説明

ホルダ及び培養装置

【課題】蓋部を外した時に底部の位置ずれを防止する。
【解決手段】 培養室に設けた搬送手段は、容器38を保持したホルダ39を把持して搬送する。容器38は、上方に開口64を有する底部41と開口64を塞ぐ蓋部40とからなる。ホルダ39には、底部41を位置決め保持する底保持部44と、蓋部40を位置決め保持する蓋保持部45とが個別に設けられている。底保持部44は、底可動保持部48と底固定保持部とで構成されており、また、蓋保持部45は、蓋可動保持部45と蓋固定保持部とで構成されている。蓋用の保持部と底用の保持部とは、容器38の周方向のうちの同じ位置に高さをずらして配されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞等の試料を収納する容器を保持するホルダ、及びホルダを用いる培養装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、培養装置では、温度、湿度、及び二酸化炭素濃度を適切に保つ培養室内で、試料の培養、及び試料の定時観察を自動的に行っている。培養室には、ストッカー部、観察部、及び搬送機構が設けられている。ストッカー部は、複数の容器を収納する。搬送機構は、予め設定した観察スケジュールに従ってストッカー部から観察部の観察ステージに容器を搬送する。観察部は、顕微鏡とカメラを備えており、予め決められた観察位置や観察倍率で容器を通して試料を撮影し、撮影した画像を保存する。
【0003】
培養から観察までを自動的に行う培養装置では、細胞の経時的な観察を行うために、予め決められた観察位置を常に観察する必要がある。そこで、容器を位置決め保持するホルダを使用して容器の搬送や位置決めを行っている。
【0004】
ところで、観察対象を含むシャーレ(容器)を倒立型顕微鏡のステージ上に固定するための構造体が知られている(特許文献1)。シャーレは蓋付きである。構造体は、可動挟持部材と固定挟持部材とで構成されている。可動挟持部材は、固定挟持部材から離れた待避位置の状態になっており、容器を載置した後に固定挟持部材に向けてスライド移動して、蓋ごとシャーレを挟持して位置決め保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−33972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
培地交換や継代等の作業では、シャーレから蓋を外す作業が伴う。特許文献1に記載の構造体では、蓋の外周を挟持しているため、蓋を外す場合には、可動挟持部材をいったん待避位置に移動して位置決め保持を解除する必要がある。位置決め保持を解除すると、ホルダに対してシャーレの位置がずれるため、次回の観察では同じ視野範囲を観察することができないおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、蓋を着脱する作業を行っても容器の位置ずれを確実に防止することができるホルダ及び培養装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のホルダは、上方が開口した底部と、前記開口を塞ぐ着脱自在な蓋部とを個別に保持する底保持手段、及び蓋保持手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
底部を保持する底保持手段と蓋部を保持する蓋保持手段とを個別に設けたから、蓋を外してもホルダに対する底部の位置ずれが生じることはない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の培養装置を示す平面図である。
【図2】培養室を示す説明図である。
【図3】ホルダ及び容器を示す斜視図である。
【図4】容器を示す断面図である。
【図5】蓋可動保持部と底可動保持部を示す断面図であり、それぞれ押圧位置の状態を示している。
【図6】蓋固定保持部と底固定保持部とを示す断面図である。
【図7】蓋可動保持部と底可動保持部を示す断面図であり、蓋可動保持部を解除位置に移動した状態を示している。
【図8】蓋保持部材と底保持部材とをずらして設けた別の実施形態を示す説明図である。
【図9】蓋保持部及び底保持部をそれぞれ2個の保持部で構成した他の実施形態を示す斜視図である。
【図10】容器保持手段をホルダに複数設けたその他の実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態の培養装置10は、図1及び図2に示す通り、培養室11と作業室12とを備えている。培養室11は、所定の温度及び湿度の雰囲気に保たれている。この培養室11には、ストッカー部13、観察部14、及び搬送手段15が設けられている。
【0012】
