説明

ベルトコンベヤ装置

【課題】 コンベヤベルトに荷こぼれを防ぐためのスカート装置が設けられたベルトコンベヤ装置において、搬送される対象物(荷)をコンベヤラインの途中から効率よく振り分けすることのできるベルトコンベヤ装置を提供する。
【解決手段】 コンベヤベルト上に対象物を載置して移送させる対象物搬送用のベルトコンベヤ装置において、対象物搬送中のコンベヤベルトからの荷こぼれを防ぐために、コンベヤベルトの搬送面の両側にフェンス状部材を配設し、ベルトコンベヤライン上にある対象物を振り分けるために、フェンス状部材にドア状に開閉するデフレクタ装置を備えるベルトコンベヤ装置とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砂、砕石、石炭、セメントなどのような一般的にはバラ物といわれる粉粒体状貨物などを搬送するのに適するベルトコンベヤ装置に係り、より詳細には、搬送される対象物をコンベヤベルトラインの途中から振り分けることができるベルトコンベヤ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電所やリサイクル設備等に使用されているベルトコンベヤ装置では、砂、砕石、石炭、鉄鉱石、石膏、セメントなどのような粉粒体状の貨物などを荷として搬送しているが、このような搬送貨物は、輸送中のコンベヤベルトの両側部から相当量がこぼれ落ちたり漏れ出たりすることがよくある。これを防ぐために、一例として、道路の側端に設けられるガードレールやフェンスのような、コンベヤベルトの両側端部にスカート装置といわれる防護壁状の帯状フェンス部材を配備することが、通常よく行われている。
【0003】
このようなスカート装置は、その断面がスカート断面のような形状をしていて、搬送される対象物を、コンベヤベルト上で横にそれないように安定させるため、コンベヤベルトの両端側ラインに沿って下端辺が当接するように設けられている。例えば、具体的には、ゴムベルトをドラムに巻き付けたスカート装置がある。これは、シュート等の固定部材に垂設されるスカートボードに取付けられ、このスカート装置を垂下してコンベヤベルト上面の両側に当接させることにより、このコンベヤベルトの両側端を閉塞させた構造とするものであり、搬送物をコンベヤベルト上で安定させるために、移動する充分な長距離にわたり、コンベヤベルトの搬送方向に沿って配備されている。
【0004】
さて、ベルトコンベヤ装置においては、搬送される対象物(荷)をベルトコンベヤラインの途中から振り分けなければならない場合がある。ところが、従来のコンベヤベルトによるラインでは、その両側に沿って上述のようなスカート装置を備えるベルトコンベヤ装置がよく用いられ、このような装置はスカート付コンベヤ装置と呼ばれており、このスカート装置があるがために、これら対象物(荷)をコンベヤラインの途中から振り分けることが難しい構造となっている。
【0005】
また、ベルトコンベヤ装置の従来技術として、ベルトコンベヤ装置にスクレーパ装置を設けたものが知られている。このスクレーパ装置のあるベルトコンベヤでは、コンベヤライン上の搬送物を掻き出したり振り分けたりするにあたり、コンベヤ搬送面にスクレーパ式の掻き出し部材を押し入れて、コンベヤ横のシュートに落とす方式が取れられている。しかしながら、このような方式の採用は、スカート装置のないベルトコンベヤ装置に限られるものであり、スカート装置付のベルトコンベヤ装置においては、その構造上、全く適用することができない。
【0006】
そして、従来のベルトコンベヤ装置について、搬送される対象物(荷)の振り分けをするためのスクレーパ式の掻き出し部材などを所定の箇所に配置するときには、コンベヤベルトの搬送面は平らにするのが好ましいが、一方、平らにすると今度は荷こぼれを起こしやすくなるという問題点が生じる。このように、従来のベルトコンベヤ装置では、対象物(荷)を振り分けするに伴い、上述のような長所と短所の両面を考慮して、適正に設計されているものではない。
【0007】
