ベント型マウスピースを有する投薬システム
患者に対して医薬製剤を送達する上で好適な経口吸入装置は、少なくとも1種類の医薬が含まれる医薬製剤を有する容器、ならびに患者が口で銜えて前記容器と連通する構造のマウスピースを有し、前記マウスピースが内側表面および外側表面を有し;マウスピースの外側表面は、少なくとも1個の長手方向に延在する不均一部を有していることで、患者がマウスピースを銜えると、少なくとも1個の空隙がマウスピースの外側表面と患者の口腔との間に形成されて、前記少なくとも1個の空隙を通る空気流路が提供されて、患者による前記少なくとも1種類の医薬の吸入が促進されるようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2002年12月18日出願の仮出願第60/434517号(参照によってその全内容が本明細書に組み込まれる)に対する優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、患者に医薬を送達するためのシステムおよびそれの使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
流体媒体中の医薬を経口で送達するための各種システムが当業界では広く知られている。例としては、通常は推進剤と組み合わせて1種類以上の医薬を送達するエアロゾルシステム(例:一般にMDIとして知られる計量式吸入装置)ならびに乾燥粉末製剤を用いるシステム(例:一般にDPIとして知られる乾燥粉末吸入装置)などの経口吸入装置などがある。経口吸入装置に関しては、広くは治療薬、予防薬および診断薬などの医薬を、肺に局所的に、あるいは病気および他の状態の治療、予防もしくは診断のために肺を経由して全身に送達することができる。例としてMDIは、医薬とともに製剤された圧縮低沸点液体推進剤の貯留部を有するエアロゾル送達システムである。吸入装置は、計量された用量の医薬製剤を送達して、吸入可能な微粒子雲すなわち煙条としてその用量を投薬するように設計されている。
【0004】
患者に対して医薬用量を投薬するため、吸入装置には通常は、患者とのインターフェースがある。そのインターフェースは通常、患者が口中に挿入するマウスピースの形態のものである。多くの吸入装置、特には肺への投薬用のものでは、多くの場合で用量送達時に患者が吸入を行う必要がある。指示通り使用する場合には、従来の経口吸入装置では通常、マウスピース周囲で実質的に密閉されたインターフェースになる。従って、ほとんどの部分において患者による吸入によって発生する空気流が装置自体(少なくともそれの一部)を通り抜ける。従来の吸入装置の構成を考慮すると、装置を通過する空気流を完全、実質的または部分的に制限することが望ましいと考えられる。
【0005】
例えば、底部付近のマウスピースの内側の領域を閉鎖して、吸入装置の内部構成要素を封入することが望ましい場合がある。別の例として、吸入装置本体の外側表面上の空気流導入口を外すことにより使用時に患者の手がそれを覆うのを防いだり、あるいは吸入装置の内部構成要素を保護することが望ましい場合がある。従って、吸入装置を通過する空気流路を必要とせずに、用量送達時に患者が自由に吸入を行うことができる吸入装置マウスピースが必要とされている。
【0006】
ある場合において、患者は口から所定の距離(例:数インチ)でMDIを保持し、吸入装置の発射を行う。結果として、空気流はほとんど装置を通過せず、全ての空気流は口のすぐ周囲からのものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この「開放口法」では、吸入装置の方向や照準が定まらず、患者間の変動が大きくなる。従って、そのような技術は不利である。開放口法に関する参考資料の例には下記のものがある。
【0008】
http://www.aaaai.org/patients/publicedmat/tips/inhaledmedications.stm
http://www.asthma-education.com/howto01.html
http://www.uhn.ca/programs/asthma/Pages/inhalecare.html
http://www.starbriaht.org/schoolasthma/pdf/mdi white paper.pdf
http://www.keepkidshealthy.com/asthma/using a mdi.html
http://shs.unc.edu/medservices/specialty services/asthma/inhaler.html
http://www.asthmacentre.com/manual/openmdi.html。
【0009】
吸入装置を通過する空気流は煙条に影響を与える可能性があることから、医薬用量の堆積プロファイルにも影響し得る。意図的であれ偶発的であれ、吸入装置の用量送達通路での空気流は通常は、用量送達時に煙条と相互作用する。通常は、各用量からの医薬の一部が標的(例:肺、鼻道など)、吸入装置上の一部および患者の標的外領域(例:中咽頭など)上の一部の上に堆積する。通常は、装置および患者の標的外領域上への望ましくない堆積を最小限としながら、所期の標的上に堆積する各用量の量を最大とすることが望ましい。従って、望ましくない堆積を低減するように空気流の流路を構成することが望ましいと考えられる。
【0010】
この問題を扱う試みが、WO 00/50112によって提案されている。詳細にはWO 00/50112は、バルブ軸が投薬位置にある時にノズルブロックのオリフィス付近で患者吸入による空気流を妨げるように構築および配置されたアクチュエータを有する加圧計量式吸入装置に関するものである。WO 00/50112には、そのような設計によって、医薬の望ましくない中咽頭での堆積が低減され、肺に到達する医薬の相対量が増えることが開示されている。WO 00/50112の内容に関して利点があったとしても、そのような設計では、吸入装置とともに用いるための別の構造的構成要素が必要になると考えられている。
【0011】
そこでやはり、現在当業界で実際に行われている比較的簡単な方法で医薬送達装置を改良することで、別の空気流構成を提供することが当業界で必要とされている。MDIおよびDPIなど(これらに限定されるものではない)などの非常に多様な経口吸入装置で用いるのに、そのような構成が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
1態様において本発明は、患者への医薬製剤の送達に好適な経口吸入装置を提供する。その吸入装置は、少なくとも1種類の医薬が含まれる医薬製剤を有する容器;ならびに患者が口で銜えて前記容器と連通する構造のマウスピースを有し、前記マウスピースが内側表面および外側表面を有する。有利にはマウスピースの外側表面は、少なくとも1個の長手方向に延在する不均一部を有していることで、患者がマウスピースを銜えると、少なくとも1個の空隙がマウスピースの外側表面と患者との間に形成されて、前記少なくとも1個の空隙を通る空気流路が提供されて、患者による前記少なくとも1種類の医薬の吸入が促進されるようになっている。従って患者は用量送達時に自由に吸入することができ、吸入装置の内部に空気流路がある必要はない。
【0013】
別の態様において本発明は、少なくとも1種類の医薬を患者に投与する方法を提供する。その方法には、本明細書で定義の経口吸入装置を提供する段階ならびにその経口吸入装置を駆動させて少なくとも1種類の医薬を患者に送達する段階を有する。
【0014】
本発明の上記および他の態様および利点について本明細書で説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
添付の図面を含む本明細書に記載の実施形態(それらに限定されるものではない)との関連で本発明を説明する。理解しておくべき点として、それらの実施形態は専ら本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0016】
上記および下記のいずれであるかを問わず、本明細書で引用のあらゆる刊行物、特許および特許出願が、あたかも各個々の刊行物、特許または特許出願が具体的かつ個別に参照によって組み込まれるよう指定されたものと同程度に、参照によって全体が本明細書に組み込まれるものとする。
【0017】
留意すべき点として、本明細書および添付の特許請求の範囲で用いているように、単数形「一つ」、「1個」および「その」という表現は、文脈において他の意味が明瞭に示されていない限りは複数の指示対象を含むものである。
【0018】
1態様において本発明は、患者への医薬製剤の送達に好適な経口吸入装置を提供する。その吸入装置は、少なくとも1種類の医薬が含まれる医薬製剤を有する容器;ならびに患者が口で銜えて前記容器と連通する構造のマウスピースを有し、前記マウスピースが内側表面および外側表面を有する。有利にはマウスピースの外側表面は、少なくとも1個の長手方向に延在する不均一部を有していることで、患者がマウスピースを銜えると、少なくとも1個の空隙がマウスピースの外側表面と患者との間に形成されて、前記少なくとも1個の空隙を通る空気流路が提供されて、患者による前記少なくとも1種類の医薬の吸入が促進されるようになっている。従って患者は、吸入装置の内部の空気流路や別のマウスピース構成要素の必要なく、用量送達時に自由に吸入することができる。
【0019】
本発明に関して、さらには本明細書に詳細に記載しているように、このシステムは計量式吸入装置(MDI)および乾燥粉末吸入装置(DPI)など(それらに限定されるものではない)の非常に多様な吸入装置を包含することができる。そのような吸入装置および吸入装置構成要素の例は、同一出願人による米国特許第4364923号;6309624号;4335121号;6251368号;5676929号;5674471号;5290815号;5126375号;5225445号;4922474号;5674472号;5658549号;5270305号;6303103号;6309624号;6315173号;6170717号;6318603号;6238647号;6119853号;6315112号;6179118号;6149892号;6253762号;6131566号;6143277号;5590645号;5860419号;5873360号;6032666号;および6378519号;ならびに米国特許出願第09/925214号および10/022072号(これらの開示内容は、参照によって全て本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0020】