ストッカー部13は、培養容器16を収納する複数の収納部17を有している。観察部14は、観察ステージ18にセットされた培養容器16の試料を顕微鏡19で観察する。
【0013】
搬送手段15は、保持部20、テーブル21、回転機構22、及び移動機構23を備え、観察ステージ18、収納部17、及び作業室12に設定された搬出入ステージ25との間で培養容器16を搬送する。
【0014】
移動機構23は、テーブル21をX軸、Y軸、及びZ軸方向にそれぞれ直進移動させる。保持部20は、培養容器16の下方に入り込む保持位置とこれから退避する退避位置との間で出入り自在にテーブル21に設けられている。また、テーブル21には、回転機構22が組み込まれている。回転機構22は、Z軸を中心としてテーブル21を回転させる。このような搬送手段15は、制御部37により制御される。
【0015】
作業室12は、培養室11の横に隣接して設けられている。作業室12の内部は、透明窓28を通して目視することができる。この作業室12は、開口30、自動扉32、操作用グローブ34、パスボックス31、及び操作部36等を備え、不図示のHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)によりホコリや微生物の進入を防ぎ、クリーンな雰囲気に維持されている。
【0016】
開口30は、培養室11との間の仕切壁29に設けられており、通常は自動扉32により遮蔽されている。自動扉32は、開口30を閉じる閉じ位置と開く開き位置との間で開閉し、制御部37により開閉が制御される。操作部36には、培養容器16の観察スケジュールや、培地交換や継代等に伴う培養容器16の搬出入の情報が入力される。操作用グローブ34は、透明窓28に設けられており、作業室12の内部で培地置換や継代等の作業を行う時に使用する。
【0017】
搬出入ステージ25は、開口30の外に設けられている。この搬出入ステージ25には、搬送手段15により培養室11から搬出される培養容器16、又は、培養室11に搬入する培養容器16がセットされる。パスボックス31は、外部から作業室12に新たな培養容器に搬入する時に使用する。
【0018】
培養容器16は、図3に示すように、蓋付きのデッシュやシャーレ等の容器38と、容器38を保持するホルダ39とで構成されている。容器38は、透明な材料で平面視輪郭が円形状に形成されており、蓋部40と底部41とからなる。ホルダ39は、容器38の搬送、及び位置決めを簡便に行うために板状に形成されており、上面には、容器38を位置決め保持する容器保持手段42が設けられている。
【0019】
容器保持手段42は、蓋部40を保持する蓋保持部43と、底部41を保持する底保持部44とで構成される。蓋保持部43は、1個の蓋可動保持部45と、2個の蓋固定保持部46,47とで構成されており、これら3個の保持部45〜47は、容器38の周方向の3分割位置にそれぞれ配されている。底保持部44も同様に、1個の底可動保持部48と、2個の底固定保持部49,50とで構成されており、これら3個の保持部48〜50は、前記周方向のうちの蓋保持部43と同じ位置に配されている。
【0020】
また、各ステージ18,25には、ホルダ39を位置決めするための位置決めピン53,54及び押圧レバー55が設けられている。位置決めピン53,54及び押圧レバー55は、ホルダ39の側壁に設けた位置決め溝56,57とで位置決め手段52を構成する。押圧レバー55は、ホルダ39を挟んで位置決めピン53,54とは逆側に設けられており、バネ58の付勢により位置決め溝56,57を位置決めピン53,54に向けて押圧する押圧位置と、バネ58の付勢に抗して前記押圧を解除する解除位置との間で移動する。なお、位置決め溝56,57に限らず、位置決め穴でもよい。
【0021】
底部41は、図4に示すように、底板60の外周に底側板61を立ち上げて上方に開口64を設けた形状に形成されている。蓋部40は、天板62の外周に蓋側板63を立ち下げて開口64を覆う形状に形成されている。底側板61は、金型から離型するための抜き勾配によって底板60(下方)に向けて径を漸減する斜面になっており、また、蓋側板63も、抜き勾配によって天板62(上方)に向けて径を漸減する斜面になっている。この蓋側板63は、底側板61よりも大径になっている。
【0022】
蓋可動保持部45は、図5に示すように、蓋押圧部材66、バネ67、支持部材68、及び、ロック機構69とで構成される。蓋押圧部材66は、蓋部40の径方向内方に向けて蓋側板63を押圧する押圧位置と、径方向外方に待避して前記押圧を解除する解除位置との間で支持部材68により移動自在に支持されており、バネ67により押圧位置に向けて付勢されている。ロック機構69は、蓋押圧部材66に設けた係止爪70と、支持部材68に設けた固定爪71とからなる。係止爪70は、つまみ72を設けた弾性片73に形成されている。弾性片73は、蓋押圧部材66の一部を切り欠いて弾性自在に設けられている。固定爪71は、蓋押圧部材66が解除位置の時に係止爪70に係合して、蓋押圧部材66を解除位置に保持する。
