ホログラム生成装置、及びホログラム生成方法
【課題】所望のパターンのホログラムの生成が容易となる。
【解決手段】 実施形態のホログラム生成装置は、処理手段を備える。処理手段は、ホログラムを再生する光を照射すると回折が生じる回折格子の状態にされた記録材料のうち、当該光で再生される像が表されたパターンが配置された領域以外に対して、回折格子でない状態にする処理を行う。
【解決手段】 実施形態のホログラム生成装置は、処理手段を備える。処理手段は、ホログラムを再生する光を照射すると回折が生じる回折格子の状態にされた記録材料のうち、当該光で再生される像が表されたパターンが配置された領域以外に対して、回折格子でない状態にする処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ホログラム生成装置、及びホログラム生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ホログラムは、光学的な干渉手法を用いて、回折格子の状態を記録部材に生成することで得られていた。
【0003】
回折格子の状態を得るための一般的な技術としては、レーザーなどのコヒーレントな光を、ハーフミラーやビームスプリッターを用いて分岐し、ミラー等でその光の進行方向を変え、分岐した光の一方を記録したい物体に照射し、その反射光を感光材料に当てる一方で、分岐したもう一方の光を、感光材料の同一箇所に対して照射することで、感光材料上で干渉させた干渉縞が記録される。これにより、ホログラムが生成される。
【0004】
当該手法で、記録したい物体を感光材料に記録するためには、レンズ等を用いて、光の径を、記録したい物体の大きさに拡張する必要があるが、これに伴い、光のパワー密度が低下する。このため、出力の大きな光源が必要であると共に記録に長い時間を要する。
【0005】
そこで、近年、提案されたホログラムの生成技術では、短軸が1μm、長軸が100μm程の楕円台の大きさの回折格子を並べることで、その集合体を一つのホログラムとする方法が提案されている。また、電子銃やイオンビームの強度などを変え、材料表面を削ることで材料表面にレリーフを作り、ホログラムとする手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−6220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術においては、光学系を調整して光を2つに分岐した後、分岐した二光束を正確に重ね合わせなければならないと共に、分岐した一光束にのみパターン画像を組み込む必要がある。このため、ホログラムを生成するためには、比較的広いスペースを要するという問題がある。さらには、記録時の振動の影響により、完成するパターン画像にぶれが生じる可能性があるため、通常は防振台などの上で行う必要がある。このように振動を防止するため、装置が大きくなるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態のホログラム生成装置は、処理手段を備える。処理手段は、ホログラムを再生する光を照射すると回折が生じる回折格子の状態にされた記録材料のうち、当該光で再生される像が表されたパターンが配置された領域以外に対して、回折格子でない状態にする処理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1の実施形態にかかる回折格子生成装置、及びホログラム生成装置を示したブロック図である。
【図2】図2は、第1の実施形態にかかる記録材料に含まれるアゾベンゼンの構造を示した図である。
【図3】図3は、第1の実施形態にかかる回折格子生成装置の構成を示した図である。
【図4】図4は、変形例1にかかる回折格子生成装置の構成を示した図である。
【図5】図5は、変形例2にかかる回折格子生成装置の構成を示した図である。
【図6】図6は、変形例3にかかる回折格子生成装置の構成を示した図である。
【図7】図7は、変形例4にかかる回折格子生成装置の構成を示した図である。
【図8】図8は、変形例5にかかる回折格子生成装置の構成を示した図である。
【図9】図9は、変形例6にかかる柔軟な状態の記録材料に対して、回折格子を形成する型をプレスする例である。
【図10】図10は、第1の実施形態にかかるホログラム生成装置の構成を示した図である。
【図11】図11は、第1の実施形態の変形例1にかかるホログラム生成装置の構成を示した図である。
【図12】図12は、第1の実施形態にかかるホログラム生成装置で行われている、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。
【図13】図13は、第1の実施形態の変形例2にかかるホログラム生成装置の構成を示した図である。
【図14】図14は、第1の実施形態の変形例2にかかるホログラム生成装置で行われている、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。
【図15】図15は、第1の実施形態の変形例3にかかるホログラム生成装置の構成を示した図である。
【図16】図16は、第1の実施形態の変形例3にかかるホログラム生成装置で行われている、DMDを用いたホログラムの生成処理の手順を示した図である。
【図17】図17は、第1の実施形態の変形例4にかかるホログラム生成装置の構成を示した図である。
【図18】図18は、第1の実施形態の変形例4にかかるホログラム生成装置で行われている、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。
【図19】図19は、第1の実施形態の変形例5にかかるホログラム生成装置の構成を示した図である。
【図20】図20は、ポリゴンミラーと1軸の移動制御とを組み合わせた場合のホログラム生成装置で行われている、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。
【図21】図21は、第1の実施形態にかかるホログラム生成装置で行われている、階調表現を有するホログラムの生成処理の手順を示した図である。
【図22】図22は、第1の実施形態にかかる記録部材の回折率を説明した図である。
【図23】図23は、第1の実施形態にかかるホログラム生成装置で行われている、多層の記録材料に対して、光を照射する処理の手順を示した図である。
【図24】図24は、第1の実施形態にかかるホログラム生成装置で行われている、屈折角が異なる多層の記録材料に対して、光を照射する処理の手順を示した図である。
【図25】図25は、第1の実施の形態にかかる回折格子生成装置及びホログラム生成装置における全体的な処理の手順を示すフローチャートである。
【図26】図26は、第1の実施形態の変形例6にかかるホログラム生成装置により行われる、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。
【図27】図27は、第1の実施形態の変形例7にかかるホログラム生成装置により行われる、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。
【図28】図28は、第1の実施形態の変形例8にかかるホログラム生成装置により行われる、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。
【図29】図29は、第1の実施形態の変形例9にかかるホログラム生成装置により行われる、ホログラムの生成処理手順を示した図である。
【図30】図30は、第2の実施形態にかかるホログラム生成装置の構成を示した図である。
【図31】図31は、第2の実施形態にかかるホログラム生成装置で行われている、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。
【図32】図32は、第2の実施形態の変形例1にかかるホログラム生成装置の構成を示した図である。
【図33】図33は、第2の実施形態の変形例1にかかるホログラム生成装置で行われている、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。
【図34】図34は、第2の実施形態にかかるホログラム生成装置で行われている、階調表現を有するホログラムの生成処理の手順を示した図である。
【図35】図35は、第2の実施の形態にかかる回折格子生成装置及びホログラム生成装置における全体的な処理の手順を示すフローチャートである。
【図36】図36は、第2の実施形態の変形例2にかかるホログラム生成装置により行われる、ホログラムの生成処理手順を示した図である。
【図37】図37は、第2の実施形態の変形例4にかかるホログラム生成装置により行われる、ホログラムの生成処理手順を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかる回折格子生成装置150、及びホログラム生成装置100を示したブロック図である。なお、本実施形態は、回折格子生成装置150、及びホログラム生成装置100をそれぞれ別の装置とした例について説明するが、回折格子生成装置150及びホログラム生成装置100を組み合わせた一つの装置で実行しても良い。
【0011】
回折格子生成装置150は、記録部材102全体を、ホログラムを再生する光を照射すると回折が生じる回折格子の状態にする。図1に示す回折格子生成装置150が、記録材料基材101に、回折格子の状態にされた記録部材102を備え付け、ホログラム生成装置100に受け渡す。
【0012】
記録部材102は、回折格子を生成可能な材質であればよいが、回折格子を生成するために、例えば光応答性や熱可塑性などの性質を有するものがこの好ましい。本実施形態では、光照射を行う例について説明する。このため、記録部材102が光応答性を有している場合について説明する。本実施形態にかかる記録部材102の材料は、光応答性を有するアゾベンゼンを含むものとする。
【0013】
図2は、本実施形態にかかる記録部材102に含まれるアゾベンゼンの構造を示した図である。記録部材102は、図2に示すようなアゾベンゼンを含むことで、円偏光の光の照射により、記録部材102の回折格子の状態を、回折格子でない状態に変化する。さらに、回折格子でない状態から、二光束の照射により再び回折格子の状態に変化する。このような本実施形態にかかる記録部材102は、可逆性を有している。これにより、記録部材102に対して、異なるホログラムを繰り返し生成することが可能となる。なお、本実施形態は、記録材がアゾベンゼンを含む例に制限するものではなく、アゾベンゼンを含まない記録材を用いても良い。また、可逆性を有することに制限するものではなく、非可逆性の記録部材を用いても良い。
【0014】
図3は、本実施形態にかかる回折格子生成装置150の構成を示した図である。図3に示す例では、回折格子生成装置150は、光源306と、光分岐部307と、光の進行方向を偏光するミラー309_1、309_2、309_3と、光の径を変更するレンズ308と、を備える。
【0015】
図3に示す例では、光源306から発振したコヒーレントな光が、光分岐部307により分岐される。光分岐部307としては、例えばハーフミラー等を用いる。
【0016】
そして、分岐された二光束は、それぞれレンズ308を通過する。これにより、二光束の光の径が変更される。さらに、ミラー309_1、309_2、309_3を用いて光の進行が適宜変更された後、記録部材102上で重なり合うように入射する。これにより、二光束を感光材料上で干渉させた干渉縞が、回折格子として記録される。その際、記録部材102の設置角度は、光の入射角が回折格子を形成する面に対する垂線に関して対称になるように設置するのが好ましい。
【0017】
また、回折格子生成装置150は、図3に示す構成に制限するものではなく様々な形態が考えられる。そこで、変形例として、他の構成を有する場合について説明する。
【0018】
図4は、変形例1にかかる回折格子生成装置400の構成を示した図である。図4に示す例では、回折格子生成装置400は、光源306と、光分岐部307と、光の進行方向を偏光するミラー309と、凸面鏡410_1、410_2と、を備える。なお、第1の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0019】
図3で示した実施形態にかかる回折格子生成装置150では、レンズ308とミラー309_1、309_2、309_3を用いて、二光束を記録部材102上で重ね合わせて干渉させている。これに対し、図4に示す変形例では、凸面鏡410_1、410_2を用いて、幾何的にビーム径を計算して光の径を変更している。
【0020】
図5は、変形例2にかかる回折格子生成装置500の構成を示した図である。図5に示す例では、回折格子生成装置500は、光源306と、光分岐部307と、光の進行方向を偏光するミラー309と、凹面鏡510_1、510_2と、を備える。
【0021】
そして、図5に示す変形例では、凹面鏡510_1、510_2を用いて、幾何的にビーム径を計算して光の径を変更している。
【0022】
第1の実施形態、変形例1、及び変形例2では、記録部材102全体に光が照射されるよう、ビーム径を変更する例について説明した。しかしながら、記録部材102全体に光を照射することに制限するものではない。そこで、変形例3では、記録部材102全体に回折格子の点を並べて、疑似的に記録部材102全体を回折格子の状態にする。
【0023】
図6は、変形例3にかかる回折格子生成装置600の構成を示した図である。図6に示す例では、回折格子生成装置600は、光源306と、光分岐部307と、光の進行方向を偏光するミラー309_1、309_2、309_3と、レンズ601と、を備える。
【0024】
そして、図6に示す変形例では、レンズ601を用いて、記録部材102に照射する回折格子の点の径に併せて、光の径を変更している。
【0025】
そして、変形例3にかかる回折格子生成装置600は、記録材料基材101を含めて記録部材102の面に平行な2方向に移動する機構を有する。当該機構により、記録部材102に入射する光の位置を変更する。これにより、記録部材102全体に回折格子を生成できる。本変形例は、記録部材102全体に対して同時に光を照射する必要がないため、光源306の出力が十分に高くない場合などに有効となる。
【0026】
さらに、記録部材102全体に回折格子の点を並べて、疑似的に記録部材102全体を回折格子の状態にするための構成としては、変形例3以外の態様も考えられる。
【0027】
図7は、変形例4にかかる回折格子生成装置700の構成を示した図である。図7に示す例では、回折格子生成装置700は、光源306と、光分岐部307と、光の進行方向を偏光するミラー309と、凹面鏡701_1、701_2と、を備える。
【0028】
そして、図7に示す変形例では、図6で示したレンズ601の代わりに、凹面鏡701_1、701_2を用いて、幾何的にビーム径を計算して光の径を変更している。
【0029】
