説明

ベルトコンベヤローダ

【課題】搬送物の投入作業に省エネ効果を奏する。
【解決手段】ベルトコンベヤ16の排出部40に、排出部40からストックヤードTに投下された投下搬送物Mまでの投下距離Lを検出する排出部距離センサ42を設け、設定時間ごとに排出部距離センサ42により検出された投下距離Lに基づいて、コンベヤ傾動シリンダ27を操作して後部フレーム15を傾動させ、排出部40から投下搬送物Mまでの距離が設定範囲内になるように排出部40の高さを制御する排出位置制御部47を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走式の車体上にベルトコンベヤを搭載し、搬送物を小さい動力で効率よく搬送可能なベルトコンベヤローダに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、クローラ式走行装置を有する車両本体上に、ホッパに投入された搬送物を倉庫や船舶などのストックヤードに積み付けるベルトコンベヤを搭載した自走式車両が開示されている。この車両本体には、ホッパを有する短尺の前部フレームと、排出部を有する長尺の後部フレームとがそれぞれ支持部を中心に上下方向に折り曲げ自在および傾動自在に支持されており、前部フレームから後部フレームにわたって中折れ可能なベルトコンベヤが設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−100803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記自走式車両では、車両本体を所定位置に停止した後、作業当初に、搬送物の積み付け高さに対応して、ベルトコンベヤの排出口の高さを設定している。
したがって、排出口からストックヤードまでの搬送物の投入高さが、必要以上に大きく設定されており、このため、搬送物を持ち上げるために多くの動力を使用し、コンベヤ動力を無駄に消費しているという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題点を解決して、搬送物の投入作業を、少ない動力で行うことができるベルトコンベヤローダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、
走行装置を有する車体と、当該車体に上下方向に傾動自在に支持されたコンベヤフレームと、当該コンベヤフレームの前端部に設けられたホッパおよび後端部に設けられた排出部と、前記ホッパから前記排出部にわたって前記コンベヤフレームに設置されたベルトコンベヤと、前記コンベヤフレームを上下方向に傾動して前記排出部の上下位置を調整可能なコンベヤ傾動装置とを具備したベルトコンベヤローダであって、
前記排出部に、当該排出部から荷受部に投下された投下搬送物までの投下距離を検出する排出部距離センサを設け、
設定時間ごとに前記排出部距離センサにより投下距離を検出し、この投下距離に基づいてコンベヤ傾動装置を操作して、前記排出部から投下搬送物までの投下距離が適正範囲内になるように前記排出部の高さを制御可能な排出位置制御部を設けたものである。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成において、
車体に、複数の走行装置を少なくとも前部と後部に配置するとともに、各走行装置に車体の高さを調整可能なサスペンション装置をそれぞれ設け、
排出位置制御部は、排出部距離センサの検出値に基づいて前部および/または後部の走行装置の前記サスペンション装置を操作し、車体およびコンベヤフレームを傾動させることにより前記排出部の高さを調整可能としたものである。
【0008】
請求項3記載の発明は、
コンベヤフレームは、ホッパを有する前部フレームと、後端部に排出部を有する後部フレームからなり、当該前部フレームおよび当該後部フレームが支持部を介して車体に中折れ自在に搭載され、
コンベヤ傾動装置は、前記後部フレームと車体との間に連結された伸縮駆動装置により構成され、
