説明

ペット用排泄物処理材

【課題】2層構造の容器の上層に敷設されてシステムトイレを構成するペット用排泄物処理材であって、抗カビ剤を含まなくても充分な抗カビ性を有し、容器への尿由来の臭気の付着も抑制できるペット用排泄物処理材の提供。
【解決手段】(a)木粉と、(b)炭酸カルシウム及び/又は硫酸カルシウムと、(c)融点40℃以上のパラフィンワックスと、(d)結着剤とを含有し、前記(c)成分と前記(d)成分との合計量が3〜30質量%であり、前記(c)成分/前記(d)成分で表される質量比が0.17〜1.1であるペレット状のペット用排泄物処理材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペレット状のペット用排泄物処理材に関する。詳しくは、スノコにより上下に区分された2層構造の容器の上層に排泄物処理材を敷き詰め、下層に尿吸収シートを設置したペット用システムトイレに用いられる排泄物処理材に関する。
【背景技術】
【0002】
猫、犬等のペットの排泄物を処理するためのペット用トイレとしては、砂等の排泄物処理材を容器に敷き詰めたものが用いられている。このような用途に用いられる排泄物処理材には、尿や糞便の水分を吸収する吸水性が求められる。該排泄物処理材としては、砂に比べて軽く、吸水性にも優れることから、植物繊維を主成分とする材料を結着剤とともに成形してペレット状としたものが用いられるようになっている。
上記排泄物処理材には、吸収性のほかに、ある程度の期間そのまま使用されることから、ペットが排泄する尿や糞の臭気を抑制し、該トイレが設置されている室内空間に排泄物に由来する臭気を発散させない消臭性が求められる。また、尿に直接暴露されることから、尿による崩壊に対する耐久性が求められる。さらに、衛生上の問題から、ペットが排泄後に習性として行動する砂かき時に排泄物処理材が飛び散りにくい飛散防止性や、尿の付着によるカビの発生を抑制する抗カビ性が求められる。
上記の一つ又は複数の課題を解決するために、例えば特許文献1には、植物性繊維を含む廃棄物及び植物性の接合剤によって構成される動物用糞尿処理・消臭材が開示されている。特許文献2には、有機質繊維を主成分とし、該主成分に液体の油又はワックス又は同シリコーンを添加して加水圧縮造粒された吸水性粒状体からなる排泄物処理材が開示されている。特許文献3には、パーム油残渣と、全粉砕穀粒、使用済み胚、未使用胚、種子粗粉および粘度からなる群から選択される少なくとも1つの吸収剤とを含む動物用リターが開示されている。特許文献4には、木粉と乾燥おからと接着剤と無機充填剤とを含有する動物用糞尿処理剤が開示されている。
【0003】
近年、ペット用トイレとして、システムトイレが提案され、市販されるようになっている。室内用として標準的なシステムトイレとして、スノコにより上下に区分された2層構造の容器の上層にペレット状の排泄物処理材(以下、単にペレットということがある。)を敷き詰め、下層に尿吸収シートを設置したものが知られている。かかるシステムトイレでは、排泄された糞はペレット上に留まり、排泄された尿は大部分がペレットを通過して、下層部分に設置された尿吸収シートに吸収される。システムトイレは、ペレットを比較的長期間(たとえば数週間〜2ヶ月間)使用でき、交換頻度の低減により飼い主の手間や経済的負担やシステムトイレ容器の清掃負担が少ない、等の利点を有する。
システムトイレに用いられるペレットには、従来のペット用トイレ(容器が単層であるもの)に用いられるペレットと同様に、消臭性や耐久性、飛散防止性、抗カビ性が求められるが、従来のペット用トイレ用のペレットをそのままシステムトイレに適用した場合、その吸水性の高さに起因して、種々の問題が生じる。例えば、特許文献1に開示される動物用糞尿処理・消臭材を上記システムトイレで使用すると、吸尿によって該排泄物処理・消臭材が崩壊しやすく、取替え頻度が多くなる。また、崩壊物が容器全体に溜まることで容器に排泄物由来の臭気が付着しやすい。また、吸尿によってカビが発生しやすい。特許文献2に開示される排泄物処理材の場合、尿によって該排泄物処理材が崩壊しやすいため、崩壊物が下層部分に落下してシステムトイレの機能を損ない、排泄物処理剤材の取替え頻度も多くなる。さらに、システムトイレの清掃の際、崩壊物が容器全体に溜まることがあり、容器に臭気が付着しやすい。また吸尿によってカビが発生しやすい。特許文献3に開示される動物用リターの場合、吸尿によって該排泄物処理材が崩壊しやすく、排泄物処理材の取替え頻度が多くなり、また、崩壊物が容器全体に付着して、臭気の原因となる。また、植物由来粉砕物が大部分を占めているためカビが発生しやすい。さらに、排泄物処理材が軽くペットの砂かきによる飛び散りやすい。特許文献4に開示される動物用糞尿処理剤の場合、尿を吸入することで塊状化するので、スノコの目詰まり等の原因となるためシステムトイレに不向きである。また、前記と同様、カビが発生する、容器に臭気が付着しやすい問題を有している。
