説明

ヘッドクリーニング装置及びヘッドクリーニング方法

【課題】溝が設けられたヘッドに対して溝の隅々までクリーニングすることにより、掃き残しによるゴミ等の蓄積を防止できるヘッドクリーニング装置及びヘッドクリーニング方法を提供する。
【解決手段】媒体に対してデータの読み書きを行うヘッドの表面をクリーニングするヘッドクリーニング装置であって、ヘッドの表面に設けられた溝に当接した状態にて当該溝に沿って平行移動することにより、ヘッドの表面をクリーニングするクリーニング手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体に対してデータの読み書きを行うヘッドをクリーニングするヘッドクリーニング装置及びヘッドクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
媒体(例えば磁気テープカートリッジ)に対してデータの読み込みや書き込みを行うヘッドが知られており、このヘッドに対してゴミ等が溜まらないようにブラシ繊維等でクリーニングするヘッドクリーニング装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−122898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1に代表される本発明に関連するヘッドクリーニング装置の動作について図5を用いて説明する。図5に示すヘッドクリーニング装置は、レバー1の先端にブラシ繊維3が備えられた構成となっている。図5(a)は、クリーニングの開始前の状態を示している。この図5(a)の状態においてクリーニングが開始されると、レバー1はローダ機構で駆動される。すなわち、図5(a)において、ベアリング2が、図中でいう右方向に水平移動し、レバー1の一部分4に接触する。この接触により、レバー1は、図中でいう下方向に押し下げられる。この押し下げにより、図5(b)に示すように、レバー1とその先端のブラシ繊維3は、円弧の軌跡を描くように動作(円弧運動)する。このとき、ブラシ繊維3がヘッド(図示せず)の表面に当接しながら移動することで、ヘッド表面のクリーニングが行われることになる。なお、図5(a)、(b)においてブラシ繊維3の描く円弧の軌跡上にはヘッドが存在するが、その図示は省略している。
【0005】
クリーニングの対象となるヘッドの例としては、図6に示す構成のものがある。図6に示すヘッドは、その所定方向に沿って直線状の溝(段差)が設けられた形状となっている。図6の例では、ヘッドの長手方向に沿った直線状の溝が複数設けられている。
【0006】
図6のヘッドを図5のヘッドクリーニング装置でクリーニングする場合、図7に示すように、ブラシ繊維3が、ヘッド表面の溝に当接しつつ、矢印で示す円弧の軌跡を描きながら移動する。しかしながら、このような円弧を描く動作の場合、ヘッド表面の溝に掃き残しが発生しやすい。特に、溝が階段状に設けられているヘッドに対しては、ブラシ繊維が階段状の溝を降りるように移動するときに各溝の隅に掃き残しが発生しやすい。このような掃き残しが続くとヘッドにゴミ等が蓄積し、それを原因としてヘッドの読み書きにエラーが生じるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、溝が設けられたヘッドに対して溝の隅々までクリーニングすることにより、掃き残しによるゴミ等の蓄積を防止できるヘッドクリーニング装置及びヘッドクリーニング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明のヘッドクリーニング装置は、媒体に対してデータの読み書きを行うヘッドの表面をクリーニングするヘッドクリーニング装置であって、ヘッドの表面に設けられた溝に当接した状態にて当該溝に沿って平行移動することにより、ヘッドの表面をクリーニングするクリーニング手段を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明のヘッドクリーニング方法は、媒体に対してデータの読み書きを行うヘッドの表面をクリーニングする装置が行うヘッドクリーニング方法であって、当該装置は、所定のクリーニング手段を、ヘッドの表面に設けられた溝に当接した状態にて当該溝に沿って平行移動させることにより、ヘッドの表面をクリーニングすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