説明

ホログラム装飾体及びその製造方法

【課題】 中抜け現象の発生によるホログラムパターンの意匠性の低下を抑制することができるホログラム装飾体を提供する。さらに、中抜け現象の発生によるホログラムパターンの意匠性の低下を抑制しつつ、ホログラム装飾体を製造することができるホログラム装飾体の製造方法を提供する。
【解決手段】 ホログラム装飾体としての装飾プレート11を構成する基材12の意匠面13には、複数の文字装飾部21が突設されている。各文字装飾部21の上面には複数の装飾凸部22が形成されている。各装飾凸部22の表面にはホログラムパターン24が形成されている。装飾凸部22はダイヤモンドカット等の方法により形成されている。一方、ホログラムパターン24は、それに応じた形状をなす転写パターンが上面に形成された転写体の前記上面を各文字装飾部21の上面に押圧することにより形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾プレート等のホログラム装飾体及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のホログラム装飾体としては、例えば次の各特許文献に開示されているような構成のものが知られている。即ち、特許文献1のホログラム装飾体は、基材の意匠面に微細凸部が突設されているうえ、同意匠面の微細凸部以外の箇所にホログラムパターンが設けられている。このホログラムパターンは、前記意匠面に形成されたパターン凹凸部により構成されている。微細凸部及びパターン凹凸部は、それらに応じた形状をなす転写パターンが表面に形成されている転写体を用いたプレス加工により形成されている。即ち、微細凸部及びパターン凹凸部は、転写体の表面を基材の意匠面に押圧して転写パターンを意匠面に転写することにより形成されている。
【0003】
また、特許文献2のホログラム装飾体は、基材の意匠面にホログラムパターンを構成するパターン凹凸部が形成されている。基材は、金属材料により塑性変形可能に形成されている。パターン凹凸部は、それに応じた形状をなす転写パターンが表面全体にわたって形成されている転写体を用いたプレス加工により形成されている。転写体の表面は、その周縁部から中心部に向かうに従い外方へ湾曲するように形成されている。
【特許文献1】特開2004−37882号公報
【特許文献2】特公平4−54238号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来構成においては、次のような問題があった。
即ち、特許文献1の構成では、転写体の意匠面に対する押圧力は転写体の周縁部で高く、転写体の中心部に向かうに従い低くなる。このため、意匠面において、転写体の周縁部に対応する部分ではパターン凹凸部が明確に形成される一方で、転写体の中心近傍に対応する部分ではパターン凹凸部が明確に形成され難くなる。よって、パターン凹凸部が明確に形成されなかった部分でホログラムが十分に表現されない現象(中抜け現象)が発生するおそれがある。その結果、意匠性が低下するという問題があった。一方、特許文献2の構成では、意匠面を均一に押圧することは可能である。しかし、意匠面を均一に押圧するためには転写体の表面を湾曲形状に形成する等の必要があり、ホログラム装飾体の製造が煩雑になるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、中抜け現象の発生によるホログラムパターンの意匠性の低下を抑制することができるホログラム装飾体を提供することにある。別の目的とするところは、中抜け現象の発生によるホログラムパターンの意匠性の低下を抑制しつつ、ホログラム装飾体を製造することができるホログラム装飾体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、基材の意匠面に装飾部を設けるとともに、同装飾部に凹凸群からなるホログラムパターンがプレス加工により転写されたホログラム装飾体であって、前記装飾部は複数の装飾凸部又は複数の装飾凹部から構成されており、これら装飾凸部の表面又はこれら装飾凹部の内面に前記ホログラムパターンが形成されていることを要旨とする。
【0007】
