説明

ペリミジン系スクアリリウム色素、色素含有組成物、及び画像形成材料

【課題】可視領域の吸収が小さいペリミジン系スクアリリウム色素を提供する。
【解決手段】ペリミジン系スクアリリウム色素には、少なくとも3種類の異性体(ピークAを示す異性体、ピークBを示す異性体、及びピークCを示す異性体)が存在し、ピークAを示す異性体、ピークBを示す異性体、及びピークCを示す異性体を、それぞれ「異性体A」、「異性体B」、及び「異性体C」と称すると、複数のピーク全て(ピークA、ピークB、及びピークC)のピーク面積合計に対して、ピークAのピーク面積の割合が95%以上である。ペリミジン系スクアリリウム色素の異性体のうち、異性体Aを95モル%以上含むものである。比較例の色素に比べて、750nmの相対吸光度及び410nmの相対吸光度が低い(すなわち可視領域の吸収が小さい)。比較例の画像形成材料に比べて、ΔE値が低く、ペリミジン系スクアリリウム色素が視認しにくい画像が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペリミジン系スクアリリウム色素、色素含有組成物、及び画像形成材料に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ワックスと、該ワックスと相溶性を有する結着樹脂を含有するトナーを用い、前記トナーによる未定着トナー像の前記定着媒体への定着の際に、該定着媒体の該定着トナー付着(転写)部分に対し非接触の加熱定着手段でトナーを加熱し(溶融)定着させる段階を含む画像形成方法が開示されている。
【0003】
特許文献2には、ペリミジン系スクアリリウム化合物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−248819号公報
【特許文献2】特開2010−184980号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、可視領域の吸収が小さいペリミジン系スクアリリウム色素を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、以下の本発明により達成される。
すなわち、請求項1に係る発明は、
逆相系高速液体クロマトグラフィーにより分析して得られる全ピークのうち、最も長い保持時間において現れるピークのピーク面積が、前記全ピークのピーク面積に対して95%以上である、下記式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素である。
【0007】
【化1】

【0008】
請求項2に係る発明は、
n−ヘキサン80体積%及びテトラヒドロフラン20体積%からなる混合溶媒に溶解させた溶液の吸収スペクトルにおいて、吸収波長が802nm以上808nm以下の範囲内に示される極大吸収における吸光度をAMAXとし、吸収波長が845nm、750nm、410nm、及び345nmにおける吸光度をそれぞれA845、A750、A410、及びA345としたとき、(A845/AMAX)の値が0.059以下であり、(A750/AMAX)の値が0.21以下であり、(A410/AMAX)の値が0.043以下であり、かつ(A345/AMAX)の値が0.063以下である、下記式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素である。
【0009】
【化2】

【0010】
請求項3に係る発明は、
請求項1又は請求項2に記載のペリミジン系スクアリリウム色素を含有する色素含有組成物である。
【0011】
請求項4に係る発明は、
請求項1又は請求項2に記載のペリミジン系スクアリリウム色素を含有する画像形成材料である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、前記ピーク面積の割合が前記範囲から外れる場合に比較して、可視領域の吸収が小さいペリミジン系スクアリリウム色素が提供される。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、AMAX、A845、A750、A410、及びA345の関係が前記条件を満たさない場合に比較して、可視領域の吸収が小さいペリミジン系スクアリリウム色素が提供される。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、前記ピーク面積の割合が前記範囲から外れる場合又はAMAX、A845、A750、A410、及びA345の関係が前記条件を満たさない場合に比較して、ペリミジン系スクアリリウム色素が視認されにくい色素含有組成物が提供される。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、前記ピーク面積の割合が前記範囲から外れる場合又はAMAX、A845、A750、A410、及びA345の関係が前記条件を満たさない場合に比較して、ペリミジン系スクアリリウム色素が視認されにくい画像が形成される画像形成材料が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ペリミジン系スクアリリウム色素を逆相系高速液体クロマトグラフィー法により分析した結果を示すグラフである。
【図2】図1のピークA(保持時間41.152分のピーク)を示すペリミジン系スクアリリウム色素の吸収スペクトル(実線)、図1のピークB(保持時間31.917分のピーク)を示すペリミジン系スクアリリウム色素の吸収スペクトル(点線)、及び図1のピークC(保持時間11.333分のピーク)を示すペリミジン系スクアリリウム色素の吸収スペクトル(一点鎖線)を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[ペリミジン系スクアリリウム色素]
本実施形態に係るペリミジン系スクアリリウム色素は、下記式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素(以下「ペリミジン系スクアリリウム色素」と称する場合がある)である。
【0018】
【化3】

【0019】
そして本実施形態のペリミジン系スクアリリウム色素は、逆相系高速液体クロマトグラフィー(以下「HPLC」と称する場合がある)により分析して得られるペリミジン系スクアリリウム色素に由来するピークのうち最も長い保持時間において現れるピーク(以下「ピークA」と称する場合がある)のピーク面積が、ペリミジン系スクアリリウム色素に由来する全ピークのピーク面積に対して95%以上である。
【0020】
また本実施形態に係るペリミジン系スクアリリウム色素は、n−ヘキサン80体積%及びテトラヒドロフラン20体積%からなる混合溶媒に溶解させた溶液の吸収スペクトルにおいて、吸収波長が802nm以上808nm以下の範囲内に示される極大吸収における吸光度をAMAXとし、吸収波長が845nm、750nm、410nm、及び345nmにおける吸光度をそれぞれA845、A750、A410、及びA345としたとき、(A845/AMAX)の値が0.059以下であり、(A750/AMAX)の値が0.21以下であり、(A410/AMAX)の値が0.043以下であり、かつ(A345/AMAX)の値が0.063以下である。
以下、ペリミジン系スクアリリウム色素をn−ヘキサン80体積%及びテトラヒドロフラン20体積%からなる混合溶媒に溶解させた溶液の吸収スペクトルを、単に「ペリミジン系スクアリリウム色素の吸収スペクトル」と称する場合がある。