本発明に関して「長手方向に延在する不均一部」という用語は、例えばマウスピースの長さ方向に延びるマウスピースの外側表面における変化、変更、非一貫性、穴または乱れを指す。「不均一部」の構成は、吸入装置またはマウスピースの設計に応じて変わる。好ましい実施形態では、複数の不均一部が、マウスピースの軸周囲に対称に分布している。本発明によれば、不均一部が存在することで、患者の口腔の接触表面とマウスピースの外側表面との間に空隙が生じて、そこを通る空気流路が形成される。
【0021】
この不均一部は、多様な形態で存在することができる。そのような形態には、外側表面での突出部、凹部または開口部などがあるが、それらに限定されるものではない。そのような不均一部の組合せを用いることもできる。
【0022】
本発明に関して、「突出部」という用語は、マウスピースの外側表面から外向きに延在するリブなどの突起部分を指す。「凹部」という用語は、マウスピースの外側表面における陥凹部を指す。「開口部」という用語は、マウスピースの表面が遮られておらず、医薬送達システムの外部の環境がマウスピースの内側表面によって画定される内側空隙部に直接露出されるようになっていることを指す。理解すべき点として、1個の突出部、凹部または開口部を用いることができるか、あるいは複数の突出部、凹部および/または開口部を用いることができる。
【0023】
前記不均一部は、マウスピースの長軸方向で各種長さで延在することができ、適切であると思われる通りに選択することが可能である。例えば1実施形態において、不均一部はマウスピースの長さ全体にわたって延在することができる。他のそれより短い長さも想到される。すなわち不均一部は長軸の一部にわたって延在するものであることができる。
【0024】
複数の不均一部を用いる場合、それらの間の距離は所望に応じて変えることができる。例として1実施形態では、不均一部は互いに等距離離れたものとすることができる。逆に、個々の不均一部間の距離は等しくないようにすることもできる。
【0025】
不均一部は、マウスピースの外側表面領域に沿っていかなる数の位置でも存在することができ、それにはマウスピースの頂部、底部および対向する両側部などが含まれる。例として1実施形態では、複数の不均一部を用いる場合に、所定数のそのような不均一部が互いに対向して存在することができ、例えば頂部と底部、あるいは両側部にあっても良い。特定の実施形態では、マウスピースの対向する側部に等しい数の不均一部があっても良い。さらに、それらの不均一部は隣接する外側表面部分上に存在しても良く、例えば1実施形態では頂部と側部、あるいは別の実施形態では底部と側部である。さらに別の実施形態では、不均一部はマウスピースの外側表面全体に、すなわち頂部、底部および側部に存在することができる。
【0026】
「容器」という用語は、医薬製剤を保持するための各種貯蔵器を指す。そのような容器の例には、MDI用のエアロゾル製剤と組み合わせて用いられるものなどの圧力に耐えることができる缶などがあるが、それに限定されるものではない。DPIに関しては、容器の例には、乾燥粉末医薬製剤と組み合わせて使用される剥離式ブリスタ包装に通常存在するものなどのポケットまたはポケット様構造などがあるが、それらに限定されるものではない。通常、容器は当業者には公知の材料、例えばポリマー、金属およびガラスなどから形成することができる。
【0027】
本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、本明細書に記載の装置とともに、他の補助構成を用いることができる。そのような補助構成には例えば、スペーサなどがある。
【0028】
製剤化して投与することができる医薬には、吸入療法で使用される各種薬剤などがあるが、それらに限定されるものではない。適切な医薬は、例えば鎮痛薬(例:コデイン、ジヒドロモルヒネ、エルゴタミン、フェンタニルまたはモルヒネ);狭心症薬(例:ジルチアゼム);抗アレルギー薬(例:クロモグリク酸化合物、ケトチフェンまたはネドクロミル);抗感染薬(例:セファロスポリン類、ペニシリン類、ストレプトマイシン類、スルホンアミド類、テトラサイクリン類およびペンタミジン);抗ヒスタミン薬(例:メタピリレン);抗炎症剤(例:ジプロピオン酸ベクロメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、フルニソリド、ブデソニド、ロフレポニド(rofleponide)、フロン酸モメタゾン(mometasone)、シクレソニド(ciclesonide)、トリアムシノロンアセトニドまたは6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17α−プロピオニルオキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−(2−オキソテトラヒドロ−フラン−3−イル)エステル);鎮咳薬(例:ノスカピン);アルブテロール(例:硫酸塩として)、サルメテロール(例:キシナホ酸塩として)、エフェドリン、アドレナリン、フェノテロール(例:臭化水素酸塩として)、ホルモテロール(例:フマル酸塩として)、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール(例:酢酸塩として)、レプロテロール(例:塩酸塩として)、リミテロール、テルブタリン(例:硫酸塩として)、イソエタリン、ツロブテロールまたは4−ヒドロキシ−7−[2−[[2−[[3−(2−フェニルエトキシ)プロピル]スルホニル]エチル]アミノ]エチル−2(3H)−ベンゾチアゾロンなどの気管支拡張薬;利尿薬(例:アミロリド);抗コリン作働薬(例えば、イプラトロピウム(例:臭化物として)、チオトロピウム(tiotropium)、アトロピンまたはオキシトロピウム(oxitropium));ホルモン類(例:コルチゾン、ハイドロコルチゾンまたはプレドニゾロン);キサンチン類(例:アミノフィリン、コリン・テオフィリネート、リジンテオフィリネートまたはテオフィリン);治療用タンパク質およびペプチド(例:インシュリン)から選択することができる。当業者には、適宜に医薬を、塩の形で(例:アルカリ金属塩またはアミン塩あるいは酸付加塩として)、またはエステルとして(例:低級アルキルエステル)、または溶媒和物として(例:水和物)用いて、その医薬の活性および/または安定性を至適化することができることは明らかであろう。さらに、適切であれば医薬を純粋な形で(例えば、R-サルブタモールまたはRR-ホルモテロール)で用いることが可能なことは、当業者には明らかであろう。
【0029】
本発明による医薬製剤を用いて投与するのに特に好ましい医薬には、吸入療法によって喘息などの呼吸器障害の治療において用いられる抗アレルギー薬、気管支拡張薬および抗炎症ステロイド類などがあり、それには例えばクロモグリク酸化合物(例:ナトリウム塩として)、サルブタモール(例:遊離塩基または硫酸塩として)、サルメテロール(例:キシナホ酸塩として)、ホルモテロール(例:フマル酸塩として)、テルブタリン(例:硫酸塩として)、レプロテロール(例:塩酸塩として)、ベクロメタゾンエステル(例:ジプロピオン酸塩として)、フルチカゾンエステル(例:プロピオン酸エステル)がある。勃起不全治療で有用な医薬(例:アルプロスタジルおよびクエン酸シルデナフィルとともにバルデナフィル(登録商標;GlaxoSmithKline, Research Triangle Park, North Carolina)で用いられるものなどのPDE-V阻害薬)も用いることができる。
【0030】
サルメテロール(特にはキシナホ酸サルメテロール)、サルブタモール(特には硫酸サルブタモール)、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾンならびにそれらの生理的に許容される塩および溶媒和物が特に好ましい。
【0031】
本発明による製剤が、所望に応じて2種類以上の有効成分の組合せを含むことが可能であることは、当業者には明らかであろう。2種類の有効成分を含む組成物は、喘息などの呼吸器障害の治療において知られており、例えばホルモテロール(例:フマル酸塩として)とブデゾニド、サルメテロール(例:キシナホ酸塩として)とフルチカゾン(例:プロピオン酸エステルとして)、サルブタモール(例:遊離塩基もしくは硫酸塩として)とベクロメタゾン(ジプロピオン酸エステルとして)が好ましい。
【0032】
特に好ましい組合せは、プロピオン酸フルチカゾンとサルメテロールまたはそれの塩(特にはキシナホ酸塩)の組合せである。理解すべき点として、前記投薬システムと組み合わせて用いることができる医薬は本明細書に記載のものに限定されるものではない。
【0033】
前記経口吸入装置は、各種の許容される形で操作することができる。例えばMDIに関して1実施形態では、缶をアクチュエータ中に押し込む。その缶の動きによって、計量バルブが個々の用量を形成する一定容量の流体を計量することになる。計量された用量の流体はバルブ軸、ノズルおよびマウスピース、すなわちマウスピースに入り、そこを通過する。缶および計量チャンバの加圧環境を解除すると、流体の推進剤成分が膨張して、その用量がユーザーに運ばれる。
【0034】
DPIは、患者がDPIマウスピースを口で銜え、それを介して空気を吸い込むことで用いることができる。患者がマウスピースから吸入を行うと、1用量の医薬製剤が入ったポケットを通って空気が流れ、最後にマウスピースを通って出るが、その際に粉末を同伴することから、患者にその用量が運ばれる。