図8は、変形例5にかかる回折格子生成装置800の構成を示した図である。図8に示す例では、回折格子生成装置800は、光源306と、光分岐部307と、光の進行方向を偏光するミラー309と、レンズ801と、ポリゴンミラー802_1、802_2と、を備える。ポリゴンミラー802_1、802_2は、光の進行方向を精密に変更する。なお、本変形例は、光の進行方向を変更する手法を、ポリゴンミラー802_1、802_2に制限するものではない。
【0030】
そして、図8に示す変形例では、レンズ801を用いて、幾何的にビーム径を計算して光の径を変更した後、ポリゴンミラー802_1、802_2が光の進行方向を精密に変更して、光の入射の位置を変更する。
【0031】
上述した実施形態及び変形例にかかる回折格子生成装置は、光の照射で回折格子を生成することに制限するものではない。
【0032】
図9は、回折格子生成装置が、柔軟な状態の記録部材102に対して、回折格子を形成する型901をプレスする例である。図9に示す例では、回折格子をとなるレリーフを形成する型901を、柔軟な状態の記録部材102にプレスすることで、記録部材102全体を回折格子の状態とした後、記録部材102を硬化させる。
【0033】
なお、記録部材102を軟化させる手法はどのような手法を用いても良いが、例えば、熱を加えても良いし、もともと柔らかい材料を用いても良い。このように、型901をプレスして、型どおりの回折格子に変形できれば、どのような手法を用いても良い。
【0034】
図1に戻り、第1の実施形態にかかるホログラム生成装置100は、回折格子生成装置150から受け取った、回折格子の状態にされた記録部材102から、ホログラムを生成する。
【0035】
図10は、第1の実施形態にかかるホログラム生成装置100の構成を示した図である。図10に示すように、ホログラム生成装置100は、処理部1001と、光発振部1002と、液晶パネル1003と、これらを接続する接続線1004と、を備える。また、本実施形態は、接続線1004で接続する例とするが、有線での接続に制限するものではなく、赤外線や無線等で接続しても良い。
【0036】
処理部1001は、ホログラム生成装置100全体を制御する。第1の実施形態にかかる処理部1001は、光発振部1002、及び液晶パネル1003を制御して、回折格子の状態にされた記録部材102のうち、光で再生される像が表されたパターンが配置された領域以外に対して、回折格子でない状態にする処理を行う。
【0037】
処理部1001は、記録部材102を、回折格子でない状態にするために、パターンが配置された領域以外に対して、所定のエネルギーを加えて、回折格子でない状態にする。本実施形態では、光の照射で、記録部材102に対してエネルギーを加える。なお、本実施形態は、加えるエネルギーを光の照射に制限するものではなく、他のエネルギーであっても良い。
【0038】
光発振部1002は、処理部1001の制御に従って、記録部材102に対して、回折格子である状態を、回折格子でない状態にするための光を発振する。本実施形態にかかる光発振部1002は、円偏光の光を発振する。これは、記録部材102で用いられているアゾベンゼンは、円偏光の一光束を一定時間照射すると、回折格子でない状態に変化させることができるためである。
【0039】
しかしながら、本実施形態は、円偏光の光の発振に制限するものではなく、回折格子でない状態にすることが可能な光であればよい。例えば直線偏光などを発振しても良い。そして、光が照射されている領域が、光格子でない状態になった場合に、処理部1001は、光発振部1002に対して、光の照射を停止させる。
【0040】
液晶パネル1003は、記録部材102全体のうち、光で再生される像が示されたパターンが配置された領域を被覆する。液晶パネル1003で、記録部材102を被覆するマスクを形成することで、いちいちマスクを形成する必要がなくなり、作業負担を軽減できる。さらには、マスクのパターンを電子データで瞬時に変更できるため、ホログラムの生産性を向上させることができる。
【0041】
本実施形態では、パターンが配置された領域の被覆手法として液晶パネル1003を用いた例について説明するが、当該領域を被覆できれば、どのような手法を用いても良い。
【0042】
そして、処理部1001は、液晶パネル1003に、ホログラムとして表示したい像を含む画像データを映し出して、当該像を映し出したい領域を被覆する制御を行う。その後、処理部1001は、光発振部1002から、液晶パネル1003を介して、記録部材102に対して、光1010を照射する。このように本実施形態にかかるホログラム生成装置100では、光発振部1002と、液晶パネル1003と、記録部材102と、が、光の進行方向に対して、この順番で並ぶ。これにより、照射された光1010は、一光束で、液晶パネル1003に映し出されたマスクにより一部遮断されて、記録部材102に至り、記録材料の不要部分を、回折格子でない状態に変化させる。
【0043】
また、ホログラム生成装置としては別の態様も考えられる。図11は、第1の実施形態の変形例1にかかるホログラム生成装置1100の構成を示した図である。図11に示すホログラム生成装置1100は、第1の実施形態のホログラム生成装置100と比べて、レンズ1101_1、1101_2が追加された点で異なる。なお、第1の実施形態と同一の構成については、同一符号を付し、説明を省略する。
【0044】
図11に示す例では、光発振部1002から発振した光を、レンズ1101_1、1101_2等で拡張または縮小する。これにより、液晶パネル1003のマスクと同等サイズまで照射される光の領域を変更できる。
【0045】
第1の実施形態に戻り、所望のパターンを記録部材102に残す手段について説明する。図12は、本実施形態にかかるホログラム生成装置100で行われている処理の手順を示した図である。
【0046】
図12の(1)に示すように、ホログラム生成装置100は、予め回折格子の状態にした記録部材102の上部で、なるべく記録部材102に近い位置に液晶パネル1003を設置する。その後、(2)に示すように、処理部1001から送信された画像データに従って、液晶パネル1003上に所望のパターン1201を映し出す。
【0047】
その後、(3)に示すように、処理部1001が、液晶パネル1003の上部から、記録部材102に対して、一光束1010を所定時間、光発振部1002を制御して照射する。そして、(4)に示すように、所定時間経過後、処理部1001は、光発振部1002による光の発振を停止する。それと共に、(5)に示すように、処理部1001は、液晶パネル1003に映し出したパターンを消す。
【0048】
そして、ホログラム生成装置100では、新たに別のパターンを生成する場合、記録部材102を新しいものに交換し、(1)〜(5)の処理を繰り返す。
【0049】
本実施形態は、液晶パネル1003を用いてマスクとなるパターンを表示する例について説明した。しかしながら、マスクは液晶パネル1003に映し出す場合に制限するものではない。そこで、第1の実施形態の変形例2として、フィルムを用いてマスクを生成する場合について説明する。
【0050】
図13は、第1の実施形態の変形例2にかかるホログラム生成装置1300の構成を示した図である。図13に示すホログラム生成装置1300は、第1の実施形態のホログラム生成装置100と比べて、液晶パネル1003の代わりに透明なフィルム1301と、プリンタ1311と、搬送部1312と、を備えている。なお、第1の実施形態と同一の構成については、同一符号を付し、説明を省略する。
【0051】
プリンタ1311は、フィルム1301に対して、所望のパターンをマスクとして印刷する。搬送部1312は、マスクが印刷されたフィルム1301を搬送し、光発振部1002の下に移動させる。
【0052】
このように本変形例では、液晶パネル1003の代わりにフィルム1301を用い、当該フィルム1301に対して所望のパターンを印刷し、マスクとして利用する。
【0053】
プリンタ1311による印刷方法は、インクジェットでも良いし、インクリボンによる熱蒸着、レーザー印刷、レーザーによる焼き付けなど、あらゆる印刷方法を用いて良い。
【0054】
図14は、本変形例にかかるホログラム生成装置1300で行われている処理の手順を示した図である。
【0055】
図14の(1)に示すように、ホログラム生成装置1300は、フィルム1301に対して、プリンタ1311によりパターンの印刷を制御する。その後、(2)に示すように、搬送部1312が、パターンが印刷されたフィルム1301を、記録部材102の上且つ光発振部1002の下まで搬送する。
【0056】
その後、(3)に示すように、処理部1001が、パターンが印刷されたフィルム1301の上部から、記録部材102に対して、一光束1010を所定時間、光発振部1002を制御して照射する。そして、(4)に示すように、所定時間経過後、処理部1001は、光発振部1002による光の発振を停止する。それと共に、(5)に示すように、処理部1001は、パターンが印刷されたフィルム1301を搬送する。当該手順により、所望のパターンの領域が回折格子の状態として残された記録部材102を生成できる。
【0057】
第1の実施形態の変形例3として、DMDを用いてマスクを生成する場合について説明する。図15は、第1の実施形態の変形例3にかかるホログラム生成装置1500の構成を示した図である。図15に示すホログラム生成装置1500は、第1の実施形態のホログラム生成装置100と比べて、液晶パネル1003の代わりにデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)1511を備えている。なお、第1の実施形態と同一の構成については、同一符号を付し、説明を省略する。
【0058】
本変形例にかかる処理部1501は、DMD1511を制御する。そして、第1の実施の形態のように液晶パネル1003に映し出したパターンに光を透過させる代わりに、DMD1511@で光を反射させて、所望のパターンが配置された領域以外の記録部材102に投影する。
【0059】
図16は、本変形例にかかるホログラム生成装置1500で行われている処理の手順を示した図である。
【0060】
図16の(1)に示すように、ホログラム生成装置1500の処理部1501は、記録部材102に投影させるパターンに対応して、DMD1511を構成する各ミラーのオン・オフを変化させる。
【0061】
そして、(2)に示すように、処理部1501が、DMD1511を介して、記録部材102に対して、一光束を所定時間、光発振部1002から光1010を照射する。そして、(3)に示すように、所定時間経過後、処理部1501は、光発振部1002による光の発振を停止する。これにより、領域1601のみ回折格子の状態となる。
【0062】
なお、本実施形態及び上述した変形例は、ホログラムを生成する際に、記録部材102全体に対して一度に光を照射することに制限するものではない。
【0063】
図17は、第1の実施形態の変形例4にかかるホログラム生成装置1700の構成を示した図である。図17に示すホログラム生成装置1700は、第1の実施形態のホログラム生成装置100と比べて、シリンドリカルレンズ1701、1702、材料搬送部1703及び液晶搬送部1704が追加された例とする。なお、第1の実施形態と同一の構成については、同一符号を付し、説明を省略する。
【0064】
図17に示す例では、光発振部1002から発振した光1711が、シリンドリカルレンズ1701、1702により面形の光に変更される。そして、液晶パネル1003を搬送する液晶搬送部1704と、1軸方向に移動する記録部材102を搬送する材料搬送部1703と、を連動させて、記録部材102に光を走査して記録する。
【0065】
図18は、本変形例にかかるホログラム生成装置1700で行われている処理の手順を示した図である。
【0066】
図18の(1)に示すように、ホログラム生成装置1700は、予め回折格子の状態にした記録部材102の上部で、なるべく記録部材102に近い位置に液晶パネル1003を設置する。その後、(2)に示すように、処理部1001から送信された画像データに従って、液晶パネル1003上に所望のパターン1201を映し出す。
【0067】
その後、(3)に示すように、処理部1001が、液晶パネル1003の上部から、記録部材102に対して、面形の光1801を、光発振部1002を制御して照射する。その際に、ホログラム生成装置1700は、液晶パネル1003及び記録部材102を連動させた上で、走査方向1802に移動させる。
【0068】
そして、(4)に示すように、記録部材102の全領域に対して、面形の光を照射した後、処理部1001は、光発振部1002による光の発振を停止する。それと共に、(5)に示すように、処理部1001は、液晶パネル1003に映し出したパターンを消す。
【0069】
図19は、第1の実施形態の変形例5にかかるホログラム生成装置1900の構成を示した図である。図19に示すホログラム生成装置1900は、第1の実施形態のホログラム生成装置100と比べて、光発振部1901が線状の光を発振する。そして、材料搬送部1912及び液晶搬送部1911が追加された例とする。なお、第1の実施形態と同一の構成については、同一符号を付し、説明を省略する。
【0070】
図19に示す例では、光発振部1901から発振した線形の光1951が発振される。そして、液晶パネル1003を2軸で搬送する液晶搬送部1911と、記録部材102を2軸で搬送する材料搬送部1912と、を連動させて、記録部材102に光を走査して記録する。なお、2軸の場合の処理手順は、図18で示した1軸の場合の処理手順とほぼ同様のため説明を省略する。
【0071】
また、線形の光を発振する際に、材料搬送部1903及び液晶搬送部1904を2軸で移動させる制御に制限するものではなく、ポリゴンミラーと1軸の移動制御とを組み合わせても良い。
【0072】
図20は、ポリゴンミラーと1軸の移動制御とを組み合わせた場合のホログラム生成装置で行われている処理の手順を示した図である。
【0073】
図20の(1)に示すように、ホログラム生成装置は、予め回折格子の状態にした記録部材102の上部で、なるべく記録部材102に近い位置に液晶パネル1003を設置する。その後、(2)に示すように、処理部1001から送信された画像データに従って、液晶パネル1003上に所望のパターン1201を映し出す。
【0074】
その後、(3)に示すように、処理部1001が、液晶パネル1003の上部から、記録部材102に対して、ポリゴンミラー2001で反射された光1951を、光発振部1901を制御して照射する。その際に、ホログラム生成装置は、液晶パネル1003及び記録部材102を連動させた上で、矢印で示す方向に移動させる。
【0075】
そして、(4)に示すように、記録部材102の全領域に対して光を照射した後、処理部1001は、光発振部1901による光の発振を停止する。それと共に、(5)に示すように、処理部1001は、液晶パネル1003に映し出したパターンを消す。
【0076】
上述した実施形態及び変形例では、マスクの濃度差がなく階調性を有しない場合について説明した。しかしながら、上述した実施形態及び変形例は、マスクの濃度差がない場合に制限するものではない。
