説明

ホストコンピュータとネットワーク型洗濯機とをブリッジするコントローラ

洗濯システムは、一緒にネットワーク化された複数台の洗濯機と、洗濯機から運転データ及び監査データを収集し、運転パラメータを使って洗濯機をプログラムする遠隔位置にあるホストコンピュータとを有する。ブリッジコントローラは、ホストコンピュータを洗濯機のネットワークとブリッジするために設けられ、有線又は無線ネットワーク接続を介してホストコンピュータと通信する。ホストコンピュータは、洗濯機からデータを収集するようブリッジコントローラに命令し、ブリッジコントローラを介してプログラミングデータを洗濯機へ送信してもよい。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
[0001]本発明は、一般に、商業洗濯システムに関し、特に、複数台のネットワーク型洗濯機と、洗濯機をプログラミングし、洗濯機から状態データ及び監査データを収集する中央ホストコンピュータとを備える洗濯システムに関する。
【発明の背景】
【0002】
[0002]商業洗濯システムは、洗浄機、脱水機、乾燥機、及び、回転乾燥機などの種々のタイプの多数の洗濯機を保有し得る。いつでも、機械は運転サイクル中の様々な状態にあり、各種の使用レベルを有し得る。機械の運転の監視と、機械の使用及び収益収集の監査は、もし人手によって行われるならば、非常に時間がかかり、骨の折れる作業であり、収集された情報が十分に最新であることを保証することは困難である。さらに、洗濯機は、その時々に、異なる運転パラメータを用いて再プログラムされる必要がある。パラメータを各機械へ手動で入力することは、間違いやすい非常に時間のかかる作業となり得る。
【0003】
[0003]コンピュータ化されたネットワーク化は、これらの問題を効果的に解決し、多数の洗濯機が、オペレータからの最低限の介入によって、常に監視、監査され、必要に応じて再プログラムされることを可能にする。ネットワーク型商業洗濯システムの1つの既存のフレームワークにおいて、複数台の洗濯機は、RS−485ネットワークのような、簡単な有線ネットワークを介して一緒に接続されている。ホストコンピュータもまた、洗濯機から状態及び監査情報を収集し、選択された運転パラメータを用いて機械をプログラムするために洗濯機のネットワークに接続されている。そのためには、各洗濯機は、ネットワークを介してデータパケットを送受信し、ホストコンピュータから受信されたコマンドを処理するようにプログラムされたマイクロプロセッサベースの機械制御回路を有する。ネットワーク経由で洗濯機と通信するため、パーソナルコンピュータ(「PC」)でもよいホストコンピュータは、洗濯機を一緒に接続するネットワーク上のネットワーク通信を取り扱うネットワークインターフェイスカードを装備している。
【0004】
[0004]この既存の洗濯システムのフレームワークに伴う1つの問題は、ホストコンピュータが洗濯機の有線ネットワークに接続されなければならないので、ホストコンピュータが洗濯機の近くに位置しなければならないことである。このことは、多くの場合にホストコンピュータを洗濯機の現場に置くことを要求する。これは、ホストコンピュータの改竄、窃盗、及び、破壊行為のような様々な問題を呈する可能性がある。ホストコンピュータの位置が制限されると、ホストコンピュータによって収集されたデータを回収し、現場でコンピュータにサービスを提供することもまたより困難になり得る。
【発明の概要】
【0005】
[0005]前述の内容に鑑みて、本発明の主要な目的は、ネットワーク型洗濯機が、ホストコンピュータの場所に著しい制限を要求することなく、ホストコンピュータと通信できるようにする新しいフレームワーク/アーキテクチャを提供することである。
【0006】
[0006]前述の主要な目的に基づいて、本発明の目的は、洗濯機が、イーサネットのような在来のネットワーク化環境内で動作するホストコンピュータと通信できるようにする洗濯システムのネットワーク化フレームワークを提供することである。
【0007】
[0007]本発明の関連した目的は、洗濯機との通信を取り扱うためにホストコンピュータにPCカードを搭載する必要がない、ネットワーク型洗濯機を有する洗濯システムのフレームワークを提供することである。
【0008】
[0008]上記の目的の延長として、本発明のさらなる目的は、ホストコンピュータを著しく変更する必要なしに、洗濯システムのフレームワークを実施するために必要とされるハードウェア及びソフトウェアを提供することである。
【0009】
[0009]これらの目的は、以下で詳述されるように、本発明によって達成される。
【0010】
[0010]添付の特許請求の範囲は本発明の特徴を詳細に記載するが、本発明及びその利点は、添付図面と併せて解釈される以下の詳細な説明から最もよく理解される。
【発明の詳細な説明】
【0011】
