説明

ホルダ装置

【目的】CDケースなどを収納しない場合には容器をフルサイズで使用でき、かつ収納されたCDケースなどを容易に取り出すことができるホルダ装置とする。
【構成】容器1と、容器1の底部に揺動可能に枢支された底受け板部材21及び仕切り板部材22と、仕切り板部材22に設けられ底受け板部材21となす角度が所定角度となった時に底受け板部材21と係合して仕切り板部材22のさらなる揺動により前記角度を前記所定角度に維持しつつ底受け板部材21を揺動させる係合手段22gと、からなることを特徴とする。仕切り板部材22を倒した状態で容器1をフルサイズで使用でき、ホルダ装置を使用する際には係合手段22gにより底受け部材21の一端が持ち上げられて傾くので、収納物の取り出しが容易となる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コンソールボックスなどの容器内に設けられ、カセットテープやコンパクトディスク(CD)ケースなどを収納保持するホルダ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車室内にカセットテープやCDケースなどを保管する場所として、コンソールボックスの利用が考えられている。例えば実開平2−93282号公報には、仕切り板を設けてCDケースなどを収納し、プッシュロックオープン機構を備えることで取り出しを容易としたホルダ装置が開示されている。
【0003】自動車という特殊環境で収納保持するためには、振動などでがたつきが無いように保持する必要があり、上記ホルダ装置では容器の底面や側面にリブなどを設けて、CDケースなどをそれぞれ確実に収納できるように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のホルダ装置においては、容器が大きな場合などにはCDケースなどの大きさに合わせて仕切り板を立設し、容器内を区画して用いている。ところがCDケースなどを収納しない状態でも仕切り板が立設された状態となっているため、大きな物を収納できないという不具合があった。
【0005】本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、CDケースなどを収納しない場合には容器をフルサイズで使用でき、かつ収納されたCDケースなどを容易に取り出すことができるホルダ装置とすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発明のホルダ装置は、容器と、容器の底部に揺動可能に枢支された底受け板部材と、容器の底部に揺動可能に枢支された仕切り板部材と、仕切り板部材に設けられ仕切り板部材と底受け板部材のなす角度が所定角度となった時に底受け板部材と係合して仕切り板部材のさらなる揺動により前記角度を前記所定角度に維持しつつ底受け板部材を揺動させる係合手段と、からなることを特徴とする。
【0007】
【作用】本発明のホルダ装置では、CDケースなどの収納容器として用いず容器をフルサイズで使用するときには、底受け部材及び仕切り板部材を容器の底部に対して平行な状態とする。これにより底受け板部材及び仕切り板部材は、容器の底面とほぼ面一とすることができ、容器をほぼフルサイズで使用することができる。
【0008】そしてCDケースなどの収納容器として使用する場合には、仕切り板部材を引き起こして揺動させ、底受け板部材の表面に対して所定角度(CDケースの場合には略垂直)とする。これにより底受け板部材の表面にCDケースなどを乗せ、CDケースなどの側面を仕切り板部材で保持することで、CDケースなどを収納保持することができる。
【0009】このとき仕切り板部材の底受け板部材に向かう表面又は底受け板部材の表面にリブなどを設けておくことにより、CDケースなどを一層安定して保持することができる。そして仕切り板部材と底受け板部材のなす角度が所定角度となると、係合手段が底受け板部材の端部と係合し、それ以降は仕切り板部材のさらなる揺動により両板部材のなす角度を所定角度に維持しつつ底受け板部材が揺動して持ち上がる。これにより、CDケースなどの容器からの取り出しを容易に行うことができる。またCDケースなどでは、底受け板部材とともに傾くことにより、仕切り板部材に対向する側面と反対側の側面の上角部が容器の開口部に突出する。したがって取り出しが一層容易である。
【0010】