上記構成によれば、装飾部を複数の装飾凸部で構成した場合、当該装飾部が設けられた箇所において、装飾凸部と、同装飾凸部以外の部分とが隣接して配置されていることから、複数の装飾凸部がそれぞれ離間している。また、装飾部を複数の装飾凹部で構成した場合、当該装飾部が設けられた箇所において、装飾凹部と、同装飾凹部以外の部分とが隣接して配置されていることから、複数の装飾凹部がそれぞれ離間している。そして、装飾凸部の表面又は装飾凹部の内面にホログラムパターンを転写した結果、同ホログラムパターンは、装飾凸部同士の間又は装飾凹部同士の間で不連続となり、断続的に設けられることとなる。従来のホログラム装飾体は、ホログラムパターンを広い範囲で連続的に設けるが故に、該ホログラムパターンが散漫に形成され、中抜け現象が発生し易くなる。これに対して本発明のホログラム装飾体は、ホログラムパターンを断続的に設けたが故に、同ホログラムパターンが狭い範囲に集中している。また、装飾部が設けられた範囲内において、ホログラムパターンが設けられた装飾凸部又は装飾凹部と、ホログラムパターンが設けられていない部分とが隣接して配置されることにより、同ホログラムパターンが強調される。従って、ホログラムパターンが明確に形成されることとなり、中抜け現象の発生によるホログラムパターンの意匠性の低下が抑制される。
【0008】
請求項2に記載の発明は、基材の意匠面に装飾部を設けるとともに、同装飾部に凹凸群からなるホログラムパターンが転写されたホログラム装飾体の製造方法であって、前記基材の意匠面に複数の装飾凸部又は複数の装飾凹部を形成する第1の段階と、これら装飾凸部の表面又はこれら装飾凹部の内面に前記ホログラムパターンを形成し、装飾部を設ける第2の段階とを備え、前記ホログラムパターンに応じた形状をなす転写パターンが設けられたプレス加工用の転写体を用い、前記第1の段階及び前記第2の段階をそれぞれ異なる工程で行うことを要旨とする。
【0009】
上記構成によれば、第1の段階では装飾凸部又は装飾凹部がそれぞれ離間するように明確に形成される。そして、第1の段階及び第2の段階がそれぞれ異なる工程で行われることから、第2の段階では予め設けられた装飾凸部又は装飾凹部にホログラムパターンを集中して形成することにより、装飾凸部又は装飾凹部以外の部分へのホログラムパターンの転写を抑制することが可能となる。従って、中抜け現象の発生によるホログラムパターンの意匠性の低下を抑制しつつ、ホログラム装飾体が製造される。
【0010】
請求項3に記載の発明は、基材の意匠面に装飾部を設けるとともに、同装飾部に凹凸群からなるホログラムパターンが転写されたホログラム装飾体の製造方法であって、前記基材の意匠面に複数の装飾凸部又は複数の装飾凹部を形成する第1の段階と、これら装飾凸部の表面又はこれら装飾凹部の内面に前記ホログラムパターンを形成し、装飾部を設ける第2の段階とを備えており、前記装飾凸部又は前記装飾凹部に応じた形状をなす第1転写パターンと前記ホログラムパターンに応じた形状をなす第2転写パターンとが設けられたプレス加工用の転写体を用い、前記第1の段階及び前記第2の段階を同一の工程で行うことを要旨とする。
【0011】
上記構成によれば、転写体には装飾凸部又は装飾凹部に応じた形状をなす第1転写パターンと、ホログラムパターンに応じた形状をなす第2転写パターンが設けられている。その結果、装飾凸部又は装飾凹部以外の部分へのホログラムパターンの転写を抑制しつつ、第1の段階及び第2の段階を同一の工程で行うことが可能となる。従って、中抜け現象の発生によるホログラムパターンの意匠性の低下を抑制しつつ、ホログラム装飾体が簡易に製造される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明のホログラム装飾体によれば、中抜け現象の発生によるホログラムパターンの意匠性の低下を抑制することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明のホログラム装飾体の製造方法によれば、中抜け現象の発生によるホログラムパターンの意匠性の低下を抑制しつつ、ホログラム装飾体を製造することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明のホログラム装飾体の製造方法によれば、中抜け現象の発生によるホログラムパターンの意匠性の低下を抑制しつつ、ホログラム装飾体を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明をDVDデッキの装飾プレートに具体化した第1実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の説明における上下左右は図1(b)における上下左右を基準にする。
【0016】
図1(a)に示すように、ホログラム装飾体としての装飾プレート11を構成する基材12は、金属材料により薄長四角板状に形成されている。金属材料としてはアルミニウム、チタン、銅、真鍮等が挙げられる。基材12は、金属材料に基づく金属光沢により装飾プレート11の意匠性を高めている。この基材12は上面が意匠面13とされ、装飾プレート11を図示しないDVDデッキに取付けたとき、同意匠面13を露出させDVDデッキの意匠性を高める。
