ヘッドホン及びイヤーパッド
【課題】本発明は、従来よりも一段と装着感や装着安定性を向上させた優位性のあるヘッドホンを提案するようにする。
【解決手段】本発明は、前面側にスピーカユニット２の放音部２Ａが配置され、背面側がハウジング４により覆われているヘッドホン部２９と、スピーカユニット２の放音部２Ａを覆うイヤーパッド３とを具え、イヤーパッド３は、低反撥の多孔性弾性体としての内部スポンジ４５が布材でなるパッドカバー４０によって覆われた構造を有するようにしたことにより、内部スポンジ４５による低反撥性が布材のパッドカバー４０を介して直接ユーザの耳に当接されるため、内部スポンジ４５を耳の形状に追従させることができ、ヘッドホン装着時の装着感及び安定性を一段と向上させることができる。
【解決手段】本発明は、前面側にスピーカユニット２の放音部２Ａが配置され、背面側がハウジング４により覆われているヘッドホン部２９と、スピーカユニット２の放音部２Ａを覆うイヤーパッド３とを具え、イヤーパッド３は、低反撥の多孔性弾性体としての内部スポンジ４５が布材でなるパッドカバー４０によって覆われた構造を有するようにしたことにより、内部スポンジ４５による低反撥性が布材のパッドカバー４０を介して直接ユーザの耳に当接されるため、内部スポンジ４５を耳の形状に追従させることができ、ヘッドホン装着時の装着感及び安定性を一段と向上させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ヘッドホン及びイヤーパッドに関し、例えば携帯型音楽プレーヤに対して用いられる耳掛け装着方式のヘッドホンに適用して好適なものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、耳掛け装着方式（所謂ハンガーイヤータイプ）のヘッドホンにおいては、耳掛けハンガーと、スピーカユニットが内蔵されたヘッドホン部との間で人間の柔らかな耳を挟み付け、ヘッドホン部自体の重さを支えるようにして取り付けられる構造であるため、左右の耳に安定して装着させることが最も難しいタイプの装着方式である（例えば、特許文献１参照）。
【０００３】
このようなハンガーイヤータイプのヘッドホンは、左右の耳を覆い隠す密閉型ではないオープンエアー型のため、開放感のある抜けの良い音で軽快なタイプとして一般的であり、主にアウトドアユースに多く用いられている。
【０００４】
オープンエアー型の外観的特徴としては、オープンエアーの名の通り、スピーカユニットの前面及び背面ともに出来る限り通気性を良くするために、開口面積を大きくするようになされている。
【０００５】
対照的に密閉型では、スピーカユニットの前面に通気性を抑えた縫製の合皮や、溶着イヤーパッドがあり、背面側がドーム状のハウジングによって覆われているものが一般的である。
【０００６】
音響調整部品の一つであるイヤーパッドは、肌への圧力を分散し、快適な装着感を得るための働きも重要な要素である。オープンエアー型であるハンガーイヤータイプのヘッドホンは、軽快な装着感を重視するため、側圧も軽やかであることが求められる。
【０００７】
従来は、溶着可能なエステル系ウレタンフォームを２枚外周溶着したものや、エーテル系ウレタンフォームを熱線でくり貫いたものが用いられてきたが、個人差により様々な形状の耳へ追従させるには、イヤーパッドの反撥力が問題となって、全てのユーザに対して装着感を満足させることは困難であった。
【０００８】
特に、ハンガーイヤータイプのヘッドホンは、手軽でファッション性のあるカテゴリーとして一般的であるが、ヘッドバンドが無いため耳へ密着させる際の側圧が弱く、インナーイヤータイプのような耳穴への引っ掛かりも無い。
【０００９】
ハンガーイヤータイプのヘッドホンにおける装着方法としては、耳掛けハンガーと、スピーカユニットを内蔵したヘッドホン部とで、柔らかな耳を挟んで、ヘッドホン部自体の重さを支えるように取り付けるものであり、そのため、耳に安定して装着させるのが最も困難なタイプの装着方式でもある。
【特許文献１】特開2001-112081公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
ところでかかる構成のハンガーイヤータイプのヘッドホンにおいては、ヘッドバンドが用いられていないため側圧が弱く、僅かな反撥力によってもヘッドホン部が耳から浮き上がり、耳の凹凸形状に追従できずに装着時の違和感や、装着不安定感をユーザに与えてしまうという問題があった。
【００１１】
また、高級機種のなかには、縫製の合皮が用いられたイヤーパッドの内部に所謂低反撥ウレタンフォームが設けられたものがあるが、ヘッドホン部における片耳程度の小さなドーナッツ形状のスペースでは、合皮でなる表面の生地の硬さが低反撥ウレタンフォームの反撥よりも遥かに大きいため、低反撥ウレタンフォームを用いた効果が殆ど無くなってしまうと共に、音源であるスピーカユニットに極力近付けたい必要性と音漏れとの兼ね合いから低反撥ウレタンフォームを厚くするにも制約があって、必ずしも快適な装着感を提供し得ないという問題があった。
【００１２】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、従来よりも一段と装着感や装着安定性を向上させた優位性のあるヘッドホン及びイヤーパッドを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【００１３】
かかる課題を解決するため本発明のヘッドホンにおいては、前面側にスピーカユニットの放音部が配置され、背面側がハウジングにより覆われているヘッドホン部と、スピーカユニットの放音部を覆うイヤーパッドとを具え、イヤーパッドは、低反撥の多孔性弾性体がパッドカバーにより覆われた構造を有するようにしたことにより、低反撥の多孔性弾性体がパッドカバーを介してユーザの耳に当接されるため、低反撥の多孔性弾性体を耳の形状に追従させることができ、ヘッドホン装着時の装着感及び安定性を一段と向上させることができる。
【００１４】
また本発明のイヤーパッドにおいては、中央部分に穴が設けられたドーナッツ形状に形成されている低反撥の多孔性弾性体と、低反撥の多孔性弾性体を覆うパッドカバーとを具え、パッドカバーは、連続気泡処理が施されたポリウレタンフォームと布材とからなり、ユーザの耳と当接する前面側に上記布材が配置されたことにより、低反撥の多孔性弾性体を布材を介してユーザの耳と当接させ、当該低反撥の多孔性弾性体を耳の形状に追従させることができるので、イヤーパッド装着時の装着感及び安定性を一段と向上させることができる。
【発明の効果】
【００１５】
本発明によれば、前面側にスピーカユニットの放音部が配置され、背面側がハウジングにより覆われているヘッドホン部と、スピーカユニットの放音部を覆うイヤーパッドとを具え、イヤーパッドは、低反撥の多孔性弾性体がパッドカバーにより覆われた構造を有するようにしたことにより、低反撥の多孔性弾性体がパッドカバーを介してユーザの耳に当接されるため、低反撥の多孔性弾性体を耳の形状に追従させることができ、ヘッドホン装着時の装着感及び安定性を一段と向上させることができ、かくして従来よりも一段と装着感や装着安定性を向上させた優位性のあるヘッドホンを実現することができる。
【００１６】
また本発明によれば、中央部分に穴が設けられたドーナッツ形状に形成されている低反撥の多孔性弾性体と、低反撥の多孔性弾性体を覆うパッドカバーとを具え、パッドカバーは、連続気泡処理が施されたポリウレタンフォームと布材とからなり、ユーザの耳と当接する前面側に上記布材が配置されたことにより、低反撥の多孔性弾性体を布材を介してユーザの耳と当接させ、当該低反撥の多孔性弾性体を耳の形状に追従させることができるので、イヤーパッド装着時の装着感及び安定性を一段と向上させることができ、かくして従来よりも一段と装着感や装着安定性を向上させた優位性のあるイヤーパッドを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１７】
以下、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【００１８】
（１）第１の実施の形態
（１−１）第１の実施の形態におけるヘッドホン本体部の外観構成
図１（Ａ）及び（Ｂ）において、１は全体として第１の実施の形態におけるハンガーイヤータイプのヘッドホンを構成する左耳装着用の左側ヘッドホン本体部を示し、ヘッドホン全体としては左右対称形の同一構造である右耳装着用の右側ヘッドホン本体部（図示せず）と当該左側ヘッドホン本体部１とが接続コード９を介して接続された構成を有している。
【００１９】
この左側ヘッドホン本体部１は、その前面側にスピーカユニット２の放音部２Ａが配置され、その放音部２Ａに対してスポンジ状のイヤーパッド３が覆われていると共に、その背面側がハウジング４により覆われている。
【００２０】
ハウジング４は、その内部に接続コード９を巻き取るためのコード巻取機構（図示せず）が内蔵されており、巻取ボタン８に対する押下操作に応じてコード巻取機構により接続コード９をハウジング４内に巻き取るようになされている。
【００２１】
またハウジング４は、その上部中央であって、スピーカユニット２の放音部２Ａ側の象限に設けられた回転軸受部５を介して合成樹脂等の弾性体でなる耳掛けハンガー６が回動自在に取り付けられており、その回転軸受部５を覆うように回転軸受部カバー７が取り付けられている。
【００２２】
耳掛けハンガー６は、そのアーム部が耳の形に合わせた全体的に丸みを有する形状でなり、左側ヘッドホン本体部１をユーザ装着時の真正面側から見たとき（図１（Ｂ）左側面図）、ハウジング４の中心の法線ＯＬに対し、所謂アオリ方向へ約２１度の傾きを持って回転軸受部５に取り付けられている。
【００２３】
ここでアオリ方向とは、図２に示すように、ユーザの顔を正面側から見たとき、耳が顔に対してどのような角度にあるのかを示す方向であって、それを傾斜角度θ１によって示す。従って耳掛けハンガー６は、回転軸受部５を介してアオリ方向へ約２１度の傾きを持って取り付けられているため、ユーザの耳に装着された際、そのアーム部が耳のアオリ方向へ沿った状態になり、ユーザの装着感を向上させ得るようになされている。
【００２４】
