説明

ベクトル量の性質を利用した電力装置

【課題】新規な磁性芯材と巻線又はコイルの組合せによって効率的な電力装置を提供する。
【解決手段】第0の磁路と、前記第0の磁路と鎖交される第1のコイルと、前記第1のコイルと電磁的に結合される第2のコイルと、前記第1のコイルと鎖交される第1の磁路と、前記第2のコイルと鎖交される前記第1の磁路の方向と逆向きの第2の磁路と、前記第0の磁路と前記第1の磁路と前記第2の磁路とを有する第1の磁性芯材とを具備する様な手段。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電力に関する。
【背景技術】
【0002】
強磁性は結晶の中で電子スピンが同じ向きを持って並ぶ現象でありそれ以来電子の同じ秩序状態が結晶全体に並ぶ現象を多くは強的秩序という言い方で表す。磁性材料の内部は飽和にまで磁化している。その磁化は外部磁場に応じて磁壁移動で全体の磁区の殆どが一つの磁区になってしまうと次に磁化そのものが回転して材料全体の磁化が既外部磁場の方向に向く。それに伴うエネルギーは磁化が外部に現れたエネルギーより遥かに小さい。
磁性材料に磁場がかかって磁化されるというのは、磁性材料内部で磁場の方向に一番近い方向の自発磁化を持っている磁区が隣の逆向きの磁区に拡がっていき、その方向の磁化が優勢になって外部に現れるということなのである。磁区が拡がるというのはその磁区を包んでいる磁壁が外側へ移動することであるが、移動するというのは磁壁内のスピンが、次々と少しずつ回転することによる。磁壁移動は物が動くのではなく、状態画の変化が次々と伝播していくのである。磁壁移動で全体がほとんど一つの磁区になってしまうと、次に磁化そのものが回転して材料全体の磁化が磁場の方向に向く。このような過程で、もともと飽和にまで磁化されてはいたがその磁化が各部分ごとに逆を向いていたものを、少しずつ変化させることで全体を整列させ、大きな磁化を作り出すのである。即ち、自発磁化という強力な磁化エネルギーが、隠れていた状態から、磁壁内のスピン回転や、磁区全体の磁化回転という小さなエネルギーによって、あらわになることが外からかけた磁場を何倍にも大きくして他に作用する。この事からそもそも軟質磁性材料とは、磁場増幅器なのである。
変圧器の一次側に発電機か接続され、二次側に負荷が接続される単相電力を重ねの理でみると、二次側には二次電流と二次誘導起電力、一次側には励磁電流と供給電圧および
一次負荷電流と二次電流からの相互誘導起電力とが対応している。或る物を発電機といい、或るときは電動機と呼んでいるが、既一次負荷電流は電動機に流れ、発電機を逆回転させている。供給電圧を誘導する発電機の回転数は所定に保たれなければ、電力設備は使用に耐えない。従って、既逆回転を解消し、所定の回転数、つまり無負荷時の回転数に維持されている。既或る物は電動機の回生電力と呼ばれるやり方でしか電力を利用できない欠陥がある。
軟質磁性材料は発電機や変圧器以外でも新たに応用が為されるであろう。

【特許文献1】特願昭63−128648号
【特許文献2】特許第3554850号
【特許文献3】特許願2005−113855号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
巻線内部を貫通する磁束密度に変化が無い状態では巻線内部の電圧がゼロに保たれる。この電圧はベクトル的にゼロから増やしてゼロに戻し、ゼロから減らしてゼロに戻しを次々に再現する事が出来る。商用周波数の発電機や変圧器起電力で再現されている。特に変圧器起電力については変圧器として利用される場合99%の効率で利用できる。JEC−204による変圧器は電圧及び電流を変成する物であり、変成せずに使えば変圧器の範疇には入らないが、利用する事は可能である。中央脚を持つ鉄芯の左右のどちらかに100Vの交流電圧を接続して中央脚の第2のコイルに100Vを誘導し、中央脚の既第2のコイルを短絡させても残りの第3の脚を経由して誘導される磁束によって既第2のコイルには自己誘導が生じ、励磁電流並みの電流しか流れない。ちなみに、既第3の脚に第3のコイルを巻いて電圧を計測すると100Vを得る事も出来る。又既第3のコイルも短絡すると既第3のコイルからの相互誘導によって既中央脚の既第2のコイルは自己誘導を失い、発電機からの交流電圧が維持されていれば既中央脚の既第2のコイル電気回路に大きな短絡電流が流れる。これらの関係を応用すると新規な磁性芯材と巻線又はコイルの組合せによって効率的な電力装置が得られる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
具体的には、第0の磁路と、
前記第0の磁路と鎖交される第1のコイルと、
前記第1のコイルと電磁的に結合される第2のコイルと、