【実施例】以下、実施例により具体的に説明する。図1に本発明の一実施例のホルダ装置を示す。本実施例はコンソールボックス内にCDケースを収納する場合に本発明を適用したものである。このホルダ装置は、容器としてのコンソールボックス本体1と、コンソールボックス本体1内に設けられたCDホルダ2とから構成されている。CDホルダ2は、コンソールボックス本体1の後側に底面積の約半分を専有して設けられている。
【0011】CDホルダ2は、図2〜8に詳細を示すように、支持板部材20、底受け板部材21及び仕切り板部材22から構成されている。支持板部材20はコンソールボックス1の底板10にビス23で固定されている。そして底受け板部材21及び仕切り板部材22は、それぞれ支持板部材20にピン3で揺動自在に枢支されて保持されている。
【0012】支持板部材20は板状をなし、図5に示すように一端部にリブ状の係止凸部20aが形成されている。この係止凸部20aの一端は支持板部材20の端面から突出し、その先端にはコンソールボックス本体1の底板10に対して垂直な第1係止面20bが形成されている。また係止凸部20aの上端には、ピン3が挿通されるボス部20cが形成されている。そしてこの支持板部材20は図2に示すようにビス11で底板10に固定され、コンソールボックス本体1と一体化されている。
【0013】底受け板部材21は略板状をなし、図4に示すように、表面にコンソールボックス本体1の前後方向へ延びる仕切りリブ21aが前端及び後端にそれぞれ複数個形成されている。そして前端の仕切りリブ21aの先端には、ピン3が挿通されるボス部21bが形成されている。そして底受け板部材21の前側先端面には、コンソールボックス本体1の底板10に対して垂直な第2係止面21cが形成されている。
【0014】仕切り板部材22は略箱状をなし、図6にその平面図を示すように、表面にコンソールボックス本体1の前後方向へ延びる仕切りリブ22aが複数個形成されている。そして図2における前後方向の後側端部には、指を引っ掛けることが可能なように曲折されたノブ22bが形成されている。仕切りリブ22aと平行に延びる両側の一対の側壁22cには、ピン3が挿通されるピン穴22dがそれぞれ形成されている。また前端22eは円弧状に曲折され、その内側にはピン3が挿通されるボス部22fが幅方向両側にそれぞれ形成されている。
【0015】この仕切り板部材22の前端22eは、図6R>6のA−A断面である図7に示すように円弧状に曲折され、その先端は仕切り板部材22の深さ方向の半分程度まで延びて仕切りリブ22aの延びる方向と略平行な第1当接面22gとなっている。また前端22eの側壁22c近傍には、図6に示す切欠き部22hが形成され、その部分の端面には図6のB−B断面である図8に示すように、第1当接面22gに対して約30°傾斜する第2当接面22iが形成されている。
【0016】上記3枚の板部材は、図3に示すように外側から仕切り板部材22の側壁22c、支持板部材20のボス部20c、仕切り板部材22のボス部22f、底受け板部材21のボス部21bが順に同軸上に位置され、ピン3で枢軸連結されて保持されている。したがって底受け板部材21及び仕切り板部材22は、それぞれピン3を中心にして支持板部材20に対して揺動自在となっている。また図2の状態では、仕切り板部材22、底受け板部材21、支持板部材20の順に上から重ねられた状態となっている。
【0017】なお、ピン3にはコイルスプリング4が挿通され、コイルスプリング4の一端は支持板部材20に固定され他端は仕切り板部材22に保持されて、仕切り板部材22は常時支持板部材20に近接する方向へ付勢されている。さて、上記のように構成された本実施例のホルダ装置では、初期の状態ではコイルスプリング4の付勢力により仕切り板部材22は支持板部材20に向かって付勢され、仕切り板部材22により底受け板部材21も支持板部材20に向かって押圧されるため、図2に示すように最表面に仕切り板部材22の裏面が表出した平らな状態となっている。したがってコンソールボックス本体1内をほぼフルサイズで使用することができ、大きな物でも収納することができる。
【0018】また、この状態では、底受け板部材21及び仕切り板部材22はコイルスプリング4の付勢力で支持板部材22に押圧された状態であるので、振動などによって開くのが防止され騒音の発生は未然に防止されている。なお、底板10をホルダ装置2の部分だけ凹状としておけば、図2の状態においてコンソールボックス本体1の底部をほぼ面一とすることができる。
【0019】CDホルダ2を使用する場合には、先ずノブ22bに指を引っ掛けてコイルスプリング4の付勢力に抗して仕切り板部材22を引き起こす。この時最初は仕切り板部材22のみが起き上がる。そして図4に示すように、仕切り板部材22と底受け板部材21との角度が85°になると、仕切り板部材22の第1当接面22gが底受け板部材21の第2係止面21cと当接し、仕切り板部材22と底受け板部材21は互いに係止されその角度が保持される。
