説明

ホースカー昇降装置

【課題】荷受台を支持して昇降するフレームに与える荷重バランスが均等でない状態でも荷受台を円滑に昇降させることのできるホースカー昇降装置を提供する。
【解決手段】車両の後部に設けられる固定フレーム1aと、この固定フレーム1aに対して出入りして昇降可能な昇降フレーム2aと、昇降フレーム2aの下部に設けられたホースカー荷受台3とを備えたホースカー昇降装置において、固定フレーム1aまたは昇降フレーム2aの一方のフレームには、他方のフレームと対向する部分において、車両幅方向に沿った第1回転軸を有する第1ローラ21と、第1回転軸と交差する方向に沿った第2回転軸を有する第2ローラ22とが配されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消防ポンプ車などの車両に対してホースカーの積みおろしをするホースカー昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
消防ポンプ車などは、長尺の消火用ホースが巻回された状態のホースカーが車両後方の格納室に載置されている。図5(a)で示すように、車両に架装された昇降装置92を用いて車両と地面との間で格納されたホースカー91の積みおろしが行われる。
【0003】
車両後方から昇降装置92を見ると、図5(b)のように、門型の固定フレーム93と、固定フレーム93の内側に配されて固定フレーム93に対して昇降可能な昇降フレーム94と、昇降フレーム94に設けられてホースカー91が載置される荷受台95とを有しており、例えば油圧シリンダ96を用いた駆動装置によって昇降フレーム94が昇降される。
【0004】
油圧シリンダ96は、その本体部が、固定フレーム93における左右一対で立設したサイドフレーム93a間に架設された横架材97に固設され、ロッド先端部が、昇降フレーム94の上部材98に連結されている。油圧シリンダ96が伸長すると、固定フレーム93に対して昇降フレーム94が上昇し、油圧シリンダ96が収縮すると昇降フレーム94が下降する。固定フレーム93を形成する左右一対のサイドフレーム93aはコ字状断面のチャンネル部材であり、開口部が互いに内側に向いた状態で配されている。昇降フレーム94の側部にはローラ99が設けられており、このローラ99がサイドフレーム93aの上記断面の内側を転動してホースカー91が載置された荷受台95が昇降される。
【0005】
車両内に格納されたホースカー91は、固縛部材を介して荷受台95に固縛されており、車両走行中でも十分に安定した状態とされている。また、固縛部材は現場到着後には迅速かつ簡易に固縛解除できる構成のものが用いられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−279540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の昇降装置92は、固縛または固縛解除の機能に関しては、ホースカーを安全に運んで、車両が現場到着後に迅速に消防作業に移ることができる点で十分な性能を有しているが、ホースカー91の昇降機能に関しては未だ改善の余地がある。
【0008】
具体的には、固定フレーム93は主に車両のシャシフレーム等に固設されるため、固定フレーム93や昇降フレーム94等は車両幅方向の中央部に配されるが、荷受台95に関しては、その中央部から一側方に寄った状態で配されることが多い。消防ポンプ車などには様々な消防機能が備えられており、ホースカー91を車両幅方向の中央部には適切に格納できないことが要因となっている。そこで、例えばホースカー91が車両右側に寄った状態で車両内に格納させるために、図5(b)のように車両幅方向の中央部(仮想線C1部分)から右側に寄った状態で荷受台95が取付けられた昇降装置などがある。
【0009】
この場合、荷受台95を支持する左右一対のサイドフレーム93aに対する荷重バランスが崩れてしまい、ローラ99が良好に転動しなくなって、ホースカー91を円滑に昇降させることができなくなる。
【0010】
さらに、消防ポンプ車などは、商業用に係る荷受台の昇降装置が架装された車両と異なり、様々な現場での作業が求められる点もホースカーの円滑な昇降作動を阻害する要因となる。つまり、消防ポンプ車が到着する現場は平坦ではない凹凸の大きな場所も多く、車両片側の車輪が凹部に入ったり、凸部に乗り上げたりして、車両全体が側方に傾いた状態になることもある。こうした場合、荷受台が車両幅方向の中央部に配されていても、同様にサイドフレーム93aに対する荷重バランスが崩れてしまう。
【0011】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされており、荷受台を支持して昇降するフレームに与える荷重バランスが均等でない状態でも荷受台を円滑に昇降させることのできるホースカー昇降装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