前記前部フレームを傾動可能なホッパ調整駆動装置を設けるともに、前記前部フレームに取り付けられて路面に着地され前記前部フレームおよび前記ホッパの荷重を支持する着地部材を設けたものである。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の構成において、
コンベヤフレームが後端部から前端部にわたって一体に形成されるとともに、中間部が支持部を介して車体に上下方向に傾動自在でかつ昇降自在に支持され、
前記支持部に、固定端部が車体に回動自在に支持されるとともに、遊端部が前記コンベヤフレームの中間部に回動自在に連結された起伏フレームを設け、
コンベヤ傾動装置が車体または前記起伏フレームと、前記コンベヤフレームとの間に連結され、
車体と前記起伏フレームの遊端側との間に連結されて、前記コンベヤフレームの高さを調整するコンベヤリフト装置を設け、
排出位置制御部は、前記コンベヤ傾動装置による前記コンベヤフレームの傾動または車体の傾動により変位されるホッパに対応して、リフトシリンダを操作しホッパの高さを調整可能に構成されたものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、排出位置制御部により、搬送物の投下距離が適正範囲となるようにコンベヤ傾動装置を制御して、ベルトコンベヤの傾斜角を小さくすることにより、ホッパから排出部に搬送物を搬送する搬送動力を削減できて、省動力化を促進することができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、前後の走行装置に設けられたサスペンション装置を利用して、車体のホッパ設置側を低く、排出部設置側を高くすることで、コンベヤフレームを傾動させて排出部を上昇させることができ、車体の姿勢調整によりコンベヤフレームの傾動範囲を拡大することができる。これにより自動的に積み付けられる排出部の昇降範囲を拡張することができる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、中折れ自在なコンベヤフレームとしたので、後部フレームのみの傾動で排出部の高さを調整することができ、コンベヤ傾動装置の小型化、省動力化を図ることができる。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、車体に、一体のコンベヤフレームを傾動自在でかつ昇降自在に設け、排出位置制御部によりコンベヤ傾動装置を操作してコンベヤフレームを傾動させることにより、排出部の高さを調整し、さらにコンベヤリフト装置を操作することにより、ホッパの高さを調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るベルトコンベヤローダの実施例1を示し、排出部制御装置を示す構成図である。
【図2】ベルトコンベヤローダの側面図である。
【図3】ベルトコンベヤローダの平面図である。
【図4】走行装置の縦断面図である。
【図5】排出部制御装置のブロック図である。
【図6】排出部制御装置の動作を説明するフロー図である。
【図7】本発明に係るベルトコンベヤローダの実施例2を示し、排出部制御装置を示す構成図である。
【図8】排出部制御装置のブロック図である。
【図9】排出部制御装置の動作を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係るベルトコンベヤローダの実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0016】
以下、実施例1を図1〜図6を参照して説明する。
図2,図3に示すように、このベルトコンベヤローダは、車体10の前後位置に左右一対の走行装置11をそれぞれ具備し、この車体10にベルトコンベヤを具備したコンベヤフレーム12が搭載されている。このコンベヤフレーム12は、車体10の前部寄りに設けられた支持部13から前方に伸び、この支持部13を中心に水平軸心周りに上下方向に揺動自在に支持された短尺の前部フレーム14と、前記支持部13から後方に伸び、この支持部13を中心に水平軸心周りに上下方向に揺動自在に支持された長尺の後部フレーム15からなり、前部フレーム14と後部フレーム15が支持部13に中折れ自在に支持されている。ここで、後部フレーム15の傾動角の範囲は、たとえば0°〜20°前後に設定されている。そして前部フレーム14の前部に設置されたホッパ17から、後部フレーム15の後端部に設けられた排出部40にわたって、支持部13の対応部分が中折れ可能なベルトコンベヤ16が設けられている。