なお、アオリ方向の傾斜角度θ１が約２１度に設定されているのは、複数のユーザに対するアンケートを取り、その集計結果から大多数のユーザにとって装着感が心地よいと感じられるアオリ方向の傾斜角度が約２１度であったからである。
【００２５】
また耳掛けハンガー６は、左側ヘッドホン本体部１を真上側から見たとき（図１（Ｂ）上面図）、ハウジング４の中心の法線ＯＬに対し、所謂ツイスト方向へ約２５度の傾きを持って回転軸受部５に取り付けられている。
【００２６】
ここでツイスト方向とは、図３に示すように、ユーザの顔を真上側から見たとき、ユーザの耳が顔に対してどのような角度にあるのかを示す方向であって、それを傾斜角度θ２によって示す。従って耳掛けハンガー６は、回転軸受部５を介してツイスト方向へ約２５度の傾きを持って取り付けられているため、ユーザの耳に装着された際、そのアーム部が耳のツイスト方向へ沿った状態になり、ユーザの装着感を向上させ得るようになされている。
【００２７】
因みに、耳掛けハンガー６が回転軸受部５を介してツイスト方向へ約２５度の傾きが設定されているのは、ツイスト方向への傾きが０度、１５度、２５度、３５度及び４５度毎に複数のユーザに対するアンケートを取り、その集計結果である図４に示すような傾斜角度別ヒストグラムＨＧに基づいて、大多数のユーザにとって装着感が心地よいと感じられるツイスト方向への傾斜角度θ２が２５度であったと検証されたからである。
【００２８】
このような耳掛けハンガー６は、ハウジング４の回転軸受部５を介してアオリ方向へ約２１度の傾きを持って取り付けられていると同時に、ツイスト方向へも約２５度の傾きを持って取り付けられているため、そのアーム部がユーザの耳におけるアオリ方向及びツイスト方向の双方に沿った状態で装着されることになり、例えばアオリ方向だけに傾斜された構造の耳掛けハンガーと比較した場合、装着時のフィット感を格段に向上させ得るようになされている。
【００２９】
（１−２）第１の実施の形態における左側ヘッドホン本体部の内部構造
続いて、左側ヘッドホン本体部１の内部構造について、図５を用いて説明する。この左側ヘッドホン本体部１を構成する各部材としては、合成樹脂や耐腐食性金属等が素材として用いられている。
【００３０】
実際上、左側ヘッドホン本体部１の内部には、略円筒形状の筐体２２が設けられており、その筐体２２の上側保持部２２Ａの内周側に中心軸２２Ｃを介して接続コード９の巻き取りに用いられる巻取リール２３が取り付けられる。
【００３１】
そして巻取リール２３が取り付けられた筐体２２は、巻取リール２３の上からリールカバー２４が筐体２２を覆うように取り付けられ、そのリールカバー２４に対して化粧キャップ２５及び回転軸受部カバー７が同時に取り付けられるようになされている。
【００３２】
また左側ヘッドホン本体部１は、筐体２２の下方に設けられたフランジ形状でなる下側保持部２２Ｂの内周側に、短い円柱形状でなるスピーカユニット２１が嵌め込まれて取り付けられるようになされている。なお、この筐体２２に対して、巻取リール２３、リールカバー２４、化粧キャップ２５及びスピーカユニット２が取り付けられた部分をヘッドホン部２９とする。
【００３３】
左側ヘッドホン本体部１は、ヘッドホン部２９の筐体部２２における下側保持部２２Ｂの周端面上に設けられている回転軸受部５に対して、耳掛けハンガー６の先端にある軸保持部６Ａがビス状の回転軸２６により軸支され、その回転軸２６の上から軸カバー２７によって蓋がされている。
【００３４】
因みに、図５では耳掛けハンガー６とスピーカユニット２１とが重なって見えるものの、この耳掛けハンガー６とスピーカユニット２１とは別体の独立した部品であり、筐体２２の回転軸受部５に耳掛けハンガー６が取り付けられた結果、スピーカユニット２１とは独立して耳掛けハンガー６だけが回転軸受部５の回転軸２６を介して回動し得るようになされている。
【００３５】
なお左側ヘッドホン本体部１は、回転軸２６に対してバネ２８が取り付けられた状態で、耳掛けハンガー６の軸保持部６Ａが回転軸受部５に軸支されるようになされており、これにより耳掛けハンガー６が回転軸受部５を介して回動された場合、バネ２８の付勢力によって、耳掛けハンガー６のアーム部を元の位置（図１）に戻そうとする力が作用するようになされている。
【００３６】
この耳掛けハンガー６のアーム部を元の位置に戻そうとする力は、ユーザの耳に当接されるイヤーパッド３の表面と、耳掛けハンガー６のアーム部との間でユーザの耳を挟み付けるように作用すると共に、当該耳掛けハンガー６のアーム部が眼鏡の耳掛け部分のように、耳に対して強固に保持されるように作用する。
【００３７】
ところで左側ヘッドホン本体部１では、耳掛けハンガー６が回転軸受部５を介してアオリ方向へ約２１度の傾きを持って取り付けられると同時に、ツイスト方向へも約２５度の傾きを持って取り付けられるようになされているが、これは回転軸受部５そのものが筐体２２に対して、アオリ方向へ約２１度の傾きを持って設けられていると共に、かつツイスト方向へも約２５度の傾きを持って設けられているからである。
【００３８】
従って左側ヘッドホン本体部１は、耳掛けハンガー６がヘッドホン部２９の回転軸受部５に軸支された状態で、当該耳掛けハンガー６がバネ２８の付勢力に反して回動されたとき、スピーカユニット２の放音部２Ａ側の象限上で、耳掛けハンガー６がアオリ方向へ約２１度傾けられ、かつツイスト方向へ約２５度傾けられた２軸傾斜の３次元的な仮想軸線（回転軸２６）を中心とした所定回動角度範囲内で当該耳掛けハンガー６のア−ム部を回動させ得るようになされている。
【００３９】
（１−３）第１の実施の形態における装着状態
ところで上述した２軸傾斜の耳掛けハンガー６を有する左側ヘッドホン本体部１がユーザの耳に装着される際、図６（Ａ）及び（Ｂ）に示すように、ユーザがあたかも眼鏡をかけるかのように、耳掛けハンガー６のアーム部先端を耳の付け根に差し込むように挿入することにより、図７に示すように、イヤーパッド３が耳甲介に当接され、かつ耳掛けハンガー６のアーム部が耳に引っ掛けられた状態、すなわち結果的にイヤーパッド３と耳掛けハンガー６のアーム部とによって耳が挟まれた状態で左側ヘッドホン本体部１が保持される。
【００４０】
ここで、本発明のアオリ方向及びツイスト方向へ２軸傾斜された耳掛けハンガー６を有する左側ヘッドホン本体部１がユーザに装着された場合と、基本構造が同一であってアオリ方向にのみ１軸傾斜された耳掛けハンガーを有する左側ヘッドホン本体部がユーザに装着された場合とにおける装着状態の違いを、図８及び図９により説明する。
【００４１】
本発明のアオリ方向及びツイスト方向へ２軸傾斜された耳掛けハンガー６を有する左側ヘッドホン本体部１がユーザに装着された場合、図８（Ａ）に示すように、標準的な厚さの耳ＥＲ１を持つユーザに対しては耳掛けハンガー６の回転軸受部５を介した回動角度が標準状態であるのに対し、図８（Ｂ）に示すように、標準的な厚さよりも太い耳ＥＲ２を持つユーザに対しては耳掛けハンガー６の回転軸受部５を介した回動角度が標準状態よりも１０度大きい１０度開き状態となり、図８（Ｃ）に示すように、標準的な厚さよりも薄い耳ＥＲ３を持つユーザに対しては耳掛けハンガー６の回転軸受部５を介した回動角度が標準状態よりも１０度小さい１０度閉じ状態となる。
【００４２】
すなわち本発明の左側ヘッドホン本体部１では、耳掛けハンガー６の回動角度が標準状態（図８（Ａ））、１０度開き状態（図８（Ｂ））及び１０度閉じ状態（図８（Ｃ））の何れの場合であっても、イヤーパッド３の表面に対して耳掛けハンガー６のアーム部が平行状態を維持したまま、イヤーパッド３の表面から耳掛けハンガー６のアーム部までの距離ＤＭ１〜ＤＭ３が耳ＥＲ１〜ＥＲ３の厚さに応じてそれぞれ変化するようになされている。
【００４３】
従って本発明の左側ヘッドホン本体部１では、耳掛けハンガー６の回動角度が変わることに応じて、イヤーパッド３の表面から耳掛けハンガー６のアーム部までの距離ＤＭ１〜ＤＭ３が変化し、かつイヤーパッド３の表面に対して耳掛けハンガー６のアーム部が平行状態を維持し続けるため、ユーザ毎に耳ＥＲ１〜ＥＲ３の厚さが異なっていても、全てのユーザに対して良好な装着感及び装着安定感を提供し得るようになされている。
【００４４】
これに対して図８（Ａ）、（Ｂ）及び（Ｃ）との対応部分に同一符号を付した図９（Ａ）、（Ｂ）及び（Ｃ）に示すように、アオリ方向にのみ１軸傾斜された耳掛けハンガー１０６を有する左側ヘッドホン本体部１００がユーザに装着された場合、標準的な厚さの耳ＥＲ１を持つユーザに対しては耳掛けハンガー１０６の回動角度が標準状態であるのに対し（図９（Ａ））、標準的な厚さよりも太い耳ＥＲ２を持つユーザに対しては耳掛けハンガー１０６の回動角度が標準状態よりも１０度大きい１０度開き状態となり（図９（Ｂ））、標準的な厚さよりも薄い耳ＥＲ３を持つユーザに対しては耳掛けハンガー１０６の回動角度が標準状態よりも１０度小さい１０度閉じ状態となる（図９（Ｃ））。
【００４５】
しかしながらアオリ方向にのみ１軸傾斜された耳掛けハンガー１０６を有する左側ヘッドホン本体部１００では、耳掛けハンガー１０６の回動角度が標準状態（図９（Ａ））、１０度開き状態（図９（Ｂ））及び１０度閉じ状態（図９（Ｃ））の何れの場合であっても、イヤーパッド１０３の表面から耳掛けハンガー１０６のアーム部までの距離ＤＭ４Ａ、ＤＭ４Ｂ及びＤＭ４Ｃが殆ど変わらず、またイヤーパッド１０３の表面と耳掛けハンガー１０６のアーム部との平行状態についても必ずしも維持されていない。
【００４６】
従ってアオリ方向にのみ１軸傾斜された耳掛けハンガー１０６を有する左側ヘッドホン本体部１００では、耳掛けハンガー１０６の回動角度が変わっても、イヤーパッド１０３の表面から耳掛けハンガー１０６のアーム部までの距離ＤＭ４Ａ、ＤＭ４Ｂ及びＤＭ４Ｃが殆ど変化しないため、標準的な厚さよりも太い耳ＥＲ２を持つユーザや、標準的な厚さよりも薄い耳ＥＲ３を持つユーザに対して、良好な装着感を提供し得ないだけでなく、耳掛けアーム１０６の回動角度が大きくなるに連れてイヤーパッド３と耳甲介との位置関係が最適な状態から微妙にずれてしまうことになる。
【００４７】
（１−４）第１の実施の形態におけるイヤーパッドの構造