[0015]類似した番号が類似した要素を指すために使用される図面を参照すると、図1は、本発明の一実施形態における洗濯システム10の一般的なフレームワークを示している。図1に示されているように、洗濯システム10は、通信ネットワーク12を形成するように接続されている複数台の洗濯機11を含む。一実施形態では、ネットワーク接続は、シリアルマルチポイント通信回線のためのTIA/EIA規格であり、多数の機械をネットワーク通信用の比較的簡単なマイクロプロセッサベースの制御機器で接続するため特に適しているRS−485規格に基づいて形成されている。RS−485ネットワーク接続による洗濯機のネットワークは、以下の説明では、RS−485ネットワークと呼ばれることもある。ネットワーク通信を取り扱うため、各洗濯機11は、以下で詳述されるように、RS−485ネットワーク12経由でデータパケットを送受信し、受信データを処理する能力を備えたマイクロプロセッサベースの機械制御回路14を有する。一実施形態では、最大で250台の洗濯機をRS−485ネットワーク12によって接続することができる。洗濯機11には種々のタイプがあり、例えば、トップロード式及びフロントロード式洗浄機、脱水機、乾燥機、ならびに、回転乾燥機などが含まれる。
【0012】
[0016]本発明の一態様によれば、ネットワーク型洗濯機11は、RS−485ネットワークを介して通信パケット15、16を送受信することにより、ホストコンピュータ20と通信する。通信パケットは、任意の適当なプロトコルに基づいてフォーマット化されていればよい。RS−485ネットワークを介してデータパケットを送受信することにより、各洗濯機11はホストコンピュータ20と通信可能である。各洗濯機の機械制御回路14は、さらに、要求された情報を送信することにより、又は、受信されたプログラムコード又はパラメータに従って洗濯機をプログラミングすることにより、ホストコンピュータからのコマンドに応答する。
【0013】
[0017]ホストコンピュータ20は、好ましくは、イーサネットのような1つ以上の共通ネットワーク化規格のためのハードウェア及びソフトウェアを有するパーソナルコンピュータ(PC)において実施される。ホストコンピュータ20は、好ましくは、洗濯機が設置されている場所から遠隔位置にあるが、洗濯機と同じ現場に位置付けられていてもよい。本書において使用されているように、「遠隔」は、ホストコンピュータが洗濯機と同じ物理的位置(例えば、同じ部屋、又は、同じフロア)に存在しないことを意味し、ホストコンピュータ20と洗濯機11との間隔は、ネットワーク12を形成する有線プロトコルによって許可されている間隔より広くても構わない。ホストコンピュータ20は、洗濯機のRS−485ネットワーク12から独立したイーサネットネットワーク21のようなその固有のネットワーク上にある。
【0014】
[0018]本発明の特徴によれば、ブリッジコントローラ22は、ホストコンピュータ20と洗濯機全体のネットワーク12とをブリッジするために介在手段又は連絡手段として設けられ、ホストコンピュータとネットワーク型洗濯機との間で通信が流れることを可能にする。そのために、図示された実施形態では、ブリッジコントローラ22は、有線イーサネット接続23を介して、又は、無線イーサネット装置24を経由して無線でホストコンピュータ20のイーサネット21に接続されている。反対側では、ブリッジコントローラ22は洗濯機11のRS−485ネットワーク12に接続されている。ブリッジコントローラ22は、好ましくは、セットトップボックスと類似している特有の保護筐体25に収容され、ホストコンピュータのイーサネット21、及び、洗濯機11のRS−485ネットワーク12との接続用の適切なコネクタを保有している。
【0015】
[0019]ブリッジコントローラ22は複数の機能のために役立つ。第一に、ブリッジコントローラは、ホストコンピュータの物理的位置がRS−485規格による配線限界によってもはや制限されることがないので、ホストコンピュータ20を遠隔位置に設置するフレキシビリティを提供する。その結果、ホストコンピュータ20は、セキュリティ及び保護を強化し、同時に、許可されたオペレータが容易にアクセスできるように、洗濯機のフロアから離れた遠隔位置に設置可能である。第二に、ブリッジコントローラ22は、ホストコンピュータからイーサネット21経由で受信された通信パケット80をネットワーク型洗濯機において実施されている通信プロトコルに準拠して構築された1個以上の制御パケット16に変換し、洗濯機からの応答パケット15中のデータをホストコンピュータへの送信用の1個以上の応答メッセージ81に変換する。このようにして、ブリッジコントローラ22は、ホストコンピュータ20から洗濯機11へコマンド及びプログラミングデータを中継し、洗濯機11からホストコンピュータ20へ状態データ及び監査データを中継する。このことは、ホストコンピュータ20がRS−485ネットワーク12を介して洗濯機11と直接的に通信する必要をなくし、ホストコンピュータは、イーサネット21のような、既存のネットワーク化環境において動作することができればよい。第三に、ブリッジコントローラ22は、洗濯機11の機械制御機器14からデータを自動的に収集するようにプログラムされる。このことは、洗濯機11からのデータ収集を管理するホストコンピュータ20への負担を軽減する。データ収集と関連して、ブリッジコントローラ22は、洗濯機11から収集された情報を記憶するバッファメモリをさらに提供し、ホストコンピュータが情報を要求するときに、情報が容易に入手できるようにさせる。