こうした問題に対し、システムトイレ用のペレットが提案されている。例えば特許文献5には、植物由来の素材の粉砕物を主構成基材とし、吸水率を特定したペット用排泄物処理剤が開示されている。特許文献6には、ゼオライト、セピオライトまたはアタパルジャイトの粒子をポリビニルアルコールで固化してなる複数の粒材からなる動物用トイレ砂が開示されている。また、各粒材に撥水処理を施すことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−271931号公報
【特許文献2】特開2008−136454号公報
【特許文献3】特表2009−539382号公報
【特許文献4】特開2010−17096号公報
【特許文献5】特開2006−204249号公報
【特許文献6】特開2006−246797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、本発明者らの検討によれば、特許文献5〜6に開示されるようなペレットの場合でも、実際にシステムトイレに適用した場合、ペレットにカビが発生しやすい問題や、ペレットが直接接触している容器に尿由来の臭気がつきやすい問題がある。
抗カビ剤を添加すればカビの発生は抑制できるが、ペットがペレットに直接接することを考慮すれば、抗カビ剤の添加は好ましくない。したがって、システムトイレの上層に敷設されるペレットには、抗カビ剤を含まなくても充分な抗カビ性を有することが求められる。また、飼育環境の快適性や容器の清掃負担の低減の点から、容器に尿由来の臭気が付きにくいことも求められる。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、2層構造の容器の上層に敷設されてシステムトイレを構成するペット用排泄物処理材であって、抗カビ剤を含まなくても充分な抗カビ性を有し、容器への尿由来の臭気の付着も抑制できるペット用排泄物処理材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、容器にニオイがつく原因として、吸尿によりペレットが崩壊し、その崩壊物が容器に付着する、または尿が吸収されずにペレット表面に残り、この尿が容器に付着することが、容器に尿由来の臭気がつく原因であることを見出した。例えば、特許文献5に開示されるペット用排泄物処理剤の場合、吸尿によって膨潤、崩壊してその崩壊物が容器に付着する。また吸尿しやすいことはカビの原因ともなる。さらに、該ペット用排泄物処理剤は飛散しやすい問題もある。特許文献6に開示される動物用トイレ砂の場合、撥水処理が施されていない場合は上記特許文献5のペット用排泄物処理剤と同様の問題が生じる。撥水処理が施されている場合、吸尿によるカビの発生は抑制できるものの、尿が吸収されずに表面に残り尿溜まりが形成されるため、該尿が容器に付着し、容器に尿由来の臭気がついてしまう。また、尿溜まりの形成された部分にカビが発生してしまう。
本発明は、上記知見に基づきなされたものであり、以下の態様を有する。
[1](a)木粉と、(b)炭酸カルシウム及び/又は硫酸カルシウムと、(c)融点40℃以上のパラフィンワックスと、(d)結着剤とを含有し、
前記(c)成分と前記(d)成分との合計量が3〜30質量%であり、前記(c)成分/前記(d)成分で表される質量比が0.17〜1.1であるペレット状のペット用排泄物処理材。
[2]前記(c)成分と前記(d)成分との合計量が3〜20質量%であり、前記(a)成分の含有量が40〜50質量%であり、前記(b)成分の含有量が40〜50質量%である(ただし前記(a)成分と前記(b)成分との合計量は97質量%以下である)、[1]記載のペット用排泄物処理材。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、2層構造の容器の上層に敷設されてシステムトイレを構成するペット用排泄物処理材であって、抗カビ剤を含まなくても充分な抗カビ性を有し、容器への尿由来の臭気の付着も抑制できるペット用排泄物処理材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】システムトイレの一例の構成を説明する概略断面図である。
【図2】実施例で消臭力の評価に用いた臭気評価用ボックスの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のペット用排泄物処理材(以下、単に排泄物処理材という。)は、以下の(a)〜(d)成分を含有する。
【0010】
[(a)成分]
(a)成分は木粉である。木粉としては、木材を切ったり削ったり切ったりした際に生じる木屑、木材または樹皮の粉砕物、それらの混合物等が挙げられる。ペレット木粉の色調の点から、木屑が好ましく用いられる。
