説明

ペット搬送具

【課題】
ペットと共に徒歩圏内のみならず自転車移動圏への移動も容易に行うことができるペット搬送具を提供する。
【解決手段】
ペットを収納する収納部110及び折畳み可能なカートフレーム150を有して構成されたペットカート100と、自転車10の前輪上部に取り付ける前籠180と、を備え、収納部110とカートフレーム150は、収納部側に備わる第1コネクタ部材116とカートフレーム側に備わる第2コネクタ部材163を利用して着脱自在に構成されると共に、前籠180にも、当該前籠180に収納部110を入れた状態で、第1コネクタ部材116と結合出来る第3コネクタ部材181を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬や猫などのペットを搬送するための搬送具の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飼い主とペットの関係がより親密になる傾向にあり、「いつも一緒にいたい」、「どこに行くにも連れて行きたい」といった要望が高まっている。一方、規制緩和も追い風となり、所定の条件を満たせばペットを同伴できる施設や場所も物理的に増加しているのが現状である。
【0003】
そのような背景の下、ペットを搬送する為に種々の発明がなされている。
【0004】
特許文献1のペットカートは、ペットを収納できる鞄をカートに対して着脱自在とし、必要に応じて鞄単体で搬送したり、鞄をカートに載置してペットを搬送することが可能な構成とされている。
【0005】
特許文献2のペット用キャリアは、蓋が付いた袋体と当該袋体に取り付けられた持ち手と、を備え、蓋の一部にペットが顔を出すことが出来る開口が設けられている。これにより、必要に応じてペットを収納した袋体を手で把持したり、ペットを袋体に入れたまま自転車の籠に乗せて搬送することが出来るというものである。
【0006】
特許文献3のケース取付構造は、自転車の前輪上部に籠の代わりにケース取付枠を取り付けておき、当該ケース取付枠に対して着脱可能なペットケースを取り付けることが出来るというものである。ケース上部には取っ手が備わっているので、必要に応じてペットを収納したケースを手で把持したり、ケース取付枠に取り付けて自転車で目的地まで行くことが可能とされている。
【0007】
特許文献4のペットカート及びバッグは、ペットを収納するバッグをカートに対して着脱自在に構成し、取り外したバッグを自動車の椅子に載置してシートベルトで固定することが出来るという構造である。
【0008】
なお、特に首都圏をはじめとした都市部においては、ある程度の距離範囲(例えば半径1.5〜7km程度圏内:以下「自転車移動圏」という。)であれば車で移動するよりも自転車での移動が便利である。自転車であれば運転免許も不要であるし、目的地で駐車場を確保する必要も無く駐車料金もかからない。更に「自動車離れ」が叫ばれる昨今においては、そもそも自動車を所有していない場合も多い。このような現状が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−166599号公報
【特許文献2】特開2006−280240号公報
【特許文献3】実開平1−132490号公報
【特許文献4】特開2006−254801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
確かに特許文献1のペットカートであれば、必要に応じて鞄単体で搬送したり、鞄をカートに載置してペットを搬送することが可能である。しかし鞄単体やカートでの移動では自転車移動圏への移動は労力もかかるし時間も必要である。また鞄単体でペットを搬送した場合、目的地での搬送にカートを使用することが出来ないので、不便であるし何より体力を消耗してしまう。
【0011】
また特許文献2のペット用キャリアであれば、必要に応じて袋体にペットを収納したまま自転車の籠に乗せて搬送することが出来るので、自転車移動圏への移動は特に苦労なく行うことができる。しかし袋体を単に自転車籠に入れているだけであるから、急ブレーキや急ハンドルによってペットが袋体ごと籠から投げ出されてしまうという危険性がある。更にペットが突然暴れ出したような場合もペットが袋体ごと籠から飛び出てしまうという危険性もある。加えて、自転車を使って目的地に到着した後、現地を散策等する場合には、(そもそもカート等が無いので)袋体を手に提げてペットを搬送するしか搬送手段が無く、不便であり且つ体力を消耗する。
