説明

ペット用カート

【課題】本発明は、カートから取り外してペットを持ち運んで移動させる場合であっても、飼い主やペットに負担をかけることなく容易に移動することのできる殊に大型のペットに好適なペット用カートの提供を目的とする。
【解決手段】ペットを載せて進行可能に構成したカート本体12に、該カート本体12から分離してペットを持ち運び可能に構成した担架部材13を備え、上記担架部材13は、ペットを収容する収容シート14と、該収容シート14の幅方向の両側で該収容シート14を持ち運び可能に平行に配設された2本の把持棒26とを備え、上記収容シート14は、ペットを載置する底面シート部15と、側面シート部16a,16bとで一体に構成し、上記把持棒26を上記カート本体へ係止可能な係止部48を、上記カート本体12における上記側面シート部16a,16bが懸吊可能に構成したペット用カート11。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、犬などのペットを収容して運ぶことのできるペット用カートに関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、ゴールデン・レトリバーやセント・バーナードなどの洋犬がペットとして飼われることが多く、また、過保護により肥満になるペットが増加していることから、大型のペットが増加しつつあり、中には、体重が40Kgに達する超大型のペットも存在する。
【0003】
殊に最近では、上述したような大型のペットが老齢化しつつあり、歩行が困難であることも多いため、これら衰弱した大型のペットを、飼い主が例えば、病院や散歩に連れていくことは、ペットにとっても飼い主にとっても過度な負担がかかるという問題が生じていた。
【0004】
このような問題に対して、特許文献1においてペットを運ぶことのできる「ペット用鞄付きカート」が開示されている。
【0005】
上記「ペット用鞄付きカート」は、ペットを収容可能なペット用鞄(1)をカート(A)に取り付けた構成をしている。
【0006】
具体的に、ペット用鞄(1)は、止め具(23)を有した複数のベルト(24)をカート(A)の枠体(4)に取り付けることによりカート(A)へ固定しておくことができる。
【0007】
また、ペット用鞄(1)には、該ペット用鞄(1)をカート(A)から取り外して持ち運ぶことができるよう、例えば、布製の下げ紐(20,21)(把手)が形成されている。
【0008】
上記特許文献1によれば、「ペット用鞄付きカート」は、老若男女のいずれでも容易に大小のペットを運ぶことができることが謳われている。
【0009】
しかし、上記「ペット用鞄付きカート」は、殊に大型のペットを運ぶことは困難であるといわざるを得ない。
【0010】
なぜなら、ペット用鞄(1)に形成された上記下げ紐(20,21)は、基本的に片手で把持することを前提にした構成であるため、大型のペットを収容して運ぶには強度的に不十分であり、また、内部のペットは不安定な状態になってしまう。
【0011】
すなわち、大型のペットを運ぶ場合、単にペットを乗せた状態でカート(A)を押し進めることは可能であるが、大型なペットを収容した状態でペット用鞄(1)を、持ち運ぶことは、持ち上げることすら困難であり、実用的でないといわざるを得ない。
【0012】
従って、上記特許文献1における「ペット用鞄付きカート」は、殊に大型のペットを運ぶ場合において、ペットを持ち運んで移動させることが事実上、不可能であり、カート(A)に対しての乗降動作を含め、病院の診察台や階段などの段差といったカートでの進行が困難な移動に対応することができないという難点がある。
【0013】
【特許文献1】特開2004−166599号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこでこの発明は、カートから取り外してペットを持ち運んで移動させる場合であっても、飼い主やペットに負担をかけることなく容易に移動することのできる殊に大型のペットに好適なペット用カートの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のペット用カートは、ペットを載せて進行可能に構成したカート本体を備えたペット用カートであって、上記カート本体に、該カート本体から取り外してペットを持ち運び可能に構成した担架部材を備え、上記担架部材は、ペットを収容する収容シートと、該収容シートの幅方向の両側で該収容シートを持ち運び可能に平行に配設された2本の把持棒とを備え、上記収容シートは、ペットを載置する底面シート部と、該底面シート部に対して幅方向の両側に備えた側面シート部とで一体に構成し、上記把持棒を上記カート本体へ係止可能な係止部を、上記カート本体における上記側面シート部が懸吊される高さ位置に構成したことを特徴とする。
