説明

ホルミシス風呂

【課題】ホルミシス効果を奏する鉱物・セラミックス粒を良好に循環できるようにしたセラミックス風呂を提供する。
【解決手段】ホルミシス風呂1は、入浴者が入るとともに、ホルミシス効果を奏する粒(ホルミシス粒G)が堆積される入浴槽10を有する。入浴槽10は、ホルミシス粒Gの通過又は非通過を選択可能な底板20と、底板20の下方に設置されて、底板20を通過したホルミシス粒Gを収容するスロープ付きの溜め部40を備える。さらに、ホルミシス風呂1は、ホルミシス粒Gが貯留される、入浴槽10の上方に設置される貯留タンク50と、貯留タンク50内に温水を供給してホルミシス粒Gを加熱する温水供給管57と、溜め部40と貯留タンク50とを接続するパイプ53と、ホルミシス粒Gを溜め部40からパイプ53を通って貯留タンク50へ送る真空ポンプ55と、貯留タンク50から入浴槽10へホルミシス粒Gを供給するホース60と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホルミシス効果を奏する鉱物・セラミックス粒(ホルミシス粒)を人体の周りに堆積する風呂に関する。特には、ホルミシス粒を効率的に循環できる風呂に関する。
【背景技術】
【0002】
砂風呂のような温浴効果を得るために、セラミックス粒が充填された槽に入浴するセラミックス粒風呂や、セラミックス粒を肩や腰に落下させて指圧効果を施す風呂が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これらの技術においては、セラミックス粒の遠赤外線効果のみに着目している。一方、いわゆるホルミシス効果に着目しているものは提案されていない。
【0003】
ここで、ホルミシス効果とは、生物に対して通常有害な作用を示すものが、微量であれば逆に良い作用を示す生理的刺激作用をいう。特に放射線ホルミシス効果とは、高線量では有害な放射線が、低線量では生物の成長・発育の促進、繁殖力の増進及び寿命の延長などの有益な効果をもたらすことがあるという効果をいう(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
ところで、このような鉱物粒・セラミックス粒風呂においては、浴用粒を入浴者の全身が埋まるように掛け、その後に浴用粒を回収して洗浄するなどの、浴用粒を循環させる作業・設備が必要になる。
【0005】
特許文献1のセラミックス風呂は、セラミックス粒を循環装置で槽から回収して循環させるものであるが、循環装置の具体的な態様や循環経路については言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−353201
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「医師がすすめる低放射線ホルミシス驚異のラドン浴療法」放射線ホルミシス臨床研究会編(株式会社ローカス)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、ホルミシス効果を奏する鉱物・セラミックス粒を良好に循環できるようにしたセラミックス風呂を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のホルミシス風呂は、
A)入浴者が入るとともに、ホルミシス効果を奏する粒(ホルミシス粒)が堆積される、以下A1)及びA2)を有する入浴槽と、
A1)前記入浴者が横たわる、あるいは、座るとともに、前記ホルミシス粒の通過又 は非通過を選択可能な底板、
A2)該底板の下方に設置されて、前記底板を通過したホルミシス粒を収容するスロープ付きの溜め部、
B)前記入浴槽内に温水を供給する手段と、
C)前記ホルミシス粒が貯留される、前記入浴槽の上方に設置される貯留タンクと、
D)該貯留タンク内のホルミシス粒を加熱する手段と、
E)前記入浴槽下方の溜め部と前記貯留タンクとを接続する経路と、
F)前記ホルミシス粒を前記溜め部から前記経路を通って前記貯留タンクへ送る送り手段と、
G)前記貯留タンクから前記入浴槽へホルミシス粒を供給するホースと、