【0017】
図1(a)及び(b)に示すように、意匠面13には、装飾部として「DVD」の各文字を構成する文字装飾部21が側断面長方形状をなすように複数突設されている。文字装飾部21の上面全体には、複数の装飾凸部22が形成されている。これら装飾凸部22は、文字装飾部21の上面で一方向に延びる凸条からそれぞれ構成されている。加えて、装飾凸部22は、側断面逆V字状に形成されているうえ、頂部がその中心部に向かうに従い外方へ湾曲する側断面円弧状に形成されている。一方、各装飾凸部22の間には、非装飾凹条23が側断面V字状に形成されている。尚、基材12の厚みは1mm程度であり、装飾凸部22の高さH1は0.1mm程度である。
【0018】
装飾凸部22の表面には、凹凸群からなるホログラムパターン24が形成されている。尚、このホログラムパターン24は、図1(b)に示すように装飾凸部22の頂部及び左右両側部の表面に形成されてもよいし、装飾凸部22の頂部の表面のみに形成されてもよい。そして、ホログラムパターン24は、前記各装飾凸部22同士の間でそれぞれ離間しており、文字装飾部21の上面で断続的に形成されている。各装飾凸部22の表面でホログラムパターン24の幅Wは2mm以下が好ましく、この実施形態では1〜1.5mm程度とされている。幅Wが2mmを超えると、各装飾凸部22の表面において、ホログラムパターン24の中心部と周縁部とで凹凸の高低差が過剰に大きくなるおそれがある。
【0019】
次に、前記装飾プレート11の製造方法について説明する。
当該装飾プレート11は、前記装飾凸部22を形成する第1の段階と、前記ホログラムパターン24を形成する第2の段階とを経て製造される。前記第1の段階は第1の工程にて行われる。また、前記第2の段階は第2の工程にて行われる。この第2の工程では、転写体が用いられる。
【0020】
図2に示すように、転写体31は、基材を形成する金属材料よりも硬度の高い金属材料により四角板状に形成されている。この転写体31の上面は、平面状に形成されている。転写体31の上面において文字装飾部21に対応する箇所には、その全体にわたって転写パターン32が形成されている。この転写パターン32は、前記ホログラムパターンに応じた形状、即ちホログラムパターンの凹凸群を逆転させた形状をなしている。
【0021】
さて、第1の工程では、まず基材12の意匠面13に、プレス加工やエッチング等の方法で各文字装飾部21がそれぞれ形成される。このとき、各文字装飾部21の上面はそれぞれ平面状をなしている。次いで、前記第1の段階として、図3(a)に示すように、各文字装飾部21の上面全体にわたって、ダイヤモンドカット等の方法により装飾凸部22が形成される。このとき、装飾凸部22の間には非装飾凹条23が形成される。
【0022】
次に、第2の工程として、各装飾凸部22の表面にホログラムパターン24がプレス加工により形成される。即ち、前記転写体31はプレス加工機の上側圧子に取付けられ、基材12は下側圧子に取付けられる。このとき、転写体31及び基材12は、転写パターン32と意匠面13とが対向するようにそれぞれ取付けられる。そして、所定の圧力で各文字装飾部21の上面に転写体31の上面が押圧される。
【0023】
このとき、図3(b)に示すように、各装飾凸部22は、転写体31によって下方へ押圧されて圧潰される。また、各装飾凸部22は1〜1.5mmと幅狭であり、押圧力が集中して好適に加わる。そして、各装飾凸部22の頂部及び両側部の表面には、転写体31から転写パターン32が転写されることにより、ホログラムパターン24が形成される。尚、各非装飾凹条23の内面は転写体31の上面から離間しており、ホログラムパターン24の形成を抑制される。その後、転写体31の上面と各文字装飾部21の上面とを離間させる。このとき、図1(b)に示すように、各装飾凸部22は、基材12が金属材料により形成されていることから、該金属材料の弾性力により形状が復元するうえ、頂部が側断面円弧状をなす。
【0024】
前記の実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 第1実施形態のホログラムパターン24はそれぞれ離間しており、文字装飾部21の表面に断続的に形成されている。ここで、従来のホログラムパターンは、それが装飾部の表面で連続的に形成されることにより、一つの大きな凹凸群として構成されている。このため、従来のパターン凹凸部は幅Wが広く、中抜け現象が頻繁に発生する。これに対し、第1実施形態のホログラムパターン24は狭い幅Wに集中して形成されており、中抜け現象の発生を抑制することができる。また、ホログラムパターン24は文字装飾部21の表面で断続的に形成されており、強調される。