また、前記(A845/AMAX)の値、(A750/AMAX)の値、(A410/AMAX)の値、及び(A345/AMAX)の値を、それぞれ「845nmの相対吸光度」、「750nmの相対吸光度」、「410nmの相対吸光度」、及び「345nmの相対吸光度」と称する場合がある。
【0021】
<HPLC分析>
以下、ペリミジン系スクアリリウム色素のHPLC分析について説明する。
図1に、ペリミジン系スクアリリウム色素をHPLCにより分析した結果を示す。なお、図1に示すグラフの横軸は保持時間(分)である。また図1に示すグラフの縦軸は検出強度であり、具体的には検出波長254nmにおける吸光度(mAbs)である。
【0022】
図1に示すグラフには、ペリミジン系スクアリリウム色素に由来する複数のピークが示されている。
上記複数のピークは、具体的には、保持時間が42±2分に現れるピーク(以下、「ピークA」と称する場合がある)、保持時間が32±2分に現れるピーク(以下、「ピークB」と称する場合がある)、及び保持時間が11±2分に現れるピーク(以下、「ピークC」と称する場合がある)によって構成されている。なお、上記保持時間は、小数点第1位を四捨五入して得られた値である。
【0023】
そして上記複数のピーク(ピークAからピークC)は、ペリミジン系スクアリリウム色素のうち、それぞれ異なる異性体に由来するピークであると考えられる。すなわち、ペリミジン系スクアリリウム色素には、少なくとも3種類の異性体(ピークAを示す異性体、ピークBを示す異性体、及びピークCを示す異性体)が存在すると考えられる。
以下、ピークAを示す異性体、ピークBを示す異性体、及びピークCを示す異性体を、それぞれ「異性体A」、「異性体B」、及び「異性体C」と称する場合がある。
【0024】
本実施形態では、上記の通り、上記複数のピーク全て(ピークA、ピークB、及びピークC)のピーク面積合計に対して、ピークAのピーク面積の割合が95%以上である。すなわち本実施形態のペリミジン系スクアリリウム色素は、ペリミジン系スクアリリウム色素の異性体のうち、異性体Aを95モル%以上含むものである。
以下、異性体Aを95モル%以上含むペリミジン系スクアリリウム色素を「特定色素」と称する場合がある。
なお、図1に示したグラフは、従来のペリミジン系スクアリリウム色素(すなわち、特定色素以外のペリミジン系スクアリリウム色素の一例)についてHPLC分析を行った結果である。具体的には、図1におけるピークAのピーク面積の割合が81.0%であり、ピークBのピーク面積の割合が2.6%であり、ピークCのピーク面積の割合が16.4%である。
【0025】
上記HPLCによる分析方法は以下の通りである。
まず、ペリミジン系スクアリリウム色素をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、1×10−4mol/L以下のTHF溶液を調製する。なお溶媒のTHFとしては、例えばHPLC用THFが用いられる。また上記THF溶液の調製においては、ペリミジン系スクアリリウム色素が溶解するように、例えばTHF溶液に超音波を30分照射してもよい。
【0026】
分析装置としては、例えば、逆相系高速液体クロマトグラフィー装置(HPLC装置、製造元:島津製作所、型番:LC−10A)が用いられる。
HPLC用カラムとしてはオクタデシルシリルカラム(ODSカラム)が用いられ、具体的には、例えば製造元:株式会社ケムコ、商品名:CHEMCOSORB、品番:5−ODS−H、内径:4.6mm、長さ:150mmのものが挙げられる。ここで、オクタデシルシリルカラムとは、オクタデシルシリル基で表面が修飾された化学結合型多孔性球状シリカゲルが固定相として充填されているカラムである。
また測定条件としては、例えば、カラム温度:45℃、測定サンプルの注入量:10μl、測定サンプルの流量:1ml/min、検出波長:254nm、移動相:アセトニトリルと水との混合溶液(体積比は、アセトニトリル:水=8:2)の条件が挙げられる。
色素含有組成物又は画像形成材料に含まれるペリミジン系スクアリリウム色素のHPLC分析を行う方法としては、例えば、色素含有組成物又は画像形成材料を溶媒に溶解させ、上記と同様にしてHPLC分析を行う方法が挙げられる。
【0027】
<吸収スペクトル>
以下、ペリミジン系スクアリリウム色素の吸収スペクトルについて説明する。
図2に、ペリミジン系スクアリリウム色素の前記3種類の異性体それぞれについて、n−ヘキサン80体積%及びテトラヒドロフラン20体積%からなる混合溶媒に溶解した溶液の吸収スペクトルを測定した結果を併せて示す。
具体的には、前記異性体Aの吸収スペクトル(図2中の実線)、前記異性体Bの吸収スペクトル(図2中の点線)、及び前記異性体Cの吸収スペクトル(図2中の一点鎖線)を図2に示す。
なお、図2においては、異性体Aの吸収スペクトルにおけるAMAX、異性体Bの吸収スペクトルにおけるAMAX、及び異性体Cの吸収スペクトルにおけるAMAXが同じ値となっている。
【0028】
図2に示すように、異性体Aの吸収スペクトル(すなわち、異性体Aが100モル%である特定色素の吸収スペクトル)は、前記極大吸収における吸収波長が805nmであり、845nm、750nm、410nm、及び345nmの相対吸光度はそれぞれ、0.047、0.19、0.040、及び0.047である。
また、図2に示された異性体B及び異性体Cの吸収スペクトルにおけるA845、A750、A410、及びA345の値はいずれも、それぞれ異性体Aの吸収スペクトルにおけるA845、A750、A410、及びA345の値よりも大きい値となっている。
よって、異性体Aの割合が少なくなればなるほど、相対的に異性体B及び異性体Cの割合が多くなるため、845nm、750nm、410nm、及び345nmのいずれにおいても、前記相対吸光度が大きくなると考えられる。
【0029】
そして本実施形態の特定色素においては、異性体Aの割合が95モル%以上であるため、845nm、750nm、410nm、及び345nmの相対吸光度はそれぞれ、0.059以下、0.21以下、0.043以下、及び0.063以下である。
【0030】
なお、図2に示された吸収スペクトルは以下のようにして測定されたものである。具体的には、まず、前記HPLC分析によって分離された異性体A、異性体B、及び異性体Cの溶液において、溶媒を除去することで、それぞれ異性体A、異性体B、及び異性体Cを得る。次に、異性体A5mgを上記混合溶媒100mlに溶解させた溶液、異性体B5mgを上記混合溶媒200mlに溶解させた溶液、及び異性体C5mgを上記混合溶媒300mlに溶解させた溶液をそれぞれ用意し、分光光度計(日立製作所製、型番:U4100)を用いて、25℃の条件で測定を行う。
ペリミジン系スクアリリウム色素におけるAMAX、A845、A750、A410、及びA345の値を求める場合も、上記方法と同様にして吸収スペクトルを測定し、前記AMAX、A845、A750、A410、及びA345の値を求める。
【0031】
また、後述する色素含有組成物又は画像形成材料中に含まれるペリミジン系スクアリリウム色素の吸収スペクトルを測定する方法としては、例えば、色素含有組成物又は画像形成材料からペリミジン系スクアリリウム色素を抽出し、得られたペリミジン系スクアリリウム色素の吸収スペクトルを上記と同様の方法により測定する方法が挙げられる。