原料となる木材または樹皮の種類は特に限定されず、針葉樹のものであっても広葉樹のものであってもよく、それらを併用してもよい。針葉樹としては、たとえばヒノキ、ヒバ、サワラ、アスナロ、タイヒ、ベニヒ、ネズコ、ベイヒバ等のヒノキ科、スギ、ヤクスギ、ベイスギ等のスギ科、アカマツ、カラマツ、トドマツ、ツガ、モミ等のマツ科、コウヤマキ、イヌマキ等が挙げられる。広葉樹としては、ユーカリ、クスノキ、センダン、マヌカ等が挙げられる。
(a)成分として用いられる木粉は、1種単独でも、2種以上でもよい。中でも、糞、尿に対する消臭力の観点から、ヒノキ科、スギ科又はマツ科の木粉が好ましく、ヒノキ科の木粉がより好ましく、ヒノキの木粉が特に好ましい。
(a)成分の形状は特に限定されず、粒状、針状等のいずれであってもよい。
(a)成分としては、粒子径1000μm以下の木粉が好ましく、粒子径20μm超710μm以下の木粉がさらに好ましい。粒子径が1000μm以下であるとペレットの成形性が良好で、耐久性が向上し、容器に尿のニオイがつきにくい。20μm超であると、取り扱い性が良好である。
同様の理由から、(a)成分の平均粒子径としては、200〜600μmが好ましく、30〜500μmがより好ましい。
ここで(a)成分の粒度分布は、篩い分けにより求められる。たとえば粒子径1000μm以下の木粉は、目開き1000μmのふるいを通過する木粉を意味し、粒子径20μm超710μm以下の木粉は、目開き710μmのふるいを通過し、目開き20μmの篩の上に残る木粉をいう。平均粒子径は、該篩い分けによる粒度分布から算出される粒度質量50%径を意味する。平均粒子径の測定方法の詳細は後述する。
排泄物処理材中の(a)成分の含有量は、排泄物処理材の総質量に対し、30〜60質量%が好ましく、40〜50質量%がより好ましい。(a)成分の含有量が30質量%以上であると、容器に尿のニオイがつきにくい。また、ペットの排泄した糞尿に対する消臭力も良好である。一方、60質量%以下であると、尿などの液体の吸収が抑制され、耐久性が向上し、使用時に排泄物処理材が崩壊しにくくなる。崩壊物はシステムトイレの容器に付着してニオイがつく原因となることから、崩壊が抑制されることで容器へのニオイの付着を抑制できる。また、排泄物処理剤の比重が小さくなるため、ペットの砂かけ行動時に飛び散りにくい。
【0011】
<平均粒子径の測定方法>
平均粒子径は、目開き1000μm、710μm、500μm、250μm、180μm、44μmの6段の篩と、受け皿とを用いた分級操作により測定できる。分級操作は、受け皿に、目開きの小さな篩から目開きの大きな篩の順に積み重ね、最上部の1000μmの篩の上から100g/回のサンプルを入れ、蓋をしてロータップ型篩い振盪機(株式会社飯田製作所製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、10分間振動させた後、それぞれの篩及び受け皿上に残留したサンプルを篩目ごとに回収して、サンプルの質量を測定する。そして、受け皿と各篩との質量頻度を積算してゆき、積算の質量頻度が50%以上となる最初の篩の目開きを「aμm」とし、aμmよりも一段大きい篩の目開きを「bμm」とし、受け皿から目開きaμmの篩までの質量頻度の積算値を「c%」、目開きaμmの篩上の質量頻度を「d%」とする。これらa〜dの値および下記(1)式により平均粒子径(質量50%径)を求め、サンプルの平均粒子径とする。
【0012】
【数1】

【0013】
[(b)成分]
(b)成分は炭酸カルシウム及び/又は硫酸カルシウムである。
(b)成分を含有することで、排泄物処理材のペレットの耐久性が向上し、容器に尿のニオイがつきにくくなる。また、比重が重くなるため、ペットの砂かけ行動時の排泄物処理材の飛び散りを抑制することが出来る。
(b)成分は炭酸カルシウムのみを用いても硫酸カルシウムのみを用いてもそれらを併用してもよい。
(b)成分としては市販されているものを使用できる。例えば、炭酸カルシウムとしては、日東粉化工業株式会社製の炭酸カルシウムNN#500、NS#100などを使用することができる。硫酸カルシウムとしては、無水物、0.5水和物、2水和物が市販されているがいずれも好適に使用することができる。例えば株式会社ノリタケカンパニーリミテド製のFT−2、D−101A、P−52Bなどを使用することができる。これらの炭酸カルシウム、硫酸カルシウムは1種、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
排泄物処理材中の(b)成分の含有量は、排泄物処理材の総質量に対し、30〜60質量%が好ましく、40〜50質量%がより好ましい。(b)成分の含有量が30質量%以上であると、耐久性が良好で、尿曝露時に崩壊してその崩壊物が容器に付着することによるニオイの付着を抑制できる。また、比重が充分に大きく、ペット排泄時における飛び散りが抑制される。60質量%以下であると、(a)成分を充分な量含有させることができるため、尿や糞のニオイに対する消臭効果が良好である。また、排泄物処理材がある程度の吸尿性を有するものとなるため、排尿時に排泄物処理材表面に尿が残りにくく、該尿による容器へのニオイの付着を抑制できる。
