説明

ホリゾントライト及びこれを備えた照明装置

【課題】カラーフィルタを用いなくとも所定色の照射光を壁面に向けて照射することができ、エネルギー消費量及び発熱量を低減させることができ、電源ケーブル等を簡略化し得るホリゾントライト及びこれを備えた照明装置を提供すること。
【解決手段】照明装置1は、照射すべき壁面13に沿って並設された三灯のホリゾントライト2、3及び4を具備しており、ホリゾントライト2、3及び4は、白色発光ダイオード50を具備した光源と、白色とは異なる色を発光する発光ダイオードを具備した他の光源とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TVスタジオ、舞台等の壁(ホリゾント)を上方、下方から照らして、光により壁面の演出を行うホリゾントライト及びこれを備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2においては、例えば、光源と、光源が内部に配置された筐体と、筐体の光射出口に取り付けられるカラーフィルタとを具備しており、このカラーフィルタの色によって壁面に対する照射光の色を調整するホリゾントライトが提案されている。斯かるホリゾントライトの光源には、例えば1KW〜300W程度のハロゲンランプが用いられる。
【0003】
また、壁面の演出は、例えば、白色光を照射するホリゾントライト、赤色光を照射するホリゾントライト、緑色光を照射するホリゾントライト及び青色光を照射するホリゾントライトが四灯並設された照明装置によって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−130341号公報
【特許文献2】特開2008−130326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、斯かるホリゾントライトでは、ハロゲンランプ等からなる一つの光源を有するだけであるために、所定色の照射光を壁面に向けて照射するためにはカラーフィルタを用いなければならず、また、エネルギー消費量及び発熱量も多く、電源ケーブル等を簡略化し得ない。
【0006】
また、斯かる照明装置では、少なくとも四灯のホリゾントライトを要するために、エネルギー消費量及び発熱量の低減を図り難く、電源ケーブル等を簡略化し得ない。
【0007】
尚、ホリゾントライトの発熱はTVスタジオ、舞台等の温度を上昇させる原因の一つとなっており、斯かる温度の上昇は演出者等の演出にも多大な影響を及ぼすため、ホリゾントライトの発熱量の低減は重要な課題の一つであるといえる。
【0008】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、カラーフィルタを用いなくとも所定色の照射光を壁面に向けて照射することができ、エネルギー消費量及び発熱量を低減させることができ、電源ケーブル等を簡略化し得るホリゾントライト及びこれを備えた照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のホリゾントライトは、光源と、光源に並設された他の光源と、光源及び他の光源が内部に配置されていると共に光出射口を有した筐体とを具備しており、光源は、白色発光ダイオードを具備しており、他の光源は、白色と異なる色を発光する発光ダイオードを具備している。
【0010】
本発明のホリゾントライトによれば、特に、光源は、白色発光ダイオードを具備しており、光源に並設された他の光源は、白色と異なる色を発光する発光ダイオードを具備しているために、カラーフィルタを用いなくとも所定色の照射光を壁面に向けて照射することができ、エネルギー消費量及び発熱量を低減させることができ、電源ケーブル等を簡略化し得る。また、本発明のホリゾントライトによれば、上述の通りに発熱量を低減させることができるので、筐体の排熱口数を減少させ又はなくし得、筐体から光漏れが生じる虞をなくし得る。
【0011】
本発明のホリゾントライトでは、筐体は、鏡面からなる内面を有していると共に光出射口を有した筐体本体と、光出射口の縁部において筐体本体に装着されたバンドアとを具備しており、バンドアの内側面は鏡面からなっていてもよい。
【0012】
本発明の照明装置は、上述の本発明のホリゾントライトを三灯具備しており、第一のホリゾントライトの他の光源は、第二及び第三のホリゾントライトの夫々の他の光源の発光色とは異なる色を発光する発光ダイオードを具備しており、第二のホリゾントライトの他の光源は、第三のホリゾントライトの他の光源の発光色とは異なる色を発光する発光ダイオードを具備しており、第一、第二及び第三のホリゾントライトは並設されている。
【0013】
本発明の照明装置によれば、三灯のホリゾントライトの照射光に基づいて壁面を好適に演出することができ、しかも、エネルギー消費量及び発熱量を低減させることができ、電源ケーブル等を簡略化し得る。
【0014】
本発明の照明装置では、第一、第二及び第三のホリゾントライトの夫々の他の光源は、夫々互いに異なる発光色となるように、赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード及び青色発光ダイオードのうちのいずれかの発光ダイオードを具備していてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、カラーフィルタを用いなくとも所定色の照射光を壁面に向けて照射することができ、エネルギー消費量及び発熱量を低減させることができ、電源ケーブル等を簡略化し得るホリゾントライト及びこれを備えた照明装置を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の好ましい一例の正面説明図である。