前記第1のコイルと鎖交される第1の磁路と、
前記第2のコイルと鎖交される前記第1の磁路の方向と逆向きの第2の磁路と、
前記第0の磁路と前記第1の磁路と前記第2の磁路とを有する第1の磁性芯材
とを具備する様な手段によって達成する事ができる。
【発明の効果】
【0005】
負荷電流からの磁束に対して無誘導の構造としたので負荷電流の流れる電源コイルの既磁束からの自己誘導を磁束とコイルが鎖交される構造で減らす事が可能に成る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
第1図において、磁路に磁束が誘導される手段である第1のコイル10及び第2のコイル20と第3のコイル30と磁性芯材100の磁路が鎖交する。前記第1のコイル10に交番電流12が流れると前記交番電流12の作る磁界に応じて前記磁性芯材100に第1の磁束14が誘導される。前記第1の磁束14は前記第1のコイル10と前記第2のコイル20と鎖交する。前記第2のコイル20と前記第3のコイル30が接続されて交流電気回路が構成される。既交流電気回路に電流が生まれ、前記第2のコイル20及前記第3のコイル30部分に交番電流22及32が流れると前記交番電流22及32の作る磁界に応じて前記磁性芯材100に第2の磁束24及第3の磁束34が誘導される。前記第2の磁束24と前記第3の磁束34とはほぼ同じ大きさで反対方向に誘導されるので、これらの磁束からの逆起電力が低減され、前記磁束14が前記第2のコイル20周りに作る電場に応じて既電気回路には電流が流れる。
尚、形状、大きさ、作動及び構造上の細部については変更しても良く、前述の具体例は専ら解説の為のものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0007】
第2図において、磁路に磁束が誘導される手段である第1のコイル10及び第2のコイル20と第3のコイル30と磁性芯材100が鎖交する。前記第1のコイル10に交番電流12が流れると前記交番電流12の作る磁界に応じて前記磁性芯材100に第1の磁束14が誘導される。前記第1の磁束14は前記第1のコイル10と前記第2のコイル20と前記第3のコイル30と鎖交する。前記第2のコイル20と前記第3のコイル30が接続されて交流電気回路が構成される。既電気回路に電流が生まれ、前記第2のコイル20及第3のコイル30部分に交番電流22及32が流れると前記交番電流22及第32の作る磁界に応じて前記磁性芯材100に第2の磁束24及第3の磁束34が誘導される。前記第2の磁束24と第3の磁束34とはほぼ同じ大きさで反対方向に誘導されるので、これらの磁束からの逆起電力が低減され、前記磁束14が前記第2のコイル20及前記第3のコイル30周りに作る電場に応じて既電気回路には電流が流れる。
尚、形状、大きさ、作動及び構造上の細部については変更しても良く、前述の具体例は専ら解説の為のものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例2】
【0008】
第3図において、磁路に磁束が誘導される手段である第1のコイル10と第2のコイル20と第3のコイル30と第4のコイル40と磁性芯材100の磁路が鎖交する。前記第1のコイル10に交番電流12が流れると前記交番電流12の作る磁界に応じて前記磁性芯材100に第1の磁束14が誘導される。前記第1の磁束14は前記第1のコイル10と前記第2のコイル20と前記第3のコイル30と鎖交する。前記第2のコイル20と第3のコイル30が接続されて交流電気回路が構成される。
既電気回路に電流が生まれ、前記第2のコイル20及前記第3のコイル30部分に交番電流22及32が流れると前記交番電流22及第32の作る磁界に応じて前記磁性芯材100に第2、第4の磁束24、25及第3、第6の磁束34、35が誘導される。閉じられる第4のコイル40に前記第4の磁束25と第6の磁束35が鎖交されると交番電流42が流れ、鎖交磁束を減らす向きに第5の磁束45、第7の磁束47が誘導される。前記第2の磁束24と第3の磁束34、第4の磁束25と第5の磁束45及び第6の磁束35と第7の磁束47とはほぼ同じ大きさで反対方向に誘導されるので、これらの磁束からの逆起電力が低減され、前記磁束14が前記第2のコイル20及前記第3のコイル30周りに作る電場に応じて既電気回路には電流が流れる。
尚、形状、大きさ、作動及び構造上の細部については変更しても良く、前述の具体例は専ら解説の為のものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例3】
【0009】