【0035】
本発明に従って用いることができるDPI構成要素の各種実施形態が、米国特許第5590645号;5860419号;5873360号;6032666号;6378519号ならびに米国特許出願第09/925214号および10/022072号に記載されている。そのような実施形態には、グラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKline, Research Triangle Park, North Carolina)によって市販されているDISKUS(登録商標)吸入装置が含まれる。より具体的には、そのような実施形態ではDPIには、互いに固定された2枚の剥離可能なシートの長さ方向に間隔を設け、それらの間で画定された乾燥粉末医薬製剤を保持する容器(例:ポケット)を有する医薬パックがある。DPIには、(1)装置内で用いられる医薬パックの容器を収容する開放ステーション、(2)開放ステーションに収容された容器の剥離可能シートと噛み合うことで剥離可能シートを剥がして容器を開けるよう配置された手段、ならびに(3)開放された容器と連通するよう配置された出口であって、そこから粉末形態での医薬をユーザーが開放された容器などから吸入できる出口がある。
【0036】
本発明に包含されるDPIの他の実施形態には、米国特許第4627432号;4811731号;5035237号;4778054号;およびDes299066に記載のものなどがる。そのような実施形態には、グラクソ・スミスクラインが市販しているROTODISK(登録商標)吸入装置が包含される。特に、そのような装置は、筐体;その筐体に取り付けられ、筐体に対して第1および第2の位置の間で移動可能なトレー;トレー上に設けられ、少なくとも1個の医薬容器を有するキャリアを受け入れるように作製されている支持ディスクを有することができる。登録された容器を貫通して容器を開けるよう動作可能なプランジャーを存在させても良い。
【0037】
MDIに関する実施形態では、本発明の缶で用いるのに好ましい製剤は、少なくとも1種類の医薬および少なくとも1種類の推進剤を含む。本発明に関して、「推進剤」という用語は、沸点がほぼ室温(25℃)〜約-25℃である薬理的に不活性な液体であって、単独もしくは組合せで室温にて高い蒸気圧を示す液体を意味し、フレオンおよびヒドロフルオロカーボン類などのCFC類等がある。本発明で使用される推進剤は、低沸点フルオロカーボン類、特にはヒドロフルオロカーボン類またはヒドロフルオロアルカン類である。好ましい推進剤の例には、C1-4ヒドロフルオロアルカン(例:1,1,1,2-テトラフルオロエタンおよび1,1,1,2,3,3,3-n-ヘプタフルオロプロパン)またはそれらの推進剤としての混合物などがあるが、これらに限定されるものではない。他の推進剤を用いることができ、それにはCO2(例:液体CO2)と併用したアルカン類(例:ブタンおよびプロパン)などがある。
【0038】
DPIに関して、そこから投与される乾燥粉末医薬製剤には、1以上の医薬以外に、少なくとも1種類の成分を含んでいても良い。そのような成分には、賦形剤(例:乳糖、ショ糖、D-マニトール、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロースおよび軽無水ケイ酸)、滑沢剤(例:ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルクおよびコロイド状シリカ)、結合剤(例:結晶セルロース、ショ糖、D-マニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン、ゼラチン、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム)、崩壊剤(例:デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルデンプンナトリウムおよびL-ヒドロキシプロピルセルロース)、溶媒(例:水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール類、ゴマ油、トウモロコシ油およびオリーブ油)、可溶化剤(例:ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D-マニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウムおよびクエン酸ナトリウム)などがあるが、これらに限定されるものではない。共溶媒を用いることもでき、それにはC1〜C4アルコール類(例:メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール)などがあるが、これらに限定されるものではない。上記成分のいずれかの混合物も用いることができる。
【0039】
別の態様において本発明は、少なくとも1種類の医薬を患者に投与する方法を提供する。その方法は、本明細書で定義の経口吸入装置を提供する段階;ならびにその経口吸入装置を駆動させて前記少なくとも1種類の医薬を患者に投与する段階を有する。そのような駆動は、本明細書に記載の実施形態に従って行うことができる。ただし理解すべき点として、他の技術も使用可能である。
【0040】
以下、添付の図面を参照しながら本発明について説明する。理解すべき点として、これら図面は専ら本発明を説明するためのものであり、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものではない。
【0041】
図1A〜1Dはそれぞれ、本発明による経口吸入装置10′の1実施形態の斜視図、側断面図、平面図および正面図を示す。吸入装置10′は好ましくはMDIとして存在する。図示のように、吸入装置10′には、缶40を受け入れるように作製された空洞部30を有する筐体20がある。缶40には、室温でガス状である加圧液体推進剤とともに懸濁液もしくは溶液での所定量の医薬が入っている。内壁70、開放(遠位)端80および後壁もしくは第2の開放端(不図示)のあるチャンバ60を有するマウスピース50もある。筐体20およびマウスピース50は一体構造物であることができるか、あるいはワンピース構成物のものであることができる。
【0042】
図1Bには、吸入装置10′の断面図を示してある。図示のように、缶40には、1用量の加圧液体医薬を計量するための計量用部材90(例:バルブ)がある。計量用部材90は、マウスピース50と連通している。計量用部材90に連通した計量用量を放出するためのバルブ軸100もある。筐体にはさらに、バルブ軸100と係合するためのバルブ軸座115、バルブ軸100と流体連通する膨張チャンバ120および膨張チャンバ120と流体連通するノズルチャンネル130を有するノズルブロック110がある。ノズルチャンネル130は、一端に出口オリフィスまたはノズル140を有する。図1Bに示したように、ノズル140は導路の開放端と位置合わせされている。計量バルブ、膨張チャンバおよびノズルの1実施形態を図1Bに示した。しかしながら、理解すべき点として、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、この実施形態からの多くの逸脱が可能である。
【0043】
図1Aにある斜視図で示されているように、複数の突出部(例:リブ)150が吸入装置マウスピース50の外側表面の頂部、底部および対向する両側にある。より具体的には、図示したように、前記突出部はマウスピースの長軸l1方向に同軸で延在している。突出部150は互いに等距離で離れたものとすることができるか、あるいは異なる距離で離れていることができる。いずれの場合も、突出間に存在するギャップ、すなわち空隙が空気流路として働いて、患者による医薬取り込みを促進する。
【0044】
図2A〜2Eにはそれぞれ、従来の経口吸入装置10の斜視図、側断面図、平面図、正面図および.底部断面図を示してある。
【0045】
図3A〜3Dには、本発明による経口吸入装置10′の1実施形態の各種図を示してある。図3Aおよび3Dに示したように、マウスピースの対向する両側に複数の突出部160があり、軸11方向に同軸的に延在している。
【0046】
図4A〜4Eには、本発明による経口吸入装置10′の別の実施形態を示してある。この場合、マウスピース50の外側表面の対向する両側に凹部(170で示されている)がある。図示のように、凹部170はマウスピース50の長軸11方向に延在している。
【0047】
図5には、本発明による経口吸入装置10′の別の実施形態の斜視図を示してある。図示していないが、吸入装置10′は図1B、2B、3Bおよび4Bに示したものと同様の内部部材を有することができる。ただし、他の構成も用いることが可能である。図5について説明すると、2つの開口部(290で示したもの)がマウスピース50の対向する両側に存在し、マウスピース50の長軸11方向に延在している。図5に実施形態を示してはいるが、強調すべき点として、マウスピースには他の数の開口が存在していても良く、図5に示したものと異なる構成でも同様の構成であっても良い。
【0048】
本発明によって構築されたDPIの1実施形態を図6に示してあり、10″で示した。DPI 10″は米国特許第4811731号に記載されている。要約すると、吸入装置10″には、4つの主要な構成要素、すなわち筐体300、トレー310、回転支持体320およびカバー330がある。トレーの正面からマウスピース50が延在しており、患者が吸入を行うと、それを通って医薬が装置を出る。図6に示したように、開口300が存在し、マウスピース50の長さ方向に延在している。この図からは見ることはできないが、第2の開口部がマウスピース50の反対側に存在していても良い。
【0049】