【0016】
[0020]今度は図2を参照すると、直前に記載された機能を実行するため、ブリッジコントローラ22はマイクロプロセッサベースの制御回路を有する。一実施形態では、マイクロプロセッサ28は8051互換マイクロコントローラである。8051マイクロコントローラは当初は1980年代にIntel社によって開発され、業界標準になった。ブリッジコントローラで使用するため適した8051互換マイクロコントローラは、例えば、San Jose, California所在のAtmel社製のモデル番号AT89C51ED2のマイクロコントローラである。このマイクロコントローラは、64Kバイトのフラッシュベースのプログラムメモリ29と、EEPROMメモリ、ウォッチドッグタイマ、全二重UART(ユニバーサル非同期レシーバ・トランスミッタ)、及び、64ピンのディスクリートI/Oビットなどのようなその他の機構とを含む。
【0017】
[0021]マイクロコントローラ28をホストコンピュータのイーサネット型ローカルエリアネットワーク(LAN)21へ接続するために、ブリッジコントローラ22はイーサネットインターフェイスコンポーネント30を含む。イーサネットインターフェイス30は、10/100Base−T対応イーサネットとインターフェイスを取るために必要な機能性を提供する。一実施では、使用されるイーサネットインターフェイス30は、Irvine, California所在のLantronix Inc.製のXPortと呼ばれる製品である。イーサネットインターフェイス30は、RJ−45コネクタ32を介して、ホストコンピュータのイーサネット21に接続されている。代替的に、イーサネットインターフェイス30は、図1に示されているようにイーサネットを介して、ホストコンピュータ20との無線通信用のワイヤレストランシーバを用いてワイヤレスネットワークアダプタ24に接続されてもよい。イーサネットインターフェイス30とマイクロコントローラ28との間のデータ転送はUARTモジュール34を経由している。UARTモジュール34はSPI(サービス・プロバイダ・インターフェイス)データバス35を介してマイクロコントローラに接続され、データバス31を介してイーサネットインターフェイス30に接続されている。
【0018】
[0022]ブリッジコントローラ22が洗濯機11と通信できるようにするため、マイクロコントローラ28は、洗濯機のRS−485ネットワーク12にさらに接続されている。一実施形態では、マイクロコントローラ28は、RS−485ネットワーク12の4個のセグメントへ選択的に接続可能である。これは、8051互換マイクロコントローラ28の内部UARTの送信データ回線及び受信データ回線を多重化することにより実現される。マイクロコントローラ28からの2ビットのI/Oビットはスイッチを制御するために使用される。4台のRS−485トランシーバ36−39がマイクロコントローラ28をRS−485ネットワーク12の4個のセグメントへそれぞれ接続するために設けられている。ブリッジコントローラ22がネットワーク上のアクティブな洗濯機の有効アドレスを見つけるためにRS−485ネットワーク12を走査するとき、現在のセグメント番号が、各洗濯機のネットワークアドレスと共に、マイクロコントローラの不揮発性メモリ29に記憶される。
【0019】
[0023]RS−485ネットワーク12上の洗濯機11から収集された情報を記憶するため、ブリッジコントローラ22は、ランダムアクセスメモリ(RAM)40をさらに含む。一実施では、RAM40は2メガバイトのサイズを有する。このメモリの、例えば、500Kバイトのような一部分は、RS−485ネットワーク上の洗濯機11の機械制御機器14から収集された情報を記憶するバッファ41として使用される。各洗濯機11は、バッファ41内のメモリ空間の500Kバイトのうちの2Kバイトが割り当てられる。さらにRAM40に収容されているのは、ホストコンピュータ20へ渡され得る制御状態情報のバンクである。
【0020】