、溝が設けられたヘッドに対して溝の隅々までクリーニングすることにより、掃き残しによるゴミ等の蓄積を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るヘッドクリーニング装置がクリーニングを行っていないときの一例を示す正面図及び斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るヘッドクリーニング装置がクリーニングを行っているときの一例を示す正面図及び斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るヘッドクリーニング装置がクリーニングを行っていないときの一例を示す正面図及び斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るヘッドクリーニング装置のクリーニング手段とその近傍の構成例を拡大して示す斜視図である。
【図5】本発明に関連するヘッドクリーニング装置における、ブラシ繊維による円弧の軌跡を描く動作の例を説明する正面図である。
【図6】長手方向に沿って複数の溝が設けられたヘッドの一例を示す外観斜視図である。
【図7】本発明に関連するヘッドクリーニング装置において、ブラシ繊維が、溝を備えたヘッドに対して円弧の軌跡を描く動作した場合の例を説明する正面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るヘッドクリーニング装置において、ブラシ繊維が、溝を備えたヘッドに対して直線の軌跡を描く動作した場合の例を説明する正面図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るヘッドクリーニング装置のクリーニング手段が待機場所に移動させられるときの遷移例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
まず、本実施形態のヘッドクリーニング装置の概要について説明する。本実施形態のヘッドクリーニング装置は、例えば図6に示すように所定方向に沿って直線状の溝が設けられたヘッドをクリーニングするにあたり、ブラシ繊維を、図7に示すように円弧を描くように移動させるのではなく、図8に示すように溝の上端から下端(又は下端から上端)までに対して平行に(溝に沿って)直線を描くように移動させることを特徴とする。これにより、溝の隅々までクリーニングすることができるので、円弧運動では十分に排除できなかった溝のゴミをなくすことができる。その結果、溝にゴミが蓄積するのを防止でき、ゴミの蓄積を原因としたヘッドのデータ読み込み時又はデータ書き込み時のエラーの発生を防ぐことができる。このような本実施形態の特徴を実現するための具体的な構成及び動作について、図1〜図4、図9を用いて以下に説明する。
【0014】
図1(a)は本実施形態のヘッドクリーニング装置の正面図であり、図1(b)は本実施形態のヘッドクリーニング装置の斜視図である。図1(a)、(b)は、例えばテープカートリッジなどの媒体がローディング(収納)される前の状態を示している。なお、図1(b)では、ヘッド5の図示を省略している。
【0015】
本実施形態のヘッドクリーニング装置は、主な構成として、ヘッドの表面をクリーニングする手段としてのクリーニング手段と、そのクリーニング手段を支持するとともに移動させる手段としてのレバー手段及び2つのアーム手段とを有する。レバー手段の一例は、図1に示すレバー1である。また、アーム手段の一例は、図1に示すアーム9、10である。また、クリーニング手段は、一例として、図1に示す、ブラシ繊維3、ブラシホルダ6、スプリング7、ブラシホルダベース8及び接続部材14を有する。
【0016】
図1において、ブラシ繊維3は、ブラシホルダ6に固定されて保持されている。このブラシ繊維3の長さは、ヘッド5に当接したときに、全ての溝の表面に万遍なくブラシ繊維3が当接する長さとする。ブラシ繊維3は、クリーニング実行中においてヘッド表面(ヘッド5の表面=溝の表面)にほぼ垂直に当接するが、図1に示すクリーニング開始前のときにも、ヘッド表面にほぼ垂直に当接している状態となっている。このときのブラシ繊維3が当接している箇所はヘッド表面の上端(図8参照)である。なお、ブラシ繊維3がヘッド表面に当接可能な角度を、以下「当接角度」という(後述する図9(a)参照)。
【0017】