また、別の従来のベルトコンベヤ装置として、トラフコンベヤを下から押し上げて平らにしてそこにスクレーパを挿入する方式のものがあるが、この場合、スカート装置とコンベヤベルトとの間隔が変化するため、そもそも、スカート装置付ベルトコンベヤを設置することができない。さらに、トラフコンベヤのあらかじめ平らにしてあるベルト面にスクレーパ部材を挿入する方式のものもあるが、スカート装置のあるベルトコンベヤにおいては、その構造上、全く適用することができない。
【0008】
ベルトコンベヤ装置のスクレーパ部材またはスカート装置の技術分野にかかる特許文献としては、例えば、特開平7−25450号公報、実開平6−65333号公報、特開平7−10248号公報がある。しかしながら、これらの文献で提示されているものは、いずれも上述したような問題点がある。
【特許文献1】特開平7−25450号公報
【特許文献2】実開平6−65333号公報
【特許文献3】特開平7−10248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前述の問題点に鑑みてなされたものであり、コンベヤベルトに荷こぼれを防ぐためのスカート装置が設けられたベルトコンベヤ装置において、ベルトコンベヤのラインの途中から搬送される対象物(荷)の振り分けを行うことのできる新規なベルトコンベヤ装置を提供し、ベルトコンベヤを分割することがなく、設置スペース等の制約を受けず、既存コンベヤの改造も安価で可能となるような、実用性/作業効率性/コスト性などに優れるベルトコンベヤ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)コンベヤベルト上に対象物を載置して移送する対象物搬送用のベルトコンベヤ装置において、
搬送中の前記コンベヤベルトからの荷こぼれを防ぐために、前記コンベヤベルトの搬送面の両側にフェンス状部材を配設し、
搬送中の前記コンベヤベルト上の対象物を振り分けるために、前記フェンス状部材にドア状に開閉するデフレクタ装置を備えるベルトコンベヤ装置とした。
【0011】
(2)(1)のベルトコンベヤ装置において、
前記デフレクタ装置は、前記コンベヤベルト上の搬送面にある対象物を掻き出すためのスクレーパ部を備える。
(3)(2)のベルトコンベヤ装置において、
前記デフレクタ装置のスクレーパ部は、前記コンベヤベルトの搬送面に当接させるための弾性部材を備える。
(4)(2)または(2)のベルトコンベヤ装置において、
前記デフレクタ装置のスクレーパ部は、二重構造を備える。
【0012】
(5)(1)〜(4)いずれかのベルトコンベヤ装置において、
前記デフレクタ装置は、前記コンベヤベルト上の搬送面に対して略鉛直方向に上下移動する構造を備える。
(6)(1)〜(5)いずれかのベルトコンベヤ装置において、
前記デフレクタ装置が開閉する位置にある前記コンベヤベルト上の搬送面は、平坦面に保持されるよう構成される。
(7)(1)〜(6)いずれかのベルトコンベヤ装置において、
前記デフレクタ装置は、ハンドルの回動機構により開閉動作を行うよう構成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるベルトコンベヤ装置によれば、コンベヤベルトに荷こぼれを防ぐためのスカート装置が設けられたベルトコンベヤ装置において、ベルトコンベヤのライン途中から搬送される対象物(荷)の振り分けを行いたい場合に好適なベルトコンベヤ装置を提供でき、既存のベルトコンベヤラインを分割することがなく、設置スペース等の制約を受けず、既存のベルトコンベヤの改造も安価で可能となり、ベルトコンベヤ設備全体を複雑化したり大型化したりすることがなく、コスト的な負担が少ない優れたベルトコンベヤ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明によるベルトコンベヤ装置にかかる好適な実施の形態について、添付の図面に基づいて説明する。
