説明

ホッパの開閉機構

【課題】スプリングを利用することなく簡易な構成によりホッパのゲートを閉状態とすることができるホッパの開閉機構を提案する。
【解決手段】ホッパの開閉機構は、物品を排出する排出口が底面に形成された計量ホッパ本体部14Bと、排出口の開閉を行なう、計量ホッパ本体部14Bに回転自在に接合された排出ゲート14Aとを有する計量ホッパ14において排出口を開くように排出ゲート14Aに力を作用させる駆動制御部3と、駆動制御部3から作用する力を受け回転するトグルアーム25と、一端が排出ゲート14Aに回転自在に接合され、他端がトグルアーム25と回転自在に接合され、トグルアーム25から作用する力を排出ゲート14Aに伝達させるリンク26とを備え、トグルアーム25の自重により回転軸まわりに生じるトルクと、排出ゲートの自重により回転軸まわりに生じるトルクとによって、排出口を閉じるように排出ゲート14Aに力を作用させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散供給された物品それぞれの重量に基づいて組合せ演算を行い、該物品の重量の合計が目標重量に対する許容範囲内の値になる組合せを求める組合せ秤に関する。特に、この組合せ秤において、供給された物品を保持するためにこの物品の供給先ごとに備えられているホッパの開閉機構に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の計量ホッパに被計量物を分散供給して、それぞれの重量値を計量し、この重量値の加算値が目標重量に最も近くなる組合せを求める組合せ秤が実用化されている。この組合せ秤は、目標重量に最も近い組合せとなる計量ホッパから被計量物を排出して集合させ、例えば、それらを袋詰めすることができるようになっている。
【0003】
このような組合せ秤では、上下が開口したホッパ本体の下方の開口部が、ホッパ本体に回転自在に取り付けられたゲートによって開閉できるように構成されている。そして、ホッパ本体に取り付けられたゲートを開閉可能とするための開閉機構としては、例えば、図8に示すようにゲートG1がリンク114を介してL字状のアーム115と連結されたリンク機構110が用いられている。図8は従来の計量ホッパ111におけるゲートの開閉機構の構成を示す図である。
【0004】
図8に示すように、計量ホッパ111のホッパ本体112の両側面それぞれには、組合せ秤の基体(本体)側に向かって延出した一対の連結フレーム113が固着されている。アーム115は、これら連結フレーム113のうちの一つにアーム結合部116によって回転自在に取り付けられている。なお、一対の連結フレーム113間では水平方向にバーが横架されている。そして、このバーを組合せ秤の基体側部に設けられたハンガーに引っ掛けることで、計量ホッパ111は組合せ秤の基体に対して着脱可能に取り付けることができる。
【0005】
リンク114は一方の端部で第2リンク支点117bによってアーム115と回転自在に接合され、他方の端部で、第1リンク支点117aによってゲートG1と回転自在に接合されている。そして、リンク114を介してアーム115とゲートG1とを連結することによって所謂、トグル機構を形成している。そして、計量ホッパ111においてゲートG1が閉じられた状態にあるとき、このトグル機構の働きによりゲートG1の閉状態が維持されるようになっている。
【0006】
また、図9に示すように連結フレーム113とアーム115との間にスプリング119を設け、計量ホッパ111の閉時には、スプリング119の復元力によりゲートを閉じて、この閉状態を維持するように構成された計量ホッパも利用されている。図9は、従来技術に係る計量ホッパのゲートの開閉機構の構成を示す図である。
【0007】
より具体的には、図9に示すようなスプリング付き計量ホッパでは、計量ホッパのゲートの開閉を不図示のアクチュエータユニットが備える駆動レバーにより行う。すなわち、この駆動レバーとアーム115とが係合しており、駆動レバーの回転運動に応じて、アーム115は、アーム結合部116の回転軸を中心に所定角度だけ回転する。
【0008】
アーム結合部116の回転軸を中心に、アーム115の端部(リンクと接合されている側の端部)が下方位置から上方位置に右回り(時計回り)に移動すると、アーム115と接合されている側のリンク114の端部がこの移動に応じて上方に移動させられるとともに、ゲートと接合されている側のリンク端部も引き上げられる。これにより、ゲートはゲート結合部118の回転軸を中心に左回りに上方に向かって引き上げられ、ゲートが開かれる。また、このゲートの開時には連結フレーム113とアーム115との間に設けられたスプリング119が、アーム115の移動により力が加えられ変形している。
【0009】
今度は逆に、アーム115がアーム結合部116の回転軸を中心に、その端部(リンクと接合されている側の端部)が上方位置から下方位置に左回り(反時計回り)に移動すると、アーム115と接合されている側のリンク114の端部がこの移動に応じて上方位置から下方位置に移動させられる。このようにアーム115と接合されている側のリンク114の端部が移動すると、ゲートと接合されている側のリンク114の端部も引き下げられる。これにより、ゲートはゲート結合部118の回転軸を中心に右回りに下方に向かって移動する。この移動には、アクチュエータユニットの駆動レバーにより及ぼされる力に加えて、ゲートの開時に変形されたスプリング119の復元力が作用する。また、ゲートが閉じた状態では、この復元力により閉状態が維持されるように力が作用するとともにリンク114とアーム115とによって形成したトグル機構によりゲートを閉じた状態で保持する。
【0010】
このように、スプリング付き計量ホッパは、閉状態を維持する際もスプリング119の復元力を利用することができる。このため、ゲートが開かないようにアクチュエータユニットの駆動レバーから力を作用させておく必要がなく、計量ホッパの計量に係る計量系と、ゲートの開閉に携わる駆動系との縁を容易に切ることができる。また、スプリング119の復元力により速やかにゲートを閉じることも可能となる。
【0011】
しかしながら、スプリング付き計量ホッパでは、駆動レバーの動作パターンはスプリング119によって制約を受けるため、その自由度が低くなるという問題がある。さらに、スプリング119による復元力によって高速でゲートが閉じるためゲート閉時の衝撃音が大きいという問題もある。また、スプリング付き計量ホッパは、スプリング119の金属疲労による破損などの問題もある。特に、スプリング119が破損して被計量物に混入すると非常に大きな問題となる。
【0012】