例えば画像形成材料が電子写真用トナーである場合、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により分離精製することで、トナーからペリミジン系スクアリリウム色素のみを抽出し、上記方法により吸収スペクトルを測定する。
【0032】
以上説明した本実施形態のペリミジン系スクアリリウム色素(すなわち特定色素)は、特定色素ではないペリミジン系スクアリリウム色素(すなわち異性体Aの割合が95%未満であるペリミジン系スクアリリウム色素)に比べて、可視領域の吸収が小さいものとなる。その理由は、上記の通り、異性体B及び異性体Cが異性体Aに比べて相対的に400nm以上750nm以下の可視領域(以下単に「可視領域」と称する場合がある)の吸収が大きいため、異性体Aを95モル%以上含むことでペリミジン系スクアリリウム色素中に含まれる異性体B及び異性体Cの割合が少なくなり、結果として可視領域の吸収が小さいペリミジン系スクアリリウム色素となるからであると推測される。
【0033】
また、特定色素を画像形成材料に用いると、特定色素ではないペリミジン系スクアリリウム色素を用いた場合に比べて、ペリミジン系スクアリリウム色素が視認されにくい画像が得られる。
具体的には、例えばペリミジン系スクアリリウム色素以外の色材(以下「その他の色材」と称する場合がある)を用いない画像形成材料である場合、本実施形態の画像形成材料を用いて画像を形成すると、特定色素以外のペリミジン系スクアリリウム色素を含有する画像形成材料を用いて画像を形成した場合に比べて、画像自体が視認されにくくなる(すなわち不可視性の優れた画像が得られる)。
【0034】
一方、例えば画像形成材料に色をつける目的でその他の色材(特に可視領域に吸収を有する色材)を用いる場合は、本実施形態の画像形成材料を用いることで、特定色素以外のペリミジン系スクアリリウム色素を含有する画像形成材料を用いた場合に比べ、ペリミジン系スクアリリウム色素によって画像形成材料の色が邪魔されにくく、目的の色味が保たれやすくなる。
【0035】
またペリミジン系スクアリリウム色素は、750nmより大きく1000nm以下の範囲である赤外領域(以下、単に「赤外領域」と称する場合がある)における吸光度が高い色素である。そのため、本実施形態の画像形成材料を用いると、ペリミジン系スクアリリウム色素が視認されにくく、かつ、赤外領域の光を吸収しやすい画像が形成される。
よって、例えば本実施形態の画像形成材料を用い、波長760nm以上900nm以下の赤外光を画像形成材料に照射して画像形成材料を記録媒体等に定着させて画像を形成することで、定着性を確保しつつ、ペリミジン系スクアリリウム色素が視認されにくい画像が得られる。
また、例えば本実施形態の画像形成材料を用いて不可視情報を記録した場合、情報の不可視性と赤外領域の光(特に815nm±35nmの範囲の赤外光)による不可視情報の読み取りやすさとを両立した不可視情報が得られる。
なお、本明細書において、「不可視」とは、可視光において、目視により認識されにくい(即ち、理想的には不可視である)ことを意味する。
【0036】
さらに、特定色素を用いた色素含有組成物は、特定色素ではないペリミジン系スクアリリウム色素を用いた色素含有組成物に比べて、可視領域の吸収が小さく、ペリミジン系スクアリリウム色素が視認されにくいものとなる。
そのため、例えば本実施形態の色素含有組成物を、赤外線の吸収により発熱させる目的の塗料として用いると、特定色素ではないペリミジン系スクアリリウム色素を用いた場合に比べてペリミジン系スクアリリウム色素が視認されにくい塗膜が得られる。また、例えば本実施形態の色素含有組成物を、可視光を透過させつつ赤外線を遮断する目的の赤外線フィルターに用いると、特定色素ではないペリミジン系スクアリリウム色素を用いた場合に比べて可視領域の透過率が高い赤外線フィルターが得られる。
また前記の通り、ペリミジン系スクアリリウム色素は赤外領域における吸光度が高い。よって、例えば本実施形態の色素含有組成物を前記塗料として用いることで、ペリミジン系スクアリリウム色素が視認されにくく、かつ、赤外光を吸収しやすい塗膜が得られる。また、例えば本実施形態の色素含有組成物を前記赤外線フィルターに用いることで、可視領域の高い透過率と赤外領域の高い吸収率とを両立した赤外線フィルターが得られる。
【0037】
本実施形態においては、上記の通り、ペリミジン系スクアリリウム色素全体に対する異性体Aの割合が95モル%以上であるが、異性体Aの割合が多いほど望ましく、99モル%以上がさらに望ましく、100モル%が最も望ましい。
すなわち本実施形態では、HPLCの分析において、ペリミジン系スクアリリウム色素に由来するピーク全てのピーク面積合計に対して、ピークAのピーク面積の割合が95%以上であり、高いほど望ましく、99%以上がさらに望ましく、100%が最も望ましい。
そして本実施形態では、上記の通り、ペリミジン系スクアリリウム色素の吸収スペクトルにおいて、845nm、750nm、410nm、及び345nmの相対吸光度がそれぞれ、0.059以下、0.21以下、0.043以下、及び0.063以下であり、異性体Aそのものの前記相対吸光度の値に近いほど望ましく、それぞれ0.051以下、0.20以下、0.041以下、及び0.052以下であることがさらに望ましい。
【0038】
<ペリミジン系スクアリリウム色素の製造方法>
以下、上記本実施形態に係るペリミジン系スクアリリウム色素(特定色素)の製造方法について説明する。
特定色素の製造方法は特に限定されないが、例えば、従来の方法によってペリミジン系スクアリリウム色素を製造した後に、例えばカラムクロマトグラフィー等によって異性体を分離する工程(以下「分離工程」と称する場合がある)を経て、特定色素を得る方法(以下「第1の製造方法」と称する場合がある)や、後述するペリミジン中間体とスクアリン酸とを反応させる工程(後述する(A−2)工程)において特定の溶媒を用いることで、分離工程を経ずに特定色素を得る方法(以下「第2の製造方法」と称する場合がある)等が挙げられる。
上記第1の製造方法を用いることで、第2の製造方法を用いた場合に比べて特定色素における異性体Aの割合を制御することが容易となる。一方、上記第2の製造方法を用いることで、第1の製造方法を用いた場合に比べて、分離工程を経る必要が無いため特定色素の製造工程が単純化され、容易に特定色素が得られる。
なお、上記第2の製造方法によって得られた特定色素について、上記分離工程による異性体の分離をさらに行ってもよい。
【0039】
(第1の製造方法)
まず、第1の製造方法について説明する。
第1の製造方法は、上記の通り、従来の合成方法によって特定色素以外のペリミジン系スクアリリウム色素を得た後、分離工程によって異性体を分離することで、特定色素を得る方法である。
以下、従来の方法によってペリミジン系スクアリリウム色素を得る方法について説明する。
【0040】
−ペリミジン系スクアリリウム色素の合成−
式(I)で示される化合物は、例えば下記工程に従って合成される。
具体的には、まず、触媒の存在下で、1,8−ジアミノナフタレンと、2,6−ジメチル−4−ヘプタノンとを、溶媒中で共沸還流の条件で反応させることにより、ペリミジン中間体(a)が得られる((A−1)工程)。
(A−1)工程に使用する触媒としては、例えば、p−トルエンスルホン酸一水和物、ベンゼンスルホン酸一水和物、4−クロロベンゼンスルホン酸水和物、ピリジン−3−スルホン酸、エタンスルホン酸、硫酸、硝酸、酢酸等が挙げられる。
また、(A−1)工程に使用する溶媒としては、例えば、アルコール、芳香族炭化水素等が挙げられる。