を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、加熱されたホルミシス粒による温浴効果及びホルミシス効果により、入浴者に健康状況改善やストレスの緩和などの効果を与えることができる。また、本発明によれば、入浴者の体の上面や周りにホルミシス粒を堆積させるので、浴室の壁や床にホルミシス物質を塗布するような場合よりも、人体のすぐ近くから十分な放射線を人体に当てることができる。
【0011】
ホルミシス粒は、例えば、ウラン鉱石あるいは下記の低放射線放射花崗岩の粉末を粘土と混錬した後に粒状に成形して、低温で焼成することにより作製できる。ホルミシス粒は、1g当り1ベクレル以上の低放射線放射花崗岩の粉末を2mg/cm3以上含有することが好ましい。さらに好ましくは、含有量は、0.06〜0.1g/cm3である。低放射線放射花崗岩は、ラドンを放射するラジウム鉱石が含まれる花崗岩である。浴槽内のラドン濃度は50〜200ベクレル/m3/hrが好ましい。
【0012】
また、ホルミシス粒を送り手段により入浴槽から経路を通して貯留タンクに送り、貯留タンク内で任意に加熱、洗浄するなどした後ホースで入浴槽に送り、入浴者の上や周りに堆積させる。そして、入浴後に再度貯留タンクに回収するという、効率的なホルミシス粒の循環を実現できる。
【0013】
本発明においては、 前記送り手段が、前記貯留タンクに取り付けられた真空ポンプであって、 該ポンプで前記貯留タンクを真空に引くことにより前記経路を負圧とし、前記入浴槽下方の前記溜め部から前記経路を通って前記貯留タンクにホルミシス粒を送ることが好ましい。
【0014】
あるいは、 前記送り手段が、 圧縮空気を生成するコンプレッサ、及び、 前記経路の途中に取り付けられた、前記貯留タンク方向に圧縮空気を噴出するノズルを有し、 前記溜め部から前記貯留タンクへと向かう空気流を前記経路中に形成し、この空気流に乗せてホルミシス粒を送ることともできる。
【0015】
本発明においては、 前記底板が、上下に重ねて配置された固定スノコと移動スノコ、とからなり、 前記移動スノコを、前記固定スノコに対して移動させて、両スノコのスキマを上下方向で合わせることによりホルミシス粒が通過可能となり、両スノコのスキマを上下方向でずらすことによりホルミシス粒が通過不能となることが好ましい。
【0016】
入浴者の横たわる底板の全体あるいは大部分を開閉式スノコとすることにより、ホルミシス粒を下方の溜め部に落とすことができる。つまり、ホルミシス粒を押したり掃いたりして集める必要がない。なお、スノコのスキマの形状は、帯状、角孔、丸孔などを選択できる。
【0017】
本発明においては、 前記ホルミシス粒が収容されるスロープ付き溜め部が、最下部の中央部に向かって下方に傾斜した傾斜部を有することが好ましい。
本発明によれば、傾斜部に落下したホルミシス粒が中央部に集まりやすくなる。したがって、ホルミシス粒を入浴槽の底板上から効率的に溜め部に回収することができる。
【0018】
本発明においては、 前記ホルミシス粒の貯留タンク内に、温水を供給する配管が接続されていることが好ましい。
ホルミシス粒が貯留されている貯留タンクに、配管から温水を供給することにより、入浴者に掛ける前にホルミシス粒を昇温あるいは洗浄することができる。
【0019】
本発明においては、 前溜め部の上方に、オーバーフロー排水口が設けられていることが好ましい。
ホルミシス粒が収容された溜め部に水を供給してオーバーフローさせることにより、水面に浮かんだゴミなどを排出でき、ホルミシス粒を清潔に保つことができる。
【0020】
本発明においては、 前記真空ポンプ又はコンプレッサが、前記入浴槽が設置されている部屋の外部に設置されていることが好ましい。
真空ポンプやコンプレッサは騒音が大きいので、入浴槽が設置された部屋と隔離された部屋あるいは屋外に設置することにより、騒音を低減できる。さらに、真空ポンプやコンプレッサに給電する電気系統を、給水設備が備えられた槽が設置されている部屋から隔離でき、感電などの事故の発生を防止できる。あるいは、感電防止・騒音低減に必要となる設備費を安くできる。
【発明の効果】
