説明

ベルトコンベヤ

【課題】適切に搬送ベルトの蛇行調整ができるベルトコンベヤを提供する。
【解決手段】ベルトコンベヤ1はエンドローラ6を備え、このエンドローラ6はローラ本体部7およびこのローラ本体部7の端面から突出するローラ軸部8を有する。エンドローラ6のローラ本体部7には、物品を搬送する無端状の搬送ベルト11を巻き掛ける。エンドローラ6のローラ軸部8を軸支持手段5にて支持する。軸支持手段5は、ローラ軸部8を搬送方向に沿った方向に移動可能に支持する軸支持本体21を有する。軸支持本体21には、ローラ軸部8に当接する回動体23を搬送方向に沿った方向に回動可能に設ける。軸支持本体21には、回動体23に当接する操作ねじ25を設ける。搬送ベルト11の蛇行調整の際に操作ねじ25を操作すると回動体23が回動してローラ軸部8が移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適切かつ容易に搬送ベルトの蛇行調整ができるベルトコンベヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばローラ本体部およびこのローラ本体部の端面から突出するローラ軸部を有するエンドローラと、エンドローラのローラ本体部に巻き掛けられた無端状の搬送ベルトと、エンドローラのローラ軸部を支持する軸支持手段とを備え、軸支持手段は、ローラ軸部をこのローラ軸部の軸方向と交差する方向に移動可能に支持する軸支持本体と、軸支持本体に設けられ円錐状の先端部がローラ軸部の先端部周縁に当接し搬送ベルトの蛇行調整の際にローラ軸部を移動させる蛇行調整用の操作ねじとを有するベルトコンベヤが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、エンドローラの軸芯に垂直な位置平面内で一支点のまわりに揺動するレバーと、上下方向に移動可能であってレバーに係合する上方から操作可能な操作ねじと、レバーに形成されていてエンドローラの支軸に係合し操作ねじの移動量に対応してエンドローラを変位させる曲線形状部とを備えたベルトテンション調整装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−302228号公報(図6、図7等)
【特許文献2】特開2004−18236号公報(図2、図3等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたベルトコンベヤでは、蛇行調整用の操作ねじの円錐状の先端部をエンドローラのローラ軸部の先端周縁に当接させる構成であるため、操作ねじの回転操作に基づくエンドローラのローラ軸部の移動量が不十分で、搬送ベルトの蛇行を修正できないおそれがある。また、上記特許文献2に記載されたベルトコンベヤでは、操作ねじを上方から操作する際に搬送ベルトが邪魔になるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、適切かつ容易に搬送ベルトの蛇行調整ができるベルトコンベヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のベルトコンベヤは、ローラ本体部およびこのローラ本体部の端面から突出するローラ軸部を有するエンドローラと、このエンドローラの前記ローラ本体部に巻き掛けられ、物品を搬送方向に向けて搬送する無端状の搬送ベルトと、前記エンドローラの前記ローラ軸部を支持する軸支持手段とを備え、前記軸支持手段は、前記ローラ軸部を前記搬送方向に沿った方向に移動可能に支持する軸支持本体と、この軸支持本体に前記搬送方向に沿った方向に回動可能に設けられ、前記ローラ軸部に当接する回動体と、この回動体に当接してこの回動体を位置決めする外側方から操作可能な操作ねじとを有し、前記搬送ベルトの蛇行調整の際に、前記操作ねじを外側方から操作すると、前記回動体が回動して前記エンドローラのローラ軸部が移動して所望位置に位置決めされるものである。
【0007】
請求項2記載のベルトコンベヤは、請求項1記載のベルトコンベヤにおいて、回動体および操作ねじが軸支持本体内に収容配設されているものである。
【0008】