そこで、計量ホッパに付属する構成部材にスプリング119を設けない組合せ秤が開発されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に開示された組合せ秤は、供給ホッパ用駆動部と駆動レバーとの間に設けられ、これらを連結する計量ホッパ用駆動部側リンク機構に付勢ばねが設けられている。そして、この組合せ秤では、計量ホッパ用駆動部側リンク機構が備える被係合部と駆動部が備える係合部とが非係合状態から係合状態に移行するとき、係合部が被係合部と係合できるように、この被係合部を所定位置に向かう方向に付勢するように構成されている。また、この特許文献1に開示された組合せ秤では、トグル機構を利用してホッパのゲートを閉状態に維持することができるようにも構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平5−162787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上述のような従来技術は、スプリングを利用することなく簡易な構成によりホッパのゲートを閉状態とすることができないという問題が生じる。
【0015】
より具体的には、特許文献1では、ホッパに付属する構成にスプリングを用いない構成であるため、例えば、スプリングが破損して被計量物に混入するといった問題を防ぐことができる。しかしながら、駆動部と駆動レバーとの間に設けられたリンク機構(計量ホッパ用駆動部側リンク機構)の構造が複雑であり、例えば、小型な組合せ秤には適用することが困難である。
【0016】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、スプリングを利用することなく簡易な構成によりホッパのゲートを閉状態とすることができるホッパの開閉機構を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明にホッパの開閉機構は、上記した課題を解決するために、分散供給された物品それぞれの重量に基づいて組合せ演算を行い、該物品の重量の合計が目標重量に対する許容範囲内の値になる組合せを求める組合せ秤において、供給された物品を保持するためにこの物品の供給先ごとに備えられているホッパの開閉機構であって、前記ホッパは、供給された物品を排出する排出口が底面に形成された収容部本体と、該排出口の開閉を行なう、収容部本体に回転自在に接合されたゲートとを有しており、前記排出口を開くように前記ゲートに力を作用させる駆動部と、前記駆動部から作用する力を受け回転するアーム部と、一端が前記ゲートに回転自在に接合され、他端が前記アーム部と回転自在に接合され、該アーム部から作用する力を該ゲートに伝達させるリンク部とを備え、前記アーム部の自重によりアーム部の回転軸まわりに生じるトルクと、前記ゲートの自重によりゲートの回転軸まわりに生じるトルクとによって、前記排出口を閉じるように前記ゲートに力を作用させるように構成されている。
【0018】
ここで、前記組合せ秤において、供給された物品を保持するためにこの物品の供給先ごとに備えられているホッパとしては、例えば、分散供給された物品を収容し、物品それぞれの重量を計量するために用いられる計量ホッパが挙げられる。また、計量ホッパそれぞれに対応して設けられ、供給された物品を一時保持して、所望のタイミングで計量ホッパに物品を投入する供給ホッパなどが挙げられる。
【0019】
上記した構成によると、ホッパは、収容本体部に回転自在に接合されたゲートが回転することによって該収容本体部の開閉を行なうことができる。
【0020】
ここで、本発明に係るホッパの開閉機構は、駆動部、アーム部、およびリンク部を備えているため、排出口を開けるようにゲートを動作させる場合、駆動部から作用する力をアーム部で受け、リンク部を介してゲートに及ぼし、収容本体部の排出口を開けるようにゲートに力を与えることができる。すなわち、駆動部によってゲートが開くように動作するよう制御することができる。
【0021】
また、排出口を閉じるようにゲートを動作させる場合、アーム部の自重により生じた回転軸回りのトルクと、ゲートの自重により生じた回転軸回りのトルクとによって、排出口を閉じるようにこのゲートに力を作用させることができる。このため、従来の組合せ秤のようにスプリングの復元力を利用することなく、また、ゲートの開閉動作を行なうリンク機構において別途新たに部材を設けるなど複雑な構成としたりすることなく、排出口を閉じるようにゲートを動作させることができる。
【0022】
したがって、本発明に係るホッパの開閉機構は、スプリングを利用することなく簡易な構成によりホッパのゲートを閉状態とすることができるという効果を奏する。
【0023】
本発明に係るホッパの開閉機構は、上記した構成において、前記ゲートおよび前記アーム部は、それぞれの重心が、該ゲートが排出口を閉じる方向に回転するように、それぞれの回転軸からずれた位置となるように構成されていてもよい。
【0024】
上記した構成によると、ゲートの重心とゲートの回転軸とは一致せず、ずれている。また、アーム部の重心とアーム部の回転軸とは一致せず、ずれている。このようにゲートの回転軸、アーム部の回転軸と、ゲート、アーム部それぞれの重心位置とが一致せず、ずれているため、バランスがとれずゲートおよびアーム部それぞれの自重により、それぞれが回転してしまう。
【0025】
また、排出口を閉じる方向にゲートが回転するように、該ゲートに力を及ぼすようにゲート、アーム部それぞれの重心の位置が決められている。このため、ゲート、アーム部それぞれが回転することでそれぞれの回転軸まわりにトルクが生じ、この生じたトルクによってゲートを、排出口を閉じる方向に回転させることができる。
【0026】
本発明に係るホッパの開閉機構は、上記した構成において、前記ゲートには、該ゲートが閉じる方向に前記収容部本体に対して回転するように重心位置を調整するための第1重心調整部が設けられ、前記アーム部には、前記ゲートが閉じる方向に前記収容部本体に対して回転するよう力を作用させるようアーム部が回転するように重心位置を調整するための第2重心調整部が設けられていてもよい。
【0027】
上記した構成によると、第1重心調整部を備えるため、適切な回転速度で適切な回転方向にゲートが回転できるようにゲートの重心位置を所望の位置に設定することができる。また、上記した構成によると、第2重心調整部を備えるため、適切な回転速度で適切な回転方向にアーム部が回転できるようにアーム部の重心位置を所望の位置に設定することができる。
【0028】
本発明に係るホッパの開閉機構は、上記した構成において、前記ホッパは、物品の重量を計測するために該物品を保持するための計量ホッパであり、前記ゲートによって前記排出口が閉じられた状態にあるとき、前記駆動部とアーム部とが接触しないように構成されていてもよい。
【0029】
ここで、ホッパが計量ホッパで、ゲートによって排出口が閉じられた状態とは、計量ホッパに収容した物品の重量を計量するタイミングである。
【0030】