第4図において、磁路に磁束が誘導される手段である第1のコイル10及び第2のコイル20と第3のコイル30と磁性芯材100の磁路が鎖交する。前記第1のコイル10に交番電流12が流れると前記交番電流12の作る磁界に応じて前記磁性芯材100に第1の磁束14が誘導される。前記第1の磁束14は前記第1のコイル10と前記第2のコイル20と鎖交する。前記第2のコイル20と前記第3のコイル30が接続されて交流電気回路が構成される。既交流電気回路に電流が生まれ、前記第2のコイル20及前記第3のコイル30部分に交番電流22及32が流れると前記交番電流22及32の作る磁界に応じて前記磁性芯材100に第2、第4の磁束24、25及第3、第5の磁束34、35が誘導される。前記第2の磁束24と前記第3の磁束34、前記第4の磁束25と前記第5の磁束35とはほぼ同じ大きさで反対方向に誘導されるので、これらの磁束からの逆起電力が低減され、前記磁束14が前記第2のコイル20周りに作る電場に応じて既電気回路には電流が流れる。
尚、形状、大きさ、作動及び構造上の細部については変更しても良く、前述の具体例は専ら解説の為のものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】コイルと新規な磁性芯材が鎖交される技術の実施形態を示した説明図である。
【図2】コイルと新規な磁性芯材が鎖交される実施例を示した説明図である。
【図3】コイルと新規な磁性芯材が鎖交される実施例を示した説明図である。
【図4】コイルと新規な磁性芯材が鎖交される実施例を示した説明図である。
【符号の説明】
【0011】
図1 10 第1のコイル 12 交番電流
14 第1の磁束 20 第2のコイル
22 交番電流 24 第2の磁束
30 第3のコイル 32 交番電流
34 第3の磁束 100 磁性芯材
図2 10 第1のコイル 12 交番電流
14 第1の磁束 20 第2のコイル
22 交番電流 24 第2の磁束
30 第3のコイル 32 交番電流
34 第3の磁束 100 磁性芯材
図3 10 第1のコイル 12 交番電流
14 第1の磁束 20 第2のコイル
22 交番電流 24 第2の磁束
25 第4の磁束 30 第3のコイル
32 交番電流 34 第3の磁束
35 第6の磁束 40 第4のコイル
42 交番電流 45 第5の磁束
47 第7の磁束 100 磁性芯材
図4 10 第1のコイル 12 交番電流
14 第1の磁束 20 第2のコイル
22 交番電流 24 第2の磁束
25 第4の磁束 30 第3のコイル
32 交番電流 34 第3の磁束
35 第5の磁束 100 磁性芯材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁束とコイルを鎖交する電磁誘導用鎖交具であって、
第0の磁路と、
前記第0の磁路と鎖交される第1のコイルと、
前記第1のコイルと電磁的に結合される第2のコイルと、
前記第1のコイルと鎖交される第1の磁路と、
前記第2のコイルと鎖交される前記第1の磁路の方向と逆向きの第2の磁路と、
前記第0の磁路と前記第1の磁路と前記第2の磁路とを有する第1の磁性芯材とを具備する電磁誘導用鎖交具。
【請求項2】
前記第0の磁路から分岐され前記第0の磁路に至る分岐磁路と、
前記分岐磁路と鎖交される前記第2のコイルと、
前記分岐磁路を有する前記第1の磁性芯材とを具備する、請求項1記載の電磁誘導用鎖交具。
【請求項3】
前記第1のコイルと電磁的に結合される第3のコイルと、
前記第1の磁路の方向と同じ向きに前記第1のコイルと鎖交される第3の磁路と、
前記第3のコイルと鎖交される前記第3の磁路の方向と逆向きの第4の磁路と、
前記第2のコイルと電磁的に結合される前記第3のコイルと、
前記第2の磁路の方向と同じ向きに前記第2のコイルと鎖交される第5の磁路と、
前記第3のコイルと鎖交される前記第5の磁路の方向と逆向きの第6の磁路と、
前記第3の磁路と前記第4の磁路と前記第5の磁路と前記第6の磁路とを有する前記第1の磁性芯材とを具備する、請求項2記載の電磁誘導用鎖交具。
【請求項4】
前記第1のコイルと鎖交される前記第1の磁路の方向と同じ向きで経路を異にする第3の磁路と、
前記第2のコイルと鎖交される前記第3の磁路の方向と逆向きで経路を一にする第4の磁路と、
前記第3の磁路と前記第4の磁路とを有する前記第1の磁性芯材とを具備する、請求項1記載の電磁誘導用鎖交具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−142565(P2012−142565A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−272899(P2011−272899)
【出願日】平成23年12月14日(2011.12.14)
【出願人】(000210562)
【Fターム(参考)】