【0014】
[(c)成分]
(c)成分は融点40℃以上のパラフィンワックスであり、室温程度の温度においては固形である。
排泄物処理材が(c)成分を含有することで、排泄物処理材が尿を吸収しにくくなり、耐久性が向上する。これにより排尿時の崩壊が抑制され、容器に尿のニオイがつきにくくなる。
(c)成分の融点は、40℃以上であり、40〜75℃が好ましく、50℃〜65℃がより好ましい。融点が40℃未満では、排泄物処理材の耐久性が劣り、システムトイレの容器にニオイがつきやすくなる。また、抗カビ性が低下する。一方、融点が75℃を超える場合、ペレット製造時に各成分の均一混合のため融点以上に加熱することが必要となり、(a)成分中に含まれる消臭成分(精油成分等)の揮発により、消臭効果や抗カビ性が低下するおそれがある。
なお本明細書および特許請求の範囲において、パラフィンワックスの融点は、JIS K2235−1991に規定される融点試験方法(5.3)−パラフィンワックスの場合(5.3.1)に準拠して測定される値である。
(c)成分としては、通常、石油から分離されたものが用いられている。
(c)成分としては、市販されているものを使用できる。具体的に市販されているパラフィンワックスとしては、日本精▲蝋▼(株)製のSP−0110(融点44℃)、SP−0145(融点62℃)、SP−0160(融点71℃)等が挙げられる。この中でも、融点が62℃のSP−0145が好ましい。
(c)成分は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
排泄物処理材中の(c)成分の含有量は、排泄物処理材の総質量に対し、0.5〜15質量%が好ましく、1.7〜6.1質量%がより好ましい。(c)成分の含有量が0.5質量%未満であると耐久性が不充分になり、容器に尿のニオイがつきやすくなるおそれがある。一方、15質量%を超える場合、排泄物処理材が柔らかくなり耐久性が低下し、容器に尿のニオイがつきやすくなるおそれがある。
【0015】
[(d)成分]
(d)成分は結着剤である。
(d)成分は主に、(a)成分、(b)成分、(c)成分の相互の結着性を高めて耐久性を向上させるために使用される。
結着剤としては、澱粉類等の高分子化合物が挙げられる。
澱粉類として具体的には、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、小麦澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、ワキシースターチ、米澱粉が挙げられる。
澱粉類以外の高分子化合物としては、アルギン酸ナトリウム、プルラン、ゼラチン、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。
これらの(d)成分の中でも温度や湿度の影響を受けにくく、結着力に優れることから、澱粉類が好ましく、コーンスターチ、タピオカデンプンがより好ましい。
(d)成分としては、市販されているものを使用できる。たとえば市販されているコーンスターチとしては、敷島スターチ株式会社製、商品名:コーンスターチ(Y)等が挙げられ、タピオカデンプンとしては、日本食品化工株式会社製、商品名:日食MT−01等が挙げられる。
排泄物処理材中の(d)成分の含有量は、排泄物処理材の総質量に対し、1.6〜24質量%が好ましく、4.2〜11.5質量%がより好ましい。(d)成分の含有量が1.6質量%未満であると、結着性が弱く、耐久性が不充分になり、容器に尿のニオイがつきやすくなるおそれがある。一方、24質量%を超えると、排泄物処理材が柔らかくなり耐久性が低下し、容器に尿のニオイがつきやすくなるおそれがある。
【0016】
本発明において、排泄物処理材中の前記(c)成分と(d)成分との合計量(以下、(c)+(d)ということがある。)は3〜30質量%であり、前記(c)成分/前記(d)成分で表される質量比(以下、(c)/(d)ということがある。)は0.17〜1.1である。(c)+(d)は7〜15質量%が好ましい。(c)/(d)は0.3〜0.7が好ましい。
上記の(c)+(d)の範囲および(c)/(d)の範囲を満足することで、抗カビ性及び容器へのニオイのつきにくさを達成することができる。
(c)+(d)が3質量%未満では、排泄物処理材の結着性が不充分のため、耐久性が得られず、崩壊物がシステムトイレの容器に付着し、容器にニオイがつきやすくなる。一方、(c)+(d)が30質量%を超えると、結着性は得られるものの、排泄物処理材が吸尿しやすくなり、耐久性が低下し、崩壊物が容器に付着し、容器にニオイがつきやすくなる。
