説明

ホルミシス布

【課題】高いマイナスイオン生成能を維持するホルミシス布製品を提供する。
【解決手段】 トルマリン粉末に対し無酸素状態で乾留して製造した炭素含量50%以上の高純度炭素粉末を等量〜5倍重量配合し、これに低放射線を放射するホルミシス材料粉末を370ベクレル/g以下となるように配合し、3000個/cc以上のマイナスイオン生成能を有する組成物となし、バインダー樹脂にて不織布製品又は繊維製品に塗布する。このホルミシス布の少なくとも表裏一面にナノ銀粒子または銀繊維を不織布製品又は繊維製品に定着してなる抗菌布を重畳するのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高いマイナスイオン生成能を維持するホルミシス布製品に関する。
【背景技術】
【0002】
トルマリンは電磁波放射効果を有する鉱石として知られており、トルマリンの有するこれらの特性を常時持続させ,マイナスイオン効果を得るために従来、トルマリンを粉砕したパウダーに分散剤と合成樹脂塗料を配合し、これを繊維製品に塗布した発電繊維による血液粘度に関する研究成果が弘前大学医学部保健学科より発表されている(非特許文献1)。
他方、プラスチックの無酸素乾留物粉末の遠赤外線効果に着目し、トルマリン及び金属亜鉛を配合した混合物が高い遠赤外線放射効果を発揮し、血流増加作用があることに着目して寝具や装身具に応用した提案もある(特許文献1)。
したがって、電磁波や遠赤外線には血流増進効果に寄与するものとして近年、この種寝具類の開発が盛んである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−237628号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】弘前大学医学部保健学科:「マイナスイオン発生素材の医療応用化に関する研究」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、トルマリンの電磁波効果の欠点はその効果の経時変化が著しく、数時間経過すると、その効果が半減する。その減退現象の主たる原因は明確ではないが、トルマリンでは外部から熱や圧力といった外力が働くとトルマリンの表面に電荷が生じ、周囲の空気および水蒸気をマイナスイオン化するが、この現象が経時的に何らかの変化で弱まる又は減少するためと思われる。そのため、上記弘前大学の発電繊維では構造的な工夫がとられている。他方、上記特許文献ではトルマリンにプラスチックの無酸素乾留物粉末や金属亜鉛が混合され、結果的にマイナスイオン効果を増強しているが十分ではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者はかかる従来技術の提案を検討するに電磁波によるマイナスイオン発生効果を持続させるためにはトルマリン粉末同士が結合しないように分散させ、常に外力がかかるようにするだけでなく、周囲の空気および水蒸気との接触を積極的に可能とする環境を形成すべきであると考えられ、それに対し高純度炭素は空気中の水蒸気に対し高い吸湿能があり、これをトルマリン粉末に対して混合するとトルマリン粉末同士を分散させるだけでなく、空気および水蒸気に接触しやすい環境を形成するのでマイナスイオン効果を発生させるに都合のよい構造となる。そこで、本発明者は、更にここに何らかの外力を加える必要があることに着目し、鋭意研究の結果、ここに低放射線を放射すると、トルマリンにマイナスイオン発生効果を生じさせる外力となり、この放射線による励起によりトルマリンの電磁波によるマイナスイオンが放射される結果を増強持続されることを見出した。
すなわち、本発明はトルマリン粉末に対し無酸素状態で乾留して製造した炭素含量50%以上の高純度炭素粉末を等量〜5倍重量配合し、これに低放射線を放射するホルミシス材料粉末を370ベクレル/g以下となるように配合し、3000個/cc以上のマイナスイオン生成能を有する組成物となし、バインダー樹脂にて不織布製品又は繊維製品に塗布したことを特徴とするホルミシス布にある。
【発明の効果】
【0007】
トルマリン粉末に対し無酸素状態で乾留して製造した炭素含量50%以上の高純度炭素粉末等量〜5倍重量してなる組成物はバインダー樹脂で不織布製品又は繊維製品に塗布し、これに低放射線を放射するホルミシス材料粉末を370ベクレル/g以下となるように配合することにより、3000個/cc以上のマイナスイオン生成能を有する性能を持続することができる。また、高純度炭素粉末には遠赤外線を放射する効果があり、マイナスイオンと遠赤外線効果との相乗効果が期待できる。