ところで本発明の２軸傾斜された耳掛けハンガー６を有する左側ヘッドホン本体部１のイヤーパッド３では、従来にない工夫がなされており、その点について次に説明する。
【００４８】
イヤーパッド３は、図１０（Ａ）及び（Ｂ）に示すパッドカバー４０と、図１１に示すようにそのパッドカバー４０の内部に装填される低反撥ウレタンフォームでなる多孔性弾性体すなわち内部スポンジ４５とによって構成されている。
【００４９】
パッドカバー４０は、ユーザの耳に当接される前面側にフレキシブル材として例えばナイロンやポリエステル等の合成樹脂繊維をニット状にした伸縮可能で通気性及び通音性の高い布地４１（図１０（Ａ））が配置され、スピーカユニット２を包み込む背面側に、連続気泡処理が施された内部スポンジ４５の側面を覆い、ドーナッツ形状の挿通孔を有するエステル系ポリウレタンフォームでなる弾性体のカバースポンジ４２（図１０（Ｂ））が配置され、布地４１とカバースポンジ４２とが互いの接合部の端部で熱溶着された構成を有する。
【００５０】
一方、内部スポンジ４５は、連続気泡処理が施されていないドーナッツ形状の低反撥ウレタンフォームでなり、カバースポンジ４２の内部に収納されるため、当該カバースポンジ４２よりも僅かに小さなサイズに形成されている。なお、必要に応じて布地４１とカバースポンジ４２とが互いの接合部の端部で熱溶着されるが、内部スポンジ４５についても熱溶着によりパッドカバー４０のカバースポンジ４２と熱溶着させて固着させるようにしても良い。
【００５１】
この内部スポンジ４５に素材として採用されている低反撥ウレタンフォームは、ＮＡＳＡのスペースシャトルのシートに使われており、宇宙飛行士にとって過酷な大重圧・振動・長時間にわたる着座作業を軽減するために開発され、荷重分散と低反撥という特徴を持つものである。
【００５２】
通常の家具で使われているウレタンフォームは、密度が約１５〜３０ｋｇ／ｍ３であるのに対し、低反撥ウレタンフォームは、通常のウレタンフォームの約２〜３倍に相当する約６５ｋｇ／ｍ３もの密度がある。なお低反撥であるか否かの基準は、反撥弾性が約４０ｋｇ／ｍ３以上の密度で２０％以下のものをいう。
【００５３】
一般的に低反撥ウレタンフォームは、一般のウレタンフォームとの密度の違いにより、外部からの圧力に対してゆっくり変形し、ゆっくり戻る特徴と、荷重を分散し、底づきし難く圧迫感のない心地良い感触が得られる特徴と、いつまでもヘタリの少ない状態で使用することができるという特徴とを有している。
【００５４】
内部スポンジ４５に使用される低反撥ウレタンフォームとしては、図１２に示すようなバウンドレス性を有するクッション用ポリウレタンフォームであって、反撥弾性が非常に小さく、クッション材として使用した場合に体圧が均等に分散されて長時間の使用であっても疲れを感じさせ難いうえ、衝撃吸収性が大きく、硬さの温度依存性があるため、温度が低いと硬く、温度が高いと柔らかくなるという特徴がある。
【００５５】
イヤーパッド３は、図１３に示すように、ドーナッツ形状の穴が開けられたパッドカバー４０（カバースポンジ４２）に対して、ほぼ同じサイズでなるドーナッツ形状の穴が空けられた内部スポンジ４５が収納された状態で構成され、パッドカバー４０のカバースポンジ４２が筐体２２のフランジ形状でなる下側保持部２２Ｂの鍔部に引っ掛けられるようにして取り付けられる。
【００５６】
ところでイヤーパッド３のパッドカバー４０に用いられているカバースポンジ４２は、上述したように連続気泡処理が施された素材であるため、スピーカユニット２の放音部２Ａから出力される音声を通すことができるが、低反撥ウレタンフォームでなる内部スポンジ４５は連続気泡処理が施されていない素材であるため、スピーカユニット２の放音部２Ａから出力される音声を通すことができない。
【００５７】
しかしながらイヤーパッド３では、ドーナッツ形状の穴が開けられたパッドカバー４０のカバースポンジ４２に対して、ほぼ同じサイズでなるドーナッツ形状の穴が空けられた内部スポンジ４５が収納された構造であるため、スピーカユニット２の放音部２Ａから出力される音声をドーナッツ形状の２つの穴及びニットの布地４１を介して通過させ、ユーザの耳に到達させ得るようになされている。
【００５８】
またイヤーパッド３は、内部スポンジ４５に低反撥ウレタンフォームが用いられると共に、その内部スポンジ４５と当接し、かつユーザの耳に押し当てられる布地４１にニットが用いられるようにしたことにより、内部スポンジ４５に対して与えられる外部からの圧力に対してゆっくり変形し、ゆっくり戻る特徴を、薄い柔らかなニットの布地４１を介してダイレクトに伝えられるようになされている。
【００５９】
これによりユーザは、イヤーパッド３が付けられた左側ヘッドホン本体部１を装着したとき、小さな側圧しか期待できない状態であるにも拘わらず、イヤーパッド３の内部スポンジ４５及び布地４１を介して、ユーザ毎に個人差を有する耳の形状差を吸収し、誰に対しても一段と快適な装着感及び装着安定性を提供し得るようになされている。
【００６０】
また左側ヘッドホン本体部１は、イヤーパッド３に用いられた低反撥ウレタンフォームの内部スポンジ４５が外部の圧力に対してゆっくり変形し、ゆっくり戻る特徴を有し、当該内部スポンジ４５が耳の個人差により異なる凹凸形状にそれぞれ追従して密着することになるため、耳とイヤーパッド３との隙間を従来に比して一段と塞ぐことができ、かくしてイヤーパッド３の前面側からの不要な音漏れを防止し得るようになされている。
【００６１】
（１−５）動作及び効果
以上の構成において、左側ヘッドホン本体部１は、図１４に示すように、耳掛けハンガー６が回転軸受部５（図示せず）を介して回動した場合、耳掛けハンガー６のアーム部がハウジング４から離れる方向へ移動し、その耳掛けハンガー６のアーム部が元の位置に戻ろうとする付勢力により、イヤーパッド３と耳掛けハンガー６のアーム部との間でユーザの耳を挟み付けることにより装着される。
【００６２】
このとき図１５（Ａ）及び（Ｂ）に示すように、左側ヘッドホン本体部１は、その正面側から見たとき耳掛けハンガー６がハウジング４に対してアオリ方向へ約２１度の傾きを持って取り付けられ、その上面側から見たとき耳掛けハンガー６がハウジング部４に対してツイスト方向へ約２５度の傾きを持って取り付けられた３次元的な２軸傾斜構造を有しているため、回転軸受部５を介して耳掛けハンガー６を回動させたとき、耳の角度に沿って当該耳掛けハンガー６のアーム部を這わせることができる。
【００６３】
また図１６（Ａ）に示すように、従来の１軸傾斜された耳掛けハンガー２０６を有する左側ヘッドホン本体部２００がユーザに装着された場合と、図１６（Ｂ）に示すように、本発明の２軸傾斜された耳掛けハンガー６を有する左側ヘッドホン本体部１がユーザに装着された場合とにおける装着状態の違いを検証する。
【００６４】
この場合、従来の１軸傾斜された耳掛けハンガー２０６を有する左側ヘッドホン本体部２００（図１６（Ａ））では、耳掛けハンガー２０６を回動保持する回転軸受部２０５が、イヤーパッド２０３側の象限に設けられているものの、耳掛けハンガー２０６を回動保持する回転軸受部２０５の向きがハウジング２０４の化粧キャップ２２５側の象限にあるため、耳掛けハンガー２０６が化粧キャップ２２５側から大きなカーブを描いてイヤーパッド２０３側の象限に回り込む構造となっている。
【００６５】
従って１軸傾斜された耳掛けハンガー２０６を有する左側ヘッドホン本体部２００（図１６（Ａ））は、耳掛けハンガー２０６のアーム部とユーザの耳後ろ部分とのスペースが大きく拡がり、当該耳掛けハンガー２０６のアーム部と耳後ろ部分との接触面積が少なくなってしまう。
【００６６】
これに対して本発明の２軸傾斜された耳掛けハンガー６を有する左側ヘッドホン本体部１（図１６（Ｂ））では、耳掛けハンガー６を回動保持する回転軸受部５が、スピーカユニット２を内部に有するイヤーパッド３側の象限に設けられ、かつ耳掛けハンガー６を回動保持する回転軸受部５の向きについてもイヤーパッド３側の象限にあるため、耳掛けハンガー６が回転軸受部５からイヤーパッド３側の象限に対して直接配置された構造となっている。
【００６７】
従って２軸傾斜された耳掛けハンガー６を有する左側ヘッドホン本体部１（図１６（Ｂ））は、耳掛けハンガー６のアーム部とユーザの耳後ろ部分とのスペースが殆ど無くなり、当該耳掛けハンガー６のアーム部と耳後ろ部分との接触面積が一段と多くなって、装着時の保持性及び装着安定性を大きく向上させると共に、装着感を格段に向上させている。
【００６８】
加えて左側ヘッドホン本体部１では、耳掛けハンガー６の回動角度が変わることに応じて、イヤーパッド３の表面から耳掛けハンガー６までの距離ＤＭ１〜ＤＭ３が変化し（図８（Ａ）〜（Ｃ））、かつイヤーパッド３の表面に対して耳掛けハンガー６のアーム部が平行状態を維持し続けるため、ユーザ毎に耳ＥＲ１〜ＥＲ３の厚さが異なっていても、良好な装着感を提供することができる。
【００６９】
さらに左側ヘッドホン本体部１では、内部スポンジ４５に低反撥ウレタンフォームが素材として用いられていると共に、その内部スポンジ４５と当接し、かつユーザの耳に押し当てられる布地４１に対して薄い柔らかなニットが素材として用いられていることにより、内部スポンジ４５に対して与えられる耳からの側圧に対して、耳の形状に合わせて内部スポンジ４５をゆっくり変形させ、ゆっくり戻るように追従させることができる。
【００７０】
これにより左側ヘッドホン本体部１は、ユーザに装着されたとき、内部スポンジ４５及びニットの布地４１を介して、イヤーパッド３をユーザの耳の形状に合わせるように追従させることができるので、十分な密着感と共に音漏れを防止しつつ、一段と快適な装着感を提供することができる。
【００７１】
なお左側ヘッドホン本体部１では、この場合であっても、通気性に優れたニットの布地４１からなるパッドカバー４０が用いられているため、十分な密着感及び音漏れを防止しながらも、使用時の蒸れを防止し、快適さをも提供することができる。
【００７２】
以上の構成によれば、従来よりも一段と装着感や装着安定性を向上させた左側ヘッドホン本体部１及び右側ヘッドホン本体部からなる優位性のある耳掛け装着方式のヘッドホンを実現することができる。
【００７３】
（２）第２の実施の形態
（２−１）第２の実施の形態におけるヘッドホン本体部の外観構成