まず、図1は、本発明の一実施形態にかかるベルトコンベヤ装置100の基本的構成を模式的に示す外観斜視図である。このベルトコンベヤ装置100は、コンベヤベルト10上に対象物(図示せず)を載置して、移送方向d1に従って所定距離を移送させるための対象物搬送用のベルトコンベヤ装置である。この装置100は、対象物搬送中にコンベヤベルト10からの荷こぼれを防ぐために、コンベヤベルト10の搬送面の両側にはフェンス状部材(20aと20b)が配設されており、さらに、ベルトコンベヤのライン上を搬送される対象物を、ベルトの移送方向d1以外の方向に振り分けるために、片方のフェンス状部材20bの所定の側面部位に、開閉ドア状に設けられたデフレクタ装置30を備える。
【0015】
このデフレクタ装置30は、開閉ドア形状の矩形の板状部材からなり、片方のフェンス状部材20bの側面に鉛直に設けられたヒンジ部(回動部)H1を軸心として回動動作を行うことができ、他方のフェンス状部材20aの内側面に当接するまでの開閉角度αの分だけ、開閉自在にその動作を行わせることができる。そして、このデフレクタ装置30は、開かれた状態では、ヒンジ部H1との対辺にある側端部31において、他方のフェンス状部材20aの内側面に当接し、対象物が搬送されるベルト走行方向の正面の全域にわたって閉鎖させることができ、これにより対象物の搬送の流れ(進路)を妨げて、別の方向に対象物を移送するように構成されている。
【0016】
図1(1)におけるベルトコンベヤ装置100に示すように、このデフレクタ装置30が閉じられているときには、このデフレクタ装置30は、フェンス状部材20b(側壁面部材)の構成の一部となっており、このような閉状態では、デフレクタ装置30がコンベヤベルト10上の対象物(図示せず)の進路上の障害壁とはなっていないので、移動(搬送)をなんら妨げることはなく、対象物は、移送方向d1に従ってそのまま予定通りにコンベヤベルト10上に載せられて直線的に搬送される。
【0017】
つぎの図1(2)では、このデフレクタ装置30が開き角度α(例えば45度程度)で開かれて、フェンス状部材20aの内側面に当接しており、対象物が搬送されるベルト走行方向の正面はすべて閉鎖されて、搬送の流れ(進路)を妨げられた状態となっている。このため、対象物が搬送方向d1'に従って初めはコンベヤベルト上を直線的に搬送されてくるものの、デフレクタ装置30に遮られて本来の走行ルートが妨害され、搬送方向d1'のとおり真っ直ぐ進行することができなくなる。そして、対象物は、デフレクタ装置30の正面の壁面に沿いながら開放された別の方向(移動方向d2)へ移送されて進むこととなり、デフレクタ装置30があった元の位置が開かれて移動し、開放箇所20b'が形成されているので、対象物はその開放箇所20b'から側方に向けて搬送進路が変更されることとなる。
【0018】
このようにして、図1(2)において、本発明によるベルトコンベヤ装置100では、デフレクタ装置30によって、対象物は本来搬送されるべき方向(方向d1')から進路が変更され、こんどはベルト搬送方向の横の方向に向かって進められて、フェンス状部材20bの開放箇所20b'からコンベヤベルト10の走行軌道を外されて、外部へ排出されることとなるので、結果的には、対象物の搬送ルートが変更されて、その対象物の振り分けをすることができる。
【0019】
さらに、本発明によるベルトコンベヤ装置100におけるデフレクタ装置30は、図1に示すように、スクレーパ部S30を備えており、これにより、コンベヤベルト上の搬送面に載置された対象物に接触して、これらを効率的に掻き出すことができる。
また、このスクレーパ部S30は、コンベヤベルト10の搬送面上に確実に当接して掻き出しができるように、直線状の端辺部材の構成を含む当接用の端辺部T30を有しており、この端辺部T30には、ゴムや樹脂材料からなる弾性部材(図示せず)を配設してもよい。端辺部T30に弾性部材を設けることにより、コンベヤベルト10の搬送面に直接に当接された際に、衝突を緩衝できるとともに、ベルト間との隙間を防ぎ、対象物の掻き出しをより効果的にすることができる。
【0020】