【0012】
また特許文献3のケース取付構造は、自転車の前輪上部に籠の代わりにケース取付枠を取り付けておき、当該ケース取付枠に対して着脱可能なペットケースを取り付けることが出来るので、上記した「ペットが籠から投げ出されてしまうという危険性」は回避出来る。しかし、ペットの搬送を行わないような場合に、通常の自転車の籠としての役目を果たすことが出来ないので自転車として不便である。また自転車を使って目的地に到着した後、現地を散策等する場合には、(そもそもカート等が無いので)ケースを手に提げてペットを搬送するしか搬送手段が無く、不便であり且つ体力を消耗するという点に関しては同様である。
【0013】
また特許文献4のペットカート及びバッグの場合、ペットを収納するバッグをカートに対して着脱自在に構成し、取り外したバッグを自動車の椅子に載置してシートベルトで固定することが出来るが、そもそも自動車を所有していない場合や、自転車での移動が便利な地域への移動には不適である。もちろんバッグをカートから取り外して自転車の籠に入れて搬送することは可能であるが、その場合は上記した「ペットが籠から投げ出されてしまうという危険性」が伴うこととなる。
【0014】
本発明は、これらの問題点を一挙に解決するべくなされた発明である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するべく、本願発明は、ペットを収納する収納部及び折畳み可能なカートフレームを有して構成されたペットカートと、自転車の前輪上部に取り付ける前籠と、を備え、前記収納部と前記カートフレームは、前記収納部側に備わる第1コネクタ部材と前記カートフレーム側に備わる第2コネクタ部材を利用して着脱自在に構成されると共に、前記前籠にも、当該前籠に前記収納部を入れた状態で、前記第1コネクタ部材と結合出来る第3コネクタ部材が備わっている。
【0016】
このような構成を採用したことによって、徒歩圏内はカートを利用して自由に移動することができ、更に自転車移動圏においても、収納部を取り外して自転車の前籠側に取り付けることで苦労なく移動することができる。この時、収納部と前籠とは第1、第3コネクタ部材で連結されているので、急ブレーキや急ハンドル等でもペットが外に投げ出されてしまう危険性は無い。加えて収納部を取り外したペットカートを折り畳み、自転車の例えば後荷台に載せて目的地まで持っていけば、現地で再び収納部をペットカート側に取り付けて搬送することが出来る。なお、自転車でペットを搬送しないときは前籠に通常通り荷物を入れることが出来るので、自転車の機能性を阻害することもない。
【0017】
また、前記第1コネクタ部材、第2コネクタ部材及び第3コネクタ部材全てを上下方向の雄雌嵌合により相手方と結合可能に構成してもよい。
【0018】
このように構成すれば、カートフレームや前籠に対する収納部の着脱を容易に行うことが出来る。
【0019】
また、前記収納部を、平面視略矩形の枠体と当該枠体から釣止された袋体を有した構成としてもよい。
【0020】
このように構成すれば、深さや幅等が多少異なる前籠に対しても単一の収納部で対応することが可能となる。また、前籠に多少の荷物が入っていても対応する事ができる。更にカートフレームに収納部を取り付けたままでもカートを折り畳むことが出来るのでカート自体を収納したり搬送等する場合に至極便利である。
【0021】
また、前記カートフレームを、当該カートフレームを広げた状態で、地面に対して略水平に保持されると共にペットカートの前後方向に沿って間隔を空けて並列配置された2本の水平フレームを備え、当該水平フレームに対して前記収納部を着脱自在に構成してもよい。
【0022】
このように構成すれば、コネクタ部の接続さえ解けば前後方向に容易に収納部を移動させてカートフレームから取り外すことが出来る。即ち、収納部を上方に大きく持ち上げることなく収納部を取り外すことが出来るので、女性や高齢者など非力な者であってもペットを収納したまま収納部の着脱を容易に行うことが出来る。
【0023】
また、前記収納部を、上部が開口した箱形に構成されると共に当該開口部を覆うように且つ着脱自在に構成されたフード部を備え、当該フード部を、前記前籠に対しても直接着脱可能に構成してもよい。
【0024】