図１との対応部分に同一符号を付した図１７に示すように、３００は全体として第２の実施の形態におけるハンガーイヤータイプのヘッドホンを構成する左耳装着用の左側ヘッドホン本体部を示し、ヘッドホン全体としては左右対称形の同一構造である右耳装着用の右側ヘッドホン本体部（図示せず）と当該左側ヘッドホン本体部３００とが接続コード３０９を介して接続された構成を有している。
【００７４】
この場合、第２の実施の形態における左側ヘッドホン本体部３００では、ハウジング３０４の内部に接続コード３０９を巻き取るためのコード巻取機構が設けられているのではなく、低音増強用のダクト３３０が形成されていることを特徴としており、それ以外の耳掛けハンガー３０６については第１の実施の形態と同様、回転軸受部３０５を介してアオリ方向及びツイスト方向へ同じ傾斜角度だけ傾けられた３次元的な２軸傾斜構造となっている。
【００７５】
因みに、この耳掛けハンガー３０６の２軸傾斜構造については、第１の実施の形態における耳掛けハンガー６の２軸傾斜構造と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【００７６】
なおダクト３３０は、その直径及び長さに起因して共振周波数を低い周波数帯へずらし、低音レベルを増強するためのものであり、出来るだけ大きなサイズのダクトであればあるほど、安定した状態で低音を十分なレベルにまで増強し得るようになされている。
【００７７】
従って第２の実施の形態における左側ヘッドホン本体部３００においても、２軸傾斜構造を有しているため、耳掛けハンガー３０６を回動させたとき、ユーザの耳の後ろ部分に沿って当該耳掛けハンガー６を這わせることができる。
【００７８】
更に左側ヘッドホン本体部３００においても、耳掛けハンガー３０６の回動角度が変わることに応じて、イヤーパッド３０３の表面から耳掛けハンガー６のアーム部までの距離が変化し、かつイヤーパッド３の表面に対して耳掛けハンガー６のアーム部が平行状態を維持し続けるため、ユーザ毎に耳の厚さが異なっていても、良好な装着感を提供することができる。
【００７９】
また左側ヘッドホン本体部３００のイヤーパッド３０３についても、第１の実施の形態における左側ヘッドホン本体部１のイヤーパッド３と同一構造であるため、従来に比して優れた装着感及び装着安定性を持たせることができる。
【００８０】
（３）他の実施の形態
なお上述の第１及び第２の実施の形態においては、合成樹脂等の弾性体でなる耳掛けハンガー６及び３０６を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ユーザの耳に耳掛けハンガー６及び３０６が接触したとき、耳の形状にある程度追従するようになされた形態であれば、バネ性が殆ど無い材料でなる耳掛けハンガー６及び３０６を用いるようにしても良い。
【００８１】
また上述の第１及び第２の実施の形態においては、耳掛けハンガー６及び３０６を回動軸に対して、アオリ方向の傾斜角度θ１を約２１度、ツイスト方向の傾斜角度θ２を約２５度に設定するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、耳掛けハンガー６及び３０６が２軸傾斜された構造であれば、アオリ方向及びツイスト方向ともに約１０度〜４５度の範囲内で任意の傾斜角度θ１及びθ２に設定するようにしても良い。
【００８２】
さらに上述の第１及び第２の実施の形態においては、回動軸受部５及び３０５を介して耳掛けハンガー６及び３０６がアオリ方向への傾斜角度θ１を約２１度、ツイスト方向への傾斜角度θ２を約２５度に設定した固定式の場合について述べたが、本発明はこれに限らず、回転軸受部５及び３０５の向きを動かせる構造とし、アオリ方向への傾斜角度θ１及びツイスト方向への傾斜角度θ２をユーザの好みに合わせて微調整可能にしてもよい。
【００８３】
さらに上述の第１及び第２の実施の形態においては、パッドカバー４０とスポンジ４５とが熱溶着された構造のイヤーパッド３及び３０３を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、パッドカバー４０とスポンジ４５とが最初から一体化された構造のイヤーパッド３及び３０３を用いるようにしたり、パッドカバー４０の中にスポンジ４５を収納させるだけで熱溶着しないのであれば、エステル系ポリウレタンフォームでなるカバースポンジを用いるようにしても良い。
【００８４】
さらに上述の第１及び第２の実施の形態においては、パッドカバー４０の背面側にエステル系ポリウレタンフォームでなるカバースポンジ４２を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、パッドカバー４０の前面側と同様にニット製の布地４１を用いたり、内部スポンジ４５と同じ素材でなる低反撥ウレタンフォームでなるカバースポンジ４２を用いるようにしても良い。
【００８５】
さらに上述の第１及び第２の実施の形態においては、イヤーパッド３及び３０３のパッドカバー４０を耳掛け装着方式であるハンガーイヤータイプのヘッドホン１及び３００に用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、イヤーパッドを必要とする構造であれば、密閉型のヘッドホンや、その他種々のタイプのヘッドホンにイヤーパッド３及び３０３のパッドカバー４０を用いるようにしても良い。
【００８６】
さらに上述の第１及び第２の実施の形態においては、イヤーパッド３及び３０３のパッドカバー４０の素材として布地４１を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、布状でなるポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等のその他種々の合成樹脂繊維系素材や、紙材を布地４１の代わりに用いるようにしても良い。
【００８７】
さらに上述の第１及び第２の実施の形態においては、ヘッドホン部としてのヘッドホン部２９及びイヤーパッドとしてのイヤーパッド３によって耳掛け装着方式のヘッドホンとしての左側ヘッドホン本体部１及び３００を構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の形状及び構造でなるヘッドホン部及びイヤーパッドによって耳掛け装着方式のヘッドホンを構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【００８８】
本発明の耳掛け装着方式のヘッドホンは、携帯型音楽プレーヤ以外の例えば音楽再生機能を持った携帯電話機や小型モバイルコンピュータ等のその他種々の電子機器に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【００８９】
【図１】第１の実施の形態におけるハンガーイヤータイプのヘッドホン本体部の構成を示す略線図である。
【図２】アオリ方向の傾斜角度を示す略線図である。
【図３】ツイスト方向の傾斜角度を示す略線図である。
【図４】ツイスト方向の傾斜角度ヒストグラムを示す略線図である。
【図５】左側ヘッドホン本体部の内部構造を示す略線的斜視図である。
【図６】装着の仕方の説明に供する略線的斜視図である。
【図７】左側ヘッドホン本体部の装着状態を示す略線図である。
【図８】本願発明の２軸傾斜の左側ヘッドホン本体部が耳のサイズの異なるユーザに装着された場合の装着状態の変化を示す略線図である。
【図９】１軸傾斜の左側ヘッドホン本体部が耳のサイズの異なるユーザに装着された場合の装着状態の変化を示す略線図である。
【図１０】イヤーパッドのパッドカバーの構成を示す略線的斜視図である。
【図１１】イヤーパッドの内部スポンジ（低反撥ウレタンフォーム）の構成を示す略線的斜視図である。
【図１２】バウンドレス性の説明に供する略線図である。
【図１３】イヤーパッドの断面構造を示す略線図である。
【図１４】左側ヘッドホン本体部における耳掛けハンガーの回動状態を示す略線的斜視図である。
【図１５】アオリ方向及びツイスト方向へ２軸傾斜された耳掛けハンガーを示す略線図である。
【図１６】耳掛けハンガーと耳の後ろ部分との距離の説明に供する略線図である。
【図１７】第２の実施の形態におけるハンガーイヤータイプのヘッドホン本体部の構成を示す略線的斜視図である。
【符号の説明】
【００９０】
１、２００、３００……左側ヘッドホン本体部、２……スピーカユニット、３、３０３……イヤーパッド、４、３０４……ハウジング、５、３０５……回転軸受部、６、３０６……耳掛けハンガー、７……回転軸受部カバー、８……巻取ボタン、９、３０９……接続コード、２２……筐体、２３……リール、２４……リールカバー、２５……化粧キャップ、２６……回転軸、２７……軸カバー、４０……パッドカバー、４１……布地、４２……カバースポンジ、４５……内部スポンジ、３３０……ダクト。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ヘッドホン及びイヤーパッドに関し、例えば携帯型音楽プレーヤに対して用いられる耳掛け装着方式のヘッドホンに適用して好適なものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、耳掛け装着方式（所謂ハンガーイヤータイプ）のヘッドホンにおいては、耳掛けハンガーと、スピーカユニットが内蔵されたヘッドホン部との間で人間の柔らかな耳を挟み付け、ヘッドホン部自体の重さを支えるようにして取り付けられる構造であるため、左右の耳に安定して装着させることが最も難しいタイプの装着方式である（例えば、特許文献１参照）。
【０００３】
このようなハンガーイヤータイプのヘッドホンは、左右の耳を覆い隠す密閉型ではないオープンエアー型のため、開放感のある抜けの良い音で軽快なタイプとして一般的であり、主にアウトドアユースに多く用いられている。
【０００４】
オープンエアー型の外観的特徴としては、オープンエアーの名の通り、スピーカユニットの前面及び背面ともに出来る限り通気性を良くするために、開口面積を大きくするようになされている。
【０００５】
対照的に密閉型では、スピーカユニットの前面に通気性を抑えた縫製の合皮や、溶着イヤーパッドがあり、背面側がドーム状のハウジングによって覆われているものが一般的である。