【0021】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ホルミシス粒を送り手段により入浴槽から経路を通して貯留タンクに送り、貯留タンク内で必要に応じて加熱などした後ホースで入浴槽に送り、入浴終了後に再度貯留タンクに回収するという、効率的なホルミシス粒の循環手法を提供できる。そして、この循環手法を適用することにより、加熱されたホルミシス粒による温浴効果とホルミシス効果とで、入浴者に健康状況改善やストレスの緩和などの効果を期待できるホルミシス風呂を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るホルミシス風呂全体の構成を模式的に説明する図である。
【図2】図1のホルミシス風呂の槽の構造を示す一部断面斜視図である。
【図3】図1のホルミシス風呂の使用状態を説明する図であり、図3(A)は入浴時、図3(B)は入浴終了後の状態を示す。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るホルミシス風呂のタンク周辺の構成を模式的に説明する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本発明のホルミシス風呂1は、ホルミシス粒Gが充填される入浴槽10を有する。入浴槽10は、図2にも示すように、左右の側板11、12と、頭部側端板13、足側端板14、及び、底板20からなり、人が横たわれるだけの深さを有する。入浴槽10は、例えば、木材やFRPで作製される。
【0024】
ホルミシス粒Gは、低線量の放射線や赤外線を放射する鉱物・セラミックス製の球状物質である。ホルミシス粒Gの直径は、2〜4mmである。
【0025】
入浴槽10の左右側板11、12の内面には、槽の長さ方向に延びる温水パイプ30が設けられている。温水パイプ30には、所定の間隔で温水が吹き出す噴出口31が開けられている。この温水パイプ30から、例えば、40℃程度の温水が供給される。
【0026】
底板20は、入浴者の頭部が置かれる頭部側端部21と、入浴者の首から下の身体部が横たわる本体部22と、入浴者の足先の足側端部23とを有する。本体部22は、上下に重ねて配置された移動スノコ板22aと固定スノコ板22b、とからなる二重の構造を有する。移動スノコ板22aは、ラックやネジ送り機構などを介して、入浴槽10の頭部側端板13に設けられたハンドル25に連結している。ハンドル25を回すことにより、移動スノコ板22aは、固定スノコ板22bに対して移動する。
この例では、スノコ板のスキマ部が、帯状の形状である場合を説明したが、スキマ部の形状は、角孔や丸孔などの形状でもよい。ただし、小寸法の移動で大開孔の得られる帯状スキマが好ましい。
【0027】
図3(A)に示すように、ハンドル25を回して、両スノコ板22a、22bのスキマ部の上下位置をずらすと、一方のスノコ板のスキマ部が他方のスノコ板の板部で塞がれるため、ホルミシス粒Gを本体部22の上面に貯留することができる。一方、図3(B)に示すように、ハンドル25を回して、両スノコ板22a、22bのスキマ部の上下位置を合わせると、ホルミシス粒Gが本体部22の重なったスキマ部から通過し(下に落ち)、後述する床板20の下方に設置されたスロープ付き溜め部40に収容される。
【0028】
図1、図2に示すように、スロープ付きの溜め部40は、入浴槽10の床板20の下方に設置されている。溜め部40は、本体部22の長さ方向のほぼ中央に設けられた中央部41と、本体部22の両端から中央部41に向かって下方に傾斜したスロープ部42と、を有する。溜め部40の容量は、例えば、200〜300リットルである。中央部41の、底板20からの深さは、例えば、500mmである。底板20上にホルミシス粒Gを貯留した後、底板20の本体部22の上下のスノコ板22a、22bのスキマ部の位置を合わせると、ホルミシス粒Gはスキマから溜め部40に落下する。この際、スロープ部42に落下したホルミシス粒は、傾斜に沿って中央部41に向かって送られる。
【0029】
中央部41の下面には、排水管45が接続している。この排水管45の途中には開閉弁46が取り付けられている。さらに、溜め部40には、ホルミシス粒洗浄用の温水供給管47が接続している。この温水供給管47の途中には開閉弁48が取り付けられている。また、溜め部40の最上部(底板20のすぐ下)には、オーバーフロー排水管49が接続している。これらの作用については後述する。
【0030】
次に、ホルミシス粒Gを循環させる構成について説明する。