上記構成によると、ゲートにより排出口が閉じられた状態にあるとき、駆動部とアーム部とが接触しないように構成されている。このため、駆動部の動作に伴う振動などがアームを介して計量ホッパに伝わることを防ぐことができ適切な計量を行うことができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、以上に説明した構成を有し、本発明に係るホッパの開閉機構は、スプリングを利用することなく簡易な構成によりホッパのゲートを閉状態とすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態に係る組合せ秤の要部構成の一例を示す模式図である。
【図2】図1の組合せ秤が備えるアクチュエータユニットの構成の一例を示す図である。
【図3】図1に示す組合せ秤における計量ホッパの構成の一例を示す側面図である。
【図4】図1に示す組合せ秤における計量ホッパの構成の一例を示す平面図である。
【図5】図1に示す組合せ秤の閉状態の構成の一例を示す側面図である。
【図6】図1に示す組合せ秤の開状態の構成の一例を示す側面図である。
【図7】図1に示す組合せ秤の有する開閉機構における各構成部材の重心位置の一例を説明するための模式図である。
【図8】従来技術に係る計量ホッパのゲートの開閉機構の構成を示す図である。
【図9】従来技術に係る計量ホッパのゲートの開閉機構の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0034】
(組合せ秤の要部構成)
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る組合せ秤1の要部構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る組合せ秤1の要部構成の一例を示す模式図である。
【0035】
組合せ秤1は、図1に示すように、その中央部に、例えば、4本の脚(図示せず)によって支持された、組合せ秤1の本体に相当するセンター基体17が配設されている。
【0036】
このセンター基体17は、ここでは、下壁17A、上壁17B、および側壁17Cにより構成される実質的に逆多角錐台形の外観形状を有しているが、これに限らない。センター基体17は、他の形状、例えば、円柱、あるいは正多角柱であってもよい。そして、センター基体17の上壁17B上には分散フィーダ11および直進トラフ12が配置され、その側壁17Cの外側には供給ホッパ13、および計量ホッパ14等が配置されている。
【0037】
次に、上述した外観形状を有する本実施の形態に係る組合せ秤1が有する各部の説明を行う。
【0038】
分散フィーダ11は、センター基体17の上壁17Bの中央に配置されており、外部の供給装置(図示せず)から供給される被計量物(物品)を振動によって放射状に分散させ、直進フィーダ20に供給するものである。分散フィーダ11は、放射状に被計量物を分散できるように円錐形状となっている。なお、分散フィーダ11は、制御装置18からの制御指示に応じて、被計量物を均一に分散させるように、振動幅と動作時間とを決定している。
【0039】
直進トラフ12は、分散フィーダ11の下方で、かつその周囲に配置されており、分散フィーダ11から送られてきた被計量物を、直進フィーダ20から与えられた振動によって各供給ホッパ13に送りこむものである。なお、直進フィーダ20は、制御装置18によって、振動幅、および動作時間が制御されている。この直進トラフ12の下方には、供給ホッパ13、および計量ホッパ14がそれぞれ対応してセンター基体17に設けられ、供給ホッパ13と計量ホッパ14との組がセンター基体17の外周(側壁17C)に沿って、所定の間隔を隔てて円状に配されている。
【0040】
供給ホッパ13は、自身よりも高い位置に配置された直進トラフ12から送りこまれた被計量物を受け取るものであり、排出ゲート13Aおよび供給ホッパ本体部13Bを備えてなる構成である。供給ホッパ13は、直進トラフ12から送りこまれた被計量物を一時保持し、その下方に配置された計量ホッパ14へ被計量物を排出する。このため、供給ホッパ本体部13Bは、上面と底面とが開口した筒形状をしている。つまり、供給ホッパ本体部13Bは、直進トラフ12から送り込まれた被計量物を受け取るために上面が開口しており、受け取った被計量物を計量ホッパ14に送り込むために底面が開口している。供給ホッパ13において被計量物を保持する際は、供給ホッパ本体部13Bの底面における開口は排出ゲート13Aにより閉じられている。そして、計量ホッパ14に被計量物を排出する際、所定のタイミングで排出ゲート13Aが開くようになっている。
【0041】
計量ホッパ14は、供給ホッパ13から供給された被計量物の重量を、荷重検出器であるロードセル32により読み取っている間、この被計量物を一時保持するものである。計量ホッパ14は、排出ゲート14Aと計量ホッパ本体部14Bとを備えてなる構成である。計量ホッパ本体部14Bも、供給ホッパ本体部13Bと同様に、上面と底面とが開口した形状となっている。そして、被計量物の計量中は、この底面の開口は排出ゲート14Aにより閉じられており、被計量物を集合シュート16へ排出する際、所定のタイミングで排出ゲート14Aが開くようになっている。
【0042】
センター基体17の外周に円状に列設された計量ホッパ14の下方には、略逆円錐台形状の集合シュート16が配設され、排出組合せとして選択された計量ホッパ14から排出された被計量物は集合シュート16上を滑り落ちてその下部の排出口16aから例えば包装機(図示せず)へ排出される。
【0043】
制御装置18は、CPUと、このCPUの動作プログラム及び動作パラメータ等が記憶されているROM及びRAMのメモリ等を備えたマイクロコントローラ等からなり、組合せ秤1における全体の動作の制御を行うものである。制御装置18は、CPUがROMに記憶されている動作プログラムを実行することにより、この組合せ秤1における全体の動作の制御を行うことができる。より具体的には、制御装置18は、分散フィーダ11および直進フィーダ20に対して、振動、振幅、およびその動作時間についての制御指示を行う。また、制御装置18は、供給ホッパ13の排出ゲート13A、および計量ホッパ14の排出ゲート14Aの開閉を行うようにステッピングモータ30、31を制御する。
【0044】
また、制御装置18は、計量ホッパ14が取り付けられたロードセル32から出力される荷重信号を入力とし、この荷重信号に基づいて計量ホッパ14に保持されている被計量物の重量を算出する重量算出手段としても機能する。さらに、制御装置18は、組合せ演算を行う組合せ手段としても機能する。この組合せ演算では、計量ホッパ14が取り付けられたロードセル32により算出した被計量物の重量に基づいて、被計量物の重量の合計が、予め定められた所定重量範囲(目標重量に対する許容範囲)内の値になる組合せを1つ求める。所定重量範囲内にある組合せが複数存在する場合には、被計量物の重量の合計と目標重量との差の絶対値が最も小さい組合せを1つ求める。そして、このようにして求めた組合せに対応する被計量物を保持している計量ホッパ14の組合せを排出組合せとする。
【0045】