また、(c)/(d)が0.17未満では、排泄物処理材ペレットが吸水しすぎるため、カビの発生の原因となる。また、耐久性が低下し、崩壊物が排泄物容器に付着し、容器へのニオイがつきやすくなる。一方、(c)/(d)が1.1を超えると、排泄物処理材が吸尿しにくくなるために、排尿時に排泄物処理材表面に尿が残り、カビ発生の原因となる。また、排泄物処理材表面に残った尿が容器に付着して、容器にニオイがつきやすくなる。
排泄物処理材中、前記(a)成分と(b)成分との合計量(以下、(a)+(b)ということがある。)は97質量%以下であり、93質量%以下が好ましい。また、(a)+(b)は、70質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましい。
また、排泄物処理材中、(a)〜(d)成分の合計量は100質量%以下であり、70〜100質量%が好ましく、90〜100質量%がより好ましく、100質量%が特に好ましい。すなわち、排泄物処理材は(a)〜(d)成分からなることが特に好ましい。
【0017】
排泄物処理材は、本発明の効果を損なわない範囲で、(a)〜(d)成分以外の他の成分を含有してもよい。(a)〜(d)成分以外の任意成分としては、通常ペット用排泄物処理剤として用いられる公知の成分を使用でき、例えば、香料、活性炭、有機酸等の消臭機能を有する基材、ゼオライト、シリカ、粘土鉱物等の水不溶性無機化合物、着色剤、界面活性剤、キレート剤等が挙げられる。
【0018】
本発明の排泄物処理材はペレット状である。ペレットとは成形機で固めたものを示す。ペレットの形状は特に限定されないが、製造のしやすさ、使用性の面から、円柱状が好ましい。
本発明の排泄物処理材の寸法は、当該排泄物処理材がシステムトイレのスノコ上に敷設された際にスノコを通過しない大きさであればよい。例えば円柱状である場合、その直径は3〜7mmが好ましく、5〜6mmがより好ましい。またその長さは5〜20mmが好ましく、10〜15mmがより好ましい。この範囲であると、ペットが排泄用の砂と認識し排便排尿をスムーズに出来る。かつペットの肉球に挟まりにくく良好に使用することが出来る。
【0019】
本発明の排泄物処理材は、上記の各成分の混合物を成形機で固めることにより製造できる。また、成形機で固めたものをさらに粉砕してもよい。
上記の各成分の混合は、粉体混合でも、水等の液体成分を添加して行ってもよい。成形性(ペレットの形を整えやすい)の点で、混合時に水を添加することが好ましい。
成形機としては、特に限定されないが、転動造粒機、攪拌造粒機、圧縮造粒機、押出造粒機、破砕造粒機等が挙げられる。製造のしやすさ、形状の面から、押出造粒機が好ましい。
【0020】
本発明の排泄物処理材の比重は、1.8〜2.3が好ましく、2.0〜2.2がより好ましい。比重が1.8以上であると、容器に尿のニオイが付きにくく、抗カビ性が良好で、ペットの排尿後の砂かけ行動時における排泄物処理材の飛び散りが抑制される。比重が2.3以下であると、容器に尿のニオイが付きにくく、尿や糞のニオイに対する消臭効果も良好である。
排泄物処理材の比重は、JIS K1150−1994の水銀圧入法(5.2.2)の記載に準拠して測定される値である。
排泄物処理材の比重は、各成分の含有量、製造方法等により調節できる。たとえば(a)成分の含有量が多いほど比重が小さくなり、(b)成分の含有量が多いほど比重が大きくなる。
【0021】
本発明の排泄物処理材は、ペット用システムトイレに用いられる。すなわち、スノコにより上下に区分された2層構造の容器の上層にペレット状の排泄物処理材を敷設し、下層に尿吸収シートを設置したシステムトイレの前記排泄物処理材として用いられる。
図1に、システムトイレの一例の構成を説明する概略断面図を示す。本例のシステムトイレ1は、下層トレー2aおよびその上に載置された上層トレー2bから構成される容器2と、上層トレー2b内に敷設されたペレット状の排泄物処理材3と、下層トレー2aの底面上に設置された尿吸収シート4とを備える。上層トレー2bの底面は、尿は通過するが排泄物処理材3は通過しないスノコで構成されている。
システムトイレ1は、一般的に室内に設置されてペットの排泄物(尿、糞)の処理に用いられる。システムトイレ1が適用されるペットとしては、特に限定されないが、たとえばネコ、小型のイヌ等が挙げられる。特にネコ用として適している。
システムトイレ1の排泄物処理材3上でペットが排泄を行うと、糞はそのまま排泄物処理材3上に留まり、尿は大部分が排泄物処理材3および上層トレー2bの底面を通過して、下層トレー2aの底面に設置された尿吸収シート4に吸収される。