【0025】
・ 各ホログラムパターン24は、各文字装飾部21の上面に装飾凸部22を形成した後、該装飾凸部22の頂部及び両側部の表面に転写パターン32を転写することにより形成される。このため、各ホログラムパターン24は、装飾凸部22の表面にそれぞれ形成されることから、非装飾凹条23を介してそれぞれ離間した状態で形成される。よって、前記幅Wを容易に狭くすることができ、中抜け現象の発生によるホログラムパターン24の意匠性の低下の抑制が容易な装飾プレート11を簡易に製造することができる。また、非装飾凹条23へのホログラムパターン24の形成が抑制されることにより、ホログラムパターン24は浮き上がるように形成される。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この第2実施形態については、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0026】
図4に示すように、文字装飾部21の上面全体には、複数の装飾凹部25が側断面横コ字状に形成されている。これら装飾凹部25は、文字装飾部21の上面の一方向に延びる凹条からそれぞれ構成されている。一方、各装飾凹部25の間には、非装飾凸条26が側断面長方形状に形成されている。各装飾凹部25の内底面には、凹凸群からなるホログラムパターン24がそれぞれ形成されている。ホログラムパターン24は、前記各装飾凹部25同士の間でそれぞれ離間しており、文字装飾部21の上面で断続的に形成されている。
【0027】
次に、装飾プレート11の製造方法について説明する。
当該装飾プレート11は、前記装飾凹部25を形成する第1の段階と、前記ホログラムパターン24を形成する第2の段階とを経て製造される。前記第1及び第2の段階は、同一の工程にて行われる。また、前記第2の段階では、転写体33が用いられる。
【0028】
図5に示すように、転写体33は、その上面に転写パターン34が形成されている。この転写パターン34は、装飾凹部に応じた形状をなす第1転写パターン34aと、ホログラムパターンに応じた形状をなす第2転写パターン34bとから構成されている。前記第1転写パターンは凸形状をなし、転写体33の上面で文字装飾部に対応する箇所にそれぞれ形成されている。さらに、第1転写パターン34aの高さH2は、前記装飾凹部25の深さよりも大きく設定されている。そして、第2転写パターン34bは、前記第1転写パターン34aの上面に形成されている。
【0029】
さて、装飾プレート11を製造する工程は、まず基材12を四角板状に形成した後、意匠面13に各文字装飾部21をそれぞれ形成する。このとき、各文字装飾部21の上面はそれぞれ平面状をなしている。次いで、転写体33がプレス加工機の上側圧子に取付けられ、基材12を下側圧子に取付けられる。続いて、前記第1及び第2の段階として、図6に示すように、所定の圧力で各文字装飾部21の上面に転写体33の上面が押圧される。このとき、転写体33の上面において第1転写パターン34aが形成された以外の箇所と、各文字装飾部21(非装飾凸条26)の上面との間には間隙が形成される。このため、転写体33は、第1転写パターン34aの上面のみで文字装飾部21の上面を押圧する。そして、各文字装飾部21の上面には転写体33から第1及び第2転写パターン34a、34bが転写され、装飾凹部25及びホログラムパターン24がそれぞれ形成される。
【0030】
従って、第2実施形態のホログラムパターン24はそれぞれ離間しており、文字装飾部21の表面に断続的に形成されている。よって、第2実施形態のホログラムパターン24は、第1実施形態と同様に狭い幅Wに集中して形成されており、中抜け現象の発生を抑制することができる。さらにホログラムパターン24は、各文字装飾部21の上面に第2転写パターン34bを転写することにより形成されている。このため、各ホログラムパターン24は、装飾凹部25の内底面にそれぞれ形成されることから、非装飾凸条26を介してそれぞれ離間した状態で形成される。よって、前記幅Wを容易に狭くすることができ、中抜け現象の発生によるホログラムパターン24の意匠性の低下の抑制が容易な装飾プレート11を簡易に製造することができる。
【0031】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記各実施形態において、ホログラム装飾体を、自動車等の車両に取付けられる装飾プレート等として構成してもよい。
【0032】