【図2】図1に示す例の断面説明図である。
【図3】図1に示す例の主に光源の正面説明図である。
【図4】図3に示すIV−IV線矢視断面説明図である。
【図5】図1に示す例の設置に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明を実施するための形態を、図に示す好ましい例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
【実施例】
【0018】
図1から図5において、本例の照明装置1は、照射すべき壁面13に沿って並設された図1に示す三灯のホリゾントライト2、3及び4を具備している。照明装置1は、三灯のホリゾントライト2、3及び4からなるホリゾントライト部5を複数具備していてもよい。複数のホリゾントライト部5は壁面13に沿って並設される。
【0019】
照明装置1は、例えば図5に示すように、TVスタジオ、舞台等の天井11又は床面12に設置され、TVスタジオ、舞台等の照射すべき壁面13を上方又は下方から照らして当該壁面13の演出を行うようになっている。尚、図1及び図2においては、壁面13を下方から照らすホリゾントライト2、3及び4を備えた照明装置1を示す。
【0020】
ホリゾントライト2は、例えば図2に示すように、光源15と、光源15に並設された他の光源16と、光源15及び16が内部に配置されていると共に光出射口17を有した筐体18とを具備している。
【0021】
筐体18は、鏡面からなる内面21を有していると共に矩形状の光出射口17を有した筐体本体22と、光出射口17の縁部23において筐体本体22に装着されたバンドア24とを具備している。バンドア24の内側面25は、本例では鏡面からなっていてもよい。筐体本体22の横幅は250mm程度である。内面21は光源15及び16の照射光が光出射口17を介して壁面13に向かうように湾曲して形成されていてもよい。バンドア24は、筐体本体22にヒンジ等を介して可動に装着されており、バンドア24の筐体本体22に対する傾斜角を適宜調整することによってTVスタジオ、舞台等の状況に応じた所望の照射光が得られる。尚、光出射口17にはレンズが装着されてもよい。
【0022】
光源15は、例えば図1及び図3に示すように、横方向に一列に並んで筐体本体22に装着された複数(本例では四つ)のLEDライト30を具備している。複数のLEDライト30の夫々は、例えば図3及び図4に示すように、筐体本体22に着脱自在に取り付けられると共に鏡面からなる内面32を有した正面視矩形状のケース31と、横方向において一列に並んでケース31の内部に設けられた複数の白色発光ダイオード50とを具備している。
【0023】
一つのLEDライト30の複数の白色発光ダイオード50は、夫々互いに電気的に接続されている。複数の白色発光ダイオード50は、正面において露出した平面状の発光面36を夫々有している。複数の白色発光ダイオード50の発光の制御は、これらに供給される電流等の制御、例えばPWM制御によって行われ、これにより、光源15の光量を速やかに且つ漸次的に滑らかに調整し得る。複数の白色発光ダイオード50の夫々の消費電力は1W〜2W程度である。LEDライト30の夫々は、これら夫々の消費電力が例えば10W程度となるように複数の白色発光ダイオード50が並設されてもよい。
【0024】
光源15に対して鉛直方向において隣接している光源16は、例えば図1及び図3に示すように、横方向に一列に並んで筐体本体22に装着された複数(本例では四つ)のLEDライト40を具備している。複数のLEDライト40の夫々は、例えば図3及び図4に示すように、筐体本体22に着脱自在に取り付けられると共に鏡面からなる内面42を有した正面視矩形状のケース41と、横方向において一列に並んでケース41の内部に設けられた複数の白色と異なる色を発光する発光ダイオード、本例では赤色発光ダイオード51とを具備している。
【0025】
一つのLEDライト40の複数の赤色発光ダイオード51は、夫々互いに電気的に接続されている。複数の赤色発光ダイオード51は、正面において露出した平面状の発光面46を夫々有している。複数の赤色発光ダイオード51の発光の制御は、これらに供給される電流等の制御、例えばPWM制御によって行われ、これにより、光源16の光量を速やかに且つ漸次的に滑らかに調整し得る。複数の赤色発光ダイオード51の夫々の消費電力は1W〜2W程度である。LEDライト40の夫々は、これら夫々の消費電力が例えば20W程度となるように複数の赤色発光ダイオード51が並設されて形成されてもよい。光源16の光量は、望ましくは光源15の光量に対して大きい。
【0026】
尚、本例では、光源15は光源16に対して下方に配設されているが、その逆に配設されてもよい。LEDライト30の消費電力が10Wであると共にLEDライト40の消費電力が20Wである場合には、ホリゾントライト2の消費電力は120Wとなる。
【0027】
斯かる光源15及び16によれば、ハロゲンランプ等を具備した光源に対してエネルギー消費量を低減することができ、例えば、光源15は100W、光源16は160Wもあれば、ハロゲンランプ等を具備した光源に対して同等又は同等以上の十分な光量を得られる。
【0028】