【0023】
底可動保持部48は、蓋可動保持部45の下方に配されており、底押圧部材75、バネ76、支持部材77、及びロック機構78で構成される。底押圧部材75は、底部41の径方向内方に向けて底側板61を押圧する押圧位置と、径方向外方に待避して前記押圧を解除する解除位置との間で支持部材77により移動自在に支持され、バネ76により押圧位置に向けて付勢されている。ロック機構78は、底押圧部材75に設けた係止爪79と、支持部材77に設けた固定爪80とからなる。
【0024】
係止爪79は、つまみ81を設けた弾性片82に形成されており、弾性片82は、底押圧部材75の一部を切り欠いて弾性自在に設けられている。固定爪80は、底押圧部材75が解除位置の時に係止爪79に係合して底押圧部材75を解除位置に保持する。支持部材68,77は、固定部材83によりホルダ39に固定されている。
【0025】
蓋固定保持部46は、図6に示すように、蓋可動保持部45の押圧を受け止める位置に設けられており、蓋可動保持部45と同じ高さの位置で蓋側板63に当接する。底固定保持部49は、蓋固定保持部46の下方に配され、底可動保持部48と同じ高さの位置で底側板61に当接して底可動保持部48の押圧を受け止める。これら蓋固定保持部46と底固定保持部49とは、連結部材84により連結された状態でホルダ39に固定されている。なお、残りの蓋固定保持部47及び底固定保持部50は、図6で説明したと同じ構成になっている。
【0026】
ところで、蓋部40の厚みが薄い場合には、蓋側板63のうちの天板62に繋がる角部(根元)寄りを蓋可動保持部45及び蓋固定保持部46,47で押圧するのが、蓋部40の割れや損傷を防止することができるので好適である。また、底部41の厚みが薄い場合には、底側板61のうちの底板60に繋がる角部(根元)寄りを底可動保持部48及び底固定保持部49,50で押圧するのが好適である。なお、前記角部に丸みが施されている場合には、丸みを除く略直線部を押圧するのが望ましい。
【0027】
底押圧部材75を付勢するバネ76は、底部41がホルダ39から浮き上がらない力に決められている。このバネ76の力と、底側板61に当接する当接部の摩擦係数とで、底保持部44の押圧力が決まる。底保持部44の押圧力は、底側板61が斜面になっているので、底部41を水平方向に押す力と上方に向けて押す力とを合成した力になる。
【0028】
一方、蓋押圧部材66を付勢するバネ67は、蓋部40が変形しない程度の力に決められている。蓋保持部43の押圧力は、バネ67の力と蓋側板63に当接する当接部の摩擦係数とで決まり、蓋側板63が斜面になっているので、蓋部40を水平方向に押す力と下方に向けて押す力とを合成した力になる。
【0029】
蓋保持部43の下方に押す力は、蓋部40を外した時に底部41が浮き上がらないように、底保持部44の上方に押す力よりも大きくなるように予め設定されている。なお、蓋保持部43の下方に押す力と底保持部44の上方に押す力とを略同じに設定してもよい。
【0030】
底保持部44の上方に押す力と蓋保持部43の下方に押す力とのバランスは、バネ67,76の強さを変える、蓋押圧部材66及び蓋固定保持部46,47の先端66a,46a,47aを摩擦係数の低い形状に形成する、あるいは、前記先端66a,46a,47aに摩擦係数の低い部材を取り付ける、又はこれらのうちのいずれかの組み合わせ等により設定することができる。
【0031】
先端66a,46a,47aを摩擦係数の低い形状に形成する具体的な例としては、球状に形成するのが点当たりで接触するので好適である。先端66a,46a,47aに摩擦係数の低い部材を取り付ける場合には、金属ボールとバネとからなるボールプランジャー等を取り付ければよい。なお、ホルダ39をオートクレーブ(減菌)処理する場合には、140℃以上の高温に耐える材料を用いればよい。
【0032】
また、図5及び図6に示したように、底押圧部材75及び底固定保持部49,50の先端に、摩擦係数の高い部材75a,49a,50aを取り付けてもよい。摩擦係数の高い部材75a,49a,50aとしては、オートクレーブ処理を考慮して耐熱性を有するシリコンゴム、又はフッ素ゴム等を用いるのが望ましい。
【0033】
次の上記構成の作用を説明する。制御部37は、観察スケジュールに従って搬送手段15を制御して、容器38を保持したホルダ39を観察ステージ18に搬送する。このとき、振動や衝撃でホルダ39に対して容器38が位置ずれするおそれがある。しかしながら、本実施形態では、容器保持手段42で底部41と蓋部40との両方をホルダ39に固定しているため、前記位置ずれを確実に防止することができる。
【0034】