請求項3記載のベルトコンベヤは、請求項1または2記載のベルトコンベヤにおいて、回動体は、エンドローラのローラ軸部の先端部外周面に当接する突出部を有するものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、搬送ベルトの蛇行調整の際に、操作ねじを外側方から操作すると、回動体が回動してエンドローラのローラ軸部が移動して所望位置に位置決めされる構成であるから、適切かつ容易に搬送ベルトの蛇行調整ができる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、回動体および操作ねじが軸支持本体内に収容配設されているため、回動体および操作ねじを保護できるばかりでなく、見栄えもよく、組立て性の向上も図ることができる。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、回動体の突出部がエンドローラのローラ軸部の先端部外周面に当接するため、回動体の突出部でエンドローラのローラ軸部の先端周縁を損傷等するようなことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のベルトコンベヤの一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0013】
図1ないし図4において、1はベルトコンベヤで、このベルトコンベヤ1は、所定距離を介して互いに離間対向する水平方向長手状の一対のコンベヤフレーム2を備え、コンベヤフレーム2は複数本の脚体3にて支持されている。各コンベヤフレーム2の長手方向両端部には、エンドローラハンガーユニット等の軸支持手段5が設けられている。
【0014】
そして、互いに離間対向する対をなす軸支持手段5間には、外周面が円筒面状の回転可能なローラ本体部7およびこのローラ本体部7の端面から突出する水平状のローラ軸部8を有するエンドローラ6が設けられている。すなわちエンドローラ6のローラ軸部8が軸支持手段5にて支持されている。
【0015】
また、ベルトコンベヤ1の長手方向両端部に位置するエンドローラ6のローラ本体部7には、物品(図示せず)を搬送面10に載せて搬送方向に向けて搬送する回行可能な無端状の搬送ベルト11が巻き掛けられている。搬送ベルト11は、ベルト駆動手段12の駆動ローラ13およびガイドローラ14にも巻き掛けられ、駆動ローラ13から駆動力を受けて所定方向に回行する。駆動ローラ13は、チェーン或いはベルト等からなる伝動手段15を介して駆動モータ16に接続されている。また、ベルト駆動手段12に隣接してスイッチボックス17が設けられている。なお、搬送ベルト11でエンドローラ6のローラ本体部7が隠れるよう、搬送ベルト11の側端部はエンドローラ6のローラ本体部7の軸方向端部より外方に配置されている。
【0016】
軸支持手段5は、図3および図4に示されるように、エンドローラ6のローラ軸部8をこのローラ軸部8の軸方向と交差する方向、すなわち例えばベルトコンベヤ1の搬送方向に沿った前後方向に移動可能に支持する軸支持本体21と、この軸支持本体21に上下方向の支軸22を中心としてベルトコンベヤ1の搬送方向に沿った前後方向に水平回動可能に設けられ一方側がローラ軸部8の先端部外周面に当接する押し金具等の回動体23と、軸支持本体21のナット部材24に螺着され先端部が回動体23の他方側に当接して回動体23を位置決めする回転操作可能な位置決め手段である操作ねじ25とを有している。
【0017】
軸支持本体21、例えば合成樹脂からなり上下2分割された上側本体部材31と下側本体部材32とを有し、これら上側本体部材31と下側本体部材32との間に、支軸22、回動体23、ナット部材24および操作ねじ25が収容配設されている。
【0018】
すなわち、軸支持本体21は、ベルトコンベヤ1の幅方向中心側である内方に向って開口する軸挿入孔部33と、ベルトコンベヤ1の幅方向中心側とは反対の外方に向って開口するねじ用孔部34と、これら軸挿入孔部33とねじ用孔部34とを連通する回動体収容部35と、ねじ用孔部34に連続して形成されたナット収容部36とを有している。
【0019】
そして、軸挿入孔部33には、エンドローラ6のローラ軸部8がベルトコンベヤ1の前後方向に移動可能に挿入されている。また、市販の六角ナット等のナット部材24はナット収容部36に収容固定され、操作ねじ25は、その固定されたナット部材24に螺着された状態でねじ用孔部34に収容されている。操作ねじ25は、六角棒スパナ等の工具38による回転操作により、ねじ用孔部34内で操作ねじ25の軸方向に沿って移動可能となっている。さらに、回動体23は、支軸22にてこの支軸22を中心として回動するように支持された状態で回動体収容部35に収容されている。回動体23は、予め設定された設定角度(例えば37.5度)の範囲内において支軸22を中心として回動可能となっている。なお、エンドローラ6が搬送ベルト11の張力によって付勢されることにより、エンドローラ6のローラ軸部8が回動体23に常時圧接した状態で当接している。