【0077】
次に、マスクの濃度差が存在する場合について説明する。当該説明では、第1の実施形態にかかるホログラム生成装置100の構成を用いる。
【0078】
第1の実施形態にかかるホログラム生成装置100の液晶パネル1003に映し出されたマスクの濃度差が存在する場合、記録部材102に照射される光のエネルギー密度(単位面積当たりの積算エネルギー量)が、照射される領域により変化する。これにより、当該領域毎に回折率が異なることになり、ホログラムの階調表現が可能となる。また、本実施形態にかかるホログラム生成装置100は、マスクの濃度差を、液晶パネル1003に映し出す画像データにより実現する。なお、積算エネルギーは、パワー密度と露光時間の積により算出できる。
【0079】
図21は、本実施形態にかかるホログラム生成装置100で行われているホログラムの階調表現を表す場合の処理の手順を示した図である。
【0080】
図21に示す例では、ホログラム生成装置100は、記録部材102の回折格子として残したいパターンに濃度差をつけるために、液晶パネル1003に映し出すマスクを透過する光強度を、照射する領域に応じて異ならせている。このように、照射する光のエネルギー密度(単位面積当たりの積算エネルギー量)を制御して、完成する回折格子のパターンに階調を持たせる。
【0081】
図21の(1)に示すように、ホログラム生成装置100は、予め回折格子の状態にした記録部材102の上部で、なるべく記録部材102に近い位置に液晶パネル1003を設置する。その後、(2)に示すように、処理部1001から送信された画像データに従って、液晶パネル1003上に所望のパターンを映し出す。当該所望のパターンは、マスクの濃度が濃い領域2101と、マスクの濃度が淡い領域2102とで構成されている。このように、処理部1001は、記録部材102に回折格子として残したいパターンの階調に合わせて、濃度差をつけたマスクを生成して、液晶パネル1003に映し出す。
【0082】
その後、(3)に示すように、処理部1001が、液晶パネル1003の上部から、記録部材102に対して、一光束1010を所定時間、光発振部1002を制御して照射する。この際、マスクの濃度差に応じて、記録部材102に照射される光のエネルギー密度が異なることになる。これにより、記録部材102で、ホログラムの階調表現が可能となる。
【0083】
図22は、記録部材102の回折率を説明した図である。図22に示す例では、入射した光(100%)に対して、光の回折率(a%)が回折率となる。そして、当該回折率(a%/100%)は、光発振部1002から記録部材102に照射される光のエネルギー密度に応じて低下していくことになる。
【0084】
そこで、本実施形態にかかるホログラム生成装置100では、当該性質を利用して、マスクの濃淡で、記録部材102に照射される光のエネルギー密度を調整する。つまり、ホログラム生成装置100が液晶パネル1003に表示するマスク濃度の高い部分程、光が透過しないため回折格子の状態として残る。そして、マスク濃度が薄い部分は、濃度が高い部分に比べて光の透過率が高くなる。このため、回折格子の状態として残る比率が低くなるため、記録部材102の完成パターンに階調性を持たせることができる。
【0085】
そして、図21の(4)に示すように、マスク以外の領域で回折格子の無い状態になるまでの所定時間経過後、処理部1001は、光発振部1002による光の発振を停止する。それと共に、(5)に示すように、処理部1001は、液晶パネル1003に映し出したパターンを消す。これにより階調性がある回折格子である状態(例えば領域2111及び領域2112)を有する記録部材102の生成が可能となる。
【0086】
また、階調表現を行うための光の照射方法は、第1の実施形態の態様に制限するものではなく、上述した様々な変形例の態様に併せても良い。例えば、DMDを用いる場合、DMDでの反射光に濃度差をつけることで、マスクと同様の働きを持たせることができる。
【0087】
また、本実施形態にかかるホログラム生成装置100は、一層の記録部材102に対する光の照射だけでなく、多層の記録材料に対する光の照射も可能とする。これにより立体型ホログラムの生成が可能となる。
【0088】
図23は、本実施形態にかかるホログラム生成装置100で行われている、多層の記録材料に対して、光を照射する処理の手順を示した図である。
【0089】
図23の(1)に示すように、あらかじめ回折格子の状態にした記録材料2301、2302、2303を記録材料基材101の上に積層する。図23に示す例では、記録材料3層積層する例について説明するが、必要に応じて2層の積層や、4層以上の複数層積層であってもよい。
【0090】
そして、(2)に示すように、ホログラム生成装置100は、液晶パネル1003のマスクの濃度を変更することで、光発振部1002から発振される光のエネルギー密度を変えて、3層の記録材料2301、2302、2303に照射する。これにより、下位層に届く光のエネルギー密度を変化させることができる。つまり、照射される光2311、光2312及び光2313でエネルギー密度が異なっている。
【0091】
その後、(3)に示すように、ホログラム生成装置100の処理部1001は、所望のパターンが描画できる時間、光を照射した後、光発振部1002を制御して光の照射を停止する。これにより、回折格子である状態2322と、回折格子でない状態2321と、を生成できる。そして、回折格子でない状態2321の領域については、回折せずに光が進むため、奥の階層の記録材料についても光が照射される。
【0092】
このように、本実施形態にかかるホログラム生成装置100は、あらかじめ回折格子にしておいた記録材を多層構造にして、光のエネルギー密度を制御することとした。これにより、所定のエネルギー密度の光が、各階層の記録材料に届くよう制御することで、3相の記録材料に残るパターンに奥行きを持たせることができる。
【0093】
図23に示す例では、全階層の屈折角が同一の回折格子である状態の記録材の例について説明した。しかしながら、全階層の屈折角を同一に制限するものではない。図24は、本実施形態にかかるホログラム生成装置100で行われている、屈折角が異なる多層の記録材料に対して、光を照射する処理の手順を示した図である。
【0094】
図24の(1)に示すように、あらかじめ回折格子の状態にした記録材料2401、2402、及び2403を記録材料基材101の上に積層する。この記録材料2401、2402、及び2403は、初期状態として、それぞれ屈折角が異なる回折格子を有している。
【0095】
そして、(2)に示すように、ホログラム生成装置100は、液晶パネル1003のマスクの濃度を変更することで、光発振部1002から発振される光のエネルギー密度を変えて、3層の記録材料2401、2402、及び2403に照射する。なお、照射される光2411、光2412及び光2413はエネルギー密度を異ならせる。
【0096】
その後、(3)に示すように、ホログラム生成装置100の処理部1001は、所望のパターンが描画できる時間、光を照射した後、光発振部1002を制御して光の照射を停止する。これにより、回折格子である状態2422と、回折格子でない状態2421と、を生成できる。このように、回折格子の屈折角が異なるものを作成して積層することにより、完成するパターンにより立体的な視認性を与えることも可能である。
【0097】
このように、本実施形態にかかるホログラム生成装置100は、多層構造の記録材料であれば、屈折角が異なる、又は同一であるに拘わらず、ホログラムを生成することができる。
【0098】
次に、第1の実施の形態にかかる回折格子生成装置150及びホログラム生成装置100における、全体的な処理について説明する。図25は、本実施の形態にかかる回折格子生成装置150及びホログラム生成装置100における上述した処理の手順を示すフローチャートである。
【0099】
まず、回折格子生成装置150は、記録部材102の全領域に対して、分岐させた光による照射を行い、当該領域を回折格子の状態にする(ステップS2501)。その後、記録材料は、回折格子生成装置150から、ホログラム生成装置100に受け渡される。
【0100】
その後、ホログラム生成装置100の処理部1001は、液晶パネル1003を用いて、記録部材102の上面に対して、所定のパターンのマスクで被覆する(ステップS2502)。
【0101】
次に、処理部1001は、光発振部1002から、記録部材102全体に対して光の照射を開始する(ステップS2503)。
【0102】
そして、処理部1001は、一定時間経過した後、光発振部1002による光の照射を停止する(ステップS2504)。
【0103】
その後、ホログラム生成装置100は、所定のパターンの領域だけ回折格子の状態となった記録部材102を出力する(ステップS2505)。
【0104】
上述した処理手順により、所定のパターンの領域だけ回折格子の状態となった記録部材102の提供を可能とする。なお、当該処理手順は、多層の記録材料などにも適用できる。また、液晶パネル1003の代わりに、上述したフィルムやDMDなどの被覆手段を用いても良い。
【0105】
上述した実施形態及び変形例では、一光束の光を円偏光で照射しているが、照射する光束は円偏光以外であってもよい。円偏光以外であっても、記録部材102の閾値の上限を超えるエネルギー密度で照射することで、記録材料の化学構造を破壊できるため、回折格子の状態を、回折格子でない状態に変化させることができる。
【0106】
さらに、光発振部1002が発振する光が円偏光でなくとも、照射された光が通過する液晶パネル1003やフィルムが偏光方向を変えて、偏光を円偏光に変えてもよい。
【0107】
上述した実施形態及び変形例にかかるホログラム生成装置では、一光束の光で、記録部材102上に所望のパターンを残すことが可能となったため、装置の機構が単純となり、省スペース化を実現することが可能となった。
【0108】
上述した実施形態及び変形例にかかるホログラム生成装置では、一光束の照射で、所望のパターンを残すため、低精度の光学系制御で、記録部材102に対して描画を行うことができる。また、ホログラムを生成する際に、光の分岐が不要なため、記録部材102に対してパターンを描画する場所について、省スペース化を図ることができる。さらに、上述した実施形態及び変形例にかかるホログラム生成装置では、一光束のみの照射であるため、パターンの描画を行う際の振動の影響を抑止できる。
【0109】
上述した実施形態及び変形例にかかるホログラム生成装置では、液晶パネル1003やフィルムなどでマスクを容易に変更できるため、オンデマンドで所望する回折格子のパターンを容易に記録できる。
【0110】
上述した実施形態及び変形例では、光を照射して記録材について所定のパターンの領域だけ回折格子の状態を残す例について説明した。しかしながら、記録部材102を回折格子の状態から、回折格子でない状態にする手法としては、光以外のエネルギーを加える手法を用いても良い。そこで、以下に示す変形例では、光以外のエネルギーを加える手法として、熱を加える例について説明する。
【0111】
図26は、第1の実施形態の変形例6にかかるホログラム生成装置により行われる、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。図26に示すように、ホログラム生成装置は、ヒートローラ2602を備えている。そして、マスクに用いる材料に断熱性のものを用いて、記録材料の上からプレスして、マスク以外の領域に局所的に熱をかけるものとする。
【0112】
そして、(1)に示すように、ホログラム生成装置は、回折格子の状態の記録部材102を記録材料基材101の上に設置する。なお、記録部材102は、熱を加えることで、回折格子の状態から、回折格子でない状態に変化する材料とする。
【0113】
その後、ホログラム生成装置は、記録部材102に対して、所定のパターンのマスク2601で被覆する。マスクは断熱性を有する材料であればよく、マスクの作成手法をとしては、周知の手法を問わず用いることができる。
【0114】
そして、ホログラム生成装置は、マスクで被覆された記録部材102に対して、ヒートローラ2602を用いて加熱する。そして、ホログラム生成装置は、不要部分のみが回折格子で無くなる十分な時間だけ熱を加えることで、(2)に示すような所望の回折格子パターン(例えば、面2612のうち、領域2611のみ回折格子の状態を保持し、領域2613を回折格子でない状態としたパターン)を得られる。
【0115】
また、光、熱以外のエネルギーとして、力学的エネルギーを加えても良い。図27は、第1の実施形態の変形例7にかかるホログラム生成装置により行われる、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。図27に示すように、ホログラム生成装置は、研磨部2803を備えている。研磨部2803としては、粗い面を持つやすりなどが考えられる。
【0116】
図27の(1)に示すように、記録材料基材101の上に、記録部材102が設定されている。この記録部材102は、回折格子の状態では、表面が凹凸形状2802となっている。この場合、回折格子の状態を残したい領域については、マスク2801で被覆する。
【0117】
その後、(2)に示すように、ホログラム生成装置は、研磨部2803で記録部材102の表面を研磨する。これにより、(3)に示すように、被覆された領域2811だけ回折格子の状態を残し、他の領域2812については、表面の凹凸の状態を変化させ、ホログラムでない状態を作り出すことが可能である。よって、パターンを残したい領域以外を物理的に切削し、意図的に表目の状態を粗くすることにより、回折格子でない状態を作り出すことができる。
【0118】
このように、レリーフホログラムの様に、記録部材102の表面が凹凸形状によるホログラムの場合、研磨することで、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0119】
また、レリーフホログラムでなくとも、記録部材102に対して力学的エネルギーを加えることで、不要部分を回折格子でない状態に変えてもよい。
【0120】
また、エネルギーを加える以外の手法で、記録部材102の回折格子の状態を、回折格子でない状態に変化させても良い。図28は、第1の実施形態の変形例8にかかるホログラム生成装置により行われる、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。図28の(1)に示すように、ホログラム生成装置は、マスク2901を、記録部材102上に配置する。当該マスク2901は、少なくとも記録部材102よりも硬度の高い材料を用いる。
【0121】
その後、(2)に示すように、ホログラム生成装置は、シール2911を記録部材102に貼り付ける。なお、シール2911は、回折格子の状態を残したいパターン領域2921と回折時の屈折角が異らせればよく、透明であっても良い。その後、(3)に示すように、ホログラム生成装置は、マスク2901を剥離する。これにより、記録部材102の領域2921が回折格子の状態で、領域2922が回折格子でない状態となる。