車両の後部に設けられる固定フレームと、この固定フレームに対して出入りして昇降可能な昇降フレームと、当該昇降フレームの下部に設けられたホースカー荷受台とを備えたホースカー昇降装置において、前記固定フレームまたは前記昇降フレームの一方のフレームには、他方のフレームと対向する部分において、車両幅方向に沿った第1回転軸を有する第1ローラと、第1回転軸と交差する方向に沿った第2回転軸を有する第2ローラとが配された構成とする。
【0013】
前記第2ローラは、前記荷受台が最下降位置まで下降した際の前記対向する部分に配されている構成としても良い。または、前記一方のフレームの上端部には、前記第1ローラおよび前記第2ローラが配され、前記一方のフレームの下端部には、前記第1ローラまたは前記第2ローラが配されている構成としても良い。
【0014】
前記第2ローラに関しては、前記固定フレーム又は前記昇降フレームのいずれか一方に支持部材を介して係合されており、前記第2ローラの係合位置は、前記支持部材の螺進退によって調整自在である。
【0015】
そして、前記固定フレームは車両に設けられた左右一対のシャシフレームにそれぞれ立設するサイドフレームを有しており、前記昇降フレームは、これらのサイドフレームの間に配されている。また、前記荷受台は、前記サイドフレームに対して連結ブラケットを介して連結されるとともに、前記荷受台の車幅方向中央部が前記サイドフレームの一方側に寄った状態で配されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、固定フレームと、固定フレームに対して昇降する昇降フレームとの対向部分に回転軸の軸方向が異なる2種類のローラ部材が設けられていることで、昇降フレームにおいて、荷受台による荷重バランスが崩れて、一方のローラの転動機能が低下しても他方のローラが転動することで荷受台に載置されたホースカーを円滑に昇降させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)は本実施形態に係るホースカー昇降装置を示す後面図であり、(b)は荷受台の配設状態を上から見た図である。
【図2】本実施形態に係る油圧回路図である。
【図3】本実施形態に係るホースカー昇降装置の駆動状態を示す後面図である。
【図4】本実施形態に係るローラ部材を示す模式図である。
【図5】従来の形態に係るホースカー昇降装置の側方図および後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施形態に係る荷受台昇降装置の実施形態に関して、図面を用いて説明する。
【0019】
消防ポンプ車の後方内部に架装される昇降装置100は、アウタフレーム1と、アウタフレーム1に対して出入りするように上下方向にスライド自在に設けられたインナフレーム2と、インナフレーム2の下端に設けられてホースカー(不図示)が載置される荷受台3と、インナフレーム2を昇降させる駆動装置4とを有している。
【0020】
アウタフレーム1は、図1(a)のとおり、門型形状を有し、左右一対で配されて上下方向に伸びた固定サイドフレーム1aと、一対の固定サイドフレーム1a上部を架設する固定アッパーフレーム1bとで構成されている。固定サイドフレーム1aは、車両前後方向に伸びるとともに車両幅方向に離間して配されたシャシフレーム101に対して、サブフレーム102、L型ブラケット103を介して固設されている。サブフレーム102はシャシフレーム101の上で溶接により固設され、L型ブラケット103はサブフレーム102にボルト締結されている。なお、固定サイドフレーム1aは、断面コ字状のチャンネル材によって構成されており、その凹溝部分が内側を向いている。
【0021】
インナフレーム2は、図1(a)のとおり、アウタフレーム1の内側に配され、門型形状を有しており、左右一対で配されて上下方向に延びる昇降サイドフレーム2aと、昇降サイドフレーム2a上部を架設する昇降アッパーフレーム2bと、昇降アッパーフレーム2bより下方で昇降サイドフレーム2a間に架設された昇降クロスフレーム2cとで構成されている。左右一対の昇降サイドフレーム2aのそれぞれには、車両幅方向外側となる側方部にローラ部材20が配されている。このローラ部材20は、車両幅方向を回転軸とする第1ローラ21と、車両前後方向を回転軸とする第2ローラ22とで構成されている。昇降サイドフレーム2aは固定サイドフレームの凹溝部分と対向するように配されており、インナフレーム2がアウタフレーム1に対して昇降駆動する際には、各ローラ21、22が凹溝部分で転動する。
【0022】