【０００６】
音響調整部品の一つであるイヤーパッドは、肌への圧力を分散し、快適な装着感を得るための働きも重要な要素である。オープンエアー型であるハンガーイヤータイプのヘッドホンは、軽快な装着感を重視するため、側圧も軽やかであることが求められる。
【０００７】
従来は、溶着可能なエステル系ウレタンフォームを２枚外周溶着したものや、エーテル系ウレタンフォームを熱線でくり貫いたものが用いられてきたが、個人差により様々な形状の耳へ追従させるには、イヤーパッドの反撥力が問題となって、全てのユーザに対して装着感を満足させることは困難であった。
【０００８】
特に、ハンガーイヤータイプのヘッドホンは、手軽でファッション性のあるカテゴリーとして一般的であるが、ヘッドバンドが無いため耳へ密着させる際の側圧が弱く、インナーイヤータイプのような耳穴への引っ掛かりも無い。
【０００９】
ハンガーイヤータイプのヘッドホンにおける装着方法としては、耳掛けハンガーと、スピーカユニットを内蔵したヘッドホン部とで、柔らかな耳を挟んで、ヘッドホン部自体の重さを支えるように取り付けるものであり、そのため、耳に安定して装着させるのが最も困難なタイプの装着方式でもある。
【特許文献１】特開2001-112081公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
ところでかかる構成のハンガーイヤータイプのヘッドホンにおいては、ヘッドバンドが用いられていないため側圧が弱く、僅かな反撥力によってもヘッドホン部が耳から浮き上がり、耳の凹凸形状に追従できずに装着時の違和感や、装着不安定感をユーザに与えてしまうという問題があった。
【００１１】
また、高級機種のなかには、縫製の合皮が用いられたイヤーパッドの内部に所謂低反撥ウレタンフォームが設けられたものがあるが、ヘッドホン部における片耳程度の小さなドーナッツ形状のスペースでは、合皮でなる表面の生地の硬さが低反撥ウレタンフォームの反撥よりも遥かに大きいため、低反撥ウレタンフォームを用いた効果が殆ど無くなってしまうと共に、音源であるスピーカユニットに極力近付けたい必要性と音漏れとの兼ね合いから低反撥ウレタンフォームを厚くするにも制約があって、必ずしも快適な装着感を提供し得ないという問題があった。
【００１２】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、従来よりも一段と装着感や装着安定性を向上させた優位性のあるヘッドホン及びイヤーパッドを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【００１３】
かかる課題を解決するため本発明のヘッドホンにおいては、前面側にスピーカユニットの放音部が配置され、背面側がハウジングにより覆われているヘッドホン部と、スピーカユニットの放音部を覆うイヤーパッドとを具え、イヤーパッドは、低反撥の多孔性弾性体がパッドカバーにより覆われた構造を有するようにしたことにより、低反撥の多孔性弾性体がパッドカバーを介してユーザの耳に当接されるため、低反撥の多孔性弾性体を耳の形状に追従させることができ、ヘッドホン装着時の装着感及び安定性を一段と向上させることができる。
【００１４】
また本発明のイヤーパッドにおいては、中央部分に穴が設けられたドーナッツ形状に形成されている低反撥の多孔性弾性体と、低反撥の多孔性弾性体を覆うパッドカバーとを具え、パッドカバーは、連続気泡処理が施されたポリウレタンフォームと布材とからなり、ユーザの耳と当接する前面側に上記布材が配置されたことにより、低反撥の多孔性弾性体を布材を介してユーザの耳と当接させ、当該低反撥の多孔性弾性体を耳の形状に追従させることができるので、イヤーパッド装着時の装着感及び安定性を一段と向上させることができる。
【発明の効果】
【００１５】
本発明によれば、前面側にスピーカユニットの放音部が配置され、背面側がハウジングにより覆われているヘッドホン部と、スピーカユニットの放音部を覆うイヤーパッドとを具え、イヤーパッドは、低反撥の多孔性弾性体がパッドカバーにより覆われた構造を有するようにしたことにより、低反撥の多孔性弾性体がパッドカバーを介してユーザの耳に当接されるため、低反撥の多孔性弾性体を耳の形状に追従させることができ、ヘッドホン装着時の装着感及び安定性を一段と向上させることができ、かくして従来よりも一段と装着感や装着安定性を向上させた優位性のあるヘッドホンを実現することができる。
【００１６】
また本発明によれば、中央部分に穴が設けられたドーナッツ形状に形成されている低反撥の多孔性弾性体と、低反撥の多孔性弾性体を覆うパッドカバーとを具え、パッドカバーは、連続気泡処理が施されたポリウレタンフォームと布材とからなり、ユーザの耳と当接する前面側に上記布材が配置されたことにより、低反撥の多孔性弾性体を布材を介してユーザの耳と当接させ、当該低反撥の多孔性弾性体を耳の形状に追従させることができるので、イヤーパッド装着時の装着感及び安定性を一段と向上させることができ、かくして従来よりも一段と装着感や装着安定性を向上させた優位性のあるイヤーパッドを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１７】
以下、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【００１８】
（１）第１の実施の形態
（１−１）第１の実施の形態におけるヘッドホン本体部の外観構成
図１（Ａ）及び（Ｂ）において、１は全体として第１の実施の形態におけるハンガーイヤータイプのヘッドホンを構成する左耳装着用の左側ヘッドホン本体部を示し、ヘッドホン全体としては左右対称形の同一構造である右耳装着用の右側ヘッドホン本体部（図示せず）と当該左側ヘッドホン本体部１とが接続コード９を介して接続された構成を有している。
【００１９】
この左側ヘッドホン本体部１は、その前面側にスピーカユニット２の放音部２Ａが配置され、その放音部２Ａに対してスポンジ状のイヤーパッド３が覆われていると共に、その背面側がハウジング４により覆われている。
【００２０】
ハウジング４は、その内部に接続コード９を巻き取るためのコード巻取機構（図示せず）が内蔵されており、巻取ボタン８に対する押下操作に応じてコード巻取機構により接続コード９をハウジング４内に巻き取るようになされている。
【００２１】
またハウジング４は、その上部中央であって、スピーカユニット２の放音部２Ａ側の象限に設けられた回転軸受部５を介して合成樹脂等の弾性体でなる耳掛けハンガー６が回動自在に取り付けられており、その回転軸受部５を覆うように回転軸受部カバー７が取り付けられている。
【００２２】
耳掛けハンガー６は、そのアーム部が耳の形に合わせた全体的に丸みを有する形状でなり、左側ヘッドホン本体部１をユーザ装着時の真正面側から見たとき（図１（Ｂ）左側面図）、ハウジング４の中心の法線ＯＬに対し、所謂アオリ方向へ約２１度の傾きを持って回転軸受部５に取り付けられている。
【００２３】
ここでアオリ方向とは、図２に示すように、ユーザの顔を正面側から見たとき、耳が顔に対してどのような角度にあるのかを示す方向であって、それを傾斜角度θ１によって示す。従って耳掛けハンガー６は、回転軸受部５を介してアオリ方向へ約２１度の傾きを持って取り付けられているため、ユーザの耳に装着された際、そのアーム部が耳のアオリ方向へ沿った状態になり、ユーザの装着感を向上させ得るようになされている。
【００２４】
なお、アオリ方向の傾斜角度θ１が約２１度に設定されているのは、複数のユーザに対するアンケートを取り、その集計結果から大多数のユーザにとって装着感が心地よいと感じられるアオリ方向の傾斜角度が約２１度であったからである。
【００２５】
また耳掛けハンガー６は、左側ヘッドホン本体部１を真上側から見たとき（図１（Ｂ）上面図）、ハウジング４の中心の法線ＯＬに対し、所謂ツイスト方向へ約２５度の傾きを持って回転軸受部５に取り付けられている。
【００２６】
ここでツイスト方向とは、図３に示すように、ユーザの顔を真上側から見たとき、ユーザの耳が顔に対してどのような角度にあるのかを示す方向であって、それを傾斜角度θ２によって示す。従って耳掛けハンガー６は、回転軸受部５を介してツイスト方向へ約２５度の傾きを持って取り付けられているため、ユーザの耳に装着された際、そのアーム部が耳のツイスト方向へ沿った状態になり、ユーザの装着感を向上させ得るようになされている。
【００２７】
因みに、耳掛けハンガー６が回転軸受部５を介してツイスト方向へ約２５度の傾きが設定されているのは、ツイスト方向への傾きが０度、１５度、２５度、３５度及び４５度毎に複数のユーザに対するアンケートを取り、その集計結果である図４に示すような傾斜角度別ヒストグラムＨＧに基づいて、大多数のユーザにとって装着感が心地よいと感じられるツイスト方向への傾斜角度θ２が２５度であったと検証されたからである。
【００２８】
このような耳掛けハンガー６は、ハウジング４の回転軸受部５を介してアオリ方向へ約２１度の傾きを持って取り付けられていると同時に、ツイスト方向へも約２５度の傾きを持って取り付けられているため、そのアーム部がユーザの耳におけるアオリ方向及びツイスト方向の双方に沿った状態で装着されることになり、例えばアオリ方向だけに傾斜された構造の耳掛けハンガーと比較した場合、装着時のフィット感を格段に向上させ得るようになされている。
【００２９】
（１−２）第１の実施の形態における左側ヘッドホン本体部の内部構造
続いて、左側ヘッドホン本体部１の内部構造について、図５を用いて説明する。この左側ヘッドホン本体部１を構成する各部材としては、合成樹脂や耐腐食性金属等が素材として用いられている。
【００３０】
実際上、左側ヘッドホン本体部１の内部には、略円筒形状の筐体２２が設けられており、その筐体２２の上側保持部２２Ａの内周側に中心軸２２Ｃを介して接続コード９の巻き取りに用いられる巻取リール２３が取り付けられる。
【００３１】
そして巻取リール２３が取り付けられた筐体２２は、巻取リール２３の上からリールカバー２４が筐体２２を覆うように取り付けられ、そのリールカバー２４に対して化粧キャップ２５及び回転軸受部カバー７が同時に取り付けられるようになされている。
【００３２】