このように構成すれば、天候に応じてフード部の着脱が行えるので、ペットに対してより快適な環境を提供することができる。更にフード部だけを前籠に取り付けることが出来るので、前籠を簡易的なペット搬送具として利用することが可能となる。
【0025】
また、前記フード部に、前記第3コネクタ部材と結合可能な第4コネクタ部材を備えるように構成してもよい。
【0026】
このように構成すれば、前籠に備わる第3コネクタ部材をそのまま利用して着脱を行うことが出来るので便利である。
【0027】
また、更に、自転車の後輪上部に取り付ける後籠を備え、当該後籠には、前記収納部を取外し且つ折畳んだ状態の前記カートフレームを掛止するフック部と、掛止した前記カートフレームを保持固定するための固定バンドが備わるように構成してもよい。
【0028】
このように構成すれば、簡単確実にカートフレームを自転車で運ぶことが可能となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明を適用することで、ペットと共に徒歩圏内のみならず自転車移動圏への移動も容易に行うことができ、且つ目的地においてもペットカートを利用してペットの搬送が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るペット搬送具の概略構成図である。
【図2】フード部を取り外した状態のペットカートの全体斜視図である。
【図3】カートフレームの全体斜視図である。
【図4】フード部を構成するフレームの全体斜視図である。
【図5】自転車前輪上部に固定した前籠の全体斜視図である。
【図6】カートフレームを折り畳んだ状態図である。
【図7】収納部を構成する枠体の全体斜視図である。
【図8】前籠に対して収納部を取り付ける状態を示した図である。
【図9】前籠に収納部を取り付けてフード部を閉じた状態を示した図である。
【図10】自転車後輪上部に取り付けた後籠の全体斜視図である。
【図11】後籠に折り畳んだカートフレームを取り付けた状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態の一例について説明を加える。なお、図面理解容易の為、各部の大きさや寸法を誇張して表現している部分があり、実際の製品と必ずしも一致しない部分があることを付記しておく。また各図面は符号の向きに見るものとし、当該向きを基本に上下左右、手前、奥と表現する。
【0032】
〈ペット搬送具の構成〉
本発明に係るペット搬送具1は、図1に示すように、ペットを収納する収納部110及び折畳み可能なカートフレーム150を有して構成されたペットカート100と、自転車10の前輪上部に取り付ける前籠180と、を備える。
【0033】
詳細は後述するが、収納部110とカートフレーム150は、収納部側に備わる第1コネクタ部材116とカートフレーム側に備わる第2コネクタ部材163を利用して着脱自在に構成されると共に、前籠180にも、当該前籠180に収納部110を入れた状態で、第1コネクタ部材116と結合出来る第3コネクタ部材181が備わっている。即ち、カートフレーム150から取り外した収納部110をそのまま前籠180にいれて更にコネクタ部材で前籠180に対して固定することが出来る構成とされている。
【0034】
図2に示しているように、収納部110は、平面視略矩形の収納部フレーム(枠体)114と、当該収納部フレーム114から釣止された袋体を有した構成とされている。袋体112は、例えば、布で構成されており、線ファスナー(図示していない)によって収納部フレーム114に対して着脱可能に構成されている。即ち、季節や天候、気分に応じて自由に着せ替えることが可能な構成とされている。また袋体112の底部には取外し可能な底板(図示していない)が備わっている。
【0035】
収納部フレーム114には、図3に示しているように、長手方向略中央にそれぞれ第1コネクタ部材116が備わっている。第1コネクタ部材116は側面視略小判形状に成形された樹脂製の部材であり、下方に半円板状に突起した凸部117を備える。またこの凸部117の外側面には一体成形されたロックピン118が備わっている。このロックピン118を押圧すると奥方へ動くことが可能であるが、押圧を解くと樹脂の可撓性によって手前側に戻るように構成される。また凸部117の内側には、アーチ形状に抉られたアーチ部119が備わっている。なおこのアーチ部119は、後述する水平フレーム160や前籠180の開口縁部180aが丁度収まる程度の大きさに成形されている。また第1コネクタ部材116の上部には、フード部130を取り付けるための凹部120と、当該凹部120の外側に、フード部側に備わるロックピン147(この点詳細は後述する。)が嵌合するためのロック穴121が設けられている。