[0024]運転のための電力を供給するため、ブリッジコントローラ22は、+24VDCの範囲内の入力電圧を+5VDCと+3.3VDCの2つの電圧に変換する電源44を含む。ブリッジコントローラ22は、発光ダイオード(LED)46及び小型表示装置49のような表示手段をさらに含む。LED46は、ブリッジコントローラ22の状態を表示するためのものである。1個のLEDは、コントローラへの電力が存在するかどうかを表す。別のLEDは、コントローラの「心拍」を表し、1秒毎にオン/オフがトグルさせられる。2色LEDはアクティブなイーサネット接続の有無を表す。4台のRS−485ポートのそれぞれのため、関連付けられたネットワークセグメントの状態を表すさらに1個の2色LEDが存在する。このLEDは、ネットワークセグメント上に既知ノード(すなわち、機械制御機器)が存在しない場合にオフである。LEDが緑色であるならば、そのセグメント上の全既知ノードがコントローラとの通信に成功していることを表す。LEDが赤色であるならば、1台以上のノードが通信していない。表示装置49は、3個の0.5インチの7セグメント緑色LED素子を含み、ブリッジコントローラと現在通信している洗濯機のアドレス(例えば、230番)を表示するため使用される。ブリッジコントローラ22は、赤外線通信ポート50及びRS−232ポート51のようなさらなるコンポーネントを含んでもよい。RS−232リンクは、デバッグ目的と、アプリケーションコードをマイクロコントローラ28のフラッシュメモリへプログラミングするためなどに使用される。
【0021】
[0025]一実施形態では、ブリッジコントローラ22は、洗濯機11からデータを自動的に収集し、さらに、ホストコンピュータ20から要求を受信し次第データを収集するようにプログラムされている。図3を参照すると、プリセット時間(例えば、15秒間)に亘って電源投入された後(ステップ60)、ブリッジコントローラ22は、RS−485ネットワーク12上の洗濯機11の機械制御機器14と通信を開始する。コントローラ22がその不揮発性(フラッシュ)メモリ中にダウンロードされたアクティブノードリストを有するならば(ステップ61)、コントローラは洗濯機からデータを収集するために完全収集動作を実行する(ステップ62)。コントローラがダウンロードされたアクティブノードリストを持っていないならば、ブリッジコントローラ22は、走査されたアクティブノードリストを構築する動作を実行し(ステップ63)、次に、その構築されたリストに基づいて完全収集動作を実行する。ブリッジコントローラは電源投入時に完全収集動作を実行するので、ブリッジコントローラは、ホストコンピュータ20からのデータ収集要求に応答するため、RAM40内のその収集バッファ41に利用可能な現在の機械データを保有する。
【0022】
[0026]完全収集動作が行われた後、ブリッジコントローラ22は、ホストコンピュータ20からのコマンドを待ち受ける待機モードに入る(ステップ64)。収集され、RAM40内のバッファに格納されたデータは、ホストコンピュータから要求を受信し次第、ホストコンピュータ20へアップロードされる。待機モードでは、ブリッジコントローラ22は、依然として、機械との通信リンクをチェックし、最新の機械制御データを保持するために、RS−485ネットワーク上の機械制御機器14と周期的に通信する。待機モードでは、データ収集のためブリッジコントローラ22とRS−485ネットワーク上の機械制御機器との間に2タイプの通信が存在する。第1のタイプは、主として機械制御機器から機械状態のスナップショットを表現する機械状態データを収集する機械状態収集動作のための通信を含む。機械状態収集を実行するため、ブリッジコントローラ22は機械状態収集(MACHINE_STATUS_COLLECT)コマンドを機械制御機器へ送信し、機械制御機器は、機械状態データ及び制限付きの監査情報を含む1個以上のパケットを送信することにより応答する。ブリッジコントローラ22は、例えば、0乃至255分の間で変化し得る予め選択された時間間隔で機械状態収集を実行するようにプログラムされてもよい。予め選択された時間間隔の値が0であることは、ブリッジコントローラ22が現在のシーケンスを終了すると直ぐに次の機械状態収集シーケンスを開始すべきであることを意味する。機械状態収集は、機械利用可能/利用不可状態、サイクル中の残り時間状態、新しいプログラムデータ状態、何らかのエラー状態、及び、制限付き監査データができるだけ速やかにブリッジコントローラを経由してホストコンピュータへ報告されるように、行われる。
【0023】
