説明

ベルトコンベヤ

【課題】運搬物の積荷時において、コンベヤベルトに損傷を与えることがないようにしたベルトコンベヤを提供する。
【解決手段】コンベヤベルト3の搬送面4とシュート5の排出口7との間に、一対のプーリ8、8に掛け回された無端状の緩衝用ゴムベルト9を、コンベヤベルト3の走行方向に向けて下方へ傾くようにして設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はベルトコンベヤに関し、更に詳しくは、運搬物の積荷時にコンベヤベルトに損傷を与えることがないようにしたベルトコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ベルトコンベヤに塊状物や粉体物などの運搬物を積荷する際には、上方に設置したシュートを通じて運搬物をコンベヤベルトの搬送面に向けて落下させるようにしている(例えば、特許文献1を参照)。そのため、運搬物の落下の衝撃によりコンベヤベルトに損傷が発生しないように、シュートと搬送面との間の距離を短くしたり、シュート内部に緩衝板を設置するなどの方策が採られている。
【0003】
しかしながら、例えば極冷寒地における露天掘り鉱山で用いられるベルトコンベヤのように、水分等により互いに付着し合って大塊状となりやすい運搬物を対象とする場合には、運搬物の形状や大きさが一定しないため、上述したような対策では不十分であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−282821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、運搬物の積荷時において、コンベヤベルトに損傷を与えることがないようにしたベルトコンベヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成する本発明のベルトコンベヤは、回転駆動される無端状のコンベヤベルトの搬送面に向けて、排出口を通じて運搬物を落下させるシュートを備えたベルトコンベヤにおいて、前記シュートの排出口と前記コンベヤベルトの搬送面との間に、一対のプーリに掛け回された無端状の第1の緩衝用ゴムベルト又は緩衝用コンベヤベルトを、前記コンベヤベルトの走行方向に沿って下方へ傾くように設置したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のベルトコンベヤによれば、コンベヤベルトの搬送面とシュートの排出口との間に、一対のプーリに掛け回された緩衝用ゴムベルト又は緩衝用コンベヤベルトを、コンベヤベルトの走行方向に向けて下方へ傾くように設置したことにより、ベルトコンベヤへの運搬物の積荷時において、シュートの排出口から排出された運搬物は、緩衝用ゴムベルト又は緩衝用コンベヤベルトをクッションとしつつその上面に沿って斜め下方へ移動してから搬送面に落下するので、運搬物の落下による衝撃が緩和されるため、コンベヤベルトの損傷を防ぐことができる。
【0008】
上記の緩衝用ゴムベルト又は緩衝用コンベヤベルトは、コンベヤベルトの走行方向と逆向きに回転駆動することが望ましい。そのようにすることで、緩衝用ゴムベルト又は緩衝用コンベヤベルトの上面に沿った運搬物の斜め下方への移動速度を抑制して、運搬物の落下による衝撃を更に緩和することができると共に、緩衝用ゴムベルト又は緩衝用コンベヤベルトの回転速度を調整することで、ベルトコンベヤへの運搬物の供給量を制御することができる。
【0009】
また、上記の緩衝用ゴムベルト又は緩衝用コンベヤベルトは、上下方向に及び/又はコンベヤベルトの搬送面に垂直な軸の回りに回動可能であると共に、コンベヤベルトの長手方向に沿って移動可能であることが望ましい。そのようにすることで、様々な性状の運搬物に対応することが可能になると共に、コンベヤベルトとシュートとの相対的な位置ズレに対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態からなるベルトコンベヤの全体図である。
