説明

ヘルメット用カバ−

【課題】 ヘルメットに一旦被着すれば、ヘルメット本体は勿論チンガ−ドにも被覆できてその状態が保持され、シ−ルドの回動を邪魔せずにシ−ルドを所望の開度に調整できるヘルメット用カバ−、更には、ヘルメットの着用時に外部の音をよく聞き取れるヘルメット用カバ−を提供すること。
【解決手段】 着用者の頭部を保護するヘルメット本体H1に、顎を保護するチンガ−ドH2と着用者の顔面を保護する開閉可能なシ−ルドH4を具備したフルフェ−ス型ヘルメットHに被着するカバ−1であって、伸縮自在の布地により前記ヘルメット本体H1を被覆するカバ−本体2と前記チンガ−ドH2を被覆するチンガ−ド被覆部3を一体に形成すると共に、カバ−本体2のヘルメットHへの被着部前側を前記シ−ルドH4に着脱自在に取付けるようにした。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、モ−タ−ボ−トレ−スやオートレースにおいて、ボ−トやオートバイを運転する選手が枠順に応じてフルフェ−ス型ヘルメットに被着する色付きカバ−に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
モ−タ−ボ−トレ−ス等に出場する選手は、安全のためにフルフェ−ス型ヘルメットを着用することが義務付けられており、出走枠順が決定すると、本部からその枠に応じた色彩のカバ−が手渡され、そのカバ−を前記ヘルメットに被着して着用するように定められている。
【0003】
フルフェ−ス型ヘルメットは、選手の頭部を保護するヘルメット本体に選手の頬骨及び顎骨を保護するチンガ−ドを一体に設けると共に、ヘルメット本体に選手の顔面を保護するシ−ルドを上下方向に回動可能に取付けて構成されている。
即ち、シ−ルドはこれを回動することにより、顔面を保護したり、保護状態から顔面を開放できるようになっているのである。
【0004】
また、このフルフェ−ス型ヘルメットに着色したカバ−は、ヘルメット本体に被着後、シ−ルドを上方に回動した場合、この動作を邪魔しないようにすることが望ましい。
【0005】
上記に対応できるヘルメット用カバ−として、実公平6−38089号に記載されたものがある。このヘルメット用カバ−は、 フルフェ−ス型ヘルメットの外表面に被着するカバ−であって、該カバ−本 体を伸縮自在な布地でヘルメットに被着し得る頭巾状に形成し、そのカバ−本 体の下部両側にヘルメットに設けられた止め具への引っ掛け部を取付け、且つ カバ−本体の前側に、ヘルメットに備えられたシ−ルドに対して着脱し得る取 付け具を設けたものである。
【0006】
このヘルメット用カバ−は、確かに、シ−ルドを上方に回動した場合、該シ−ルドの回動を邪魔することなく、その回動に従ってシ−ルドへの取付け側が伸縮し、シ−ルドを所望の開度に調整することができるが、ヘルメットへの取付けに際しては、そのヘルメット用カバーの下部両側に取付けた引っ掛け部をヘルメットに設けた止め具に掛止するようになっているので、次の問題がある。即ち、ヘルメットに止め具を別途新たに設ける必要があること、止め具へ引っ掛け部を掛止する手間が面倒であること、この引っ掛け部が前記止め具から外れると、カバーがヘルメットから剥がれるおそれがあることなどである。
【0007】
また、従来のヘルメットでは、これを被着すると、着用者は耳を塞がれて、外部の音が殆ど聞こえない状態となるため、周囲の音の状況が聴き取り難いという問題もある。これに対処するため、ヘルメットの着用時にヘルメット本体の着用者の耳に当たる部に通音孔を設けたものが考えられている。
【0008】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は、上述のような従来技術に鑑み、ヘルメットに一旦被着すれば、ヘルメット本体は勿論チンガ−ドにも被覆できてその状態が保持され、シ−ルドの回動を邪魔せずにシ−ルドを所望の開度に調整できるほか、ヘルメットの着用時に外部の音をよく聞き取れるヘルメット用カバ−を提供することを、その課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決することを目的としてなされた本考案の構成は、着用者の頭部を保護するヘルメット本体に、顎を保護するチンガ−ドと着用者の顔面を保護する開閉可能なシ−ルドを具備したフルフェ−ス型ヘルメットに被着するカバ−であって、伸縮自在の布地により前記ヘルメット本体を被覆するカバ−本体と前記チンガ−ドを被覆するチンガ−ド被覆部を一体に形成すると共に、カバ−本体のヘルメットへの被着部前側を前記シ−ルドに着脱自在に取付けるようにしたことを特徴とするものである。