ペリミジン中間体(a)は、例えば、高速カラムクロマトグラフィー又は再結晶により精製される。
【0041】
次に、ペリミジン中間体(a)と、3,4−ジヒドロキシシクロブタ−3−エン−1,2−ジオン(「スクアリン酸」又は「四角酸」とも呼ばれる。)とを、溶媒中で共沸還流の条件で反応させることにより、式(I)で示される化合物が得られる((A−2)工程)。(A−2)工程は、例えば窒素ガス雰囲気で行う。
【0042】
(A−2)工程に使用する溶媒としては、例えば、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン等の芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類が挙げられる。アルコール類は単独で使用してもよく、芳香族炭化水素、エーテル類、ハロゲン化炭化水素またはアミド類などの溶媒は、アルコール類と混合して使用してもよい。
(A−2)工程に使用する溶媒としては、上記溶媒のうち特に、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−プロパノールとベンゼンの混合溶媒、1−プロパノールとトルエンの混合溶媒、1−プロパノールとN,N−ジメチルホルムアミドの混合溶媒、2−プロパノールとベンゼンの混合溶媒、2−プロパノールとトルエンの混合溶媒、2−プロパノールとN,N−ジメチルホルムアミドの混合溶媒、1−ブタノールとベンゼンの混合溶媒、1−ブタノールとトルエンの混合溶媒、1−ブタノールとN,N−ジメチルホルムアミドの混合溶媒、2−ブタノールとベンゼンの混合溶媒、2−ブタノールとトルエンの混合溶媒、2−ブタノールとN,N−ジメチルホルムアミドの混合溶媒を用いてもよい。混合溶媒を使う場合、アルコール類の濃度は、1容量%以上が挙げられ、5容量%以上75容量%以下であってもよい。
【0043】
また、(A−2)工程において、3,4−ジヒドロキシシクロブタ−3−エン−1,2−ジオンに対するペリミジン中間体(a)のモル比(ペリミジン中間体(a)のモル数/3,4−ジヒドロキシシクロブタ−3−エン−1,2−ジオンのモル数)としては、例えば1以上4以下が挙げられ、1.5以上3以下であってもよい。
【0044】
また、(A−2)工程においては、脱水剤を用いてもよい。脱水剤としては、ペリミジン中間体(a)及び3,4−ジヒドロキシシクロブタ−3−エン−1,2−ジオンと反応しないものであれば特に制限されないが、例えば、オルト蟻酸トリメチル、オルト蟻酸トリエチル、オルト蟻酸トリプロピル、オルト蟻酸トリブチルなどのオルト蟻酸エステル、モレキュラーシーブ等が挙げられる。
【0045】
(A−2)工程における反応温度は使用する溶媒の種類によって異なるが、反応液の温度としては、例えば60℃以上が挙げられ、75℃以上であってもよい。例えば、1−ブタノールとトルエンの混合溶媒を用いる場合は、反応液の温度として、例えば75℃以上105℃以下が挙げられる。
【0046】
また、(A−2)工程における反応時間は、溶媒の種類又は反応液の温度によって異なるが、例えば1−ブタノールとトルエンの混合溶媒を用いて反応液の温度を90℃以上105℃以下として反応させる場合、反応時間としては、例えば2時間以上4時間以下が挙げられる。
【0047】
以上のようにして、ペリミジン系スクアリリウム色素が合成される。
なお、(A−2)工程で生成した式(I)で示される化合物(ペリミジン系スクアリリウム色素)は、溶媒洗浄又は再結晶により精製してもよい。
上記溶媒洗浄に用いられる溶媒は特に限定されず、具体的には、例えば、アルコール、アセトン、アセトニトリル、THF、テトラヒドロピラン、ジイソプロピルエーテル、クロロホルム、クロロベンゼン、蟻酸エチル、酢酸エチル等が挙げられる。
【0048】
−分離工程−
次に、前記分離工程について説明する。分離工程では、ペリミジン系スクアリリウム色素の異性体を分離することによって特定色素が得られる方法であれば特に限定されないが、例えばカラムクロマトグラフィーによって異性体を分離する方法が挙げられる。またカラムクロマトグラフィーによって異性体を分離する場合、用いられるカラムの種類としては、例えば、シリカゲルカラム、アルミナカラム等が挙げられる。
【0049】
カラムクロマトグラフィーによって異性体を分離する工程は、例えば以下のようにして行われる。
具体的には、例えば、まず充填剤の材料としてシリカゲル60N(球状、中性、粒径63−210μm)(関東化学株式会社製、型番:37565−84)を用い、内径65mm、長さ15cmの円筒状の充填カラムを準備する。
次に、展開溶媒としてn−ヘキサンを用いて充填剤を浸した後、分離するペリミジン系スクアリリウム色素1gを15mlのアセトンに溶解させた色素溶液を約40gの前記シリカゲル60Nに付着させ、アセトンを揮発させたものを充填カラムに加える。
【0050】
その後、展開溶媒として順次にn−ヘキサン、n−ヘキサン90体積%とTHF10体積%からなる混合溶媒、n−ヘキサン85体積%とTHF15体積%からなる混合溶媒、n−ヘキサン80体積%とTHF20体積%からなる混合溶媒を用いて前記カラムを流し、溶出液の吸収スペクトルを確認しながら802nmから808nmに極大吸収を示す成分を集めて溶媒を減圧蒸留し、得られた黒茶色の固体をさらにアセトンとn−ヘキサンの混合溶媒から再結晶することによって、特定色素が得られる。
【0051】
(第2の製造方法)
次に、第2の製造方法について説明する。
第2の製造方法は、上記の通り、前記ペリミジン系スクアリリウム色素の合成方法において、ペリミジン中間体とスクアリン酸とを反応させる工程(前記(A−2)工程)で用いる溶媒として特定の溶媒を用いることで、特定色素を得る方法である。
【0052】
前記(A−2)工程で用いる特定の溶媒としては、例えば、25℃における誘電率(以下、単に「誘電率」と称する場合がある)が16Fm−1以下であるアルコールと、上記誘電率が3Fm−1以下である低極性化合物又は無極性化合物と、を含む混合溶媒が挙げられる。
混合溶媒は、誘電率が上記範囲であるアルコール及び誘電率が上記範囲である低極性化合物又は無極性化合物以外の溶媒を含んでもよいが、含んでいない方がよりよい。特に、誘電率が上記範囲から外れるアルコール(すなわち極性の高いアルコール)については、混合溶媒に含まれない方が特定色素を得られやすく、仮に含んでいても3質量%以下であることがよい。
【0053】
上記誘電率が上記範囲であるアルコールとしては、例えば、1−ヘキサノール、ベンジルアルコール、1−ペンタノール、イソペンチルアルコール、シクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、1−オクタノール等が挙げられ、1種でもよく、2種以上用いられてもよい。また、上記アルコールの誘電率は、16Fm−1以下であってもよく、15Fm−1以下であってもよく、14Fm−1以下であってもよい。
上記低極性化合物又は無極性化合物としては、例えば、トルエン、ベンゼン、エチルベンゼン、キシレン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、オクタン、ノナン等が挙げられ、1種でもよく、2種以上用いられてもよい。また上記低極性化合物又は無極性化合物の上記誘電率は、3Fm−1以下であってもよく、2Fm−1以下であってもよい。
【0054】
上記混合溶媒の具体例としては、例えば、1−ヘキサノールとトルエンとの混合溶媒、1−オクタノールとトルエンとの混合溶媒、1−ヘプタノールとメチルシクロヘキサンとの混合溶媒等が挙げられる。