入浴槽10の上方には、ホルミシス粒Gが貯留される貯留タンク50が設置されている。貯留タンク50は、例えば、支柱51により支持されている。貯留タンク50は、例えば、ステンレス鋼製であり、ホルミシス粒の落下音などを低減するために、内面にはゴムなどの緩衝材が貼られていることが好ましい。貯留タンク50の容積は、例えば、200〜300リットルである。貯留タンク50の床面からの高さは、例えば、1500mmであり、入浴槽10の底板20からの高さは、例えば、1000mmである。
【0031】
貯留タンク50と、入浴槽10のスロープ付き溜め部40の中央部41とは、パイプ53で接続されている。パイプ53は、例えば、溜め部40の中央部41から、入浴槽10の内部を足先側端板14の方向に延びて同端板14を貫通した後、上方に曲って貯留タンク50に接続する。パイプ53の内径は、50mm程度が好ましい。
【0032】
貯留タンク50には、真空ポンプ55(例えば、ORION−DRY−PUMP(商品名、ORION社製))が接続されている。真空ポンプ55は、入浴槽10が設置されている部屋と別の部屋に配置されている。これにより、ポンプの騒音を低減できる。さらに、ポンプに給電する電気系統を、給水設備が備えられた、入浴槽が設置されている部屋から隔離でき、感電などの事故の発生を防止できる。さらに、真空ポンプ55を防音箱に収容しておくと、より高い防音効果が得られる。あるいは、感電防止・騒音低減に必要となる設備を新たに設ける必要がない。
【0033】
さらに、貯留タンク50には、温水供給管57が接続している。同管57から貯留タンク50に温水を供給することにより、貯留タンク50内のホルミシス粒を加熱することもできる。また、ホルミシス粒を洗浄することもできる。この温水供給管57の途中には開閉弁58が取り付けられている。
また、貯留タンク50の下部には、入浴槽10の底板20上に延びるホース60が接続している。このホース60は、貯留タンク50内のホルミシス粒を入浴槽10に供給するためのものである。このホース50は、収縮可能な、例えば、蛇腹式のホース(例えば、スパイラルホース(商品名)、株式会社サンコー製)を使用できる。ホース60と貯留タンク50との間には、弁61(例えば、ボール弁(商品名)、株式会社サンコー製)が介されている。さらに、貯留タンク50の下部には、排水管63が接続している。排水管63の途中には、開閉弁64が取り付けられている。
【0034】
次に、図1を主に参照してこのホルミシス粒風呂1の使用方法の一例を説明する。
ここでは、ホルミシス粒Gが、貯留タンク50→ホース60→入浴槽10→パイプ53→貯留タンク50と循環する例を説明する。
ホルミシス粒Gが貯留タンク50に収容されている状態(初期状態)では、ホース60の基部の弁61が閉じられており、排水管63の開閉弁64が閉じられている。まず、温水供給管57の開閉弁58を開いて、貯留タンク50に温水を供給する。温水の温度は、例えば、40〜70℃である。所定量の温水を供給した後、開閉弁58を閉じる。この状態で所定時間放置することにより、ホルミシス粒Gが20〜40℃程度に加熱される。その後、排水管63の開閉弁64を開いて温水を排水する。
なお、このホルミシス粒の加熱作業は必要に応じて行う。また、貯留タンク50のホルミシス粒を貯留させて、温水を供給、排水することにより、ホルミシス粒の洗浄作業を行うこともできる。
【0035】
一方、入浴槽10においては、底板20の本体部22は、スキマの位置がずれるように移動スノコ板22aが固定スノコ板22bに対して移動されて、ホルミシス粒Gを貯留可能となっている(図1、図3(A)の状態)。そして図3(A)に示すように、入浴者Bが、頭部を底板20の頭部側端部21に乗せて、本体部22上に横たわる。スロープ付き溜め部40に接続する洗浄用温水供給管47の開閉弁48、排水管45の開閉弁46は閉じられている。
【0036】
その後、ホース60の基部に設けた弁61を開き、ホルミシス粒Gを貯留タンク50からホース60を通して入浴槽10に導き、入浴者Bの身体に均一にかけて、身体の上面や周囲に堆積させる。この場合、蛇腹式などの収縮性を有するホースを使用すると、入浴者Bの身体の周りに掛けやすい。同時に、入浴槽10に設けた温水パイプ30の噴出口31から温水を槽内に供給する。温水の温度は、35〜45℃程度が好ましい。
このように、ホルミシス粒を人体の周囲に堆積させることにより、ホルミシス物質を壁や床面に塗布する場合に比べて、放射線をより近接して多量に当てることができる。
