説明

ベーマイトの用途

【課題】ベーマイトの特性を利用し、ベーマイトの有用な用途を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、ベーマイトからなる被充填物に充填される補強材、難燃剤、光輝材、耐火材、増粘剤、滑材、塗工用内填材、インク受理材、熱伝導用・制動材用・線膨張制御用・ガスバリア用の各フィラーに関する。本発明は、ベーマイトからなる触媒担体、電気伝導フィラー母材、耐火物又は耐熱材料、高純度アルミナ用・易焼結性アルミナ用、セラミックス用・湿度センサー用・分離膜用・フィルター用、エレクトロニクス素子用・蛍光材料用の各原料、吸油材又は吸水材、指紋採取粉、発色性向上材に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベーマイトの特性を利用したその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ベーマイトは、AlO(OH)又はAl2O3・H2Oの化学組成で示され、一般的にアルミナ3水和物を空気中で加熱処理又は水熱処理することにより製造される化学的に安定なアルミナ1水和物である。ベーマイトは、脱水温度が450〜530℃と高く、製造条件を調整することにより板状ベーマイト(特許文献1参照)、針状ベーマイト(特許文献2参照)、六角板状ベーマイト(特許文献3参照)など種々の形状に制御できる。また、製造条件を調整することにより、アスペクト比や粒径の制御ができる。したがって、ベーマイトは、その特性を利用することにより様々な用途に供することが可能である。
【0003】
【特許文献1】特開平6−263437号公報
【特許文献2】特開2000−239014号公報
【特許文献3】特開2003−002642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ベーマイトの特性を利用し、ベーマイトの有用な用途を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ベーマイトからなる被充填物に充填される補強材に関する。本発明は、ベーマイトからなる被充填物に充填される難燃剤に関する。本発明は、ベーマイトからなる被充填物に充填される光輝材に関する。本発明は、ベーマイトからなる被充填物に充填される耐火材に関する。本発明は、ベーマイトからなる被充填物に充填される増粘剤に関する。本発明は、ベーマイトからなる被充填物に充填される滑材に関する。本発明は、ベーマイトからなる被充填物に充填される塗工用内填材に関する。本発明は、ベーマイトからなる被充填物に充填されるインク受理材に関する。本発明は、ベーマイトからなる触媒担体に関する。本発明は、ベーマイトからなる電気伝導フィラー母材に関する。本発明は、熱伝導用・制動材用・線膨張制御用・ガスバリア用の各フィラーに関する。本発明は、ベーマイトからなる耐火物又は耐火材料に関する。本発明は、ベーマイトからなる高純度アルミナ用・易焼結性アルミナ用・セラミックス用・湿度センサー用・分離膜用・フィルター用・エレクトロニクス素子用・蛍光材料用の各原料に関する。本発明は、ベーマイトからなる吸油材又は吸水材に関する。本発明は、ベーマイトからなる指紋採取粉に関する。本発明は、ベーマイトからなる発色性向上材に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、被充填物に充填することによりベーマイトの特性を活用して被充填物に機能性を付与できるので有用である。また、本発明は、様々な機能性を付与できる原料、資材として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
ベーマイトは、被充填物に充填し補強材として用いることができる。被充填物は、プラスチック、ゴム又は塗料が好適であるがこれらに限定されない。ベーマイトのアスペクト比を制御することによりアスペクト比を高くでき、またベーマイトは微細かつ均一な粒子径で被充填物への分散性が良くなるので、被充填物の補強材として有用である。
【0008】
