説明

ペット収納用バッグ

【課題】ペットを安全、快適に、しかも周囲に迷惑をかけたりしないように運搬する目的で用いるバッグやキャリーケースには、通気性とバッグ内外の見通しを確保するために、その壁にメッシュ付き窓を設けたものがある。このような従来のバッグにおいては、この窓の開閉を、カバー部材の巻き上げ、巻き戻し操作と、複数のスナップボタンにより行わなければならず、手間がかかることに加え、カバー部材が取り外せないので、この個所のデザインが固定されて、ファッション性に劣るという問題点がある。
【解決手段】そこで本発明では、バッグ本体2の壁3にメッシュ付き窓4を設けると共に、この窓4よりも大きな蓋体5を別体として設け、バッグ本体2と蓋体5には、蓋体5が窓4を覆う位置で吸着するように磁石6を設け、バッグ本体2の窓4の近傍には支持部材7を設け、蓋体5には支持部材7に着脱可能な取付部材8を設けたペット収納用バッグ1を提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬等のペット(愛玩動物)を運搬する際などに使用するバッグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
犬等のペットを安全、快適に、しかも周囲に迷惑をかけたりしないように運搬する目的で、従来よりバッグやキャリーケースが用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、図5に示すような小動物運搬用バッグが記載されている。これはバッグ本体100の中にペット犬(図示省略)等の小動物を、上部の開口101から収納して、持ち手102を掴んで持ち運ぶものである。ペット犬等の小動物をバッグ本体100の中に収納して運搬できるので、電車やバスに乗って出掛けるときでも、小動物を安全に持ち歩くことができる。
【0004】
バッグ本体100の横側には、メッシュ素材で形成した窓部103を設けている。これは通気性を確保するとともに、バッグ本体100内に収容した小動物が、窓部103から外を見ることができるようにしたり、あるいは飼い主が窓部103からバッグ本体100内の小動物の様子を確認できるようにしたものである。
【0005】
例えば、夜間や混雑した車内等においては、窓部103を閉じて、バッグ本体100内に収容した小動物を落ち着かせる必要があり、このために窓部103にはカバー部材104を取付け、このカバー部材104により窓部103を開閉できるようにしている。
【特許文献1】実用新案登録第3109883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記の特許文献1で提案されている小動物運搬用バッグにおいては、カバー部材104により、窓部103を開閉できるようにしているが、このカバー部材104の開閉操作は、きわめて手間がかかるという問題点がある。すなわち、窓部103を開とするときは、カバー部材104を丹念に巻き上げたうえ、カバー部材104に取付けたスナップボタン105Uを、バッグ本体100に取付けたスナップボタン105Tに係合させて、これを保持しなければならないし、また窓部103を閉とするときは、まずカバー部材104に取付けたスナップボタン105Uと、バッグ本体100に取付けたスナップボタン105Tとの係合関係を解除したうえで、さらにカバー部材104を巻き戻し、そのうえでカバー部材104に取付けたスナップボタン105Lを、バッグ本体100に取付けたスナップボタン105Bに係合させて、これを保持しなければならない、というきわめて煩雑な操作が必要である。本発明はこのような課題を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために,本発明では、バッグ本体の壁にメッシュ付き窓を設けると共に、この窓よりも大きな蓋体を別体として設け、バッグ本体と蓋体には、蓋体が窓を覆う位置で吸着するように磁石を設け、バッグ本体の上記窓の近傍には支持部材を設け、蓋体には支持部材に着脱可能な取付部材を設けたペット収納用バッグを提案する。バッグ本体と蓋体の両方に磁石を設ける代わりに、一方側のみに磁石を設け、他方側には磁石が吸着する金属を設けても良い。
【0008】
また本発明では、上記の構成において、バッグ本体に設ける支持部材はリングで構成し、蓋体に設ける取付部材は引掛けフックで構成したペット収納用バッグを提案する。
【0009】