【0036】
また収納部フレーム114には、第1コネクタ部材116よりも長手方向前方側に、矩形平板形状のロックプレート122が備わっている。このロックプレート122はピン123によって収納部フレーム114に対して回転可能に取り付けられると共に、略Ω字形状の切り欠き部122aが形成されている。
【0037】
フード部130は、開閉機構を備えたフードフレーム140に対してフード生地が132が着脱自在に取り付けられている。フード生地132は例えば布で構成されており、3本のフード骨部材134を備えている。またフード生地132には線ファスナー(図示していない。)が備わっていて、この線ファスナーによってフードフレーム140との着脱が実現される。即ち、季節や天候、気分に応じて自由に着せ替えることが可能な構成とされている。
【0038】
フードフレーム140は、図4に示しているように、2つのコ字フレーム141、142を備える。それぞれのコ字フレーム141、142の端部には略円盤形状の回動支持プレート143、144が固定されている。より詳しくは、コ字フレーム141の端部には回動支持プレート143が固定されており、コ字フレーム142の端部には回動支持プレート144が固定されている。この2つの回動支持プレート143、144は重ね合わされた状態で、支持ピン145によって軸支されている。また支持ピン145の内側145aは回動支持プレート143、144と同程度の径に成形され、下方に突起部146が一体的に成形されている。またこの凸部146の外側面には略楕円形状のロックピン147が成形されている。このロックピン147を押圧すると奥方へ動くことが可能であるが、押圧を解くと樹脂の可撓性によって手前側に戻るように構成されている点は第1コネクタ部材116同様である。
【0039】
また、回動支持プレート143、144は段階的に所定の角度で位置を固定できる構造を有しており、所謂ノッチ式で段階的にコ字フレーム141、142同士が成す角度θを可変することが可能である。本実施形態では、角度θの調整範囲は0〜180°までとされている。
【0040】
カートフレーム150は、図5に示しているように、地面から略垂直に立脚する2本の後方フレーム151と、当該後方フレーム151のそれぞれの上端付近から前方へ斜めに伸びた2本の前方フレーム152を中心に構成される。後方フレーム151と前方フレームとはそれぞれの上端付近で互いに軸支されている。後方フレーム151と前方フレーム152の途中にはリンク機構159が架設されていて、開閉がコントロールされている。
【0041】
2本の後方フレーム151はサブフレーム154によってカートの幅方向に連結されている。また同様に、2本の前方フレーム152は2本のサブフレーム153によってカートの幅方向に連結されている。また、後方フレーム151の下端には後輪171が備わっている。前方フレーム152の下端には前輪170が備わっている。なお後輪171にはロックレバー172が設けられており、当該ロックレバー172を足で踏んで押し下げることにより後輪171の回転を固定することが出来るように構成されている。
【0042】
前方フレーム152の上部には、当該前方フレーム152に沿うように略コ字形状の把持フレーム155が取り付けられている。この把持フレーム155の上側には例えば発泡ウレタンなどで構成されたグリップ部156が設けられている。また把持フレーム155は、回動支持部158によって前方フレーム152に対して回動可能に構成されている。ロックレバー172を引くとロック状態が解除されて、把持フレーム155は回動支持部158を支点として大きく前方(カート前方)に折り畳むことが出来る。
【0043】
またカートフレーム150には、当該カートフレーム150を広げた状態で、地面に対して略水平に保持されると共にカートの前後方向に沿って間隔を空けて並列配置された2本の水平フレーム160を備える。この水平フレーム160は、第1支持フレーム161を介して後方フレーム151から支持されると共に、第2支持フレーム162を介してリンク機構159から支持されている。その結果、カートフレーム150を折り畳んだ時にはこの水平フレーム160は、後方フレーム151や前方フレーム152と略平行に折り畳まれると共に(図6を参照)、カートフレーム150を広げた時は地面と略水平に位置決めされることとなる。