【0016】
上記構成により、担架部材は、ペットを収容シート部に収容した状態で、人が把持棒を把持しながらカートと分離して持ち運ぶことができる。
【0017】
殊に、ペットが大型であっても、上記担架部材を用いて安定した状態で容易に持ち運ぶことができる。
【0018】
本発明のペット用カートは、上記底面シート部に載置されるペット載置用マットを備え、上記ペット載置用マットの外周側に該ペット載置用マット自体を持ち上げ可能とするマット把持部を形成することが好ましい。
【0019】
上記構成により、ペット載置用マットは、ペットの下側に接地した状態で、上記マット把持部を把持して、ペットの下側から該ペット載置用マットを持ち上げることによりペットを持ち上げることができるため、病院の診察台などの高い位置でも安定した状態で容易に持ち上げることができる。
【0020】
本発明のペット用カートは、上記底面シート部の幅方向に対して直角方向における両端部側の少なくとも一方の端部側に、フラップ状に突き出した補助側面シート部を形成し、上記補助側面シート部と上記側面シート部との対向端部どうしを離間可能に固定する固定手段を上記収容シートに備えて構成することができる。
【0021】
上記構成により、上記固定手段で上記補助側面シート部と上記側面シート部との対向端部どうしを固定しておくことで、ペットを底面シート部に載置した状態で収容シートの内側にしっかりと収容しておくことができる。
【0022】
また、上記補助側面シート部と上記側面シート部との対向端部どうしを離間することができ、該対向端部どうしを離間させると、上記収容シートを展開形状して不使用時にコンパクトに収容することもできる。
【0023】
さらに、上記補助側面シート部には、ペットを下側から支持可能な芯材を備えることが好ましい。
【0024】
上記構成のように、上記補助側面シート部には、上記芯材を備えているため、該補助側面シート部は、外側へ倒伏させて地面に傾斜した状態で接地させることでスロープとして用いることができる。すなわち、上記補助側面シート部により、ペット用カートに対するペットの乗り降りを補助することができる。
【0025】
本発明のペット用カートは、上記収容シートの上側で開口した上面開口部を覆う開口カバー部材を上記カート本体に備えて構成することもできる。
【0026】
上記構成により、開口カバー部材で収容シート内側の日除け、雨除けとして用いること可能に上面開口部を覆うことができる。さらに、収容カバーに収容したペットが大型であっても上面開口部からペットが飛び出してしまうことを防止することもできる。
【発明の効果】
【0027】
本発明のペット用カートは、カートによる進行が困難な移動であっても、上記担架部材をカートから容易に取り外して該担架部材によりペットを容易に持ち運ぶことができるため、病気や加齢により歩行が困難なペットであっても、ペットに負担をかけずに移動することができる。
【0028】
殊に、大型なペットであっても、該ペットや飼い主に負担をかけることなく安定してペットを持ち運ぶことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
この発明の一実施形態を、以下、図面を用いて説明する。
図1、図2、図3、図4、図5、及び、図6は、それぞれ本実施形態のペット用カート11の外観図、構成説明図、右側面図、中央縦断面図、背面図、後述するシート状部材の構成説明図を示している。
【0030】
なお、以下では、本実施形態におけるペット用カート11の構成を、殊に示す場合を除いて、図1のようなカート型形態をしている状態を基準に説明する。
【0031】
上記図1から図5に示すように、上記ペット用カート11は、ペットを載せた状態で手押し可能なカート本体12と、ペットを持ち運ぶことができる担架部材13とを備えている。
【0032】
上記担架部材13は、カート本体12に取り外し可能に取り付けられ、内部にペットを収容可能とする収容シート14と、該収容シート14の幅方向の両側で飼い主などが把持して持ち上げ(担持)可能とする2本の把持棒26(26a,26b)を備えている。
【0033】