そして制御装置18は、排出組合せに選択されている計量ホッパ14の排出ゲート14Aを所定のタイミングで開閉させるよう、開閉動作を行うステッピングモータ31に指示する。この制御装置18からの制御指示に基づき、ステッピングモータ31は、駆動レバー39を所定の速度で回転させる。これにより、駆動レバー39は、自身の先端部に備えられている駆動ローラ41をトグルアーム25と係合させ、トグルアーム25をトグルアーム結合部27の回転軸を中心にして回転させる。このトグルアーム25の回転運動に応じて、排出ゲート14Aと接合されている側のリンク26の端部が移動し、排出ゲート14Aを開いたり、閉じたりする。このように排出ゲート14Aを開閉させることにより、計量ホッパ本体部14Bから被計量物を排出させたり、計量ホッパ本体部14B内に被計量物を保持したりすることができる。
【0046】
また、被計量物を排出して空になった計量ホッパ14へは、その上方の供給ホッパ13の排出ゲート13Aを開いて、該供給ホッパ13から被計量物を供給させる。また、空になった供給ホッパ13へは、その上方の直進トラフ12から被計量物を供給させる。すなわち、計量ホッパ14の排出ゲート14Aの開閉、供給ホッパ13の排出ゲート13Aの開閉、直進トラフ12、分散フィーダ11の振動はそれぞれ連動しており、これらの動作制御は、制御装置18からの指示に応じて実行されている。
【0047】
なお、制御装置18は、必ずしも単独の制御装置で構成される必要はなく、複数の制御装置が分散配置されていて、それらが協働して組合せ秤1の動作を制御するよう構成されていてもよい。
【0048】
また、本実施の形態に係る組合せ秤1では、計量ホッパ本体部14B内に一時保持した被計量物の重量を計量するロードセル32を含む計量部4と、排出ゲート13Aおよび排出ゲート13Bの開閉制御を行うためのステッピングモータ30,31、ステッピングモータ30,31によって回転する駆動レバー38,39、ならびに駆動レバー38,39の先端部に設けられた駆動ローラ40,41を含む開閉制御部(駆動部)3とがアクチュエータユニット19として一体に形成されている。そして、このアクチュエータユニット19は、センター基体17に対して着脱可能に取りつけることができる。
【0049】
(アクチュエータユニットの構成)
次に、上記したアクチュエータユニット19の構成について詳細に説明する。まず、図2を参照して、アクチュエータユニット19の構成について説明する。図2は、図1の組合せ秤1が備えるアクチュエータユニット19の構成の一例を示す図である。
【0050】
アクチュエータユニット19は、センター基体17に対して着脱可能となっている。また、取り付けボルト51によってアクチュエータユニット19をセンター基体17に固定することができる。なお、アクチュエータユニット19は、前板部15によって覆われているが、説明の便宜上、計量部4(ロードセル32等)が配置される部分については、前板部15を取り除いた形で図示している。
【0051】
上述したように組合せ秤1は、開閉制御部3として、供給ホッパ13および計量ホッパ14それぞれの排出ゲート13A,14Aの開閉制御を行うためのステッピングモータ30、31を、計量部4としてロードセル32を備えている。
【0052】
ステッピングモータ30、31それぞれには、ステッピングモータ30、31の回転軸の回転運動に併せて回転する駆動レバー38、39が取り付けられている。駆動レバー38、39の先端部には、供給ホッパ13および計量ホッパ14の開閉機構と係合するための駆動ローラ40、41がそれぞれ設けられている。ここで、供給ホッパ13および計量ホッパ14の開閉機構(ホッパの開閉機構)とは、排出ゲートがリンクを介してL字状のトグルアームと連結されたリンク機構であり、その詳細は後述する。
【0053】
なお、本明細書では、駆動ローラ40、41の位置が図2に示すように、駆動ローラ40、41が移動する円周上における真上方向(すなわち、12時の方向)にあるときを駆動レバー38、39の原点位置とする。この駆動レバー38、39は、原点位置から30°左回りに回転した位置で、駆動ローラ40、41が開閉機構と当接するように構成されている。
【0054】
また、アクチュエータユニット19は、図2に示すように、供給ホッパ13および計量ホッパ14が配される側の側面に、これら供給ホッパ13および計量ホッパ14それぞれを取り付けるための一対のハンガー23、24が設けられている。
【0055】
図2に示すように、一対のハンガー23、24は、細長い平板形状をしており、アクチュエータユニット19の下端から計量ホッパ14が取り付けられる側に向かって上方に傾斜して延設されている。
【0056】
なお、図2では、説明の便宜上、ハンガー23の対、ならびにハンガー24の対のうちの紙面奥行き側に配されるハンガー23、24の図示は省略している。さらにまた、供給ホッパ13および計量ホッパ14それぞれが取り外された状態で図示している。
【0057】
ハンガー23は、前板部15でハンガー固定ボルト52によって固定されている。
【0058】
一方、ハンガー24は、負荷側ブラケット58とともにハンガー固定ボルト53a,53bによって固定されている。また、負荷側ブラケット58は、ブラケット固定ボルト54a、54bによってロードセル32の側部に固定されている。これにより、ハンガー24とロードセル32の一方の側部とが負荷側ブラケット58を介して接合されることとなる。
【0059】
また、ロードセル32の他方の側部には、ブラケット59がブラケット固定ボルト56a,56bによって取り付けられている。さらにこのブラケット59は、ブラケット固定金具60によって前板部15に固定されるようにもなっている。また、ロードセル32はこのブラケット59側で固定されており、ハンガー24を介して計量ホッパ24からの重量負荷をロードセル32の負荷側ブラケット58が取り付けられている側で受けるようになっている。
【0060】
より具体的には、ロードセル32は、以下のようにして、計量ホッパ14に供給された被計量物の重量負荷を計量するように構成されている。すなわち、ロードセル32は、複数の歪みゲージ(不図示)を有している。ロードセル32の一側面(ブラケット59が取り付けられている側)は、アクチュエータユニット19内において固定されている。また、ロードセル32は、固定された側面とは反対側の側面(負荷側ブラケット58が取り付けられている側)において計量ホッパ14における被計量物の重量が、ハンガー24を介して荷重として加えられる。この荷重によりロードセル32の起歪体が歪み、この歪を歪ゲージによって検出する。このようにして、計量ホッパ14に一時保持された被計量物の重量を検出することができる。なお、歪ゲージによって検出された歪は、電気信号として、ロードセル上にコネクタ固定金具55によって固定された出力用コネクタ(不図示)から制御装置18に出力されるように構成されている。
【0061】
また、アクチュエータユニット19の底部には、このアクチュエータユニット19内を密閉するためのプレート61が設けられており、このプレート61は、プレート固定金具57a、57bによってこのアクチュエータユニット19に固定されている。