・ 前記各実施形態において、意匠面13に、酸化処理等によって金属材料の酸化被膜を被覆してもよい。酸化被膜の厚さは10μm以下が好ましい。酸化被膜の厚さが10μmを超えると、該酸化被膜により意匠面13における金属光沢が弱まり、装飾プレート11の意匠性が低下するおそれがある。
【0033】
ここで、基材12の意匠面13全体にわたって酸化被膜を被覆してもよいし、各文字装飾部21の上面のみに酸化被膜を被覆してもよい。さらに、ホログラムパターンの凹凸群の表面のみに酸化被膜を被覆してもよい。加えて、基材12の意匠面13全体にわたって酸化被膜を被覆するうえ、各文字装飾部21の上面の酸化被膜を、他の箇所を被覆する酸化被膜に比べて薄くしてもよい。このとき、各文字装飾部21の上面を被覆する酸化被膜の厚さは例えば3μmであり、各文字装飾部21以外の箇所を被覆する酸化被膜の厚みは例えば10μmである。
【0034】
基材12の意匠面13に酸化被膜を被覆する工程は、意匠面13に各文字装飾部21を形成する前に行ってもよいし、各ホログラムパターン24を形成した後に行ってもよい。さらに、第1実施形態において、意匠面13に各文字装飾部21を形成した後に酸化被膜を被覆し、さらに各ホログラムパターン24を形成した後に酸化被膜を再度被覆してもよい。また、意匠面13に、透光性を有する合成樹脂製の保護膜を被覆してもよい。このように構成した場合には、意匠面13やホログラムパターン24の耐摩耗性を高めることができる。
【0035】
・ 前記各実施形態において、基材12を合成樹脂等により形成してもよい。
・ 前記各実施形態において、各文字装飾部21を凹設してもよい。また、各文字装飾部21を省略し、ホログラムパターン24により「DVD」の文字を表示させてもよい。
【0036】
・ 前記各実施形態において、装飾凸部22又は装飾凹部25を意匠面13全体にわたって形成してもよい。このように構成した場合には、装飾凸部22又は装飾凹部25により装飾プレート11の意匠性を高めることができる。
【0037】
・ 前記第1実施形態において、各文字装飾部21の上面を転写体31の上面が押圧するときに、各非装飾凹条23の内面が転写体31の上面に接触してもよい。このように構成した場合には、転写体31の上面の各非装飾凹条23の内面への押圧力は、同上面の各装飾凸部22の表面への押圧力に比べて小さいことから、各非装飾凹条23の内面に転写パターン32が転写されるのを抑制することができる。
【0038】
・ 前記第1実施形態において、各非装飾凹条23を装飾凹部として構成してもよい。このとき、ホログラムパターン24は非装飾凹条23の内面に形成される。さらに、転写体31の上面には、各非装飾凹条23に対応する箇所に転写パターン32が形成される。
【0039】
・ 前記第1実施形態において、装飾凸部22をプレス加工により形成してもよい。このとき、装飾凸部22とホログラムパターン24とを同時に形成してもよいし、別々に形成してもよい。
【0040】
・ 前記第1実施形態において、装飾凸部22を四角柱状や円柱状等に形成してもよい。また、第2実施形態において、装飾凹部25を平面四角形状や平面円形状等に形成してもよい。
【0041】
・ 前記第1実施形態において、転写パターン32を、転写体31の上面において各装飾凸部22に対応する箇所のみに形成してもよい。
・ 前記第2実施形態において、第1転写パターン34aの高さH2を、装飾凹部25の深さと同じ長さにしてもよい。
【0042】
・ 前記第2実施形態において、ホログラムパターン24を装飾凹部25の内側面に形成してもよい。
・ 前記第2実施形態において、図7(a)及び(b)に示すように、転写体を、金属材料により四角板状に形成された第1転写体35と、金属材料により帯状に形成された第2転写体36とから構成してもよい。第1転写体35の上面は平面状をなし、文字装飾部に対応する箇所には複数の第1転写パターン34aが形成されている。この第1転写パターン34aの高さH2は、前記装飾凹部25の深さよりも大きく設定されている。さらに第1転写パターン34aの左右両側面間の距離Rは、前記装飾凹部25の幅Wよりも小さく設定されている。
【0043】
一方、第2転写体36の上面において文字装飾部21に対応する箇所には、第2転写パターン34bが形成されている。第1転写体35は、プレス加工機の上側圧子に、第1転写パターン34aが前記意匠面13に対向するように取付けられる。一方、第2転写体36は、第1転写体35と基材12との間に介装される。このとき、第2転写体36は、第2転写パターン34bが前記意匠面13に対向するように介装される。
【0044】