上記収容シート14は、上面に開口部(上面開口部A1)を有し、幅方向(左右方向)よりも前後方向が長い箱形形状で構成している。上記収容シート14の底面部は、図4に示すように、底面シート部15により構成している。さらに、上記収容シート14の側面部(右側面部、左側面部、前面部、及び、背面部)は、それぞれ右側面シート部16a、左側面シート部16b、前面シート部16c、背面シート部16dにより構成している。
【0034】
上記底面シート部15は、図4の要部拡大図に示すように、表面布22aと裏面布22bとの2枚のシート状部材を重ねた状態で形成し、その間にペットを支持可能な底面支持板23を備えている。
上記底面支持板23は、2層構造で構成し、下側に板状芯材23aを配し、上側に弾性に優れたウレタン部材23bを配してこれらを一体に構成している。
【0035】
なお、上記板状芯材23aとしては、ペットを支持可能な強度を有する部材であれば殊に限定しないが、本実施形態では、木質繊維を成形した中質繊維板(MDF板)を用いている。
【0036】
また、図2、及び、図6に示したように、上記収容シート14は、平面視したときの4隅部、すなわち、前面シート部16cと右側面シート部16a、前面シート部16cと左側面シート部16b、背面シート部16dと右側面シート部16a、背面シート部16dと左側面シート部16bとが互いに対向する対向端部に、これら対向端部が互いに離間可能に係合する一対のスライドファスナ24a,24bが縫着されている。
なお、図6は、収容シート14を展開した状態の担架部材13の正面図である。
【0037】
具体的に、図2、及び、図5に示すように、前面シート部16cと右側面シート部16aとの対向端部を例にとり説明すると、前面シート部16cにおける右側面シート部16aとの対向端部に、一対のスライドファスナ24a,24bにおける一方のスライドファスナ24aを縫着し、右側面シート部16aにおける前面シート部16cとの対向端部に、一対のスライドファスナ24a,24bにおける他方のスライドファスナ24bを縫着している。
【0038】
さらに、上記一対のスライドファスナ24a,24bには、上端部から下方へスライドするに従って、一対のスライドファスナ24a,24bを互いに離間可能とするスライダ24cを備えている。
【0039】
また、上記背面シート部16dには、図4、及び、図5に示すように、その内部に上述した板状芯材39を備えている。
これにより、上記背面シート部16dは、その下端部を枢動軸として外側に倒伏させると、地面に対して傾斜した状態で接地することができ、さらに、その状態でペットが載上しても撓んだりせずにペットを支持可能な強度を備えている。
【0040】
また、図1、及び、図3に示すように、上記右側面シート部16a、及び、上記左側面シート部16b、及び、前面シート部16cのそれぞれには、適宜、ネット状窓部25を構成している。ネット状窓部25は、ネット状に形成した塩化ビニール(PVC)製のネット状部材により構成している。
【0041】
また、図2、及び、図6に示すように、上記2本の把持棒26(26a,26b)は、それぞれが互いに平行に右側面シート部16aと左側面シート部16bとの各上端部に1本ずつ配設されている。
具体的に、上記右側面シート部16a、及び、左側面シート部16bにおける、それぞれの上端部には、前後方向に連通した連通孔27を形成している。上記連通孔27は、上記上端部を内側に筒状の空間が構成されるよう折り返して縫着することにより形成している。
【0042】
上記把持棒26は、金属製パイプにより構成され、上記連通孔27に挿通することにより、収容シート14に取り付けられている。さらに上記把持棒26の軸方向の両端側には、樹脂製の有底円筒状部材を嵌め込んで把持部28を構成している。
さらにまた、上記把持棒26は、上記連通孔27に挿入したとき、把持部28を含めた軸方向の両端側部分が上記連通孔27から突き出し可能な長さで構成されている。
【0043】
また、図2、及び、図4に示すように、上記底面シート部15には、ペットを支持可能なペット載置用マット31が載置されている。上記ペット載置用マット31は、2層構造の板状部材33で平面視長方形状に構成し、さらに、該板状部材33を袋状に形成した被覆カバー32に収容して構成している。上記板状部材33は、下側に上述した板状芯材33aを配し、上側にウレタン部材33bを配してこれらを一体とした構成をしている。
【0044】
上記被覆カバー32のマチ部分(外周縁部)には、該被覆カバー32に対して上記板状部材33を出し入れ可能に開口したマット開口部Hを形成し、さらに、マット開口部Hの両縁部には、一対のスライドファスナ34a,34bにおける一方のスライドファスナ34aと他方のスライドファスナ34bをそれぞれ縫着してマット開口部Hを開閉可能に構成している(図2参照)。