【0037】
入浴者Bは、加熱されたホルミシス粒Gと温水パイプ30から供給される温水により、温浴効果を得る。さらに、ホルミシス粒からホルミシス効果を得る。入浴者Bは、この状態で所定の時間(例えば、20分〜1時間)入浴する。なお、上下のスノコ板22a、22bの各板部はスキマ部を塞いでいる状態であるが、上下の板部間にはややスキマが開いている。このスキマは、径の比較的大きいホルミシス粒が通過不能であるが、水は通過可能であるため、供給された温水は、底板20上には貯留されず、溜め部40に落下する。落下した温水は溜め部40に貯留され、やがてオーバーフロー排水管49から排水される。所定の入浴時間が経過した後、入浴者Bは入浴槽10を出る。そして、温水パイプ30からの温水の供給を停止する。
【0038】
入浴者Bが入浴槽10を出た後、ハンドル25を回して、底板20の本体部22の、スキマ部の位置が上下で重なるように、移動スノコ板22aを固定スノコ板22bに対して移動する。これにより、ホルミシス粒Gは重なったスキマ部から溜め部40に落下する(図3(B)の状態)。なお、上側の移動スノコ板22aの板部上に堆積したホルミシス粒が残るが、少量であるので、掃き落としたりシャワーで洗い落とす。
【0039】
溜め部40のスロープ部42に落下したホルミシス粒は、傾斜に沿って中央部41に向かって送られて貯まる。全ホルミシス粒Gが底板20から溜め部40に落下した後、温水供給管47に設けた開閉弁48を開いて洗浄用の水を溜め部40に供給する。水は溜め部40内に充填され、やがて、オーバーフロー排水管49から排水される。これにより、水面に浮いているごみなどが排出される。その後、温水供給管47の開閉弁48を閉じてオーバーフローを停止した後、排水管45の開閉弁46を開いて溜め部40を排水する。なお、開閉弁46の上流側には、ホルミシス粒Gの排水管45への落下を防止するフィルターが取り付けられている。
【0040】
その後、温水供給管47の開閉弁48、排水管45の開閉弁46を閉じる。また、ホース60の基部の弁61を閉じて、貯留タンク50を密閉状態とし、真空ポンプ55を稼働させる。すると、タンク55内が真空に引かれて負圧となり、パイプ53を通って溜め部40から空気及びホルミシス粒Gが貯留タンク50に引かれる。中央部41に溜められたホルミシス粒Gが引かれていくと、傾斜部42に溜められたホルミシス粒Gは傾斜に沿って中央部41に落下していき、全てのホルミシス粒Gが中央部41に集められる。こうして溜め部40内のホルミシス粒Gが貯留タンク50に回収された後、ポンプ55を停止する。これにより、貯留タンク50にホルミシス粒Gが収容された初期状態に戻る。
【0041】
なお、本発明においては、入浴槽10を、人が横たわるための形状としたが、人が着座した状態で入浴できるような形状とすることもできる。
【0042】
次に、図4を参照して、ホルミシス粒回収手段の他の例を説明する。
この例では、真空ポンプ55ではなく、圧縮空気を生成するコンプレッサ70と、パイプ53の途中で、圧縮空気を貯留タンク50方向に噴出するノズル71とを使用する。コンプレッサ70としては、例えば、ワンダーガン(商品名、オオサワ&カンパニー社製)(吸引力:6リットル/分)を使用できる。コンプレッサ70を作動させると、圧縮空気がノズル71からパイプ53の貯留タンク50側の部分53aを通って貯留タンク50に噴出される。これにより、パイプ53全体に溜め部40から貯留タンク50に向かう空気流が形成される。この空気流に乗せて、ホルミシス粒を溜め部40から貯留タンク50に送ることができる。
【実施例】
【0043】
図1の例における、各部品の具体例や寸法の一例を説明する。
真空ポンプ55:ORION−DRY−PUMP(商品名、ORION社製)、
真空ポンプ55の吸引力:500リットル/分、
ホルミシス粒Gの量:200リットル(かさ比重:1.2〜1.4g/cm3)、
パイプ53の長さ:3〜4m、
パイプ53の径:4〜6cm、
貯留タンク50の、溜め部40の中央部41からの高さ:0.4m。
【0044】
前記の条件下において、真空ポンプ55を20分間稼働すると、溜め部41に収容されていたホルミシス粒Gは全て貯留タンク50に回収することができた。
【0045】