[0027]待機状態におけるデータ収集の第2のタイプの通信は、個別の機械制御機器から入手可能である監査、プログラミング、及び、時刻/日付データのすべてを収集する完全収集動作のための通信を含む。完全収集を実行するため、ブリッジコントローラ22は、完全収集(FULL_COLLECT)コマンドをRS−485ネットワーク12上の個別の機械制御機器14へ送信し、機械制御機器は、その完全なデータのセットをブリッジコントローラ22へ送信することによって応答する。上述のように、ブリッジコントローラ22は、各機械制御機器から収集されたデータのための2Kバイトのバッファメモリ空間を保持する。所定の機械制御機器14からの完全収集によるデータは、同じ機械制御機器からの機械状態収集によるデータと別々にバッファメモリ41に記憶される。RS−485ネットワーク12上のノードからの完全収集又は機械状態収集が実行される度に、そのノードに関するバッファメモリ空間中の対応するデータが受信された新しいデータによって上書きされる。ブリッジコントローラ22は、Nが、例えば、0乃至255の範囲から選択された整数である場合に、N回の機械状態収集動作毎に、完全収集動作を実行するようにプログラムされてもよい。
【0024】
[0028]機械制御機器14上でブリッジコントローラ22によって行われるポーリングは、ホストコンピュータ20からのコマンドによって中断される場合がある。コマンドは、データ収集、プログラミング、及び、診断コマンドを含み得る。ホストコンピュータからコマンドを受信する場合に、ブリッジコントローラ22はポーリングを一時停止し、要求されたタスクを実行し、その後、中断した場所からポーリングを再開する。
【0025】
[0029]図2を再度参照すると、RS−485ネットワーク12上の洗濯機11からの情報の適切な収集を確実にするために、ブリッジコントローラ22は、ネットワーク上のアクティブノード(すなわち、機械制御機器)のリストを保持する。2つのタイプのアクティブノードリストが存在する。第1のアクティブノードリストは、ブリッジコントローラ22がそのRAM40に格納している走査アクティブノードリスト(Scanned Active Nodes List)70である。その結果として、このリストは、電力がブリッジコントローラ22から取り除かれると、失われる。走査アクティブノードリスト70は、マイクロコントローラ28の不揮発性(フラッシュ)メモリ29がダウンロードアクティブノードリスト(Downloaded Active Node List)72を格納していないならば、ブリッジコントローラ22が電源投入された後に、ブリッジコントローラによって構築される。走査アクティブノードリストを構築するために、ブリッジコントローラ22は、3ラウンドのpingテストを実行する。第1ラウンドで、ブリッジコントローラ22は最大で250台までのすべてのノードをpingテストする。次の2ラウンドのそれぞれにおいて、ブリッジコントローラは、pingテストリストの中で、前の(複数台の)ラウンド中に既に見つけられたノードのすべてを省く。3ラウンドのpingテスト中に見つけられたノードは走査アクティブノードリスト70に載せられる。一旦このリストが構築されると、ブリッジコントローラ22は、リスト中の各ノードについて完全収集動作を実行する。走査アクティブノードリストは、ダウンロードアクティブノードリストがホストコンピュータから受信されるまで、RS−485ネットワーク中のアクティブノードの主要なリストとして、ブリッジコントローラ22によって使用される。
【0026】
[0030]ダウンロードアクティブノードリスト72は、電源異常が生じたときに失われないように、ブリッジコントローラ22のマイクロコントローラ28の不揮発性(フラッシュ)メモリ29に格納されるべきである。ダウンロードアクティブノードリスト72は2つに分けて構築される。第一に、ノードリストはホストコンピュータから受信される。このノードリストは、所定のノードがアクティブ状態であるか、又は、非アクティブ状態であるか、だけを指定する。このリストがホストコンピュータから受信されると、ブリッジコントローラ22は、可能であるならば、走査アクティブノードリストから、リスト中のノード毎にセグメント番号を抽出し、ダウンロードアクティブノードリストを形成するために、その情報をホストコンピュータから受信されたリストに取り込むべきである。ダウンロードアクティブノードリストは、その後、RS−485ネットワーク上のノードのポーリングを制御するためにブリッジコントローラ22によって使用される主要なリストになる。ブリッジコントローラ22を介して、ホストコンピュータ20は、RS−485ネットワーク12上の特定の個別の洗濯機11と通信するか、又は、ブロードキャストモードではすべての機械と通信することが可能である。ブリッジコントローラ22を介した洗濯機11との通信によって、ホストコンピュータ20は、個別の機械のプログラミング、各機械からの監査データの収集、及び、機械上の診断テストの実行などの種々のタスクを実行可能である。
【0027】