【0122】
さらに、シールの代わりに、被覆物を蒸着させても良い。図29は、第1の実施形態の変形例9にかかるホログラム生成装置により行われる、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。図29の(1)に示すように、ホログラム生成装置は、マスク3001を、記録部材102上に配置する。
【0123】
その後、(2)に示すように、ホログラム生成装置は、蒸着装置3011を制御して、記録部材102の表面3012を蒸着する。その後、(3)に示すように、ホログラム生成装置は、マスク3001を取り除く。これにより、記録部材102の領域3021が回折格子の状態で、領域3022が回折格子でない状態となる。蒸着装置3011としては、サーマルプリンタなどで用いられている、インク等の材質を熱で気化(昇華)して蒸着させる方式を適用することが考えられる。なお、蒸着させる材質は、どのような材質であっても良い。
【0124】
(第2の実施形態)
上述した実施形態及び変形例では、記録部材102をマスクで被覆して、回折格子の状態の領域を残す手法について説明した。しかしながら、回折格子の状態を残す手法としては、マスクを用いた手法に制限するものではない。そこで、第2の実施形態では、発振する光を制御して、記録部材102の回折格子の状態を、回折格子でない状態にする例について説明する。そこで、第2の実施形態では、光をパターンに合わせて走査することでパターンを記録する場合について説明する。
【0125】
図30は、第2の実施形態にかかるホログラム生成装置3100の構成を示した図である。図30に示すように、ホログラム生成装置3100は、処理部3101と、光発振部3102と、ポリゴンミラー3103と、材料搬送部3104と、を備える。
【0126】
そして、ホログラム生成装置3100は、ポリゴンミラー3103と、一軸移動する材料搬送部3104とを組み合わせることで、光発振部3102から発振される光3111により、記録部材102全領域に対して走査を行うことができる。
【0127】
そして、処理部3101は、記録部材102で回折格子の状態を残したいパターンに合わせて、光発振部3102が発振する光のオン・オフを制御する。つまり、処理部3101は、回折格子の状態を残したい領域については、光発振部3102が発振する光による照射をオフにし、回折格子でない状態にしたい領域については、光発振部3102が発振する光による照射をオンにする制御を行う。
【0128】
図31は、本実施形態にかかるホログラム生成装置3100で行われている処理の手順を示した図である。(1)に示すように、予め回折格子の状態にした記録部材102が記録材料基材101上に備えられている。その後、(2)に示すように、処理部3101が、光発振部3102から発振される光を制御して、回折格子の状態を所定のパターンだけ残すよう照射する。その際、材料搬送部3104は、ポリゴンミラー3103が走査する方向と垂直の副走査方向に、記録部材102を搬送する。
【0129】
これにより、(3)に示すように、所定のパターン3201だけ回折格子の状態の領域が残された記録部材102を生成できる。このように、本実施形態では、記録部材102のパターンを残したい領域を除いた、すべての領域について一光束の光を照射して、光を照射した箇所が回折格子でない状態にする。
【0130】
また、光を走査する際に、ポリゴンミラー3103を用いた例に制限するものではない。図32は、第2の実施形態の変形例1にかかるホログラム生成装置3300の構成を示した図である。図32に示すように、ホログラム生成装置3300は、処理部3301と、光発振部3102と、2軸移動可能な材料搬送部3302と、を備える。
【0131】
図32に示す例では、材料搬送部3302が、記録部材102に対して2軸移動を行うことで、光発振部3102から発振される光を、記録部材102の全領域に照射することができる。
【0132】
その際に、処理部3301が、材料搬送部3302による移動制御を行うと共に、光発振部3102から発振される光のオン・オフを制御することで、記録部材102に対して、所定のパターンだけ回折格子の状態を残し、他の領域について回折格子でない状態に変化させることができる。
【0133】
図33は、本変形例にかかるホログラム生成装置3300で行われている処理の手順を示した図である。(1)に示すように、予め回折格子の状態にした記録部材102を記録材料基材101上に備えられている。その後、(2)に示すように、処理部3301が、光発振部3102から発振される光3111を制御して、回折格子の状態を所定のパターンだけ残すよう、照射を行う。その際、処理部3101は、光発振部3102から発振される光3111を制御する際に、材料搬送部3302を2軸方向に移動させる。これにより、(3)に示すように、所定のパターン3401だけ回折格子の状態の領域が残された記録部材102を生成できる。
【0134】
第2の実施形態に戻り、ホログラム生成装置3100は、光発振部3102により発振される光のエネルギー密度を制御して、照射される領域毎に回折率を異ならせるよう、光を走査することができる。これにより、記録部材102にパターンとして残される回折格子の状態に階調性を持たせることができる。
【0135】
図34は、本実施形態にかかるホログラム生成装置3100で行われている処理の手順を示した図である。(1)に示すように、予め回折格子の状態にした記録部材102が記録材料基材101上に備えられている。その後、(2)に示すように、処理部3101が、残したいパターンの階調に併せて光のエネルギー密度を制御して、光発振部3102から光を照射する。その際、処理部3101は、照射する領域毎に、照射する光3501、3502のエネルギー密度を異ならせている。これにより、(3)に示すように、領域3511及び領域3512のように複数の回折率が異なるパターンが生成される。
【0136】
次に、本実施の形態にかかる回折格子生成装置150及びホログラム生成装置100における、全体的な処理について説明する。図35は、本実施の形態にかかる回折格子生成装置150及びホログラム生成装置3100における上述した処理の手順を示すフローチャートである。
【0137】
まず、回折格子生成装置150は、記録部材102の全領域に対して、分岐させた光による照射を行い、当該領域を回折格子の状態にする(ステップS3601)。その後、記録材料は、回折格子生成装置150から、ホログラム生成装置3100に受け渡される。
【0138】
次に、処理部3101は、記録部材102のうち、再生する像が表された所定のパターンが配置された領域以外に対して、光発振部3102から光を照射する(ステップS3602)。
【0139】
照射が終了した後、ホログラム生成装置3100は、所定のパターンの領域だけ回折格子の状態となった記録部材102を出力する(ステップS3603)。
【0140】
上述した処理手順により、所定のパターンの領域だけ回折格子の状態となった記録部材102の提供を可能とする。なお、当該処理手順は、多層の記録材料などにも適用できる。
【0141】
上述した実施形態では、光の照射を行う例について説明したが、光以外のエネルギーを加える手法を用いても良い。そこで、以下に示す変形例では、光以外のエネルギーを加える手法として、熱を加える例について説明する。
【0142】
図36は、第2の実施形態の変形例2にかかるホログラム生成装置により行われる、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。図36に示す例では、ホログラム生成装置は、赤外線レーザーなど熱作用の強い光源を備えている。なお、記録部材102は、熱を加えることで、回折格子の状態から、回折格子でない状態に変化する材料とする。
【0143】
そして、(1)に示すように、ホログラム生成装置は、回折格子の状態の記録部材102を記録材料基材101の上に設置する。
【0144】
その後、本変形例にかかるホログラム生成装置は、記録部材102の回折格子でない状態にしたい領域に対して、光源から照射される赤外線レーザー2701により加熱する。
【0145】
これにより、本変形例にかかるホログラム生成装置は、回折格子の状態である領域2702と、回折格子でない状態である領域2711と、で構成された記録部材102を生成できる。
【0146】
また、エネルギーを加える以外の手法で、記録部材102の回折格子の状態を、回折格子でない状態に変化させても良い。そこで、第2の実施形態の変形例4では、所望のパターンに加工したシールを、記録部材102に貼り付けることで、所望のパターンを残す例とする。
【0147】
図37は、第2の実施形態の変形例3にかかるホログラム生成装置により行われる、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。図37の(1)に示すように、ホログラム生成装置は、シール3701を用意する。
【0148】
その後、(2)に示すように、ホログラム生成装置は、加工部3702を用いて、シール3701を所望のパターンに加工する。その後、(3)に示すように、ホログラム生成装置は、加工されたシール3701を、記録部材102に貼り付ける。これにより、上述した加工により、剥離された領域3711と、シールが貼り付けられた領域3712と、が記録部材102に形成されるため、回折格子の状態の領域によるパターンが生成される。
【0149】
上述した実施形態及び変形例にかかるホログラム生成装置では、あらかじめ全領域を回折格子の状態にした記録部材102に対して、エネルギーを加えたりすることで、所望のパターンの領域以外を、回折格子で無い状態に変化させる。これにより、記録部材102上に、二光束の光を照射せずとも、所望のパターンを生成することが可能となった。これにより、所望のパターンのホログラムの生成が容易となる。
【0150】
その際に、従来は、二光束の光のうち、一方をホログラムで表示する物体に照射し、その反射光を記録材料に当て、他方を記録領域の同一箇所に当てる必要があったため、非常に広いスペースが必要であった。しかしながら、本実施形態及び変形例にかかるホログラム生成装置では、上述した構成で、所望のパターンのホログラムが生成可能となったため、省スペース化が可能となった。同様に、本実施形態及び変形例にかかるホログラム生成装置では、二光束を干渉させる必要が無くなったため、記録時の振動の影響を抑止することが可能となった。
【0151】
本実施形態及び変形例にかかるホログラム生成装置では、二光束を同一箇所に当てる必要がないため、記録部材102上に所望のパターンを生成する際の制御が簡易となった。
【0152】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0153】
100、1100、1300、1500、1700、1900、3100、3300…ホログラム生成装置、101…記録材料基材、102…記録部材、150、400、500、600、700、800…回折格子生成装置、306…光源、307…光分岐部、308、601、801…レンズ、309、309_1、309_2、309_3…ミラー、410_1、410_2…凸面鏡、510_1、510_2、701_1、701_2…凹面鏡、802_1、802_2…ポリゴンミラー、901…型、1001、1501、3101、3301…処理部、1002、1901、3102…光発振部、1003…液晶パネル、1004…接続線、1101_1、1101_2…レンズ、1301…フィルム、1311…プリンタ、1312…搬送部、1511…DMD、1701、1702…シリンドリカルレンズ、1703、1903、1912、3104、3302…材料搬送部、1704、1904、1911…液晶搬送部、2001、3103…ポリゴンミラー、2301、2302、2303、2401、2402、2403…多階層の記録材料、2601、2801、2901、3001…マスク、2602…ヒートローラ、2701…赤外線レーザー、2803…研磨部、2911、3701…シール、3011…蒸着装置、3702…加工部
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ホログラム生成装置、及びホログラム生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ホログラムは、光学的な干渉手法を用いて、回折格子の状態を記録部材に生成することで得られていた。
【0003】
回折格子の状態を得るための一般的な技術としては、レーザーなどのコヒーレントな光を、ハーフミラーやビームスプリッターを用いて分岐し、ミラー等でその光の進行方向を変え、分岐した光の一方を記録したい物体に照射し、その反射光を感光材料に当てる一方で、分岐したもう一方の光を、感光材料の同一箇所に対して照射することで、感光材料上で干渉させた干渉縞が記録される。これにより、ホログラムが生成される。
【0004】
当該手法で、記録したい物体を感光材料に記録するためには、レンズ等を用いて、光の径を、記録したい物体の大きさに拡張する必要があるが、これに伴い、光のパワー密度が低下する。このため、出力の大きな光源が必要であると共に記録に長い時間を要する。
【0005】
そこで、近年、提案されたホログラムの生成技術では、短軸が1μm、長軸が100μm程の楕円台の大きさの回折格子を並べることで、その集合体を一つのホログラムとする方法が提案されている。また、電子銃やイオンビームの強度などを変え、材料表面を削ることで材料表面にレリーフを作り、ホログラムとする手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−6220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術においては、光学系を調整して光を2つに分岐した後、分岐した二光束を正確に重ね合わせなければならないと共に、分岐した一光束にのみパターン画像を組み込む必要がある。このため、ホログラムを生成するためには、比較的広いスペースを要するという問題がある。さらには、記録時の振動の影響により、完成するパターン画像にぶれが生じる可能性があるため、通常は防振台などの上で行う必要がある。このように振動を防止するため、装置が大きくなるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態のホログラム生成装置は、処理手段を備える。処理手段は、ホログラムを再生する光を照射すると回折が生じる回折格子の状態にされた記録材料のうち、当該光で再生される像が表されたパターンが配置された領域以外に対して、回折格子でない状態にする処理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1の実施形態にかかる回折格子生成装置、及びホログラム生成装置を示したブロック図である。
【図2】図2は、第1の実施形態にかかる記録材料に含まれるアゾベンゼンの構造を示した図である。