【0045】
さらに、上記ペット載置用マット31は、合計4つのマット把持部35を備えている。上記マット把持部35は、上記被覆カバー32のマチ部分における長辺部に、帯状部材を逢着することにより構成している。
【0046】
続いて、上記カート本体12の構成について説明する。
上記カート本体12は、図2に示すように、折り畳みが可能に全体を台車型に構成している。具体的に、金属製フレームを組み合わせた本体フレーム40を備え、該本体フレーム40の前後各側の下部には、左右一対の車輪36(前輪36a,後輪36b)を備えている。さらに、本体フレーム40の後方上部には、開口カバー部材37を収容シート14の上面開口部A1の上方で張架可能にコンパクトに巻装されている。
【0047】
上記本体フレーム40は、上記収容シート14における上記底面シート部15を接地可能とする底面フレーム41を備えている。さらに、上記本体フレーム40は、該底面フレーム41の後端から起立状態に構成された後側起立フレーム42を備えるとともに、底面フレーム41の前端から起立状態に構成された前側起立フレーム43を備えている。
【0048】
後側起立フレーム42、及び、前側起立フレーム43は、前後方向の各側で互いに対向した状態で構成され、いずれも正面視したとき、幅方向の両端部が上下方向に配され、さらに、上端部がペット用カート11の幅間において一体に連結した門形の形態で構成している。
【0049】
さらにまた、後側起立フレーム42は、その上側部分が後傾し、該上側部分にウレタン部材を囲繞した手押し用ハンドル部44を構成している。
また、本体フレーム40は、図2中矢印で示したように、後側起立フレーム42と前側起立フレーム43を底面フレーム41側へ倒伏した状態に折り畳み可能に構成している。
【0050】
後側起立フレーム42と前側起立フレーム43とは、同様の折り畳み構造であるとともに、公知の折り畳み構造を採用しているため、ここでは前側起立フレーム43の折り畳み構造のみについて簡単に説明する。
【0051】
前側起立フレーム43の基端部は、底面フレーム41に取り付けられたブラケット45に枢動自在に枢着されている。このブラケット45の幅間には、枢動規制フレーム46を横架し、該枢動規制フレーム46は、バネ47の付勢力によって前側起立フレーム43が起立状態を維持するよう規制している。
前側起立フレーム43は、この枢動規制フレーム46を踏みつけるなどして該枢動規制フレーム46による規制を解除して底面フレーム41側へ倒伏させることができる。
なお、底面フレーム41における右側外周縁部の中途部には、上述したように折り畳んだ状態のカート本体12を把持可能な取手部材49を螺着している。
【0052】
また、図2、及び、図7に(a),(b)に示すように、上記後側起立フレーム42、及び、前側起立フレーム43には、それぞれ上記把持棒26を係止可能とする係止受け部材48を合計4つ備えている。
上記係止受け部材48は、合成樹脂製であり、上記把持部28を下側から支持した状態で係止する係止受け部48aを備えている。該係止受け部48aは、その先端部を上方へ突き出した形態で形成している。
上記係止受け部材48は、上記後側起立フレーム42と前側起立フレーム43とにおける幅方向の両側に取り付けられている(図2参照)。収容シート14のカート本体12への取り付けは、図7(a),(b)に示すように、把持棒26を係止受け部48aに載置するだけで係止しておくことができる。
なお、図7(a),(b)は、いずれも把持棒26を係止受け部材48に取り付ける説明図であり、図7(a)は、把持棒の軸方向の両端側を示し、図7(b)は把持棒の軸方向について正面視した状態を示す。
【0053】
このとき収容シート14は、底面シート部15が底面フレーム41上に載置され、右側面シート部16a、左側面シート部16b、前面シート部16c、背面シート部16dが、いずれもが略弛緩することなく懸吊された状態で取り付けられる(図1参照)。
【0054】
さらに、2本の把持棒26は、それぞれ互いに水平、且つ、平行な状態で幅方向の各側において、前後方向の各側に有する2つの係止受け部材48に載架させることができる。
【0055】
また、上記開口カバー部材37は、その後端部が手押し用ハンドル部44に帯状部材71により垂下した状態で取り付けられている。さらに、上記開口カバー部材37は、上面開口部A1と同じ大きさ、形状をした正面視長方形状で形成し、使用時には、図8に示すように、上面開口部A1の上方で該上面開口部A1と対向した状態で張架され、この状態で取り付けカート本体12、収容シート14に固定する固定手段50を備えている。