そしてこのとき、本発明によるベルトコンベヤ装置では、スクレーパ部S30とコンベヤベルト10とが、安定的に隙間なく当接できるように、デフレクタ装置30が開閉する位置にあるベルトコンベヤラインの搬送面10aは、平坦面に保持されるよう構成されるとよい。具体的には、コンベヤベルト10を支持しながら回転移動させる複数のフラットローラを平坦面上に多く配置したり、コンベヤベルト10を平面な板状支持部材上を走行させたりすることにより、平坦面に保持することができる。
【0021】
つぎの図2は、本発明の他の実施形態にかかるベルトコンベヤ装置200の基本的構成を模式的に示す外観斜視図である。ここでのベルトコンベヤ装置200は、図1のベルトコンベヤ装置100と基本的な構成は同じであり、コンベヤベルト12上の搬送路の両側にフェンス状部材(22aと22b)を備え、片方のフェンス状部材22bの所定箇所にはデフレクタ装置40がヒンジ部(回動部)H2を軸心としてドア状に開閉するよう配設されているものの、デフレクタ装置40の構成が図1のそれとは異なっている。
【0022】
このベルトコンベヤ装置200におけるデフレクタ装置40は、図2に示すように、平板状の2枚の板状部材(41と42)を、支持部材(43aと43b)によって、並列(平行)に合わせて配列された二重の構造を備えている。
この第一の板状部材41は、フェンス状部材22bの一部を構成する部材であって、ヒンジ部H2により開閉動作をすることができ、スクレーパ部S41と端辺部T41とを有する。また、第二の板状部材42は、デフレクタ装置40が閉じられたときには、フェンス状部材22bの外側に位置しており、対象物の搬送されるコンベヤベルトのルートに何ら影響することはなく、こちらもスクレーパ部S42と端辺部T42とを有する。
これらの第一の板状部材41と第二の板状部材42とはいずれもスクレーパ部を有しており、デフレクタ装置40は二重のスクレーパ構造を備えている。これにより、コンベヤベルト上の搬送面に載置された対象物をより効率的に確実に掻き出すことができる。
【0023】
さて、図3Aおよび図3Bは、本発明によるベルトコンベヤ装置の一実施形態にかかる実用的なコンベヤ振り分け装置300を示す全体の構成説明図であって、図(31)はその上面図、図(32)はその側面図である。また、図(33)はデフレクタ装置60の懸垂部における詳細図であり、図(34)はデフレクタ装置60を開閉させるための誘導アームホルダーの関係箇所における詳細図である。なお、このコンベヤ振り分け装置300の基本的構成は、図1のベルトコンベヤ装置100と同じである。
【0024】
このコンベヤ振り分け装置300は、コンベヤベルト50上の対象物(図示せず)を、図面(31)の左から右へのd3方向へ搬送するベルトコンベヤ装置において、デフレクタ装置60によって、対象物をコンベヤベルト上から排出シート62の方に搬送ルートを変更させて、対象物を振り分けるための装置である。
コンベヤ振り分け装置300は、対象物搬送中にコンベヤベルト50からの荷こぼれを防ぐために、コンベヤベルト10の搬送面の両側にはフェンス状部材(55と55')が配設されており、このコンベヤベルト50が通るライン上を搬送されていく対象物を、コンベヤベルトの通常の移送方向とは異なる方向に振り分けるために、片方のフェンス状部材55に、開閉自在なドア状に設けられたデフレクタ装置60が備えられている。このデフレクタ装置60は、フェンス状部材55に設けられたヒンジ部(回動部)61を軸心として、開閉自在になるように配置され、他方のフェンス状部材55'に当接するまでの開閉角度βの分だけ開くことができる。
【0025】
2つのフェンス状部材(55と55')間には、コンベヤベルト50の搬送面を直角に横断するようにハンドル軸66が据え付けられ、両側にあるハンドル(67と67')により、このハンドル軸66を回動させることができる。
そして、デフレクタ装置60の上端面には誘導アーム73が一体的に固着されていて、この誘導アーム73の一方の端側には接続部74を有し、この接続部74はハンドル軸66とは螺合手段によって接続されており、この接続部74は、ハンドル(67と67')の回動によって、ハンドル軸66上を固定用部材75(誘導アームのホルダー用部材)と固定用部材75'との間で移動することができる。