また、図1において、ブラシホルダ6は、ブラシホルダベース8に固定して支持されながらも、スプリング7により揺動可能となっている。この揺動により、ブラシ繊維3及びブラシホルダ6の、ヘッド表面に対する角度が変更される。例えば、当接角度から非当接角度(ブラシ繊維3がヘッド表面に当接しない角度)に変更されたり、非当接角度から当接角度へ変更されたりする(この角度変更の詳細は図9を用いて後述する)。なお、スプリング7は、図1及び後述する図2のときには、それら各図の(b)に示すように、ブラシ繊維3がヘッド表面に対してほぼ垂直に当接するように、ブラシ繊維3及びブラシホルダ6の角度(当接角度)を保つようにする。
【0018】
なお、図1(b)に示すように、ブラシ繊維3及びブラシホルダ6は、ブラシホルダベース8の長手方向(=レバー1の長手方向)に対して傾きを持った構成となっているが、これは、ヘッド5の表面がブラシ繊維3の当接面に対して所定角度傾いて備えられていることに対応するためである。つまり、ヘッド表面がブラシ繊維の当接面に対して平行ではなく所定角度傾いている構成の場合には、図1(b)のように、ブラシ繊維3及びブラシホルダ6も傾ける(ブラシ繊維3だけ傾けてもよい)ことで、傾いている分の角度を吸収するようにする。これにより、ブラシ繊維3が、ヘッド表面に十分に当接することができる。
【0019】
また、図1において、ブラシホルダ6の左上には、接続部材14がブラシホルダ6に固定されて設けられている。この接続部材14は、デッキベース16上において回動可能に設けられたレバー1と接続するための部材である。レバー1の先端には、この接続部材4と相対する面において、ピボット13(突起部の一例)が固定して設けられている。一方、接続部材14には、レバー1の先端と相対する面において、ガイド長穴(長穴部の一例)15が設けられている。ピボット13がガイド長穴15に嵌合することで、レバー1と接続部材14及びブラシホルダベース8とが接続される。ガイド長穴15は、図1中におけるブラシホルダベース8の長手方向とほぼ平行に設けられている。ピボット13は、レバー1の動き(円弧運動)に連動して、ガイド長穴15中をスライドして左右方向に移動する。図1の例では、ピボット13は、ガイド長穴15の左端に位置している。なお、本実施形態では、ピボット13をレバー1側に、ガイド長穴15を接続部材14側に設けるように構成したが、これを逆にして、ピボット13を接続部材14側に、ガイド長穴15をレバー1側に設けるように構成してもよい。また、ピボット13及びガイド長穴15の形状は、後述するピボット19、20及びガイド長穴17、18と同じであってもよい。
【0020】
また、図1において、ブラシホルダベース8の下方には、同じ形状・同じサイズのアーム9、10が左右対称に設けられている。アーム9、10にはそれぞれ、ガイド長穴17、18(長穴部の一例)が設けられている。また、これらガイド長穴17、18にそれぞれ嵌合するものとして、ピボット19、20(突起部の一例)が、デッキベース16(ベース部材の一例)の表面にそれぞれ固定して設けられている。これらピボット19、20とガイド長穴17、18の関係は、上述したピボット13及びガイド長穴15と同じである。すなわち、ピボット19、20は、アーム9、10の動きに連動して、ガイド長穴17、18中をスライドして左右方向に移動する。図1の例では、ピボット19はガイド長穴17の左端に位置し、ピボット20はガイド長穴18の右端に位置している。なお、本実施形態では、ピボット19、20をデッキベース16側に、ガイド長穴17、18をアーム9、10側に設けるように構成したが、これを逆にして、ピボット19、20をアーム9、10側に、ガイド長穴17、18をデッキベース16側に設けるように構成してもよい。
【0021】
また、アーム9、10にはそれぞれ、ブラシホルダベース8の内側において、歯車11、12が設けられている。歯車11、12は互いに噛み合っており、それぞれが回転可能である。歯車11、12の回転中心軸はそれぞれ、ブラシホルダベース8の内側に固定されている。これにより、アーム9、10とブラシホルダベース8とが接続される。そして、歯車11、12がレバー1の動きに連動して回転駆動することで、アーム9、10が左右対称に動作する。これによって、ブラシホルダベース8が図1中において上下に移動することになる。
【0022】