ベーマイトは、被充填物に充填し難燃剤として用いることができる。被充填物は、プラスチック、ゴム又は塗料が好適であるがこれらに限定されない。ベーマイトは、15%の水分を持ち難燃効果があり、脱水温度が高く、成形温度や使用温度が高い樹脂などの被充填物に対しても使用できる。特に成形温度の高いエンジニアリングプラスチックや使用環境温度の高いエポキシ樹脂などのような熱硬化性樹脂に適している。また、ベーマイトは、耐酸性、耐薬品性が高いので、耐酸性や耐薬品性が要求される被充填物の難燃剤として有用である。
【0009】
ベーマイトは、被充填物に充填し光輝材として用いることができる。被充填物は、プラスチック、塗料、化粧品、紙が好適であるがこれらに限定されない。ベーマイトは、アスペクト比が高く、光輝性がある上、屈析率が比較的低く透明感があるので、被充填物の光輝材として有用である。ベーマイトの中でも、板状ベーマイトが好適である。
【0010】
ベーマイトは、被充填物に充填し耐火材として用いることができる。被充填物は、鉄骨、木工、紙が好適であるがこれらに限定されない。ベーマイトは、15%の水分を持ち冷却効果があり、板状ベーマイトや針状ベーマイトは垂れ落ち防止効果があるので、被充填物の耐火材として有用である。
【0011】
ベーマイトは、被充填物に充填し増粘剤として用いることができる。被充填物は、プラスチック、ゴム、塗料が好適であるがこれらに限定されない。板状ベーマイトは、粘度を上げる効果があり、アスペクト比を制御することで粘度調整できるので、被充填物の増粘剤として有用である。
【0012】
ベーマイトは、被充填物に充填し滑材として用いることができる。被充填物は、化粧品が好適であるがこれらに限定されない。板状ベーマイトは、滑性があり、また水酸基を持ち肌への密着感が良いので、被充填物の滑材として好適である。また、被充填物に固体潤滑材として用いることもできる。
【0013】
ベーマイトは、被充填物に充填し塗工用内填材として用いることができる。被充填物は、紙が好適であるがこれらに限定されない。ベーマイトは、水酸基を持っており、親水性が高く、白色度も高い上、屈折率が低く、比表面積の制御や二次凝集構造の制御によりインクの受容量が高くにじみも少ないので、被充填物の塗工用内填材として有用である。
【0014】
ベーマイトは、被充填物に充填しインク受理材として用いることができる。被充填物は、紙が好適であるがこれらに限定されない。ベーマイトは、水酸基を持っており、親水性が高く、白色度も高い上、屈折率が低く、比表面積の制御や二次凝集構造の制御によりインクの受容量が高くにじみも少ないので、被充填物のインク受理材として有用である。
【0015】
ベーマイトは、触媒担体として用いることができる。ベーマイトは、水酸基を持っており、親水性が高く、比表面積を高く調整できるので、触媒担体として有用である。また、ベーマイトはアルミナ前駆物質であるので、アルミナ化することによりさらに比表面積が上がり、触媒担体としてより有用となる。
【0016】
ベーマイトは、電気伝導フィラー母材として用いることができる。アスペクト比を高く制御された板状ベーマイト又は針状ベーマイトはその表面に導電性加工することで電気伝導性フィラーとして有用である。
【0017】
ベーマイトは、被充填物に熱伝導用フィラーとして用いることができる。被充填物は、特に限定がない。ベーマイトは、アルミナに近い熱伝導度があるため熱伝導用フィラーとして有用である。特に、高アスペクト比のものは異方性を持ち、少量の添加でもある一定方向への熱伝導性が高くなり好ましい。ベーマイトは、被充填物に制動材用フィラーとして用いることができる。被充填物は、特に限定がない。ベーマイトは、制動材(ブレーキ)用フィラーに使用した際、繰り返し特性に優れ、硬度が3〜4と硬すぎず適当であり、また450℃で脱水し冷却効果がある上、フェノール樹脂との相性も良いので制動材用フィラーとして有用である。ベーマイトは、被充填物に線膨張制御用フィラーとして用いることができる。被充填物は、特に限定がない。板状ベーマイトは、二次元で均等に線膨張率を制御でき、アスペクト比を高くできる上、壁開性がない層状化合物であるので、線膨張制御用フィラーとして有用である。ベーマイトは、被充填物にガスバリヤ用フィラーとして用いることができる。被充填物は、特に限定がない。ベーマイトは、アスペクト比が高く、またガスバリア性に優れているので、ガスバリヤ用フィラーとして有用である。