ここで、この誘導アーム73は変形しない剛体の材料から成り、ヒンジ部61を軸心として開閉角度βの分だけのハンドル軸66上をスムーズに移動できるよう、誘導アーム73の端側と接続部74とは、あそびを有する可動式の係合手段によって結合されている。簡易的には、例えば、ピンと長穴との組み合わせなどを用いることもできる。
【0026】
さらに、図(31)と図(32)において、コンベヤ振り分け装置300は、デフレクタ装置60を吊り下げるための懸垂部65では懸垂レール67を備え、懸垂部65にあるカムフォロアー部69が懸垂レール67上を回動移動するように構成されており、懸垂部65でデフレクタ装置60を吊り上げて支持する状態のまま、所定の角度βに従ってデフレクタ装置60を移動させることができる。なお、この懸垂レール67は、コンベヤ振り分け装置300に水平方向に設置された構造部材66に固定されている。
【0027】
このとき、コンベヤ振り分け装置300のコンベヤベルト50において、デフレクタ装置60が開閉する位置にある搬送面50'では、コンベヤベルト50をその上で回転して移動させるための複数のキャリアローラ51を、凹凸がなくほぼ平坦面上に配置させるよう構成している。これは、搬送面50'を平坦面に保持されることにより、デフレクタ装置60のスクレーパ部が、コンベヤベルト50上にある対象物を掻き出しやすくするためである。
【0028】
つぎの図3Bにおいて、図(33)はコンベヤ振り分け装置300のデフレクタ装置60の懸垂部65における詳細図であり、ここでのデフレクタ装置60は、カムフォロアー部69−吊下用部材71−調整ライナー72−フェンス状部材63などの構成部材が一体に結合されて構成されており、デフレクタ装置60は開閉動作にともなって、円弧形状で断面L字状の懸垂レール67上を移動される。
【0029】
ここでのフェンス状部材63の外面63'は、コンベヤ振り分け装置300が作動すると対象物(搬送物)の当たり面となるところであり、また、裏面となるフェンス状部材63の内面63''は、複数の介在部材63'''を介して表面と裏面の関係になるよう一体的に接合されている。そして、フェンス状部材63の下端部はスクレーパ部であって、ウレタンゴムや樹脂などからなる弾性部材70が取り付けられており、コンベヤベルト50に直接接触するように設定がなされる。このとき、弾性部材70とコンベヤベルト50面との間隔は、対象物の大きさや種類や流し方などに合わせて、例えば0mm〜3mm程度に調整されるとよい。
【0030】
また、図3Bにおける図(34)は、コンベヤ振り分け装置300の誘導アームのホルダー部の詳細図である。デフレクタ装置60に一体的に固定されている誘導アーム73は、変形しない鉄製などの板状体から成り、誘導アーム73の端部側と接続部74とは、ホルダーガイド74'内において、相互に移動可能な可動式の係合接続手段によって接続されている。ここでの誘導アームホルダー68は、内部に弾性部材68'と突起部材68''とを有しており、これらにより誘導アーム73を可動式に保持することができ、誘導アーム73の角度が変わって接続部74との接触点が移動したとしても、これを保持することができる機構を備えている。
【0031】
つぎの図4Aおよび図4Bは、本発明によるベルトコンベヤ装置の一実施形態にかかるコンベヤ振り分け装置400の全体の構成説明図であって、図(31)はその上面図、図(32)はその側面図であり、(33)はデフレクタ装置80の懸垂部の詳細図である。なお、この装置400は、図2に示した二重のスクレーパ構造を備えるベルトコンベヤ装置100と同じ基本的構成を有している。
【0032】
ここでのコンベヤ振り分け装置400は、先に説明した図3Aおよび図3Bのコンベヤ振り分け装置300と比較するに、基本的には類似する構造を有するものであるので、同じかまたは均等な構成部材については、図3Aおよび図3Bのベルトコンベヤ装置300に用いたものと同じ符号を附して、重複する説明を省略することとした。そして、デフレクタ装置80、平坦面保持部材90などのような新たな構成があるものについて、つぎに説明する。