【0062】
なお、図2に示すように開閉制御部3と計量部4とは物理的に分離されるように配置されている。
【0063】
(ホッパの構成)
次に、上記したアクチュエータユニット19部分に取り付けられるホッパの構成について、図3および図4を参照して説明する。図3は、図1に示す組合せ秤1における計量ホッパ14の構成の一例を示す側面図である。また、図4は、図1に示す組合せ秤1における計量ホッパ14の構成の一例を示す平面図である。
【0064】
なお、供給ホッパ13と計量ホッパ14とでは、後者の方が開閉制御部3との縁切りが必要となる点を除けば、同様な構成となる。このため、本明細書では計量ホッパ14を例に挙げ、ホッパの構成について説明する。
【0065】
図3および図4に示すように、計量ホッパ14は、排出ゲート14A、計量ホッパ本体部14B、および一対の連結フレーム14Cを備えてなる構成である。排出ゲート14Aは、計量ホッパ本体部14Bの下方に形成された開口部(排出口)の開閉を行うものである。計量ホッパ14では、排出ゲート14Aはゲート結合部28によって計量ホッパ本体部14Bの側面に回転自在に接合される。
【0066】
なお、計量ホッパ14を上方から見て(計量ホッパ14の平面図において)、該計量ホッパ14がセンター基体17に取り付けられる側の面を背面、背面と対向する位置に形成される面を正面とする。そして、背面および正面と隣り合う面であって、これら背面および正面とともに略直方体形状の筒を形成するように配された一対の面をそれぞれ側面と称する。
【0067】
ここで、一対の連結フレーム14Cそれぞれは、計量ホッパ本体部14Bの一対の側面それぞれと平行した位置関係となる面を主面とする薄板であり、計量ホッパ本体部14Bの側面にそれぞれ固着され、センター基体17に向かって、上方から下方に延びるように突出している。連結フレーム14Cの計量ホッパ本体部14Bから突出した部分には、これら一対の連結フレーム14C間を横架するように水平方向に延伸した一対のバー29a,29bが設けられている。これらバー29a,29bを計量ホッパ用のハンガー24に掛止することで計量ホッパ14をアクチュエータユニット19に取り付けることができる。
【0068】
また、図3および図4に示すように連結フレーム14Cの突出部分の主面には薄板状のトグルアーム25がトグルアーム結合部27によって回転自在に取り付けられている。
また、この連結フレーム14Cの計量ホッパ本体部14Bとの接合部分には、排出ゲート14Aが、ゲート結合部28によって計量ホッパ本体部14Bに対して回転自在に取り付けられている。
【0069】
また、これらトグルアーム25と排出ゲート14Aとをリンク26によって連結している。すなわち、両端が円形となった棒形状のリンク26は、一端が第1リンク支点33によって排出ゲート14Aと回転自在に接合され、他端が第2リンク支点34によってトグルアーム25と回転自在に接合されている。
【0070】
このように、排出ゲート14A、トグルアーム25、およびリンク26によって排出ゲート14Aの開閉機構を形成する。ここで、この開閉機構についてより詳細に説明する。
【0071】
(ホッパの開閉機構)
まず、排出ゲート14Aは、平板の両側部を略直角に折り曲げて形成されている。各側部面の形状は、図3に示すように計量ホッパ本体部14Bとの接合部分となる一方の端部から計量ホッパ14の底部に位置する他方の端部に向かって略テーパー状となっている。計量ホッパ本体部14Bとの接合部分となる端部面の一部は円形となっており、この円形部分がゲート結合部28との接触面となる。また、この円形部分にはゲート結合部28のボルトを貫通させるための開口が形成されている。ゲート結合部28は、ボルトを回転軸(回転中心A)として排出ゲート14Aが回転するように、該排出ゲート14Aを計量ホッパ本体部14Bに取り付ける。
【0072】
また、排出ゲート14Aの一方の側部面には、さらに第1リンク支点33によってリンク26の一端が取り付けられる。第1リンク支点33では、第1リンク支点33のボルトを回転軸としてリンク26が排出ゲート14Aに対して回転自在となっている。
【0073】
排出ゲート14Aの主面、すなわち、計量ホッパ本体部14Bの背面に沿った面であって、計量ホッパ14の閉状態において上方側の端部近傍には、ゲート重心調整部22が設けられている。ゲート重心調整部22は、本体部14Bに取り付けられた際の排出ゲート14Aの重心位置を調整するものである。本実施形態では、薄板状の金属製の錘がゲート重心調整部22として排出ゲート14Aの主面に設けられている。
【0074】
一対の連結フレーム14Cはそれぞれ、図4に示すように計量ホッパ本体部14Bの両側面に、固設され一部が計量ホッパ本体部14Bから突出している。一対の連結フレーム14Cは、例えば、板材を屈曲させて形成されていて、計量ホッパ本体部14Bからセンター基体17に向かって互いに平行となるように延出している。これら連結フレーム14Cの突出部分は、計量ホッパ本体部14Bの側面の上部位置から略水平方向に突出し、下部(底部)に向かって延設されるように屈曲した略L字形状をしている。
【0075】
そして、一対の連結フレーム14Cにおける突出部分の中程とその先端部には、一対の連結フレーム14C間を水平方向に横架するようにバー29a,29bが設けられている。
【0076】
また、連結フレーム14Cにおいて下方に向かって屈曲する位置にトグルアーム結合部27が設けられている。トグルアーム25は、このトグルアーム結合部27のボルトを回転軸として連結フレーム14Cに対して回転自在に取り付けられる。また、連結フレーム14Cの突出部の中ほどの、センター基体17側の側部には、図3の紙面手前方向に突出した略矩形形状の係止部35が設けられている。係止部35は、トグルアーム25の側部と当接してこのトグルアーム25の左周りの回転運動の範囲を制限する。
【0077】
なお、トグルアーム25が右周りに回転した場合、このトグルアーム25の右回りの回転運動に伴って排出ゲート14Aの主面が連結フレーム14Cの突出部側に移動する。このため、トグルアーム25が右回りに回転運動できる範囲は、最大でも排出ゲート14Aの主面と連結フレーム14Cとが接触する位置までとなる。
【0078】
トグルアーム25は、駆動レバー39から及ぼされた力によりトグルアーム結合部27の回転軸を中心に回転することで、トグルアーム25と排出ゲート14Aとを連結するリンク26を介して排出ゲート14Aの開閉を制御することができる。トグルアーム25は、略L字形状をした板状の部材であり、その端部に切り欠き部36が形成されている。この切り欠き部36には、図3の紙面奥側に突出したガイド部37が形成されており、ステッピングモータ31によって回転した駆動レバー39の端部にある駆動ローラ41を受け入れることができるようになっている。
【0079】