このシステムトイレ1の排泄物処理材3として本発明の排泄物処理材を用いることで、排泄物処理材に付着したペットの尿や糞からのニオイの発散を抑制する消臭効果が得られるほか、尿のニオイが容器2につくのを抑制できる。これは、本発明の排泄物処理材の耐久性が高く、尿に曝露されたときに崩壊しにくいこと、本発明の排泄物処理材がある程度の吸液性を有するため、曝露後、表面に尿溜まりが出来にくいこと、等によると考えられる。また、本発明の排泄物処理材は、抗カビ剤の添加無しでもカビが発生しにくい。さらに、ペットが排泄後の習性である砂かきを行った時の飛び散りが抑制されている。そのため、長期間(たとえば数週間〜2ヶ月間)使用でき、使用時の衛生上の問題(臭気やカビの発生、尿や糞の付着した排泄物処理材の飛び散り等)や清掃等の負担も少ない。
【実施例】
【0022】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の各例で使用した原料および測定方法を以下に示す。
【0023】
<(a)成分>
(a)−1:ヒノキおがくず、株式会社ヒノキ製(商品名:ヒノキおがくず)、粒度分布20μm〜1000μmが100%、平均粒子径400μm(質量50%径、測定方法は前述したとおり)。
<(b)成分>
(b)−1:炭酸カルシウム、日東粉化工業株式会社製(商品名:NN#500)。
(b)−2:硫酸カルシウム、株式会社ノリタケカンパニーリミテド製(商品名:FT−2(半水石膏))。
【0024】
<(c)成分>
(c)−1:パラフィンワックス(融点44℃)、日本精鑞株式会社製(商品名:SP−0110)。
(c)−2:パラフィンワックス(融点62℃)、日本精鑞株式会社製(商品名:SP−0145)。
(c)−3:パラフィンワックス(融点75℃)、日本精鑞株式会社製(商品名:SP−0160)。
(c)−4(比較品):流動パラフィン(融点0℃未満)、三光化学工業株式会社製(製品名:流動パラフィン、工業用タイプ、No.30)。
【0025】
<(d)成分>
(d)−1:コーンスターチ、敷島スターチ株式会社製(商品名:コーンスターチ(Y))。
(d)−2:タピオカデンプン、日本食品化工株式会社製(商品名:日食MT−01)。
(d)−3:ゼラチン、新田ゼラチン株式会社製(商品名:RBM11 BML)。
(d)−4:ポリアクリル酸ナトリウム、日本触媒株式会社製(商品名:アクアリックIH)
【0026】
<比重の測定方法>
ペレット(ペット用排泄物処理材)の比重は、JIS K1150−1994の水銀圧入法による測定(5.2.2)の記載に準拠して測定した。ただし、測定は、評価試料(ペレット1個)を20±2℃、12時間真空(1500Pa以下)下に置く前処理を行った直後に実施した。
【0027】
<パラフィンワックスの融点測定方法>
パラフィンワックスの融点は、JIS K2235−1991の融点試験方法(5.3)−パラフィンワックスの場合(5.3.1)に準拠して測定した。
【0028】
<実施例1〜25、比較例1〜8>
表1〜4に含有量(質量%)を示す各成分を、各含有量に従って、総量3kgとなるように70Lのポリエチレン製のビニール袋(株式会社岩井化成、商品名:FHD−70)に入れて、各成分が均一になるように手で2分間混合した(含有量の記載のない成分は用いなかった。)。混合後、得られた混合物の総量(100質量%)に対して5.7質量%に相当する量の水を加えて、さらに2分間均一となるように混合した。得られた混合物を、株式会社ダルトン製のディスク型押出装置のディスクペレッターF−5型(動力:200V3.7kW4P、軸回転速度120rpm)にて、直径5mmの開口及び18mmのプレート厚さのダイスを通じて押し出して、直径3〜7mm、長さ5〜20mmの円柱状のペレット(ペット用排泄物処理材)を得た。
【0029】
なお、上記各例では、ディスクペレッターでの押出造粒時に、圧力負荷により自然発熱した。押出造粒直後のペレットの表面温度を赤外温度計(株式会社エムケー・サイエンティフィック製、商品名:Combo放射温度計/中心温度計)で測定したところ、実施例1〜4、実施例6〜25、比較例1〜8のペレットの表面温度は67℃、実施例5のペレットの表面温度は80℃であった。
各成分の混合時に添加した水は、この押出造粒時に発生した熱により蒸発し、製造直後のペレットには残留していなかった。すなわち、原料単品の水分量および製造直後のペレットの水分量を赤外線水分計((株)ケット科学研究所製、機種:FD−600)により測定した結果、両者間に有意な差異が認められなかったことから、混合時に添加した水(5.7質量%)は押し出し造粒時にすべて蒸発したことを確認した。赤外線水分計での測定条件:サンプル表面温度を105℃、10分間に設定して、サンプル5g当たりの水分量を測定した。
各例で得たペレットを用いて以下の評価を行った。結果を表1〜4に示す。
【0030】
<尿の消臭力評価>
ペット用システムトイレの容器として、市販のもの(ユニ・チャーム株式会社製、商品名:1週間消臭・抗菌デオトイレ、ポリプロピレン製、サイズ(外寸):縦540mm×横420mm×高さ130mm)を用意した。この容器は、図1に示した容器2と同様に、スノコにより上下に区分された2層構造のものである。