上記混合溶媒における誘電率が上記範囲であるアルコールの含有量は、例えば1質量%以上30質量%以下が挙げられ、3質量%以上20質量%以下であってもよい。
【0055】
以上説明した混合溶媒を(A−2)工程における溶媒として用い、前記第1の製造方法で説明した前記ペリミジン系スクアリリウム色素の合成方法を行うことにより、特定色素が得られる。また上記のように、第2の製造方法によって得られた特定色素を、さらに分離工程によって異性体を分離し、異性体Aの割合が高い特定色素を得てもよい。
【0056】
特定色素の粒子を得る方法としては、例えば、上記第1の製造方法又は上記第2の製造方法等によって得られた特定色素をテトラヒドロフランに溶かし、その溶液を注射器等によって氷冷した蒸留水に攪拌しながら注入して沈殿物を生成させ、その沈殿物を吸引濾過により濾取し、蒸留水で洗浄した後、真空乾燥することによって得る方法が挙げられる。このとき、溶液中に特定色素の濃度、溶液の注入速度、蒸留水の量又は温度、攪拌速度等を調整することにより、得られる沈殿物の粒子径が制御される。
【0057】
また、ミリング処理によって特定色素の粒子を得てもよい。具体的には、例えば、特定色素とテトラヒドロフランとジルコニアビーズとをボールミル用容器に入れ、ミリング処理を行うことにより特定色素の粒子が得られる。
上記特定色素の粒子における体積平均粒径としては、例えば10nm以上300nm以下が挙げられ、20nm以上200nm以下であってもよい。
【0058】
[色素含有組成物、画像形成材料]
本実施形態の色素含有組成物は、特に用途は限定されないが、具体的には、例えば、後述する画像形成材料の他に、赤外光の吸収により発熱する発熱体用の塗料や、可視光を透過させ赤外線を遮断する赤外線フィルター用のフィルター膜形成用組成物等が挙げられる。
本実施形態の色素含有組成物は、上記実施形態のペリミジン系スクアリリウム色素(特定色素)を含有するものであれば特に限定されず、目的に応じてその他の成分を含んでもよい。
【0059】
以下、本実施形態の色素含有組成物の一例である本実施形態の画像形成材料について説明する。
本実施形態の画像形成材料は、上記の通り特定色素を含有するものであり、必要に応じて特定色素以外の成分を更に含有してもよい。
画像形成材料全体に対する特定色素の含有量としては、例えば0.05質量%以上3質量%以下が挙げられ、0.1質量%以上2質量%以下であってもよい。
画像形成材料は特定色素を粒子として含有してもよい。画像形成材料中に含まれる特定色素の粒子は、例えば上述の範囲の体積平均粒径を有するものが挙げられる。
【0060】
本実施形態における画像形成材料の用途は特に制限されないが、例えば、電子写真用トナー、インクジェットプリンター用インク、又は活版印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、若しくはシルク印刷用のインクなどの用途が挙げられる。
【0061】
本実施形態の画像形成材料が電子写真用トナー(以下「トナー」と称する場合がある)である場合、画像形成材料を1成分現像剤として単独で用いてもよいし、キャリアと組み合わせた2成分現像剤として用いてもよい。キャリアとしては、例えば、芯材上に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリアが挙げられ、この樹脂被覆層には導電粉等が分散されていてもよい。
【0062】
また、本実施形態の画像形成材料がトナーである場合、当該画像形成材料は結着樹脂を含有してもよい。結着樹脂としては、例えば、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体又は共重合体が挙げられる。
その中でも特に代表的な結着樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等を結着樹脂として使用してもよい。
【0063】
また、本実施形態の画像形成材料がトナーである場合において、例えば760nm以上900nm以下の赤外光をトナーに照射して記録媒体等に定着させることで定着画像を形成する場合、上記結着樹脂として熱可塑性樹脂を用いてもよい。熱可塑性樹脂を用いることで、トナーを記録媒体上に定着させる工程においてトナーに照射された赤外光を特定色素が吸収して熱を発し、その熱によって上記熱可塑性樹脂が溶融することで、トナーが記録媒体上に定着されると考えられる。
【0064】
上記熱可塑性樹脂としては、天然由来の高分子からなる熱可塑性樹脂や、合成高分子からなる熱可塑性樹脂を、特に制限なく使用してもよい。また上記熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、エポキシ樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリブタジエン樹脂等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上混合して用いてもよい。これらの熱可塑性樹脂のうち、特に、特定色素がトナー中に分散しやすく、熱定着効率の高いトナーが得られる熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン−アクリル樹脂又はポリエステル樹脂が挙げられる。
【0065】
上記熱可塑性樹脂の重量平均分子量としては、例えば1000以上100000以下が挙げられ、5000以上50000以下であってもよい。
また、上記熱可塑性樹脂のガラス転移温度としては、例えば、50℃以上150℃以下が挙げられ、55℃以上70℃以下であってもよい。
【0066】
本実施形態の画像形成材料がトナーである場合、当該画像形成材料はその他の色材(例えば顔料等)を含有しなくてもよく、必要に応じてその他の色材を含有してもよい。
【0067】
また、本実施形態の画像形成材料がトナーである場合、当該画像形成材料は、必要に応じて帯電制御剤、オフセット防止剤等を更に含有してもよい。
帯電制御剤は正帯電用のものと負帯電用のものがあり、正帯電用の帯電制御剤としては、例えば、第4級アンモニウム系化合物が挙げられる。また、負帯電用の帯電制御剤としては、例えば、アルキルサリチル酸の金属錯体、極性基を含有したレジンタイプの帯電制御剤等が挙げられる。オフセット防止剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等が挙げられる。
【0068】
また、本実施形態の画像形成材料がトナーである場合、当該画像形成材料は、無機粒子又は有機粒子を外添剤としてトナー粒子の表面に添加したものであってもよい。無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、酸化セリウム等が挙げられる。無機粒子には、目的に応じて表面処理を施してもよい。有機粒子としては、例えば、フッ化ビニリデン、メチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート等を構成成分とする乳化重合体又はソープフリー重合体(無乳化剤乳化重合体)等が挙げられる。
【0069】