[0031]一例として、以下の説明は、ホストコンピュータ20が、RS−485ネットワーク12上の洗濯機11の機械制御機器14をプログラミングするタスクを実行するために、いかにしてブリッジコントローラ22を利用するかについて記載する。今度は図4を参照すると、ホストコンピュータ20がRS−485ネットワーク12上の洗濯機11の機械制御機器14に関するプログラミングシーケンスを実行する前に、ブリッジコントローラ22のアクティブノードリスト中のすべてのノードからデータを収集するために、最初にブリッジコントローラ22に完全収集動作を実行するように指示することが必要とされる(ステップ111)。ホストコンピュータは、その後、ブリッジコントローラ22から、ホストコンピュータがプログラムしようとするすべてのノードから収集された情報を取り出す(ステップ112)。このことは、ホストコンピュータ20が所定の洗濯機からの最新監査情報を、その機械に関するプログラミング情報を変更する前に、保有するように行われる。
【0028】
[0032]ホストコンピュータ20が機械制御機器14からブリッジコントローラ22によって収集された最新データを受信すると、ホストコンピュータは、プログラミングコマンドパケット中でプログラミングデータを、イーサネット接続を介してブリッジコントローラ22へ送信する(ステップ113)。ブリッジコントローラ22がプログラミングコマンドを受信すると、ブリッジコントローラは、ホストコンピュータから受信されたプログラミングデータを搬送する制御パケットを生成し、ホストコンピュータによって指定されたノードとの通信シーケンスを開始し、そのノードへ制御パケットを送信する(ステップ114)。プログラミングシーケンスは、RS−485ネットワークを介してノードと授受される通信パケットを用いて実行される。この通信シーケンスが完了すると、プログラムされている洗濯機の機械制御機器14は、直前に受信した新しいプログラミングデータをそのEEPROMに書き込む(ステップ115)。
【0029】
[0033]ブリッジコントローラ22へ送信したプログラミング情報が指定された機械制御機器14において実際に導入されていることを保証するため、ホストコンピュータ20は、RS−485ネットワーク中のすべてのアクティブノードに関して別の完全収集動作を実行するようにブリッジコントローラ22に指示する(ステップ117)。この命令は、プログラミングシーケンス全体が通常の経過で完了されるために十分な時間を与えた後に送信される(ステップ116)。ホストコンピュータ20は、その後、再プログラムされたノードから完全収集動作中にブリッジコントローラ22によって収集された情報を取り出す(ステップ118)。ホストコンピュータ20は、それらのノードのそれぞれのネットワークダウンロードカウンタの総数を検査し、その総数を、プログラミングより前の完全収集動作中に受信された同じ変数についての値と比較する(ステップ119)。値が1ずつインクリメントされていないならば、プログラミングシーケンスはそのノードに関して成功していない。その場合、ホストコンピュータ20は、失敗したプログラミングの試みに起因した、ノードから取り出されたエラーコードを検査する(ステップ120)。エラーコードの値に基づいて、ホストコンピュータは、プログラミングシーケンスを再試行するか、又は、プログラミングの失敗をユーザへ報告するかを決定する(ステップ121)。
【0030】
[0034]ホストコンピュータとネットワーク型洗濯機との間の通信を容易化するためにブリッジコントローラを利用するネットワーク型洗濯システムの新しいフレームワークが本書において開示されている。本発明の原理が適用される多数の考えられ得る実施形態の点から見て、図面に関して本書に記載された実施形態は、説明のための一例であることが意図され、かつ、本発明の範囲を制限すると考えられるべきでないことが認められるであろう。例えば、当業者は、例示された実施形態が本発明の精神から逸脱することなく、整理して詳細に変更され得ることを認めるであろう。したがって、本書に記載されているような発明は、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内に入るそのようなすべての実施形態及びそれらの均等物を意図している。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】ホストコンピュータと洗濯機のネットワークとを接続するブリッジコントローラを含む、本発明の実施形態における洗濯システムの一般的な構成を示す概略図である。
【図2】図1の洗濯システムで使用されるブリッジコントローラのコンポーネントを示す概略図である。
【図3】電源投入後にブリッジコントローラによって実行されるステップを示すフローチャートである。
【図4】ホストコンピュータによる洗濯機のプログラミングの動作を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホストコンピュータと複数台のネットワーク型洗濯機とをブリッジするコントローラであって、
マイクロプロセッサと、
バッファを含むメモリと、
前記ホストコンピュータが存在する第1のネットワークを介して通信する手段と、
前記洗濯機が存在する第2のネットワークを介して通信する手段と
を備え、