【0033】
このコンベヤ振り分け装置400は、コンベヤベルト50上の対象物(図示せず)を、図面左から右への方向d4に従って搬送するベルトコンベヤ装置であり、デフレクタ装置80によって、対象物をコンベヤベルト上から排出シート62の方に搬送方向を変更して振り分けるのに適するベルトコンベヤ装置である。
このコンベヤ振り分け装置400は、対象物搬送中にコンベヤベルト50からの荷こぼれを防ぐために、コンベヤベルト50の搬送面の両側にはフェンス状部材(55と55')が配設されており、このベルトコンベヤ50のライン上を搬送される対象物を、コンベヤベルトの通常の移送方向とは異なる方向に振り分けるために、片方のフェンス状部材55に、開閉自在なドア状に設けられたデフレクタ装置80を備えている。
【0034】
そして、コンベヤ振り分け装置400のコンベヤベルト50において、デフレクタ装置60が開閉する位置にある搬送面50'を平坦面に保持して、スクレーパ部を動作しやすくするために、これまでのキャリアローラではなく、平坦面保持装置90を用いている。この平坦面保持装置90は、例えば、平坦面(水平面)を保持するために、凹凸変形のし難い材料からなる平板状部材92を有し、平板状部材92を複数の支持部材91で支持するような構成として、コンベヤベルト50の搬送面50'を平らにすることにより、コンベヤベルト50とデフレクタ装置60との間隔を一定に保つことができる。
【0035】
図4Bの図(43)は、コンベヤ振り分け装置400のデフレクタ装置80を吊り下げて懸垂保持するための懸垂構造を示す詳細図である。ここでのデフレクタ装置80は、カムフォロアー部69−吊下用部材71−調整ライナー72−第一フェンス状部材81を含む複数の構成部材が一体的に結合されているのは、図3Aおよび図3Bにおけるデフレクタ装置60と同じであるが、第一フェンス状部材81の他に第二フェンス状部材84を備えているところが、デフレクタ装置60とは異なる。
【0036】
このデフレクタ装置80は、図(43)に示すように、第一フェンス状部材81のほかにこれと並列(平行)しては配置された第二フェンス状部材84を備えている。第二フェンス状部材84は、外壁面84'と内部面84''とを有し、第二フェンス状部材84の内部面84''は、連結支持部材86を介して第一フェンス状部材81に取り付けられている。そして、この連結支持部材86はスライド移動機構をもつ可動部86'を備え、第二フェンス状部材84の内部面84''にはスライド移動機構のある可動部86'を介して連結接続され、第二フェンス状部材84は第一フェンス状部材81に対して可動できるよう構成され、例えば移動方向d5のように、コンベヤベルト50面から鉛直方向において上下に移動させることが可能である。
【0037】
図(43)に示すように、第二フェンス状部材84は、支持腕部87と支持軸85とナット部材(85'と85'')を含む複数の部材により、上方向から下方向へと吊り下げられる構造となっている。ここで、支持腕部87は、第一フェンス状部材81側に水平に固定されているものの、第二フェンス状部材84は、スライド移動機構を持つ可動部86'によって相対的な部材相互の移動が可能であり、支持軸85に固定するためのナット部材(85'と85'')によって、その第二フェンス状部材の上下位置を容易に調整して設定することができる。
【0038】
図(43)におけるコンベヤ振り分け装置400のデフレクタ装置80は、第一フェンス状部材81と第二フェンス状部材84とを有する二重構造を備えており、それぞれにスクレーパ部と端辺部とを設定することができるので、二重のスクレーパ構造を備える装置として構成することができる。