【図2】図1におけるシュートの設置部分の一部拡大断面図である。
【図3】緩衝用ゴムベルトの可動状態を説明する拡大図である。
【図4】図3に示すX−X矢視における緩衝用ゴムベルトの可動状態を説明する平面図である。
【図5】本発明の別の実施形態からなるベルトコンベヤにおけるシュートの設置部分の一部拡大断面図である。
【図6】シュートの側方からの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態からなるベルトコンベヤを示す。
【0013】
このベルトコンベヤは、図示しない電動機により回転駆動される駆動プーリ1と従動プーリ2とに掛け回された無端状のコンベヤベルト3を有しており、往路側のコンベヤベルトの上面である搬送面4の上方にシュート5を備えている。シュート5は、上下が開口した中空構造を有し、上部の大径の開口部6から供給された塊状物や粉体物などの運搬物を、下部の小径の排出口7を通じて搬送面4に向けて落下させることで、ベルトコンベヤへの積荷を行うものである。
【0014】
このようなベルトコンベヤにおいて、コンベヤベルト3の搬送面4とシュート5の排出口7との間には、一対のプーリ8、8に掛け回された無端状の緩衝用ゴムベルト(第1の緩衝用ゴムベルト)9が、コンベヤベルト3の走行方向に向けて下方へ傾くようにして設置されている。緩衝用ゴムベルト9の構造は特に限定するものではないが、帯状のゴム部材が例示される。また、緩衝用ゴムベルト9の幅は、シュート5の排出口7の内径以上の大きさとするのがよい。
【0015】
このように緩衝用ゴムベルト9を設置することにより、図2に示すように、ベルトコンベヤへの運搬物10の積荷時において、シュート5の排出口7から排出された運搬物10は、緩衝用ゴムベルト9をクッションとしつつその上面11に沿って斜め下方へ移動し、緩衝用ゴムベルト9の端部からコンベヤベルト3の搬送面4に落下するため、運搬物10の落下による衝撃が緩和されるので、コンベヤベルト3の損傷を防ぐことができる。
【0016】
上記の緩衝用ゴムベルト9は、コンベヤベルト3の走行方向と逆向きに回転駆動することが望ましい。そのようにすることで、緩衝用ゴムベルト9の上面11に沿った運搬物10の斜め下方への移動速度を抑制して、運搬物10の落下による衝撃を更に緩和することができる。また、緩衝用ゴムベルト9の回転速度を調整することで、搬送面4への運搬物の供給量を制御することができる。
【0017】
更に、上記の緩衝用ゴムベルト9は、上下方向に回動可能であって、かつコンベヤベルト3の長手方向に沿って移動可能であること(図3)に加えて、コンベヤベルト3の搬送面4に垂直な軸(特に、上側のプーリ8の中心を通過する軸)の回りに回動可能であること(図4)が望ましい。そのようにすることで、様々な性状(形状、大きさ、特性など)の運搬物10に対応することが可能になると共に、コンベヤベルト3とシュート5との相対的な位置ズレに対応することができる。なお、緩衝用ゴムベルト9の回動及び移動は、その上面11の少なくとも一部が、排出口7の下方への投影部と重なる範囲内で行う必要がある。
【0018】
図5は、本発明の別の実施形態からなるベルトコンベヤを示す。
【0019】
このベルトコンベヤは、上記の実施形態における緩衝用ゴムベルト9とシュート5の排出口7との間に、一対のプーリ12、12に掛け回された無端状の緩衝用ゴムベルト(第2の緩衝用ゴムベルト)13を、コンベヤベルト3の走行方向に向けて上方へ傾くようにして設置したものである。
【0020】
このように新たな緩衝用ゴムベルト13を設置することにより、シュート5の排出口7から排出された運搬物10は、順に2台の緩衝用ゴムベルト13、9をクッションとしつつその上面14、11に沿って斜め下方へ移動した後に、コンベヤベルト3の搬送面4に落下するので、運搬物10の落下による衝撃を大幅に緩和することができる。
【0021】
また、新たな緩衝用ゴムベルト13は、緩衝用ゴムベルト9と同じように、コンベヤベルト3の走行方向と同じ向きに回転駆動すると共に、上下方向に及び又はコンベヤベルト3の搬送面4に垂直な軸の回りに回動可能であって、かつコンベヤベルト3の長手方向に沿って移動可能であることが望ましい。