【図3】図3は、第1の実施形態にかかる回折格子生成装置の構成を示した図である。
【図4】図4は、変形例1にかかる回折格子生成装置の構成を示した図である。
【図5】図5は、変形例2にかかる回折格子生成装置の構成を示した図である。
【図6】図6は、変形例3にかかる回折格子生成装置の構成を示した図である。
【図7】図7は、変形例4にかかる回折格子生成装置の構成を示した図である。
【図8】図8は、変形例5にかかる回折格子生成装置の構成を示した図である。
【図9】図9は、変形例6にかかる柔軟な状態の記録材料に対して、回折格子を形成する型をプレスする例である。
【図10】図10は、第1の実施形態にかかるホログラム生成装置の構成を示した図である。
【図11】図11は、第1の実施形態の変形例1にかかるホログラム生成装置の構成を示した図である。
【図12】図12は、第1の実施形態にかかるホログラム生成装置で行われている、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。
【図13】図13は、第1の実施形態の変形例2にかかるホログラム生成装置の構成を示した図である。
【図14】図14は、第1の実施形態の変形例2にかかるホログラム生成装置で行われている、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。
【図15】図15は、第1の実施形態の変形例3にかかるホログラム生成装置の構成を示した図である。
【図16】図16は、第1の実施形態の変形例3にかかるホログラム生成装置で行われている、DMDを用いたホログラムの生成処理の手順を示した図である。
【図17】図17は、第1の実施形態の変形例4にかかるホログラム生成装置の構成を示した図である。
【図18】図18は、第1の実施形態の変形例4にかかるホログラム生成装置で行われている、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。
【図19】図19は、第1の実施形態の変形例5にかかるホログラム生成装置の構成を示した図である。
【図20】図20は、ポリゴンミラーと1軸の移動制御とを組み合わせた場合のホログラム生成装置で行われている、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。
【図21】図21は、第1の実施形態にかかるホログラム生成装置で行われている、階調表現を有するホログラムの生成処理の手順を示した図である。
【図22】図22は、第1の実施形態にかかる記録部材の回折率を説明した図である。
【図23】図23は、第1の実施形態にかかるホログラム生成装置で行われている、多層の記録材料に対して、光を照射する処理の手順を示した図である。
【図24】図24は、第1の実施形態にかかるホログラム生成装置で行われている、屈折角が異なる多層の記録材料に対して、光を照射する処理の手順を示した図である。
【図25】図25は、第1の実施の形態にかかる回折格子生成装置及びホログラム生成装置における全体的な処理の手順を示すフローチャートである。
【図26】図26は、第1の実施形態の変形例6にかかるホログラム生成装置により行われる、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。
【図27】図27は、第1の実施形態の変形例7にかかるホログラム生成装置により行われる、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。
【図28】図28は、第1の実施形態の変形例8にかかるホログラム生成装置により行われる、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。
【図29】図29は、第1の実施形態の変形例9にかかるホログラム生成装置により行われる、ホログラムの生成処理手順を示した図である。
【図30】図30は、第2の実施形態にかかるホログラム生成装置の構成を示した図である。
【図31】図31は、第2の実施形態にかかるホログラム生成装置で行われている、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。
【図32】図32は、第2の実施形態の変形例1にかかるホログラム生成装置の構成を示した図である。
【図33】図33は、第2の実施形態の変形例1にかかるホログラム生成装置で行われている、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。
【図34】図34は、第2の実施形態にかかるホログラム生成装置で行われている、階調表現を有するホログラムの生成処理の手順を示した図である。
【図35】図35は、第2の実施の形態にかかる回折格子生成装置及びホログラム生成装置における全体的な処理の手順を示すフローチャートである。
【図36】図36は、第2の実施形態の変形例2にかかるホログラム生成装置により行われる、ホログラムの生成処理手順を示した図である。
【図37】図37は、第2の実施形態の変形例4にかかるホログラム生成装置により行われる、ホログラムの生成処理手順を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかる回折格子生成装置150、及びホログラム生成装置100を示したブロック図である。なお、本実施形態は、回折格子生成装置150、及びホログラム生成装置100をそれぞれ別の装置とした例について説明するが、回折格子生成装置150及びホログラム生成装置100を組み合わせた一つの装置で実行しても良い。
【0011】
回折格子生成装置150は、記録部材102全体を、ホログラムを再生する光を照射すると回折が生じる回折格子の状態にする。図1に示す回折格子生成装置150が、記録材料基材101に、回折格子の状態にされた記録部材102を備え付け、ホログラム生成装置100に受け渡す。
【0012】
記録部材102は、回折格子を生成可能な材質であればよいが、回折格子を生成するために、例えば光応答性や熱可塑性などの性質を有するものがこの好ましい。本実施形態では、光照射を行う例について説明する。このため、記録部材102が光応答性を有している場合について説明する。本実施形態にかかる記録部材102の材料は、光応答性を有するアゾベンゼンを含むものとする。
【0013】
図2は、本実施形態にかかる記録部材102に含まれるアゾベンゼンの構造を示した図である。記録部材102は、図2に示すようなアゾベンゼンを含むことで、円偏光の光の照射により、記録部材102の回折格子の状態を、回折格子でない状態に変化する。さらに、回折格子でない状態から、二光束の照射により再び回折格子の状態に変化する。このような本実施形態にかかる記録部材102は、可逆性を有している。これにより、記録部材102に対して、異なるホログラムを繰り返し生成することが可能となる。なお、本実施形態は、記録材がアゾベンゼンを含む例に制限するものではなく、アゾベンゼンを含まない記録材を用いても良い。また、可逆性を有することに制限するものではなく、非可逆性の記録部材を用いても良い。
【0014】
図3は、本実施形態にかかる回折格子生成装置150の構成を示した図である。図3に示す例では、回折格子生成装置150は、光源306と、光分岐部307と、光の進行方向を偏光するミラー309_1、309_2、309_3と、光の径を変更するレンズ308と、を備える。
【0015】
図3に示す例では、光源306から発振したコヒーレントな光が、光分岐部307により分岐される。光分岐部307としては、例えばハーフミラー等を用いる。
【0016】
そして、分岐された二光束は、それぞれレンズ308を通過する。これにより、二光束の光の径が変更される。さらに、ミラー309_1、309_2、309_3を用いて光の進行が適宜変更された後、記録部材102上で重なり合うように入射する。これにより、二光束を感光材料上で干渉させた干渉縞が、回折格子として記録される。その際、記録部材102の設置角度は、光の入射角が回折格子を形成する面に対する垂線に関して対称になるように設置するのが好ましい。
【0017】
また、回折格子生成装置150は、図3に示す構成に制限するものではなく様々な形態が考えられる。そこで、変形例として、他の構成を有する場合について説明する。
【0018】
図4は、変形例1にかかる回折格子生成装置400の構成を示した図である。図4に示す例では、回折格子生成装置400は、光源306と、光分岐部307と、光の進行方向を偏光するミラー309と、凸面鏡410_1、410_2と、を備える。なお、第1の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0019】
図3で示した実施形態にかかる回折格子生成装置150では、レンズ308とミラー309_1、309_2、309_3を用いて、二光束を記録部材102上で重ね合わせて干渉させている。これに対し、図4に示す変形例では、凸面鏡410_1、410_2を用いて、幾何的にビーム径を計算して光の径を変更している。
【0020】
図5は、変形例2にかかる回折格子生成装置500の構成を示した図である。図5に示す例では、回折格子生成装置500は、光源306と、光分岐部307と、光の進行方向を偏光するミラー309と、凹面鏡510_1、510_2と、を備える。
【0021】
そして、図5に示す変形例では、凹面鏡510_1、510_2を用いて、幾何的にビーム径を計算して光の径を変更している。
【0022】
第1の実施形態、変形例1、及び変形例2では、記録部材102全体に光が照射されるよう、ビーム径を変更する例について説明した。しかしながら、記録部材102全体に光を照射することに制限するものではない。そこで、変形例3では、記録部材102全体に回折格子の点を並べて、疑似的に記録部材102全体を回折格子の状態にする。
【0023】
図6は、変形例3にかかる回折格子生成装置600の構成を示した図である。図6に示す例では、回折格子生成装置600は、光源306と、光分岐部307と、光の進行方向を偏光するミラー309_1、309_2、309_3と、レンズ601と、を備える。
【0024】
そして、図6に示す変形例では、レンズ601を用いて、記録部材102に照射する回折格子の点の径に併せて、光の径を変更している。
【0025】
そして、変形例3にかかる回折格子生成装置600は、記録材料基材101を含めて記録部材102の面に平行な2方向に移動する機構を有する。当該機構により、記録部材102に入射する光の位置を変更する。これにより、記録部材102全体に回折格子を生成できる。本変形例は、記録部材102全体に対して同時に光を照射する必要がないため、光源306の出力が十分に高くない場合などに有効となる。
【0026】
さらに、記録部材102全体に回折格子の点を並べて、疑似的に記録部材102全体を回折格子の状態にするための構成としては、変形例3以外の態様も考えられる。
【0027】
図7は、変形例4にかかる回折格子生成装置700の構成を示した図である。図7に示す例では、回折格子生成装置700は、光源306と、光分岐部307と、光の進行方向を偏光するミラー309と、凹面鏡701_1、701_2と、を備える。
【0028】
そして、図7に示す変形例では、図6で示したレンズ601の代わりに、凹面鏡701_1、701_2を用いて、幾何的にビーム径を計算して光の径を変更している。
【0029】
図8は、変形例5にかかる回折格子生成装置800の構成を示した図である。図8に示す例では、回折格子生成装置800は、光源306と、光分岐部307と、光の進行方向を偏光するミラー309と、レンズ801と、ポリゴンミラー802_1、802_2と、を備える。ポリゴンミラー802_1、802_2は、光の進行方向を精密に変更する。なお、本変形例は、光の進行方向を変更する手法を、ポリゴンミラー802_1、802_2に制限するものではない。
【0030】
そして、図8に示す変形例では、レンズ801を用いて、幾何的にビーム径を計算して光の径を変更した後、ポリゴンミラー802_1、802_2が光の進行方向を精密に変更して、光の入射の位置を変更する。
【0031】
上述した実施形態及び変形例にかかる回折格子生成装置は、光の照射で回折格子を生成することに制限するものではない。
【0032】
図9は、回折格子生成装置が、柔軟な状態の記録部材102に対して、回折格子を形成する型901をプレスする例である。図9に示す例では、回折格子をとなるレリーフを形成する型901を、柔軟な状態の記録部材102にプレスすることで、記録部材102全体を回折格子の状態とした後、記録部材102を硬化させる。
【0033】
なお、記録部材102を軟化させる手法はどのような手法を用いても良いが、例えば、熱を加えても良いし、もともと柔らかい材料を用いても良い。このように、型901をプレスして、型どおりの回折格子に変形できれば、どのような手法を用いても良い。
【0034】
図1に戻り、第1の実施形態にかかるホログラム生成装置100は、回折格子生成装置150から受け取った、回折格子の状態にされた記録部材102から、ホログラムを生成する。
【0035】
図10は、第1の実施形態にかかるホログラム生成装置100の構成を示した図である。図10に示すように、ホログラム生成装置100は、処理部1001と、光発振部1002と、液晶パネル1003と、これらを接続する接続線1004と、を備える。また、本実施形態は、接続線1004で接続する例とするが、有線での接続に制限するものではなく、赤外線や無線等で接続しても良い。
【0036】
処理部1001は、ホログラム生成装置100全体を制御する。第1の実施形態にかかる処理部1001は、光発振部1002、及び液晶パネル1003を制御して、回折格子の状態にされた記録部材102のうち、光で再生される像が表されたパターンが配置された領域以外に対して、回折格子でない状態にする処理を行う。
【0037】
処理部1001は、記録部材102を、回折格子でない状態にするために、パターンが配置された領域以外に対して、所定のエネルギーを加えて、回折格子でない状態にする。本実施形態では、光の照射で、記録部材102に対してエネルギーを加える。なお、本実施形態は、加えるエネルギーを光の照射に制限するものではなく、他のエネルギーであっても良い。
【0038】
光発振部1002は、処理部1001の制御に従って、記録部材102に対して、回折格子である状態を、回折格子でない状態にするための光を発振する。本実施形態にかかる光発振部1002は、円偏光の光を発振する。これは、記録部材102で用いられているアゾベンゼンは、円偏光の一光束を一定時間照射すると、回折格子でない状態に変化させることができるためである。
【0039】
しかしながら、本実施形態は、円偏光の光の発振に制限するものではなく、回折格子でない状態にすることが可能な光であればよい。例えば直線偏光などを発振しても良い。そして、光が照射されている領域が、光格子でない状態になった場合に、処理部1001は、光発振部1002に対して、光の照射を停止させる。
【0040】