【0020】したがってさらに仕切り板部材22を引き起こすと、その角度を維持したまま底受け板部材21も引き起こされる。つまり底受け板部材21はコンソールボックス本体1の底板10に対して所定角度で傾斜することになり、仕切り板部材22と底受け板部材21の間の距離が最も大きな部分がコンソールボックス本体1の開口部に位置するため、CDケースの収納が容易となる。
【0021】なお、所定角度以上に仕切り板部材22を引き起こそうとしても、図5に示すように仕切り板部材22の第2当接面22iが支持板部材20の第1係止面20bと当接して係止されるため、それ以上の仕切り板部材22の揺動が規制され、CDホルダ2の過度の揺動が規制されている。CDケースが底受け板部材21の仕切りリブ21aの間に保持された後は、ノブ22bから指を離すと仕切り板部材22がコイルスプリング4の付勢力により支持板部材20に近接する方向へ揺動しようとする。その力とCD及びCDケースと底受け板部材21の重力により、底受け板部材21は支持板部材20と重なって水平となり、CDケースを乗せて安定して保持する。また仕切り板部材22は、コイルスプリング4の付勢力によりCDケースの一端に圧接され、CDケースを底受け板部材21及びコンソールボックス本体1の後壁に向かって押圧するので、CDケースのがたつきが防止される。
【0022】CDケースをCDホルダ2から取り出す場合には、ノブ22bを持って仕切り板部材22を前方へ揺動させる。すると仕切り板部材22の第1当接面22gが底受け板部材21の第2係止面21cと当接し、その角度を維持しながら底受け板部材21が引き起こされる。そして図5に示すように、仕切り板部材22の第2当接面22iが支持板部材20の第1係止面20bと当接すると、両板部材のそれ以上の揺動が規制される。その状態では、仕切り板部材22と底受け板部材21の間の距離が最も大きな部分がコンソールボックス本体1の開口部に位置し、さらに底受け板部材21は底板10に対して傾斜しているのでCDケースの角部がコンソールボックス本体1の開口部に突出し、CDケースの取り出しが極めて容易である。
【0023】
【発明の効果】すなわち本発明のホルダ装置によれば、ホルダ装置を使用していない場合に容器をほぼフルサイズで使用することができ、大きな物を収納することができる。またホルダ装置を使用している場合には、仕切り板部材とともに底受け板部材が揺動して持ち上げられるため、収納物の取り出しが容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のホルダ装置の全体斜視図である。
【図2】本発明の一実施例のホルダ装置を使用していない状態の断面図である。
【図3】本発明の一実施例のホルダ装置の要部断面図である。
【図4】本発明の一実施例のホルダ装置を使用している状態の断面図である。
【図5】本発明の一実施例のホルダ装置を使用し、収納物を取り出す場合などに仕切り板部材をさらに揺動させた状態の断面図である。
【図6】本発明の一実施例のホルダ装置の仕切り板部材の要部平面図である。
【図7】図6のA−A断面図である。
【図8】図6のB−B断面図である。
【符号の説明】
1:コンソールボックス本体 2:CDホルダ 3:ピン
20:支持板部材 21:底受け板部材 22:仕切り板部材
22g:第1当接面(係合手段) 21c:第2係止面
22i:第2当接面 20b:第1係止面

【特許請求の範囲】
【請求項1】 容器と、該容器の底部に揺動可能に枢支された底受け板部材と、該容器の底部に揺動可能に枢支された仕切り板部材と、該仕切り板部材に設けられ該仕切り板部材と該底受け板部材のなす角度が所定角度となった時に該底受け板部材と係合して該仕切り板部材のさらなる揺動により該角度を該所定角度に維持しつつ該底受け板部材を揺動させる係合手段と、からなることを特徴とするホルダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開平8−99583
【公開日】平成8年(1996)4月16日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−237707
【出願日】平成6年(1994)9月30日
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)