前記マイクロプロセッサが、前記第1のネットワークを介して前記ホストコンピュータから第1の洗濯機のための制御コマンドを受信し、前記制御コマンドを実行するために前記第2のネットワークを介して前記第1の洗濯機と通信するようにプログラムされ、前記マイクロプロセッサが、前記第2のネットワークを介して前記第1の洗濯機から応答データを含む少なくとも1個の応答を受信し、前記第1のネットワークを介して前記ホストコンピュータへ前記応答データを送信するようにさらにプログラムされている、コントローラ。
【請求項2】
前記第1のネットワークがイーサネットネットワークである、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項3】
前記第1のネットワークを介して通信する手段がイーサネットインターフェイスを含む、請求項2に記載のコントローラ。
【請求項4】
前記第1のネットワークを介して通信する手段が、前記第1のネットワークを介して前記ホストコンピュータと無線通信する無線トランシーバを含む、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項5】
前記第2のネットワークがRS−485規格に基づくネットワーク接続を介して前記洗濯機を接続し、前記第2のネットワークを介して通信する手段が少なくとも1台のRS−485トランシーバを含む、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項6】
前記マイクロプロセッサが前記応答データを前記バッファに格納するようにさらにプログラムされている、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項7】
前記マイクロプロセッサが、前記第2のネットワーク上の選択された洗濯機からデータを収集するために前記選択された洗濯機へデータ収集コマンドを周期的に送信するようにさらにプログラムされている、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項8】
前記データ収集コマンドが、前記選択された洗濯機から完全なデータのセットを収集するためのコマンドである、請求項7に記載のコントローラ。
【請求項9】
前記データ収集コマンドが、前記選択された洗濯機から部分的なデータのセットを収集するためのコマンドである、請求項7に記載のコントローラ。
【請求項10】
前記マイクロプロセッサが、前記選択された洗濯機からの前記収集されたデータを前記バッファに格納するようにプログラムされている、請求項7に記載のコントローラ。
【請求項11】
前記制御コマンドが前記第1の洗濯機をプログラムすることを目的とし、前記第1の洗濯機のための運転パラメータを含む、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項12】
前記制御コマンドが前記第1の洗濯機からデータを収集することを目的としている、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項13】
前記マイクロプロセッサが、前記第2のネットワーク上のアクティブな洗濯機のリストを作るようにさらにプログラムされている、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項14】
洗濯機の運転を制御するために第1のネットワーク上の、前記洗濯機から遠隔位置にあるホストコンピュータと第2のネットワーク上の複数台の洗濯機とを接続するコントローラに用いられる方法であって、
前記第1のネットワークを介して前記ホストコンピュータから、前記第2のネットワーク上の第1の洗濯機のための制御コマンドを受信するステップと、
前記制御コマンドを実行するために前記第2のネットワークを介して前記第1の洗濯機と通信するステップと、
前記第2のネットワーク上の前記第1の洗濯機から応答データを含む応答を受信するステップと、
前記第1のネットワークを介して前記遠隔位置にあるホストコンピュータへ前記応答データを送信するステップと
を備える方法。
【請求項15】
前記第1のネットワークがイーサネットネットワークである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記コントローラが無線接続を介して前記第1のネットワークに接続され、前記制御コマンドを受信するステップ及び前記応答データを送信するステップが、前記第1のネットワークを介して無線伝送を受信及び送信する工程を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の洗濯機からの前記応答データをバッファに格納するステップをさらに含み、前記応答データを送信するステップが、前記ホストコンピュータからの要求に応じて前記バッファから前記応答データを取り出す工程を