また本発明では、上記の構成において、バッグ本体の外側に蓋体を収容するポケット部を設けたペット収納用バッグを提案する。
【0010】
更に本発明では、上記の構成において、一つのバッグ本体と、色、模様等のデザインが異なる複数の蓋体とから構成したペット収納用バッグを提案する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のペット収納用バッグは、その本体の中に、犬等のペットを収納した状態で、ペットを運搬できるので、電車やバスを利用して出掛けるときでも、ペットを安全、快適に、しかも周囲に迷惑をかけたりすることなく連れていくことができる。
【0012】
さらに、本発明のペット収納用バッグは、バッグ本体の壁にメッシュ付き窓を設けると共に、この窓よりも大きな蓋体を別体として設けているので、蓋体で窓を覆わないで、窓を開としておけば、この窓を介して、充分な通気性が確保できることに加え、バッグ本体内に収納したペットは、この窓から外を見ることができるし、また逆に、飼い主等のペット運搬者は、窓からバッグ本体内に収納したペットの様子を観察することができる。また、夜間や混雑した車内等においては、バッグ本体内に収納したペットが興奮しないように、蓋体で窓を覆い、窓を閉としておけば、バッグ本体内に収納したペットは窓から外の様子を見ることができなくなるので、落ち着かせることができる。
【0013】
本発明のペット収納用バッグにおいては、バッグ本体と蓋体に、蓋体が窓を覆う位置で吸着するように磁石を設けているので、蓋体による窓の開閉操作を極めて簡単にする効果がある。すなわち、窓を閉めるには、蓋体で窓を覆うだけの操作で良く、バッグ本体と蓋体のそれぞれに設けた磁石、又は磁石と金属との吸着力により、蓋体が窓を覆う状態を保持することができる。また、窓を覆っている蓋体を、手で軽くバッグ本体から引き離すだけで、磁石の吸着力は解け、したがって窓を開の状態に保持することができる。
【0014】
しかしながら、蓋体で窓を覆い、窓を閉めているときは、磁石の吸着力だけで蓋体を支持しているので、例えば混雑した車内での人や壁との接触等により、不意な外力が蓋体に加わると、蓋体が脱落し、紛失したりする恐れがあるので、本発明においては、こうした蓋体の脱落を防止するために、バッグ本体の窓の近傍に支持部材を設けるとともに、蓋体にはこの支持部材に着脱可能な取付部材を設けている。蓋体で窓を覆い、窓を閉めるときには、蓋体の取付部材をバッグ本体の窓の近傍に設けた支持部材に取付けておけば、万が一不意な外力が蓋に加わっても、これがバッグ本体から脱落するのを防ぐことができる。
【0015】
また、窓を開けて置くときは、窓を覆っている蓋体を、手で軽くバッグ本体から引き離し、それと相前後して蓋体の取付部材をバッグ本体の支持部材から取外せば、蓋体はバッグ本体から離れるので、これをバッグ本体の外側に設けたポケットに収容することにより、容易に収容できて、邪魔にならない。
【0016】
本発明においては、バッグ本体と蓋体とが別体に構成されているので、ペット収納用バッグを、一つのバッグ本体と、色、模様等のデザインが異なる複数の蓋体とから構成することができ、ペット収納用バッグのファッション性を高める効果がある。例えば、飼い主等のペット運搬者は、自分の衣装に合った蓋体を、複数の蓋体の中から選んで、バッグ本体と共に持ち歩いて使用し、ペットと一緒におしゃれを楽しむことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図1〜図4を参照して説明する。なお、図1、図2および図4はいずれ斜視図であり、図3は一部を拡大した側面図である。
【0018】
図に示すように、本発明のペット収納用バッグ1は、バッグ本体2の壁3にメッシュ付き窓4を設けると共に、この窓4よりも大きな蓋体5を別体として設け、バッグ本体2と蓋体5には、蓋体5が窓4を覆う位置で吸着するように磁石6(6a、6a’、6b、6b’)を設け、バッグ本体2の窓4の近傍には支持部材7を設け、蓋体5には支持部材7に着脱可能な取付部材8を設けている。
【0019】
バッグ本体2に設ける磁石6a、6bは、例えばメッシュ付き窓4の左右方向の長さよりも短い、適当な間隔を開けて、バッグ本体2の壁3に縫い付ける等して取付けた手持ち用帯体9に、布片等を重ね合わせて縫い付けて取り付ける。また、バッグ本体2に設ける支持部材7は金属製等のリングを、窓4の近傍の手持ち用帯体9に縫い付ける等して設ける。
【0020】