荷受台3は、図1(b)のように昇降サイドフレーム2a下方部と連結ブラケット21aを介して荷受台3に連結されている。幅長さWGを有する荷受台3は、その車両幅方向中央部(仮想線C2部分)が、アウタフレーム1やインナフレーム2の車両幅方向中央部(仮想線C1部分)とずれた位置、つまり荷受台3の車両幅方向中央部が一方の昇降サイドフレーム22aに寄った状態(車両右側に寄った状態)で配されている。これは、車両内の設備のレイアウトが要因であり、そのレイアウト変更等によって荷受台3が車両真ん中に位置する状態でも車両左側に寄った状態でも構わない。
【0023】
駆動装置4は、油圧シリンダ40と、当該油圧シリンダ40との間で作動油の給排を行う油圧制御装置(不図示)とを有する。油圧シリンダ40のうち、本体部41は左右一対の固定サイドフレーム1a間に架設された横架材1cに取り付けられ、ロッド42の先端部42aは昇降アッパーフレーム2bに取付けられている。図1(a)では、ロッド42が最伸長した状態で荷受台3が最上昇している状態を示しており、ロッド42が収縮することでインナフレーム2が下降し、荷受台3も下降する。
【0024】
油圧制御装置は車両の内部でアウタフレーム1の側方に配され、油圧制御装置は図2で示す油圧回路を備えており、油圧シリンダ40と流量制御弁51を介して接続されている。油圧制御装置50は、電動モータMで駆動された油圧ポンプPによって油圧シリンダ40に対する作動油の給排を行っている。油圧シリンダ40との間に流量制御弁51が配されていることで、荷受台3が急激に下降しないように制御することができる。また、油圧制御装置50が故障した際などには、ハンドポンプP1への切換を行うことで荷受台3の昇降作動を制御することができる。
【0025】
こうした油圧制御装置50を用いて、昇降作動が制御されるインナフレーム2は、上述したローラ部材20(第1ローラ21、第2ローラ22)によって円滑な昇降作動を安定して行うことができる。
【0026】
図3(a)のとおり、第1ローラ21は昇降サイドフレーム2aの上端部、中間部、下端部の3箇所にそれぞれ設けられ、第2ローラ22は昇降サイドフレーム2aの上端部、中間部の2箇所で第1ローラ21の近傍にそれぞれ設けられている。つまり、第2ローラ22は昇降サイドフレーム2aの上端部と中間部、特に上端部と中間部の第1ローラ21の近傍に配された構成となっており、下端部では第1ローラ21のみが配された構成となっている。
【0027】
拡大図で示すように、第1ローラ21は、車両幅方向を第1回転軸として固定サイドフレーム1aの断面コ字状部分のうち、車両前後方向に対向する部分を転動することができるように配されている。一方、第2ローラ22は、車両前後方向を第2回転軸として固定サイドフレームの断面コ字状部分の凹溝の底部分を転動するように配されている。インナフレーム2の昇降作動は、第1ローラ21と第2ローラ22を介して固定サイドフレーム1aの凹溝部分をガイド部として用いて行われている。
【0028】
第2ローラ22が第1ローラ21の近傍に配されていることで、第1ローラ21と第2ローラ22とが対となってインナフレーム2の昇降作動に寄与している。第1ローラ21と第2ローラ22とが対となって近傍配置されているのは、図3(b)のように荷受台3が最下降位置まで下降した状態の際に、昇降サイドフレーム2aが固定サイドフレーム1aと対向する部分F1のみに限られており、昇降サイドフレーム2aの下端部F2には第1ローラ21だけが配されている。
【0029】
昇降サイドフレーム2aが固定サイドフレーム1aに対して出入りする構成のうち、昇降サイドフレーム2aが下降しても固定サイドフレーム1aとの対向状態が維持されている部分F1において、上端部と、図3(b)で示された状態での対向部分F1のうちの下方部分とに第1ローラ21及び第2ローラ22が対として配され、ローラ部材の部品点数が抑制されている。
【0030】
また、昇降サイドフレーム2aの下端部F2は、インナフレーム2が下降し出すと、即時に固定サイドフレーム1aと非対向状態となる。つまり、固定サイドフレーム1aの凹溝部分をガイド部として利用しなくなる。そのため、上記下端部F2には第1ローラ21だけが配された構成とし、第2ローラ22の部品点数及び設置コストが抑制されている。ただし、荷受台昇降装置100は車両に取り付けられるものであり、図3(a)の状態で車両が走行するとき当該装置100が車両の振動を受けるが、昇降サイドフレーム2aの下端部F2に設けられた第1ローラ21が固定フレーム1aの凹溝部分に当接してインナフレーム2の揺動を抑制することができる。
【0031】
第1ローラ21と第2ローラ22の配設状態に関しては、図4を用いて詳細に説明する。図4(a)には、説明の便宜上、固定サイドフレーム1aと当該フレーム1aを転動する第1ローラ21、第2ローラ22のみが示されている。