なお、図8は、開口カバー部材37を張架した状態のペット用カート11の外観図を示す。
【0056】
上記固定手段50は、前端部側の前方固定手段51、後端部側の後方固定手段54、左右各端側の側方固定手段57とで構成している。
【0057】
前方固定手段51は、図8、図3、及び、図4に示すように、帯状部材52と合成樹脂製の係止フック53とで構成し、上記帯状部材52の長さ方向の一端部は、上記開口カバー部材37の前端部の幅方向の両側に縫着している。上記帯状部材52の長さ方向の他端部は、上記係止フック53が取り付けられ、前側起立フレーム43の上端部に係止可能に構成している。
【0058】
上記後方固定手段54は、帯状部材55と一対の面ファスナ56a,56bとで構成し、上記帯状部材55の長さ方向の一端部は、上記開口カバー部材37の幅方向の中間部に縫着している。上記帯状部材55の長さ方向の他端部は、上記一対の面ファスナ56a,56bにおける一方の面ファスナ56aを縫着している。さらに、上記一対の面ファスナ56a,56bにおける他方の面ファスナ56bは、背面シート部16dの上端部、及び、帯状部材52の基端部のそれぞれに上記一方の面ファスナ56aと係合可能に縫着している。
【0059】
さらに、側方固定手段57は、帯状部材58と一対の面ファスナ59a,59bとで構成し、上記帯状部材52の長さ方向の一端部は、上記開口カバー部材37の前後方向の中間部に縫着している。上記帯状部材52の長さ方向の他端部は、上記一対の面ファスナ59a,59bにおける一方の面ファスナ59aを縫着している。さらに、上記一対の面ファスナ59a,59bにおける他方の面ファスナ59bは、左側面シート部16b、及び、右側面シート部16aの上端部にそれぞれ縫着している。
【0060】
また、図1に示すように、カート本体12には、ブレーキ62を備えている。ブレーキ62は、主に、ブレーキロック部材62aとブレーキレバー62bを備えて構成している。
【0061】
ブレーキロック部材62aは、板状の部材からなり、左右各側の後輪18b,18bの回動を停止可能に左右各側の下部に取り付けられている。一方、ブレーキレバー62bは、手押し用ハンドル部44に取り付けられている。ブレーキロック部材62aとブレーキレバー62bとは、これら間に配したケーブルによって連結されている。上記ケーブルは、アウターの内部にワイヤーを挿通させた構成をしている。
【0062】
上記ブレーキ62は、ブレーキレバー62bを把持することによりケーブル内部のワイヤーから伝達される張力を利用してブレーキロック部材62aを後輪18bへ当接するよう作動させる公知のブレーキシステムである。
【0063】
なお、ブレーキロック部材62aは、ブレーキレバー62bを放した状態においてバネの付勢力により元の退避位置に退避する。
【0064】
その他、カート本体12における底面フレーム41における前方側の幅方向両側の隅部には、ゴムなどで構成した緩衝部材63を固着している。
【0065】
以下では、上述した構成のペット用カート11の作用、効果について説明する。
本実施形態のペット用カート11は、上述したように、該カート本体12から取り外してペットを持ち運び可能に構成した担架部材13を備えている。
【0066】
このため、本実施形態のペット用カート11は、例えば、カート本体12を押し進めながら自宅から病院までペットを移動させ、さらにその後、図11に示すように担架部材13をカート本体12から取り外して病院内でペットPを持ち運ぶことが可能となる。
【0067】
従って、例えば、高齢や病気などで歩行が困難なペットを、カート本体12では進行することのできない例えば、段差の有する場所を移動する場合であっても、担架部材13によりペットPを容易に持ち運ぶことができる。
【0068】
さらに、担架部材13をカート本体12から取り外して持ち運び、地面に接地させてもよい。この状態で図6に示すように収容シート14を展開させることにより、高齢などによりカート本体12と地面との段差を越えることが困難なペットPであっても負担なくペット用カート11に対する乗り降りをさせることができる。
【0069】
殊に、上記担架部材13は、その前後方向の両側に人を配し、該各人が左右各側の把持部28を両手で把持して持ち運ぶことになるため、ペットPが大型であっても、或いは、階段など歩行し難い場所であっても、安定した状態で容易に持ち運ぶことができる。