そして、図7(c)に示すように、第1転写体35は、その上面が第2転写体36を介して各文字装飾部21の上面に押圧される。このとき、第2転写体36は、第1転写体35の第1転写パターン34aの形状に沿って容易に変形する。さらに、第1転写体35の上面において第1転写パターン34aが形成された箇所以外と、各文字装飾部21の上面との間には間隙が形成される。このため、第1転写体35は、各第1転写パターン34aの上面のみが、第2転写体36を介して各文字装飾部21の上面を押圧する。よって、第2転写体36の第2転写パターン34bは、第1転写体35の第1転写パターン34aの上面に対応する箇所のみが各文字装飾部21の上面に転写される。さらに、第1転写体35の上面を文字装飾部21の上面から離間したときには、第2転写体36は元の形状に戻る。
【0045】
このように構成した場合には、第1転写体35を変更することにより、装飾凹部25の形状を容易に変更することができる。また、装飾プレート11の製造に伴い各転写体35,36の上面が摩耗されたときには、摩耗された転写体のみを迅速に交換することができる。このため、装飾プレート11の製造がより簡易である。
【0046】
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記凹凸群の高さは、前記装飾凸部の高さ又は前記装飾凹部の深さよりも低い請求項1に記載のホログラム装飾体。
【0047】
・ 前記基材が金属材料により形成され、ホログラムパターンの凹凸群の表面に前記金属材料の酸化被膜が設けられている請求項1に記載のホログラム装飾体。この構成によれば、ホログラムパターンの耐摩耗性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】(a)は第1実施形態の装飾プレートを示す斜視図、(b)は、図1(a)の1b−1b線における断面図。
【図2】転写体を示す断面図。
【図3】(a)及び(b)は装飾プレートの製造工程を示す要部拡大断面図。
【図4】第2実施形態の装飾プレートを示す要部拡大断面図。
【図5】転写体を示す断面図。
【図6】装飾プレートの製造工程を示す要部拡大断面図。
【図7】(a)及び(b)は転写体の別例を示す断面図、(c)は装飾プレートの製造工程を示す要部拡大断面図。
【符号の説明】
【0049】
11…ホログラム装飾体としての装飾プレート、12…基材、13…意匠面、21…装飾部としての文字装飾部、22…装飾凸部、24…ホログラムパターン、25…装飾凹部、31,33…転写体、32,34…転写パターン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の意匠面に装飾部を設けるとともに、同装飾部に凹凸群からなるホログラムパターンがプレス加工により転写されたホログラム装飾体であって、
前記装飾部は複数の装飾凸部又は複数の装飾凹部から構成されており、
これら装飾凸部の表面又はこれら装飾凹部の内面に前記ホログラムパターンが形成されていることを特徴とするホログラム装飾体。
【請求項2】
基材の意匠面に装飾部を設けるとともに、同装飾部に凹凸群からなるホログラムパターンが転写されたホログラム装飾体の製造方法であって、
前記基材の意匠面に複数の装飾凸部又は複数の装飾凹部を形成する第1の段階と、
これら装飾凸部の表面又はこれら装飾凹部の内面に前記ホログラムパターンを形成し、装飾部を設ける第2の段階とを備え、
前記ホログラムパターンに応じた形状をなす転写パターンが設けられたプレス加工用の転写体を用い、前記第1の段階及び前記第2の段階をそれぞれ異なる工程で行うことを特徴とするホログラム装飾体の製造方法。
【請求項3】
基材の意匠面に装飾部を設けるとともに、同装飾部に凹凸群からなるホログラムパターンが転写されたホログラム装飾体の製造方法であって、
前記基材の意匠面に複数の装飾凸部又は複数の装飾凹部を形成する第1の段階と、
これら装飾凸部の表面又はこれら装飾凹部の内面に前記ホログラムパターンを形成し、装飾部を設ける第2の段階とを備えており、
前記装飾凸部又は前記装飾凹部に応じた形状をなす第1転写パターンと前記ホログラムパターンに応じた形状をなす第2転写パターンとが設けられたプレス加工用の転写体を用い、前記第1の段階及び前記第2の段階を同一の工程で行うことを特徴とするホログラム装飾体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−17943(P2006−17943A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−194705(P2004−194705)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】