【0032】
第1ローラ21は、車両幅方向に沿った軸を第1回転軸R1として、その周面が固定サイドフレーム1aと対向する部分、具体的には車両前方側部分の内面(以下、単に「前方面」と記す。)11aおよび車両後方側部分の内面(以下、単に「後方面」と記す。)12aに当接するように配されている。第1ローラ21を設けていることで車両前後方向へのインナフレーム2のガタツキを抑制し、円滑な昇降作動に機能している。なお、第1ローラ21が転動する際には、前方面11aと後方面12aの両方を転動する構成としているが、いずれか一方の面のみを転動する構成としても良い。
【0033】
第2ローラ22は、車両前後方向に沿った軸を第2回転軸R2として、その周面が固定サイドフレーム1aで対向する部分、具体的には、外側方となる車両側方側の内面(以下、単に「側方面」と記す。)13aに当接するように配されている。この第2ローラ22によって、車両幅方向へのインナフレーム2のガタツキを抑制し、円滑な昇降作動に機能している。なお、回転軸R2は側方面13aに第2ローラ22が当接するように車両前後方向に設定されているが、側方面13aの面方向に対応させるとともに回転軸R1に対して交差する方向であれば他の方向でも構わない。
【0034】
このように第1ローラ21と第2ローラ22との一組のローラ部材によって、車両前後方向および車両幅方向の両方向に対するインナフレーム2のガタツキを抑制することができる。したがって、荷受台3がアウタフレーム1やインナフレーム2に対して車両右側に寄った状態で配されていて、ホースカーの昇降作動の際に左右一対の昇降サイドフレーム2aには不均等な荷重が生じても、第2ローラ22が側方面13aを転動するので、インナフレーム2の昇降性能の低下を抑制できる。特に、第1ローラ21の近傍に第2ローラ22が配置されているため、左右一対の昇降サイドフレーム2aに対する不均等な荷重を要因とするガタツキによって、第1ローラ21の転動が不調となった分を第2ローラ22が補うことができる。つまり、第1ローラ21と第2ローラ22の近傍配置に関しては、いずれか一方のローラ21、22の転動性能が低下しても他方のローラ21、22が転動することでインナフレーム2の昇降性能の低下を抑制することができる程度の距離に配されていることを意味する。なお、第2ローラ22に関しては、ホースカーが荷受台3に載置されていない状態(非載置状態)でも側方面13aに当接するように配された構成としているが、この非載置状態では側方面13aに対して少しだけ離間させて当接しないようにし、ホースカーが荷受台3に載置されて昇降サイドフレーム2aに不均等な荷重が発生したような状態(インナフレーム2がアウタフレーム1に対して傾斜する状態)となった際に、第2ローラ22が側方面13aに当接する構成としてもよい。
【0035】
また、第2ローラ22は、昇降サイドフレーム2aに対して図4(b)のようにボルト22a等の支持部材を介して支持されている。当図は図3(a)におけるA−A断面を示している。
【0036】
昇降サイドフレーム2aの内側から外側に向けて(車両幅方向外側に向けて)、当該フレーム2aを挿通するボルト22aが配され、ボルト22aに昇降サイドフレーム2aを挟んでナット22b、22eが固着されている。ボルト22a先端には断面U字状のブラケット22cが溶接で固定されており、このブラケット22cで挟まれてピン22dで軸支された状態で第2ローラ22が配されている。第2ローラ22は一対のナット22b、22eとボルト22aとの螺合によって、昇降サイドフレーム2aに対して固定される。このとき、第2ローラ22は、インナフレーム2(昇降サイドフレーム2a)に対して車両幅方向外側に長さLだけ突出した状態となっている。この突出長さLは上記のボルト22aに対してナット22eを螺進退させることで適宜調整することができる。したがって、インナフレーム2に対する荷受台3の取り付け位置が異なって、昇降サイドフレーム2aに及ぼす荷重バランスが変化しても、その変化に対応させて第2ローラ22の突出長さLを簡易に調整できる。また、地面に凹凸が目立つような場所で車両が停車しても、その場で第2ローラ22の突出長さLを調整することで、第2ローラ22が側方面13aを適切に転動することができる状態としてインナフレーム2の昇降性能を維持することもできる。
【0037】
なお、上述した第1ローラ21、第2ローラ22は、いずれもインナフレーム2に設けられた構成としているが、アウタフレーム1に設けられた構成としても構わない。このとき、インナフレーム2の昇降サイドフレームの側方面13aに第1ローラ21及び第2ローラ22が転動する転動面が設けられた構成とする。また、2種類のローラのうちいずれか一方をインナフレーム2に配して、他方のローラをアウタフレーム1に配した構成としても構わない。
【0038】