液晶パネル1003は、記録部材102全体のうち、光で再生される像が示されたパターンが配置された領域を被覆する。液晶パネル1003で、記録部材102を被覆するマスクを形成することで、いちいちマスクを形成する必要がなくなり、作業負担を軽減できる。さらには、マスクのパターンを電子データで瞬時に変更できるため、ホログラムの生産性を向上させることができる。
【0041】
本実施形態では、パターンが配置された領域の被覆手法として液晶パネル1003を用いた例について説明するが、当該領域を被覆できれば、どのような手法を用いても良い。
【0042】
そして、処理部1001は、液晶パネル1003に、ホログラムとして表示したい像を含む画像データを映し出して、当該像を映し出したい領域を被覆する制御を行う。その後、処理部1001は、光発振部1002から、液晶パネル1003を介して、記録部材102に対して、光1010を照射する。このように本実施形態にかかるホログラム生成装置100では、光発振部1002と、液晶パネル1003と、記録部材102と、が、光の進行方向に対して、この順番で並ぶ。これにより、照射された光1010は、一光束で、液晶パネル1003に映し出されたマスクにより一部遮断されて、記録部材102に至り、記録材料の不要部分を、回折格子でない状態に変化させる。
【0043】
また、ホログラム生成装置としては別の態様も考えられる。図11は、第1の実施形態の変形例1にかかるホログラム生成装置1100の構成を示した図である。図11に示すホログラム生成装置1100は、第1の実施形態のホログラム生成装置100と比べて、レンズ1101_1、1101_2が追加された点で異なる。なお、第1の実施形態と同一の構成については、同一符号を付し、説明を省略する。
【0044】
図11に示す例では、光発振部1002から発振した光を、レンズ1101_1、1101_2等で拡張または縮小する。これにより、液晶パネル1003のマスクと同等サイズまで照射される光の領域を変更できる。
【0045】
第1の実施形態に戻り、所望のパターンを記録部材102に残す手段について説明する。図12は、本実施形態にかかるホログラム生成装置100で行われている処理の手順を示した図である。
【0046】
図12の(1)に示すように、ホログラム生成装置100は、予め回折格子の状態にした記録部材102の上部で、なるべく記録部材102に近い位置に液晶パネル1003を設置する。その後、(2)に示すように、処理部1001から送信された画像データに従って、液晶パネル1003上に所望のパターン1201を映し出す。
【0047】
その後、(3)に示すように、処理部1001が、液晶パネル1003の上部から、記録部材102に対して、一光束1010を所定時間、光発振部1002を制御して照射する。そして、(4)に示すように、所定時間経過後、処理部1001は、光発振部1002による光の発振を停止する。それと共に、(5)に示すように、処理部1001は、液晶パネル1003に映し出したパターンを消す。
【0048】
そして、ホログラム生成装置100では、新たに別のパターンを生成する場合、記録部材102を新しいものに交換し、(1)〜(5)の処理を繰り返す。
【0049】
本実施形態は、液晶パネル1003を用いてマスクとなるパターンを表示する例について説明した。しかしながら、マスクは液晶パネル1003に映し出す場合に制限するものではない。そこで、第1の実施形態の変形例2として、フィルムを用いてマスクを生成する場合について説明する。
【0050】
図13は、第1の実施形態の変形例2にかかるホログラム生成装置1300の構成を示した図である。図13に示すホログラム生成装置1300は、第1の実施形態のホログラム生成装置100と比べて、液晶パネル1003の代わりに透明なフィルム1301と、プリンタ1311と、搬送部1312と、を備えている。なお、第1の実施形態と同一の構成については、同一符号を付し、説明を省略する。
【0051】
プリンタ1311は、フィルム1301に対して、所望のパターンをマスクとして印刷する。搬送部1312は、マスクが印刷されたフィルム1301を搬送し、光発振部1002の下に移動させる。
【0052】
このように本変形例では、液晶パネル1003の代わりにフィルム1301を用い、当該フィルム1301に対して所望のパターンを印刷し、マスクとして利用する。
【0053】
プリンタ1311による印刷方法は、インクジェットでも良いし、インクリボンによる熱蒸着、レーザー印刷、レーザーによる焼き付けなど、あらゆる印刷方法を用いて良い。
【0054】
図14は、本変形例にかかるホログラム生成装置1300で行われている処理の手順を示した図である。
【0055】
図14の(1)に示すように、ホログラム生成装置1300は、フィルム1301に対して、プリンタ1311によりパターンの印刷を制御する。その後、(2)に示すように、搬送部1312が、パターンが印刷されたフィルム1301を、記録部材102の上且つ光発振部1002の下まで搬送する。
【0056】
その後、(3)に示すように、処理部1001が、パターンが印刷されたフィルム1301の上部から、記録部材102に対して、一光束1010を所定時間、光発振部1002を制御して照射する。そして、(4)に示すように、所定時間経過後、処理部1001は、光発振部1002による光の発振を停止する。それと共に、(5)に示すように、処理部1001は、パターンが印刷されたフィルム1301を搬送する。当該手順により、所望のパターンの領域が回折格子の状態として残された記録部材102を生成できる。
【0057】
第1の実施形態の変形例3として、DMDを用いてマスクを生成する場合について説明する。図15は、第1の実施形態の変形例3にかかるホログラム生成装置1500の構成を示した図である。図15に示すホログラム生成装置1500は、第1の実施形態のホログラム生成装置100と比べて、液晶パネル1003の代わりにデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)1511を備えている。なお、第1の実施形態と同一の構成については、同一符号を付し、説明を省略する。
【0058】
本変形例にかかる処理部1501は、DMD1511を制御する。そして、第1の実施の形態のように液晶パネル1003に映し出したパターンに光を透過させる代わりに、DMD1511@で光を反射させて、所望のパターンが配置された領域以外の記録部材102に投影する。
【0059】
図16は、本変形例にかかるホログラム生成装置1500で行われている処理の手順を示した図である。
【0060】
図16の(1)に示すように、ホログラム生成装置1500の処理部1501は、記録部材102に投影させるパターンに対応して、DMD1511を構成する各ミラーのオン・オフを変化させる。
【0061】
そして、(2)に示すように、処理部1501が、DMD1511を介して、記録部材102に対して、一光束を所定時間、光発振部1002から光1010を照射する。そして、(3)に示すように、所定時間経過後、処理部1501は、光発振部1002による光の発振を停止する。これにより、領域1601のみ回折格子の状態となる。
【0062】
なお、本実施形態及び上述した変形例は、ホログラムを生成する際に、記録部材102全体に対して一度に光を照射することに制限するものではない。
【0063】
図17は、第1の実施形態の変形例4にかかるホログラム生成装置1700の構成を示した図である。図17に示すホログラム生成装置1700は、第1の実施形態のホログラム生成装置100と比べて、シリンドリカルレンズ1701、1702、材料搬送部1703及び液晶搬送部1704が追加された例とする。なお、第1の実施形態と同一の構成については、同一符号を付し、説明を省略する。
【0064】
図17に示す例では、光発振部1002から発振した光1711が、シリンドリカルレンズ1701、1702により面形の光に変更される。そして、液晶パネル1003を搬送する液晶搬送部1704と、1軸方向に移動する記録部材102を搬送する材料搬送部1703と、を連動させて、記録部材102に光を走査して記録する。
【0065】
図18は、本変形例にかかるホログラム生成装置1700で行われている処理の手順を示した図である。
【0066】
図18の(1)に示すように、ホログラム生成装置1700は、予め回折格子の状態にした記録部材102の上部で、なるべく記録部材102に近い位置に液晶パネル1003を設置する。その後、(2)に示すように、処理部1001から送信された画像データに従って、液晶パネル1003上に所望のパターン1201を映し出す。
【0067】
その後、(3)に示すように、処理部1001が、液晶パネル1003の上部から、記録部材102に対して、面形の光1801を、光発振部1002を制御して照射する。その際に、ホログラム生成装置1700は、液晶パネル1003及び記録部材102を連動させた上で、走査方向1802に移動させる。
【0068】
そして、(4)に示すように、記録部材102の全領域に対して、面形の光を照射した後、処理部1001は、光発振部1002による光の発振を停止する。それと共に、(5)に示すように、処理部1001は、液晶パネル1003に映し出したパターンを消す。
【0069】
図19は、第1の実施形態の変形例5にかかるホログラム生成装置1900の構成を示した図である。図19に示すホログラム生成装置1900は、第1の実施形態のホログラム生成装置100と比べて、光発振部1901が線状の光を発振する。そして、材料搬送部1912及び液晶搬送部1911が追加された例とする。なお、第1の実施形態と同一の構成については、同一符号を付し、説明を省略する。
【0070】
図19に示す例では、光発振部1901から発振した線形の光1951が発振される。そして、液晶パネル1003を2軸で搬送する液晶搬送部1911と、記録部材102を2軸で搬送する材料搬送部1912と、を連動させて、記録部材102に光を走査して記録する。なお、2軸の場合の処理手順は、図18で示した1軸の場合の処理手順とほぼ同様のため説明を省略する。
【0071】
また、線形の光を発振する際に、材料搬送部1903及び液晶搬送部1904を2軸で移動させる制御に制限するものではなく、ポリゴンミラーと1軸の移動制御とを組み合わせても良い。
【0072】
図20は、ポリゴンミラーと1軸の移動制御とを組み合わせた場合のホログラム生成装置で行われている処理の手順を示した図である。
【0073】
図20の(1)に示すように、ホログラム生成装置は、予め回折格子の状態にした記録部材102の上部で、なるべく記録部材102に近い位置に液晶パネル1003を設置する。その後、(2)に示すように、処理部1001から送信された画像データに従って、液晶パネル1003上に所望のパターン1201を映し出す。
【0074】
その後、(3)に示すように、処理部1001が、液晶パネル1003の上部から、記録部材102に対して、ポリゴンミラー2001で反射された光1951を、光発振部1901を制御して照射する。その際に、ホログラム生成装置は、液晶パネル1003及び記録部材102を連動させた上で、矢印で示す方向に移動させる。
【0075】
そして、(4)に示すように、記録部材102の全領域に対して光を照射した後、処理部1001は、光発振部1901による光の発振を停止する。それと共に、(5)に示すように、処理部1001は、液晶パネル1003に映し出したパターンを消す。
【0076】
上述した実施形態及び変形例では、マスクの濃度差がなく階調性を有しない場合について説明した。しかしながら、上述した実施形態及び変形例は、マスクの濃度差がない場合に制限するものではない。
【0077】
次に、マスクの濃度差が存在する場合について説明する。当該説明では、第1の実施形態にかかるホログラム生成装置100の構成を用いる。
【0078】
第1の実施形態にかかるホログラム生成装置100の液晶パネル1003に映し出されたマスクの濃度差が存在する場合、記録部材102に照射される光のエネルギー密度(単位面積当たりの積算エネルギー量)が、照射される領域により変化する。これにより、当該領域毎に回折率が異なることになり、ホログラムの階調表現が可能となる。また、本実施形態にかかるホログラム生成装置100は、マスクの濃度差を、液晶パネル1003に映し出す画像データにより実現する。なお、積算エネルギーは、パワー密度と露光時間の積により算出できる。
【0079】
図21は、本実施形態にかかるホログラム生成装置100で行われているホログラムの階調表現を表す場合の処理の手順を示した図である。
【0080】
図21に示す例では、ホログラム生成装置100は、記録部材102の回折格子として残したいパターンに濃度差をつけるために、液晶パネル1003に映し出すマスクを透過する光強度を、照射する領域に応じて異ならせている。このように、照射する光のエネルギー密度(単位面積当たりの積算エネルギー量)を制御して、完成する回折格子のパターンに階調を持たせる。
【0081】
図21の(1)に示すように、ホログラム生成装置100は、予め回折格子の状態にした記録部材102の上部で、なるべく記録部材102に近い位置に液晶パネル1003を設置する。その後、(2)に示すように、処理部1001から送信された画像データに従って、液晶パネル1003上に所望のパターンを映し出す。当該所望のパターンは、マスクの濃度が濃い領域2101と、マスクの濃度が淡い領域2102とで構成されている。このように、処理部1001は、記録部材102に回折格子として残したいパターンの階調に合わせて、濃度差をつけたマスクを生成して、液晶パネル1003に映し出す。
【0082】
その後、(3)に示すように、処理部1001が、液晶パネル1003の上部から、記録部材102に対して、一光束1010を所定時間、光発振部1002を制御して照射する。この際、マスクの濃度差に応じて、記録部材102に照射される光のエネルギー密度が異なることになる。これにより、記録部材102で、ホログラムの階調表現が可能となる。
【0083】
図22は、記録部材102の回折率を説明した図である。図22に示す例では、入射した光(100%)に対して、光の回折率(a%)が回折率となる。そして、当該回折率(a%/100%)は、光発振部1002から記録部材102に照射される光のエネルギー密度に応じて低下していくことになる。
【0084】
そこで、本実施形態にかかるホログラム生成装置100では、当該性質を利用して、マスクの濃淡で、記録部材102に照射される光のエネルギー密度を調整する。つまり、ホログラム生成装置100が液晶パネル1003に表示するマスク濃度の高い部分程、光が透過しないため回折格子の状態として残る。そして、マスク濃度が薄い部分は、濃度が高い部分に比べて光の透過率が高くなる。このため、回折格子の状態として残る比率が低くなるため、記録部材102の完成パターンに階調性を持たせることができる。
【0085】
そして、図21の(4)に示すように、マスク以外の領域で回折格子の無い状態になるまでの所定時間経過後、処理部1001は、光発振部1002による光の発振を停止する。それと共に、(5)に示すように、処理部1001は、液晶パネル1003に映し出したパターンを消す。これにより階調性がある回折格子である状態(例えば領域2111及び領域2112)を有する記録部材102の生成が可能となる。