【0017】
各走行装置11は、前後進モードの他に、横行モードおよび斜行モードに切替可能なもので、図4に示すように、車体10に旋回軸心Sを中心に旋回自在に支持された旋回体31と、この旋回体31から斜め下方に伸びる上アーム部32と、この上アーム部32の下端部に水平ピン32aを介して上下揺動自在に支持された下アーム部33と、旋回体31と下アーム部33と間に連結されたサスペンション装置である油圧式のサスペンションシリンダ34(後述する34FR,34FL,34RR,34RL)と、下アーム部33の下端部に設けられた車軸部35に回転軸を介して回転自在に支持されるとともに走行駆動モータ36により回転駆動される複数の車輪37と、車体10に設けられて旋回体31を介して車輪37を旋回軸S周りに転舵する操舵駆動装置38とで構成されている。そして、これらサスペンションシリンダ34は、走行時の振動を吸収すると同時に、車体10の姿勢を調整するもので、このベルトコンベヤローダが設置される地盤の高さや傾きに対応して、各車輪装置11の高さを調整することにより、車体10を水平姿勢にすることができる。
【0018】
車体10には、エンジンEにより油圧ポンプPおよび発電機を駆動するパワーユニットPUが搭載され、また操作盤21とコンベヤ制御装置22が設けられている。さらに車体10の前後位置にそれぞれ左右一対のアウトリガー23が設けられている。これらアウトリガー23は、クレーン車などのように作業時に路面から車輪を浮かせて車体を固定するのではなく、走行モードの変更、すなわち前後進モード、横行モード、斜行モード間の切替時に、車体10を持ち上げて車輪37を路面から浮かせた状態で車輪37を転蛇させることで、車輪37への負荷を軽減させるものである。
【0019】
前記ベルトコンベヤ16は、前部フレーム14の前側上面に、ダンプトラックやバケットクレーンなどの他の搬入装置により、搬送土砂や穀物、撒物などの搬送物が供給されるホッパ17が配置されている。また前部フレーム14には、前端部にベルトコンベヤ16のコンベヤベルト16aを巻回するテールプーリ16bが設けられている。さらに車体10の前端部と前部フレーム14の前端側の間に、前部フレーム14を傾動してホッパ17の高さと姿勢を調整する油圧式のホッパ調整シリンダ(ホッパ調整駆動装置)18が設けられている。19は、前部フレーム14から下方に伸び路面に着地されて荷重を支持するストラット(着地部材)である。
【0020】
後部フレーム15の基端下部に設置されたコンベヤ駆動ユニット24には、コンベヤ駆動装置である油圧式コンベヤ駆動モータ25に減速機を介して連結されたドライブプーリ16dと、コンベヤベルト16aを案内するスナッププーリ16eおよびテークアッププーリ16fが設置されている。また後部フレーム15の後端部に設けられた排出部40にヘッドプーリ16gが設置されている。さらに前部フレーム14から後部フレーム15にわたって、上面にコンベヤベルト16aを案内支持する複数のガイドプーリ16cが所定ピッチで配置されている。これらガイドプーリ16cは、たとえば幅方向に3分割されて、中央に水平姿勢の分割プーリが配置され、両側に外側上方に傾斜される傾斜姿勢の分割プーリがそれぞれ配置されて、コンベヤベルト16aが凹面に形成されて案内支持される。また支持部13に対応する中折れ部分に、両縁部にコンベヤベルト16aの浮き上がりを防止する抑えプーリ(図示せず)が配置される。
【0021】
車体10の後部には、支持部材26を介してコンベヤ傾動装置である油圧式のコンベヤ傾動シリンダ(伸縮駆動装置)27の本体が回動自在に支持されるとともに、コンベヤ傾動シリンダ27のピストンロッド27aが後部フレーム15に連結されて、後部フレーム15を支持部13を中心に上下方向に傾動させることができる。