【0044】
2本の水平フレーム160のそれぞれ中程には、樹脂で成形された第2コネクタ部材163が装着されている。この第2コネクタ部材は、側面視略半楕円形状に成形されていて、上方に向かって開口した凹部164と、側面にはロック穴165が設けられている。この凹部164は前述した第1コネクタ部材116の凸部117が丁度嵌合できる形状に成形されている。また凹部164に第1コネクタ部材116の凸部117を嵌合すると、第1コネクタ部材116のロックピン118が、ロック穴165に嵌合して結合がロックされる構成とされている。
【0045】
前籠180は、図7及び図8に示しているように、自転車10の前輪上部に取り付けることが可能な構造とされており、前籠180の前後にそれぞれ一箇所ずつ第3コネクタ部材181が備わっている。この第3コネクタ部材181は、部材をコ字形状に折り曲げて籠本体に固定したような構造であり、楕円形状のロック穴182を備えている。この第3コネクタ部材181の中に第1コネクタ部材116の凸部117を嵌合させると、第1コネクタ部材116のロックピン118がロック穴182に嵌合して結合がロックされる。また前籠180の開口縁部180aは、その大きさが収納部フレーム114と略同じ大きさに形成されると共に、カートフレーム150に備わる水平フレーム160の太さと略同じ厚みで且つ上方に円弧状に膨らんだ形状に構成されている。即ち、収納部フレーム114に備わる第1コネクタ部材116のアーチ部119が丁度嵌合出来る形状とされている。なお前籠180は、例えば柵状に構成されていてもよいし、メッシュ状に構成されていてもよい。
【0046】
後籠190は、図10に示しているように、上部が開口した箱形に構成されており、自転車後輪上部に設置固定される。後籠190の背面には上下二段にフック部(上側フック193、下側フック194が設けられている。このフック部193、194は、収納部110を取外し且つ折畳んだ状態のカートフレーム150を掛止する為に利用される。また縁の一部に凹部192が形成されている。またこの凹部192のやや前方位置に上部引掛用ループ195が設けられ、その略真下位置に下部引掛用ループ196が設けられている。なお符合197は固定用バンドであり、フック部193、194に掛止したカートフレーム150を保持固定するために利用される。なお、凹部192は、カートフレーム150以外のカート類、例えば、他種の折畳式ペットカートの何れかの箇所を当該凹部192に引っ掛けるようにして固定する場合に利用することができる。
【0047】
〈ペット搬送具の作用・機能〉
本発明を構成する前籠180と後籠190は予め自転車10に取り付けておく。その上で、徒歩圏内を移動する場合は、収納部110をカートフレーム150に取り付けてペットカート100として使用すればペットを楽に搬送することが出来る。ペットは収納部110に収納する。なお季節や天候等に応じてフード部130を開閉したり、場合により取り外して使用する。
【0048】
自転車移動圏まで移動したい場合には、収納部110をカートフレーム150から前籠180に取り付け直す。具体的には、ロックプレート122を回してロックピン160aとの固定を解除した上で、収納部フレーム114を上方に少し持ち上げる。この時、第1コネクタ部材116に形成されるロックピン118を押すことによって、第1コネクタ部材116と第2コネクタ部材163のロックが解除される。ここで、水平フレーム160は、ペットカート100の前後方向に沿って間隔を空けて並列配置されているので、第1コネクタ部材116と第2コネクタ部材163の接続さえ解けば前後方向に容易に収納部110を移動させてカートフレーム150から取り外すことが出来る。即ち、収納部110を上方に大きく持ち上げることなく収納部110を取り外すことが出来るので、女性や高齢者など非力な者であってもペットを収納したまま収納部110の着脱を容易に行うことが出来る。
【0049】