観察ステージ18では、押圧レバー55が解除位置で待機している。ホルダ39は、押圧レバー55と位置決めピン53,54との間に移載され、移載完了後に押圧レバー55が押圧位置に移動することで観察ステージ18に位置決めされる。
【0035】
制御部37は、観察部14を制御して、観察ステージ18を水平面内で移動させて培養容器16を予め決められた観察位置にセットし、その後、顕微鏡19の観察光学系の倍率を予め決めた観察倍率に設定し、そして、観察ステージもしくは前記光学系の対物レンズを垂直方向に移動して前記光学系のピント位置を調節した後に、容器38に収納されている試料をカメラで容器38の上方から撮影する。
【0036】
ホルダ39に設けた容器保持手段42は、上面を遮ることなく容器38の外周を保持している。このため、顕微鏡19の観察視野を邪魔することはない。なお、顕微鏡19として倒立顕微鏡を用いる場合でも、容器保持手段42が下面を遮ることなく容器38を保持するため、前述したと同じ効果が得られる。
【0037】
培地交換や継代等の作業を行う場合には、作業者は、所望する容器38の搬出指示を操作部36に入力する。これにより、制御部37は、搬送手段15を制御して、容器38を保持したホルダ39を搬出入ステージ25に搬出する。作業者は、操作用グローブ34を使用してホルダ39を搬出入ステージ25から作業台12aに取り出し、その後に蓋部40を外して培地交換や継代等の作業を行う。
【0038】
蓋部40を外す作業を詳しく説明すると、図7に示すように、作業者は、つまみ72を持って蓋押圧部材66をバネ67の付勢に抗して解除位置に向けて移動させる。この移動により蓋押圧部材66は、弾性片73が弾性変形して係止爪70が固定爪71を乗り越えた後に係止爪70が固定爪71に係止されて解除位置に保持される。これにより、作業者は、蓋部40を底部41から簡単に外すことができる。このとき、底保持部44は、保持状態を維持している。このため、底部41はホルダ39に対して移動することはない。
【0039】
作業者は、培地交換や継代等の作業を終えると、再び蓋部40を底部41に被せる。その後、作業者は、つまみ72を押下して係止爪70と固定爪71との係止を解除する。これにより、蓋押圧部材66は、バネ67の付勢により押圧位置に向けて移動して蓋部40を押圧する。
【0040】
作業者は、作業が完了した容器38を保持するホルダ39を搬出入ステージ25にセットする。その後、作業者は、搬入指令を操作部36に入力する。これに応答して、制御部37は、搬送手段15を制御して、ホルダ39を搬出入ステージ25から培養室11に搬入する。搬入された容器38は、ホルダ39に対して底部41が移動していない。このため、観察部14では、作業前と同じ観察位置を継続して観察することができる。
【0041】
なお、底部41をホルダ39から外す時には、蓋押圧部材66を解除位置に移動して蓋部40を外した後に、底押圧部材75を解除位置に移動して底部41を外せばよい。また、新たな容器38をホルダ39にセットする場合には、作業者は、底部41をホルダ39にセットした後に底押圧部材75を押圧位置に移動して底部41を保持し、その後、蓋部40を底部41に被せ、最後に蓋押圧部材66を押圧位置に移動させればよい。
【0042】
ところで、底保持部44は、ホルダ39から浮き上がった状態で底部41を保持するおそれがある。しかしながら、本実施形態では、蓋保持部43の下方に向けて押す力が、底保持部44の上方に向けて押す力よりも大きいため、蓋保持部43が蓋部40を介して底部41を押さえて、底部41の浮き上がりを無くすことができる。
【0043】
上記各実施形態では、容器38の平面視輪郭を円形として説明しているが、本発明ではこれに限らず、矩形や多角形等としてもよい。
【0044】
上記実施形態では、蓋保持部43と底保持部44とを容器38の周方向における同じ位置に配しているが、これに限らず、図8に示すように、蓋可動保持部45及び蓋固定保持部46,47からなる蓋保持部43に対して、底可動保持部48及び底固定保持部49,50からなる底保持部44の配置を容器38の周方向にずらしても良い。これによれば、蓋を外す作業を行う時に、誤って底保持部44の保持を解除する等の不都合を防止することができる。
【0045】
また、上記各実施形態では、蓋保持部43及び底保持部44を構成する可動保持部45,48と固定保持部46,47,49,50との数を3個ずつ設けているが、本発明ではこの数に限らず2個でもよし4個以上でもよく、そして、このうちの少なくとも1個を可動保持部にすればよい。2個の場合には、図9に示すように、蓋可動保持部45及び底可動保持部48に対向する位置に蓋固定保持部86及び底固定保持部87を設け、蓋固定保持部86及び底固定保持部87の当接面86a,87aを容器38の周方向に沿って長く形成すればよい。
【0046】