【0022】
次にコンベヤ制御装置22に設けられた排出部制御装置41について、図1、図5および図6を参照して説明する。
ベルトコンベヤ16の排出部40に、排出部40からストックヤード(荷受部)T上の投下搬送物Mまでの投下距離Lを検出する排出部距離センサ(距離検出器)42が設けられており、排出部制御装置41には、排出部距離センサ42の検出値に基づいて、排出部40と投下搬送物Mとの投下距離Lが所定の設定範囲(適正範囲)内となるように制御する排出位置制御部47が設けられ、搬送物の搬送動力を削減して省動力化を促進している。
【0023】
すなわち、排出部制御装置41に、前記排出部距離センサ42と、パワーユニットPUの油圧ポンプPから油圧をコンベヤ傾動シリンダ27に供給、排出するコンベヤ傾動制御弁43と、油圧ポンプPから油圧を前後サスペンションシリンダ(サスペンション装置)34FR,34FL,34RR,34RLにそれぞれ供給、排出する前サスペンション制御弁44F(44FR,44FL)および左右の後サスペンション制御弁44R(44RR,44RL)と、油圧ポンプPから(左右の)ホッパ調整シリンダ18に油圧を供給、排出するホッパ調整制御弁45を具備している。48はコンベヤ駆動モータ25を制御するコンベヤ制御弁である。
【0024】
次に排出部制御装置41による投下距離Lの制御動作を、図6を参照して説明する。
ベルトコンベヤ16の排出部40をストックヤードTの上方に位置させるとともに、ホッパ17が搬入装置の適正位置となるように車体10を停止させる。次いで、車体10に設けられた傾斜センサなどの信号に基づいてサスペンションシリンダ34FR,34FL,34RR,34RLをそれぞれ操作し、車体10を水平姿勢とする。そしてコンベヤ傾動シリンダ27を操作して排出部40とストックヤード(荷受部)Tの間の投下距離Lが、予め設定された適正範囲(たとえば1.0m以上、1.5m以下)内になるように停止させる。さらにホッパ調整シリンダ18を操作し前部フレーム14を傾動させてホッパ17の高さを適正位置に調整し、ストラット19を下方に進展して長さを調整し、路面に着地させて荷重を支持させる。
【0025】
油圧式のコンベヤ駆動モータ25によりベルトコンベヤ16を駆動し、搬入装置から搬送物を投入用のホッパ17に投入し、ベルトコンベヤ16により搬送して排出部40からストックヤードTに投下する。
【0026】
1)排出位置制御部47では、タイマーによりカウントされた一定の設定時間(たとえば数十秒や数分)ごとに、排出部距離センサ42により投下距離Lを検出する(STEP.1)。
2)投下搬送物Mの頂部が排出部40に接近して、投下距離Lが適正範囲より短くなる(STEP.2)と、コンベヤ傾動シリンダ27に伸展可能なストロークがあるかどうかを確認した(STEP.3)後、コンベヤ傾動シリンダ27を伸展させて後部フレーム15を上方に傾動させ、排出部40を投下搬送物Mの頂部から適正範囲になるまで離間させる(STEP.4)。そして再度、排出部距離センサ42により投下距離Lを検出し(STEP.5)、投下距離Lが適正範囲内かどうかを確認する(STEP.6)。
【0027】
3)これを繰り返して投下搬送物MがストックヤードTに積み付けられ、コンベヤ傾動シリンダ27のストロークが伸展限に達すると、次に前部サスペンションシリンダ34FR,34FLの伸展と後部サスペンションシリンダ34RR,34RLの収縮が可能かどうかを確認し(STEP.11)、ついでホッパ調整シリンダ18を伸縮自在なフリー状態とした(STEP.12)後、後部サスペンションシリンダ34RR,34RLを伸展させると同時に前部サスペンションシリンダ34FR,34FLを収縮して、車体10を前部下方に傾斜させる(STEP.13)。これにより、後部フレーム15を上方に傾動させて排出部40を投下搬送物Mから離間させる。なお、ここで前部サスペンションシリンダ34FR,34FLのみを収縮して車体10を傾斜させてもよいし、後部サスペンションシリンダ34RR,34RLのみを伸展して車体10を傾斜させてもよい。
【0028】