【0010】
また、上記のフルフェ−ス型ヘルメットにおいて、ヘルメット本体の着用者の耳に当たる部に通音孔を設けたものにあっては、カバ−本体のヘルメット本体への被着時、該ヘルメット本体の通音孔に当たる部に通音用の透孔を設けることにより、カバーをしたヘルメットの着用者であっても、カバーの透孔及びヘルメット本体の通音孔を通して外部の音を良く聞くことができる。
【0011】
【考案の実施の形態】
次に、本考案の実施の形態例を図により説明する。図1は本考案の一例のカバ−の斜視図、図2は図1のカバ−をヘルメットに被着し、シ−ルドを閉じた状態を示す側面図、図3は図2の状態からシ−ルドを上方に回動した状態を示す側面図である。
【0012】
図2,図3において、Hは図1に例示した本考案カバ−1が被着されたフルフェ−ス型ヘルメットで、着用者の頭部を保護するヘルメット本体H1に一体に着用者の顎を保護するチンガ−ドH2が設けられていると共に、着用者の耳に当たる部に通音孔H3を設け、かつ、顔面を保護するシ−ルドH4をその取付軸H5を中心とする回動により開閉可能、かつ、着脱自在に取付けてある。なお、ヘルメットHはポリカ−ボネ−ト樹脂のような強靱な樹脂を成形して作製する。
【0013】
図1において、1は上記ヘルメットHに被着するカバ−で、伸縮自在なウレタン系布地等の布地を用いてヘルメット本体H1の外側に被着できる頭巾状のカバ−本体2とチンガ−ドH2の外側を被覆するチンガ−ド被覆部3とを一体に形成し、且つヘルメットの通音孔H3に当たる部に通音用の透孔4を設けてあり、カバ−本体2の前額部には、前記ヘルメットHのシ−ルドH4の上縁部に取付けたホック釦の雄部材5に係脱し得るホック釦の雌部材6が取付けられている。
【0014】
7は、前記チンガード被覆部3の前面に設けたメッシュ生地による通音,通気部、8は前記通音,通気部8の中央上部に設けた止着ベルトで、その先端に設けた面ファスナ部材8aと、前記通音,通気部8の下部に配した面ファスナ部材8bとによって、チンガード被覆部3がチンガードH2の前面から外れないように止めるものである。なお、上記例においては、ヘルメット本体H1の耳に当る部に通音孔H3を設けたが、この通音孔H3は設けても設けなくてもよく、設けない場合は、カバ−本体2に通音用の透孔4を設ける必要はない。また、ホック釦の雌雄部材5,6に代え、面ファスナ部材を使用してもよい。
【0015】
上記のように構成される本考案カバ−は、その布地を伸長してカバ−本体2をヘルメット本体H1の外側に被着すると共にチンガ−ド被覆部3をチンガ−ドH2の外側に当てがって該チンガ−ドH2を被覆し、止着ベルト8を止めれば、ヘルメット本体H1とチンガ−ドH2に係止された状態となるので、外力が加わっても容易に剥がれるようなおそれはおよそ皆無となる。
このようにしてカバ−1をヘルメットHに被覆したら、シ−ルドH4を閉じた状態にして、シ−ルドH4の上縁に取付けられているホック釦の雄部材5にカバ−本体2の前額部に取付けられているホック釦の雌部材6を係止させて、カバ−1のヘルメットHへの被着を完了する。
【0016】
モ−タ−ボ−トレ−スの選手は、上記のカバ−1を被着したヘルメットHを被った状態でレ−スの開始を待つ間は、シ−ルドH4を上に上げてヘルメットHの前面を開放状態にし、レ−スの開始直前にシ−ルドH4を下に降ろしてヘルメットHの前面を閉じた状態にするのであるが、前述のように、カバ−1の前額部はシ−ルドH4の上縁部にホック釦5,6の係合により固定されているため、シ−ルドH4の上動に際しては、カバ−1が伸縮し、同じく下動に際してはカバ−1が収縮するので、その動作を円滑に行うことができ、従って、シ−ルドH4を所望の開度に調整することができる。
【0017】