また左側ヘッドホン本体部１は、筐体２２の下方に設けられたフランジ形状でなる下側保持部２２Ｂの内周側に、短い円柱形状でなるスピーカユニット２１が嵌め込まれて取り付けられるようになされている。なお、この筐体２２に対して、巻取リール２３、リールカバー２４、化粧キャップ２５及びスピーカユニット２が取り付けられた部分をヘッドホン部２９とする。
【００３３】
左側ヘッドホン本体部１は、ヘッドホン部２９の筐体部２２における下側保持部２２Ｂの周端面上に設けられている回転軸受部５に対して、耳掛けハンガー６の先端にある軸保持部６Ａがビス状の回転軸２６により軸支され、その回転軸２６の上から軸カバー２７によって蓋がされている。
【００３４】
因みに、図５では耳掛けハンガー６とスピーカユニット２１とが重なって見えるものの、この耳掛けハンガー６とスピーカユニット２１とは別体の独立した部品であり、筐体２２の回転軸受部５に耳掛けハンガー６が取り付けられた結果、スピーカユニット２１とは独立して耳掛けハンガー６だけが回転軸受部５の回転軸２６を介して回動し得るようになされている。
【００３５】
なお左側ヘッドホン本体部１は、回転軸２６に対してバネ２８が取り付けられた状態で、耳掛けハンガー６の軸保持部６Ａが回転軸受部５に軸支されるようになされており、これにより耳掛けハンガー６が回転軸受部５を介して回動された場合、バネ２８の付勢力によって、耳掛けハンガー６のアーム部を元の位置（図１）に戻そうとする力が作用するようになされている。
【００３６】
この耳掛けハンガー６のアーム部を元の位置に戻そうとする力は、ユーザの耳に当接されるイヤーパッド３の表面と、耳掛けハンガー６のアーム部との間でユーザの耳を挟み付けるように作用すると共に、当該耳掛けハンガー６のアーム部が眼鏡の耳掛け部分のように、耳に対して強固に保持されるように作用する。
【００３７】
ところで左側ヘッドホン本体部１では、耳掛けハンガー６が回転軸受部５を介してアオリ方向へ約２１度の傾きを持って取り付けられると同時に、ツイスト方向へも約２５度の傾きを持って取り付けられるようになされているが、これは回転軸受部５そのものが筐体２２に対して、アオリ方向へ約２１度の傾きを持って設けられていると共に、かつツイスト方向へも約２５度の傾きを持って設けられているからである。
【００３８】
従って左側ヘッドホン本体部１は、耳掛けハンガー６がヘッドホン部２９の回転軸受部５に軸支された状態で、当該耳掛けハンガー６がバネ２８の付勢力に反して回動されたとき、スピーカユニット２の放音部２Ａ側の象限上で、耳掛けハンガー６がアオリ方向へ約２１度傾けられ、かつツイスト方向へ約２５度傾けられた２軸傾斜の３次元的な仮想軸線（回転軸２６）を中心とした所定回動角度範囲内で当該耳掛けハンガー６のア−ム部を回動させ得るようになされている。
【００３９】
（１−３）第１の実施の形態における装着状態
ところで上述した２軸傾斜の耳掛けハンガー６を有する左側ヘッドホン本体部１がユーザの耳に装着される際、図６（Ａ）及び（Ｂ）に示すように、ユーザがあたかも眼鏡をかけるかのように、耳掛けハンガー６のアーム部先端を耳の付け根に差し込むように挿入することにより、図７に示すように、イヤーパッド３が耳甲介に当接され、かつ耳掛けハンガー６のアーム部が耳に引っ掛けられた状態、すなわち結果的にイヤーパッド３と耳掛けハンガー６のアーム部とによって耳が挟まれた状態で左側ヘッドホン本体部１が保持される。
【００４０】
ここで、本発明のアオリ方向及びツイスト方向へ２軸傾斜された耳掛けハンガー６を有する左側ヘッドホン本体部１がユーザに装着された場合と、基本構造が同一であってアオリ方向にのみ１軸傾斜された耳掛けハンガーを有する左側ヘッドホン本体部がユーザに装着された場合とにおける装着状態の違いを、図８及び図９により説明する。
【００４１】
本発明のアオリ方向及びツイスト方向へ２軸傾斜された耳掛けハンガー６を有する左側ヘッドホン本体部１がユーザに装着された場合、図８（Ａ）に示すように、標準的な厚さの耳ＥＲ１を持つユーザに対しては耳掛けハンガー６の回転軸受部５を介した回動角度が標準状態であるのに対し、図８（Ｂ）に示すように、標準的な厚さよりも太い耳ＥＲ２を持つユーザに対しては耳掛けハンガー６の回転軸受部５を介した回動角度が標準状態よりも１０度大きい１０度開き状態となり、図８（Ｃ）に示すように、標準的な厚さよりも薄い耳ＥＲ３を持つユーザに対しては耳掛けハンガー６の回転軸受部５を介した回動角度が標準状態よりも１０度小さい１０度閉じ状態となる。
【００４２】
すなわち本発明の左側ヘッドホン本体部１では、耳掛けハンガー６の回動角度が標準状態（図８（Ａ））、１０度開き状態（図８（Ｂ））及び１０度閉じ状態（図８（Ｃ））の何れの場合であっても、イヤーパッド３の表面に対して耳掛けハンガー６のアーム部が平行状態を維持したまま、イヤーパッド３の表面から耳掛けハンガー６のアーム部までの距離ＤＭ１〜ＤＭ３が耳ＥＲ１〜ＥＲ３の厚さに応じてそれぞれ変化するようになされている。
【００４３】
従って本発明の左側ヘッドホン本体部１では、耳掛けハンガー６の回動角度が変わることに応じて、イヤーパッド３の表面から耳掛けハンガー６のアーム部までの距離ＤＭ１〜ＤＭ３が変化し、かつイヤーパッド３の表面に対して耳掛けハンガー６のアーム部が平行状態を維持し続けるため、ユーザ毎に耳ＥＲ１〜ＥＲ３の厚さが異なっていても、全てのユーザに対して良好な装着感及び装着安定感を提供し得るようになされている。
【００４４】
これに対して図８（Ａ）、（Ｂ）及び（Ｃ）との対応部分に同一符号を付した図９（Ａ）、（Ｂ）及び（Ｃ）に示すように、アオリ方向にのみ１軸傾斜された耳掛けハンガー１０６を有する左側ヘッドホン本体部１００がユーザに装着された場合、標準的な厚さの耳ＥＲ１を持つユーザに対しては耳掛けハンガー１０６の回動角度が標準状態であるのに対し（図９（Ａ））、標準的な厚さよりも太い耳ＥＲ２を持つユーザに対しては耳掛けハンガー１０６の回動角度が標準状態よりも１０度大きい１０度開き状態となり（図９（Ｂ））、標準的な厚さよりも薄い耳ＥＲ３を持つユーザに対しては耳掛けハンガー１０６の回動角度が標準状態よりも１０度小さい１０度閉じ状態となる（図９（Ｃ））。
【００４５】
しかしながらアオリ方向にのみ１軸傾斜された耳掛けハンガー１０６を有する左側ヘッドホン本体部１００では、耳掛けハンガー１０６の回動角度が標準状態（図９（Ａ））、１０度開き状態（図９（Ｂ））及び１０度閉じ状態（図９（Ｃ））の何れの場合であっても、イヤーパッド１０３の表面から耳掛けハンガー１０６のアーム部までの距離ＤＭ４Ａ、ＤＭ４Ｂ及びＤＭ４Ｃが殆ど変わらず、またイヤーパッド１０３の表面と耳掛けハンガー１０６のアーム部との平行状態についても必ずしも維持されていない。
【００４６】
従ってアオリ方向にのみ１軸傾斜された耳掛けハンガー１０６を有する左側ヘッドホン本体部１００では、耳掛けハンガー１０６の回動角度が変わっても、イヤーパッド１０３の表面から耳掛けハンガー１０６のアーム部までの距離ＤＭ４Ａ、ＤＭ４Ｂ及びＤＭ４Ｃが殆ど変化しないため、標準的な厚さよりも太い耳ＥＲ２を持つユーザや、標準的な厚さよりも薄い耳ＥＲ３を持つユーザに対して、良好な装着感を提供し得ないだけでなく、耳掛けアーム１０６の回動角度が大きくなるに連れてイヤーパッド３と耳甲介との位置関係が最適な状態から微妙にずれてしまうことになる。
【００４７】
（１−４）第１の実施の形態におけるイヤーパッドの構造
ところで本発明の２軸傾斜された耳掛けハンガー６を有する左側ヘッドホン本体部１のイヤーパッド３では、従来にない工夫がなされており、その点について次に説明する。
【００４８】
イヤーパッド３は、図１０（Ａ）及び（Ｂ）に示すパッドカバー４０と、図１１に示すようにそのパッドカバー４０の内部に装填される低反撥ウレタンフォームでなる多孔性弾性体すなわち内部スポンジ４５とによって構成されている。
【００４９】
パッドカバー４０は、ユーザの耳に当接される前面側にフレキシブル材として例えばナイロンやポリエステル等の合成樹脂繊維をニット状にした伸縮可能で通気性及び通音性の高い布地４１（図１０（Ａ））が配置され、スピーカユニット２を包み込む背面側に、連続気泡処理が施された内部スポンジ４５の側面を覆い、ドーナッツ形状の挿通孔を有するエステル系ポリウレタンフォームでなる弾性体のカバースポンジ４２（図１０（Ｂ））が配置され、布地４１とカバースポンジ４２とが互いの接合部の端部で熱溶着された構成を有する。
【００５０】
一方、内部スポンジ４５は、連続気泡処理が施されていないドーナッツ形状の低反撥ウレタンフォームでなり、カバースポンジ４２の内部に収納されるため、当該カバースポンジ４２よりも僅かに小さなサイズに形成されている。なお、必要に応じて布地４１とカバースポンジ４２とが互いの接合部の端部で熱溶着されるが、内部スポンジ４５についても熱溶着によりパッドカバー４０のカバースポンジ４２と熱溶着させて固着させるようにしても良い。
【００５１】
この内部スポンジ４５に素材として採用されている低反撥ウレタンフォームは、ＮＡＳＡのスペースシャトルのシートに使われており、宇宙飛行士にとって過酷な大重圧・振動・長時間にわたる着座作業を軽減するために開発され、荷重分散と低反撥という特徴を持つものである。
【００５２】
通常の家具で使われているウレタンフォームは、密度が約１５〜３０ｋｇ／ｍ３であるのに対し、低反撥ウレタンフォームは、通常のウレタンフォームの約２〜３倍に相当する約６５ｋｇ／ｍ３もの密度がある。なお低反撥であるか否かの基準は、反撥弾性が約４０ｋｇ／ｍ３以上の密度で２０％以下のものをいう。
【００５３】
一般的に低反撥ウレタンフォームは、一般のウレタンフォームとの密度の違いにより、外部からの圧力に対してゆっくり変形し、ゆっくり戻る特徴と、荷重を分散し、底づきし難く圧迫感のない心地良い感触が得られる特徴と、いつまでもヘタリの少ない状態で使用することができるという特徴とを有している。
【００５４】
内部スポンジ４５に使用される低反撥ウレタンフォームとしては、図１２に示すようなバウンドレス性を有するクッション用ポリウレタンフォームであって、反撥弾性が非常に小さく、クッション材として使用した場合に体圧が均等に分散されて長時間の使用であっても疲れを感じさせ難いうえ、衝撃吸収性が大きく、硬さの温度依存性があるため、温度が低いと硬く、温度が高いと柔らかくなるという特徴がある。