4)ホッパ調整シリンダ18をロック状態とした(STEP.14)後、再度、排出部距離センサ42により投下距離Lを検出し(STEP.5)、投下距離Lが適正範囲内かどうかを確認する(STEP.6)。
【0029】
また(STEP.12)の後に、車体10が前部下方に傾斜されることにより、ホッパ17が後部下方に傾斜されるとともに下降される。このホッパ17の姿勢を調整する場合には、ホッパ調整シリンダ18を進展して前部フレーム14を持ち上げる。これにより路面から離間されたストラット19の長さを伸ばして調整した後、ホッパ調整シリンダ18を収縮してストラット19を路面に着地させればよい。
【0030】
上記実施例1によれば、排出位置制御部47によりコンベヤ傾動シリンダ27を操作して後部フレーム15を傾動させ、投下距離Lが適正範囲内になるように制御することにより、排出部40が投下搬送物Mに接触することなくかつ投下距離Lが短くなるように排出部40の高さを制御することができる。これにより、ベルトコンベヤ16の傾斜角を小さくすることができて、ホッパ17から排出部40に搬送する搬送動力を削減でき、省動力化を促進することができる。
【0031】
また、排出位置制御部47により前後の走行装置11に設けられたサスペンションシリンダ34FR,34FL,34RR,34RLを操作して、車体10の前部を低く、後部を高く傾斜させることで、後部フレーム15を上方に傾動させて、後部フレーム15の傾動範囲を拡大することかでき、排出部40からストックヤードTに自動的に積み付けられる制御動作範囲を拡張することができる。
【0032】
さらに、中折れ自在なベルトコンベヤ16およびコンベヤフレーム12を車体10に搭載したので、後部フレーム15のみの傾動で排出部40の高さを調整することができ、コンベヤ傾動シリンダ27の小型化、省動力化を図ることができる。
【実施例2】
【0033】
次に本発明に係る実施例2を図7〜図9を参照して説明する。なお、実施例1と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
実施例1では、コンベヤフレーム12を中折れ式に構成したのに対して、実施例2では、図7に示すように、コンベヤフレーム51を車体10の前端から後端にわたって一体に形成し、車体10に設けられた支持部50を介してコンベヤフレーム51を上下方向に傾動および昇降自在に支持したものである。
【0034】
前記支持部50は、後端部(固定端部)が車体10の後部に回動支持部53を介して上下揺動自在に支持された起伏フレーム52を具備し、この起伏フレーム52の前端部(遊端部)がコンベヤフレーム51の中央部前方寄り(中間部)の底部に連結支持部54を介して回動自在に連結されている。
【0035】
またコンベヤ傾動装置である油圧式のコンベヤ傾動シリンダ(伸縮駆動装置)55は、その本体が起伏フレーム52の固定端部(または車体10)に揺動自在に支持され、そのピストンロッド55aがコンベヤフレーム51の中間底部で後方寄りに回動自在に連結されている。
【0036】
さらに起伏フレーム52を起伏してコンベヤフレーム51の高さを調整するコンベヤ昇降装置である油圧式のコンベヤリフトシリンダ(伸縮駆動装置)56は、その本体が車体10の前方寄りに上下回動自在に支持され、ピストンロッド56aが起伏フレーム52の遊端寄りに回動自在に連結されている。
【0037】
コンベヤフレーム51の前端部には、底部から下方に伸びるストラットバー(着地部材)57が上端支持部57aを介して揺動自在に支持され、コンベヤフレーム51の前端部前方寄りに連結支持されたストラットサポートシリンダ58のピストンロッドがストラットバー57に回動自在に連結されている。したがって、ストラットサポートシリンダ58により、ストラットバー57を前方に揺動させて下端の着地部を路面に着地させることにより、ストラットバー57でコンベヤフレーム51の前端側とホッパ17と搬送物の荷重を支持することができる。
【0038】