【0070】
さらに、本実施形態のペット用カート11は、上述したように係止受け部材48に把持棒26を載架させるだけで容易に係止することができる。しかも、担架部材13は、右側面シート部16a、左側面シート部16b、前側面シート部、及び、背面シート部16dが弛緩せずに懸吊した状態でカート本体12に取り付けることができる。
【0071】
よって、ペットPをしっかりと収容することができるとともに、良好な見栄えで取り付けることができる。
【0072】
また、本実施形態のペット用カート11は、上述したように底面シート部15に上記ペット載置用マット31を備えている。
【0073】
このため、図10に示すように上記ペット載置用マット31上にペットが載置した状態で、上記マット把持部35を把持して、ペットの下側からペットごと該ペット載置用マット31を持ち上げることができる。このため、例えば、病院の診察台など、人間の腰部相当以上の比較的高低差の有する高さであっても、容易に持ち上げることができる。
なお、図10は、ペットを持ち上げる様子を説明する説明図である。
【0074】
また、ペット載置用マット31は、まず、収容シート14を適宜、カート本体12に取り付けた状態で図6に示すように展開状態としてから持ち上げてもよい。これにより、マット把持部35を把持し易くなり、ペット載置用マット31とともにペットを容易に持ち上げることができる。
【0075】
また、本実施形態のペット用カート11は、上述したように、前面シート部16c、背面シート部16d、右側面シート部16a、左側面シート部16bにおける、それぞれの対向端部に一対のスライドファスナ24a,24bを形成している。このため、一対のスライドファスナ24a,24bの係合を離間させることにより、収容シート14は、立体形状から適宜、図6に示すように側面シート部が倒伏した展開形状にすることができる。
よって、上記収容シート14は、不使用時にコンパクトに収容することができる。
【0076】
さらに、側面シート部における、例えば、背面シート部16dのみを部分的に開口させて背面開口部A2を構成し、該背面開口部A2を通じてペットを、出し入れをすることができる。
【0077】
これにより、上記収容シート14に対してペットを持ち上げて上面開口部A1からペットを出し入れする労力を省くことができ、カート本体12の乗り降りを自主的に行えるペットに有効である。
【0078】
殊に、本実施形態のペット用カート11は、背面シート部16dに上記板状芯材を備えている。
【0079】
このため、まず、図11(a)に示すように背面シート部16dの幅方向の両端部においてスライダ24cを降下させて一対のスライドファスナ24a,24bのそれぞれを離間させることにより、背面開口部A2を構成する。
【0080】
さらに、図11(b)に示すように、背面シート部16dを外側へ倒伏させることで、地面に対して傾斜した状態で接地させることができる。これにより、担架部材13をカート本体12に載置していることにより生じる段差を解消することができる。
【0081】
すなわち、ペットは、該背面シート部16d上をスロープとして歩行することにより、ペット用カート11対するペットの乗り降り容易に行うことができる。
【0082】
このため、カート本体12と地面との段差を跨ぐことが不可能であるが歩行することができるペットであれば、自主的にペット用カート11の乗り降りをすることができる。
【0083】
勿論、本実施形態のペット用カート11は、背面シート部16dに上記板状芯材39を備えて地面に対して傾斜した状態で接地可能に構成したが、背面シート部16dとともに、或いは、背面シート部16dの代わりに前面シート部16cをこのように上記板状芯材39を備えて地面に対して傾斜した状態で接地可能に構成してもよい。
【0084】
また、本実施形態のペット用カート11は、上記開口カバー部材37を備えている。
【0085】
上記開口カバー部材37は、前方固定手段51の係止フック53を前側倒伏フレーム43に係止するだけで容易に上面開口部A1の上方でしっかりと張架した状態で取り付けることができる。
【0086】
しかも、側方固定手段57、後方固定手段54とともに、開口カバー部材37を収容シート14に固定すればより一層、強固に取り付けることができ、風が吹いたりしても捲れたり外れたりせず、しっかりと取り付け状態を維持することができる。
【0087】