本実施形態の画像形成材料がトナーである場合、当該画像形成材料は、一般的なトナーの製法により製造される。トナーの製法としては、例えば、必要な材料を含んだ結着樹脂を溶融混練し粉砕する方法(混練粉砕法)、必要な材料を含む重合性モノマーを溶液中で重合し直接トナーを得る方法、必要な材料を含むモノマーを溶液中で重合し凝集することでトナーを得る方法、モノマーを重合した後必要な材料と共に凝集する方法、結着樹脂を粒子溶液中に分散し必要な材料と共に凝集する方法、等が挙げられる。
【0070】
本実施形態の画像形成材料がインクジェットプリンター用インクである場合、画像形成材料は、水を含有する水性インクの態様をとってもよい。また画像形成材料が水性インクである場合、インクの乾燥防止及び浸透性の向上のために、水溶性の有機溶剤を更に含有してもよい。
水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、純水等が挙げられる。
【0071】
また、有機溶媒としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、N−アルキルピロリドン類、酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール類、メタノール、ブタノール、フェノールのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物等のグリコールエーテル類等が挙げられる。使用される有機溶媒は1種類でも2種類以上でもよい。
有機溶媒は、吸湿性、保湿性、ペリミジン系スクアリリウム色素の溶解度、浸透性、インクの粘度、氷点等を考慮して選択される。インクジェットプリンター用インク中の有機溶媒の含有率としては、例えば、1重量%以上60重量%以下の範囲が挙げられる。
【0072】
また、本実施形態の画像形成材料がインクジェットプリンター用インクである場合、画像形成材料は必要に応じて添加物を含有してもよい。上記添加物としては、例えば、pH調製剤、比抵抗調製剤、酸化防止剤、防腐剤、防カビ剤、金属封鎖剤等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、アルコールアミン類、アンモニウム塩類、金属水酸化物等が挙げられる。また、比抵抗調製剤としては、例えば、有機塩類、無機塩類が挙げられる。金属封鎖剤としては、例えば、キレート剤等が挙げられる。
【0073】
また、本実施形態の画像形成材料がインクジェットプリンター用インクである場合、噴封ノズル部の閉塞やインク吐出方向の変化等が生じない程度に、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、スチレン−アクリル酸樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂等の水溶性樹脂を画像形成材料に含有させてもよい。
【0074】
本実施形態の画像形成材料が活版印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷又はシルク印刷用のインクである場合、当該画像形成材料はポリマーや有機溶剤を含有する油性インクの態様をとってもよい。
ポリマーとしては、例えば、蛋白質、ゴム、セルロース類、シエラック、コパル、でん粉、ロジン等の天然樹脂;ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等の熱可塑性樹脂;レゾール型フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。
また、有機溶媒としては、例えば、上記インクジェットプリンター用インクの説明において例示された有機溶媒が挙げられる。
【0075】
また、本実施形態の画像形成材料が活版印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷又はシルク印刷用のインクである場合、当該画像形成材料は印刷皮膜の柔軟性や強度を向上させるための可塑剤、粘度調整、乾燥性向上のための溶剤、乾燥剤、粘度調整剤、分散剤、各種反応剤等の添加剤を更に含有してもよい。
【0076】
また本実施形態の画像形成材料は、安定化剤を更に含有してもよい。安定化剤は、励起状態の特定色素からエネルギーを受け取るものであり、例えば特定色素の赤外領域における吸収帯よりも長波長側に吸収帯を有するものが挙げられる。また、安定化剤としては、一重項酸素による分解が起こり難く、特定色素との相溶性が高いものが挙げられ、具体的には、例えば有機金属錯体化合物が挙げられ、さらに具体的には、例えば、下記一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
【0077】
【化4】

【0078】
一般式(4)中、RからRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ置換又は未置換のフェニル基を示す。RからRで示されるフェニル基が置換基を有する場合、当該置換基としては、H、NH、OH、N(C2h+1、OC2h+1、C2h−1、C2h+1、C2hOH又はC2hOC2i+1(hは1から18の整数を示し、iは1から6の整数を示す)などが挙げられる。また、XからXは同一でも異なっていてもよく、それぞれO、S、Seを示し、YはNi、Co、Mn、Pd、Cu、Pt等の遷移金属を示す。
【0079】
上記一般式(4)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記式(5)で表される化合物が特に好ましい。
【0080】
【化5】

【0081】
安定化剤の添加量としては、例えば、特定色素の質量に対して1/10以上2倍以下の範囲が挙げられる。
【0082】
本実施形態の画像形成材料は、例えば、上記特定色素と、上述したその他の成分とを混合することによって得られる。
【0083】
本実施形態の画像形成材料は、前記の通り例えば、760nm以上900nm以下の赤外光を画像形成材料に照射して画像形成材料を記録媒体等に定着させることで、定着画像を形成する目的に用いてもよい。
上記赤外光の光源としては、例えば、半導体レーザー、固体レーザー、液体レーザー、ガスレーザー等が代表的に挙げられる。広く用いられているレーザーとしては、具体的には、例えばGaAsの半導体レーザーが挙げられ、これは808nmの波長の光を発射するものである。
【0084】
上記記録媒体としては、例えば、紙、カードや光記録媒体等のプラスチック媒体、布、金属板等が挙げられる。記録媒体の材質や特性は、定着時の熱に耐え得る範囲で、選択すればよい。
上記記録媒体に画像形成材料を塗布する方法としては、例えば、電子写真方式、インクジェット方式、活版印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、シルク印刷等が挙げられる。これらのうち、赤外光の照射によって加熱する目的に適した方法としては、画像形成材料が水等の媒体を含まない方法が挙げられ、具体的には、例えば、電子写真方式が挙げられる。
【0085】
本実施形態の画像形成材料を用いて前記定着画像を形成する方法としては、例えば、記録媒体に画像形成材料を塗布し、記録媒体の画像形成材料が塗布された面に、出力1J/cmのレーザー光を3ミリ秒照射することで画像定着を行う方法が挙げられる。
【0086】
また本実施形態の画像形成材料は、前記の通り、例えば不可視情報を記録する目的に用いてもよい。
本実施形態の画像形成材料を用いて記録された不可視情報は、例えば750nmより大きく1000nm以下の範囲におけるいずれかの波長で発光する半導体レーザーまたは発光ダイオードを光学読み取り用の光源として用い、近赤外光に高い分光感度を有する汎用の受光素子を使用することにより読み出される。受光素子としては、例えば、シリコンによる受光素子(CCD等)が挙げられる。