図7,図8に示すように、排出位置制御装置60には、コンベヤ傾動シリンダ55に油圧を給排出するコンベヤ傾動制御弁61と、コンベヤリフトシリンダ56に油圧を給排出するリフトシリンダ制御弁62と、ストラットサポートシリンダ58に油圧を給排出するとともに、伸縮をフリーに制御可能なサポートシリンダ制御弁63が設けられている。
【0039】
次に排出位置制御装置60による動作を、図9を参照して説明する。
ベルトコンベヤローダの初期設置については同様であるため、説明を省略する。ベルトコンベヤローダの設置後、ストラットサポートシリンダ58を伸展しストラットバー57を下方に回動させて路面に着地させ、ストラットバー57により荷重を支持させる。
【0040】
1)排出位置制御部60では、タイマーによりカウントされた一定時間ごとに、排出部距離センサ42により排出部40からストックヤードTに積み付けられた投下搬送物Mまでの投下距離Lを検出する(STEP.31)。
【0041】
2)排出部40が投下搬送物Mに接近して、投下距離Lが適正範囲より短くなる(STEP.32)と、コンベヤ傾動シリンダ55に伸展可能なストロークの有無を確認し(STEP.33)、ストラットサポートシリンダ58を伸縮自在なフリー状態とした(STEP.34)後、コンベヤ傾動シリンダ55を伸展してコンベヤフレーム51を上方に傾斜させ(STEP.35)、排出部40を上昇させて投下搬送物Mから離間させる。そしてストラットサポートシリンダ58をロックする(STEP.36)。
【0042】
3)コンベヤフレーム51の上昇に従って下降されたホッパ17が荷受高さの適正範囲かどうかを確認する(STEP.37)。たとえばストラットサポートシリンダ58のロッドの伸縮位置を位置センサなどで検出する。そしてホッパ17が適正範囲から下方に位置している場合には、コンベヤリフトシリンダ56を伸展して(STEP.38)、コンベヤフレーム51を前部上方に傾動させ、ホッパ17を上昇させる。この時、コンベヤフレーム51が後部下方に傾動されて排出部40が適正範囲を超えて下降する場合には、コンベヤリフトシリンダ56の伸展と同時にコンベヤ傾動シリンダ55を伸展させてもよい。
【0043】
4)再度、排出部距離センサ42により投下距離Lを検出し(STEP.51)、投下距離Lが適正範囲内かどうかを確認する(STEP.52)。
5)これを繰り返して投下搬送物MがストックヤードTに積み付けられ、コンベヤ傾動シリンダ55のストロークが伸展限に達すると、前部サスペンションシリンダ34FR,34FLと後部サスペンションシリンダ34RR,34RLの伸縮ストロークの有無を確認後(STEP.41)、ストラットサポートシリンダ58を伸縮自在なフリー状態とし(STEP.42)、後部サスペンションシリンダ34RR,34RLを伸展させると同時に、前部サスペンションシリンダ34FR,34FLを収縮して車体10を前部下方に傾斜させる。これにより、コンベヤフレーム51が前部上方に傾動され、排出部40が上昇されて投下搬送物Mから離間される(STEP.43)。なお、ここで前部サスペンションシリンダ34FR,34FLのみの伸展や後部サスペンションシリンダ34RR,34RLのみの収縮でもよい。
【0044】
6)ストラットサポートシリンダ58をロック状態とした(STEP.44)後、ホッパ17の高さと投下距離Lの確認が行われる(STEP.37,38,51,52)。
上記実施例2によれば、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。また一体のコンベヤフレーム51を設けたベルトコンベヤローダでは、排出位置制御部60により、コンベヤリフトシリンダ56を操作してコンベヤフレーム51の高さを調整し、ホッパ17の高さを適正な高さに調整することができる。
【符号の説明】
【0045】
M 投下搬送物
L 投下距離
10 車体
11 走行装置
12 コンベヤフレーム
13 支持部
14 前部フレーム
15 後部フレーム
16 ベルトコンベヤ
17 ホッパ
18 ホッパ調整シリンダ(ホッパ調整駆動装置)
19 ストラット(着地部材)
27 コンベヤ傾動シリンダ(コンベヤ傾動装置)
34(34FR,34FL,34RL,34RR) サスペンションシリンダ(サスペンション装置)