また、蓋保持部43と底保持部44とを構成する保持部の数を変えても良い。この場合には、底保持部44を構成する可動及び固定保持部の数を、蓋保持部43を構成する可動及び固定保持部よりも増やすのが底部41の位置ずれを防止することができるので好適である。
【0047】
上記各実施形態では、容器38として蓋側板63及び底側板61がそれぞれ斜面になっている蓋部40及び底部41を使用しているが、これに限らず、天板62又は底板60に対して垂直な面になっている蓋部及び底部を使用してもよい。この場合には、蓋押圧部材の先端を斜面とし、前記斜面を蓋側板と天板との角部に水平方向から押し付けて蓋部40を底部41に向けて押す力を作ればよい。
【0048】
上記各実施形態では、1個の容器保持手段42をホルダ39に設ける例として説明しているが、本発明ではこれに限らず、図10に示すように、複数の容器保持手段42をホルダ39に設けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0049】
39 ホルダ
40 蓋部
41 底部
42 容器保持手段
43 蓋保持部
44 底保持部
45 蓋可動保持部
46,47 蓋固定保持部
48 底可動保持部
49,50 底固定保持部
61 底側板
63 蓋側板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方が開口した底部と前記開口を塞ぐ着脱自在な蓋部とを有する容器を位置決め保持するホルダにおいて、
前記底部及び蓋部を個別に保持する底保持手段及び蓋保持手段を備えていることを特徴とするホルダ。
【請求項2】
請求項1記載のホルダにおいて、
前記底保持手段及び蓋保持手段は、前記底部又は蓋部を外から内に向けて水平方向に押圧する複数の保持部をそれぞれ備えていることを特徴とするホルダ。
【請求項3】
請求項2記載のホルダにおいて、
前記複数の保持部材のうちの少なくとも1つは、前記底部又は蓋部を押圧する押圧位置と前記押圧を解除する解除位置との間で移動自在な可動保持部になっていることを特徴とするホルダ。
【請求項4】
請求項3記載のホルダにおいて、
前記蓋部を押圧する前記可動保持部は、前記底部を押圧する前記可動保持部に対して前記容器の周りのうちの同じ位置に、高さをずらして設けられていることを特徴とするホルダ。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれか1項記載のホルダにおいて、
前記底保持手段の保持力と前記蓋保持手段の保持力とが異なることを特徴とするホルダ。
【請求項6】
請求項5記載のホルダにおいて、
前記底保持手段の保持力は、前記底部を前記蓋部に向けて押圧する底押圧力を有し、
前記蓋保持手段の保持力は、前記蓋部を前記底部に向けて押圧する蓋押圧力を有し、
前記蓋押圧力は、前記底押圧力よりも大きくなっていることを特徴とするホルダ。
【請求項7】
請求項5又は6記載のホルダにおいて、
前記底保持手段が前記底部に当接する底当接部の摩擦係数は、前記蓋保持手段が前記蓋部に当接する蓋当接部の摩擦係数よりも大きくなっていることを特徴とするホルダ。
【請求項8】
請求項1ないし7いずれか1項記載のホルダにおいて、
前記底保持手段及び前記蓋保持手段は、減菌処理の熱に耐える特性を有する材料で形成されていることを特徴とするホルダ。
【請求項9】
請求項1ないし8いずれか1項記載のホルダにおいて、
前記底部の外周は、前記底部の底面に向けて幅が漸減する斜面になっており、
前記底保持手段は、前記底部の斜面のうちの前記底面寄りを保持することを特徴とするホルダ。
【請求項10】
請求項1ないし9いずれか1項記載のホルダにおいて、
前記蓋部の外周は、前記蓋部の天面に向けて幅が漸減する斜面になっており、
前記蓋保持手段は、前記蓋部の斜面のうちの前記天面寄りを保持することを特徴とするホルダ。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10いずれか1項記載のホルダと、
前記ホルダを培養室内で搬送する搬送手段と、を備える培養装置。
【請求項12】
請求項11記載の培養装置において、
前記培養室に設けられ前記容器に収納される試料を観察する観察部を備え、
前記ホルダには、前記搬送手段により搬送される前記観察部のステージに位置決めするための位置決め手段が設けられていることを特徴とする培養装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−254745(P2011−254745A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131025(P2010−131025)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】