分13bの後端は後部カバー15が取り付けられており、この後部カバー15は外気を導入するための複数の孔からなる吸気口、例えば多数の蜂の巣状の孔を備えた円形ドーム形状の金属板からなっている。
【0027】
熱風発生室17は、その外壁17aの内方に絶縁外筒17bが配置され、絶縁外筒17bの内部にはニクロム線などからなる熱源18が設置されている。図1に示したように、熱風発生室17には複数枚の耐火絶縁性の絶縁板22が、ヘアードライヤ本体11のモータ19を収納する絶縁筒23から前部にかけて、放射状に等間隔でヘアードライヤ本体11の軸方向に沿って張り出すように配置されており、この絶縁板22によって熱風発生室17内が熱風が流通できる複数の空間に分割されている。この絶縁板22には通常マイカが用いられ、そしてこの絶縁板22の外縁をつなぐようにニクロム線18a等からなる熱源18が設けられている。
【0028】
この熱風発生室17の外周は、絶縁筒23に対し同心円状に一体化されたマイカシートのような絶縁外筒17bに囲まれ、絶縁外筒17bが熱風発生室17の外壁17aの内側に挿入され嵌め合わされている。熱風発生室17の外壁17aは、アルミニウム、亜鉛メッキ鋼板、ステンレススチールのような光沢や明色性に優れ、熱線を反射しやすい金属で形成され、熱線の遮熱手段として作用する。さらに外壁17aの基本形状は、その縦断面が熱風発生室17の軸方向に沿って複数の波形の凹凸を持つように成形されている。なお、熱風発生室17の後部にはマイナスイオン発生器24が設けられおり、ヘアードライヤ本体11の先端部に設けられたマイナスイオンを発生させる針状マイナスイオン発生電極D1〜D5とその対向電極D6とに接続されている。
【0029】
組立の際には、熱源18とモータ19をヘアードライヤ本体11のケース13の前後に配し、次いでこれらに絶縁外筒17bと外壁17aを被せる。また、送風室20にファン20aを組み込み、送風室20をケース13の後方の部分13bに収める。そしてケース13の前方の部分13aの後方から上述した工程で組み立てられた熱源18等からなる組立体を挿入し、ケース13の前方の部分13aにケース13の後方の部分13bを突合せて接合する。これにより、ケース13の内部に熱源18、モータ19を含む熱風発生室17、及び送風室20が組み込まれる。更にケース13の先端空気吹き出し口に回転整流形のアタッチメント16を取り付ける。
【0030】
これにより熱源18の後方には風を送るファン20aが取り付けられたモータ19が、絶縁筒23の内部に嵌め合わされた状態で設置される。またモータ19の後方には送風室20が位置し、送風室20にモータ19に連結されたファン20aが配設されている。送風室20はファン20aにより、後部カバー15の吸気口から取り込んだ空気を熱風発生室17に送りこみ、これによって発生した風は、絶縁板22によって複数に区画された空間内をヘアードライヤ本体11の前方に取り付けられたアタッチメント16に向かって送られる。
【0031】
ヘアードライヤ本体11のケース13は、透明又は半透明であっても、不透明であっても、任意の色に着色されていてもよく、また模様が施されていてもよい。また、熱風発生室17の外壁17aとケース13との間に生じた空間は、そこに確保した空気層による遮熱効果を生む。
【0032】
次に、絶縁板22の構成について説明する。図2は絶縁板22とこの絶縁板22上に設けられる配線について説明する図である。この絶縁板22は2枚のマイカ板を所定の形に切り抜き、この2枚のマイカ板のそれぞれの中央に長手方向に沿って互いに反対方向に設けられた切り込み同士を嵌合させることで十字型に固定したものである。絶縁板22は、マイナスイオンを発生させるための針状マイナスイオン発生電極への給電に必要な配線が設けられているとともに、熱源18の発熱線等への給電を行うための配線を備えている。なお、図3は絶縁板の正面図である。
【0033】
図2(a)に示したように、マイナスイオン発生器24から引き出した正極側配線は、絶縁板22の後部で鳩目e3によって固定され、この鳩目e3から絶縁板22の長手方向に所定距離移離れた位置に設けられた鳩目e1に沿って延びる打ち抜いた導電性金属薄板で形成された板状リード部材31に接続されている。この板状リード部材31は鳩目e1でさらにヘアードライヤ本体11の先端空気吹き出し口近傍に配置した絶縁板22の短手方向に延びる板状リード部材32に接続されているとともに、この板状リード部材32が鳩目e2によって絶縁板22に固定され、この鳩目e1、鳩目e2は図2(c)に示すように、絶縁板22を貫通しており、板状リード部材32とその裏面に配置されている板状リード部材33とを固定している。