【0086】
また、階調表現を行うための光の照射方法は、第1の実施形態の態様に制限するものではなく、上述した様々な変形例の態様に併せても良い。例えば、DMDを用いる場合、DMDでの反射光に濃度差をつけることで、マスクと同様の働きを持たせることができる。
【0087】
また、本実施形態にかかるホログラム生成装置100は、一層の記録部材102に対する光の照射だけでなく、多層の記録材料に対する光の照射も可能とする。これにより立体型ホログラムの生成が可能となる。
【0088】
図23は、本実施形態にかかるホログラム生成装置100で行われている、多層の記録材料に対して、光を照射する処理の手順を示した図である。
【0089】
図23の(1)に示すように、あらかじめ回折格子の状態にした記録材料2301、2302、2303を記録材料基材101の上に積層する。図23に示す例では、記録材料3層積層する例について説明するが、必要に応じて2層の積層や、4層以上の複数層積層であってもよい。
【0090】
そして、(2)に示すように、ホログラム生成装置100は、液晶パネル1003のマスクの濃度を変更することで、光発振部1002から発振される光のエネルギー密度を変えて、3層の記録材料2301、2302、2303に照射する。これにより、下位層に届く光のエネルギー密度を変化させることができる。つまり、照射される光2311、光2312及び光2313でエネルギー密度が異なっている。
【0091】
その後、(3)に示すように、ホログラム生成装置100の処理部1001は、所望のパターンが描画できる時間、光を照射した後、光発振部1002を制御して光の照射を停止する。これにより、回折格子である状態2322と、回折格子でない状態2321と、を生成できる。そして、回折格子でない状態2321の領域については、回折せずに光が進むため、奥の階層の記録材料についても光が照射される。
【0092】
このように、本実施形態にかかるホログラム生成装置100は、あらかじめ回折格子にしておいた記録材を多層構造にして、光のエネルギー密度を制御することとした。これにより、所定のエネルギー密度の光が、各階層の記録材料に届くよう制御することで、3相の記録材料に残るパターンに奥行きを持たせることができる。
【0093】
図23に示す例では、全階層の屈折角が同一の回折格子である状態の記録材の例について説明した。しかしながら、全階層の屈折角を同一に制限するものではない。図24は、本実施形態にかかるホログラム生成装置100で行われている、屈折角が異なる多層の記録材料に対して、光を照射する処理の手順を示した図である。
【0094】
図24の(1)に示すように、あらかじめ回折格子の状態にした記録材料2401、2402、及び2403を記録材料基材101の上に積層する。この記録材料2401、2402、及び2403は、初期状態として、それぞれ屈折角が異なる回折格子を有している。
【0095】
そして、(2)に示すように、ホログラム生成装置100は、液晶パネル1003のマスクの濃度を変更することで、光発振部1002から発振される光のエネルギー密度を変えて、3層の記録材料2401、2402、及び2403に照射する。なお、照射される光2411、光2412及び光2413はエネルギー密度を異ならせる。
【0096】
その後、(3)に示すように、ホログラム生成装置100の処理部1001は、所望のパターンが描画できる時間、光を照射した後、光発振部1002を制御して光の照射を停止する。これにより、回折格子である状態2422と、回折格子でない状態2421と、を生成できる。このように、回折格子の屈折角が異なるものを作成して積層することにより、完成するパターンにより立体的な視認性を与えることも可能である。
【0097】
このように、本実施形態にかかるホログラム生成装置100は、多層構造の記録材料であれば、屈折角が異なる、又は同一であるに拘わらず、ホログラムを生成することができる。
【0098】
次に、第1の実施の形態にかかる回折格子生成装置150及びホログラム生成装置100における、全体的な処理について説明する。図25は、本実施の形態にかかる回折格子生成装置150及びホログラム生成装置100における上述した処理の手順を示すフローチャートである。
【0099】
まず、回折格子生成装置150は、記録部材102の全領域に対して、分岐させた光による照射を行い、当該領域を回折格子の状態にする(ステップS2501)。その後、記録材料は、回折格子生成装置150から、ホログラム生成装置100に受け渡される。
【0100】
その後、ホログラム生成装置100の処理部1001は、液晶パネル1003を用いて、記録部材102の上面に対して、所定のパターンのマスクで被覆する(ステップS2502)。
【0101】
次に、処理部1001は、光発振部1002から、記録部材102全体に対して光の照射を開始する(ステップS2503)。
【0102】
そして、処理部1001は、一定時間経過した後、光発振部1002による光の照射を停止する(ステップS2504)。
【0103】
その後、ホログラム生成装置100は、所定のパターンの領域だけ回折格子の状態となった記録部材102を出力する(ステップS2505)。
【0104】
上述した処理手順により、所定のパターンの領域だけ回折格子の状態となった記録部材102の提供を可能とする。なお、当該処理手順は、多層の記録材料などにも適用できる。また、液晶パネル1003の代わりに、上述したフィルムやDMDなどの被覆手段を用いても良い。
【0105】
上述した実施形態及び変形例では、一光束の光を円偏光で照射しているが、照射する光束は円偏光以外であってもよい。円偏光以外であっても、記録部材102の閾値の上限を超えるエネルギー密度で照射することで、記録材料の化学構造を破壊できるため、回折格子の状態を、回折格子でない状態に変化させることができる。
【0106】
さらに、光発振部1002が発振する光が円偏光でなくとも、照射された光が通過する液晶パネル1003やフィルムが偏光方向を変えて、偏光を円偏光に変えてもよい。
【0107】
上述した実施形態及び変形例にかかるホログラム生成装置では、一光束の光で、記録部材102上に所望のパターンを残すことが可能となったため、装置の機構が単純となり、省スペース化を実現することが可能となった。
【0108】
上述した実施形態及び変形例にかかるホログラム生成装置では、一光束の照射で、所望のパターンを残すため、低精度の光学系制御で、記録部材102に対して描画を行うことができる。また、ホログラムを生成する際に、光の分岐が不要なため、記録部材102に対してパターンを描画する場所について、省スペース化を図ることができる。さらに、上述した実施形態及び変形例にかかるホログラム生成装置では、一光束のみの照射であるため、パターンの描画を行う際の振動の影響を抑止できる。
【0109】
上述した実施形態及び変形例にかかるホログラム生成装置では、液晶パネル1003やフィルムなどでマスクを容易に変更できるため、オンデマンドで所望する回折格子のパターンを容易に記録できる。
【0110】
上述した実施形態及び変形例では、光を照射して記録材について所定のパターンの領域だけ回折格子の状態を残す例について説明した。しかしながら、記録部材102を回折格子の状態から、回折格子でない状態にする手法としては、光以外のエネルギーを加える手法を用いても良い。そこで、以下に示す変形例では、光以外のエネルギーを加える手法として、熱を加える例について説明する。
【0111】
図26は、第1の実施形態の変形例6にかかるホログラム生成装置により行われる、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。図26に示すように、ホログラム生成装置は、ヒートローラ2602を備えている。そして、マスクに用いる材料に断熱性のものを用いて、記録材料の上からプレスして、マスク以外の領域に局所的に熱をかけるものとする。
【0112】
そして、(1)に示すように、ホログラム生成装置は、回折格子の状態の記録部材102を記録材料基材101の上に設置する。なお、記録部材102は、熱を加えることで、回折格子の状態から、回折格子でない状態に変化する材料とする。
【0113】
その後、ホログラム生成装置は、記録部材102に対して、所定のパターンのマスク2601で被覆する。マスクは断熱性を有する材料であればよく、マスクの作成手法をとしては、周知の手法を問わず用いることができる。
【0114】
そして、ホログラム生成装置は、マスクで被覆された記録部材102に対して、ヒートローラ2602を用いて加熱する。そして、ホログラム生成装置は、不要部分のみが回折格子で無くなる十分な時間だけ熱を加えることで、(2)に示すような所望の回折格子パターン(例えば、面2612のうち、領域2611のみ回折格子の状態を保持し、領域2613を回折格子でない状態としたパターン)を得られる。
【0115】
また、光、熱以外のエネルギーとして、力学的エネルギーを加えても良い。図27は、第1の実施形態の変形例7にかかるホログラム生成装置により行われる、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。図27に示すように、ホログラム生成装置は、研磨部2803を備えている。研磨部2803としては、粗い面を持つやすりなどが考えられる。
【0116】
図27の(1)に示すように、記録材料基材101の上に、記録部材102が設定されている。この記録部材102は、回折格子の状態では、表面が凹凸形状2802となっている。この場合、回折格子の状態を残したい領域については、マスク2801で被覆する。
【0117】
その後、(2)に示すように、ホログラム生成装置は、研磨部2803で記録部材102の表面を研磨する。これにより、(3)に示すように、被覆された領域2811だけ回折格子の状態を残し、他の領域2812については、表面の凹凸の状態を変化させ、ホログラムでない状態を作り出すことが可能である。よって、パターンを残したい領域以外を物理的に切削し、意図的に表目の状態を粗くすることにより、回折格子でない状態を作り出すことができる。
【0118】
このように、レリーフホログラムの様に、記録部材102の表面が凹凸形状によるホログラムの場合、研磨することで、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0119】
また、レリーフホログラムでなくとも、記録部材102に対して力学的エネルギーを加えることで、不要部分を回折格子でない状態に変えてもよい。
【0120】
また、エネルギーを加える以外の手法で、記録部材102の回折格子の状態を、回折格子でない状態に変化させても良い。図28は、第1の実施形態の変形例8にかかるホログラム生成装置により行われる、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。図28の(1)に示すように、ホログラム生成装置は、マスク2901を、記録部材102上に配置する。当該マスク2901は、少なくとも記録部材102よりも硬度の高い材料を用いる。
【0121】
その後、(2)に示すように、ホログラム生成装置は、シール2911を記録部材102に貼り付ける。なお、シール2911は、回折格子の状態を残したいパターン領域2921と回折時の屈折角が異らせればよく、透明であっても良い。その後、(3)に示すように、ホログラム生成装置は、マスク2901を剥離する。これにより、記録部材102の領域2921が回折格子の状態で、領域2922が回折格子でない状態となる。
【0122】
さらに、シールの代わりに、被覆物を蒸着させても良い。図29は、第1の実施形態の変形例9にかかるホログラム生成装置により行われる、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。図29の(1)に示すように、ホログラム生成装置は、マスク3001を、記録部材102上に配置する。
【0123】
その後、(2)に示すように、ホログラム生成装置は、蒸着装置3011を制御して、記録部材102の表面3012を蒸着する。その後、(3)に示すように、ホログラム生成装置は、マスク3001を取り除く。これにより、記録部材102の領域3021が回折格子の状態で、領域3022が回折格子でない状態となる。蒸着装置3011としては、サーマルプリンタなどで用いられている、インク等の材質を熱で気化(昇華)して蒸着させる方式を適用することが考えられる。なお、蒸着させる材質は、どのような材質であっても良い。
【0124】
(第2の実施形態)
上述した実施形態及び変形例では、記録部材102をマスクで被覆して、回折格子の状態の領域を残す手法について説明した。しかしながら、回折格子の状態を残す手法としては、マスクを用いた手法に制限するものではない。そこで、第2の実施形態では、発振する光を制御して、記録部材102の回折格子の状態を、回折格子でない状態にする例について説明する。そこで、第2の実施形態では、光をパターンに合わせて走査することでパターンを記録する場合について説明する。
【0125】
図30は、第2の実施形態にかかるホログラム生成装置3100の構成を示した図である。図30に示すように、ホログラム生成装置3100は、処理部3101と、光発振部3102と、ポリゴンミラー3103と、材料搬送部3104と、を備える。
【0126】
そして、ホログラム生成装置3100は、ポリゴンミラー3103と、一軸移動する材料搬送部3104とを組み合わせることで、光発振部3102から発振される光3111により、記録部材102全領域に対して走査を行うことができる。
【0127】
そして、処理部3101は、記録部材102で回折格子の状態を残したいパターンに合わせて、光発振部3102が発振する光のオン・オフを制御する。つまり、処理部3101は、回折格子の状態を残したい領域については、光発振部3102が発振する光による照射をオフにし、回折格子でない状態にしたい領域については、光発振部3102が発振する光による照射をオンにする制御を行う。
【0128】
図31は、本実施形態にかかるホログラム生成装置3100で行われている処理の手順を示した図である。(1)に示すように、予め回折格子の状態にした記録部材102が記録材料基材101上に備えられている。その後、(2)に示すように、処理部3101が、光発振部3102から発振される光を制御して、回折格子の状態を所定のパターンだけ残すよう照射する。その際、材料搬送部3104は、ポリゴンミラー3103が走査する方向と垂直の副走査方向に、記録部材102を搬送する。
【0129】
これにより、(3)に示すように、所定のパターン3201だけ回折格子の状態の領域が残された記録部材102を生成できる。このように、本実施形態では、記録部材102のパターンを残したい領域を除いた、すべての領域について一光束の光を照射して、光を照射した箇所が回折格子でない状態にする。
【0130】
また、光を走査する際に、ポリゴンミラー3103を用いた例に制限するものではない。図32は、第2の実施形態の変形例1にかかるホログラム生成装置3300の構成を示した図である。図32に示すように、ホログラム生成装置3300は、処理部3301と、光発振部3102と、2軸移動可能な材料搬送部3302と、を備える。