また、ペット尿の代替(モデル尿)として成人男子の人尿を用意した。排泄した直後の尿を冷蔵保存(5℃)し、使用する前に38±2℃に調温し使用した。
また、臭気評価用ボックスとして、図2に示す構成のものを用意した。該臭気評価用ボックスは、厚さ5mmのプラスチック板で構成された箱で、大きさは縦650mm、横650mm、高さ1300mmである。四面の側面のうちの一面には2つの開口部(試料挿入口11および臭気評価口12)が設けられており、各開口部には開閉可能な蓋が取り付けられている。試料挿入口11は、側面の最下端に設けられており、その寸法は縦300mm、横550mmである。臭気評価口12は、側面の中央付近に設けられており、その寸法は縦350mm、横350mmである。
【0031】
ペレット3.5Lを硬質ガラス製のメスシリンダー(オーヨー株式会社製、商品名:メスシリンダー、容量2L)で量り取り、前記容器の上層のスノコ上に敷設し、以下の操作を行った。
120mLのモデル尿を硬質ガラス製のメスシリンダー(オーヨー株式会社製、商品名:メスシリンダー、容量200mL)で量り取り、敷設したペレットの上方から、ペレット全体にいきわたるようにふりかけた後、該ペレットをゴム製の手袋(ショーワグローブ株式会社製、商品名:ニューニトリル極薄手)をした手でかき混ぜた。
上記操作を1日に1回、1週間繰り返した後、使用したペレットが入った容器を臭気評価用ボックスの試料挿入口11から入れて、入口を閉じ、25±2℃の条件で30分間放置した。その後、臭気評価用ボックスの臭気評価口12を開け、尿の臭気強度をパネラー10名により下記評価基準で評価した。10名の評点の平均値を算出し、該平均値から下記判定基準により尿の臭気に対する消臭力を判定した(◎・○を合格、△・×を不合格とした)。
【0032】
[尿の臭気強度の評価基準]
5点:強烈なにおい。
4点:強いにおい。
3点:楽に感知できるにおい。
2点:何のにおいであるかわかる弱いにおい。
1点:やっと感知できるにおい。
0点:無臭。
[尿の消臭力の判定基準]
◎:0.0点〜0.9点。
○:1.0点〜1.9点。
△:2.0点〜2.9点。
×:3.0点〜5.0点。
【0033】
<糞の消臭力評価>
ペレット100mLを硬質ガラス製のメスシリンダー(オーヨー株式会社製、商品名:メスシリンダー、容量100mL)で、容量1.8Lの蓋付きガラス瓶(日本耐酸壜工業株式会社製、商品名:ハチミツ1.8L)に量り入れた。その上に猫糞1gを載せ、蓋をしてガラス瓶内を密封状態にした。室温(20〜26℃)で1日放置した後にガラス瓶の蓋を取り外し、糞の臭気強度をパネラー10名により下記評価基準で評価した。10名の評点の平均値を算出し、該平均値から下記判定基準により糞の臭気に対する消臭力を判定した(◎・○を合格、△・×を不合格とした)。なお、猫糞は、成猫が排泄した糞を、採取2日以内に使用した。
【0034】
[糞の臭気強度の評価基準]
5点:強烈なにおい。
4点:強いにおい。
3点:楽に感知できるにおい。
2点:何のにおいであるかわかる弱いにおい。
1点:やっと感知できるにおい。
0点:無臭。
[糞の消臭力の判定基準]
◎:0.0点〜0.9点。
○:1.0点〜1.9点。
△:2.0点〜2.9点。
×:3.0点〜5.0点。
【0035】
<ペット尿の容器へのニオイの付きにくさ>
上記の尿の消臭力評価を行った後の容器を90°〜180°傾けて容器内のペレットをビニール袋(株式会社岩井化成、商品名:FHD−70)に入れ、臭気が出ないようにビニール袋を密封した。その後、パネラー10名が、ペレットを取り除いた容器のスノコ上に鼻を20cmまで近づけて、尿の臭気強度を下記評価基準で評価した。10名の評点の平均値を算出し、該平均値から下記判定基準により尿の臭気に対する消臭力を判定した(◎・○を合格、△・×を不合格とした)。臭気強度の評価はペレットを取り除いた後5分以内に行った。
【0036】
[尿の臭気強度の評価基準]
5点:強烈なにおい。
4点:強いにおい。
3点:楽に感知できるにおい。
2点:何のにおいであるかわかる弱いにおい。
1点:やっと感知できるにおい。
0点:無臭。
[尿の消臭力の判定基準]
◎:0.0点〜0.9点。
○:1.0点〜1.9点。
△:2.0点〜2.9点。
×:3.0点〜5.0点。
【0037】
<ペレットの飛び散りにくさ>
ペレット3.5Lを硬質ガラス製のメスシリンダー(オーヨー株式会社製、商品名:メスシリンダー、容量2L)で量り取り、ペット用システムトイレの容器(上記の尿の消臭力評価で用いたのと同じもの)の上層のスノコ上に敷設し、13歳の日本猫(メス)の排泄物処理に使用した。排泄12回終了後に、容器の外へ飛び散ったペレットの個数をカウントし、その結果から、下記の基準で飛び散りにくさを判定した(◎・○を合格、△・×を不合格とした)。
[飛び散りにくさの判定基準]
◎:15個以下/日(飛び散った個数が少なく感じられる)。
○:16〜30個/日(飛び散った個数がやや少なく感じられる)。