蓋体5は例えば、窓4よりもやや大きめな軽量のプラスチック製板材を、適宜な布材で覆って構成する。そして、蓋体5に設ける磁石6a’、6b’は、これを覆いうる大きさの適宜な布片等を、これに重ねて合わせて、蓋体5を覆った布材に縫い付ける等して取り付ける。磁石6a’、6b’の蓋体5に対する取付け位置は、蓋体5で窓4を覆ったときに、磁石6aと6a’、6bと6b’がそれぞれ対向するような位置とする。また、蓋体5に設ける取付部材8は、バッグ本体2に設けた金属製等のリングで構成した支持部材7に着脱可能な、適宜な金属製等の引掛けフックを、蓋体5に縫い付ける等して構成する。
【0021】
また、同じサイズの蓋体5に対し、磁石6a’、6b’、と取付部材8を同じように設けたうえで、それぞれの表面を覆う布材の色や模様等のデザインを変えて、これらを、ひとつのバッグ本体2に対して用意しておけば、ひとつのバッグ本体2に対して、好みの蓋体5を選んで使用することができるので、ペット収納用バッグ1のファッション性を高めることができる。
【0022】
この実施の形態では、ペット(図示省略)は図2に示すように、バッグ本体2の上部に設けた開口10より出し入れする。開口10は、布状メッシュ蓋11と布状ブラインド蓋12により開閉することができる。メッシュ蓋11とブラインド蓋12は、ブラインド蓋12をメッシュ蓋11の上側にして、それぞれの一端は一緒に、バッグ本体2に固定して、固定端としている。そして、メッシュ蓋11の両側は、ファスナ13によりバッグ本体2に対し着脱可能に構成するとともに、その開放端の下側には、バッグ本体2の面ファスナ14に対応する面ファスナ14’を設け、さらにその上側には、ブラインド蓋12の開放端下側に設けた面ファスナ15に対応する面ファスナ15’を設けている。
【0023】
ファスナ13と面ファスナ14、14’を外し、メッシュ蓋11の開放端を持ち上げれば、開口10は開状態になるので、ここからペットを出し入れすることができる。バッグ本体2にペットを収納している状態においては、ペットが飛び出したりしないように、ファスナ13と面ファスナ14、14’を閉めれば、メッシュ蓋11により開口10を閉状態にすることができる。この状態で、ブラインド蓋12のファスナ15、15’を外して巻き付け、バッグ本体2に取り付けた1対の紐状留め具16で固定すれば、バッグ本体2の上部はメッシュ蓋11のみが覆う状態になるので、このメッシュを介して、バッグ本体への通気性を保つことができる。また、夜間等において、開口10からバッグ本体2内部への光の差し込みを遮断したい場合には、紐状留め具16の固定を解除し、ブラインド蓋12を巻き戻してから、ファスナ15、15’を閉めると、ブラインド蓋12がバッグ本体2の上部を覆うので、バッグ本体2内を暗くすることができる。
【0024】
図1のように、蓋体5が窓4を覆っていない状態においては、この窓4を介して、充分な通気性が確保できることに加え、バッグ本体2内に収納したペットは、この窓4から外を見ることができるし、また逆に、飼い主等のペット運搬者(図示省略)は、窓4からバッグ本体2内に収納したペットの様子を観察することができる。
【0025】
蓋体5は、バッグ本体2の壁3に近づけて、蓋体5に設けた磁石6a’、6b’を、バッグ本体2に設けた磁石6a、6bに、それぞれ吸着させれば、図2に示すように、窓4を覆った状態で保持することができる。したがって、例えば、夜間や混雑した車内等においては、バッグ本体2内に収納したペットが興奮しないように、蓋体5で窓4を覆い、窓4を閉としておけば、バッグ本体2内に収納したペットは窓4から外の様子を見ることができなくなるので、落ち着かせることができる。
【0026】
蓋体5で窓4を覆い、窓4を閉めているときは、磁石6の吸着力だけで蓋体5を支持しているので、例えば混雑した車内での人や壁との接触等により、不意な外力が蓋体5に加わると、蓋体5が脱落し、紛失したりする恐れがある。これを防ぐために、バッグ本体2の窓4の近傍に設けたリング等の支持部材7に、蓋体5に設けた引掛けフック等の取付部材8を取付けておく。
【0027】
また、窓4を開けて置くときは、窓4を覆っている蓋体5を、手で軽くバッグ本体2から引き離し、それと相前後して蓋体5の取付部材8をバッグ本体2の支持部材7から取外せば、蓋体5はバッグ本体2から離れるので、これをバッグ本体2の適所に収容することにより邪魔とならない。
【0028】