このように、同形状・同サイズのアーム9、10を左右対称に設ける構成とすることで、アーム9、10を別々に作成する必要が無く、アーム9、10の作成コストを低減できる。
【0023】
以上のように構成された本実施形態のヘッドクリーニング装置は、例えば磁気テープドライブ(媒体読み書き装置)に備えられる。以下、磁気テープドライブに適用された例として、クリーニング時の動作について説明する。
【0024】
図1の状態(テープがローディングされていない状態)において、テープのローディングが開始されると、図示しないローダ機構により、レバー1が下方に押し下げられる。このローダ機構の例としては、図5で説明したベアリング等が挙げられる。そして、レバー1が下方に押し下げられると、図1(b)において、レバー1は、矢印aに示すように円弧の軌跡を描くように移動(円弧運動)する。このレバー1の動作は、図5で説明したレバー1の動作と同じである。
【0025】
図1(b)において、上述のようにレバー1が矢印aに示す円弧の軌跡を描くように移動すると、ガイド長穴15の左端にあるピボット13が、ガイド長穴15中を矢印bに示す方向(右方向)にスライド移動する。この移動により下方向への力を受けた歯車11、12が回転駆動し、ガイド長穴19の左端にあるピボット19が右方向にガイド長穴17をスライド移動し、アーム9が矢印cに示す方向へ移動すると同時に、ガイド長穴18の右端にあるピボット20が左方向にガイド長穴18を移動し、アーム10が矢印dに示す方向へ移動する。すなわち、歯車11、12の回転駆動により、アーム9、10は左右対称に移動する。さらに、このようなアーム9、10の動作により、ブラシホルダベース8及びそれに付属したブラシホルダ6、接続部材14、スプリング7、ブラシ繊維3、歯車11、12(以下、まとめて「ブラシホルダベース8等」という)は、矢印eに示す方向(下方向)に移動する。矢印eの方向は、ヘッド5の長手方向に直線状に設けられた溝に沿った方向である。このブラシホルダベース8等の移動開始により、図1においてヘッド5の上端に当接しているブラシ繊維3も、ヘッド5の溝に当接しながらその溝に沿って矢印e方向への移動を開始する。すなわち、ブラシ繊維3によるヘッド表面のクリーニング(往路)が開始される。
【0026】
図2に、ブラシホルダベース8が矢印e方向に移動しているときの状態(クリーニング中の状態)の例を示す。図2(a)は本実施形態のヘッドクリーニング装置の正面図であり、図2(b)は本実施形態のヘッドクリーニング装置の斜視図である。なお、図2(b)では、ヘッド5の図示を省略している。その代わり、図4に、ヘッド5に当接しているブラシ繊維3とその近傍の拡大図を示す。
【0027】
レバー1の矢印aに示す方向(円弧運動の下方向)への移動が進むと、それと連動して、ブラシホルダベース8等も矢印eに示す方向への移動が進む。このときの状態が図2(a)、(b)及び図4に示す状態である。図2(a)や図4に示すように、ブラシ繊維3は、ヘッド5の表面に当接しながらヘッド5の溝に沿って矢印eに示す下方向へ平行に移動することで、溝上のゴミ等を掃き取る。このときもブラシ繊維3は、ヘッド5表面に対してほぼ垂直な当接状態を保っている。図9(a)は、このときのブラシ繊維3の当接状態を模式的に示す側面図である。図9(a)に示すように、ブラシ繊維3とヘッド5の表面との角度α(当接角度)は、例として約90度(90度より小さい角度)となっている。
【0028】
次に、ブラシホルダベース8等が、図2、図4及び図9(a)の状態から、さらに矢印eに示す方向への移動が進んだ場合について説明する。
【0029】
図9(b)に示すように、ブラシ繊維3が矢印eに示す方向へ移動し、ヘッド5の下端に至ったとき、ブラシホルダ6がデッキベース16の縁に接触する。この接触の後、さらに矢印eに示す方向へ移動が進むに伴い、ブラシ繊維3及びブラシホルダ6が矢印kに示す方向へ回転する。この回転により、ブラシ繊維3はヘッド5の表面から離れ、クリーニング(往路)が終了する。このとき、ブラシ繊維3とヘッド5表面との角度が、当接角度から非当接角度に変更される。そして、テープのローディングが完了してレバー1の動作が終了(停止)すると、図9(c)に示すように、ブラシ繊維3及びブラシホルダ6は、デッキベース16の表面近傍で停止させられる。このときの状態を図3(a)、(b)にも示す。図3に示すように、ブラシ繊維3及びブラシホルダ6は、ブラシホルダベース8の短手方向とほぼ水平となっている。また、ストローク量(ブラシホルダベース8等が平行移動した量)はデッキベース16の高さ(図9(c)に示すxの長さ)よりも大きいにも関わらず、図3に示すように、ブラシ繊維3の先端からブラシホルダベース8の後端までがデッキベース16の高さ以内に収まっている(ブラシホルダベース8等がデッキベース16の下方にはみ出していない)。これは、アーム9、10の動きによるものであり、ブラシホルダベース8等の収納スペースが小さくて済むという効果が得られる。