また、第1ローラ21の設置位置は、インナフレーム2(昇降サイドフレーム2a)の上端部、中間部、下端部の3箇所としたが、これに限定することなく、1箇所や2箇所、もしくは4箇所以上でも構わない。第2ローラ22は第1ローラ21の近傍で上方又は下方のいずれか一方のみに配された構成で一組のローラ部材を構成するものとしているが、上方及び下方の両側に配された状態で一組の構成としても構わない。上記の一組のローラ部材(第1ローラ21、第2ローラ22)に関しては、それぞれ独立してインナフレーム2もしくはアウタフレーム1に設ける構成とし、故障時には個別に交換等のメンテナンスを行うことができるようにしているが、ブラケット等を介してユニット化されたローラ部材としても構わない。また、第2ローラ22が第1ローラ21の近傍に配されている部分に関しては、荷受台3が最下降位置の際に固定サイドフレーム1aと対向する昇降サイドフレーム2a部分F1(図3(b)参照)のみとしているが、昇降サイドフレーム2aが下降することで非対向状態となる部分にも第2ローラ22が配された構成としても構わない。また、固定サイドフレーム1aと昇降サイドフレーム2aとの対向部分F1には第1ローラ21と第2ローラ22とが近傍配置された構成となっているが、近傍に配置された構成に限定することなく、この対向部分に第1ローラ21と第2ローラ22とが配されていれば、ある程度離れた状態で配されていても構わない。その他、昇降サイドフレーム2aの下端部F2(図3(b)参照)には第1ローラ21のみが配された構成としているが、第1ローラ21の代わりに第2ローラ22が配された構成でも同様の効果を得ることができるため構わない。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、車両後方に設けられたホースカー昇降装置だけではなく、車両側方に設けられた場合でも有用である。
【符号の説明】
【0040】
1 アウタフレーム(固定フレーム)
2 インナフレーム(昇降フレーム)
3 荷受台
4 駆動装置
1a 固定サイドフレーム
2a 昇降サイドフレーム(サイドフレーム)
11a 前方面
12a 後方面
13a 側方面
20 ローラ部材
21 第1ローラ
22 第2ローラ
21a 連結ブラケット(連結部材)
R1 第1回転軸
R2 第2回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後部に設けられる固定フレームと、この固定フレームに対して出入りして昇降可能な昇降フレームと、当該昇降フレームの下部に設けられたホースカー荷受台とを備えたホースカー昇降装置において、
前記固定フレームまたは前記昇降フレームの一方のフレームには、他方のフレームと対向する部分において、車両幅方向に沿った第1回転軸を有する第1ローラと、第1回転軸と交差する方向に沿った第2回転軸を有する第2ローラとが配されている
ことを特徴とするホースカー昇降装置。
【請求項2】
前記第2ローラは、前記荷受台が最下降位置まで下降した際の前記対向する部分に配されている
ことを特徴とする請求項1に記載のホースカー昇降装置。
【請求項3】
前記一方のフレームの上端部には、前記第1ローラおよび前記第2ローラが配され、
前記一方のフレームの下端部には、前記第1ローラまたは前記第2ローラが配されている
ことを特徴とする請求項1に記載のホースカー昇降装置。
【請求項4】
前記第2ローラは、前記固定フレーム又は前記昇降フレームのいずれか一方に支持部材を介して係合されており、
前記第2ローラの係合位置は、前記支持部材の螺進退によって調整自在である
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のホースカー昇降装置。
【請求項5】
前記固定フレームは車両に設けられた左右一対のシャシフレームにそれぞれ立設するサイドフレームを有しており、
前記昇降フレームは、これらのサイドフレームの間に配されている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のホースカー昇降装置。
【請求項6】
前記荷受台は、前記サイドフレームに対して連結ブラケットを介して連結されるとともに、前記荷受台の車幅方向中央部が前記サイドフレームの一方側に寄った状態で配されている
ことを特徴とする請求項5に記載のホースカー昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−5607(P2012−5607A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143240(P2010−143240)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】