このため、上記開口カバー部材37は、収容シート14に収容したペットの日除け、雨除けとしてしっかりと機能させることができる。さらに、収容シート14に収容したペットが大型であっても上面開口部A1からペットが飛び出してしまうことも防止することができる。
【0088】
さらにまた、固定手段50は、面ファスナ56,59や係止フック53を係合させるだけで固定できるため、本体フレーム40に対しての着脱を容易に行えるため、上面開口部A1の上側で張架させたり、収容したりする行為を容易に行える。
【0089】
不使用時には、開口カバー部材37を巻いた状態で収縮させ、後方固定手段54の帯状部材55を面ファスナ56a,56bで固定することで、コンパクトに折り畳むことができる。
【0090】
また、上述した実施形態と、この発明の構成との対応において、この実施形態の係止受け部材48は、この発明の係止部に対応し、以下同様に、
前面シート部16c、又は/及び、背面シート部16dは、補助側面シート部に対応し、
板状芯材39は、芯材に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本実施形態におけるペット用カートの外観図。
【図2】本実施形態におけるペット用カートの構成説明図。
【図3】本実施形態におけるペット用カートの右側面図。
【図4】本実施形態におけるペット用カートの模式的に示した中央縦断面図。
【図5】本実施形態におけるペット用カートの背面図。
【図6】本実施形態における収容シートの構成説明図。
【図7】本実施形態におけるペット用カートの作用説明図。
【図8】本実施形態におけるペット用カートの他の外観図。
【図9】本実施形態におけるペット用カートの作用説明図。
【図10】本実施形態におけるペット用カートの作用説明図。
【図11】本実施形態におけるペット用カートの作用説明図。
【符号の説明】
【0092】
11…ペット用カート
12…カート本体
13…担架部材
14…収容シート
15…底面シート部
16a…右側面シート部
16b…左側面シート部
16c…前面シート部
16d…背面シート部
24a,24b…一対のスライドファスナ
26…把持棒
28…把持部
31…ペット載置用マット
35…マット把持部
37…開口カバー部材
50(51,54,57)…固定手段
A1…上面開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットを載せて進行可能に構成したカート本体を備えたペット用カートであって、
上記カート本体に、該カート本体から取り外してペットを持ち運び可能に構成した担架部材を備え、
上記担架部材は、ペットを収容する収容シートと、該収容シートの幅方向の両側で該収容シートを持ち運び可能に平行に配設された2本の把持棒とを備え、
上記収容シートは、ペットを載置する底面シート部と、該底面シート部に対して幅方向の両側に備えた側面シート部とで一体に構成し、
上記把持棒を上記カート本体へ係止可能な係止部を、上記カート本体における上記側面シート部が懸吊される高さ位置に構成した
ペット用カート。
【請求項2】
上記底面シート部に載置されるペット載置用マットを備え、
上記ペット載置用マットの外周側に該ペット載置用マット自体を持ち上げ可能とするマット把持部を形成した
請求項1に記載のペット用カート。
【請求項3】
上記底面シート部の幅方向に対して直角方向における両端部側の少なくとも一方の端部側に、フラップ状に突き出した補助側面シート部を形成し、
上記補助側面シート部と上記側面シート部との対向端部どうしを離間可能に固定する固定手段を上記収容シートに備えた
請求項1、又は、請求項2に記載のペット用カート。
【請求項4】
上記補助側面シート部にペットを下側から支持可能な芯材を備えた
請求項3に記載のペット用カート。
【請求項5】
上記収容シートの上側で開口した上面開口部を覆う開口カバー部材を上記カート本体に備え、
該開口カバー部材を折り畳み可能に構成した
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載のペット用カート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−237103(P2008−237103A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−81902(P2007−81902)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000137188)株式会社ボンビ (30)
【Fターム(参考)】