【0030】
このように、テープのローディング(テープの収納)が完了すると同時にクリーニングが終了し、レバー1の動作終了により、ブラシホルダベース8等は、デッキベース16の表面近傍で待機することになる。
【0031】
その後、図3及び図9(c)に示す状態において、テープが取り外されると、これまで説明してきた図1→図2→図3とは逆の順序で動作が行われる。すなわち、図3(b)において、まずレバー1が矢印fに示す方向(上方向)へ円弧を描くように移動する。これにより、ガイド長穴15の右端に位置していたピボット13が、矢印gに示す方向(左方向)へスライド移動する。このスライド移動により、アーム9、10がそれぞれ、矢印i、jに示す方向へ移動し、ブラシホルダベース8等は、矢印hに示す方向へ移動する。矢印hに示す方向は、ヘッド5の長手方向に直線状に設けられた溝に沿った方向(矢印eと反対の方向)である。このブラシホルダベース8等の移動開始により、図3においてデッキベース16近傍に待機しているブラシ繊維3も、再び、ヘッド5の溝への当接を開始し、その溝に当接しながらその溝に沿って矢印h方向への移動を開始する。すなわち、ブラシ繊維3によるヘッド表面のクリーニング(復路)が再び開始される。
【0032】
そして、図3の状態の後、ブラシホルダベース8等の矢印hに示す方向への移動が進むと、図2及び図9(b)に示す状態となり、ブラシ繊維3によるヘッド5へのクリーニングも進む。このクリーニング中の動作は、図2を用いて上述した通りである。
【0033】
そして、さらにブラシホルダベース8等の矢印hに示す方向への移動が進むと、図1に示す状態に戻る。このとき、ブラシ繊維3はヘッド5の上端に当接した状態で移動を停止する。これにより、ブラシ繊維3によるヘッド5のクリーニング(復路)が終了する。
【0034】
以上説明したように、本実施形態によれば、ブラシを、ヘッドの表面に設けられた溝に当接した状態にて当該溝に沿って平行移動することで、溝の隅々までクリーニングする。これにより、ヘッド表面において、掃き残しによるゴミ等の蓄積を防止できる。よって、ゴミ等の蓄積を原因としたヘッドの読み書きのエラー(データの読み込み時又は書き込み時に発生するエラー)を防止することができる。
【0035】
なお、ブラシ繊維3の上下運動中(矢印e、hに示す、ヘッド表面の溝に沿った平行運動)において、アーム9、10が左右方向にがたつくおそれがある。このがたつきを抑えるための手段として、アーム9、10の少なくとも一方にガイド長穴17、18とは別のガイド長穴を設け、かつ、その別のガイド長穴に対応するピボット(ピボット19、20とは別のピボット)をデッキベース16に設けるようにしてもよい。別のガイド長穴の形状としては、例えば、L字状や半円状などが挙げられる。そして、アーム9、10が左右対称に動作するときに、その動作と連動して別のピボットは別の長穴部に嵌合してスライドする。このように、アーム9、10の少なくとも一方において、ガイド長穴17、18及びピボット19、20とは別に、L字状や半円状の別のガイド長穴と、その別のガイド長穴に対応する別のピボットとを設け、アーム9、10の上下動作と連動して別のピボットが別のガイド長穴に嵌合してスライドすることにより、アーム9、10の左右方向へのガタつきを抑え、ブラシ繊維3の上下運動を維持することが可能となる。なお、上述した別のガイド長穴がアーム9、10の少なくとも一方に設けられることで、アーム9とアーム10が、異なる形状、異なるサイズに形成されてもよい。
【0036】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 レバー
2 ベアリング
3 ブラシ繊維
4 レバーの一部分
5 ヘッド
6 ブラシホルダ
7 スプリング
8 ブラシホルダベース
9、10 アーム
11、12 歯車
13 レバーに設けられたピボット
14 接続部材
15 接続部材に設けられたガイド長穴
16 デッキベース