図7には、本発明による経口吸入装置10′を用いる患者の側面図を示してある。より具体的には、この実施形態では、複数の突出部150が図1A〜1Dに示した実施形態と同様のマウスピース50上に存在する。本発明によれば、患者の口腔に対して突出部150が存在することで、マウスピースの外側表面と患者との間に空隙を生じさせることができる。従って、図7で矢印で示したように、空隙を通る空気流路が存在することで、患者による吸入装置からの医薬取り込みが促進される。そうして患者は、吸入装置の内側の空気流路や別のマウスピース構成要素を必要とせずに、用量投与時に自由に吸入を行うことができるという利点がある。
【0050】
以上、上記に記載の実施形態に関して本発明を詳細に説明した。しかしながら、理解すべき点として、そのような実施形態は専ら説明を目的として記載されたものであり、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するのに用いられるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1A】本発明による経口吸入装置の斜視図である。
【図1B】本発明による経口吸入装置の側断面図である。
【図1C】本発明による経口吸入装置の平面図である。
【図1D】本発明による経口吸入装置の正面図である。
【図2A】従来の経口吸入装置の斜視図である。
【図2B】従来の経口吸入装置の側断面図である。
【図2C】従来の経口吸入装置の平面図である。
【図2D】従来の経口吸入装置の正面図である。
【図2E】従来の経口吸入装置の底断面図である。
【図3A】本発明による経口吸入装置の斜視図ある。
【図3B】本発明による経口吸入装置の側断面図である。
【図3C】本発明による経口吸入装置の平面図である。
【図3D】本発明による経口吸入装置の正面図である。
【図4A】本発明による経口吸入装置の斜視図である。
【図4B】本発明による経口吸入装置の側断面図である。
【図4C】本発明による経口吸入装置の平面図である。
【図4D】本発明による経口吸入装置の正面図である。
【図4E】本発明による経口吸入装置の底断面図である。
【図5】本発明による経口吸入装置の斜視図である。
【図6】本発明による乾燥粉末吸入装置の斜視図である。
【図7】本発明による経口吸入装置を用いる患者の側面図である。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2002年12月18日出願の仮出願第60/434517号(参照によってその全内容が本明細書に組み込まれる)に対する優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、患者に医薬を送達するためのシステムおよびそれの使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
流体媒体中の医薬を経口で送達するための各種システムが当業界では広く知られている。例としては、通常は推進剤と組み合わせて1種類以上の医薬を送達するエアロゾルシステム(例:一般にMDIとして知られる計量式吸入装置)ならびに乾燥粉末製剤を用いるシステム(例:一般にDPIとして知られる乾燥粉末吸入装置)などの経口吸入装置などがある。経口吸入装置に関しては、広くは治療薬、予防薬および診断薬などの医薬を、肺に局所的に、あるいは病気および他の状態の治療、予防もしくは診断のために肺を経由して全身に送達することができる。例としてMDIは、医薬とともに製剤された圧縮低沸点液体推進剤の貯留部を有するエアロゾル送達システムである。吸入装置は、計量された用量の医薬製剤を送達して、吸入可能な微粒子雲すなわち煙条としてその用量を投薬するように設計されている。
【0004】
患者に対して医薬用量を投薬するため、吸入装置には通常は、患者とのインターフェースがある。そのインターフェースは通常、患者が口中に挿入するマウスピースの形態のものである。多くの吸入装置、特には肺への投薬用のものでは、多くの場合で用量送達時に患者が吸入を行う必要がある。指示通り使用する場合には、従来の経口吸入装置では通常、マウスピース周囲で実質的に密閉されたインターフェースになる。従って、ほとんどの部分において患者による吸入によって発生する空気流が装置自体(少なくともそれの一部)を通り抜ける。従来の吸入装置の構成を考慮すると、装置を通過する空気流を完全、実質的または部分的に制限することが望ましいと考えられる。
【0005】
例えば、底部付近のマウスピースの内側の領域を閉鎖して、吸入装置の内部構成要素を封入することが望ましい場合がある。別の例として、吸入装置本体の外側表面上の空気流導入口を外すことにより使用時に患者の手がそれを覆うのを防いだり、あるいは吸入装置の内部構成要素を保護することが望ましい場合がある。従って、吸入装置を通過する空気流路を必要とせずに、用量送達時に患者が自由に吸入を行うことができる吸入装置マウスピースが必要とされている。
【0006】
ある場合において、患者は口から所定の距離(例:数インチ)でMDIを保持し、吸入装置の発射を行う。結果として、空気流はほとんど装置を通過せず、全ての空気流は口のすぐ周囲からのものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この「開放口法」では、吸入装置の方向や照準が定まらず、患者間の変動が大きくなる。従って、そのような技術は不利である。開放口法に関する参考資料の例には下記のものがある。
【0008】
http://www.aaaai.org/patients/publicedmat/tips/inhaledmedications.stm
http://www.asthma-education.com/howto01.html
http://www.uhn.ca/programs/asthma/Pages/inhalecare.html
http://www.starbriaht.org/schoolasthma/pdf/mdi white paper.pdf
http://www.keepkidshealthy.com/asthma/using a mdi.html
http://shs.unc.edu/medservices/specialty services/asthma/inhaler.html
http://www.asthmacentre.com/manual/openmdi.html。
【0009】
吸入装置を通過する空気流は煙条に影響を与える可能性があることから、医薬用量の堆積プロファイルにも影響し得る。意図的であれ偶発的であれ、吸入装置の用量送達通路での空気流は通常は、用量送達時に煙条と相互作用する。通常は、各用量からの医薬の一部が標的(例:肺、鼻道など)、吸入装置上の一部および患者の標的外領域(例:中咽頭など)上の一部の上に堆積する。通常は、装置および患者の標的外領域上への望ましくない堆積を最小限としながら、所期の標的上に堆積する各用量の量を最大とすることが望ましい。従って、望ましくない堆積を低減するように空気流の流路を構成することが望ましいと考えられる。
【0010】
この問題を扱う試みが、WO 00/50112によって提案されている。詳細にはWO 00/50112は、バルブ軸が投薬位置にある時にノズルブロックのオリフィス付近で患者吸入による空気流を妨げるように構築および配置されたアクチュエータを有する加圧計量式吸入装置に関するものである。WO 00/50112には、そのような設計によって、医薬の望ましくない中咽頭での堆積が低減され、肺に到達する医薬の相対量が増えることが開示されている。WO 00/50112の内容に関して利点があったとしても、そのような設計では、吸入装置とともに用いるための別の構造的構成要素が必要になると考えられている。
【0011】
そこでやはり、現在当業界で実際に行われている比較的簡単な方法で医薬送達装置を改良することで、別の空気流構成を提供することが当業界で必要とされている。MDIおよびDPIなど(これらに限定されるものではない)などの非常に多様な経口吸入装置で用いるのに、そのような構成が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
1態様において本発明は、患者への医薬製剤の送達に好適な経口吸入装置を提供する。その吸入装置は、少なくとも1種類の医薬が含まれる医薬製剤を有する容器;ならびに患者が口で銜えて前記容器と連通する構造のマウスピースを有し、前記マウスピースが内側表面および外側表面を有する。有利にはマウスピースの外側表面は、少なくとも1個の長手方向に延在する不均一部を有していることで、患者がマウスピースを銜えると、少なくとも1個の空隙がマウスピースの外側表面と患者との間に形成されて、前記少なくとも1個の空隙を通る空気流路が提供されて、患者による前記少なくとも1種類の医薬の吸入が促進されるようになっている。従って患者は用量送達時に自由に吸入することができ、吸入装置の内部に空気流路がある必要はない。
【0013】
別の態様において本発明は、少なくとも1種類の医薬を患者に投与する方法を提供する。その方法には、本明細書で定義の経口吸入装置を提供する段階ならびにその経口吸入装置を駆動させて少なくとも1種類の医薬を患者に送達する段階を有する。
【0014】
本発明の上記および他の態様および利点について本明細書で説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
添付の図面を含む本明細書に記載の実施形態(それらに限定されるものではない)との関連で本発明を説明する。理解しておくべき点として、それらの実施形態は専ら本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0016】
上記および下記のいずれであるかを問わず、本明細書で引用のあらゆる刊行物、特許および特許出願が、あたかも各個々の刊行物、特許または特許出願が具体的かつ個別に参照によって組み込まれるよう指定されたものと同程度に、参照によって全体が本明細書に組み込まれるものとする。
【0017】
留意すべき点として、本明細書および添付の特許請求の範囲で用いているように、単数形「一つ」、「1個」および「その」という表現は、文脈において他の意味が明瞭に示されていない限りは複数の指示対象を含むものである。
【0018】