【0034】
板状リード部材32及び板状リード部材33は、それらの長手方向先端部32、32、33、33が絶縁板22を挟んで互いに離反する方向に角度をつけて曲げられ、それらの端部近傍に針状マイナスイオン発生電極D1〜D4を有している。さらに、2枚のマイカ板からなる絶縁板22の交差部の切抜きに露呈した板状リード部材32の中央部32にも針状マイナスイオン発生電極D5が設けられている。このように、熱源18を保持する絶縁板22にはマイナスイオン発生器24のリード部材が配置固定され、それぞれのリード部材は針状マイナスイオン発生電極D1〜D5に接続されている。針状マイナスイオン発生電極D1〜D4は、マイナスイオン発生器24から引き出し配線を分岐した先端に設置されることによって絶縁板22で仕切られた4つの各空間に1本ずつ配置されており、さらに絶縁板22交差部の中央部32に針状マイナスイオン発生電極D5が設けられている。
【0035】
一方、マイナスイオン発生器24から引き出された負極側配線は、図2(b)の鳩目e12から導電性金属薄板で形成された板状リード部材34で鳩目e11に接続され、さらに鳩目e11により、図2(d)に示したように、ヘアードライヤ本体11の先端空気吹き出し口近傍に配置した板状リード部材35で形成した円環状の対向電極D6に接続されている。また、図3に示したように、絶縁板22の前部の針状マイナスイオン発生電極D5の前方には対向電極D6が配置され、この対向電極D6は上述のようにマイナスイオン発生器24の負極側に接続されている。なお、上述では対向電極D6を板状リード部材35で形成したが、これに限らず、板状リード部材35を用いることなく対向電極D6を絶縁板22に直接設けるようにしても良い。
【0036】
さらに、絶縁板22には、電源スイッチ14を介して電源に接続されたリード線が図2(a)の鳩目e6に接続され,鳩目e6から熱源18のニクロム線18aに接続され、また、ニクロム線18aは、絶縁板の外周に巻きつけられた後、底面で鳩目e4に接続されている。鳩目e4の上面側ではサーモスタット39を介在させた板状リード部材36で鳩目e5に接続されてリード線に接続されるとともに、鳩目e5の裏面で板状リード部材37に接続されて鳩目e7でヒューズ40に接続され、鳩目e13の裏面でリード線に接続されている。また、図2(b)の鳩目e9は、抵抗41、鳩目e8と板状リード部材38を介してリード線に接続されている。なお、符号42は絶縁板の前端に取り付けた補強金具である。
【0037】
以上のように、絶縁板22は材料がマイカ製であり、絶縁板22の表裏面に配置した複数の導電性金属薄板からなる板状リード部材31〜38はマイカ製絶縁板22を挟んで鳩目e1〜e14で固定されている。このようにマイカ製絶縁板22は、板状リード部材と鳩目で補強されているので、マイカの劈開を防止することができる。なお、導電性金属薄板からなる板状リード部材は、その本数、敷設する長さについては特に限定されるものではない。しかしながら、本数は多いと作業工数が増加し、あまりに少ないと効果がないので、所望の効果のある数を選べばよい。この針状マイナスイオン発生電極に連なる板状リード部材は、導電性金属薄板の簡単な構成であって、ヘアードライヤの製造が簡単となるとともに、対向電極D6、板状導電部材31〜38及び絶縁板を容易に一体化できるため、製造が簡単で強硬な構成のヘアードライヤが得られる。
【0038】
また、このようなヘアードライヤによれば、ヘアードライヤ本体の空気吹き出し口付近に針状マイナスイオン発生電極D1〜D5を複数設けてあるので、ドライヤ本体内を流れた空気が空気吹き出し口付近で収束されて発生したマイナスイオンが効果的に混合されて吹き出されることになり、マイナスイオンを効果的に利用した毛髪の手入れができるようになる。なお、ヘアードライヤ本体から供給される空気には、温風、冷風のみならずスチームを含むものであってもよい。
【0039】