17、18 アームに設けられたガイド長穴
19、20 デッキベースに設けられたピボット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に対してデータの読み書きを行うヘッドの表面をクリーニングするヘッドクリーニング装置であって、
前記ヘッドの表面に設けられた溝に当接した状態にて当該溝に沿って平行移動することにより、前記ヘッドの表面をクリーニングするクリーニング手段を有することを特徴とするヘッドクリーニング装置。
【請求項2】
前記クリーニング手段は、
前記ヘッドの表面の所定方向に沿って設けられた前記溝にブラシを当接し、当該ブラシが当該溝に沿って平行移動することを特徴とする請求項1記載のヘッドクリーニング装置。
【請求項3】
前記クリーニング手段を支持し、かつ、当該クリーニング手段を移動させる手段として、レバー手段と2つのアーム手段を有し、
前記レバー手段は、
円弧の軌跡を描くように動作し、
前記2つのアーム手段は、
前記レバー手段の動作に連動して前記クリーニング手段を支持する部分にそれぞれ設けられた2つの歯車が噛み合って回転することで左右対称に動作し、前記クリーニング手段を平行移動させることを特徴とする請求項1又は2記載のヘッドクリーニング装置。
【請求項4】
前記クリーニング手段は、
前記ヘッドに対するクリーニングが終了した後で、前記レバー手段と前記2つのアーム手段の動作により、所定の待機場所に移動させられ、
当該移動の際に所定の部材に接触することで、前記ヘッドの表面に対して略垂直に当接する角度から前記ヘッドの表面に対して略平行に当接しない角度に変更されることを特徴とする請求項3記載のヘッドクリーニング装置。
【請求項5】
前記2つのアーム手段を支持するベース部材を有し、
前記ベース部材は、
固定して設けられた2つの突起部を有し、
前記2つのアーム手段は、
前記2つの突起部をそれぞれ嵌合する長穴部を1つずつ有し、
前記2つのアーム手段が左右対称に動作するときに、前記2つの突起部が前記2つの長穴部をそれぞれスライドすることを特徴とする請求項3又は4記載のヘッドクリーニング装置。
【請求項6】
前記レバー手段は、
前記クリーニング手段を支持する先端部に、固定して設けられた突起部を有し、
前記クリーニング手段は、
前記レバー手段の先端部と接続する接続部に、前記突起部を嵌合する長穴部を有し、
前記レバー手段が円弧の軌跡を描くように動作するときに、前記突起部が前記長穴部をスライドすることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載のヘッドクリーニング装置。
【請求項7】
前記クリーニング手段は、
前記ヘッドに対するクリーニングが終了した後で、前記レバー手段と前記2つのアーム手段の動作により、待機場所として前記ベース部材の近傍に移動させられて、当該ベース部材に並んで保持され、
当該保持の際、前記ベース部材からはみ出さないように位置することを特徴とする請求項5又は6記載のヘッドクリーニング装置。
【請求項8】
前記2つのアーム手段の少なくとも一方は、
前記長穴部とは別に設けられた別の長穴部を有し、
前記ベース部材は、
前記突起部とは別に設けられた、前記別の長穴部に対応する別の突起部を有し、
前記2つのアーム手段が左右対称に動作するときに、当該動作に連動して前記別の突起部が前記別の長穴部に嵌合してスライドすることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載のヘッドクリーニング装置。
【請求項9】
媒体に対してデータの読み書きを行うヘッドの表面をクリーニングする装置が行うヘッドクリーニング方法であって、
前記装置は、
所定のクリーニング手段を、前記ヘッドの表面に設けられた溝に当接した状態にて当該溝に沿って平行移動させることにより、前記ヘッドの表面をクリーニングすることを特徴とするヘッドクリーニング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−216247(P2012−216247A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78780(P2011−78780)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(302069930)NECエンベデッドプロダクツ株式会社 (738)