本発明においては、上記3000個/cc以上のマイナスイオン生成能を有するように調整したホルミシス布の少なくとも一面にナノ銀粒子または銀繊維を水溶性樹脂をバインダー樹脂として不織布製品又は繊維製品に塗布してなる抗菌布を重畳することによりホルミシス布に抗菌性能を持たせることができる。このナノ銀粒子または銀繊維は銀イオンよりその抗菌効果が持続させることが見出されており、寝具及び装身具として格好のものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明で用いる材料、トルマリン、高純度炭素、ホルミシス材料について説明する。
【0009】
トルマリンは電気石といわれ、各地で産出する。各種トルマリンを粉砕器にて粉砕し、粒径が0.2mm以下の粉体について、マイナスイオン発生量を測定した。測定装置は株式会社佐藤商事製簡易型マイナスイオン測定器(COM-3010PRO)を使用した。測定に際しては、各種トルマリン粉体試料の20gを10cm四方の白色紙(白色コピー用紙を使用した)に均一の厚さになるように広げた後、1cmの高さにおける20秒間のマイナスイオン発生数を測定した。なお、対象試料は10cm四方の白色紙(白色コピー用紙を使用した)とし、1cmの高さにおけるマイナスイオン数を測定し、これをバックグラウンド値とした。
【0010】
まず、白色のコピー用紙のみで、トルマリンを置いていない対照の場合、20秒間におけるマイナスイオン生成数を繰り返して測定した。平均バックグラウンド値は、マイナスイオン数が3個/ccである。
【0011】
各種トルマリンは、いずれもマイナスイオン発生能を有していたが、種類や生産地によってマイナスイオン発生能が大きく相違し、概して、マイナスイオン発生能は、ピンクトルマリンが最も強く、次に、茶トルマリンが強く、黒トルマリンが最も弱い傾向が認められた。今回、測定したピンクトルマリン製品の平均マイナスイオン発生数は、398個/cc〜1,511個/ccの範囲にある。
【0012】
本発明では高純度炭素として、ヤシガラ、廃タイヤ粉末、プラスチックを無酸素状態で550℃の乾留処理して得られた、炭素含有量50重量%以上の高純度炭素粉末を用いる。市販品としては、例えば、廃タイヤ無酸素乾留物粉末として(株)フューチャーサイエンス製「高純炭素粉末」を用いることができる。この高純炭素粉末は炭素純度(%)=Cの含有量/Cの含有量+Siの含有量×100として52/52+3.1=94.4%を示し、植物性炭素−1(竹炭)が40/40+15=72.7%、植物性炭素―2(木材炭)が47/47+21=69.1%と70%前後であることと比較すると炭素純度が極めて高いことが理解できる。
【0013】
各種高純度炭素粉末をトルマリンに対し等量配合してその物性を次のようにして測定した。ポリエチレン製の袋(大きさ縦20cm、横10cm)の試料風袋を用意し、測定装置は株式会社佐藤商事製イオン測定器ACI-100 を使用した。測定は試料風袋を空中に吊るし、3cmの距離の試料風袋周辺大気におけるマイナスイオン生成能を調べた。なお、対照地点は試料風袋から30cmの距離の大気とした。
【0014】
無酸素状態で乾留されたヤシガラ活性炭は、賦活処理により細孔を多くし、比表面積を多くしたものであり、そのため、トルマリンに対する賦活効果があり、マイナスイオン効果や遠赤外線効果は極めて強くなる。
【0015】
また、トルマリン粉末に対し廃タイヤ(主成分;ブタジエン・スチレン重合体)の無酸素乾留物の粉末(粒径:0.2mm以下)を配合し、マイナスイオン生成能を測定し、その平均値を算出した。その結果、各無酸素乾留物は、いずれも賦活処理をしていないが、トルマリンに対する強いマイナスイオン生成能を有することが判明した。
【0016】
すなわち、トルマリンとしてマイナスイオン生成能が、1,445個/cのものを使用し、これにヤシガラ活性炭粉末を等量以上配合すると、このマイナスイオン生成能の強さがヤシガラ活性炭により、約70%以上増強され、マイナスイオン生成能:3,100個/ccとなる。また、廃タイヤ無酸素乾留物ではマイナスイオン生成能は3,500個/ccとなり、そのマイナスイオン生成能は、トルマリン単独よりも2倍以上も強くなることが判明した。
【0017】