1態様において本発明は、患者への医薬製剤の送達に好適な経口吸入装置を提供する。その吸入装置は、少なくとも1種類の医薬が含まれる医薬製剤を有する容器;ならびに患者が口で銜えて前記容器と連通する構造のマウスピースを有し、前記マウスピースが内側表面および外側表面を有する。有利にはマウスピースの外側表面は、少なくとも1個の長手方向に延在する不均一部を有していることで、患者がマウスピースを銜えると、少なくとも1個の空隙がマウスピースの外側表面と患者との間に形成されて、前記少なくとも1個の空隙を通る空気流路が提供されて、患者による前記少なくとも1種類の医薬の吸入が促進されるようになっている。従って患者は、吸入装置の内部の空気流路や別のマウスピース構成要素の必要なく、用量送達時に自由に吸入することができる。
【0019】
本発明に関して、さらには本明細書に詳細に記載しているように、このシステムは計量式吸入装置(MDI)および乾燥粉末吸入装置(DPI)など(それらに限定されるものではない)の非常に多様な吸入装置を包含することができる。そのような吸入装置および吸入装置構成要素の例は、同一出願人による米国特許第4364923号;6309624号;4335121号;6251368号;5676929号;5674471号;5290815号;5126375号;5225445号;4922474号;5674472号;5658549号;5270305号;6303103号;6309624号;6315173号;6170717号;6318603号;6238647号;6119853号;6315112号;6179118号;6149892号;6253762号;6131566号;6143277号;5590645号;5860419号;5873360号;6032666号;および6378519号;ならびに米国特許出願第09/925214号および10/022072号(これらの開示内容は、参照によって全て本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0020】
本発明に関して「長手方向に延在する不均一部」という用語は、例えばマウスピースの長さ方向に延びるマウスピースの外側表面における変化、変更、非一貫性、穴または乱れを指す。「不均一部」の構成は、吸入装置またはマウスピースの設計に応じて変わる。好ましい実施形態では、複数の不均一部が、マウスピースの軸周囲に対称に分布している。本発明によれば、不均一部が存在することで、患者の口腔の接触表面とマウスピースの外側表面との間に空隙が生じて、そこを通る空気流路が形成される。
【0021】
この不均一部は、多様な形態で存在することができる。そのような形態には、外側表面での突出部、凹部または開口部などがあるが、それらに限定されるものではない。そのような不均一部の組合せを用いることもできる。
【0022】
本発明に関して、「突出部」という用語は、マウスピースの外側表面から外向きに延在するリブなどの突起部分を指す。「凹部」という用語は、マウスピースの外側表面における陥凹部を指す。「開口部」という用語は、マウスピースの表面が遮られておらず、医薬送達システムの外部の環境がマウスピースの内側表面によって画定される内側空隙部に直接露出されるようになっていることを指す。理解すべき点として、1個の突出部、凹部または開口部を用いることができるか、あるいは複数の突出部、凹部および/または開口部を用いることができる。
【0023】
前記不均一部は、マウスピースの長軸方向で各種長さで延在することができ、適切であると思われる通りに選択することが可能である。例えば1実施形態において、不均一部はマウスピースの長さ全体にわたって延在することができる。他のそれより短い長さも想到される。すなわち不均一部は長軸の一部にわたって延在するものであることができる。
【0024】
複数の不均一部を用いる場合、それらの間の距離は所望に応じて変えることができる。例として1実施形態では、不均一部は互いに等距離離れたものとすることができる。逆に、個々の不均一部間の距離は等しくないようにすることもできる。
【0025】
不均一部は、マウスピースの外側表面領域に沿っていかなる数の位置でも存在することができ、それにはマウスピースの頂部、底部および対向する両側部などが含まれる。例として1実施形態では、複数の不均一部を用いる場合に、所定数のそのような不均一部が互いに対向して存在することができ、例えば頂部と底部、あるいは両側部にあっても良い。特定の実施形態では、マウスピースの対向する側部に等しい数の不均一部があっても良い。さらに、それらの不均一部は隣接する外側表面部分上に存在しても良く、例えば1実施形態では頂部と側部、あるいは別の実施形態では底部と側部である。さらに別の実施形態では、不均一部はマウスピースの外側表面全体に、すなわち頂部、底部および側部に存在することができる。
【0026】
「容器」という用語は、医薬製剤を保持するための各種貯蔵器を指す。そのような容器の例には、MDI用のエアロゾル製剤と組み合わせて用いられるものなどの圧力に耐えることができる缶などがあるが、それに限定されるものではない。DPIに関しては、容器の例には、乾燥粉末医薬製剤と組み合わせて使用される剥離式ブリスタ包装に通常存在するものなどのポケットまたはポケット様構造などがあるが、それらに限定されるものではない。通常、容器は当業者には公知の材料、例えばポリマー、金属およびガラスなどから形成することができる。
【0027】
本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、本明細書に記載の装置とともに、他の補助構成を用いることができる。そのような補助構成には例えば、スペーサなどがある。
【0028】
製剤化して投与することができる医薬には、吸入療法で使用される各種薬剤などがあるが、それらに限定されるものではない。適切な医薬は、例えば鎮痛薬(例:コデイン、ジヒドロモルヒネ、エルゴタミン、フェンタニルまたはモルヒネ);狭心症薬(例:ジルチアゼム);抗アレルギー薬(例:クロモグリク酸化合物、ケトチフェンまたはネドクロミル);抗感染薬(例:セファロスポリン類、ペニシリン類、ストレプトマイシン類、スルホンアミド類、テトラサイクリン類およびペンタミジン);抗ヒスタミン薬(例:メタピリレン);抗炎症剤(例:ジプロピオン酸ベクロメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、フルニソリド、ブデソニド、ロフレポニド(rofleponide)、フロン酸モメタゾン(mometasone)、シクレソニド(ciclesonide)、トリアムシノロンアセトニドまたは6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17α−プロピオニルオキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−(2−オキソテトラヒドロ−フラン−3−イル)エステル);鎮咳薬(例:ノスカピン);アルブテロール(例:硫酸塩として)、サルメテロール(例:キシナホ酸塩として)、エフェドリン、アドレナリン、フェノテロール(例:臭化水素酸塩として)、ホルモテロール(例:フマル酸塩として)、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール(例:酢酸塩として)、レプロテロール(例:塩酸塩として)、リミテロール、テルブタリン(例:硫酸塩として)、イソエタリン、ツロブテロールまたは4−ヒドロキシ−7−[2−[[2−[[3−(2−フェニルエトキシ)プロピル]スルホニル]エチル]アミノ]エチル−2(3H)−ベンゾチアゾロンなどの気管支拡張薬;利尿薬(例:アミロリド);抗コリン作働薬(例えば、イプラトロピウム(例:臭化物として)、チオトロピウム(tiotropium)、アトロピンまたはオキシトロピウム(oxitropium));ホルモン類(例:コルチゾン、ハイドロコルチゾンまたはプレドニゾロン);キサンチン類(例:アミノフィリン、コリン・テオフィリネート、リジンテオフィリネートまたはテオフィリン);治療用タンパク質およびペプチド(例:インシュリン)から選択することができる。当業者には、適宜に医薬を、塩の形で(例:アルカリ金属塩またはアミン塩あるいは酸付加塩として)、またはエステルとして(例:低級アルキルエステル)、または溶媒和物として(例:水和物)用いて、その医薬の活性および/または安定性を至適化することができることは明らかであろう。さらに、適切であれば医薬を純粋な形で(例えば、R-サルブタモールまたはRR-ホルモテロール)で用いることが可能なことは、当業者には明らかであろう。
【0029】
本発明による医薬製剤を用いて投与するのに特に好ましい医薬には、吸入療法によって喘息などの呼吸器障害の治療において用いられる抗アレルギー薬、気管支拡張薬および抗炎症ステロイド類などがあり、それには例えばクロモグリク酸化合物(例:ナトリウム塩として)、サルブタモール(例:遊離塩基または硫酸塩として)、サルメテロール(例:キシナホ酸塩として)、ホルモテロール(例:フマル酸塩として)、テルブタリン(例:硫酸塩として)、レプロテロール(例:塩酸塩として)、ベクロメタゾンエステル(例:ジプロピオン酸塩として)、フルチカゾンエステル(例:プロピオン酸エステル)がある。勃起不全治療で有用な医薬(例:アルプロスタジルおよびクエン酸シルデナフィルとともにバルデナフィル(登録商標;GlaxoSmithKline, Research Triangle Park, North Carolina)で用いられるものなどのPDE-V阻害薬)も用いることができる。
【0030】
サルメテロール(特にはキシナホ酸サルメテロール)、サルブタモール(特には硫酸サルブタモール)、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾンならびにそれらの生理的に許容される塩および溶媒和物が特に好ましい。
【0031】