この実施の形態においては、図4に示すように、バッグ本体2の外側の横側に、一つ又は複数の蓋体5を収容可能に形成したサイドポケット17を設けている。したがって、窓4を覆わない蓋体5は、このサイドポケット17に収容しておけるので、バッグ1の持ち運び時においては、バッグ本体2と蓋体5を一括して取り扱えて運搬し易く、しかも保管時におけるバッグ1の納まりも良好である。また、複数の蓋体5を収容可能に構成した場合には、異なったデザインの蓋体5を持ち歩いて、適宜に変更して使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上のように、本発明のペット収納用バッグは、まず第1に、飼い主にとって大切なペットを安全に運搬できるという基本的な機能を備えていることはもちろんであるが、第2に、通気性とバッグ内外の見通しを確保するためにバッグ本体の壁に設けたメッシュ付き窓の開閉操作が、蓋体の着脱だけで行えて、極めて簡単であること、第3に、デザインが異なる複数の蓋体から、好みのものを選んで使えて、ファッション性に優れていること、第4に、蓋体をサイドポケットに収容でき、運搬性、保管性に優れていること、等の理由により、その産業上の利用可能性はきわめて大である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るペット収納用バッグの一形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るペット収納用バッグの一形態を示す斜視図である。
【図3】一部を拡大した側面図である。
【図4】本発明に係るペット収納用バッグの一形態を示す斜視図である。
【図5】従来例の説明図である。
【符号の説明】
【0031】
1 ペット収納用バッグ
2 バッグ本体
3 壁
4 メッシュ付き窓
5(5a、5b、… ) 蓋体
6(6a、6a’、6b、6b’) 磁石
7 支持部材
8 取付部材
9 手持ち用帯体
10 開口
11 布状メッシュ蓋
12 布状ブラインド蓋
13 ファスナ
14(14、14’) 面ファスナ
15(15、15’) 面ファスナ
16 紐状留め具
17 サイドポケット
100 従来例の小動物運搬用バッグ本体
101 開口
102 持ち手
103 窓部
104 カバー部材
105(105U、105L) カバー部材104に取付けたスナップボタン
105(105T、105B) バッグ本体100に取付けたスナップボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッグ本体の壁にメッシュ付き窓を設けると共に、この窓よりも大きな蓋体を別体として設け、バッグ本体と蓋体には、蓋体が窓を覆う位置で吸着するように磁石を設け、バッグ本体の上記窓の近傍には支持部材を設け、蓋体には支持部材に着脱可能な取付部材を設けたことを特徴とするペット収納用バッグ。
【請求項2】
バッグ本体の壁にメッシュ付き窓を設けると共に、この窓よりも大きな蓋体を別体として設け、バッグ本体と蓋体には、蓋体が窓を覆う位置で吸着するように磁石と、磁石に吸着される金属を設け、バッグ本体の上記窓の近傍には支持部材を設け、蓋体には支持部材に着脱可能な取付部材を設けたことを特徴とするペット収納用バッグ。
【請求項3】
バッグ本体に設ける支持部材はリングで構成し、蓋体に設ける取付部材は引掛けフックで構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のペット収納用バッグ。
【請求項4】
バッグ本体の外側に蓋体を収容するポケット部を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のペット収納用バッグ。
【請求項5】
ひとつのバッグ本体と、色、模様等のデザインが異なる複数の蓋体とから構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のペット収納用バッグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−189319(P2009−189319A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34785(P2008−34785)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(306013094)株式会社スリーアローズ (14)
【Fターム(参考)】