【0131】
図32に示す例では、材料搬送部3302が、記録部材102に対して2軸移動を行うことで、光発振部3102から発振される光を、記録部材102の全領域に照射することができる。
【0132】
その際に、処理部3301が、材料搬送部3302による移動制御を行うと共に、光発振部3102から発振される光のオン・オフを制御することで、記録部材102に対して、所定のパターンだけ回折格子の状態を残し、他の領域について回折格子でない状態に変化させることができる。
【0133】
図33は、本変形例にかかるホログラム生成装置3300で行われている処理の手順を示した図である。(1)に示すように、予め回折格子の状態にした記録部材102を記録材料基材101上に備えられている。その後、(2)に示すように、処理部3301が、光発振部3102から発振される光3111を制御して、回折格子の状態を所定のパターンだけ残すよう、照射を行う。その際、処理部3101は、光発振部3102から発振される光3111を制御する際に、材料搬送部3302を2軸方向に移動させる。これにより、(3)に示すように、所定のパターン3401だけ回折格子の状態の領域が残された記録部材102を生成できる。
【0134】
第2の実施形態に戻り、ホログラム生成装置3100は、光発振部3102により発振される光のエネルギー密度を制御して、照射される領域毎に回折率を異ならせるよう、光を走査することができる。これにより、記録部材102にパターンとして残される回折格子の状態に階調性を持たせることができる。
【0135】
図34は、本実施形態にかかるホログラム生成装置3100で行われている処理の手順を示した図である。(1)に示すように、予め回折格子の状態にした記録部材102が記録材料基材101上に備えられている。その後、(2)に示すように、処理部3101が、残したいパターンの階調に併せて光のエネルギー密度を制御して、光発振部3102から光を照射する。その際、処理部3101は、照射する領域毎に、照射する光3501、3502のエネルギー密度を異ならせている。これにより、(3)に示すように、領域3511及び領域3512のように複数の回折率が異なるパターンが生成される。
【0136】
次に、本実施の形態にかかる回折格子生成装置150及びホログラム生成装置100における、全体的な処理について説明する。図35は、本実施の形態にかかる回折格子生成装置150及びホログラム生成装置3100における上述した処理の手順を示すフローチャートである。
【0137】
まず、回折格子生成装置150は、記録部材102の全領域に対して、分岐させた光による照射を行い、当該領域を回折格子の状態にする(ステップS3601)。その後、記録材料は、回折格子生成装置150から、ホログラム生成装置3100に受け渡される。
【0138】
次に、処理部3101は、記録部材102のうち、再生する像が表された所定のパターンが配置された領域以外に対して、光発振部3102から光を照射する(ステップS3602)。
【0139】
照射が終了した後、ホログラム生成装置3100は、所定のパターンの領域だけ回折格子の状態となった記録部材102を出力する(ステップS3603)。
【0140】
上述した処理手順により、所定のパターンの領域だけ回折格子の状態となった記録部材102の提供を可能とする。なお、当該処理手順は、多層の記録材料などにも適用できる。
【0141】
上述した実施形態では、光の照射を行う例について説明したが、光以外のエネルギーを加える手法を用いても良い。そこで、以下に示す変形例では、光以外のエネルギーを加える手法として、熱を加える例について説明する。
【0142】
図36は、第2の実施形態の変形例2にかかるホログラム生成装置により行われる、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。図36に示す例では、ホログラム生成装置は、赤外線レーザーなど熱作用の強い光源を備えている。なお、記録部材102は、熱を加えることで、回折格子の状態から、回折格子でない状態に変化する材料とする。
【0143】
そして、(1)に示すように、ホログラム生成装置は、回折格子の状態の記録部材102を記録材料基材101の上に設置する。
【0144】
その後、本変形例にかかるホログラム生成装置は、記録部材102の回折格子でない状態にしたい領域に対して、光源から照射される赤外線レーザー2701により加熱する。
【0145】
これにより、本変形例にかかるホログラム生成装置は、回折格子の状態である領域2702と、回折格子でない状態である領域2711と、で構成された記録部材102を生成できる。
【0146】
また、エネルギーを加える以外の手法で、記録部材102の回折格子の状態を、回折格子でない状態に変化させても良い。そこで、第2の実施形態の変形例4では、所望のパターンに加工したシールを、記録部材102に貼り付けることで、所望のパターンを残す例とする。
【0147】
図37は、第2の実施形態の変形例3にかかるホログラム生成装置により行われる、ホログラムの生成処理の手順を示した図である。図37の(1)に示すように、ホログラム生成装置は、シール3701を用意する。
【0148】
その後、(2)に示すように、ホログラム生成装置は、加工部3702を用いて、シール3701を所望のパターンに加工する。その後、(3)に示すように、ホログラム生成装置は、加工されたシール3701を、記録部材102に貼り付ける。これにより、上述した加工により、剥離された領域3711と、シールが貼り付けられた領域3712と、が記録部材102に形成されるため、回折格子の状態の領域によるパターンが生成される。
【0149】
上述した実施形態及び変形例にかかるホログラム生成装置では、あらかじめ全領域を回折格子の状態にした記録部材102に対して、エネルギーを加えたりすることで、所望のパターンの領域以外を、回折格子で無い状態に変化させる。これにより、記録部材102上に、二光束の光を照射せずとも、所望のパターンを生成することが可能となった。これにより、所望のパターンのホログラムの生成が容易となる。
【0150】
その際に、従来は、二光束の光のうち、一方をホログラムで表示する物体に照射し、その反射光を記録材料に当て、他方を記録領域の同一箇所に当てる必要があったため、非常に広いスペースが必要であった。しかしながら、本実施形態及び変形例にかかるホログラム生成装置では、上述した構成で、所望のパターンのホログラムが生成可能となったため、省スペース化が可能となった。同様に、本実施形態及び変形例にかかるホログラム生成装置では、二光束を干渉させる必要が無くなったため、記録時の振動の影響を抑止することが可能となった。
【0151】
本実施形態及び変形例にかかるホログラム生成装置では、二光束を同一箇所に当てる必要がないため、記録部材102上に所望のパターンを生成する際の制御が簡易となった。
【0152】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0153】
100、1100、1300、1500、1700、1900、3100、3300…ホログラム生成装置、101…記録材料基材、102…記録部材、150、400、500、600、700、800…回折格子生成装置、306…光源、307…光分岐部、308、601、801…レンズ、309、309_1、309_2、309_3…ミラー、410_1、410_2…凸面鏡、510_1、510_2、701_1、701_2…凹面鏡、802_1、802_2…ポリゴンミラー、901…型、1001、1501、3101、3301…処理部、1002、1901、3102…光発振部、1003…液晶パネル、1004…接続線、1101_1、1101_2…レンズ、1301…フィルム、1311…プリンタ、1312…搬送部、1511…DMD、1701、1702…シリンドリカルレンズ、1703、1903、1912、3104、3302…材料搬送部、1704、1904、1911…液晶搬送部、2001、3103…ポリゴンミラー、2301、2302、2303、2401、2402、2403…多階層の記録材料、2601、2801、2901、3001…マスク、2602…ヒートローラ、2701…赤外線レーザー、2803…研磨部、2911、3701…シール、3011…蒸着装置、3702…加工部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラムを再生する光を照射すると回折が生じる回折格子の状態にされた記録材料のうち、当該光で再生される像が表されたパターンが配置された領域以外に対して、回折格子でない状態にする処理を行う処理手段を、
備えるホログラム生成装置。
【請求項2】
前記処理手段は、前記記録材料のうち、前記パターンが配置された領域以外に対して、所定のエネルギーを加えて、回折格子でない状態にする処理を行う、
請求項1に記載のホログラム生成装置。
【請求項3】
前記記録材料が所定の光を照射することで回折格子の状態を回折格子でない状態に変化する光応答性材料である場合に、前記処理手段は、前記パターンが配置された領域以外に対して、前記所定のエネルギーとして前記所定の光を照射する、
請求項2に記載のホログラム生成装置。
【請求項4】
前記記録材料のうち、前記パターンが配置された領域を被覆する被覆手段を、さらに備え、
前記処理手段は、前記被覆手段により前記領域が被覆された前記記録材料に対して、前記所定の光を照射する、
請求項3に記載のホログラム生成装置。
【請求項5】
前記処理手段は、光発振手段を制御して、前記記録材料の前記パターンが配置された領域以外に対して前記所定の光の照射させる、
請求項3に記載のホログラム生成装置。
【請求項6】
前記処理手段により前記所定の光が照射される前記記録材料は、前記光応答性材料であるアゾベンゼンを含むこと、
を特徴とする請求項4又は5に記載のホログラム生成装置。
【請求項7】
処理手段が、ホログラムを再生する光を照射すると回折が生じる回折格子の状態にされた記録材料のうち、当該光で再生される像が表されたパターンが配置された領域以外に対して、回折格子でない状態にする処理を行う処理ステップを、
有するホログラム生成方法。
【請求項8】
前記処理手段は、前記記録材料のうち、前記パターンが配置された領域以外に対して、所定のエネルギーを加えて、回折格子でない状態にする処理を行う、
請求項7に記載のホログラム生成方法。
【請求項9】
前記記録材料が所定の光を照射することで回折格子の状態を回折格子でない状態に変化する光応答性材料である場合に、前記処理ステップは、前記パターンが配置された領域以外に対して、前記所定のエネルギーとして前記所定の光を照射する、
請求項8に記載のホログラム生成方法。
【請求項10】
前記記録材料のうち、前記パターンが配置された領域を被覆する被覆ステップを、さらに有する、
前記処理ステップは、前記被覆ステップにより前記領域が被覆された前記記録材料に対して、前記所定の光を照射する、
請求項9に記載のホログラム生成方法。
【請求項11】
前記処理ステップは、光発振手段を制御して、前記記録材料の前記パターンが配置された領域以外に対して前記所定の光の照射させる、
請求項9に記載のホログラム生成方法。
【請求項12】
前記処理ステップにより前記所定の光が照射される前記記録材料は、前記光応答性材料であるアゾベンゼンを含むこと、
を特徴とする請求項10又は11に記載のホログラム生成方法。
【請求項1】
ホログラムを再生する光を照射すると回折が生じる回折格子の状態にされた記録材料のうち、当該光で再生される像が表されたパターンが配置された領域以外に対して、回折格子でない状態にする処理を行う処理手段を、
備えるホログラム生成装置。
【請求項2】
前記処理手段は、前記記録材料のうち、前記パターンが配置された領域以外に対して、所定のエネルギーを加えて、回折格子でない状態にする処理を行う、
請求項1に記載のホログラム生成装置。
【請求項3】
前記記録材料が所定の光を照射することで回折格子の状態を回折格子でない状態に変化する光応答性材料である場合に、前記処理手段は、前記パターンが配置された領域以外に対して、前記所定のエネルギーとして前記所定の光を照射する、
請求項2に記載のホログラム生成装置。
【請求項4】
前記記録材料のうち、前記パターンが配置された領域を被覆する被覆手段を、さらに備え、
前記処理手段は、前記被覆手段により前記領域が被覆された前記記録材料に対して、前記所定の光を照射する、
請求項3に記載のホログラム生成装置。
【請求項5】
前記処理手段は、光発振手段を制御して、前記記録材料の前記パターンが配置された領域以外に対して前記所定の光の照射させる、
請求項3に記載のホログラム生成装置。
【請求項6】
前記処理手段により前記所定の光が照射される前記記録材料は、前記光応答性材料であるアゾベンゼンを含むこと、
を特徴とする請求項4又は5に記載のホログラム生成装置。
【請求項7】
処理手段が、ホログラムを再生する光を照射すると回折が生じる回折格子の状態にされた記録材料のうち、当該光で再生される像が表されたパターンが配置された領域以外に対して、回折格子でない状態にする処理を行う処理ステップを、
有するホログラム生成方法。
【請求項8】
前記処理手段は、前記記録材料のうち、前記パターンが配置された領域以外に対して、所定のエネルギーを加えて、回折格子でない状態にする処理を行う、
請求項7に記載のホログラム生成方法。
【請求項9】
前記記録材料が所定の光を照射することで回折格子の状態を回折格子でない状態に変化する光応答性材料である場合に、前記処理ステップは、前記パターンが配置された領域以外に対して、前記所定のエネルギーとして前記所定の光を照射する、
請求項8に記載のホログラム生成方法。
【請求項10】
前記記録材料のうち、前記パターンが配置された領域を被覆する被覆ステップを、さらに有する、
前記処理ステップは、前記被覆ステップにより前記領域が被覆された前記記録材料に対して、前記所定の光を照射する、
請求項9に記載のホログラム生成方法。
【請求項11】
前記処理ステップは、光発振手段を制御して、前記記録材料の前記パターンが配置された領域以外に対して前記所定の光の照射させる、
請求項9に記載のホログラム生成方法。
【請求項12】
前記処理ステップにより前記所定の光が照射される前記記録材料は、前記光応答性材料であるアゾベンゼンを含むこと、
を特徴とする請求項10又は11に記載のホログラム生成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【公開番号】特開2013−64804(P2013−64804A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202453(P2011−202453)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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