本発明による製剤が、所望に応じて2種類以上の有効成分の組合せを含むことが可能であることは、当業者には明らかであろう。2種類の有効成分を含む組成物は、喘息などの呼吸器障害の治療において知られており、例えばホルモテロール(例:フマル酸塩として)とブデゾニド、サルメテロール(例:キシナホ酸塩として)とフルチカゾン(例:プロピオン酸エステルとして)、サルブタモール(例:遊離塩基もしくは硫酸塩として)とベクロメタゾン(ジプロピオン酸エステルとして)が好ましい。
【0032】
特に好ましい組合せは、プロピオン酸フルチカゾンとサルメテロールまたはそれの塩(特にはキシナホ酸塩)の組合せである。理解すべき点として、前記投薬システムと組み合わせて用いることができる医薬は本明細書に記載のものに限定されるものではない。
【0033】
前記経口吸入装置は、各種の許容される形で操作することができる。例えばMDIに関して1実施形態では、缶をアクチュエータ中に押し込む。その缶の動きによって、計量バルブが個々の用量を形成する一定容量の流体を計量することになる。計量された用量の流体はバルブ軸、ノズルおよびマウスピース、すなわちマウスピースに入り、そこを通過する。缶および計量チャンバの加圧環境を解除すると、流体の推進剤成分が膨張して、その用量がユーザーに運ばれる。
【0034】
DPIは、患者がDPIマウスピースを口で銜え、それを介して空気を吸い込むことで用いることができる。患者がマウスピースから吸入を行うと、1用量の医薬製剤が入ったポケットを通って空気が流れ、最後にマウスピースを通って出るが、その際に粉末を同伴することから、患者にその用量が運ばれる。
【0035】
本発明に従って用いることができるDPI構成要素の各種実施形態が、米国特許第5590645号;5860419号;5873360号;6032666号;6378519号ならびに米国特許出願第09/925214号および10/022072号に記載されている。そのような実施形態には、グラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKline, Research Triangle Park, North Carolina)によって市販されているDISKUS(登録商標)吸入装置が含まれる。より具体的には、そのような実施形態ではDPIには、互いに固定された2枚の剥離可能なシートの長さ方向に間隔を設け、それらの間で画定された乾燥粉末医薬製剤を保持する容器(例:ポケット)を有する医薬パックがある。DPIには、(1)装置内で用いられる医薬パックの容器を収容する開放ステーション、(2)開放ステーションに収容された容器の剥離可能シートと噛み合うことで剥離可能シートを剥がして容器を開けるよう配置された手段、ならびに(3)開放された容器と連通するよう配置された出口であって、そこから粉末形態での医薬をユーザーが開放された容器などから吸入できる出口がある。
【0036】
本発明に包含されるDPIの他の実施形態には、米国特許第4627432号;4811731号;5035237号;4778054号;およびDes299066に記載のものなどがる。そのような実施形態には、グラクソ・スミスクラインが市販しているROTODISK(登録商標)吸入装置が包含される。特に、そのような装置は、筐体;その筐体に取り付けられ、筐体に対して第1および第2の位置の間で移動可能なトレー;トレー上に設けられ、少なくとも1個の医薬容器を有するキャリアを受け入れるように作製されている支持ディスクを有することができる。登録された容器を貫通して容器を開けるよう動作可能なプランジャーを存在させても良い。
【0037】
MDIに関する実施形態では、本発明の缶で用いるのに好ましい製剤は、少なくとも1種類の医薬および少なくとも1種類の推進剤を含む。本発明に関して、「推進剤」という用語は、沸点がほぼ室温(25℃)〜約-25℃である薬理的に不活性な液体であって、単独もしくは組合せで室温にて高い蒸気圧を示す液体を意味し、フレオンおよびヒドロフルオロカーボン類などのCFC類等がある。本発明で使用される推進剤は、低沸点フルオロカーボン類、特にはヒドロフルオロカーボン類またはヒドロフルオロアルカン類である。好ましい推進剤の例には、C1-4ヒドロフルオロアルカン(例:1,1,1,2-テトラフルオロエタンおよび1,1,1,2,3,3,3-n-ヘプタフルオロプロパン)またはそれらの推進剤としての混合物などがあるが、これらに限定されるものではない。他の推進剤を用いることができ、それにはCO2(例:液体CO2)と併用したアルカン類(例:ブタンおよびプロパン)などがある。
【0038】
DPIに関して、そこから投与される乾燥粉末医薬製剤には、1以上の医薬以外に、少なくとも1種類の成分を含んでいても良い。そのような成分には、賦形剤(例:乳糖、ショ糖、D-マニトール、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロースおよび軽無水ケイ酸)、滑沢剤(例:ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルクおよびコロイド状シリカ)、結合剤(例:結晶セルロース、ショ糖、D-マニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン、ゼラチン、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム)、崩壊剤(例:デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルデンプンナトリウムおよびL-ヒドロキシプロピルセルロース)、溶媒(例:水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール類、ゴマ油、トウモロコシ油およびオリーブ油)、可溶化剤(例:ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D-マニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウムおよびクエン酸ナトリウム)などがあるが、これらに限定されるものではない。共溶媒を用いることもでき、それにはC1〜C4アルコール類(例:メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール)などがあるが、これらに限定されるものではない。上記成分のいずれかの混合物も用いることができる。
【0039】
別の態様において本発明は、少なくとも1種類の医薬を患者に投与する方法を提供する。その方法は、本明細書で定義の経口吸入装置を提供する段階;ならびにその経口吸入装置を駆動させて前記少なくとも1種類の医薬を患者に投与する段階を有する。そのような駆動は、本明細書に記載の実施形態に従って行うことができる。ただし理解すべき点として、他の技術も使用可能である。
【0040】
以下、添付の図面を参照しながら本発明について説明する。理解すべき点として、これら図面は専ら本発明を説明するためのものであり、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものではない。
【0041】
図1A〜1Dはそれぞれ、本発明による経口吸入装置10′の1実施形態の斜視図、側断面図、平面図および正面図を示す。吸入装置10′は好ましくはMDIとして存在する。図示のように、吸入装置10′には、缶40を受け入れるように作製された空洞部30を有する筐体20がある。缶40には、室温でガス状である加圧液体推進剤とともに懸濁液もしくは溶液での所定量の医薬が入っている。内壁70、開放(遠位)端80および後壁もしくは第2の開放端(不図示)のあるチャンバ60を有するマウスピース50もある。筐体20およびマウスピース50は一体構造物であることができるか、あるいはワンピース構成物のものであることができる。
【0042】
図1Bには、吸入装置10′の断面図を示してある。図示のように、缶40には、1用量の加圧液体医薬を計量するための計量用部材90(例:バルブ)がある。計量用部材90は、マウスピース50と連通している。計量用部材90に連通した計量用量を放出するためのバルブ軸100もある。筐体にはさらに、バルブ軸100と係合するためのバルブ軸座115、バルブ軸100と流体連通する膨張チャンバ120および膨張チャンバ120と流体連通するノズルチャンネル130を有するノズルブロック110がある。ノズルチャンネル130は、一端に出口オリフィスまたはノズル140を有する。図1Bに示したように、ノズル140は導路の開放端と位置合わせされている。計量バルブ、膨張チャンバおよびノズルの1実施形態を図1Bに示した。しかしながら、理解すべき点として、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、この実施形態からの多くの逸脱が可能である。
【0043】
図1Aにある斜視図で示されているように、複数の突出部(例:リブ)150が吸入装置マウスピース50の外側表面の頂部、底部および対向する両側にある。より具体的には、図示したように、前記突出部はマウスピースの長軸l1方向に同軸で延在している。突出部150は互いに等距離で離れたものとすることができるか、あるいは異なる距離で離れていることができる。いずれの場合も、突出間に存在するギャップ、すなわち空隙が空気流路として働いて、患者による医薬取り込みを促進する。
【0044】
図2A〜2Eにはそれぞれ、従来の経口吸入装置10の斜視図、側断面図、平面図、正面図および.底部断面図を示してある。
【0045】
図3A〜3Dには、本発明による経口吸入装置10′の1実施形態の各種図を示してある。図3Aおよび3Dに示したように、マウスピースの対向する両側に複数の突出部160があり、軸11方向に同軸的に延在している。
【0046】
図4A〜4Eには、本発明による経口吸入装置10′の別の実施形態を示してある。この場合、マウスピース50の外側表面の対向する両側に凹部(170で示されている)がある。図示のように、凹部170はマウスピース50の長軸11方向に延在している。
【0047】