また、トグルアーム25では、切り欠き部36が形成された端部とは反対側の端部には、第2リンク支点34によりリンク26の一端が回転自在に接合されている。また、トグルアーム25の屈曲部分にはトグルアーム重心調整部21が設けられている。トグルアーム重心調整部21は、トグルアーム25の重心が排出ゲート14A側となるように、重心を調整するものであり、例えば、金属性の錘をトグルアーム25の屈曲部近傍の面に取りつけることで実現できる。
【0080】
なお、本実施形態では、このトグルアーム重心調整部21は、トグルアーム25と連結フレーム14Cとの間に形成された間隙に配されるように、トグルアーム25の裏面、すなわち、トグルアーム25における連結フレーム14C側の面に設けられている。しかしながら、トグルアーム重心調整部21が設けられる側の面は裏面に限定されるものではなく、表面であってもよい。
【0081】
(計量ホッパの開閉動作)
以上のような構成を有する計量ホッパ14の開閉機構は、以下のようにして、計量ホッパ14の開閉を行うことができる。以下、計量ホッパ14の開閉動作について図5および図6を参照して説明する。図5は、図1に示す組合せ秤1の閉状態の構成の一例を示す側面図である。また、図6は、図1に示す組合せ秤1の開状態の構成の一例を示す側面図である。
【0082】
まず、図5に示す計量ホッパ14が閉状態にある状態から排出ゲート14Aを移動させ、図6に示す開状態とするためには、以下のように開閉機構の各部が動作する。
【0083】
すなわち、図6の側面図で示す状態において、駆動レバー39が左回りに回転し、原点位置にあった駆動ローラ41が切り欠き部36のガイド部37に接触し、トグルアーム25と係合する。そして、駆動ローラ41がさらに左回りに回転していくと、駆動ローラ41を介して駆動レバー39と係合しているトグルアーム25は、トグルアーム結合部27の回転軸を中心に右回りに回転する。このようにトグルアーム25は、トグルアーム結合部27の回転軸を中心に右回りに回転し、切り欠き部36が形成されていない側の端部、つまりリンク26が接合されている側の端部が上方に持ち上げられる。これによりリンク26のトグルアーム25と連結されている側の端部が上方に引き上げられ、リンク26を介して排出ゲート14Aがトグルアーム25側にひきつけられ、計量ホッパ14は開状態となる。
【0084】
なお、計量ホッパ14が開状態の場合、駆動レバー39は、駆動ローラ41が図5に示す接触位置にある状態から128.5°回転している。この時、トグルアーム25は、53.5°回転し、排出ゲート14Aは44°回転している。このため、各回転角度の比は、2.9:1.2:1である。これに対して従来利用されているスプリング付きホッパの場合、各回転角度の比は、2.2:1.1:1となる。
【0085】
ここで、ステッピングモータ31がどれだけ回転して、ゲート14Aがどれだけ回転するのかを示す、この両者の回転角度の比がステッピングモータ31にかかる負荷の目安となる。本実施の形態に係る計量ホッパ14では、上述した回転角度の比から、排出ゲート14Aを1°回転させるためのステッピングモータ31の回転角度は、2.9°となる。一方、スプリング付きホッパの場合、排出ゲートを1°回転させるためのステッピングモータの回転角度は2.2°となる。
【0086】
すなわち、後者の方が前者よりも同じ角度だけ排出ゲートを動かすために必要となるステッピングモータの回転角度が小さくなる。このように、小さい回転角度で排出ゲートを動かそうとすると、その分だけステッピングモータにエネルギーが必要となる。したがって、ステッピングモータが単位時間に必要とするエネルギーは、本実施の形態に係るステッピングモータ31の方が、スプリング付きホッパのステッピングモータよりも小さくなる。つまり、本実施の形態に係る計量ホッパ14の構成の方がステッピングモータにかかる負荷が小さくなり、ステッピングモータの脱調を防ぐことができる。
【0087】
次に駆動ローラ41が切り欠き部36のガイド部37に当接した状態で、逆に駆動レバー39が右回りに回転すると、トグルアーム25はトグルアーム結合部27の回転軸を中心に左回りに回転し、リンク26が接合されている側の端部が下方に移動する。これにより、リンク26を介して排出ゲート14Aが計量ホッパ本体部14B側に移動し、計量ホッパ14は閉状態となる。さらに継続して駆動レバー39が右回りに回転すると駆動ローラ41は切り欠き部36から抜け出し、原点位置に到達した時点で駆動レバー39の回転運動は停止される。
【0088】
なお、駆動ローラ41が切り欠き部36から抜け出す瞬間あるいは、切り欠き部36に収容される瞬間では、駆動ローラ41が動く軌跡(円周)の接線方向と切り欠き部36のスリットの傾斜とが同じ方向となるようになっている。ここで、接線とは、切り欠き部36から駆動ローラ41が抜け出す際、あるいは駆動ローラ41が収容される際の、ステッピングモータ31の回転軸と駆動ローラ41の中心点とを結んだ線に対して直角となる線である。
【0089】
つまり、駆動ローラ41が切り欠き部36から抜け出す、あるいは収容される瞬間では、駆動ローラ41の動きは接線方向に動く。このため、駆動ローラ41の動く方向と切り欠き部36のスリットの傾斜とが一致することとなり、駆動ローラ41と切り欠き部36とが接触して生じる振動を極力抑えることができる。
【0090】
また、計量ホッパ14の閉状態において、駆動ローラ41が切り欠き部36から抜け出し、駆動レバー39とトグルアーム25とは離れた状態となる。さらに、上述したように、アクチュエータユニット19において開閉制御部3と計量部4とは物理的に分離されて配置されている。このため、計量ホッパ14の閉状態、すなわち、計量ホッパ14に収容した被計量物の重量を計量する際には、開閉制御部3と計量部4とを分断させた状態、言い換えると縁を切った状態とすることができる。したがって、計量ホッパ14に収容した被計量物の重量の計量において開閉制御部3のステッピングモータ31などから及ぼされる振動などの影響を防ぐことができる。
【0091】
なお、本実施形態では、駆動レバー39の右回りの回転運動から及ぼされた力の作用により、トグルアーム25が左回りに回転し、排出ゲート14Aによって計量ホッパ本体部14Bの下方に形成された開口部を閉じる構成であった。しかしながら、本実施の形態に係る開閉機構では、駆動レバー39から力がトグルアーム25に及ぼされることが無くても、排出ゲート14A、トグルアーム25それぞれの自重により、該トグルアーム25を左回りに回転させ、排出ゲート14Aによって計量ホッパ14を閉状態とすることができるようになっている。ただし、開閉機構を構成するそれぞれの部材の自重だけではなく、駆動レバー39から及ぼされた力も利用して排出ゲート14Aにより計量ホッパ14を閉状態とする構成の方が、排出ゲート14Aの閉動作の速度やタイミングを容易に制御できるため好ましい。特に、計量ホッパ14において排出ゲート14Aにより計量ホッパ本体部14Bの開口部を閉じる手前で、この排出ゲート14Aの移動速度を落とすように構成することで排出ゲート14Aと本体部14Bとの接触に伴い生じる衝撃音を低減させることができる。