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記第2のネットワーク上の選択された洗濯機からデータを収集するために前記選択された洗濯機へデータ収集コマンドを周期的に送信するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記データ収集コマンドが、前記選択された洗濯機から完全なデータのセットを収集するためのコマンドである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記データ収集コマンドが、前記選択された洗濯機から部分的なデータのセットを収集するためのコマンドである、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記制御コマンドが前記第1の洗濯機をプログラムすることを目的とし、前記第1の洗濯機のための運転パラメータを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記制御コマンドが前記第1の洗濯機からデータを収集することを目的としている、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記第2のネットワーク上のアクティブな洗濯機のリストを作るステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
第1のネットワーク上に存在するホストコンピュータと、
前記ホストコンピュータが遠隔位置にあり、第2のネットワーク上に存在する複数台のネットワーク型洗濯機と、
マイクロプロセッサ、バッファを含むメモリ、前記第1のネットワークを介して通信する手段、及び、前記第2のネットワークを介して通信する手段を有し、前記ホストコンピュータと前記ネットワーク型洗濯機とをブリッジするコントローラと
を備え、
前記コントローラの前記マイクロプロセッサが、前記第1のネットワークを介して前記ホストコンピュータから前記第2のネットワーク上の第1の洗濯機のための制御コマンドを受信し、前記制御コマンドを実行するために前記第1の洗濯機と通信するようにプログラムされ、前記マイクロプロセッサが、前記第2のネットワークを介して前記第1の洗濯機から応答データを含む応答を受信し、前記第1のネットワークを介して前記遠隔位置にあるホストコンピュータへ前記応答データを送信するようにさらにプログラムされている、洗濯システム。
【請求項25】
前記第1のネットワークがイーサネットネットワークである、請求項24に記載の洗濯システム。
【請求項26】
前記第1のネットワークを介して通信する手段が、前記第1のネットワークを介して前記ホストコンピュータと無線通信する無線トランシーバを含む、請求項24に記載の洗濯システム。
【請求項27】
前記第2のネットワークがRS−485規格に基づくネットワーク接続を介して前記洗濯機を接続し、前記第2のネットワークを介して通信する手段が少なくとも1台のRS−485トランシーバを含む、請求項24に記載の洗濯システム。
【請求項28】
前記コントローラの前記マイクロプロセッサが、前記応答データを前記バッファに格納するようにさらにプログラムされている、請求項24に記載の洗濯システム。
【請求項29】
前記コントローラの前記マイクロプロセッサが、前記第2のネットワーク上の選択された洗濯機からデータを収集するために前記選択された洗濯機へデータ収集コマンドを周期的に送信するようにさらにプログラムされている、請求項24に記載の洗濯システム。
【請求項30】
前記制御コマンドが前記第1の洗濯機をプログラムすることを目的とし、前記第1の洗濯機のための運転パラメータを含む、請求項24に記載の洗濯システム。
【請求項31】
前記制御コマンドが前記第1の洗濯機からデータを収集することを目的としている、請求項24に記載の洗濯システム。
【請求項32】
前記コントローラの前記マイクロプロセッサが、前記第2のネットワーク上のアクティブな洗濯機のリストを作るようにさらにプログラムされている、請求項24に記載の洗濯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−522740(P2008−522740A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545573(P2007−545573)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2005/044145
【国際公開番号】WO2006/062986
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(302069837)アライアンス ランドリー システムズ エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】