また、図(43)においては、第一フェンス状部材81の端辺部81'とコンベヤベルト50の上面との間には隙間を設けており、第二フェンス状部材84の下端部には弾性部材85を配設し、コンベヤベルト50との間には隙間を設けないようにしている。これはあくまでも一例であって、弾性部材の使用や隙間の設定などは、使用状態や対象物の種類などに合わせて適宜に設定できることはもちろんである。
【0039】
さらに、コンベヤ振り分け装置400では、デフレクタ装置80の下端の弾性部材85をコンベヤベルト50に押し付けるときの加減を調整するために、支持軸85を押し付け用ボルトとして用い、ナット部材(85'、85'')を締め込むことによりデフレクタ80の移動位置や距離を加減してその押し付け加減や隙間の調整が可能となるので、デフレクタ装置80をスイングさせるときには、動きが軽くなるように隙間のある設定にしておき、振り分け時にはデフレクタ装置80を下げてコンベヤベルト80に押し付けるようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によるベルトコンベヤ装置は、振り分け装置として使用される時には、デフレクタ装置はスイング式となり、振り分けしない時には、デフレクタ装置はスイングせずに通常のスカート装置として用いられ、すなわち、振り分けしたいときにのみ、スカート装置の一部がコンベヤベルト上にせり出してデフレクタ装置となる構成である。
このように、本発明によるベルトコンベヤ装置は、スカート装置があるベルトコンベヤ装置において振り分け装置として用いることができ、発電所やリサイクル設備等に使用されている対象物搬送用のベルトコンベヤ装置だけではなく、様々な対象物、種々の設置または使用状態において適用することができる。
【0041】
そして、本発明によるベルトコンベヤ装置は、ベルトコンベヤのラインの途中から搬送される対象物(荷)の振り分けを、確実で効率的に行うことができ、既存のベルトコンベヤラインを分割したりすることがなく、設置スペース等の制約を受けず、既存のベルトコンベヤの改造も安価で可能となり、ベルトコンベヤ設備全体を複雑化したり大型化したりすることがなく、コスト的な負担が少ない優れたベルトコンベヤ装置を提供することができるので、ベルトコンベヤ産業においての利用可能性は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態にかかるベルトコンベヤ装置100の基本的構成を示す外観斜視図であり、図1(1)はデフレクタ装置30が閉じた状態、図1(2)はデフレクタ装置30が開いた状態を示し、ここでのデフレクタ装置30はシングル構造のスクレーパ部S30を備える。
【図2】本発明の一実施形態にかかるベルトコンベヤ装置200の基本的構成を示す外観斜視図であり、図2(1)はデフレクタ装置40が閉じた状態、図2(2)はデフレクタ装置40が開いた状態を示し、ここでのデフレクタ装置40は二重構造のスクレーパ部(S40とS41)を備える。
【図3A】本発明によるベルトコンベヤ装置の一実施形態にかかるコンベヤ振り分け装置300の全体の構成説明図であって、この装置300は図1の装置100と同じ基本的構成を有し、図(31)は装置300の上面図、図(32)は装置300の側面図である。
【図3B】同じく、図3Aに示したコンベヤ振り分け装置300の構成説明図であって、図(33)はデフレクタ装置60の懸垂部を示す詳細図であり、図(34)はデフレクタ装置60を開閉させるための誘導アームホルダーに関係する箇所を示す詳細図である。
【図4A】本発明によるベルトコンベヤ装置の一実施形態にかかるコンベヤ振り分け装置400の全体の構成説明図であって、この装置400は図2の装置200と同じ基本的構成を有し、図(41)は装置400の上面図、図(42)は装置400の側面図である。
【図4B】同じく、図4Aに示したコンベヤ振り分け装置400の構成説明図であって、図(43)はデフレクタ装置の懸垂部を示す詳細図である。
【符号の説明】
【0043】
100,200 ベルトコンベヤ装置
10 コンベヤベルト
d1,d1',d2 移動方向(搬送方向、移送方向)
20a,20b,22a,22b フェンス状部材(側面部材)