【0087】
本実施形態の画像形成材料は、不可視情報の記録に用いられる場合、例えば下記式(6)及び(7)で表される条件を満たすものであってもよい。下記式(6)及び(7)で表される条件を満たすことで、さらに情報の不可視性と不可視情報の読み取りやすさとが両立されると考えられる。
式(6):0≦ΔE≦7
式(7):(100−R)≧90
ただし、上記式(6)中、ΔEは下記式(8)で表されるCIE1976L*a*b*表色系における色差を示し、式(7)中、R(単位:%)は前記画像部における波長820nmの赤外線反射率を示す。
【0088】
【数1】



【0089】
上記式(8)中、L、a、bはそれぞれ画像形成前における記録媒体表面のL値、a値、及びb値を示し、L、a、bはそれぞれ前記画像形成材料を用いて付着量4g/mの定着画像を記録媒体表面に形成した時の画像部におけるL値、a値、及びb値を示す。
上記L、a、b、L、a、bは反射分光濃度計を用いて得られる。本実施形態においては、反射分光濃度計として、例えばエックスライト株式会社製、x−rite939を用いて測定される。
【実施例】
【0090】
以下に本実施形態を、実施例を挙げてより具体的に説明する。但し、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。
【0091】
[実施例1]
<ペリミジン系スクアリリウム色素IAの調製>
1,8−ジアミノナフタレン4.8g(98%、30mmol)、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン3.9g(98%、30mmol)、p−トルエンスルホン酸一水和物40mg(0.2mmol)、及びトルエン45mlの混合液を、窒素ガスの雰囲気中で攪拌しながら加熱し、110℃で7時間還流させた。反応中に生じた水を共沸蒸留により除去した。反応終了後、トルエンを留去して得られた暗茶色固体をアセトンで抽出し、アセトンとエタノールの混合溶媒から再結晶することにより精製し、乾燥することで、ペリミジン中間体(a)を7.625g(収率90%)得た。
【0092】
得られたペリミジン中間体(a)に、3,4−ジヒドロキシシクロブタ−3−エン−1,2−ジオン1.4g(12mmol)、n−ブタノール40ml、及びトルエン60mlの混合液を加え、窒素ガスの雰囲気中で攪拌しながら加熱し、105℃で3時間還流反応させた。反応中に生じた水を共沸蒸留により除去した。反応終了後、溶媒を窒素ガスの雰囲気中で留去し、得られた反応混合物を攪拌しながら、120mlのn−ヘキサンを加えた。生成した黒茶色沈殿物を吸引濾過し、n−ヘキサンで洗浄し、乾燥後黒茶色固体を得た。この固体をエタノールで洗浄し、式(I)で示される化合物であるペリミジン系スクアリリウム色素IAを6.2g(収率80%)得た。
【0093】
上述のようにして得られた化合物(ペリミジン系スクアリリウム色素IA)の赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)、H−NMR、及び13C−NMRによる測定結果を以下に示す。
【0094】
−赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)−
νmax=3392、2954、1617、1577、1541、1456、1367、1309、1226、1132、962、933、889、818、781、757、710、679、634、590、486、418cm−1
【0095】
H−NMRスペクトル(DMSO−d)−
δ=10.46、10.42(d、2H、NH);7.81、7.78(d、2H、Harom);7.38、7.36、7.33、7.31(m、2H、Harom);7.20(m、2H、NH);6.76、6.73(m、4H、Harom);6.51、6.49(m、2H、Harom);1.99(m、4H、CH);1.76、1.73、1.69、1.64(m、8H、CH);0.94(m、24H、CH
【0096】
13C−NMRスペクトル(DMSO−d)−
δ=149.31、144.95、133.95、117.41、48.56、24.40、23.19、21.90
【0097】
<特定色素1の調製>
得られたペリミジン系スクアリリウム色素IAを、以下のようにしてカラムクロマトグラフィーによる異性体の分離を行い、特定色素1を得た。
具体的には、まず充填剤の材料としてシリカゲル60N(球状、中性、粒径63−210μm)を用い、内径65mm、長さ15cmの円筒状の充填カラムを準備した。次に、展開溶媒としてn−ヘキサンを用いて充填剤を浸した後、分離するペリミジン系スクアリリウム色素1gを15mlのアセトンに溶解させた色素溶液を約40gのシリカゲル60Nに付着させ、アセトンを揮発させたものを充填カラムに加えた。その後、展開溶媒として順次にn−ヘキサン、n−ヘキサン90体積%とTHF10体積%からなる混合溶媒、
n−ヘキサン85体積%とTHF15体積%からなる混合溶媒、n−ヘキサン80体積%とTHF20体積%からなる混合溶媒を用いて前記カラムを流し、溶出液の吸収を確認しながら802nm〜808nmに極大吸収を示す成分を集めて溶媒を減圧蒸留し、得られた黒茶色の固体をさらにアセトンとn−ヘキサンの混合溶媒から再結晶することにより、特定色素1を0.5g得た。
【0098】
得られた特定色素1について前記方法によりHPLC分析を行った。ピークA、ピークB、及びピークCのピーク面積合計に対する、ピークAのピーク面積の割合(ピークAの面積比)、ピークBのピーク面積の割合(ピークBの面積比)、及びピークCのピーク面積の割合(ピークCの面積比)を表1に示す。
また得られた特定色素1について前記方法により吸収スペクトルの測定を行った。極大吸収波長、AMAXの値、845nm、750nm、410nm、及び345nmの相対吸光度の値を表1に示す。
【0099】
<画像形成材料1の調製>
−微粒子化(顔料化)処理−
特定色素1を50mg、テトラヒドロフラン(THF)を0.5mL、及び直径1mmのジルコニアビーズを10gボールミル用容器に入れ、1時間ミリング処理を行った。ボールミル用容器に水を加え、フィルターでろ過して、微粒子化した特定色素1を回収した。体積平均粒径は90nmであった。
【0100】
−スラリー作製−
微粒子化した特定色素1を4.8mg、12%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液を24μL、及び蒸留水を2.88mlを混合して超音波分散し、スラリーを調製した(超音波出力:4乃至5W、1/4インチホーン使用、照射時間30分)。スラリー中の試料濃度は0.165質量%であった。
【0101】
−スラリー塗布紙(評価用ラテックスパッチ)の作製−
上述のようにして得られたスラリー(試料濃度0.165質量%)37μL、40質量%ラテックス液(ポリスチレンアクリル酸n−ブチルの40質量%水溶液)15μL、及び蒸留水5mLの混合液を、ウルトラタラックスで分散化処理して、混合スラリーとした。得られた混合スラリーに凝集剤として10%ポリ塩化アルミニウム水溶液(PAC)を24μL加えて、擬似トナー分散液とした。
【0102】