36 走行駆動モータ
37 車輪
40 排出部
41 排出部制御装置
42 排出部距離センサ
43 コンベヤ傾動制御弁
44FR,44FL 前サスペンション制御弁
44RR,44RL 後サスペンション制御弁
45 ホッパ調整制御弁
46 圧力センサ
47 排出位置制御部
48 コンベヤ制御弁
50 支持部
51 コンベヤフレーム
52 起伏フレーム
53 回動支持部
54 回動支持部
55 コンベヤ傾動シリンダ(コンベヤ傾動装置)
56 コンベヤリフトシリンダ(コンベヤ昇降装置)
57 ストラットバー(着地部材)
58 ストラットサポートシリンダ
60 排出位置制御装置
61 コンベヤ傾動制御弁
62 リフトシリンダ制御弁
63 サポートシリンダ制御弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置を有する車体と、当該車体に上下方向に傾動自在に支持されたコンベヤフレームと、当該コンベヤフレームの前端部に設けられたホッパおよび後端部に設けられた排出部と、前記ホッパから前記排出部にわたって前記コンベヤフレームに設置されたベルトコンベヤと、前記コンベヤフレームを上下方向に傾動して前記排出部の上下位置を調整可能なコンベヤ傾動装置とを具備したベルトコンベヤローダであって、
前記排出部に、当該排出部から荷受部に投下された投下搬送物までの投下距離を検出する排出部距離センサを設け、
設定時間ごとに前記排出部距離センサにより投下距離を検出し、この投下距離に基づいてコンベヤ傾動装置を操作して、前記排出部から投下搬送物までの投下距離が適正範囲内になるように前記排出部の高さを制御可能な排出位置制御部を設けた
ことを特徴とするベルトコンベヤローダ。
【請求項2】
車体に、複数の走行装置を少なくとも前部と後部に配置するとともに、各走行装置に車体の高さを調整可能なサスペンション装置をそれぞれ設け、
排出位置制御部は、排出部距離センサの検出値に基づいて前部および/または後部の走行装置の前記サスペンション装置を操作し、車体およびコンベヤフレームを傾動させることにより前記排出部の高さを調整可能とした
ことを特徴とする請求項1記載のベルトコンベヤローダ。
【請求項3】
コンベヤフレームは、ホッパを有する前部フレームと、後端部に排出部を有する後部フレームからなり、当該前部フレームおよび当該後部フレームが支持部を介して車体に中折れ自在に搭載され、
コンベヤ傾動装置は、前記後部フレームと車体との間に連結された伸縮駆動装置により構成され、
前記前部フレームを傾動可能なホッパ調整駆動装置を設けるともに、前記前部フレームに取り付けられて路面に着地され前記前部フレームおよび前記ホッパの荷重を支持する着地部材を設けた
ことを特徴とする請求項1または2記載のベルトコンベヤローダ。
【請求項4】
コンベヤフレームが後端部から前端部にわたって一体に形成されるとともに、中間部が支持部を介して車体に上下方向に傾動自在でかつ昇降自在に支持され、
前記支持部に、固定端部が車体に回動自在に支持されるとともに、遊端部が前記コンベヤフレームの中間部に回動自在に連結された起伏フレームを設け、
コンベヤ傾動装置が車体または前記起伏フレームと、前記コンベヤフレームとの間に連結され、
車体と前記起伏フレームの遊端側との間に連結されて、前記コンベヤフレームの高さを調整するコンベヤリフト装置を設け、
排出位置制御部は、前記コンベヤ傾動装置による前記コンベヤフレームの傾動または車体の傾動により変位されるホッパに対応して、前記コンベヤリフト装置を操作しホッパの高さを調整可能に構成された
ことを特徴とする請求項2記載のベルトコンベヤローダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−25582(P2012−25582A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−168726(P2010−168726)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(000003241)TCM株式会社 (319)