【0092】
なお、本実施の形態に係る計量ホッパを用いた組合せ秤1では、駆動ローラ41と切り欠き部36との接触位置から、排出ゲート14Aが全開位置となるまでステッピングモータ31に与えられるパルス信号は142パルス(0.9deg/パルス換算)となる。これに対して、上述した従来のスプリング付きホッパを用いた組合せ秤1の構成では、115パルスとなる。このため、本実施の形態に係る計量ホッパを用いた組合せ秤1の方が、パルスパターンの自由度は、向上することとなる。
【0093】
また、計量ホッパ14が閉状態となると、本実施形態の開閉機構は所謂、トグル機構を形成し、排出ゲート14Aによって計量ホッパ本体部14Bの開口部が閉じられた状態を保持することができるようになっている。また、上述したように開閉機構を構成する各部材の自重によって排出ゲート14Aが閉状態の位置となるように構成されている。このため、上述したトグル機構だけではなく、開閉機構の自重によっても排出ゲート14Aを閉状態に維持することができる。
【0094】
ところで、計量ホッパ14の閉状態において、排出ゲート14Aと計量ホッパ本体部14Bとの間で被計量物をかみ込んでしまう場合がある。このような場合、トグルアーム25、リンク26、排出ゲート14Aの位置関係が、トグル機構により十分な力で排出ゲート14Aを保持できる位置関係とならないため、計量ホッパ14を閉状態に保持する力が小さくなる。このような場合であっても、本実施形態の開閉機構では、この開閉機構の自重、特に排出ゲート14Aの重さによって排出ゲート14Aを閉状態に維持することができる。つまり、この開閉機構の自重により生じる回転軸まわりのトルク(排出ゲート14Aの回転軸およびトグルアーム25の回転軸まわりで生じるトルク)の大きさが噛みこんだ被計量物の重さよりも大きくなる。このため、排出ゲート14Aを閉じようとする力がすべて噛みこんだ被計量物にかかり、この被計量物は計量ホッパ本体部14Bに押し付けられる。このため、被計量物を噛みこんだ状態で排出ゲート14Aの閉状態を維持することができる。
【0095】
(計量ホッパの閉動作を自重だけ実現する構成)
ここで、開閉機構を構成するそれぞれの部材の自重だけで計量ホッパ14の閉動作を実現できる原理について図7を参照して説明する。図7は、図1に示す組合せ秤1の有する開閉機構における各構成部材の重心位置の一例を説明するための模式図である。
【0096】
ここで、まず排出ゲート14Aの閉動作を考える。駆動レバー39の駆動ローラ41がトグルアーム25の切り欠き部36から離れた後は、排出ゲート14Aの閉動作は開閉機構の各部における慣性と重量とによって支配されることとなる。このため、排出ゲート14Aが閉まる方向に慣性が働き、かつ排出ゲート14Aが閉じる方向に力が作用するようにするためには、排出ゲート14Aの重心位置とゲート結合部28との関係、ならびにトグルアーム25の重心位置とトグルアーム結合部27との関係が重要な要素となる。
【0097】
つまり、排出ゲート14Aの重心位置をゲート結合部28の回転中心Aとずれる位置とすることで、バランスがくずれ排出ゲート14Aの自重によりこの排出ゲート14Aを回転させることができる。また、トグルアーム25の重心位置をトグルアーム結合部27の回転中心Bとずれる位置とすることで、バランスがくずれトグルアーム25の自重によりこのトグルアーム25を回転させることができる。
【0098】
そこで、本施形態に係る開閉機構は、図7に示すように、計量ホッパ14の閉状態において、排出ゲート14A、トグルアーム25、およびリンク26それぞれの重心の位置が以下の関係となるように設計されている。
【0099】
すなわち、排出ゲート14Aの重心g1の位置は、図7に示すように計量ホッパ14の閉状態で計量ホッパ14を側面からみて、ゲート結合部28の回転中心Aを通過し鉛直方向に延びた直線上または、その直線よりセンター基体17側(図3の紙面右側)とする。本実施の形態にかかる開閉機構では排出ゲート14Aがこのような重心位置となるように、排出ゲート14Aの主面にゲート重心調整部22が設けられている。
【0100】
また、排出ゲート14Aの側面は上記したようにゲート結合部28が設けられている側の端部から計量ホッパ14の底部に向かって先細りになる形状をしている。これによっても、排出ゲート14Aの重心g1の位置がゲート結合部28の回転中心Aを通過し鉛直方向に延びた直線より、センター基体17側(図7の紙面右側)となるように調整されている。
【0101】
排出ゲート14Aの重心g1の位置を上述した位置とすることで、計量ホッパ14の開状態時の排出ゲート14Aの位置から計量ホッパ14の閉状態時の排出ゲート14Aの位置に向かうように、排出ゲート14Aの自重により回転中心Aを中心に排出ゲート14Aを右周りに回転させる力が働く。
【0102】
一方、トグルアーム25の重心g2の位置は、計量ホッパ14の閉状態で計量ホッパ14を側面からみて、トグルアーム結合部27の回転中心Bを通過し、鉛直方向に延びた直線より、排出ゲート14Aが配される側(図7の紙面左側)となる。特に、計量ホッパ14の閉状態で計量ホッパ14を側面からみて、トグルアーム結合部27の回転中心Bを通過し、鉛直方向に延びた直線より、排出ゲート14Aが配される側(図7の紙面左側)であって、回転中心Bを通過する水平方向に延びた直線上に重心g2があることが好ましい。トグルアーム25がこのような重心位置となるように、トグルアーム25の裏面にトグルアーム重心調整部21が設けられている。
【0103】
トグルアーム25の重心g2も位置を上述した位置とすることで、計量ホッパ14の開状態時の排出ゲート14Aの位置から計量ホッパ14の閉状態時の排出ゲート14Aの位置に向かうように、トグルアーム25の自重により、回転中心Bを中心にトグルアーム25を左回りに回転させる力が働く。
【0104】
したがって、排出ゲート14Aの重心g1、およびトグルアーム25の重心g2を上述した位置とすることで駆動レバー39からの力がトグルアーム25に及ぼされることが無くても、トグルアーム25を左回りに回転させ、排出ゲート14Aによって計量ホッパ14を閉じる方向に動作させることができる。
【0105】
さらに、本実施の形態に係る開閉機構では、トグル機構により排出ゲート14Aの閉状態を保持する構成である。つまり、以上のように、排出ゲート14Aとトグルアーム25のそれぞれの重心位置を調整することで、排出ゲート14Aおよびトグルアーム25、リンク26は以下のようにそれぞれが連動してトグル機構を働かせることができる。
【0106】