【0022】
なお、本実施形態では2台の緩衝用ゴムベルト9、13を設置しているが、必要に応じて3台以上を排出口7と搬送面4との間に設置することも可能である。
【0023】
なお、上記のいずれの実施形態においても、第1の緩衝用ゴムベルト9及び/又は第2の緩衝用ゴムベルト13の代わりに、有機繊維の帆布からなる芯体の両面にカバーゴムを被覆した緩衝用コンベヤベルトを用いることができる。
【0024】
シュート5の内壁面には、図6に示すように、緩衝板15を突設することが望ましい。このように緩衝板15を設置することで、緩衝板15上に運搬物10のデッドストックが発生し、シュート5内を運搬物10が徐々に下方へ移動するようになるので、排出口7からの運搬物10の落下量を抑えることができる。
【0025】
本発明のベルトコンベヤの用途は特に限定するものではないが、極冷寒地における露天掘り鉱山から算出する鉱物のような、互いに付着し合って大塊状となりやすい運搬物を搬送する場合に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 駆動プーリ
2 従動プーリ
3 コンベヤベルト
4 搬送面
5 シュート
6 開口部
7 排出口
8、12 プーリ
9、13 緩衝用ゴムベルト
10 運搬物
11、14 上面
15 緩衝板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動される無端状のコンベヤベルトの搬送面に向けて、排出口を通じて運搬物を落下させるシュートを備えたベルトコンベヤにおいて、
前記シュートの排出口と前記コンベヤベルトの搬送面との間に、一対のプーリに掛け回された無端状の第1の緩衝用ゴムベルト又は緩衝用コンベヤベルトを、前記コンベヤベルトの走行方向に向けて下方へ傾くように設置したことを特徴とするベルトコンベヤ。
【請求項2】
前記第1の緩衝用ゴムベルト又は緩衝用コンベヤベルトが、前記コンベヤベルトの走行方向と逆方向に回転駆動する請求項1に記載のベルトコンベヤ。
【請求項3】
前記第1の緩衝用ゴムベルト又は緩衝用コンベヤベルトが、上下方向に及び/又は前記コンベヤベルトの搬送面に垂直な軸の回りに回動可能である請求項1又は2に記載のベルトコンベヤ。
【請求項4】
前記第1の緩衝用ゴムベルト又は緩衝用コンベヤベルトが、前記コンベヤベルトの長手方向に沿って移動可能である請求項1〜3のいずれかに記載のベルトコンベヤ。
【請求項5】
前記第1の緩衝用ゴムベルト又は緩衝用コンベヤベルトと前記排出口との間に、一対のプーリに掛け回された無端状の第2の緩衝用ゴムベルト又は緩衝用コンベヤベルトを、前記コンベヤベルトの走行方向に向けて上方へ傾くように設置した請求項1〜4のいずれかに記載のベルトコンベヤ。
【請求項6】
前記第2の緩衝用ゴムベルト又は緩衝用コンベヤベルトが、前記コンベヤベルトの走行方向と同方向に回転駆動する請求項5に記載のベルトコンベヤ。
【請求項7】
前記第2の緩衝用ゴムベルト又は緩衝用コンベヤベルトが、上下方向に及び/又は前記コンベヤベルトの搬送面に垂直な回転軸の回りに回動可能である請求項5又は6に記載のベルトコンベヤ。
【請求項8】
前記第2の緩衝用ゴムベルト又は緩衝用コンベヤベルトが、前記コンベヤベルトの長手方向に沿って移動可能である請求項5〜7のいずれかに記載のベルトコンベヤ。
【請求項9】
前記シュートの内壁面に緩衝板を突設した請求項1〜8のいずれかに記載のベルトコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−20810(P2012−20810A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158272(P2010−158272)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】