本発明によれば、ヘアードライヤ本体からマイナスイオンを効率よく、多量に、安定的に発生させることができるから、マイナスイオンが頭髪のキューティクルを保護するとともに、空気中や頭髪に存在している水分とマイナスイオンが結合して髪の分子配列を整えることによって、キューティクルの広がりを防止して髪を滑らかにすることができる。しかも、マイナスイオンは、髪の細胞内部に浸透して髪につやを出しながら適度の潤いを与えるので、熱風によりブローしたときであっても毛髪が保有水分を失ってばさばさになるのを防ぐことができる。また、髪に潤いが与えられていると、油や埃などが付着し難くなるし、さらに、髪の分子配列が整えられると、ブローが容易で、櫛やブラシのとおりがよくなり、所望の髪型に整髪しやすくなる。また、マイナスイオンは、ブローの際に頭皮表面に対する刺激を和らげることができるので、肌に優しく健康によい、などの効果が得られる。
【0040】
以上には、電熱式のヘアードライヤを例として説明したが、本発明のマイナスイオン発生器の構造は、ヘアードライヤの構造や熱源の形式を限定するものではない。電熱式に限らず、他の加熱方式のヘアードライヤにも適用できるものである。また、使用される回路が交流モータであるか、直流モータ駆動回路であるかを問わず適用できることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は本発明に係るヘアードライヤの一実施例の断面図である。
【図2】図2は図1のヘアードライヤの本体内に設けられる絶縁板を示し、図2(a)は平面図、図2(b)は右側面図、図2(c)は底面図、図2(d)は左側面図である。
【図3】図3はヘアードライヤの空気吹き出し口側から見た絶縁板の正面図である。
【図4】図4は従来のヘアードライヤの回路図である。
【図5】図5は従来のヘアードライヤの断面図である。
【図6】図6は従来のヘアードライヤの回路図である。
【符号の説明】
【0042】
1 ヘアードライヤ
11 ドライヤ本体
12 ハンドル
13 ケース
14 電源スイッチ
15 後部カバー
16 アタッチメント
17 熱風発生室
18 熱源
18a ニクロム線
19 ファンモータ
20 送風室
20a ファン
21 吹き出しグリル
22 絶縁板
23 絶縁筒
24 マイナスイオン発生器
31〜38 板状リード部材
D1〜D5 針状マイナスイオン発生電極
D6 対向電極
e1〜e14 鳩目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源、ファン、該ファンを駆動するモータ及びマイナスイオン発生器を内蔵したヘアードライヤにおいて、
対向電極及び複数の針状マイナスイオン発生電極が前記熱源を保持する絶縁板の空気吹き出し口近傍に設けられ、
前記複数の針状マイナスイオン発生電極は前記絶縁板に配置された板状リード部材を介して前記マイナスイオン発生器に接続し、前記対向電極は前記絶縁板に固定して前記マイナスイオン発生器に接続されていることを特徴とするヘアードライヤ。
【請求項2】
前記絶縁板は前記熱源が収納された熱風発生室を熱風が流通可能な複数の空間に仕切るように配設され、前記針状マイナスイオン発生電極は前記絶縁板により仕切られたそれぞれの空間毎に配設されていることを特徴とする請求項1に記載のヘアードライヤ。
【請求項3】
前記針状マイナスイオン発生電極は前記絶縁板の交差部にも設けられていることを特徴とする請求項2に記載のヘアードライヤ。
【請求項4】
前記対向電極は前記針状マイナスイオン発生電極よりも空気吹き出し口側の前記絶縁板の先端部に固定された導電性部材からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のヘアードライヤ。
【請求項5】
前記絶縁板はマイカからなり、前記板状リード部材は前記絶縁板に鳩目金具により固定されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のヘアードライヤ。
【請求項6】
前記板状リード部材は前記絶縁板を挟んで前記絶縁板の両面に配設されていることを特徴とする請求項5に記載のヘアードライヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−159810(P2007−159810A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−360048(P2005−360048)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】