ホリゾントライト3及び4の夫々は、ホリゾントライト2と同様に形成されているので、図に同符号を適宜付してこれらの詳細な説明を省略する。尚、ホリゾントライト3は、白色と異なる色を発光する発光ダイオードとして赤色発光ダイオード51に代えて、緑色発光ダイオード52を具備しており、ホリゾントライト4は、白色と異なる色を発光する発光ダイオードとして赤色発光ダイオード51に代えて、青色発光ダイオード53を具備している。ホリゾントライト2の光源16は、ホリゾントライト3及び4の夫々の他の光源16の発光色とは異なる色を発光する発光ダイオード(赤色発光ダイオード51)を具備しており、ホリゾントライト3の他の光源16は、ホリゾントライト4の他の光源16の発光色とは異なる色を発光する発光ダイオード(緑色発光ダイオード52)を具備しており、ホリゾントライト4の他の光源16は、ホリゾントライト2及び3の他の光源16の発光色とは異なる色を発光する発光ダイオード(青色発光ダイオード53)を具備している。
【0029】
ホリゾントライト2、3及び4は、これら夫々の横幅が例えば250mmである場合には、1mの範囲内において夫々互いに間隔、例えば等間隔をもって並設することができ、例えば80mmの間隔をもって夫々並設されてもよい。ホリゾントライト2、3及び4は本例では直列配置されている。
【0030】
以上の照明装置1では、ホリゾントライト2、3及び4による照射光の光量を適宜調整することによって赤、緑及び青の三つの原色を混ぜる加法混色を速やかに且つ漸次的に滑らかに行い得る。
【0031】
本例のホリゾントライト2によれば、光源15は、白色発光ダイオード50を具備しており、光源15に並設された他の光源16は、白色と異なる色を発光する発光ダイオードとしての赤色発光ダイオード51を具備しているために、カラーフィルタを用いなくとも所定色の照射光を壁面13に向けて照射することができ、エネルギー消費量及び発熱量を低減させることができ、電源ケーブル等を簡略化し得、また、前述のように発熱量を低減させることができるので、筐体18の排熱口数を減少させ又はなくし得、筐体18から光漏れが生じる虞をなくし得る。
【0032】
ホリゾントライト2によれば、筐体18は、鏡面からなる内面21を有していると共に光出射口17を有した筐体本体22と、光出射口17の縁部23において筐体本体22に装着されたバンドア24とを具備しており、バンドア24の内側面25は鏡面からなっているために、光出射口17からの照射光の一部やハレーションをカットし得ると共に、バンドア24の内側面25に反射した反射光をも壁面13の照射に利用し得る。
【0033】
本例のホリゾントライト3及び4もまた、ホリゾントライト2と同様に形成されているので、ホリゾントライト2と同様に上述の通りの効果を奏し得る。
【0034】
本例の照明装置1によれば、三灯のホリゾントライト2、3及び4を具備しており、ホリゾントライト2の他の光源16は、ホリゾントライト3及び4の夫々の他の光源16の発光色とは異なる色を発光する発光ダイオード(赤色発光ダイオード51)を具備しており、ホリゾントライト3の他の光源16は、ホリゾントライト4の他の光源16の発光色とは異なる色を発光する発光ダイオード(緑色発光ダイオード52)を具備しており、ホリゾントライト2、3及び4は並設されているために、三灯のホリゾントライト2、3及び4の照射光に基づいて壁面13を好適に演出することができ、しかも、エネルギー消費量及び発熱量の低減させることができ、電源ケーブル等を簡略化し得る。
【0035】
照明装置1によれば、ホリゾントライト2、3及び4の夫々の他の光源16は、夫々互いに異なる発光色となるように、赤色発光ダイオード51、緑色発光ダイオード52及び青色発光ダイオード53のうちのいずれかの発光ダイオードを具備しているために、ホリゾント2、3及び4による照射光の光量を適宜調整することによって赤、緑及び青の三つの原色を混ぜる加法混色を速やかに且つ漸次的に滑らかに行い得る。
【符号の説明】
【0036】
1 照明装置
2、3、4 ホリゾントライト
15、16 光源
18 筐体
24 バンドア
50 白色発光ダイオード
51 赤色発光ダイオード
52 緑色発光ダイオード
53 青色発光ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、光源に並設された他の光源と、光源及び他の光源が内部に配置されていると共に光出射口を有した筐体とを具備しており、光源は、白色発光ダイオードを具備しており、他の光源は、白色と異なる色を発光する発光ダイオードを具備しているホリゾントライト。
【請求項2】
筐体は、鏡面からなる内面を有していると共に光出射口を有した筐体本体と、光出射口の縁部において筐体本体に装着されたバンドアとを具備しており、バンドアの内側面は鏡面からなる請求項1に記載のホリゾントライト。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のホリゾントライトを三灯具備しており、第一のホリゾントライトの他の光源は、第二及び第三のホリゾントライトの夫々の他の光源の発光色とは異なる色を発光する発光ダイオードを具備しており、第二のホリゾントライトの他の光源は、第三のホリゾントライトの他の光源の発光色とは異なる色を発光する発光ダイオードを具備しており、第一、第二及び第三のホリゾントライトは並設されている照明装置。
【請求項4】
第一、第二及び第三のホリゾントライトの夫々の他の光源は、夫々互いに異なる発光色となるように、赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード及び青色発光ダイオードのうちのいずれかの発光ダイオードを具備している請求項3に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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