図5には、本発明による経口吸入装置10′の別の実施形態の斜視図を示してある。図示していないが、吸入装置10′は図1B、2B、3Bおよび4Bに示したものと同様の内部部材を有することができる。ただし、他の構成も用いることが可能である。図5について説明すると、2つの開口部(290で示したもの)がマウスピース50の対向する両側に存在し、マウスピース50の長軸11方向に延在している。図5に実施形態を示してはいるが、強調すべき点として、マウスピースには他の数の開口が存在していても良く、図5に示したものと異なる構成でも同様の構成であっても良い。
【0048】
本発明によって構築されたDPIの1実施形態を図6に示してあり、10″で示した。DPI 10″は米国特許第4811731号に記載されている。要約すると、吸入装置10″には、4つの主要な構成要素、すなわち筐体300、トレー310、回転支持体320およびカバー330がある。トレーの正面からマウスピース50が延在しており、患者が吸入を行うと、それを通って医薬が装置を出る。図6に示したように、開口300が存在し、マウスピース50の長さ方向に延在している。この図からは見ることはできないが、第2の開口部がマウスピース50の反対側に存在していても良い。
【0049】
図7には、本発明による経口吸入装置10′を用いる患者の側面図を示してある。より具体的には、この実施形態では、複数の突出部150が図1A〜1Dに示した実施形態と同様のマウスピース50上に存在する。本発明によれば、患者の口腔に対して突出部150が存在することで、マウスピースの外側表面と患者との間に空隙を生じさせることができる。従って、図7で矢印で示したように、空隙を通る空気流路が存在することで、患者による吸入装置からの医薬取り込みが促進される。そうして患者は、吸入装置の内側の空気流路や別のマウスピース構成要素を必要とせずに、用量投与時に自由に吸入を行うことができるという利点がある。
【0050】
以上、上記に記載の実施形態に関して本発明を詳細に説明した。しかしながら、理解すべき点として、そのような実施形態は専ら説明を目的として記載されたものであり、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するのに用いられるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1A】本発明による経口吸入装置の斜視図である。
【図1B】本発明による経口吸入装置の側断面図である。
【図1C】本発明による経口吸入装置の平面図である。
【図1D】本発明による経口吸入装置の正面図である。
【図2A】従来の経口吸入装置の斜視図である。
【図2B】従来の経口吸入装置の側断面図である。
【図2C】従来の経口吸入装置の平面図である。
【図2D】従来の経口吸入装置の正面図である。
【図2E】従来の経口吸入装置の底断面図である。
【図3A】本発明による経口吸入装置の斜視図ある。
【図3B】本発明による経口吸入装置の側断面図である。
【図3C】本発明による経口吸入装置の平面図である。
【図3D】本発明による経口吸入装置の正面図である。
【図4A】本発明による経口吸入装置の斜視図である。
【図4B】本発明による経口吸入装置の側断面図である。
【図4C】本発明による経口吸入装置の平面図である。
【図4D】本発明による経口吸入装置の正面図である。
【図4E】本発明による経口吸入装置の底断面図である。
【図5】本発明による経口吸入装置の斜視図である。
【図6】本発明による乾燥粉末吸入装置の斜視図である。
【図7】本発明による経口吸入装置を用いる患者の側面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に対して医薬製剤を送達する上で好適な経口吸入装置において、
少なくとも1種類の医薬が含まれる医薬製剤を有する容器、ならびに
患者が口で銜えて前記容器と連通する構造のマウスピースであって、内側表面および外側表面を有するマウスピースを有し;
前記マウスピースの前記外側表面は、少なくとも1個の長手方向に延在する不均一部を有していることで、前記患者が前記マウスピースを銜えると、少なくとも1個の空隙が前記マウスピースの前記外側表面と前記患者の口腔との間に形成されて、前記少なくとも1個の空隙を通る空気流路が提供されて、前記患者による前記少なくとも1種類の医薬の吸入が促進されるようになっていることを特徴とする経口吸入装置。
【請求項2】
前記少なくとも1個の長手方向に延在する不均一部が、少なくとも1個の突出部、少なくとも1個の凹部、前記マウスピースの前記外側表面での少なくとも1個の開口部ならびにそれらの組合せからなる群から選択される請求項1に記載の吸入装置。
【請求項3】
前記少なくとも1個の長手方向に延在する不均一部が複数の突出部を有する請求項1に記載の吸入装置。
【請求項4】
前記複数の突出部が互いに等距離で離れている請求項3に記載の吸入装置。
【請求項5】
前記複数の突出部が、前記マウスピースの異なる側面に沿って互いに対向して存在している請求項3に記載の吸入装置。
【請求項6】
前記突出部が、前記マウスピースの前記外側表面全体に存在する請求項3に記載の吸入装置。
【請求項7】
前記少なくとも1個の突出部が、1個の突出部として存在する請求項3に記載の吸入装置。
【請求項8】
前記少なくとも1個の長手方向に延在する不均一部が複数の凹部を有する請求項1に記載の吸入装置。
【請求項9】
前記複数の凹部が、前記マウスピースの対向する側面に沿って互いに対向して存在する2個の凹部を有する請求項8に記載の吸入装置。
【請求項10】
前記長手方向に延在する不均一部が、少なくとも1個の開口部として存在する請求項1に記載の吸入装置。
【請求項11】
前記少なくとも1個の開口部が複数の開口部を有する請求項10に記載の吸入装置。
【請求項12】
前記複数の開口部が、それぞれが前記マウスピースの対向する側面に互いに対向して存在する2個の開口部を有する請求項11に記載の吸入装置。
【請求項13】
前記医薬製剤が少なくとも1個の医薬を含む請求項1に記載の吸入装置。
【請求項14】
前記少なくとも1種類の医薬が、鎮痛薬、狭心症製剤、抗感染薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、鎮咳薬、利尿薬、ホルモン類、治療用タンパク質およびペプチド、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される請求項13に記載の吸入装置。
【請求項15】
前記少なくとも1種類の医薬が硫酸アルブテロールを含む請求項13に記載の吸入装置。
【請求項16】
前記少なくとも1種類の医薬が、キシナホ酸サルメテロールを含む請求項13に記載の吸入装置。
【請求項17】
前記少なくとも1種類の医薬が、プロピオン酸フルチカゾンを含む請求項13に記載の吸入装置。
【請求項18】
前記少なくとも1種類の医薬が、ジプロピオン酸ベクロメタゾンを含む請求項13に記載の吸入装置。
【請求項19】
前記少なくとも1種類の医薬が、キシナホ酸サルメテロールおよびプロピオン酸フルチカゾンを含む請求項13に記載の吸入装置。
【請求項20】
前記吸入装置が計量式吸入装置である請求項1に記載の吸入装置。
【請求項21】
前記医薬製剤が、少なくとも1種類の医薬および少なくとも1種類の推進剤を含む医薬エアロゾル製剤である請求項20に記載の吸入装置。
【請求項22】
前記少なくとも1種類の推進剤がC1-4ヒドロフルオロアルカンである請求項21に記載の吸入装置。
【請求項23】
前記C1-4ヒドロフルオロアルカンが、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンおよびそれらの組合せからなる群から選択される請求項22に記載の吸入装置。
【請求項24】
前記吸入装置が乾燥粉末吸入装置である請求項1に記載の吸入装置。
【請求項25】
前記医薬製剤が、少なくとも1種類の医薬および少なくとも1種類の成分を含む乾燥粉末医薬製剤である請求項24に記載の吸入装置。
【請求項26】
前記少なくとも1種類の成分が、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、溶媒、可溶化剤、共溶媒およびこれらの混合物からなる群から選択される請求項25に記載の吸入装置。
【請求項27】
患者に医薬製剤を送達する経口吸入装置システムにおいて、前記吸入装置が、
少なくとも1種類の医薬が含まれる医薬製剤を有する容器であって、前記少なくとも1種類の医薬が鎮痛薬、狭心症製剤、抗感染薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、鎮咳薬、利尿薬、ホルモン類、治療用タンパク質およびペプチドならびにそれらの組合せからなる群から選択される容器ならびに
患者が口で銜えて前記容器と連通する構造のマウスピースであって、内側表面および外側表面を有するマウスピースを有し;
前記マウスピースの前記外側表面は、少なくとも1個の長手方向に延在する不均一部を有していることで、前記患者が前記マウスピースを銜えると、少なくとも1個の空隙が前記マウスピースの前記外側表面と前記患者との間に形成されて、前記少なくとも1個の空隙を通る空気流路が提供されて、前記患者による前記少なくとも1種類の医薬の吸入が促進されるようになっており;前記少なくとも1個の長手方向に延在する不均一部が、少なくとも1個の突出部、少なくとも1個の凹部、前記マウスピースの前記外側表面での少なくとも1個の開口部ならびにそれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする経口吸入装置システム。
【請求項28】
患者に少なくとも1種類の医薬を投与する方法において、請求項1に記載の吸入装置を提供する段階;ならびに該吸入装置を駆動させて前記少なくとも1種類の医薬を前記患者に投与する段階を有する方法。
【請求項29】