【００５５】
イヤーパッド３は、図１３に示すように、ドーナッツ形状の穴が開けられたパッドカバー４０（カバースポンジ４２）に対して、ほぼ同じサイズでなるドーナッツ形状の穴が空けられた内部スポンジ４５が収納された状態で構成され、パッドカバー４０のカバースポンジ４２が筐体２２のフランジ形状でなる下側保持部２２Ｂの鍔部に引っ掛けられるようにして取り付けられる。
【００５６】
ところでイヤーパッド３のパッドカバー４０に用いられているカバースポンジ４２は、上述したように連続気泡処理が施された素材であるため、スピーカユニット２の放音部２Ａから出力される音声を通すことができるが、低反撥ウレタンフォームでなる内部スポンジ４５は連続気泡処理が施されていない素材であるため、スピーカユニット２の放音部２Ａから出力される音声を通すことができない。
【００５７】
しかしながらイヤーパッド３では、ドーナッツ形状の穴が開けられたパッドカバー４０のカバースポンジ４２に対して、ほぼ同じサイズでなるドーナッツ形状の穴が空けられた内部スポンジ４５が収納された構造であるため、スピーカユニット２の放音部２Ａから出力される音声をドーナッツ形状の２つの穴及びニットの布地４１を介して通過させ、ユーザの耳に到達させ得るようになされている。
【００５８】
またイヤーパッド３は、内部スポンジ４５に低反撥ウレタンフォームが用いられると共に、その内部スポンジ４５と当接し、かつユーザの耳に押し当てられる布地４１にニットが用いられるようにしたことにより、内部スポンジ４５に対して与えられる外部からの圧力に対してゆっくり変形し、ゆっくり戻る特徴を、薄い柔らかなニットの布地４１を介してダイレクトに伝えられるようになされている。
【００５９】
これによりユーザは、イヤーパッド３が付けられた左側ヘッドホン本体部１を装着したとき、小さな側圧しか期待できない状態であるにも拘わらず、イヤーパッド３の内部スポンジ４５及び布地４１を介して、ユーザ毎に個人差を有する耳の形状差を吸収し、誰に対しても一段と快適な装着感及び装着安定性を提供し得るようになされている。
【００６０】
また左側ヘッドホン本体部１は、イヤーパッド３に用いられた低反撥ウレタンフォームの内部スポンジ４５が外部の圧力に対してゆっくり変形し、ゆっくり戻る特徴を有し、当該内部スポンジ４５が耳の個人差により異なる凹凸形状にそれぞれ追従して密着することになるため、耳とイヤーパッド３との隙間を従来に比して一段と塞ぐことができ、かくしてイヤーパッド３の前面側からの不要な音漏れを防止し得るようになされている。
【００６１】
（１−５）動作及び効果
以上の構成において、左側ヘッドホン本体部１は、図１４に示すように、耳掛けハンガー６が回転軸受部５（図示せず）を介して回動した場合、耳掛けハンガー６のアーム部がハウジング４から離れる方向へ移動し、その耳掛けハンガー６のアーム部が元の位置に戻ろうとする付勢力により、イヤーパッド３と耳掛けハンガー６のアーム部との間でユーザの耳を挟み付けることにより装着される。
【００６２】
このとき図１５（Ａ）及び（Ｂ）に示すように、左側ヘッドホン本体部１は、その正面側から見たとき耳掛けハンガー６がハウジング４に対してアオリ方向へ約２１度の傾きを持って取り付けられ、その上面側から見たとき耳掛けハンガー６がハウジング部４に対してツイスト方向へ約２５度の傾きを持って取り付けられた３次元的な２軸傾斜構造を有しているため、回転軸受部５を介して耳掛けハンガー６を回動させたとき、耳の角度に沿って当該耳掛けハンガー６のアーム部を這わせることができる。
【００６３】
また図１６（Ａ）に示すように、従来の１軸傾斜された耳掛けハンガー２０６を有する左側ヘッドホン本体部２００がユーザに装着された場合と、図１６（Ｂ）に示すように、本発明の２軸傾斜された耳掛けハンガー６を有する左側ヘッドホン本体部１がユーザに装着された場合とにおける装着状態の違いを検証する。
【００６４】
この場合、従来の１軸傾斜された耳掛けハンガー２０６を有する左側ヘッドホン本体部２００（図１６（Ａ））では、耳掛けハンガー２０６を回動保持する回転軸受部２０５が、イヤーパッド２０３側の象限に設けられているものの、耳掛けハンガー２０６を回動保持する回転軸受部２０５の向きがハウジング２０４の化粧キャップ２２５側の象限にあるため、耳掛けハンガー２０６が化粧キャップ２２５側から大きなカーブを描いてイヤーパッド２０３側の象限に回り込む構造となっている。
【００６５】
従って１軸傾斜された耳掛けハンガー２０６を有する左側ヘッドホン本体部２００（図１６（Ａ））は、耳掛けハンガー２０６のアーム部とユーザの耳後ろ部分とのスペースが大きく拡がり、当該耳掛けハンガー２０６のアーム部と耳後ろ部分との接触面積が少なくなってしまう。
【００６６】
これに対して本発明の２軸傾斜された耳掛けハンガー６を有する左側ヘッドホン本体部１（図１６（Ｂ））では、耳掛けハンガー６を回動保持する回転軸受部５が、スピーカユニット２を内部に有するイヤーパッド３側の象限に設けられ、かつ耳掛けハンガー６を回動保持する回転軸受部５の向きについてもイヤーパッド３側の象限にあるため、耳掛けハンガー６が回転軸受部５からイヤーパッド３側の象限に対して直接配置された構造となっている。
【００６７】
従って２軸傾斜された耳掛けハンガー６を有する左側ヘッドホン本体部１（図１６（Ｂ））は、耳掛けハンガー６のアーム部とユーザの耳後ろ部分とのスペースが殆ど無くなり、当該耳掛けハンガー６のアーム部と耳後ろ部分との接触面積が一段と多くなって、装着時の保持性及び装着安定性を大きく向上させると共に、装着感を格段に向上させている。
【００６８】
加えて左側ヘッドホン本体部１では、耳掛けハンガー６の回動角度が変わることに応じて、イヤーパッド３の表面から耳掛けハンガー６までの距離ＤＭ１〜ＤＭ３が変化し（図８（Ａ）〜（Ｃ））、かつイヤーパッド３の表面に対して耳掛けハンガー６のアーム部が平行状態を維持し続けるため、ユーザ毎に耳ＥＲ１〜ＥＲ３の厚さが異なっていても、良好な装着感を提供することができる。
【００６９】
さらに左側ヘッドホン本体部１では、内部スポンジ４５に低反撥ウレタンフォームが素材として用いられていると共に、その内部スポンジ４５と当接し、かつユーザの耳に押し当てられる布地４１に対して薄い柔らかなニットが素材として用いられていることにより、内部スポンジ４５に対して与えられる耳からの側圧に対して、耳の形状に合わせて内部スポンジ４５をゆっくり変形させ、ゆっくり戻るように追従させることができる。
【００７０】
これにより左側ヘッドホン本体部１は、ユーザに装着されたとき、内部スポンジ４５及びニットの布地４１を介して、イヤーパッド３をユーザの耳の形状に合わせるように追従させることができるので、十分な密着感と共に音漏れを防止しつつ、一段と快適な装着感を提供することができる。
【００７１】
なお左側ヘッドホン本体部１では、この場合であっても、通気性に優れたニットの布地４１からなるパッドカバー４０が用いられているため、十分な密着感及び音漏れを防止しながらも、使用時の蒸れを防止し、快適さをも提供することができる。
【００７２】
以上の構成によれば、従来よりも一段と装着感や装着安定性を向上させた左側ヘッドホン本体部１及び右側ヘッドホン本体部からなる優位性のある耳掛け装着方式のヘッドホンを実現することができる。
【００７３】
（２）第２の実施の形態
（２−１）第２の実施の形態におけるヘッドホン本体部の外観構成
図１との対応部分に同一符号を付した図１７に示すように、３００は全体として第２の実施の形態におけるハンガーイヤータイプのヘッドホンを構成する左耳装着用の左側ヘッドホン本体部を示し、ヘッドホン全体としては左右対称形の同一構造である右耳装着用の右側ヘッドホン本体部（図示せず）と当該左側ヘッドホン本体部３００とが接続コード３０９を介して接続された構成を有している。
【００７４】
この場合、第２の実施の形態における左側ヘッドホン本体部３００では、ハウジング３０４の内部に接続コード３０９を巻き取るためのコード巻取機構が設けられているのではなく、低音増強用のダクト３３０が形成されていることを特徴としており、それ以外の耳掛けハンガー３０６については第１の実施の形態と同様、回転軸受部３０５を介してアオリ方向及びツイスト方向へ同じ傾斜角度だけ傾けられた３次元的な２軸傾斜構造となっている。
【００７５】
因みに、この耳掛けハンガー３０６の２軸傾斜構造については、第１の実施の形態における耳掛けハンガー６の２軸傾斜構造と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【００７６】
なおダクト３３０は、その直径及び長さに起因して共振周波数を低い周波数帯へずらし、低音レベルを増強するためのものであり、出来るだけ大きなサイズのダクトであればあるほど、安定した状態で低音を十分なレベルにまで増強し得るようになされている。
【００７７】
従って第２の実施の形態における左側ヘッドホン本体部３００においても、２軸傾斜構造を有しているため、耳掛けハンガー３０６を回動させたとき、ユーザの耳の後ろ部分に沿って当該耳掛けハンガー６を這わせることができる。
【００７８】
更に左側ヘッドホン本体部３００においても、耳掛けハンガー３０６の回動角度が変わることに応じて、イヤーパッド３０３の表面から耳掛けハンガー６のアーム部までの距離が変化し、かつイヤーパッド３の表面に対して耳掛けハンガー６のアーム部が平行状態を維持し続けるため、ユーザ毎に耳の厚さが異なっていても、良好な装着感を提供することができる。
【００７９】
また左側ヘッドホン本体部３００のイヤーパッド３０３についても、第１の実施の形態における左側ヘッドホン本体部１のイヤーパッド３と同一構造であるため、従来に比して優れた装着感及び装着安定性を持たせることができる。
【００８０】
（３）他の実施の形態
なお上述の第１及び第２の実施の形態においては、合成樹脂等の弾性体でなる耳掛けハンガー６及び３０６を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ユーザの耳に耳掛けハンガー６及び３０６が接触したとき、耳の形状にある程度追従するようになされた形態であれば、バネ性が殆ど無い材料でなる耳掛けハンガー６及び３０６を用いるようにしても良い。