また、上記例に示したように、ヘルメット本体H1に通音孔H3を設けた場合は、カバ−本体2の前記通音孔H3に対応する部位に通音用の透孔4を設けているので、着用時、該透孔4及びヘルメット本体H1の通音孔H3を通して、外部の音を聴くことができ、レースにおいて自分の周囲を走行しているボートやオートバイの状況を適格に把握することが可能になる。更に、チンガード被覆部3がメッシュ地又は孔により通音,通気性を付与されているので、ヘルメットを被ったままでも不自由なく会話ができ、また、呼吸による熱も、この通気部から外部に放出できるので、シールドが曇りにくくなる。
【0018】
【考案の効果】
本考案は上述のとおりであって、本考案のヘルメット用カバ−は、伸縮自在の布地により着用者の頭部を保護するヘルメット本体及び同じく顎を保護するチンガ−ドに被覆できる形状に一体形成したから、これをヘルメット本体及びチンガ−ドに被着すれば、被着状態においてカバ−はヘルメットのほぼ全面に係合状態で被覆されるので、外力等が加わってもカバ−がヘルメットから剥がれるようなおそれはない。
【0019】
また、カバ−の前額部はシ−ルドの上縁部に着脱可能に取付けられるから、全体としてヘルメットに対する被着作業を簡易に行うことができるし、更に、カバ−の被着後はシ−ルドの開閉をカバ−により邪魔されることなく、自由に行うことができるので、シ−ルドの開度を自由に調整することができる。
【0020】
一方、ヘルメットの着用時、ヘルメット本体の着用者の耳に当たる部位に通音孔を設けたヘルメットにおいては、前記通音孔に当たる部に通音用の透孔を設けることにより、レ−ス中は勿論、レ−スの前後においても外部の音が着用者の耳によく入り、走行中に自分の周囲にいるボートやオートバイの状況を聴える音で把握し易く、また、場内放送等もよく聞き取ることができる。
【0021】
さらに、チンガード被覆部は、メッシュ生地等により形成して、会話の声を外部へ出したり、呼吸時の熱を外部に排出できるようにしたので、使い勝手が良好な上にシールドが曇りにくいという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一例のカバ−の斜視図。
【図2】図1のカバ−をヘルメットに被着し、シ−ルドを閉じた状態を示す側面図。
【図3】図2の状態からシ−ルドを上方に回動した状態を示す側面図。
【符号の説明】
1 カバ−
2 カバ−本体
3 チンガ−ド被覆部
4 通音用の透孔
5,6 ホック釦
H フルフェ−スヘルメット
H1 ヘルメット本体
H2 チンガ−ド
H3 通音孔
H4 シ−ルド

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 着用者の頭部を保護するヘルメット本体に、顎を保護するチンガ−ドと着用者の顔面を保護する開閉可能なシ−ルドを具備したフルフェ−ス型ヘルメットに被着するカバ−であって、伸縮自在の布地により前記ヘルメット本体を被覆するカバ−本体と前記チンガ−ドを被覆するチンガ−ド被覆部を一体に形成すると共に、カバ−本体のヘルメットへの被着部前側を前記シ−ルドに着脱自在に取付けるようにしたことを特徴とするヘルメット用カバ−。
【請求項2】 着用者の頭部を保護するヘルメット本体に、顎を保護するチンガ−ドと着用者の顔面を保護する開閉可能なシ−ルドを具備し、且つ、着用者の耳に当たる部に通音孔を設けたフルフェ−ス型ヘルメットに被着するカバ−であって、伸縮自在の布地により前記ヘルメット本体を被覆するカバ−本体と前記チンガ−ドを被覆するチンガ−ド被覆部を一体に形成すると共に、前記通音孔の部位に対応して孔を形成し、かつ、前記カバ−本体のヘルメットへの被着部前側を前記シ−ルドに着脱自在に取付けるようにしたことを特徴とするヘルメット用カバ−。
【請求項3】 チンガード被覆部は、ヘルメット本体のチンガードに形成された通音,通気用孔に当たる部を通音,通気用のメッシュ生地により形成するか、又は、通音,通気用の透孔を設けた請求項2に記載のヘルメット用カバ−。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【登録番号】第3047997号
【登録日】平成10年(1998)2月12日
【発行日】平成10年(1998)4月28日
【考案の名称】ヘルメット用カバ−
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平9−9473
【出願日】平成9年(1997)10月13日
【出願人】(593189313)田辺ボーグ株式会社 (1)
【出願人】(390006079)東洋物産株式会社 (5)