すなわち、本実施の形態に係る計量ホッパ14の構造上、排出ゲート14Aの閉動作では、排出ゲート14Aが計量ホッパ本体部14Bと当接し、排出ゲート14Aの運動速度が0となる。このとき、第1リンク支点33を回転中心として第2リンク支点34が慣性によって右回りに回転する。さらに、トグルアーム25も上述したように、排出ゲート14Aが閉まる方向に運動しているため、開閉機構においてトグル機構が働いた瞬間から第2リンク支点34にはトグルアーム25からの回転トルクと、排出ゲート14Aおよびリンク26からの回転トルクとの両方がかかることとなる。この両方から作用された回転トルクが、トグル機構を成立させるために必要なトルクを上回ったときにトルク機構が働くこととなる。
【0107】
またトグル機構が働くようにするために、トグルアーム25と排出ゲート14Aとを連結するリンク26の重心g3を以下の位置とすることが好ましい。
【0108】
すなわち、リンク26の重心g3の位置は、計量ホッパ14の閉状態で計量ホッパ14を側面からみて、トグルアーム結合部27の回転中心Bと第1リンク支点33の回転中心Cとを結ぶ直線よりも下方、すなわち、第2リンク支点34の回転中心D側であって、リンク26の中点である。
【0109】
つまり、本実施の形態に係る開閉機構は、トグルアーム結合部27と第2リンク支点34との間をリンクα、第2リンク支点34と第1リンク支点33との間をリンクβとみなし、第2リンク支点34を固定されていない関節とし、第1リンク支点33をスライダーとみなしたトグル機構と考えることができる。ここで、リンク26はリンクβに相当するものであるから、スライダーである第1リンク支点33がスムーズに移動するにはリンク26の中点に重心g3があることが好ましい。
【0110】
なお、上記ではホッパの構成を、計量ホッパ14を例に挙げて説明したが、供給ホッパ13も同様な構成となる。ただし、供給ホッパ13の場合、排出ゲートが閉状態にあるとき、トグルアームの切り欠き部と駆動レバーの駆動ローラとが係合したままで離れない点が計量ホッパ14と異なる。
【0111】
これは、被計量物の供給元である直進トラフ12から供給ホッパ13までの落差が、供給ホッパ13から計量ホッパ14までの落差よりも大きく、計量ホッパ14内よりも供給ホッパ13内の方が大きな力がかかる。このため、この大きな力によって供給ホッパ13の排出ゲートが開かないようにするため、トグルアームと駆動レバーとを係合させて駆動レバーによって排出ゲートを支持するように構成されている。
【0112】
なお、本実施の形態に係る組合せ秤1では、ステッピングモータ30、31それぞれの動作を検知する検知部(不図示)を設け、この検知部の検知結果から制御装置18が供給ホッパ13および計量ホッパ14それぞれにおいて被計量物をかみ込んだ状態にあるか否か判定できるように構成されていてもよい。
【0113】
また、上記では、供給ホッパ13および計量ホッパ14の裏面側にのみ排出ゲート14Aが設けられ、裏面側でのみ排出ゲート14Aが開閉する片開きの構成を例に挙げて説明した。しかしながら、このような片開きの構成に限定されるものではなく、供給ホッパ13および計量ホッパ14の正面側にも排出ゲート14Aを備え、正面側および両面側の両方で一対の排出ゲート14Aが開閉する両開きの構成でも同様に利用できる。
【0114】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は、スプリングを利用することなくホッパの排出ゲートをその開閉機構の自重により閉じるように構成することができる。よって、所望するタイミングで排出ゲートを開閉し、収容口から収容した物品をホッパに一時、保持したり、保持した物品を排出口から排出したりする計量秤に利用できる。
【符号の説明】
【0116】
1 組合せ秤
3 開閉制御部
4 計量部
11 分散フィーダ
12 直進トラフ
13 供給ホッパ
13A 排出ゲート
13B 供給ホッパ本体部
14 計量ホッパ
14A 排出ゲート
14B 計量ホッパ本体部
14C 連結フレーム
16 集合シュート
17 センター基体
18 制御装置
19 アクチュエータユニット
21 トグルアーム重心調整部
22 ゲート重心調整部
23 ハンガー
24 ハンガー
25 トグルアーム
26 リンク
27 トグルアーム結合部
28 ゲート結合部
29a バー
29b バー
30 ステッピングモータ
31 ステッピングモータ
32 ロードセル
33 第1リンク支点
34 第2リンク支点
35 係止部
36 切り欠き部
37 ガイド部
38 駆動レバー
39 駆動レバー
40 駆動ローラ
41 駆動ローラ
50 締結部材
58 負荷側ブラケット
59 ブラケット
A 回転中心
B 回転中心
C 回転中心
D 回転中心
G1 ゲート
g1 重心
g2 重心
g3 重心


【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散供給された物品それぞれの重量に基づいて組合せ演算を行い、該物品の重量の合計が目標重量に対する許容範囲内の値になる組合せを求める組合せ秤において、供給された物品を保持するためにこの物品の供給先ごとに備えられているホッパの開閉機構であって、
前記ホッパは、供給された物品を排出する排出口が底面に形成された収容部本体と、該排出口の開閉を行なう、収容部本体に回転自在に接合されたゲートとを有しており、
前記排出口を開くように前記ゲートに力を作用させる駆動部と、
前記駆動部から作用する力を受け回転するアーム部と、
一端が前記ゲートに回転自在に接合され、他端が前記アーム部と回転自在に接合され、該アーム部から作用する力を該ゲートに伝達させるリンク部とを備え、
前記アーム部の自重によりアーム部の回転軸まわりに生じるトルクと、前記ゲートの自重によりゲートの回転軸まわりに生じるトルクとによって、前記排出口を閉じるように前記ゲートに力を作用させるように構成されたホッパの開閉機構。
【請求項2】
前記ゲートおよび前記アーム部は、それぞれの重心が、該ゲートが排出口を閉じる方向に回転するように、それぞれの回転軸からずれた位置となるように構成されている請求項1に記載のホッパの開閉機構。
【請求項3】
前記ゲートには、該ゲートが閉じる方向に前記収容部本体に対して回転するように重心位置を調整するための第1重心調整部が設けられ、
前記アーム部には、前記ゲートが閉じる方向に前記収容部本体に対して回転するよう力を作用させるようアーム部が回転するように重心位置を調整するための第2重心調整部が設けられている請求項2に記載のホッパの開閉機構。
【請求項4】
前記ホッパは、物品の重量を計測するために該物品を保持するための計量ホッパであり、
前記ゲートによって前記排出口が閉じられた状態にあるとき、前記駆動部とアーム部とが接触しないように構成されている請求項1から3のいずれか1項に記載のホッパの開閉機構。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−96738(P2013−96738A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237173(P2011−237173)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)