【００８１】
また上述の第１及び第２の実施の形態においては、耳掛けハンガー６及び３０６を回動軸に対して、アオリ方向の傾斜角度θ１を約２１度、ツイスト方向の傾斜角度θ２を約２５度に設定するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、耳掛けハンガー６及び３０６が２軸傾斜された構造であれば、アオリ方向及びツイスト方向ともに約１０度〜４５度の範囲内で任意の傾斜角度θ１及びθ２に設定するようにしても良い。
【００８２】
さらに上述の第１及び第２の実施の形態においては、回動軸受部５及び３０５を介して耳掛けハンガー６及び３０６がアオリ方向への傾斜角度θ１を約２１度、ツイスト方向への傾斜角度θ２を約２５度に設定した固定式の場合について述べたが、本発明はこれに限らず、回転軸受部５及び３０５の向きを動かせる構造とし、アオリ方向への傾斜角度θ１及びツイスト方向への傾斜角度θ２をユーザの好みに合わせて微調整可能にしてもよい。
【００８３】
さらに上述の第１及び第２の実施の形態においては、パッドカバー４０とスポンジ４５とが熱溶着された構造のイヤーパッド３及び３０３を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、パッドカバー４０とスポンジ４５とが最初から一体化された構造のイヤーパッド３及び３０３を用いるようにしたり、パッドカバー４０の中にスポンジ４５を収納させるだけで熱溶着しないのであれば、エステル系ポリウレタンフォームでなるカバースポンジを用いるようにしても良い。
【００８４】
さらに上述の第１及び第２の実施の形態においては、パッドカバー４０の背面側にエステル系ポリウレタンフォームでなるカバースポンジ４２を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、パッドカバー４０の前面側と同様にニット製の布地４１を用いたり、内部スポンジ４５と同じ素材でなる低反撥ウレタンフォームでなるカバースポンジ４２を用いるようにしても良い。
【００８５】
さらに上述の第１及び第２の実施の形態においては、イヤーパッド３及び３０３のパッドカバー４０を耳掛け装着方式であるハンガーイヤータイプのヘッドホン１及び３００に用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、イヤーパッドを必要とする構造であれば、密閉型のヘッドホンや、その他種々のタイプのヘッドホンにイヤーパッド３及び３０３のパッドカバー４０を用いるようにしても良い。
【００８６】
さらに上述の第１及び第２の実施の形態においては、イヤーパッド３及び３０３のパッドカバー４０の素材として布地４１を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、布状でなるポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等のその他種々の合成樹脂繊維系素材や、紙材を布地４１の代わりに用いるようにしても良い。
【００８７】
さらに上述の第１及び第２の実施の形態においては、ヘッドホン部としてのヘッドホン部２９及びイヤーパッドとしてのイヤーパッド３によって耳掛け装着方式のヘッドホンとしての左側ヘッドホン本体部１及び３００を構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の形状及び構造でなるヘッドホン部及びイヤーパッドによって耳掛け装着方式のヘッドホンを構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【００８８】
本発明の耳掛け装着方式のヘッドホンは、携帯型音楽プレーヤ以外の例えば音楽再生機能を持った携帯電話機や小型モバイルコンピュータ等のその他種々の電子機器に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【００８９】
【図１】第１の実施の形態におけるハンガーイヤータイプのヘッドホン本体部の構成を示す略線図である。
【図２】アオリ方向の傾斜角度を示す略線図である。
【図３】ツイスト方向の傾斜角度を示す略線図である。
【図４】ツイスト方向の傾斜角度ヒストグラムを示す略線図である。
【図５】左側ヘッドホン本体部の内部構造を示す略線的斜視図である。
【図６】装着の仕方の説明に供する略線的斜視図である。
【図７】左側ヘッドホン本体部の装着状態を示す略線図である。
【図８】本願発明の２軸傾斜の左側ヘッドホン本体部が耳のサイズの異なるユーザに装着された場合の装着状態の変化を示す略線図である。
【図９】１軸傾斜の左側ヘッドホン本体部が耳のサイズの異なるユーザに装着された場合の装着状態の変化を示す略線図である。
【図１０】イヤーパッドのパッドカバーの構成を示す略線的斜視図である。
【図１１】イヤーパッドの内部スポンジ（低反撥ウレタンフォーム）の構成を示す略線的斜視図である。
【図１２】バウンドレス性の説明に供する略線図である。
【図１３】イヤーパッドの断面構造を示す略線図である。
【図１４】左側ヘッドホン本体部における耳掛けハンガーの回動状態を示す略線的斜視図である。
【図１５】アオリ方向及びツイスト方向へ２軸傾斜された耳掛けハンガーを示す略線図である。
【図１６】耳掛けハンガーと耳の後ろ部分との距離の説明に供する略線図である。
【図１７】第２の実施の形態におけるハンガーイヤータイプのヘッドホン本体部の構成を示す略線的斜視図である。
【符号の説明】
【００９０】
１、２００、３００……左側ヘッドホン本体部、２……スピーカユニット、３、３０３……イヤーパッド、４、３０４……ハウジング、５、３０５……回転軸受部、６、３０６……耳掛けハンガー、７……回転軸受部カバー、８……巻取ボタン、９、３０９……接続コード、２２……筐体、２３……リール、２４……リールカバー、２５……化粧キャップ、２６……回転軸、２７……軸カバー、４０……パッドカバー、４１……布地、４２……カバースポンジ、４５……内部スポンジ、３３０……ダクト。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
前面側にスピーカユニットの放音部が配置され、背面側がハウジングにより覆われているヘッドホン部と、
上記スピーカユニットの放音部を覆うイヤーパッドと
を具え、
上記イヤーパッドは、低反撥の多孔性弾性体がパッドカバーにより覆われた構造を有する
ことを特徴とするヘッドホン。
【請求項２】
上記低反撥の多孔性弾性体は、反撥弾性が２０％以下である
ことを特徴とする請求項１に記載の耳掛け装着方式のヘッドホン。
【請求項３】
上記低反撥の多孔性弾性体は、低反撥ウレタンフォームでなり、その中央部分に穴が設けられたドーナッツ形状に形成されている
ことを特徴とする請求項１に記載のヘッドホン。
【請求項４】
上記低反撥の多孔性弾性体を収納する上記パッドカバーは、連続気泡処理が施されたポリウレタンフォームと布材とからなり、ユーザの耳と当接する前面側に上記布材が配置された
ことを特徴とする請求項１に記載のヘッドホン。
【請求項５】
上記パッドカバーは、上記低反撥の多孔性弾性体が当該パッドカバーの内側で熱溶着されている
ことを特徴とする請求項１に記載のヘッドホン。
【請求項６】
中央部分に穴が設けられたドーナッツ形状に形成されている低反撥の多孔性弾性体と、
上記低反撥の多孔性弾性体を覆うパッドカバーと
を具え、
上記パッドカバーは、連続気泡処理が施されたポリウレタンフォームと布材とからなり、ユーザの耳と当接する前面側に上記布材が配置された
ことを特徴とするイヤーパッド。
【請求項１】
前面側にスピーカユニットの放音部が配置され、背面側がハウジングにより覆われているヘッドホン部と、
上記スピーカユニットの放音部を覆うイヤーパッドと
を具え、
上記イヤーパッドは、低反撥の多孔性弾性体がパッドカバーにより覆われた構造を有する
ことを特徴とするヘッドホン。
【請求項２】
上記低反撥の多孔性弾性体は、反撥弾性が２０％以下である
ことを特徴とする請求項１に記載の耳掛け装着方式のヘッドホン。
【請求項３】
上記低反撥の多孔性弾性体は、低反撥ウレタンフォームでなり、その中央部分に穴が設けられたドーナッツ形状に形成されている
ことを特徴とする請求項１に記載のヘッドホン。
【請求項４】
上記低反撥の多孔性弾性体を収納する上記パッドカバーは、連続気泡処理が施されたポリウレタンフォームと布材とからなり、ユーザの耳と当接する前面側に上記布材が配置された
ことを特徴とする請求項１に記載のヘッドホン。
【請求項５】
上記パッドカバーは、上記低反撥の多孔性弾性体が当該パッドカバーの内側で熱溶着されている
ことを特徴とする請求項１に記載のヘッドホン。
【請求項６】
中央部分に穴が設けられたドーナッツ形状に形成されている低反撥の多孔性弾性体と、
上記低反撥の多孔性弾性体を覆うパッドカバーと
を具え、
上記パッドカバーは、連続気泡処理が施されたポリウレタンフォームと布材とからなり、ユーザの耳と当接する前面側に上記布材が配置された
ことを特徴とするイヤーパッド。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【公開番号】特開２００８−１２４７３４（Ｐ２００８−１２４７３４Ａ）
【公開日】平成２０年５月２９日（２００８．５．２９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−３０５６２７（Ｐ２００６−３０５６２７）
【出願日】平成１８年１１月１０日（２００６．１１．１０）
【出願人】（０００００２１８５）ソニー株式会社 (34,172)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年５月２９日（２００８．５．２９）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年１１月１０日（２００６．１１．１０）
【出願人】（０００００２１８５）ソニー株式会社 (34,172)
【Ｆターム（参考）】
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