△:31〜45個/日(飛び散った個数がやや多く感じられる)。
×:46個以上/日(飛び散った個数が多く感じられる)。
【0038】
<ペレットの耐久性>
容量100mLのガラス瓶(田沼硝子工業所製、商品名:PS−No.11)にペレット10g及び25±2℃に調温した蒸留水50mLを入れ、6時間放置した。その後、ガラス瓶内のペレットの崩壊度合いを目視観察し、下記の基準でペレットの耐久性を判定した(◎・○を合格、△・×を不合格とした)。
[耐久性の判定基準]
◎:ペレットが全く崩壊せずに、完全にペレット形状を保ち耐久性は極めて良好。
○:ペレットがほとんど崩壊せずに、ほぼペレット形状を保っており、耐久性は良好。
△:ペレットが少し崩壊し、ペレット形状が少し崩れており、耐久性がやや不充分。
×:ペレットの大部分が崩壊し、ペレット形状の大部分が崩れており耐久性が不充分。
【0039】
<抗カビ性>
ペレット3.5Lを硬質ガラス製のメスシリンダー(オーヨー株式会社製、商品名:メスシリンダー、容量2L)で量り取り、ペット用システムトイレの容器(上記の尿の消臭力評価で用いたのと同じもの)の上層のスノコ上に敷設し、以下の操作を行った。
120mLのモデル尿(上記の尿の消臭力評価で用いたのと同じもの)を硬質ガラス製のメスシリンダー(オーヨー株式会社製、商品名:メスシリンダー、容量200mL)で量り、敷設したペレットの上方から、ペレットの全体にいきわたるようにふりかけた後、該ペレットをゴム製の手袋(ショーワグローブ株式会社製、商品名:ニューニトリル極薄手)をした手でかき混ぜた。
上記操作を1日に1回、カビの発生が認められるまで60日間を限度として繰り返した。かき混ぜた後、次にモデル尿をふりかけるまでの間、ペレットが入っている容器は、25℃湿度60%の恒温室に保管した。カビの発生の有無は目視で観察することにより確認した。
モデル尿をかけはじめてからカビが観察されるまでの日数から、下記の判定基準により抗カビ性を判定した(◎・○を合格、△・×を不合格とした)。
[抗カビ性の判定基準]
◎:モデル尿をかけはじめてから60日経過してもカビが観察されない。
○:モデル尿をかけはじめてから40〜59日以内にカビが観察される。
△:モデル尿をかけはじめてから15〜39日以内にカビが観察される。
×:モデル尿をかけはじめてから14日以内にカビが観察される。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

【0043】
【表4】

【0044】
上記結果に示すとおり、実施例1〜25のペレットは、容器にニオイが付きにくく、飛び散りが抑制されており、耐久性が高く、抗カビ剤を含まないにもかかわらず良好な抗カビ性を有していた。
一方、(b)成分を含まない比較例1は容器にニオイが付きやすく、飛び散りやすく、耐久性、抗カビ性も悪かった。これは(b)成分を含まないことで比重が軽くなったことが一因と考えられる。(a)成分を含まない比較例2は、容器にニオイが付きやすく、消臭力が尿、糞ともに悪かった。また、抗カビ性も不良だった。(c)+(d)が2質量%の比較例3、32質量%の比較例4、(c)/(d)が1.20の比較例5、(c)/(d)が0.14の比較例6は、それぞれ、容器にニオイが付きやすく、耐久性、抗カビ性が悪かった。(c)成分の代わりに流動パラフィンを配合した比較例7〜8は、それぞれ、容器にニオイが付きやすく、耐久性が悪く、抗カビ性が不良だった。
【符号の説明】
【0045】
1…ペット用システムトイレ、2…容器、3…排泄物処理剤、4…尿吸収シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)木粉と、(b)炭酸カルシウム及び/又は硫酸カルシウムと、(c)融点40℃以上のパラフィンワックスと、(d)結着剤とを含有し、
前記(c)成分と前記(d)成分との合計量が3〜30質量%であり、前記(c)成分/前記(d)成分で表される質量比が0.17〜1.1であるペレット状のペット用排泄物処理材。
【請求項2】
前記(c)成分と前記(d)成分との合計量が3〜20質量%であり、前記(a)成分の含有量が40〜50質量%であり、前記(b)成分の含有量が40〜50質量%である(ただし前記(a)成分と前記(b)成分との合計量は97質量%以下である)、請求項1記載のペット用排泄物処理材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−147694(P2012−147694A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7144(P2011−7144)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【出願人】(597036477)ライオン商事株式会社 (12)
【Fターム(参考)】