ホルミシス粒の製造方法例を説明する。前述のラジウム含有花崗岩粉末(径:30〜60μm、ラドン濃度:100〜300ベクレル/m3/hr)100gに、粘土300gと水120gを混合し、十分に混煉した。この粘土状材料を、造粒機(三菱重工社製、パン型造粒機)を用いて粒径2〜5mmに成形し、自然乾燥させた。その後、炉に入れ、1100〜1300℃の温度で14時間焼成し、放冷してホルミシス粒を作製した。
【符号の説明】
【0046】
1 ホルミシス風呂
10 入浴槽 11、12 側板
14 足側端板
20 底板 21 頭部側端部
22 本体部 22a 移動スノコ板
22b 固定スノコ板 23 足側端部
25 ハンドル
30 温水パイプ 31 噴出口
40 スロープ付きの溜め部 41 中央部
42 スロープ部 45 排水管
46 開閉弁 47 温水供給管
48 開閉弁 49 オーバーフロー排水管
50 貯留タンク 51 支柱
53 パイプ 55 真空ポンプ
57 温水供給管 58 開閉弁
60 ホース 61 弁
63 排水管 63 開閉弁
70 コンプレッサ 71 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)入浴者が入るとともに、ホルミシス効果を奏する粒(ホルミシス粒)が堆積される、以下A1)及びA2)を有する入浴槽と、
A1)前記入浴者が横たわる、あるいは、座るとともに、前記ホルミシス粒の通過又 は非通過を選択可能な底板、
A2)該底板の下方に設置されて、前記底板を通過したホルミシス粒を収容するスロープ付きの溜め部、
B)前記入浴槽内に温水を供給する手段と、
C)前記ホルミシス粒が貯留される、前記入浴槽の上方に設置される貯留タンクと、
D)該貯留タンク内のホルミシス粒を加熱する手段と、
E)前記入浴槽下方の溜め部と前記貯留タンクとを接続する経路と、
F)前記ホルミシス粒を前記溜め部から前記経路を通って前記貯留タンクへ送る送り手段と、
G)前記貯留タンクから前記入浴槽へホルミシス粒を供給するホースと、
を備えることを特徴とするホルミシス風呂。
【請求項2】
前記送り手段が、前記貯留タンクに取り付けられた真空ポンプであって、
該ポンプで前記貯留タンクを真空に引くことにより前記経路を負圧とし、前記入浴槽下方の前記溜め部から前記経路を通って前記貯留タンクにホルミシス粒を送ることを特徴とする請求項1に記載のホルミシス風呂。
【請求項3】
前記送り手段が、
圧縮空気を生成するコンプレッサ、及び、
前記経路の途中に取り付けられた、前記貯留タンク方向に圧縮空気を噴出するノズルを有し、
前記溜め部から前記貯留タンクへと向かう空気流を前記経路中に形成し、この空気流に乗せてホルミシス粒を送ることを特徴とする請求項1に記載のホルミシス風呂。
【請求項4】
前記底板が、上下に重ねて配置された固定スノコと移動スノコ、とからなり、
前記移動スノコを、前記固定スノコに対して移動させて、両スノコのスキマを上下方向で合わせることによりホルミシス粒が通過可能となり、両スノコのスキマを上下方向でずらすことによりホルミシス粒が通過不能となることを特徴とする請求項1、2または3に記載のホルミシス粒風呂。
【請求項5】
前記ホルミシス粒が収容されるスロープ付き溜め部が、最下部の中央部に向かって下方に傾斜した傾斜部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のホルミシス風呂。
【請求項6】
前記ホルミシス粒の貯留タンク内に、温水を供給する配管が接続されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のホルミシス風呂。
【請求項7】
前溜め部の上方に、オーバーフロー排水口が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のホルミシス粒風呂。
【請求項8】
前記真空ポンプ又はコンプレッサが、前記入浴槽が設置されている部屋の外部に設置されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のホルミシス風呂。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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