【0020】
回動体23は、例えば金属製で全体として略T字形状をなす板状のもので、基端側で支軸22にて回動可能に軸支された略矩形状の本体部41と、本体部41の先端部一側から突出する円弧状の突出部である軸側突出部42と、この軸側突出部42と同一形状で本体部41の先端部他側から突出する円弧状のねじ側突出部43とを有している。なお、軸側突出部42とねじ側突出部43とが異なる形状であってもよい。
【0021】
そして、回動体23の軸側突出部42はエンドローラ6のローラ軸部8の先端周縁(角部分)を避けるようにローラ軸部8の先端部外周面のみに当接し、回動体23のねじ側突出部43は操作ねじ25の先端面に当接している。回動体23の本体部41には軸用孔41aが形成され、この軸用孔41aに支軸22が挿通されている。回動体23の本体部41は、回動体23の回動中心軸である支軸22を中心する円弧状縁部41bを有している。回動体収容部35は、回動体23に対応した形状、すなわち例えば略扇形状に形成され、円弧状縁部41bと対向する円弧状の対向面35aを有している。
【0022】
また、操作ねじ25は、例えば金属製の略円柱状の六角孔付止めねじ等で、平面状の先端面が回動体のねじ側突出部43と当接し、基端面には六角棒スパナ等の工具38と係合する係合孔部45が形成されている。なお、操作ねじ25の先端面は、凸の曲面状や凹の曲面状であってもよい。
【0023】
なお、図2に示すように、軸支持本体21は側面視略三角形状の切欠部51を有し、軸支持本体21のコンベヤフレーム2側の面である基端面が鉛直面52にて構成され、軸支持本体21のコンベヤフレーム2側とは反対の面である先端面が下端ほどコンベヤフレーム2側に位置するように鉛直方向に対して傾斜した傾斜面53にて構成されている。このため、図5に示すように、水平姿勢のベルトコンベヤ1に傾斜姿勢のベルトコンベヤ1を連設しても、軸支持本体21同士は干渉せず、エンドローラ6の軸芯間距離Lは、ベルトコンベヤ1の傾斜に拘わらず、常に一定に維持可能である。また、軸支持本体21の先端部が搬送ベルト11より突き出た形状になっているため、ベルトコンベヤ1の連設時に、搬送ベルト11同士が干渉することがない。
【0024】
次に、上記ベルトコンベヤ1の作用等を説明する。
【0025】
搬送ベルト11はベルト駆動手段12の駆動ローラ13から駆動力を受けて所定方向に回行し、この回行する搬送ベルト11の上面の搬送面10に載せられた物品が搬送方向に搬送される。
【0026】
搬送ベルト11に蛇行が発生した場合、図4に示すように、ベルトコンベヤ1の外側方から工具38の先端部を操作ねじ25の係合孔部45に挿入し、操作ねじ25を回転操作すると、図6に示すように、回動体23が操作ねじ25の先端面にて押されて支軸22を中心として回動し、エンドローラ6のローラ軸部8がその回動体23の軸側突出部42にて押されて前方に所望量移動して所望位置に位置決めされ、その結果、エンドローラ6の軸芯が左右方向に対して傾斜した状態になる。このエンドローラ6の傾斜角度の調整により、搬送ベルト11の蛇行が修正される。
【0027】
このようにベルトコンベヤ1によれば、搬送ベルト11の蛇行調整の際に、位置決め手段である操作ねじ25を工具38にてベルトコンベヤ1の外側方から回転操作すると回動体23が回動してエンドローラ6のローラ軸部8が移動して所望位置に位置決めされる構成であるため、搬送ベルト11の蛇行ずれに応じてエンドローラ6のローラ軸部8を所望量移でき、よって適切かつ容易に搬送ベルト11の蛇行調整ができる。また、エンドローラ6のローラ軸部8の移動方向と回動体23の回動方向とが同じであるから、比較的簡単な形状の回動体23を用いることができる。
【0028】
また、操作ねじ25を軸支持本体21のナット部材24に螺着する構成であるから、市販のナットを使用できるため、タップ加工(削りカス、切削油の排出等)の必要がなく、生産性が良好で、コスト低減を図ることができる。
【0029】