本発明ではホルミシス材料として使用する放射線源材料は、放射性物質(具体的には放射線源調整物質)及びバインダーからなる。放射性物質としては、天然放射性元素のウラン・トリウムを含むレア・アース鉱物が用いられ、レア・アース工業において原料として使用される鉱石の中、トリウム(Th)とウラン(U)を比較的多く含むもの、例えば、モナザイト(化学式(Th,RE)PO4、ThO2 6.0%、U38 0.3%、(RE)23 60%、P25 28%)か、ゼノタイム(化学式YPO4、U38 1.0%、ThO2 1.0%、(RE)23 50%、P25 45%)が普通である。しかし、レア・アース鉱石の種類については特に特定するものではない。一般には、天然放射性物質をその他の物質で稀釈したもの(以下、放射線源調整物質という)を使用する。たとえば、天然放射性レア・アース鉱物を白色系の窯業用素材(石英、長石、粘土、ムライト、ジルコン、ジルコニア、アルミナ、ゼオライト等)で稀釈したものを使用する。ここでは、モナザイトとジルコンを用い、モナザイト:ジルコン=30:70の割合に混合したものを粉砕して使用する。放射線源調整物質の使用量は実験的に決定する。しかし、核原料物質であるこれらの放射性核種を含有するものについては、その使用に関して規制があり、これらの濃度が370ベクレル/g(現行規則では、トリウム含有%+3×ウラン含有%で1.8%)以上である場合には届出が必要となる。そのため、このような届出をしないでも使用できる点において、放射線源材料の配合割合は、酸化トリウムの含有量として換算して、2.0重量%未満であることが好ましく、より好ましくは1.8重量%以下である。即ち、限定されるものではないが、その配合割合は、酸化トリウムの含有量として換算して0.3〜2.0重量%が好ましく、また、0.3〜1.8重量%がより好ましい。市販品としては美濃顔料製イオミックスを使用することができる。
【0018】
放射線源材料はできるだけ細かな粒子の微粉末とすることが好ましく、一般に、10μm以下の平均粒子径とすることが好ましい。より好ましいのは、0.5〜1μm程度の平均粒子径である。そして、それらの粒度が細かい程、自然放射性元素の放射性崩壊によるエネルギー線をより効果的に吸収させることができる。放射性鉱物からなる放射線源材料は、全体に対し一般に5〜60重量%、好ましくは5〜30重量%の割合で配合することができる。
【0019】
(試験例)
本発明の実施形態の一例として、上記無酸素乾留物とトルマリンとホルミシス粉末とを併用した本発明組成物との作用効果を明らかにするために、廃タイヤ無酸素乾留物の重量比を70、ピンクトルマリンの重量比を20、ホルミシス粉末の重量比を10として、混合した本発明の組成物について、トルマリンとの電磁波効果を比較した。
【0020】
低極性物性の中性物質である芳香族化合物のエチルベンゼンに対する作用効果を調べた。600MHzの核磁気共鳴装置(NMR;GM社製 Omega600)を用いて、行った。
【0021】
実験方法としては、二重管構造を有するNMR分析サンプルチューブを用いて、その外管部にエチルベンゼンを入れ、一方、内管部には、トルマリン及び本発明組成物を入れて、外管部と内管部の非接触的条件下でエチルベンゼンのNMRスぺクトルの変化を検討した。
【0022】
上記粉体(粒径:0.2 mm以下)を内部に入れ、5分間の非接触的状態にし、その後粉体を取り除き、その1時間後のエチルベンゼンの帯電状態を調べた。エチルベンゼンの帯電が認められ、ピンクトルマリンのマイナスイオンによる帯電効果によるものであると思われる。
【0023】
また、同様な条件で実験した場合、本発明組成物によるエチルベンゼンの帯電状態は、ピンクトルマリンよりも遥かに強いことが明らかになった。また、エチルベンゼンの帯電効果は、長時間持続し、12時間後でも、エチルベンゼンの帯電状態が持続した。
【0024】
以上の結果からも明らかなように、廃タイヤ無酸素乾留物、トルマリン、ホルミシス材料から構成される組成物は、トルマリン単独に比べて遥かに強いマイナスイオンによる電磁波効果を示す。
【0025】
(実施例1)
次に、本発明組成物のマイナスイオン効果について説明する。試料1として、幅25mm、長さ240mm、厚さ1mmの不織布部材の表面に、エマルジョンボンドを用いて、廃タイヤ(主成分:ブタジエン・スチレン重合体)の無酸素乾留物の紛体を塗布して乾燥させ、表裏両面を綿・ポリエステル混紡布にて被覆して、その周縁を縁縫いし、長手方向の一方端の表側と他方端の裏側に、夫々に雌雄の接合部を有する面ファスナーの片方ずつを設けたベルト(以下これを無酸素乾留物含有ベルトと称す)を用意する。