【0018】
ベーマイトは、耐火物又は耐熱材料として用いることができる。ベーマイトは、15%の水分を持ち冷却効果があり、また1350℃まで加熱しても結晶形状を維持するため耐火物又は耐熱材料として有用である。
【0019】
ベーマイトは、高純度アルミナ原料用・易焼結性アルミナ用原料として用いることができる。アルミナ・三水和物をべ一マイト化する際に不純物を除去できるので、高純度のアルミナの原料として有用であり、また1μm以下の微細粒子を用いれば易焼結性アルミナ用原料として有用である。ベーマイトは、微細で易焼結性があり、純度も高いためセラミックス用原料として用いることができる。ベーマイトは、高アスペクト比の形状を活用することで多孔質セラミックスの原料として特に有用であり、低アスペクト比の形状を活用すれば緻密セラミックスの原料としても有用である。ベーマイトは、湿度センサー用原料として用いることができる。ベーマイトは、水酸基を持ち親水性があり、極性を利用できるので湿度センサー用原料として有用である。ベーマイトは、極性があり、また孔径を制御した多孔質体ができるので、分離膜用原料、フィルター用原料として有用である。ベーマイトは、エレクトロニクス素子用原料として用いることができる。ベーマイトは、純度が高く、アスペクト比が高い上、粒子径が揃い結晶水の分解温度が高いので電子材料として有用である。ベーマイトは、純度が高いアルミナ系化合物であるので蛍光材料用原料として有用である。
【0020】
ベーマイトは、親水性に優れ、また板状ベーマイトは比表面積が高く吸油率が高いので、吸油材又は吸水材として有用である。
【0021】
ベーマイトは、親水性、吸油性に優れており指紋の油脂との親和性が高いので、指紋採取粉として有用である。
【0022】
ベーマイトは、発色性向上材として有用である。ここで発色性向上とは、顔料、染料又は塗料に添加し、顔料、染料又は塗料の色合いを高めること、又はベーマイトを被印刷物や被塗装物、被塗布物に添加しておくことにより、印刷や塗装、塗布した時の色を鮮やかに見せること、あるいはベーマイトに他の被覆材を被覆し、他の被覆材の色合いを高めることを包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベーマイトからなる被充填物に充填される補強材。
【請求項2】
ベーマイトからなる被充填物に充填される難燃剤。
【請求項3】
ベーマイトからなる被充填物に充填される光輝材。
【請求項4】
ベーマイトからなる被充填物に充填される耐火材。
【請求項5】
ベーマイトからなる被充填物に充填される増粘剤。
【請求項6】
ベーマイトからなる被充填物に充填される滑材。
【請求項7】
ベーマイトからなる被充填物に充填される塗工用内填材。
【請求項8】
ベーマイトからなる被充填物に充填されるインク受理材。
【請求項9】
ベーマイトからなる触媒担体。
【請求項10】
ベーマイトからなる電気伝導フィラー母材。
【請求項11】
ベーマイトからなる被充填物に充填される熱伝導用・制動材用・線膨張制御用・ガスバリア用の各フィラー。
【請求項12】
ベーマイトからなる耐火物又は耐熱材料。
【請求項13】
ベーマイトからなる高純度アルミナ用・易焼結性アルミナ用・セラミックス用・湿度センサー用・分離膜用・フイルター用・エレクトロニクス素子用・蛍光材料用の各原料。
【請求項14】
ベーマイトからなる吸油材又は吸水材。
【請求項15】
ベーマイトからなる指紋採取粉。
【請求項16】
ベーマイトからなる発色性向上材。

【公開番号】特開2010−120813(P2010−120813A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296187(P2008−296187)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(591051335)河合石灰工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】