20b' フェンス状部材の開放箇所
30,40 デフレクタ装置
H1,H2 ヒンジ部(回動部)
α 開閉角度
S30,S41,S42 スクレーパ部
T30,T41,T42 端辺部
41,42 デフレクタ装置の板状部材
43a,43b 板状部材の支持部材
300,400 コンベヤ振り分け装置
50 コンベヤベルト
50' 搬送面
51 キャリアローラ
55,55' フェンス状部材
60 デフレクタ装置
β 開閉角度
61 ヒンジ部(回動部)
62 排出シート
63 フェンス状部材
63' フェンス状部材の外面
63'' フェンス状部材の内面
64 流調制御板
65 デフレクタ装置の懸垂部
66 ハンドル軸
66a,66b ハンドル
67 懸垂レール
68 誘導アームホルダー
68' 弾性部材
68'' 突起部材
69 カムフォロアー部
70 弾性部材
71 吊下用部材
72 調整ライナー
73 誘導アーム
74 接続部
74' ホルダーガイド
75,75' 固定用部材
76 構造部材
77,77' 軸受け部
d3,d4,d5 搬送方向
80 二重構造を備えるデフレクタ装置
81 第一フェンス状部材
84 第二フェンス状部材
84' 外壁面
84'' 内部面
85 支持軸
85',85'' ナット部材
86 連結支持部材
86' スライド移動機構
86 支持腕部
90 平坦面保持装置
91 支持部材
92 平板状部材
99 平坦面保持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤベルト上に対象物を載置して移送する対象物搬送用のベルトコンベヤ装置において、
搬送中の前記コンベヤベルトからの荷こぼれを防ぐために、前記コンベヤベルトの搬送面の両側にフェンス状部材を配設し、
搬送中の前記コンベヤベルト上の対象物を振り分けるために、前記フェンス状部材にドア状に開閉するデフレクタ装置を備える、ことを特徴とするベルトコンベヤ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のベルトコンベヤ装置において、
前記デフレクタ装置は、前記コンベヤベルト上の搬送面にある対象物を掻き出すためのスクレーパ部を備える、ことを特徴とするベルトコンベヤ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のベルトコンベヤ装置において、
前記デフレクタ装置のスクレーパ部は、前記コンベヤベルトの搬送面に当接させるための弾性部材を備える、ことを特徴とするベルトコンベヤ装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のベルトコンベヤ装置において、
前記デフレクタ装置のスクレーパ部は、二重構造を備える、ことを特徴とするベルトコンベヤ装置。
【請求項5】
請求項1〜4いずれかに記載のベルトコンベヤ装置において、
前記デフレクタ装置は、前記コンベヤベルト上の搬送面に対して略鉛直方向に上下移動する構造を備える、ことを特徴とするベルトコンベヤ装置。
【請求項6】
請求項1〜5いずれかに記載のベルトコンベヤ装置において、
前記デフレクタ装置が開閉する位置にある前記コンベヤベルトの搬送面は、平坦面に保持されるよう構成される、ことを特徴とするベルトコンベヤ装置。
【請求項7】
請求項1〜6いずれかに記載のベルトコンベヤ装置において、
前記デフレクタ装置は、ハンドルの回動機構により開閉動作を行うよう構成される、ことを特徴とするベルトコンベヤ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2006−36494(P2006−36494A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−220778(P2004−220778)
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【出願人】(596133119)中電プラント株式会社 (101)
【Fターム(参考)】