得られた擬似トナー分散液を220nmフィルターでろ過し、画像形成材料1(色素ラテックス複合体)を得た。なお、画像形成材料1はトナーと同様な色特性を示す複合体である。この画像形成材料1を空気乾燥及び熱圧着(120℃)を行って、トナー載り量=4.5g/m、単位面積当たりの色素量(本実施例の特定色素1の量)=0.045g/m(画像形成材料1中の特定色素1の含有量1質量%に相当)の評価用ラテックスパッチ(評価用画像)を作製した。
【0103】
<画像形成材料1の評価>
−評価用ラテックスパッチの評価−
得られた評価用ラテックスパッチについて、反射分光濃度計(エックスライト株式会社製、x−rite939)を用いて測定し、上記式(8)で表されるCIE1976L*a*b*表色系における色差(ΔE)及び画像部における波長820nmの赤外線反射率(R)を求めた。結果を表2に示す。なお、上記赤外線反射率については、値が小さいほど赤外線吸収量が大きいことを意味する。
【0104】
[実施例2]
<特定色素2の調製>
実施例1の「ペリミジン系スクアリリウム色素IAの調製」において、n−ブタノール40ml及びトルエン60mlを用いる代わりに、n−ヘキサノール17ml及びトルエン83mlを用いた以外は、ペリミジン系スクアリリウム色素IAの調製と同様にして、特定色素2を得た。
【0105】
得られた特定色素2について前記方法によりHPLC分析を行った。ピークAの面積比、ピークBの面積比、及びピークCの面積比を表1に示す。
また得られた特定色素2について前記方法により吸収スペクトルの測定を行った。極大吸収波長、AMAXの値、845nm、750nm、410nm、及び345nmの相対吸光度の値を表1に示す。
【0106】
<画像形成材料2の調製>
特定色素1の代わりに特定色素2を用いた以外は、画像形成材料1と同様にして画像形成材料2を調製した。
また画像形成材料1の代わりに画像形成材料2を用いた以外は、実施例1と同様にして画像形成材料2の評価(色差及び赤外線反射率の測定)を行った。結果を表2に示す。
【0107】
[実施例3]
<特定色素3の調製>
実施例1の「ペリミジン系スクアリリウム色素IAの調製」において、n−ブタノール40ml及びトルエン60mlを用いる代わりに、n−ヘキサノールを30ml及びトルエンを70ml用いた以外は、ペリミジン系スクアリリウム色素IAの調製と同様にして、特定色素3を得た。
【0108】
得られた特定色素3について前記方法によりHPLC分析を行った。ピークAの面積比、ピークBの面積比、及びピークCの面積比を表1に示す。
また得られた特定色素3について前記方法により吸収スペクトルの測定を行った。極大吸収波長、AMAXの値、845nm、750nm、410nm、及び345nmの相対吸光度の値を表1に示す。
【0109】
<画像形成材料3の調製>
特定色素1の代わりに特定色素3を用いた以外は、画像形成材料1と同様にして画像形成材料3を調製した。
また画像形成材料1の代わりに画像形成材料3を用いた以外は、実施例1と同様にして画像形成材料3の評価(色差及び赤外線反射率の測定)を行った。結果を表2に示す。
【0110】
[比較例1]
<ペリミジン系スクアリリウム色素IBの調製>
実施例1の「ペリミジン系スクアリリウム色素IAの調製」において、n−ブタノール40ml及びトルエン60mlを用いる代わりに、n−ヘキサノールを35ml及びトルエンを65ml用いた以外は、ペリミジン系スクアリリウム色素IAの調製と同様にして、ペリミジン系スクアリリウム色素IBを得た。
【0111】
得られたペリミジン系スクアリリウム色素IBについて前記方法によりHPLC分析を行った。ピークAの面積比、ピークBの面積比、及びピークCの面積比を表1に示す。
また得られたペリミジン系スクアリリウム色素IBについて前記方法により吸収スペクトルの測定を行った。極大吸収波長、AMAXの値、845nm、750nm、410nm、及び345nmの相対吸光度の値を表1に示す。
【0112】
<画像形成材料4の調製>
特定色素1の代わりにペリミジン系スクアリリウム色素IBを用いた以外は、画像形成材料1と同様にして画像形成材料4を調製した。
また画像形成材料1の代わりに画像形成材料4を用いた以外は、実施例1と同様にして画像形成材料4の評価(色差及び赤外線反射率の測定)を行った。結果を表2に示す。
【0113】
[比較例2]
実施例1の「ペリミジン系スクアリリウム色素IAの調製」で得られたペリミジン系スクアリリウム色素IAをそのまま用いた。
ペリミジン系スクアリリウム色素IAについて前記方法によりHPLC分析を行った。ピークAの面積比、ピークBの面積比、及びピークCの面積比を表1に示す。
また得られたペリミジン系スクアリリウム色素IAについて前記方法により吸収スペクトルの測定を行った。極大吸収波長、AMAXの値、845nm、750nm、410nm、及び345nmの相対吸光度の値を表1に示す。
【0114】
<画像形成材料5の調製>
特定色素1の代わりにペリミジン系スクアリリウム色素IAを用いた以外は、画像形成材料1と同様にして画像形成材料5を調製した。
また画像形成材料1の代わりに画像形成材料5を用いた以外は、実施例1と同様にして画像形成材料5の評価(色差及び赤外線反射率の測定)を行った。結果を表2に示す。
【0115】
【表1】

【0116】
【表2】

【0117】
表1に示された評価結果から分かるように、実施例の特定色素においては、比較例の色素に比べて、750nmの相対吸光度及び410nmの相対吸光度が低い(すなわち可視領域の吸収が小さい)。
また表2に示された評価結果から分かるように、実施例の画像形成材料においては、比較例の画像形成材料に比べて、ΔE値が低く、ペリミジン系スクアリリウム色素が視認しにくい画像が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆相系高速液体クロマトグラフィーにより分析して得られる全ピークのうち、最も長い保持時間において現れるピークのピーク面積が、前記全ピークのピーク面積に対して95%以上である、下記式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素。
【化1】

【請求項2】
n−ヘキサン80体積%及びテトラヒドロフラン20体積%からなる混合溶媒に溶解させた溶液の吸収スペクトルにおいて、吸収波長が802nm以上808nm以下の範囲内に示される極大吸収における吸光度をAMAXとし、吸収波長が845nm、750nm、410nm、及び345nmにおける吸光度をそれぞれA845、A750、A410、及びA345としたとき、(A845/AMAX)の値が0.059以下であり、(A750/AMAX)の値が0.21以下であり、(A410/AMAX)の値が0.043以下であり、かつ(A345/AMAX)の値が0.063以下である、下記式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素。
【化2】

【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のペリミジン系スクアリリウム色素を含有する色素含有組成物。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のペリミジン系スクアリリウム色素を含有する画像形成材料。

【図1】
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【図2】
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