前記少なくとも1種類の医薬が、鎮痛薬、狭心症製剤、抗アレルギー薬、抗感染薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、鎮咳薬、利尿薬、ホルモン類、治療用タンパク質、ペプチド類、勃起不全治療用医薬ならびにそれらの組合せからなる群から選択される請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1種類の医薬が、フルチカゾン、ベクロメタゾン、サルメテロール、アルブテロール、イプラトロピウム、それらの塩、それらのエステル、それらの溶媒和物およびそれらの組合せからなる群から選択される請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも1種類の医薬が硫酸アルブテロールを含む請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも1種類の医薬がキシナホ酸サルメテロールおよびプロピオン酸フルチカゾンを含む請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記少なくとも1種類の医薬がプロピオン酸フルチカゾンを含む請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも1種類の医薬がジプロピオン酸ベクロメタゾンを含む請求項28に記載の方法。
【請求項1】
患者に対して医薬製剤を送達する上で好適な経口吸入装置において、
少なくとも1種類の医薬が含まれる医薬製剤を有する容器、ならびに
患者が口で銜えて前記容器と連通する構造のマウスピースであって、内側表面および外側表面を有するマウスピースを有し;
前記マウスピースの前記外側表面は、少なくとも1個の長手方向に延在する不均一部を有していることで、前記患者が前記マウスピースを銜えると、少なくとも1個の空隙が前記マウスピースの前記外側表面と前記患者の口腔との間に形成されて、前記少なくとも1個の空隙を通る空気流路が提供されて、前記患者による前記少なくとも1種類の医薬の吸入が促進されるようになっていることを特徴とする経口吸入装置。
【請求項2】
前記少なくとも1個の長手方向に延在する不均一部が、少なくとも1個の突出部、少なくとも1個の凹部、前記マウスピースの前記外側表面での少なくとも1個の開口部ならびにそれらの組合せからなる群から選択される請求項1に記載の吸入装置。
【請求項3】
前記少なくとも1個の長手方向に延在する不均一部が複数の突出部を有する請求項1に記載の吸入装置。
【請求項4】
前記複数の突出部が互いに等距離で離れている請求項3に記載の吸入装置。
【請求項5】
前記複数の突出部が、前記マウスピースの異なる側面に沿って互いに対向して存在している請求項3に記載の吸入装置。
【請求項6】
前記突出部が、前記マウスピースの前記外側表面全体に存在する請求項3に記載の吸入装置。
【請求項7】
前記少なくとも1個の突出部が、1個の突出部として存在する請求項3に記載の吸入装置。
【請求項8】
前記少なくとも1個の長手方向に延在する不均一部が複数の凹部を有する請求項1に記載の吸入装置。
【請求項9】
前記複数の凹部が、前記マウスピースの対向する側面に沿って互いに対向して存在する2個の凹部を有する請求項8に記載の吸入装置。
【請求項10】
前記長手方向に延在する不均一部が、少なくとも1個の開口部として存在する請求項1に記載の吸入装置。
【請求項11】
前記少なくとも1個の開口部が複数の開口部を有する請求項10に記載の吸入装置。
【請求項12】
前記複数の開口部が、それぞれが前記マウスピースの対向する側面に互いに対向して存在する2個の開口部を有する請求項11に記載の吸入装置。
【請求項13】
前記医薬製剤が少なくとも1個の医薬を含む請求項1に記載の吸入装置。
【請求項14】
前記少なくとも1種類の医薬が、鎮痛薬、狭心症製剤、抗感染薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、鎮咳薬、利尿薬、ホルモン類、治療用タンパク質およびペプチド、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される請求項13に記載の吸入装置。
【請求項15】
前記少なくとも1種類の医薬が硫酸アルブテロールを含む請求項13に記載の吸入装置。
【請求項16】
前記少なくとも1種類の医薬が、キシナホ酸サルメテロールを含む請求項13に記載の吸入装置。
【請求項17】
前記少なくとも1種類の医薬が、プロピオン酸フルチカゾンを含む請求項13に記載の吸入装置。
【請求項18】
前記少なくとも1種類の医薬が、ジプロピオン酸ベクロメタゾンを含む請求項13に記載の吸入装置。
【請求項19】
前記少なくとも1種類の医薬が、キシナホ酸サルメテロールおよびプロピオン酸フルチカゾンを含む請求項13に記載の吸入装置。
【請求項20】
前記吸入装置が計量式吸入装置である請求項1に記載の吸入装置。
【請求項21】
前記医薬製剤が、少なくとも1種類の医薬および少なくとも1種類の推進剤を含む医薬エアロゾル製剤である請求項20に記載の吸入装置。
【請求項22】
前記少なくとも1種類の推進剤がC1-4ヒドロフルオロアルカンである請求項21に記載の吸入装置。
【請求項23】
前記C1-4ヒドロフルオロアルカンが、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンおよびそれらの組合せからなる群から選択される請求項22に記載の吸入装置。
【請求項24】
前記吸入装置が乾燥粉末吸入装置である請求項1に記載の吸入装置。
【請求項25】
前記医薬製剤が、少なくとも1種類の医薬および少なくとも1種類の成分を含む乾燥粉末医薬製剤である請求項24に記載の吸入装置。
【請求項26】
前記少なくとも1種類の成分が、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、溶媒、可溶化剤、共溶媒およびこれらの混合物からなる群から選択される請求項25に記載の吸入装置。
【請求項27】
患者に医薬製剤を送達する経口吸入装置システムにおいて、前記吸入装置が、
少なくとも1種類の医薬が含まれる医薬製剤を有する容器であって、前記少なくとも1種類の医薬が鎮痛薬、狭心症製剤、抗感染薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、鎮咳薬、利尿薬、ホルモン類、治療用タンパク質およびペプチドならびにそれらの組合せからなる群から選択される容器ならびに
患者が口で銜えて前記容器と連通する構造のマウスピースであって、内側表面および外側表面を有するマウスピースを有し;
前記マウスピースの前記外側表面は、少なくとも1個の長手方向に延在する不均一部を有していることで、前記患者が前記マウスピースを銜えると、少なくとも1個の空隙が前記マウスピースの前記外側表面と前記患者との間に形成されて、前記少なくとも1個の空隙を通る空気流路が提供されて、前記患者による前記少なくとも1種類の医薬の吸入が促進されるようになっており;前記少なくとも1個の長手方向に延在する不均一部が、少なくとも1個の突出部、少なくとも1個の凹部、前記マウスピースの前記外側表面での少なくとも1個の開口部ならびにそれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする経口吸入装置システム。
【請求項28】
患者に少なくとも1種類の医薬を投与する方法において、請求項1に記載の吸入装置を提供する段階;ならびに該吸入装置を駆動させて前記少なくとも1種類の医薬を前記患者に投与する段階を有する方法。
【請求項29】
前記少なくとも1種類の医薬が、鎮痛薬、狭心症製剤、抗アレルギー薬、抗感染薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、鎮咳薬、利尿薬、ホルモン類、治療用タンパク質、ペプチド類、勃起不全治療用医薬ならびにそれらの組合せからなる群から選択される請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1種類の医薬が、フルチカゾン、ベクロメタゾン、サルメテロール、アルブテロール、イプラトロピウム、それらの塩、それらのエステル、それらの溶媒和物およびそれらの組合せからなる群から選択される請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも1種類の医薬が硫酸アルブテロールを含む請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも1種類の医薬がキシナホ酸サルメテロールおよびプロピオン酸フルチカゾンを含む請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記少なくとも1種類の医薬がプロピオン酸フルチカゾンを含む請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも1種類の医薬がジプロピオン酸ベクロメタゾンを含む請求項28に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6】
【図7】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6】
【図7】
【公表番号】特表2006−511297(P2006−511297A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−565190(P2004−565190)
【出願日】平成15年12月4日(2003.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2003/038483
【国際公開番号】WO2004/060260
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年12月4日(2003.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2003/038483
【国際公開番号】WO2004/060260
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
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