取り外した収納部110はそのまま前籠180の中に入れるように取り付ける。具体的には、第1コネクタ部材116の凸部117を前籠に備わる第3コネクタ部材181に上方から嵌合させるように取り付ける。下まで押し込むと、第1コネクタ部材116に形成されているロックピン118がロック穴182に嵌合して固定される。このように、第1コネクタ部材116、第2コネクタ部材163及び第3コネクタ部材181の全てが上下方向の雄雌嵌合により相手方と結合可能に構成されているので、カートフレーム150や前籠180に対する収納部110の着脱を簡易且つ単純な動作で行うことが出来る。
【0050】
ここで収納部110は、平面視略矩形の収納部フレーム114と当該収納部フレーム114から釣止された袋体112で構成されているので、深さや幅等が多少異なる前籠180に対しても単一の収納部110で対応することが可能となる。また、前籠180に多少の荷物が入っていても対応する事ができる。なおこのような構成を採用しているので、カートフレーム150に収納部110を取り付けたままでもカートフレーム150を折り畳むことが出来、ペットカート100自体を収納したり搬送等する場合に至極便利である。
【0051】
一方、収納部110を取り外したカートフレーム150は、ロック解除レバー157を引いて把持フレーム155を前方に回動させ且つリンク機構159を上方に持ち上げて後方フレーム151と前方フレーム152とを近づけるように折り畳む。その折畳んだ状態のカートフレーム150は、図10及び図11に示しているように、後籠190に形成されたフック部193、194に掛止して且つ固定用バンド197で固定する。この時、上側フック193にはサブフレーム154を、下側フック194にはグリップ部156を掛止させるとガタつきなく固定することが出来る。その上で、固定用バンド197を上部引掛用ループ195からカートフレーム150を介して下部引掛用ループ196まで廻して固定することによってより確実な固定を実現している。
【0052】
自転車10で目的地まで移動した後は、目的地で上記と逆の手順で前籠180から収納部110を取り外して、カートフレーム150側に取り付け直す。これにより目的地周辺をペットカート100を利用して容易にペットを搬送することが可能となる。
【0053】
このように、本願発明により、徒歩圏内はペットカート100を利用して自由に移動することができ、更に自転車移動圏においても、収納部110を取り外して自転車10の前籠180側に取り付けることで苦労なく移動することができる。この時、収納部110と前籠180とは第1、第3コネクタ部材116、181で連結固定されているので、急ブレーキや急ハンドル等でもペットが外に投げ出されてしまう危険性は無い。加えて収納部110を取り外したカートフレーム150を折り畳み、自転車10の後籠190に備わるフック部193、194に掛止して目的地まで持っていけば、現地で再び収納部110をカートフレーム150側に取り付けて搬送することが出来る。なお、自転車10でペットを搬送しないときは前籠180に通常通り荷物を入れることが出来るので、自転車10自体の機能性を阻害することもない。
【0054】
また、収納部110が、上部が開口した箱形に構成されると共に当該開口部を覆うように且つ着脱自在に構成されたフード部130を備え、当該フード部130が、前籠180に対しても直接着脱可能に構成されている。よって、天候に応じてフード部130の着脱が行えるので、ペットに対してより快適な環境を提供することができる。更にフード部130だけを前籠180に取り付けることが出来るので、前籠180を簡易的なペット搬送具として利用することも可能となる(収納部110はカートフレーム150側に残されている。)。この時例えば、フード部130に備わる凸部146の形状をそのまま前籠180の第3コネクタ部材181に嵌合出来る形状としておけば、前籠180に備わる第3コネクタ部材181をそのまま利用して着脱を行うことが出来るので便利である。
【0055】
〈その他の構成例〉
なお、上記では一般的な自転車を前提に説明しているが、電動式の自転車であっても同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0056】
1・・・ペット搬送具
10・・・自転車
100・・・ペットカート
110・・・収納部
112・・・袋体
114・・・収納部フレーム(枠体)
116・・・第1コネクタ部材
117・・・凸部
118・・・ロックピン
119・・・アーチ部
120・・・凹部
121・・・ロック穴