さらに、軸支持本体21を分割構造として上側本体部材31と下側本体部材32との間に回動体23、ナット部材24および操作ねじ25等を収容配設した構成であるから、軸支持手段5の部品を簡単に材質別に分別廃棄することができる。
【0030】
また、軸支持本体21の先端面が傾斜面53にて構成されているため、エンドローラ6の軸芯間距離Lをベルトコンベヤ1の傾斜に拘わらず常に一定に維持でき、物品の乗り移り安定性を確保できる。
【0031】
さらに、軸支持本体21の先端部が搬送ベルト11より突き出た形状になっているため、ベルトコンベヤ1の連設時に搬送ベルト11同士が干渉することがなく、搬送ベルト11の損傷等を防止できる。
【0032】
なお、回動体23は、2つの突出部42,43を有する略T字形状には限定されず、例えば図7に示すように、支軸22を挿通する軸用孔41aが形成され一辺を円弧にした略矩形状の本体部41のみで構成されたものや、図8に示すように、支軸22を挿通する軸用孔41aが形成された略扇形状の本体部41のみで構成されたもの等でもよい。
【0033】
また、図9および図10に示すように、回動体23を例えば円弧状に形成された金属製或いは樹脂製等の板部材61にて構成してもよい。この板部材61は、軸支持本体21に形成された回動体収容部35としての円弧状の保持溝62にてスライド可能に収容保持され、この保持溝62に沿って回動中心軸(支点)Xを中心としてベルトコンベヤ1の搬送方向に沿った方向に回動可能となっている。なお、回動体23には、板部材61のように実質的に回動するものも含まれる。
【0034】
さらに、操作ねじ25は、六角棒スパナ等で操作する六角孔付止めねじには限定されず、十字孔等が頭部に形成された小ねじ、六角ボルト等でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施の形態に係るベルトコンベヤの平面図である。
【図2】同上ベルトコンベヤの側面図である。
【図3】同上ベルトコンベヤの部分正面図である。
【図4】同上ベルトコンベヤの部分平面図である。
【図5】同上ベルトコンベヤの連設部の側面図である。
【図6】同上ベルトコンベヤの蛇行調整後の部分平面図である。
【図7】同上ベルトコンベヤの回動体の変形例を示す図である。
【図8】同上ベルトコンベヤの回動体の他の変形例を示す図である。
【図9】同上ベルトコンベヤの回動体のさらに他の変形例を示す蛇行調整前の図である。
【図10】同上回動体の蛇行調整後の図である。
【符号の説明】
【0036】
1 ベルトコンベヤ
5 軸支持手段
6 エンドローラ
7 ローラ本体部
8 ローラ軸部
11 搬送ベルト
21 軸支持本体
23 回動体
24 ナット部材
25 操作ねじ
42 突出部である軸側突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラ本体部およびこのローラ本体部の端面から突出するローラ軸部を有するエンドローラと、
このエンドローラの前記ローラ本体部に巻き掛けられ、物品を搬送方向に向けて搬送する無端状の搬送ベルトと、
前記エンドローラの前記ローラ軸部を支持する軸支持手段とを備え、
前記軸支持手段は、
前記ローラ軸部を前記搬送方向に沿った方向に移動可能に支持する軸支持本体と、
この軸支持本体に前記搬送方向に沿った方向に回動可能に設けられ、前記ローラ軸部に当接する回動体と、
この回動体に当接してこの回動体を位置決めする外側方から操作可能な操作ねじとを有し、
前記搬送ベルトの蛇行調整の際に、前記操作ねじを外側方から操作すると、前記回動体が回動して前記エンドローラのローラ軸部が移動して所望位置に位置決めされる
ことを特徴とするベルトコンベヤ。
【請求項2】
回動体および操作ねじが軸支持本体内に収容配設されている
ことを特徴とする請求項1記載のベルトコンベヤ。
【請求項3】
回動体は、エンドローラのローラ軸部の先端部外周面に当接する突出部を有する
ことを特徴とする請求項1または2記載のベルトコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−100812(P2008−100812A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−284597(P2006−284597)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)