【0026】
また、試料2として、幅25mm、長さ240mm、厚さ1mmの不織布部材の表面に、エマルジョンボンドを用いて、本発明組成物(廃タイヤ無酸素乾留物紛体の重量比を70とし、ピンクトルマリンの重量比を20、及びホルミシス材料(美濃顔料製イオミックス)10の重量比で混合したもの)を塗布して乾燥させ、表裏両面を綿・ポリエステル混紡布にて、被覆して、その周縁を縁縫いし、長手方向の一方端の表側と他方端の裏側の夫々に、雌雄の接合部を有する面ファスナーの片方ずつを設けた、ベルトを用意する。
【0027】
そして、上記で準備した、上記の無酸素乾留物含有ベルト(試料1)と本発明組成物含有ベルト(試料2)を用いて、血流測定を行った。
【0028】
なお、その上記各ベルトの装着位置は、上椀部の肘下30mmの位置とし、各ベルトを装着して、5分後に血流計測器(KDD株式会社製ES−1000SPM)を用いて、親指付け根から20mm付近における橈骨動脈の血流と脈拍を3回測定し、その平均値を算出して測定し、血流の増大効果を得た。
【0029】
(実施例2)
また、本発明組成物を含有させたシート状材を敷物に内装してなる敷物類を作成した。
【0030】
本発明の敷物類は、本発明組成物(廃タイヤ無酸素乾留物紛体の重量比を50、ピンクトルマリンの重量比を10、ホルミシス粉末(美濃顔料製イオミックス)の重量比40として混合したもの)の20重量%を発砲ゴム原料80重量%と混合して、例えば、幅500mm、長さ800mm、厚さ5mmのシート状材を成形し、そのシート状材を通気性被覆材にて被覆して、その周縁を縁縫い縫製、或いは圧着したものである。かかるシートは0.03〜0.05μシーベルト/hの放射線量を有していた。0.03μS.v×8時間×365日では年間1mS.v以下であって許容値以内である。
この上に10〜20nmのナノ銀粒子コロイド(1000ppm水溶液)を水溶性樹脂で100ppmとなるように希釈し、これを敷布に噴霧し、乾燥させて製造した抗菌布を重畳した。この敷物類の上面で使用者が横臥、或いは仰臥、又は伏臥することで、敷物類上の使用者の接触部位全体は抗菌され、その周囲に対して血流増進による体温向上効果が期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
製造コストが安価で取り扱いが容易な廃タイヤの無酸素乾留物を用い、これらの素材とトルマリン(電気石)のマイナスイオン効果を増大させるとともに、ホルミシス材料の低放射線効果により、トルマリンの電磁波効果を強力にし、血流増加効果が期待できるので、あらゆる身体装着具や寝具類及び敷物類に混合、或いは練り込み、又は内装させることでマイナスイオン効果および電磁波効果による血流増強作用を長く持続させ、健康増進に役立つ身体装着具や寝具類及び敷物類を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルマリン粉末に対し無酸素状態で乾留して製造した炭素含量50%以上の高純度炭素粉末を等量〜5倍重量配合し、これに低放射線を放射するホルミシス材料粉末を370ベクレル/g以下となるように配合し、3000個/cc以上のマイナスイオン生成能を有する組成物となし、バインダー樹脂にて不織布製品又は繊維製品に塗布したことを特徴とするホルミシス布。
【請求項2】
トルマリン粉末に対し無酸素状態で乾留して製造した炭素含量50%以上の高純度炭素粉末を等量〜5倍重量に配合し、これに低放射線を放射するホルミシス材料粉末を370ベクレル/g以下となるように配合し、3000個/cc以上のマイナスイオン生成能を有する組成物となし、バインダー樹脂にて不織布製品又は繊維製品に塗布したホルミシス布の少なくとも表裏一面にナノ銀粒子または銀繊維を不織布製品又は繊維製品に定着してなる抗菌布を重畳してなることを特徴とする抗菌ホルミシス布。

【公開番号】特開2011−78449(P2011−78449A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230755(P2009−230755)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(507252889)株式会社ヒューチャーサイエンス (3)
【Fターム(参考)】