122・・・ロックプレート
122a・・・切り欠き部
130・・・フード部
132・・・フード生地
134・・・フード骨部材
140・・・フードフレーム
141、142・・・コ字フレーム
143、144・・・回動支持プレート
145・・・支持ピン
146・・・凸部
147・・・ロックピン
150・・・カートフレーム
151・・・後方フレーム
152・・・前方フレーム
153、154・・・サブフレーム
155・・・把持フレーム
156・・・グリップ部
157・・・ロック解除レバー
158・・・回動支持部
159・・・リンク機構
160・・・水平フレーム
160a・・・ロックピン
161・・・第1支持フレーム
162・・・第2支持フレーム
163・・・第2コネクタ部材
164・・・凹部
165・・・ロック穴
170・・・前輪
171・・・後輪
172・・・ロックレバー
180・・・前籠
180a・・・開口縁部
181・・・第3コネクタ部材
182・・・ロック穴
190・・・後籠
192・・・凹部
193・・・上側フック
194・・・下側フック
195・・・上部引掛用ループ
196・・・下部引掛用ループ
197・・・固定用バンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットを収納する収納部及び折畳み可能なカートフレームを有して構成されたペットカートと、
自転車の前輪上部に取り付ける前籠と、を備え、
前記収納部と前記カートフレームは、前記収納部側に備わる第1コネクタ部材と前記カートフレーム側に備わる第2コネクタ部材を利用して着脱自在に構成されると共に、
前記前籠にも、当該前籠に前記収納部を入れた状態で、前記第1コネクタ部材と結合出来る第3コネクタ部材が備わる
ことを特徴とするペット搬送具。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1コネクタ部材、第2コネクタ部材及び第3コネクタ部材のいずれもが上下方向の雄雌嵌合により相手方と結合可能に構成されている
ことを特徴とするペット搬送具。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記収納部が、平面視略矩形の枠体と当該枠体から釣止された袋体を有した構成とされている
ことを特徴とするペット搬送具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記カートフレームは、当該カートフレームを広げた状態で、地面に対して略水平に保持されると共にペットカートの前後方向に沿って間隔を空けて並列配置された2本の水平フレームを備え、
当該水平フレームに対して前記収納部が着脱自在に構成されている
ことを特徴とするペット搬送具。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、
前記収納部は、上部が開口した箱形に構成されると共に当該開口部を覆うように且つ着脱自在に構成されたフード部を備え、
当該フード部が、前記前籠に対しても直接着脱可能に構成されている
ことを特徴とするペット搬送具。
【請求項6】
請求項5において、
前記フード部には、前記第3コネクタ部材と結合可能な第4コネクタ部材が備わる
ことを特徴とするペット搬送具。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかにおいて、
更に、自転車の後輪上部に取り付ける後籠を備え、
当該後籠には、前記収納部を取外し且つ折畳んだ状態の前記カートフレームを掛止するフック部と、掛止した前記カートフレームを保持固定するための固定バンドが備わる
ことを特徴とするペット搬送具。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−106557(P2013−106557A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253747(P2011−253747)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【特許番号】特許第4940379号(P4940379)
【特許公報発行日】平成24年5月30日(2012.5.30)
【出願人】(507124542)株式会社フェリーチェ (1)
【Fターム(参考)】